JP4975658B2 - 微小ウェル内に分配するための容器 - Google Patents

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Description

本発明は、水性液体試料を多数の独立した微小ウェル内に分配するための容器、及びこの容器を用い水性液体試料を多数の独立した微小ウェル内に分配する方法に関する。
微生物の検出は産業分野、臨床分野において実施されている。産業分野においては、例えば食品分野、製薬分野、化粧品分野において加工、製造した製品中の微生物を直接定性または定量したり、製造環境中に汚染のおそれのある微生物の存在を定性または定量することで適切な品質管理が行われている。臨床分野においては血液等の体液中に存在する微生物を検出又は同定する試験が行われている。
このような微生物検査は、試料を液体培地又は寒天培地に接種後、一定時間培養して微生物を増殖させて検出する方法が一般的である。微生物の検出指標として、酸化還元指示薬を用いて微生物の代謝活性を測定したり、二酸化炭素の産生量あるいは酸素の消費量を指標にする方法等が存在する。しかし、これらの方法は培養時間に多くの時間を要し、判定結果が得られるまでに数日から数週間かかるという問題がある。
培養時間を短縮する方法として、微生物のもつDNAを増幅して検出する方法が知られている。微生物の検出は生菌の存在を検出することが重要であるが、この方法は微生物が死滅していても、DNAが存在すれば陽性と判定してしまうという問題がある。
また、微生物のエネルギー代謝をATPの分解を指標にして化学発光法により検出する技術も開発されている。しかしながらこの方法は試料中に含まれる微生物以外のATPの影響を受けやすく、微生物の識別が困難である。
試料中の生きた微生物を特異的に蛍光標識し、フローサイトメトリーを利用することで迅速な微生物検出を実現した方法も見出されている。しかしながらこの方法は、非常に小さな内径を持つセルの中に試料を送り込むために、試料が粘性を帯びている場合や、固形の不純物が一定量以上存在する場合には検査できず、検査対象が限られてしまう問題がある。また、検出装置が高価であり一般的に普及するに至っていない。
培養時間を短縮することで判定までの時間を短縮する方法として、特許文献1〜3には液体試料を多数の独立した微小領域に分けて培養を行う方法が記載されている。培養空間を小さくすることで事実上の微生物濃度を上げ、検出可能なレベルまでの微生物の増殖時間を短縮させることができる。
また、特許文献4には、多数の微小空間で培養することで培養時間の短縮を図ると同時に、最確数分析の精度を向上させる方法が記載されている。
このように微生物を培養する空間を微小化することで、検出までの培養時間を短縮することが可能であるが、微小空間である微小なウェル内に微生物を含む液体試料を分注することは通常は困難である。これは、液体の表面張力が影響すること、さらにウェル内の空気がウェル内に停滞してしまうために容易には液体試料がウェル内に入っていかないからである。微小空間内に微生物を含む液体試料を分配する手段として、特許文献1〜3には液体試料に格子状の仕切り部材を圧着させる方法が記載されている。この方法は貫通型の格子状仕切り部材を液体試料に押し付けることで格子内に溶液を容易に満たすことができる点で優れている。しかしながら本法は試料を接種した後に格子状の部材を押し付けるという2段階の操作を要する。また、デバイスの製造面からみると、液体試料を入れる容器と格子状の部材の2種類の成型作業が必要になるため、金型費用、成型費用の点で課題が残る。
特許文献5には液体試料を多数のアリコットに分画する方法が記載されている。これは微小ウェル内に気泡が停滞しないようにウェル底部にも開放部を設けることで液体試料が分配しやすくなっている。しかしながら、分配のためにはデバイスを傾けながら全てのアリコットの上方開放部に液体試料を接触させる操作を要するため、液体試料の接種だけで全てのウェルに自然に分配されるのに比べると操作が煩雑である。さらにデバイス形態が煩雑であるためデバイスの製造工程が複雑にならざるを得ない。
