JP4974014B2 - 繊維製自動車足元マット - Google Patents
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Description
雄型面ファスナーは、足元マットのズレ移動防止のため裏材とし使用されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、従来裏材に使用されている樹脂シートや不織布は重く、自動車の軽量化には不向きである。
そして、足元マットの取扱い過程で、着用しているニット製品に足元マットの裏面が触れると、その溶融塊によって着用しているニット製品の編目が引っ掻き出されてダメージを受ける。
本発明の第2の目的は、足元マット裏面の突起を短く細かく均等に突出させることによって変形し難く押し倒され難くすることにある。
本発明の第3の目的は、足元マット裏面の突起を極短くすることによって突起間に繊維屑が蓄積し難くすることにある。
本発明の第4の目的は、足元マット裏面の突起を引き抜きし難くすることにある。
本発明の第5の目的は、足元マット裏面の突起を極短くすることによって繊維床材に置敷しても容易に剥離し得るようにすることにある。
従って、パイル片18の長さhが2mm未満であっても、足元マットの裏面が均等にざらついており、足元マットを繊維床材の上に置敷使用するとき、パイル片18が繊維床材表面に引っ掛かり、繊維床材の上でのズレ移動が回避される。
そのため、その膨脹部21がキノコ形雄型面ファスナーのフックのように繊維床材の表面繊維に絡み付くことがない。
従って、置敷した足元マットを取り外そうとする場合には繊維床材から剥離し易く、その際、パイル片18の膨脹部21が繊維床材の表面繊維に絡まって繊維床材表面が毛羽立ったり、繊維床材表面にピリングが生じることもなくなる。
又、膨脹部21がキノコ形雄型面ファスナーのフックのように繊維に絡み付く強い係合力を有さず、パイル片の長さhが2mm未満で極短いことから足元マットの裏面に繊維屑に絡み付いて繊維屑蓄積層が形成されることはなく、又、パイル片の長さhが2mm未満で極短いことから膨脹部21が繊維屑蓄積層に埋没して足元マットの裏面のざらつきがなくなることはなく、そのざらつきによるズレ移動防止機能が損なわれるようなことは起こらず、そのズレ移動防止機能が長期にわたって維持される。
加えて、パイル片は、パイル長hが2mm未満であり、押圧荷重が作用しても座屈し難いことからしても、繊維床材表面に引っ掛かり易く、パイル片18が繊維床材表面に引っ掛かって係止され、その結果、足元マットが繊維床材表面でズレ移動し難くなる。
そして、不織布が極薄手であれば、接着剤の塗着量が僅かであっても不織布全体に滲み込みわたって遮水機能を発揮し、又、不織布が極薄手で接着剤の塗着量が僅かであれば、接着層23によって足元マットの可撓性が損なわれず、繊維床材の起伏に馴染み易く、繊維床材の起伏に合わせて置敷使用し易い軽量化された遮水性足元マットが得られる。
そして、パイル経編地13の目付けを100g/m2 以下にし、接着層23の目付けを200g/m2 以下にすることによって、足元マットを可撓で繊維床材の起伏に馴染み易くし、大きく軽量化することが出来る。
カーペット地11の裏面には、ラテックス樹脂エマルジョンを塗布して目止めを行い、パイル24と基布25や糸条間を接着固定しておくとよい。
パイル経編地13は、そのようにカーペット地11に貼り合わせた不織布の上に接着剤を塗布して貼り合わせるとよい。
そうすると、接着剤がパイル経編地13を透過して滲み出さず、従って、パイル経編地13が目付け50g/m2 前後のポーラスな極薄布帛であっても綺麗に貼り合わせることが出来る。
そして、そのパイル経編地13を貼り合わせるために塗布した接着剤の皮膜によって、接着層23の蔽水性が高まる。
パイル糸条14は、その編成過程において、表裏2枚のパイル経編地のベース経編地を連結する連結糸として編み込まれる。
