JP4974606B2 - 音響信号機 - Google Patents
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Description
例えば、上面に点字等の情報伝達用突起部を備えたブロック列の一部に透明体を介して複数個の発光体を点灯および消灯自在にして埋設し、ブロック上面の点状または線状等の情報伝達突起を、視覚障害歩行者等が踏みつけることで、自己が立っている位置を知ることを可能とし、また、弱視覚障害歩行者等に対しては、ブロックに埋設された発光体からの光を受けることで、進んで行く通路や階段などの変化地帯等を確認できるようにしている。(例えば、特許文献2参照)
そこで、より確実な対岸への誘導システムとして、近時開発・実用化された超指向性スピーカシステムによる音の聴覚と、ブロックの触覚とによる2つの感覚を使って判断できる誘導システムも提案されている。例えば、線状の情報伝達用の突起部を有するブロックに組み込んだ超指向性スピーカと、点状の情報伝達用の突起部を有するブロックの複数の中央部に組み込んだ超指向性スピーカに、ブロックの下部にある配線用溝内に配線された地中配線を介して供給される駆動信号により、ブロック上方へ音または音声を放射するよう構成したものも提案されている。(例えば、特許文献3参照)
ここでスピーカの取り付け角度すなわち俯角とは、路面に対して所定の高さにこの路面との平行線を引いたとき、この平行線より適宜路面に向けた角度を指す。またこの俯角は、一般に音軸が道路の中央面で交差するよう設定され、道路の対岸との距離、取り付け高さに応じて決定されている。
このような周知のスピーカは、視覚障害歩行者によれば、手前あるいは対岸のスピーカのどちらが鳴っているのか分かりにくい、聞き分けにくいとの証言報告がある。そこで、従来の音響信号機ではそのひとつの解決策として、対岸のそれぞれに設置された一対のスピーカを交互に鳴動させたいわゆる「鳴き交わし方式」を採用することで、少なくともどちらのスピーカが鳴っているかを解決しようとしている。
とは言え、周知のスピーカはもともと、大勢の人に音声で情報を伝達するために開発されたものであり、音響指向角が広く音は拡散放射され、音の到達方向がわかりにくいという特性は拭いきれず、横断歩道上の安全誘導には視覚障害歩行者にとってはこれでも不十分であった。また、このような特性から周知のスピーカでは、音が横断歩道上以外にも広がり周辺環境にとっては騒音となる問題があり、ある程度スピーカの音圧を制限しなければならなかった。その結果、従来の聴覚を利用したこの種の横断歩道・対岸誘導システムを備えた信号機では、近隣住民に与える騒音問題で多くのシステムが本来の目的に沿うよう動作されておらず、有効に機能していないという課題があった。
一方、視覚障害歩行者は渡り始めても対岸への方向を見失いやすく、横断中に立ち止まったり、進行方向の修正を繰り返したり、最悪の場合にはあらぬ方向へ進むこともあり得る。
その結果、視覚障害歩行者を安全且つより確実に対岸へ誘導するためには、視覚障害歩行者が(1)より正確な方向を認識するよう情報を確実に伝達すること、(2)渡りきる横断時間をできるだけ短くすること、が重要になる。このことは、横断中の蛇行をいかに防ぐか、あるいは減少させるかが、この種の横断歩道・対岸誘導システムを備えた信号機にとって重要な課題であることを意味する。
いずれにしても、周知のスピーカによるこれらの方法はすでに述べたように、もともと大勢の人に音声で情報を伝達するために開発された手段を用いるものであり、且つこの手段が音を広く拡散放射し、俯角を小さくして対岸に向けて音を照射したほうが効果的であるがゆえに、音の方向がわかりにくいという特性は拭いきれず、信号機の存在の情報を伝達することはできても進行方向の情報を正確に伝達するには不十分であった。
その結果、この従来の方法は聴覚障害者にとって重要な蛇行を防ぎ正確な対岸方向へと誘導し、且つ横断時間を短くするには依然として不十分であった。
すなわち横断歩道を渡るとき歩行者は、信号機が青になって音の鳴る方向の対岸のスピーカに向かって歩き始める。このとき、視覚障害歩行者はスタート位置で体の向きが横断歩道に対して平行でなかった場合、超指向性スピーカが周知のスピーカに比べてスピーカの位置を同定しやすいものの、歩行の変位(蛇行)を生じてしまう。したがって、視覚障害歩行者がより正確な方向を認識するよう情報を確実に伝達する方法・歩行の変位(蛇行)を少なくするためには、例え指向性が鋭く、対岸のスピーカの位置が定位できても、スタート位置での体の向きが歩行の軌跡に重大な影響を及ぼす。このことは、視覚障害歩行者の体の向きが横断歩道に対して平行であるよう矯正することが重要であることを意味する。その結果、スタート位置での音の聴取は、横断歩道用の信号機の存在を視覚障害歩行者に知らせ、体の向きを歩道に沿って直進するよう正してゆくために重要である。
