JP4973827B2 - 楕円振動切削加工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被削物を工具によって切削する切削加工方法に関する。特に、加工精度を向上させ、表面粗さを減少させ、難削材をも切削加工できるような振動切削技術に関する。
【0002】
初めに用語を定義する。切削の対象を被削物と言う。切削する刃物を工具と呼ぶ。被削物のうち切り起こされた部分を切屑と言う。被削材に接触して被削材の表面を削り取る工具(バイト)の進行方向を切削方向(Principal direction;Cutting Direction)と言う。工具の切削方向に向き切屑に接触する面をすくい面(rake face)と言う。
【0003】
仕上げ面と垂直な方向を基準としてすくい面がなす角度をすくい角(rake angle)と言う。すくい角は正負両方の場合がある。直角方向から後方に倒れた方を正と定義する。正のすくい角は鋭利に、負のすくい角は鈍磨な感じを与える。工具の下面であって新たに露呈した被削物面(仕上げ面)に対向する面を逃げ面(relief face)と言う。逃げ面が切削方向となす角度を逃げ角(relief angle)と言う。逃げ面が仕上げ面に干渉しないようにするため、逃げ角は常に正である。
【0004】
説明の便宜のために座標と力を定義する。切削方向をx方向にとる。切削方向に工具が被削材に及ぼす力、あるいは被削物が工具に−x方向に及ぼす力を主分力(Principal force)Pと言う。切削方向に直交する2方向のうち刃先の伸びる方向を送り方向(Feed direction)と言う。これをy方向にとる。被削物が工具に送り方向(y方向)に及ぼす力を送り分力(Feed force)Nと言う。
【0005】
x方向への1回の切削が終ると刃先方向へ被削材を送って新たな面を切削するようにするから送り方向(feed direction)と言う。ただし1回の切削のみで終了し送り運動が不要な場合にもこれを送り方向ということにする。
切り屑は刃先から工具のすくい面を上方へ伝って上がる。上方に向かう方向すなわち仕上げ面に垂直な方向を背分力方向(Thrust direction)と言う。これはz方向とする。工具にかかるz方向の力を背分力(Thrust force)Tと言う。これは主に切屑との摩擦(接触)によって生ずる力である。
【0006】
工具のx、y、z方向の絶対速度をu、v、wとする。被削物のx方向の速度は−Uである。本発明においては楕円振動を工具と被削材のいずれに与えてもよいが、ここでは工具を振動させるものとして説明するので座標の原点は被削物に設けるべきである。しかし被削物自体も動くので静止した原点を与えにくい。そこで空間に準拠した静止座標系Oを想定する。原点Oは、刃先の移動範囲の中心近傍に決める。被削物の動きはこの座標系Oで−Uだということになる。
【0007】
被削物に準拠した座標をO’系とすると、O’系でのx’、y’、z’は、静止系Oでのx、y、zに対して、x’=x+Ut、y’=y、z’=z,u’=u+U、v’=v,w’=wである。O’はOに対して−U(平均切削速度)の一定速度でx方向に移動するガリレイ変換系である。
【0008】
以後はおもに静止座標系での表現を採用するがx方向についてのみは一定切削速度Uの存在を明確にするためO’系でのu’を付記する場合もある。
工具の面について、すくい面がyz面に平行ならすくい角は0である。yz面から後方に向かう傾き角がすくい角αである。逃げ面のxy面からの傾斜角が逃げ角βである。工具刃先はy軸に平行な線である。工具先端の頂角γはγ=90゜−α−βである。
【0009】
【従来の技術】
[1.通常切削]
通常の切削では、工具刃先を静止した被削物面(xy面)に当て−z方向の力(背分力T;Thrust force)とx方向の力(主分力P;Principal force)を加えながら、x方向へ一定速度Uで直線的に移動させる。あるいは工具を静止させて被削物を−x方向へ速度−Uで移動させる。すくい面がx方向に推移するから被削物表面を工具幅あるいは被削物幅hだけ切り取り、これを掬い上げる。切屑はすくい面に沿ってz方向に這い上ってゆく。被削物の切り取り厚さをk(切屑厚さでない)とする。単位時間にkhUの体積の切屑が発生する。
【0010】
通常切削では一定速度で工具をx方向へ移動させるだけであるから切削速度は常に一定でUである。正常な場合は、主分力P、背分力Tともに一定である。工具すくい面は常に切屑に接触している。刃先は被削材の分岐に接触している。刃先が切削方向に垂直な2次元切削の場合には、送り分力Nは0である(刃を斜めに使う傾斜切削時には0にならないが一定)。つまり通常切削というのは、工具の位置が不変、力も不変だということである。工具刃先の中心の座標を(x,y,z)として、これを座標系の原点Oに重ねると、
【0011】
(通常切削) x=0、y=0、z=0 (1)
u=0、u’=U(一定)、v=0、w=0 (2)
P=一定、T=一定、N=0 (3)
【0012】