特許第2803810号公報 特許第3127064号公報 特開2006−223230号公報 特表2001−512031号公報 特開平4−315946号公報
本発明の目的は、分配手段の操作が煩雑であったり、デバイス形態が複雑であったという従来の課題を解決することにあり、簡単な操作で、該液体試料を容易に微小ウェルへ分配させることができ、形態が単純であり製造工程が簡単な容器、及び該容器を用いた、微生物を含む試料に適した分配方法を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、内表面と水との接触角が60°以下である内表面を有する微小ウェルを有する容器を用いれば、該ウェル上に、水性液体試料を供給するという簡単な操作だけで、該液体試料を容易に微小空間へ分配することができることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、断面積10mm2以下の微小ウェルを複数個有し、当該微小ウェルの内表面の水との接触角が60°以下であることを特徴とする、水性液体試料を微小ウェル内に分配するための容器を提供するものである。
また、本発明は、該容器に、水性液体試料を供することを特徴とする、水性液体試料を微小ウェル内に分配する方法を提供するものである。
更に、本発明は、該容器に、被検水性液体試料を供給して該試料を微小ウェル内に分配し、次いで培養することを特徴とする、被検水性液体試料中の微生物の検出方法を提供するものである。
本発明によれば、水性液体試料を容器に入れるだけで、該液体試料の微小ウェルへの分配ができる(自然分配)ため、従来技術に比べて分配操作が大幅に簡便化される。すなわち、本発明によれば、該液体試料が微小ウェルの上部開放部の上に広がり、その後、微小ウェル内に該液体試料が流入するので分配操作が大幅に簡便化される。
また、本発明容器は形態が単純であり製造が容易である。
例えば、一定量の試料の中に微生物がいるかどうかを検査する場合、分配容器を用いて少量ずつに分配して検査することは知られているが、本発明の容器を用いれば、ただ一定量の試料を容器上部に供給するだけという極めてシンプルな操作で速やかに分配することができ、微生物検査に適している。このように本発明の容器は、微生物検査に用いることによりその特徴が大きく生かされる。この本発明の容器の特徴は、微小ウェルの内面の親水性を高めることにより初めて可能となったものである。
本発明は、内表面に親水処理が施された微小ウェルを有する容器の該ウェル上に、水性液体試料を供給するだけで、該液体試料が微小ウェルの上部開放部の上に自然に広がり、上部開放部の上に広がった該液体試料が微小ウェル内に自然に流入することを特徴とする水性液体試料を微小ウェル内に分配するための容器である。
以下図面を挙げて、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
図1は、本発明に係る容器の一形態を示している。
本発明の容器は特に限定されないが、光学的な検出にも用いることができる透明な容器が好ましい。また、容器の材質は、製造面で大量生産が容易な樹脂素材を用いることが好ましいが、ガラス、陶器等を用いることもできる。樹脂素材としては、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が挙げられる。図1では容器の上面図は正方形となっているが、この形に限定されるわけではなく、三角形、長方形、台形、平行四辺形、その他の四角形、5個以上の頂点をもつ多角形であってもよく、また、円形、楕円形、半月形などの辺の一部または全部が曲線である形状であってもよい。容器はその内部に複数の微小ウェルを有している。上面図において微小ウェルの形状が正方形となっているが、この形に限定されるわけではなく、三角形、長方形、台形、平行四辺形、その他の四角形、5個以上の頂点をもつ多角形であってもよく、また、円形、楕円形、半月形などの辺の一部または全部が曲線である形状でもよい。特に水性液体試料を自然分配する場合は、ウェルとウェルの間隔が狭く、ウェルが密接して並んでいるものが好ましく、さらに微小ウェルの形状が四角形であるものが望ましい。