特に「暗騒音」が大きい場合、横断歩道を挟んで対岸に一対の超指向性スピーカを配置したとき、この超指向性スピーカの真下のスタート位置のみならず、ゴール付近でも、指向性が鋭いがゆえにまた、俯角を小さくした場合には音が小さく、聞きにくくなる傾向にある。このため、前の音が鳴っている方向は分かりやすいものの、より安全で確実な歩行の変位(蛇行)防止と渡りきる時間の短縮は解決しきっていない。これは指向性の鋭いスピーカを適応したとき固有の何らかの補強手段が特に、スタート位置やゴール位置付近での歩行誘導に必要であるとのもうひとつの課題になった。
またこの発明の横断歩道・対岸誘導システムを備えた音響信号機によれば、音が横断歩道上以外にも広がることによる近隣住民に与える騒音問題に対し、超指向性スピーカシステムを主体として構成することにより解決し、周囲の騒音問題を極力押さえつつ信号機本来の目的に沿うよう有効に機能することが可能となる。
加えてこの発明によれば、上述のような課題を一切視覚によらず聴覚あるいは触覚との組み合わせにより解決すべく、主に超指向性スピーカの有する音響特性に着目して成されたものであって、周知の動電変換を原理とした電気音響変換方式の周知のスピーカあるいは触覚ブロックを適宜補助として組合せることにより、視覚障害歩行者にとってより安全・確実な歩行誘導を実現した横断歩道・対岸誘導システムを備える音響信号機を提供することができる。
図1はこの発明の実施形態1に係る横断歩道・対岸誘導システムおける超指向性スピーカシステム主要部の概略構成を示すブロック図である。図に示すように、この超指向性スピーカシステムは、音源1、切替器2、後述の変調器3、増幅器4、放射器5と、制御器6、可聴信号用増幅器7、電気音響変換方式の周知のオーディオ用スピーカ8を備える。音源1は歩行者用信号が青色を表示している間のみ可聴信号を出力する。切替器2は、制御器6からの制御により、後述するように音源からの可聴信号を変調器3に出力するか、可聴信号用増幅器7に出力するか、変調器3及び可聴信号用増幅器7の両方に出力するかを適宜選択的に切替える。変調器3は、超音波帯域に属する搬送波を上記切替器2より与えられた音源1の可聴信号によって変調する。増幅器4は、変調器3から出力されるこの変調信号を増幅する。放射器5は、増幅器4から出力される超音波信号を空気中に放射するいわゆるパラメトリックスピーカで、指向性の鋭い超音波ビームを放射する。一方、可聴信号用増幅器7からの可聴信号の出力は、周知のスピーカ8より音になって拡声される。
上記変調器3、増幅器4及び放射器5に至る構成は、可聴音を直線性の高い超音波に変換し、狙った方向に鋭い超音波ビームを放射するパラメトリックスピーカおよびその駆動部を構成している。
したがって、従来のスピーカはいわば裸電球の光のように、背面を含む広いエリアに音場を形成するので、エリアをコントロールすることが出来ないのに対し、この発明で使用するパラメトリックスピーカは、あたかもスポットライトのように聞こえるエリアを限定(設定)することが可能となる。
このとき、このパラメトリックスピーカを駆動するためには、可聴信号を取り出して、その信号の大小に応じて超音波を放射する変調器が必要となる。この場合、従来は変調のプロセスをアナログ回路で実現していたが、近時、信号が忠実に抽出できること、また細かな調整が容易に行えることから、このプロセスをデジタル処理する包絡変調器が開発されてきている。この発明の変調器3は、これを用いる。
図2は、道路幅が比較的狭い場合におけるこの発明の実施の形態1に係る横断歩道・対岸誘導システムを備えた音響信号機を示す図であって、音響信号機が横断歩道の一方の端にのみ設けられた例を示している。
ここで、図3はこの発明の実施の形態1に係る音響信号機が適用された横断歩道を横から見た図を示し、図4は図3の横断歩道を上から見た場合を示し、図5は道路幅が図3よりも広いとき(放射器5の取付け角度すなわち俯角が小さくなったとき)のこの発明の音響信号機が適用された横断歩道を横から見た場合を示している。
横断歩道を渡り始めた視覚障害歩行者11は、図4に示すように横断歩道の対岸方向から外れ進行方向が変位したとき(B点)、同時に可聴範囲12からも外れるため、放射器5から強い指向性を持って伝達されてきている音が聞こえなくなり、横断歩道から外れたことを認識する。