というように定義することができる。しかし、それは理想的な場合である。実際にはびびり振動が発生することがある。加工精度も良くない場合がある。また工具すくい面へ被削物が凝着することもある。仕上げ面下には加工変質層が生成され、またその端部にはばりも発生する。主分力P、背分力Tが大きく、それ故に切削温度も高く、工具が破損、摩耗しやすく工具の寿命が短い、ということもある。
【0013】
[2.切削方向往復振動切削]
これは▲1▼隅部淳一郎著「精密加工 振動切削−基礎と応用」(実教出版株式会社、1979年)に記載されている。ここで言う振動というのは切削方向の振動である。つまりx方向の振動を工具に与えて切削するということである。工具を後ろへ引く瞬間があり、刃先が被削材の分岐から離れるので切削油が刃先に与えられる。切屑がすくい面から瞬時離隔し摩擦が減少する、などの作用がある。だから切削抵抗(主分力Pのこと)が減少するというのである。横方向(y方向;Normal)や上下方向(z方向;Thrust)には工具を動かさない。
【0014】
(往復振動切削) x=ξsinωt、y=0、z=0 (4)
u’=U+ξωcosωt、u=ξωcosωt、v=0、w=0(5)
P=周期変動、T=周期変動、N=0 (6)
【0015】
というわけである。刃先が被削材分岐から離隔するから切削抵抗Pが一時ゼロになる。その間に油や空気が廻るから工具や被削材が冷却される。ここでは切削速度u’に一様速度Uを含めている。
【0016】
隈部氏は、y方向の振動切削(y=ξsinωt)は、刃先と被削物が常時接触しており横振動によって摩擦熱発生がより著しくなり異常加熱がおこり工具を劣化させるので実行されないと述べている。
【0017】
またz方向の振動切削(z=ξsinωt)は、加工面に凹凸ができるし、工具の逃げ面が被削物の表面を強く叩くことになり衝撃力によって工具が破損するので好ましくないと述べている。だから往復振動切削というのは必ず切削方向(x方向)の往復振動に限られていた、と述べている。このような常識は現在でもほぼ妥当なものとして捉えられている。
【0018】
しかし被削物が回転しておりバイトで被削物の円周を削ってゆく旋盤の場合には、y方向、z方向の振動切削の提案が幾つかなされている。
【0019】
▲2▼実公昭43−2685号「偏心輪による振動旋削装置」は、円筒形の被削物を回転させ、側方からバイトを当てて側面の一部を削る旋盤において、バイトの縦方向(z方向)の切り込み量を振動させるということを提案している。そうすると切屑の厚みが厚くなったり薄くなったりするから下手に切った林檎の皮のように長く続かずすぐに切れてしまう、という利点がある。z方向だけの振動であるからx、y方向の動きはない。z方向の振動によって背分力、主分力は周期的な変動をする。
【0020】
(上下振動切削) z=ξsinωt、x=0、y=0 (7)
w=ωξcosωt、u=0、v=0 (8)
P=周期変動、T=周期変動、N=0 (9)
【0021】
これはバイトの振幅2ξが平均切り込み量(切り取り厚さkの平均k0)よりも小さいという条件があり、
【0022】
2ξ<k0 (10)
【0023】
である。
常に切り屑が発生しており切り取り厚さkが変動するというものである。先ほどの隈部先生の言うようにバイト刃先が仕上げ面と干渉する(干渉しない条件:β>tan−1ξω/U、干渉する条件:β<tan−1ξω/U)ということはない。つまり切り取り厚さkが時間によって変動する変数になっており、
【0024】
k=k0−ξsinωt (11)
【0025】
というようになる。当然に仕上げ面の形状はこれと相補的な凹凸変化をする。旋盤の1分間回転数をFとすると、円周方向の高さの変動がξsin(30Υω/πF)となる。ただしΥはある一定の基準方向からの回転角である。この凹凸はどうなるのか?
【0026】
これは振幅が極めて小さく、工具刃先は必ず被削物に接触している。工具が被削物から離隔する瞬間がない。摩擦、発熱が0になることはない。利点は切屑がすぐに切れるから排出容易になるということだけである。反面、円周方向の仕上げ面形状が凹凸になるという欠点がある。そこで切削の初めだけバイトにz方向の振動をさせ、その後はz方向振動を中止(ξ=0)して円周面を平滑(r=一定)になるようにしている。最後まで振動させるというのではない。振動をやめるから凹凸がやがて消失するのである。
【0027】
▲3▼実開昭48−98779号「揺動切削装置」は、円筒形の被削物を回転させ回転側面にバイトを当てて半径方向に被削物を削る旋盤の改良で、y方向(送り方向)にバイト刃先を揺動させるものである。バイトを支持中心点まわりに揺動させるからx方向にも少し振動する。単振動ではなくてやや複雑な運動となる。y方向に振動させるから送り方向の力が発生し、それも周期変動する。
【0028】
(揺動切削)
y=ηsin(ξsinωt)、x=ηcos(ξsinωt)、z=0 (12)
v=ωξcosωtcos(ξsinωt)、u=−ωξcosωtsin(ξsinωt)、w=0 (13)
P=周期変動、T=周期変動、N=周期振動 (14)
【0029】