すなわち、ウェルとウェルの間隔が広くなると、ウェル上面に供給した液体試料がウェルに分配された後に、ウェルとウェル隔壁の上部にわずかでも試料が残る可能性が高くなるので、隔壁は製造可能な範囲で狭くなるように設計するのが好ましい。また、微小ウェル壁面は容器底面に対して垂直である必要もない。さらに微小ウェル底面は平坦であっても丸みを帯びていてもよいし段差が存在してもよく、ウェル上部は水性液体試料が流入できるように開放されている(微小ウェル上部開放部)。特に水性液体試料を自然分配する場合は、容器に配置された微小ウェルの上部開放部に、水性液体試料が微小ウェルに分配される前に該試料を一次的に保持するための壁を設けたものが好ましい。ここで、微小ウェル上部開放部とは、水性液体試料を流入させるために開放されている部分であって、微小ウェルを区切っている微小ウェル壁面の最頂部から、容器底面と平行に水平方向に広がる平面部分をいう。
微小ウェルの横断面積は、微生物の濃縮効果を考慮するとできるだけ小さいことが望ましい。一方、機器、または目視で判定可能な程度な大きさを保つ必要もある。また、検査する水性液体試料の量は一般に1mL以上であるため、各微小ウェルの合計として一定の容積を確保する必要もある。これらの観点から、微小ウェルの横断面積は10mm2以下で、0.0001mm2〜10mm2が好ましく、さらに、1〜6mm2が好ましく、特に微生物培養用容器として1〜3mm2が好ましい。
微小ウェルの容積を確保するためのもう一つの手段は微小ウェルを深くすることである。微生物は増殖してくると凝集して沈殿するものが多く、実際には微小ウェル全体に均一に微生物が分散しているわけではなく、微小ウェル底部に微生物が凝集してくるものが多い。従って、微小ウェルを深くしても、微小ウェル底面の横断面積が十分小さければ微小空間培養による微生物の濃縮効果はほとんど薄れない。微小ウェルのアスペクト比(穴径と深さの比)は2以上が好ましく、さらに5以上が好ましい。また深さは、容器を作製する上で10mm以下が好ましい。微小ウェルのアスペクト比が大きいもの、すなわち、ウェルの深さがウェルの径に対して大きいと、細菌は試料中で沈んでいることが多いので、細菌が発生する微量の成分を感知する検出方法を採用する場合は、ウェル内の底部にその微量成分が局在することにより、検出速度の短縮に貢献する。
また、容器内に存在する微小ウェルの数に制限はない。容器の大きさが一定の場合には、微小ウェルの断面積が小さくなれば、その分微小ウェルの数を増やすことができる。微小ウェルの数を多くすることで、より広範囲の定量が可能になる。容器内に存在する微小ウェルの数は複数であるが、微生物培養用容器として10個以上が好ましく、特に100〜1000個が広範囲の定量が可能となり望ましい。
微小ウェルを有する容器の製造方法としては、切削加工、真空注型、光造型、真空成型、ブロー成型、圧縮成型、押出成型、吹込成型、発砲成型、スタンピング成型、注型成型、射出成型等が挙げられるが、一般的に用いられる射出成型が好ましい。
本発明の容器は、水との接触角が60°以下である微小ウェルの内表面を有する。ここで内表面は、微小ウェルのみならず容器内の他の内表面をも接触角を60°以下にしてもよい。内表面をこのような接触角を持つものとするには、親水処理をすればよい。親水処理の方法は水性液体試料の接触角が60°以下になる条件であれば、いかなる方法でも良い。好ましい親水処理方法としては、酸素プラズマ処理が挙げられる。酸素プラズマ処理は材料表面を酸化し、カルボニル基、水酸基など極性の原子団を形成することで、親水性を高める処理であり、これにより微小ウェル内表面を伝って水性液体試料が微小ウェル内に入りやすくなる。酸素プラズマ処理は既存の酸素プラズマ照射機により容易に行うことができ、微小なウェルの内部でも均一に親水性を付与することができる。また、微生物培養用容器の場合、さまざまな水性液体試料を用いる必要があるため、内表面と水との接触角は40°以下、さらに10〜40°が望ましい。なお、接触角の測定は、平面である基板表面に液滴を滴下し静止させ、基板表面と液滴の接線とのなす角度を測定する。測定方法は、θ/2法、接線法、カーブフィッティング法が用いられるが、単にプラスチック表面の水に対する接触角を測定する際には、θ/2法が使用される。