その表裏のベース経編地の間でパイル糸条(連結糸)が移動する間のコースの数を複数コースとすることによって、そのコース数に応じて複数コース17a・17b・17cにわたって連続する複数個のニードルループ16a・16b・16cを形成することが出来る。表裏のベース経編地の間で移動するパイル糸条(連結糸)を2本1番(つがい)とせず1本とする場合、その1本のパイル糸条が表裏何れか一方でニードルループを形成するときは、他方のベース経編地にはニードルループを形成することがない。
そのため、表裏双方のパイル経編地には、パイル糸条によるニードルループ16のあるコース17とパイル片の形成されない無パイルコース26が飛び飛びに形成される。
その結果、パイル片18が飛び飛びに形成され、パイル片18が繊維床材の表面繊維に押し込まれ易くなり、又、パイル片18aとパイル片18cの間に繊維屑等が絡まり付き難くなる。パイル片18の分布密度は、4〜100本/cm2 に、好ましくは25〜60本/cm2 にする。
即ち、パイル片18の先端が熱収縮しつつ溶融し、雄型面ファスナーのフックの先端部分のようにキノコ形溶融塊を形成せず、図3に図示するように膨脹部21と根元部分22の境目の根元部分側で窪み、曲率中心が膨脹部21の外部側から内部側に入れ代わって膨出し、境目の根元部分側の窪んだ凹部31から、曲率中心の入れ代わる変曲点32を通って膨出した凸部33へとS字形断面を形成して続き、円柱形を成す膨脹部21の柱面34へと続き、頂部35が球面形状を成すように、パイル片18の先端が溶融することなく軟化して熱収縮し、概して膨脹部21の太さaが根元部分22の太さbの1.2倍〜3倍となり、膨脹部21の長さcが膨脹部21の太さaよりも長く概して膨脹部21の太さaの1.2倍〜3倍となり、概して楕円形断面形状の膨脹部21が生成されるようにする。
因みに、市販の雄型面ファスナーのJIS−L−3416(2000;7.4.2)に規定される雌型面ファスナーとの剥離強さを測定してみたところ1.4N/cm前後であった。
具体的に言えば、根元部分22から膨脹部21までのパイル片18のパイル長hを0.3mm以上で概して0.8mm前後(0.5〜1.1mm)にするとよく、そのようにパイル長hを極短くすると、パイル片18が押し倒されず、ズレ移動防止機能が長期にわたって維持される。
これらの点を考慮し、パイル糸条の単繊維繊度を150dtex〜300dtexに、概して200dtex前後(170dtex〜230dtex)にすることが望ましい。
22ゲージ6枚筬ダブルラッシェル経編機において、繊度84dtex/24fのポリエステルマルチフィラメント糸を地糸と挿入糸に使用し、繊度175dtexのナイロンモノフィラメント糸をパイル糸に使用して編成されたダブルラッシェル経編地をセンターカットしたパイル長3mm、ウェール間隔24/25.4mm、コース間隔40/25.4mm、パイル片分布密度38本/cm2 のパイル経編地原反のパイル面を加熱し、パイル片の先端を熱収縮させて膨脹部を形成し、パイル片のベース経編地からの突出長さ(h)が0.3mmのパイル経編地を、ホットメルトパウダー接着剤(熱融着性樹脂粉末)を散布積層して加熱溶融させたタフテッドカーペットの裏面に貼り合わせ、繊維製自動車足元マットを得た。
実施例で得られた繊維製自動車足元マットを裁断して縦横寸法60mm×50mmの試験片36を採取し、縦横寸法60mm×60mmの鋼板37にパイル経編地のパイル面を表向きにして両面粘着材を介して貼り合わせ、引張試験機の下部クランプ38に鋼板37を載せて固定した。
試験片36と同様に、雌型面ファスナーを裁断して縦横寸法60mm×50mmの試験片39を採取し、縦横寸法60mm×60mmの鋼板40に雌型面ファスナーの雌型フック面を表向きにして両面粘着材を介して貼り合わせ、試験片39の雌型フック面を下向きにして引張試験機の上部クランプに紐を介して鋼板40を吊り降ろした。
引張試験機において、足元マットの試験片36のパイル面と雌型面ファスナーの試験片39の雌型フック面を重ね合わせて圧着し、上部クランプを300mm/minの速度で上昇させ、重ね合わせた足元マットの試験片36のパイル面と雌型面ファスナーの試験片39の雌型フック面との剥離時の面接合強度を測定したところ、その面接合強度は1.27Nであった。