y方向というのは切削方向に垂直であるので常時刃先は被削物に接触しており、摩擦熱発生は増大する。摩擦熱によって刃先がより激しく鈍磨するのではないかと思われる。しかし、それに対しては策を立てていないようである。それにバイトを横に揺動するから切屑が蛇行して発生し切削面が蛇行して凹凸面になる。蛇行凹凸面のような複雑な面は不適当なように思われる。凹凸面形成に対する策はやはりないようである。回転している被削物を高速で切削するから同じ部位が繰り返し切削されるわけで蛇行凹凸が打ち消してしまうのかもしれない。
【0030】
▲4▼特開昭53−56796号「振動切削における発振装置」は超音波加工によって雄螺子を切るための装置を提案している。振動切削といっても超音波加工であってバイトによる機械的な切削とは違う。だから本発明の先行技術にならない。
【0031】
▲5▼特公昭38−25142号「振動切削法」(発明者・出願人:隈部淳一郎)は、振動切削の権威隈部先生の特許である。切削方向はx方向で切削速度uは一定である。バイトの振動は上下方向(z方向)である。振動数をfとする。上下の運動を正弦波でなくて三角波だとしている。これは考察の便宜のための抽象であって実際には正弦波にせざるを得ないであろう。正弦波ならz=ξsinωtと書く事ができるが三角波なのでそのようには書けない。三角波の振幅をaとする。これも切屑が連続した状態で削り出される。切り取り厚さが振幅(a)よりも厚いのである。
【0032】
これは理論的な考察の便宜のために、z方向に三角波で振動させている。バイトのすくい角をαとする。x方向の動きuにz方向の三角波振動が重畳される。z方向の振動は速く三角波は高い。x方向の切削速度をuとする。バイトの刃先は、高さが2a、底辺がu/fの二等辺三角形を隣接して並べてできる鋸歯を辿ることになる。バイト刃先の経路を決める三角形の傾斜角をφとすると、
【0033】
tanφ=4af/u (15)
【0034】
である。切屑の厚みt2、剪断ピッチpを、三角波の傾斜角φとすくい角α、切削速度u、周波数fなどの関数として求めている。この文献で重要なことは臨界の切削速度ucというものを提案していることである。バイト刃先は傾斜角がφの二等辺三角形の斜辺をジグザグ上下しながら(z方向)、切削方向(x方向)に前進する。バイト刃先が上がるときは削れやすくなる。上下方向の振動の利点である。
【0035】
バイト刃先が下がるときが問題である。もし降下時にバイトが切屑と離隔するならそこで冷却降下や潤滑油の廻り込みが起こり得る。そのようなことが振動切削の利益であると、隈部先生は考えている。もしも降下時にバイト刃先が切屑と離れないで接触したままであれば、刃先は冷却されず潤滑油は回り込まない。顕著な効果もない(バイトが上がる時に削れやすくなるという効果はある)、という事になる。
【0036】
丁度臨界のときはどうか?というと、バイト刃先の降下角度(φ)が、切屑の上昇方向と平行だということである。切屑はすくい面によってすくい上げられているのだから切屑の上昇方向の角度は当然に90゜−αである。すくい角というのは垂直線に対するバイトのすくい面の傾きだから、すくい面の水平に対する傾きは90゜−αである。臨界というのはバイトの下りとすくい面が平行ということであるから、
【0037】
φ= 90゜−α (16)
【0038】
となる。振動切削が有効な限界はこれによって与えられる。臨界の切削速度をucとすると、式(16)の時にucなのだから、
【0039】
uc=4aftanα (17)
【0040】
となる、というわけである。切削速度uが
【0041】
u<uc (振動切削有効) (18)
u>uc (振動切削無効) (19)
【0042】
ということである。
【0043】
これによるとすくい角αが0の場合は、臨界切削速度が0になってしまう。αが0でなくても0に近い値ならば、臨界切削速度ucが過度に遅くなってしまう。αが小さくても、振幅a、周波数fを大きくすれば良いようだが振幅は切削厚みの半分以下という条件があるしそれほど速くできない。それならfを増やせば良いようだがfを増やすとバイト刃先と被削物間の摩擦発熱が著しくなって冷却効果というものがそもそも望みがたい。結局上下振動切削というのはすくい角αが大きいバイトにしか使えないということである。逃げ面が仕上げ面に干渉するため刃先が欠けやすく、すくい角が大きいバイトにも使えない。それに仕上げ面が粗い。
【0044】
それにこの文献は上下バイト振動を三角波だとしている。計算に便利だからそのようにしているわけであるが、実際に三角波で振動を与えるのは難しい。単振動になってしまう。すると単純に臨界切削速度を式(17)によって決めるわけにはゆかない。正弦波振動をするならば、振幅aを2a/πによって置き換えるべきであるから、臨界切削速度は(17)よりさらに1/1.5程度に低くなる筈である。
【0045】
これらの振動切削は、x方向、z方向が主流であってy方向のものもある。何れにしても振動の経路が往復時において同一である。1周期において刃先が囲む図形の面積は常に0である。x方向、z方向の振動ならば1周期において刃先が囲む面積Sというのは
【0046】
【数1】
【0047】
によって与えられる。Tは周期(=1/f)である。1周期分の周回積分を簡単に∫cによって表現すると、∫c(xw−zu)dtが面積の2倍だということである。これまでに述べたものは単純な一方向への振動である(従来例▲3▼の揺動は少し違うが似たようなものである)。いずれも刃先の囲む面積を与える周回積分は0である。