なお、酸素プラズマ処理は照射される素材により親水性が十分に付与できない場合があり、また、親水性を付与できてもすぐに親水性が低下してしまう素材もある。酸素プラズマ処理による親水性が安定的に持続する素材としては、ポリスチレンとポリシクロオレフィンを挙げることができる。
また、親水処理は、微小ウェル内表面のみに限らず、容器内表面全体、または容器全体について行ってもよい。
本発明方法において、水性液体試料は界面活性剤を含有するものが好ましい。界面活性剤により水性液体試料の表面張力が抑えられ、微小ウェル内に水性液体試料が入りやすくなる。
界面活性剤は本発明の目的を達成するのに必要な種類、濃度を適宜選択することができる。一般に、界面活性剤の濃度が高い方が微小ウェル内に水性液体試料が入りやすくなる。
界面活性剤としては非イオン性の界面活性剤、イオン性の界面活性剤が挙げられるが、一般に非イオン性の界面活性剤の方が微生物に対する毒性が少ないので好ましい。非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。市販品としては、Tween20、Tween80、TritonX-100等が挙げられる。イオン性の界面活性剤としてはデオキシコール酸等が挙げられるが、微生物の増殖に影響を与えないものであれば用いることができる。
微小ウェル内への水性液体試料の入りやすさは水性液体試料に存在する種々の成分からも影響を受ける。例えば水性液体試料が水であれば、微小ウェルの親水性をある程度上げれば微小ウェル内に容易に水性液体試料が入っていく。しかし、水性液体試料が果汁飲料や乳製品等ように糖質や脂質等の成分が多量に含まれるものの場合には、微小ウェルの親水性を上げても微小ウェル内に液体試料が入っていかない場合がある。しかしながら、微小ウェル内表面を酸素プラズマ処理すると同時に、水性液体試料中に界面活性剤を添加すると、果汁飲料や乳製品のような水性液体試料も微小ウェル内に容易に入れ込むことができる。
さらに、微小ウェルの親水性と水性液体試料中の界面活性剤の濃度を調節しすることで各微小ウェルに容易に水性液体試料を分配することが可能になる。
界面活性剤の濃度は、水性液体試料や、微小ウェルの親水性によって適宜調整すればよいが、例えば、Tween20の場合、0.001〜1%が好ましい。
水性液体試料と微小ウェルの接触角は、各微小ウェルに容易に水性液体試料を分配するための一つの目安となる。この接触角は、微小ウェルの親水性、水性液体試料及びその界面活性剤の濃度により変化するため、これらを調整して、水との接触角を60°以下、特に0〜50°、更に20〜40°とすることが水性液体試料の分配性の点で好ましい。
図2は本発明にかかる培養容器に水性液体試料を導入したときの模式図を示す。
図2容器には、容器に配置された微小ウェルの上部開放部に、水性液体試料が微小ウェルに分配される前に該試料を一次的に保持するための壁が設けられている。
図2−Aは微小ウェル内を酸素プラズマ処理しておらず、水性液体試料に界面活性剤を添加していない場合を示している。水性液体試料は微小ウェル上部開放部の上に広がった状態で維持され、微小ウェル内に水性液体試料が流入してくることはない。
図2−Bは微小ウェル内を酸素プラズマ処理した場合で、水性液体試料を導入したときを示している。図2−Bは全ての微小ウェルの上部開放部の上全体に水性液体試料が広がるのに必要な量の水性液体試料を導入した場合を示しており、この場合、微小ウェル上部開放部の上に広がってから微小ウェル内に流入し始めるので、微小ウェル間で均一な分配が可能になる。
ここで、全ての微小ウェルの上部開放部の上全体に水性液体試料が広がるために必要な水性液体試料の量が、全ての微小ウェルの容積を合計した量よりも多い場合には、全ての微小ウェルに水性液体試料を分配しても、過剰な水性液体試料が微小ウェル上に残存してしまうために、微小ウェル内の溶液を他の微小ウェルの溶液から独立させることができない(図3)。従って、容器横断面全体に水性液体試料が広がるために必要な水性液体試料の量は、全ての微小ウェルの容積を合計した容積と同じか、少なくなるようにすることが望ましい。