実施例で得られた繊維製自動車足元マットを裁断して縦横寸法290mm×210mmの試験片を採取し、タフテッドカーペットのパイル面を上向きにしてニードルパンチフエルトカーペットの上に載置し、その試験片の中央部に質量が8kgであり底面縦横寸法が200mm×100mmの金属板を載置し、試験片を寸法290mmの長さ方向に、試験片に接合したケブラー紐を介して水平に引っ張って200mm移動させ、その移動過程における最大引張荷重を測定したところ371.2Nであった。
12:パイル
13:パイル経編地
14:パイル糸条
15:地糸
16:ニードルループ
17:コース
18:パイル片
19:地糸のニードルループ
20:パイル糸のニードルループ部分
21:膨脹部
22:パイル片の根元部分
23:接着層
24:パイル
25:基布
26:無パイルコース
27:挿入糸
31:凹部
32:変曲点
33:凸部
34:柱面
35:頂部
36:試験片
37:鋼板
38:クランプ
39:試験片
40:鋼板
Claims (6)
- (イ) カーペット地(11)の裏側にパイル(12)を外向きにしてパイル経編地(13)を接着材を介して貼り合わせて構成され、
(ロ) そのパイル(12)が単繊維繊度50dtex〜1000dtexの熱可塑性合成繊維パイル糸条で構成されるカットパイルであり、
(ハ) そのパイル糸条(14)がパイル経編地(13)のベース経編地を構成する地糸(15)と一体になったニードルループ(16)を形成しており、
(ニ) そのパイル(12)のベース経編地から突出した長さ(h)が2mm未満であり、
(ホ) パイル糸条の端末として形成されるカットパイル片(18)の先端が、その熱可塑性合成繊維の融点以下の温度で加熱されて熱収縮し、パイル糸条のニードルループ(16)を形成している部分(20)よりも太くなった膨脹部(21)を形成しており、
(ヘ) その膨脹部(21)からニードルループ(16)に続くパイル片(18)の根元部分(22)において、パイル片(18)の太さが急激に変化した段差をつくることなくなだらかに変化している繊維製自動車足元マット。 - (ト) パイル糸条(14)がパイル経編地(13)の複数コース(17a・17b・17c)にわたって連続する複数個のニードルループ(16a・16b・16c)を形成しており、
(チ) その複数コースにわたって連続する複数個のニードルループ(16a・16b・16c)を形成しているパイル糸条(14)の両端が、地糸(15)の形成する異なるニードルループ(19a・19c)から突出したパイル片(18a・18c)を形成しており、その両端の構成する2つのパイル片(18a)とパイル片(18c)の間が離れている前掲請求項1に記載の繊維製自動車足元マット。 - (リ) パイル経編地(13)の目付けが300g/m2 以下であり、
(ヌ) パイル経編地(13)とカーペット地(11)の間に介在する接着材による接着層(23)の目付けが400g/m2 以下である前掲請求項1と請求項2の何れかに記載の繊維製自動車足元マット。 - (ル) 接着層(23)が、不織布と、その不織布の表裏に塗着している接着剤とによって構成されており、
(オ) 不織布の表裏に塗着している接着剤が、それぞれカーペット地(11)とパイル経編地(13)に塗着している前掲請求項1と請求項2と請求項3の何れかに記載の繊維製自動車足元マット。 - (ワ) 接着層(23)に介在する不織布の目付けが40g/m2 以下である前掲請求項4に記載の繊維製自動車足元マット。
- (カ) パイル糸条(14)がモノフィラメント糸であり、
(ヨ) パイル経編地(13)の目付けが150g/m2 以下であり、
(タ) 接着層(23)の目付けが200g/m2 以下である前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5の何れかに記載の繊維製自動車足元マット。
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