【0048】
∫c(xw−zu)dt=0 (21)
【0049】
これはx方向への振動、z方向への振動の場合の式である。y方向への振動の場合(従来例▲3▼のような)は、z、wがy、vに置き換えられるが、周回積分が0であることにかわりない。この周回積分はガリレイ変換不変量である。だから静止座標系Oで計算しても、被削物に固定した座標系O’で計算しても同じである。この明細書では座標系Oで計算する。
【0050】
∫c(xv−yu)dt=0 (22)
【0051】
運動の自由度が1である場合どのようにしても周回積分の面積は0である。従来はバイト刃先を1を越える自由度で振動させることが困難であった。それもあってか、従来は1次元振動切削はあっても、それ以上のものはなかった。
【0052】
それではバイト刃先が冷却され潤滑油が供給されるという暇がない。バイト刃先を被削物から離隔する瞬間を作るのがよい。さらにバイト刃先が上がりながら削るのが良く、逆に下がりながら削るのは良くない。そのような考えから従来例▲5▼のようなz方向振動に対する強力な改良が本発明者によって提案された。それは楕円振動切削と呼ぶべきものである。それは(21)式において、初めて∫c(xw−zu)dt≠0となるもので画期的な着想といってよい。
【0053】
▲6▼社本英二、馬春翔、森脇俊道「楕円振動切削加工法」精密工学会誌,vol.65、No.4、p586、1999
【0054】
▲7▼特開平7−68401号「振動切削加工方法および振動切削加工装置」発明者・出願人:社本英二、森脇俊道
【0055】
これら2件の従来技術は同じことを言っているので纏めて説明する。これは初めて2つの自由度をもつ振動切削を提案する文献である。二つの自由度をもつ振動を生成するには、それなりに成熟した技術的背景が必要である。これまで述べたものは一次元の振動を与えるものばかりであった。二次元振動を実現できるような技術的な蓄積がなかったこともその一因である。圧電素子の技術が進歩したので、微小量変位を二次元的に高速に実現できるようになった。▲6▼、▲7▼ともにそのような圧電振動子技術進歩を背景とするものである。
【0056】
これは切削方向(x方向)と切屑排出方向(背分力方向;z方向)を含む面(zx面)でバイト(工具)の先端を楕円軌道を描くように振動させるものである。つまりバイトはy方向には寸毫も動かず(v=0)、上下方向に楕円振動するのである。
【0057】
x=ξsin(ωt+Ψ)、z=ζsinωt、y=0 (23)
u=ξωcos(ωt+Ψ)、w=ζωcosωt、v=0 (24)
【0058】
というようにバイトの先端を楕円振動させる。つまりzx面での楕円である。楕円の軌跡は例えばΨ=90゜の時に
【0059】
【数2】
【0060】
である。
式(23)の二つの単振動は直交して配置された二つの圧電振動子に電圧をω/2πの周波数で与えることによって実現できる。二つの振幅ξとζ及び位相差Ψはパラメータであり任意に決定することができる。バイトが前進し下死点に達する(zが最小)直前から、刃先は被削物を削り始める。が、すぐに上昇に転ずる(w>0)。だから工具にかかる切削抵抗が減少する。主分力Pの低減が切削熱を低減しバイト寿命を延長する。背分力の低減が主に加工精度を向上させる。
【0061】
上昇に転じたときバイトは切屑を引っ張り上げる。これが切屑の排出をより円滑に行わせる。それに切屑の厚みを減らす作用もあり切屑が薄くなるのでバイトにかかるPが減少する。このように切屑薄層化、切屑排出促進というのは上下楕円振動切削の大きい利点である。
【0062】
またバイトの上昇によって、切屑からバイトが受ける背分力Tの方向が逆転する。通常切削の場合、切屑はバイトを押し上げるだけであるが、楕円振動切削の場合バイトが上向きに振動するときは切屑がバイトを引き戻す。つまり切屑からバイトが受ける力が反転する。それがバイトの平均の背分力Tを削減する。平均背分力を下げるだけでなくて、背分力の最大値をも下げる。だから工具にかかる上向き抵抗力が減る。摩擦、発熱が減少する。これによっても工具の摩耗は減少するし耐久性も向上する。しかもバイトが被削物面から後退して離隔する瞬間に潤滑油がバイトと被削物の空間に流れ込むから、バイトと被削物の両方を冷却する作用がある。これがバイトを保護する。
【0063】
楕円運動によって工具は切屑を引き上げればよいが切屑を前方へ押し倒してはいけない。だから切屑を引き上げる効果を強く望む場合には、楕円の上下軸方向の振れの幅2ζは、切り取り厚さk(切屑厚さでなく切込み深さのこと)に比べてあまり大きくないほうが良い。
【0064】
ζ<k (26)
【0065】
というのがおよその目安である。このように上下楕円振動によって、切屑を薄くし切屑排出を促し、空間を作り油の浸透を盛んにしてバイトを冷却し、切削抵抗P(主分力)と背分力Tを減少させバイトを保護しバイトの寿命を延ばすという作用がある。切削速度Uよりも楕円振動の速度ξω、ζωはずっと大きい。
【0066】
U<<ξω、ζω (27)
【0067】