本発明の容器を微生物試験に用いる場合、水性液体試料には、微生物を含む全ての水性液体試料が含まれる。水性液体試料は必ずしも微生物を含む必要はなく、微生物を含む可能性があれば足りる。微生物を含む液体であれば後述する測定結果は陽性となり、微生物を含んでいなければ後述する測定結果は陰性となる。水性液体試料は食品分野を例にとると、水、ミネラルウォーター、清涼飲料、果汁飲料、牛乳等の液体食材などに限らず、種々の固形、半固形食材を液体中でホモジナイズしたものや、製造環境中に設置された、空気中の汚染物質を回収、検査するためのエアーサンプラーに捕獲された微生物を液体で抽出したサンプル等も含まれる。また、液体食材をメンブレンでろ過して、メンブレン上にトラップされた微生物を液体を用いて抽出したものも水性液体試料となり得る。
また、水性液体試料はそのまま分配しても良いし、微生物の発育に必要な培地成分を加えてから分配しても良い。さらに、微小ウェル内に予め培地成分を設置しておき、水性液体試料が微小ウェル内に流入すると同時に培地成分と水性液体試料が混合されるような形態でもよい。
更に、微生物がトラップされた固形物にも本発明の方法は適用できる。本発明の容器において、液体培地を分配した微小ウェルの上部開放部に接するように微生物がトラップされたメンブレンを入れることで適用することもできる。
微小ウェルに分配された水性液体試料は、微生物の培養のために、一定時間インキュベートしてもよい。この場合、本発明の容器は微生物培養用容器となる。インキュベートの温度は検査対象となる微生物により異なるため目的により適宜調節される。
微小ウェル内溶液は、微生物の存在で種々の指示薬により検出され得る。指示薬として酸化還元指示薬や、ガスセンサー等が挙げられる。酸化還元指示薬としては、例えば微生物の代謝活性により還元されて蛍光を発するレサズリンや、同様に還元されて発色するWST等が挙げられる。これらの指示薬は水性液体試料に予め添加しておいてもよいし、微小ウェル内に予め設置しておくこともできる。
ガスセンサーとしては微生物の呼吸により減少する酸素濃度を検知する酸素センサーや、微生物の呼吸により増加する二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素センサーが挙げられる。
指示薬の検出は既存の吸光検出器や蛍光検出器等の光学検出器で検出することも可能であるし、指示薬および微小ウェルの形状に適した専用の検出器を適用することでも検出し得る。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:微小ウェルを有するポリスチレン製の容器の作製
(1)微小ウェルを有するポリスチレン製の容器を射出成型で作製した(図4)。この容器は内に1.2mm四方の断面と10mmの高さを有する正四角柱構造の微小ウェルを49個有している。
(2)表面処理による親水性(接触角)の比較
ポリスチレン製の384穴プレート、1536穴プレート、(1)の容器のそれぞれに、親水性ポリマーコート、酸素プラズマ処理の表面処理を施した。酸素プラズマ処理方法は、酸素プラズマ処理装置(ヤマト科学株式会社、PR301)のチャンバーに、処理を施す容器を入れ、チャンバー内を真空にして、酸素を18〜24cc導入した。高周波出力を60〜80Wとして、1分間酸素プラズマ処理を施した。親水性ポリマーコートは、住友ベークライト社 S−BIO(登録商標)Prime Surface(登録商標)を用いた。
それぞれの表面処理による、ポリスチレン表面の水との接触角を測定した結果を表1に示す。
実施例2:断面積の異なるウェルへの表面処理による分配性
分配する培地は、酵母エキス2.5g/L、ペプトン5.0g/L、ブドウ糖1.0g/L、TES0.1M、リン酸緩衝液0.01M、レサズリン0.01mg/mLとして調製をした。また、界面活性剤を含有させた培地は、Tween20を最終濃度が0.05%となるように添加した。
実施例1に記載した容器を用い、界面活性剤を含有しない培地と含有している培地を、ウェルの上部開放部に滴下して、ウェル内部に分配することが可能であるかを確認した結果を表2に示す。