横断歩道対岸(D点)方向からスタートした視覚障害歩行者11は、この図2では後方より音を聞くことになるが、指向性の鋭い音を聞くことによって同様に横断歩道を渡ることが可能となる。この図2〜3に示す実施の形態1では、人の習性に着目し、このことにより超指向性の音と相俟って視覚障害歩行者11を横断歩道の対岸まで誘導し、比較的簡便な小規模の対岸誘導システムを備えた音響信号機で構成している。したがって、この場合は道路幅のごく狭いときに適応する。
しかしそれでも放射器5の下側付近の聞こえ難い場所がごく狭い場合すなわち、横断歩道の対岸のゴール近くであるならば、このエリアに向けてごく低音圧レベルの音を周知の電気音響変換方式を採用した小型スピーカ(図示せず)で補うことも可能である。このことは、狭い場所への拡声であるため、小音量で周囲への騒音とはならず、且つ低価格でシステムの実現が可能となる。
図6はこの発明の実施の形態2に係り、図2の場合よりも例えば4車線の道路幅を有するような比較的広い横断歩道の場合における対岸誘導システムを備えた音響信号機を示す図であって、視覚障害歩行者11を対岸までより安全・確実に誘導すべく、横断歩道・対岸誘導システムおける超指向性スピーカシステムを構成している。この音響信号機では図6に示すように、同じ構成の超指向性スピーカシステムを横断歩道の両岸に相対向するよう配置して構成している。
この図7に示すように、第2放射器13と対岸第2放射器13’は、第2可聴範囲14と、対岸第2可聴範囲14’を放射器5と対岸放射器5’のそれぞれ下側付近に形成し、すでに図5で述べた周知のスピーカ(図示せず)による補助よりも、一段と正確に視覚障害歩行者11を進行方向へと誘導する。さらに図6に示すようにここでは、周知のスピーカ8と対岸スピーカ8’が、視覚障害歩行者11以外の歩行者用に供されるために、横断歩道の両岸にそれぞれ設けられている。また、横断歩道の両端いいかえれば横断歩行者の足下に、周知の点字ブロックなどで構成される一対の触覚ブロック15、対岸第2触覚ブロック15’が設けられ、視覚障害歩行者11に対する触覚手段を構成している。
その結果、横断中の蛇行防止と渡りきる時間の短縮に重要なスタート位置での音の聴取と、体の向きを歩道に沿って直進するよう正すことが可能となり、横断歩道用の信号機の存在を視覚障害歩行者11に確実に知らせるとともに、正確な進行方向への誘導を可能にしている。
以上のようにして視覚障害歩行者11は、指向性の鋭い音響信号により蛇行することなく最後まで横断歩道を渡りきることが可能となる。
Claims (3)
- 歩行者用信号が青色を表示していることを知らせる音源と、
音源から出力される音声信号によって超音波帯域に属する搬送波を変調する変調器と、
変調器からの変調信号を超音波として放出し、この超音波から空気を介して超指向性の可聴音を生成する第1の放射器と
を有する超指向性スピーカシステムを備えた横断歩道・対岸誘導手段であって、
前記音源から出力される音声信号によって鳴動するスピーカと、
前記変調器もしくはスピーカへ前記音源から出力される音声信号を選択的に切替えて供給する切替器と、
該切替器を予め設定した時間または周囲騒音レベルに応じて選択切り替え制御する制御器と、
を設けた横断歩道・対岸誘導手段を備えて成る
ことを特徴とした音響信号機。 - 歩行者用信号が青色を表示していることを知らせる音源と、
音源から出力される音声信号によって超音波帯域に属する搬送波を変調する変調器と、
前記変調器からの変調信号を超音波として放出し、この超音波から空気を介して超指向性の可聴音を生成する第1の放射器と、
前記超指向性の可聴音を生成する第1の放射器の取り付け角度とは異なる角度で取り付けられた第2の放射器と
を有する超指向性スピーカシステムを備えた横断歩道・対岸誘導手段であって、
前記音源から出力される音声信号によって鳴動するスピーカと、
前記第1の放射器、前記第2の放射器、前記スピーカのうち少なくともいずれかひとつに対して前記音源から出力される音声信号を選択的に切替えて供給する切替器と、
該切替器を予め設定した時間または周囲騒音レベルに応じて選択切り替え制御する制御器と、
を設けた横断歩道・対岸誘導手段を備えて成る
ことを特徴とした音響信号機。 - 横断歩道の対岸に向かって横断歩道と平行となる位置を識別可能とする目印を有する少なくとも横断歩道の端に設けられて成る触覚手段を有する横断歩道・対岸誘導手段を備えて成る
ことを特徴とした請求項1記載の音響信号機。
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