このようにすると、バイトの先端と被削物のx方向の距離Δxは、Δx≒ξ(1−sinωt)となるが、これは正であって平均値がおよそξである。バイト先端と被削物の間に平均ξの空隙ができるということである。これが油や空気を吸い込み、冷却を促す。この楕円軌跡の周回積分Sは0でない。
【0068】
S=(1/2)∫c(xw−zu)dt=πξζsinΨ (28)
【0069】
となって楕円パラメータの積に位相ずれΨの余弦とπを乗じた値になる。楕円の面積であるが、それが0でないということである。このようなことは二つのパラメータ、二つの自由度があって初めて成り立つことである。
【0070】
xz面楕円振動は、このように優れた効果がある。反面、切削面に若干の凹凸が現れるがそれは致し方がない事である。切削速度がUであって、楕円振動角速度がωだから、2π/ωごとに凹凸が発生する。その間の平行移動距離はUを掛けて、2πU/ωである。被削物に対して相対的にバイトの描く軌跡を近似的に隣接する楕円の重なりとすると、楕円(本当は歪んだトロコイド)が隣接楕円と交差する角度Υの正弦はsinΥ=πU/ζωであるから、凹凸の高さはζ(1−cosΥ)となる。これは近似すると、π2U2/2ζω2となる。つまり被削物に現れる凹凸の空間周期Lc、高さHcは近似的に、
【0071】
Lc=2πU/ω (29)
Hc=π2U2/2ζω2 (30)
【0072】
となる。凹凸の高さを減らすには、楕円振動の角速度ωを増やす、平行移動速度(切削速度)Uを減らす、楕円振幅ζを増やすなどの選択肢がある。
【0073】
【発明が解決しようとする課題】
通常切削は主分力P、背分力Tともに大きく、びびり振動が生じたり加工精度が低かったり工具寿命が短いという欠点がある、ということを述べた。そのために工具を往復振動させる振動切削法が色々提案されている。そのような振動切削について概観した。
【0074】
初期の一次元振動切削において有力なのは依然として切削方向(x方向)の一次元振動x=ξsinωtである。z方向(上下)振動切削、y方向(横)振動切削も幾つか提案されているがほとんど実用化されていない。これらの振動切削はいずれも一次元の振動であった。
【0075】
従来法において工具の振動方向が一次元であるのは振動切削機構が十分に理解されていなかったことや、適当な振動手段が周辺技術として成熟していなかったことなどが理由として考えられる。偏心歯車、クランクを組み合わせた機械的な振動手段では小さい工具を振動させるための微小振幅高速振動を生成できない。二次元振動機構などとてもできない。進歩した圧電素子を利用して、二次元の振動手段を本発明者が初めて考案して、zx面の楕円振動切削というものを初めて提案した。これは背分力Tが負に転じて切屑を引き上げるから切屑の排出が容易であり、背分力低減、切屑厚さの薄片化という効果があった。切屑が薄いから切削抵抗が減少する。zx面楕円振動にはこのような真に優れた効果があった。斬新で洗練され卓越した切削方法であった。
【0076】
しかし、zx面楕円振動法には、切り取り厚さが振動振幅よりも小さくなってくると効果が減少したり、仕上げ面に若干の凹凸ができたりする、という多少の短所もある。本発明はそこでこうした短所をなくすとともに、異なる原理に基づいて、切削力の低減効果を維持しうる新たな切削法を提供することを目的とする。
【0077】
【課題を解決するための手段】
本発明は、工具を送り方向(y方向)と切削方向(x方向)とを含む面(yx面)内で楕円振動させて切削する。さらに本発明は、yx面をy軸を中心にΘだけ回転させた面(yq面と呼ぶ)内で楕円振動させて切削する。或いはyx面をx軸を中心にΦだけ回転させた面(hx面と呼ぶ)内で楕円振動させて切削する。yx面楕円振動というのが本発明の基本形態である。yq面楕円振動はその第1発展形態である。hx面楕円振動はその第2発展形態である。
【0078】
本出願人による従来例(▲6▼、▲7▼)として述べたものはzx面の楕円振動切削であるが、本発明はそうでなくてyx面である。
【0079】
[1.基本型(yx面楕円振動)]
工具の刃先を例えばy方向、x方向に単振動させる。この運動を合成してyx面上の楕円振動を実現する。y方向の動きが実効的に切れ味を良くする。それが主分力Pを低減する上で極めて効果がある。y方向振動だけなら先に説明した従来例の「揺動切削」と変わらないがx方向への後退が伴うので、真に切れ味を良くする。それは直接的に主分力Pを低減するのであって、zx面楕円振動のように間接的な主分力低減効果でない。
[yx面楕円振動]
y=ηcosωt、x=ξsin(ωt+φ)、z=0 (31)
v=−ωηsinωt、u=ξωcos(ωt+φ)、w=0 (32)
P=周期変動、T=周期変動、N=周期変動 (33)
【0080】
先述の振動切削は多くの場合、基本的にN=0であった。zx面楕円振動切削もN=0である。横方向の動きがないからNが発生しなかった。ところが本発明の場合は横方向の動きがあるからN≠0である。これは有限値をとり、しかも周期的な変動をする。φは位相のズレであって、これが0の場合は、y軸、x軸を主軸とする楕円軌道を描くように刃先が動く。φが0でない場合も許す。φが0でない場合であってもやはり楕円振動である。ただしその主軸がもはやy軸、x軸でない。それらの軸から同じ角度だけ傾いた2軸が主軸である楕円軌道となる。1周期分の周回積分Sは