ウェル断面積が大きな384穴ウェルでは、すべての条件で分配することができたが、それより断面積の小さな1536穴プレートでは、親水度の高い酸素プラズマ処理を施したプレートのみに分配することができ、さらに断面積の小さい容器では、界面活性剤が含有された培地を酸素プラズマ処理した容器に滴下した条件でのみ、分配することができた。
実施例3:樹脂表面の水に対する接触角と分配性
実施例1(1)の容器に、酸素プラズマ処理装置(ヤマト科学株式会社、PR301)を用いて、高周波出力20wとして30秒間酸素プラズマ処理を施した(弱めの処理)。樹脂の水に対する接触角が経時的に変化することを利用して、水に対して異なる接触角を有する容器を作製した。接触角の測定は、接触角計(Model G-1-1000、エルマ販売株式会社)を使用して、θ/2法により3重測定を実施して、その平均値を算出した。
次に、得られた異なる接触角を有する容器への分配性について評価した。分配する培地として酵母エキス2.5g/L、ペプトン5.0g/L、ブドウ糖1.0g/L、TES0.1M、リン酸緩衝液0.01M、レサズリン0.01mg/mL、Tween20を最終濃度0.05%となるように調製したものを用いた。
接触角と分配性の結果を表3に示す。接触角が53.0°以下の表面状態では、溶液の各ウェルへの分配が行うことができることを確認した。
実施例4:水性液体試料の微小ウェルへの分配性
実施例1(1)の容器を用いて、水性液体試料の分配性を評価した。
容器は未処理と酸素プラズマ処理のものを用意した。
界面活性剤の添加はTween20を最終濃度0.05%になるようにして水性液体試料に添加した。
水性液体試料の分配性に対する容器の酸素プラズマ処理、および試料への界面活性剤の添加の効果を調べた結果を表4に示す。
酸素プラズマ処理と界面活性剤の添加を組み合わせることで、今回試験した全ての水性液体試料で微小ウェルへの分配が可能であることが確認できた。
また、各微小ウェルへの水性液体試料の分配の均一性については、分配が可能であった全ての条件で均一な分配が可能であった。これは水性液体試料を容器に導入しても、水性液体試料がすぐに微小ウェル内に入り込むのではなく、全ての水性液体試料が微小ウェルの上方開放部上の容器横断面全体に広がった後、微小ウェル内への水性液体試料の移動が始まるためである。
酸素プラズマ処理を行った直後の容器を用いると、容器内に導入された水性液体試料は即座に微小ウェル内に入り込んでしまうために、全ての水性液体試料が微小ウェルの上方開放部上の容器横断面全体に広がるための猶予時間がなく、微小ウェル間で均一な分配を行うのは困難であった。しかし、本実施例で示すように、酸素プラズマ処理後一定期間放置すると親水性がある程度低下した状態で安定し、均一な分配を実現するのに適した条件となることが確認できた。
実施例5:実施例1(1)の容器を用いた、カビを含む水性液体試料の培養結果
分配する培地は、4.0g/Lポテトエキス、20.0g/Lブドウ糖、0.1M TES(pH6.2)、0.05%Tween20、レサズリン0.01mg/mLとして調製をした。
培地と胞子液(A.nigerATCC16404)を混合して、その溶液を実施例1(1)の容器の上部開放部へ導入し、各ウェルへ分配させた後、蛍光プレートリーダーを使用して蛍光強度を経時的に測定した。また、96穴プレートを用いて300μLの上記培地中で同様に試験を行い比較例とした。測定結果を図5に示す。図5の結果から10000RFUに達する時間を検出時間とし、その結果を表5に示す。
表5の結果から、実施例1(1)の容器を用いることで、容易に微小ウェルに溶液を分配することが可能であり、A.nigerの検出時間も12時間の短縮が可能であった。
実施例6:実施例1(1)の容器を用いた、大腸菌を含む水性液体試料の培養結果
分配する培地は、2.5g/L酵母エキス、5.0g/Lペプトン、1.0g/Lブドウ糖、0.05%Tween20、レサズリン0.01mg/mLとして調製をした。
培地と大腸菌(Eshcherichia coli ATCC8739)を混合して、その溶液を実施例1(1)の容器の上部開放部へ導入し、各ウェルへ分配させた後、蛍光プレートリーダーを使用して蛍光強度を経時的に測定した。また、96穴プレートを用いて300μLの上記培地中で同様に試験を行い比較例とした。測定結果を図6に示す。図6の結果から10000RFUに達する時間を検出時間とし、その結果を表6に示す。
表6の結果から、実施例1(1)の容器を用いることで、容易に微小ウェルに溶液を分配することが可能であり、大腸菌の検出時間も2.7時間の短縮が可能であった。
実施例7:実施例1(1)の容器を用いた、微生物(カビ)を含むメンブレンの培養結果
実施例2と同様の培地をウェルの上部開放部に滴下して、各ウェルに分配させた。胞子液(A.nigerATCC16404)をろ過して、メンブレンフィルター上に胞子を回収した。そのメンブレンフィルターを培地で満たされたウェル上に乗せて、蛍光プレートリーダーを使用して蛍光強度を経時的に測定した(MF使用)。また、実施例4と同様に胞子液を同培地に混合したものの試験を行い比較例(MF未使用)とした。測定結果を図7に示す。図7の結果から15000RFUに達する時間を検出時間とし、その結果を表7に示す。
表7の結果から、実施例1(1)の容器を用いることで、水性液体試料中の微生物だけではなく、メンブレンフィルター上の微生物も同等の検出時間で検出することができた。
本発明に係る容器の形状の1例を示した上面図と側面図である。 酸素プラズマ処理を施していない本発明に係る容器に、界面活性剤を添加していない水性液体試料を導入したときの側面図である。 微小ウェル内表面が親水性である本発明に係る容器に、界面活性剤を添加した水性液体試料を導入したときの側面図を模式的に示した図である。 全ての微小ウェルの上部開放部の上全体に水性液体試料が広がるために必要な水性液体試料の量が、全ての微小ウェルの容積を合計した量よりも多い場合を模式的に示した側面図である。 実施例1で使用した本発明に係る容器の形状を示した上面図と側面図である。 実施例1の容器を用いた、微生物(カビ)を含む水性液体試料の培養結果を示す図である。 実施例1の容器を用いた、微生物(大腸菌)を含む水性液体試料の培養結果を示す図である。 実施例1の容器を用いた、微生物(カビ)を含むメンブレンの培養結果を示す図である。

Claims (13)

  1. 断面積10mm2以下の微小ウェルを複数個と、当該微小ウェルの上部開放部に、当該微小ウェルに分配される前の水性液体試料を一次的に保持するための壁とを有し、当該微小ウェルの内表面の水との接触角が60°以下となるように当該内表面に親水処理が施されていることを特徴とする、水性液体試料を微小ウェル内に分配するための容器。
  2. 接触角が53°以下である請求項1記載の容器。
  3. 内表面が酸素プラズマ処理されたものである請求項1又は2記載の容器。
  4. 分配手段が、自然分配である請求項1〜3の何れか1項記載の容器。
  5. 微生物培養用容器である請求項1〜4の何れか1項記載の容器。
  6. 容器の材質が樹脂である請求項1〜5の何れか1項記載の容器。
  7. 容器の材質がポリスチレン又はポリシクロオレフィンである1〜6の何れか1項記載の容器。
  8. 請求項1〜7の何れか1項記載の容器に、水性液体試料を供給することを特徴とする、水性液体試料を微小ウェル内に分配する方法。
  9. 水性液体試料が、界面活性剤を含有するものである請求項8記載の方法。
  10. 界面活性剤が非イオン性の界面活性剤である請求項9記載の方法。
  11. 請求項1〜7の何れか1記載の容器に、被検水性液体試料を供給して該試料を微小ウェル内に分配し、次いで培養することを特徴とする、被検水性液体試料中の微生物の検出方法。
  12. 微小ウェルの上部開放部の上全体に水性液体試料が広がるように水性液体試料を供給することを特徴とする請求項8記載の方法。
  13. 微小ウェルの上部開放部の上全体に水性液体試料が広がるように水性液体試料を供給することを特徴とする請求項11記載の方法。
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