【0081】
S=(1/2)∫c(yu−xv)dt=πξηcosφ (34)
【0082】
となる。φ=±π/2のときには、楕円でなくて直線往復運動になる。本発明はそのような場合は含まない。
【0083】
y方向の動きが本質的である。刃物を刃先の延長方向に動かすから切れ味が良くなる。実効的に切削幅が減少することで切削力が低減するからである。包丁で肉を切る場合単に下へ押すだけではなかなか切れないが、前後に繰り返し引いたり押したりすると簡単に切れる。横に切るから主分力Pは僅かでよい。主分力Pは著しく減退する。主分力Pが減ると当然に背分力Tも減少する。変わりにNが発生するがこれは小さい力に過ぎない。y方向の刃先移動というのはそのような作用をもたらすのである。
【0084】
そして刃先を後退させるから空隙ができて、切削油が空隙に侵入し刃先を冷却する。これはS≠0の効果である。
【0085】
このように刃先の能力を飛躍的に増大させ主分力Pを直接に減少させるが、先述のzx面楕円振動と違って切屑を引き上げるというような作用はない。切屑から受ける背分力が反転しないが、背分力は減少する。どうしてか?一つには、主分力が小さくなるからである。背分力は主分力に対する摩擦力として生じているので、主分力が減少すればその分小さくなる。二つ目の理由としては、摩擦の向きがy方向に傾き、摩擦力の多くを送り分力が負担するからである。
【0086】
上下方向に動くのではないから、切り取り厚さkに比べて振幅が小さくないといけないというような条件は課せられない。左右方向の楕円振動だからである。だから薄い切り取り厚さkの場合にも適用でき、厚い場合と変わらない効果が得られる。
それにzx楕円振動のように凹凸が被削物面に発生しない。被削物面の平滑性が良い。
図8、図14によって、yx面で工具を楕円振動させる本発明の基本型を例にとって、被削物上での工具刃先の軌跡と主分力P、背分力T、送り分力Nの関係を説明する。工具の楕円振動の1周期は点Aから始まり点Bに至る。ここまでが被削物を工具が切削するので、切削期間と呼ぶ。この切削期間で「引きながら切る」役割を果たしている。点Bに至った工具の刃先は被削物を離れ、次の周期の開始点A’に戻る。点B→点A’までを、刃先が被削物を離れた軌跡をとるので、離隔期間と言う。点Bで被削物から刃先が離れるこの離隔期間では、切削油がまわり込むので工具を冷却できる。その時の3分力の時系的変化を図14に示している。刃先が被削物を削っている点A→点Bの間(切削期間)は主分力P、背分力T、送り分力Nともに大きくなるが、Pが一番大きい。刃先が被削物を離れると(点B→点A’:離隔期間)P、T、Nともにほぼ0になる。そして再び切削期間でP、T、Nが大きくなる。切削期間内で、送り方向の速度が0になることがないため従来の送り方向振動切削より力が低減する。
【0087】
[2.第1発展型(yq面楕円振動)]
本発明はyx面楕円振動だけに限らない。yx面をy軸周りにΘだけ回転したyq面での楕円振動であってもよい。q方向というのは、xz面にとった一つの方向である。発展型は工具の刃先を例えばy方向、q方向に単振動させる。この運動を合成してyq面上の楕円振動を実現する。それは基本型のyx面楕円振動をy軸廻りにΘだけ回転させたものだと言ってもよい。やはりy方向の動きが刃先の切れ味を向上させる。それが主分力Pを低減する。
[yq面楕円振動]
q=xcosΘ+zsinΘ (35)
【0088】
これはq軸の定義である。y軸まわりにx軸をΘだけ回転させたものである。
qに対する共役な速度をpとする(p=dq/dt)。
【0089】
y=ηcosωt、q=ξsin(ωt+φ)、−xsinΘ+zcosΘ=0(36)
v=−ωηsinωt、p=ξωcos(ωt+φ)、−usinΘ+wcosΘ=0 (37)
P=周期変動、T=周期変動、N=周期変動 (38)
【0090】
基本型の場合も発展型の場合も、本発明の場合は横方向の動きがあるからN≠0である。これは有限値をとり、しかも周期的な変動をする。φは位相のズレであって、これが0の場合は、y軸、q軸を主軸とする楕円軌道を描くように刃先が動く。φが0でない場合も許す。その場合はyq面での楕円で、y軸、q軸でない直交二軸をもつ楕円である。そのような性質は基本型のyx面楕円の場合と同じである。
周回積分Sも同様である。
【0091】
S=(1/2)∫c(yp−qv)dt=πξηcosφ (39)
【0092】
作用は基本型の場合と同様でy方向の引き切りという作用があるから切れ味が良くなる。刃先延長方向と動き方向が同一であるから小さい力で鋭く被削物を切ることができる。それは主分力Pの低減を直接にもたらす。それは背分力Tをも減らす。Θだけ傾けたyq面とすると後退したとき刃先が被削物から上がるので油の供給、冷却の作用がさらに向上する。鋭利な工具であってもチッピングを生じにくい。
【0093】
ただしΘの増加は刃先方向と運動方向の埀離をもたらすから仕上げ面に若干の凹凸を残すことになる。q、pの変動をz、xの変動に引きなおして表記すると次のようになる。
【0094】
x=ξcosΘsin(ωt+φ)、z=ξsinΘsin(ωt+φ)(40)
u=ξωcosΘcos(ωt+φ)、w=ξωsinΘcos(ωt+φ)(41)
【0095】
[3.第2発展型(xh面楕円振動)]
本発明はyx面楕円振動、yq面楕円振動だけに限らない。yx面をx軸(Principal)周りにΦだけ回転したhx面での楕円振動であってもよい。h方向というのは、yz面にとった一つの方向である。発展型は工具の刃先を例えばx方向、h方向に単振動させる。この運動を合成してhx面上の楕円振動を実現する。それは基本型のyx面楕円振動をx軸廻りにΦだけ回転させたものだと言ってもよい。やはりy方向の動き(cosΦに減少するが)が刃先の切れ味を高揚する。それが主分力Pを低減する。
[hx面楕円振動]
h=ycosΦ+zsinΦ (42)
【0096】
これはh軸の定義である。x軸まわりにy軸をΦだけ回転させたものである。
hに対する共役な速度をgとする(g=dh/dt)。
【0097】
h=ηcosωt、x=ξsin(ωt+φ)、−ysinΦ+zcosΦ=0 (43)
g=−ωηsinωt、u=ξωcos(ωt+φ)、−vsinΦ+wcosΦ=0 (44)
P=周期変動、T=周期変動、N=周期変動 (45)
【0098】
基本型(yx面)の場合も第1(yq面)、第2(hx面)発展型の場合も、本発明の場合は横方向(y方向)の動きがあるからN≠0である。これは有限値をとり、しかも周期的な変動をする。φは位相のズレであって、これが0の場合は、h軸、x軸を主軸とする楕円軌道を描くように刃先が動く。φが0でない場合も許す。その場合はhx面での楕円で、h軸、x軸でない直交二軸をもつ楕円である。そのような性質は基本型のyx面楕円の場合と同じである。
周回積分Sも同様である。
【0099】
S=(1/2)∫c(hu−xg)dt=πξηcosφ (46)
【0100】
作用は基本型の場合と同様でy方向(cosΦ)の引き切りという作用があるから切削力が減少する(切削力と切削能力を混同してはいけない。切削能力は高進する)。刃先延長方向と動き方向が同一であるから小さい力で鋭く被削物を切ることができる。それは主分力Pの低減を直接にもたらす。それは背分力Tをも減らす。
【0101】
この場合も、Φ=0(yx面)が主分力Pの削減には最も有効であろうと推測される。Φの増加は、刃先方向と運動方向の埀離をもたらすから引き切りの作用を減少させる。また、仕上げ面に若干の凹凸を残すことになる。これは先述のyh面の場合と同様である。しかしこの第2発展形の場合は、z方向の動きが加わるので、切屑を持ち上げるという▲6▼、▲7▼のような効果もある。Φ=90゜であれば、▲6▼、▲7▼に全く等しくなる。
h、gの変動をy、zの変動に引きなおして表記すると次のようになる。
【0102】
y=ηcosΘcosωt、z=ηsinΘcosωt (47)
v=−ξωcosΘsinωt、w=−ηωsinΘsinωt(48)
【0103】
[4.楕円概念の拡張 ]
これまでに一つの基本型と二つの発展型について述べた。それらは、楕円振動面に関するものであった。yx面楕円振動を二つの傾斜方向へと拡張するものであった。ここではさらに楕円の概念の拡張について述べる。本発明は要するにy方向に工具を動かす事、周回積分Sが0でないことに本質がある。y方向の移動が主分力を下げる。y方向の移動について、yx面、yq面、hx面が可能だということを述べた。周回積分が0でないので刃先が被削物から離隔している瞬間があり切削油や空気がまわりこみ冷却できるわけである。
【0104】
周回積分が0でない、ということを「楕円」と表現している。楕円は円を含み広い概念である。しかしそれでも本発明の外延を述べるには未だ狭すぎる概念だといわざるを得ない。yx面での楕円振動について考察する。先に述べたものはy方向もx方向も単振動させている。位相差がいかなる値であっても合成軌跡は一定の楕円である。一つの発振器によって振動を発生させ、遅延回路を通して、y方向圧電素子、x方向圧電素子に印加すると楕円振動が得られる。しかし、正弦波ではなく例えば方形波を印加すれば、楕円軌跡ではなく四角形の軌跡が得られる。このように本手法でいう「楕円」とは周回積分が○でないあらゆる軌跡を含んでいる。
【0105】
[5.y方向切断の意味]
本発明の骨子はy方向に工具を移動させながら切る、というところにある。その意味は何か?ということである。
【0106】
x方向の速度uだけで、被削物を切断する場合は、切り込み量をd、切削幅をbとすれば、単位時間あたりの除去量はbduになる。ところがy方向の移動速度vが加わると、単位時間での刃物の移動距離が、uから(u2+v2)1/2に増える。しかし除去量はbduで不変である。すなわち切削の幅bが実効的に
【0107】
【数3】
【0108】
に減少することになる。見かけ上、同じ幅の被削物を切削するにも拘わらず、このように実効的な切削幅が減少するため、切削力が著しくかつ直接的に低下する。
【0109】
【発明の実施の形態】
図1は被削物、工具、切削方向などを説明するための略図である。工具1は超硬合金、ダイヤモンドなどで作られる。その下に見えるのが被削物2である。被削物2の前方に切り起こされているのが切屑3である。工具刃先4は工具1の先端を意味する。刃先の切屑3を押す面がすくい面6である。刃先裏面の、新たに露出した被削物2の面に対向するのが逃げ面5である。座標系を定義する。前方にx方向をとる。これが切削方向である。上方向がz方向であり横方向がy方向である。切削方向と反対向きに工具が受ける力が主分力Pであり、工具1を押し上げる力が背分力Tである。
【0110】
図2、図3は圧電素子を二つ組み合わせた工具の楕円振動機構の例を示す。ベース10は平板であるが、xy方向にのびるL型切欠きがある。切欠きによって生じた面はxz面17とyz面18である。xz面17に第1圧電素子12の一端を取り付ける。yz面18に第2圧電素子13の一端を取り付ける。
【0111】
小さい支持ブロック11は6面をもつ直方体である。その内直交するxz面19、yz面20に第1圧電素子12、第2圧電素子13の他端が接合されている。他の3面はブランクになっており、第1圧電素子13の取り付けられた支持ブロックのyz面20の反対側のyz面23に先述の工具1が固定されている。
【0112】
工具1と支持ブロック11の取付面がyz面23で、第1圧電素子12の取付面がzx面19である。第1圧電素子12、第2圧電素子13の他端面は共通のベース10の切欠き面17、18に固着されるから、圧電素子12、13の伸縮によって工具1をyx面内のある範囲において変位させることができる。
【0113】
被削物2は支持台21に固定され、支持台21は送り装置22によって一定速度Uで−x方向に送られる。
【0114】
工具1を把持したベース10は背面を固定台14によって支持されている。センサ15は力センサである。
【0115】
圧電素子は電圧を印加することによって電圧にほぼ比例して膨張、収縮する性質がある。ωの発振器によって圧電素子に交流電圧V1sinωt、V2cos(ωt+φ)を第1圧電素子12、第2圧電素子13に加える。圧電素子12、13はそれに応じて伸縮するから工具の先端の座標(x,y)は、y=ξsinωt、x=ζcos(ωt+φ)という変位をする。φが±π/2でなければ、これはyx面での楕円振動である。振動の角周波数はωに等しい。もしξ=ζかつφ=0,πならば円振動である。
【0116】
本発明は、そのようにyx面での工具刃先の楕円振動を与える。
これによって包丁や日本刀を使うときに、「引きながら切ると切れ味が良くなる」というのと同じ原理で、金属などの加工においても、被削性が大幅に向上する。
【0117】
また、間歇的に、この「引きながら切る」ことを行うため、工具が被削材から離れている間に、切削点に切削油が入り込んだり工具が冷却されたりするため、工具寿命の改善効果も得られる。
【0118】
すなわち、本発明では、切削力の大幅な減少、加工精度や、表面粗さの改善、びびり振動の抑制、難削材や難削形状の加工性の向上、被削材の工具への凝着の抑制、工具摩耗の抑制など数多くの実用的効果が得られる。
【0119】
なお、上述(基本型)のように、間歇的に引きながら切るために楕円振動を付加する面は、刃先方向(y方向)と切削方向(x方向)を含む面(yx面)に限る必要はない。”Principal(x方向;第2発展型)”あるいは”Feed(y方向;第1発展型)”の軸廻りに回転させてもよい。
【0120】
実用的には工具刃先のチッピングを防ぐために、工具すくい面が切り屑から離れる際に、工具逃げ面が仕上げ面から離れることが望ましいため、完全に”Principal(x軸)”と”Feed(y軸)”を含む面内(yx面)で楕円振動を付加する(基本型)よりも、この振動面を”Principal(x方向;第2発展型)”あるいは”Feed(y方向;第1発展型)”の軸廻りに回転させて、工具逃げ面が仕上げ面からも離れるようにする方が良い結果をもたらすこともあろうかと考えられる。
【0121】
【実施例】
実施例では、zx楕円振動面を”Principal(x方向)”の軸廻りに0度から70度まで回転させ(hx面)て、その影響を検討した。▲6▼、▲7▼のような先行技術においてはこの回転角を0としている。だからここでいう傾斜角は(90−Φ)に当たる。また参考までに通常の切削加工の場合(比較例)の実験もした。さらに本発明者の先願にかかるzx面楕円振動切削の加工の場合の実験(比較例)結果も示した。3者を比較考量するためである。
【0122】
[基本形と第2発展型の実施例]
基礎特性を調べるために、直線的な通常切削と本発明の楕円振動二次元的切削を行った。図5のように円筒面を被削面として、円周方向を切削方向とする。また、工具の楕円振動面(hx面)と工具刃先(y方向)がなす角度は工具を回転させずに、振動子(中心軸と垂直な面内で楕円振動を発生する)のみを回転させることによって変化させる。つまり振動軌跡の面をzx面からhx面に変える。h方向がy軸となす角度がΦである。Φは20〜90゜で測定している。
【0123】
[実験条件]
表1に示す切削条件で、切削実験を行った。
【0124】
【表1】
【0125】
つまり厚さ0.32mmのやわらかい無酸素銅の板を、回転する軸に取り付けて軸を回転させすくい角0゜、逃げ角15゜のダイヤモンド工具によって切削したのである。通常切削の場合の測定結果を図6に、実施例における測定結果を図7に示す。
【0126】
[比較例1;通常切削の場合(図6)]
図6は通常切削時の3分力P、T、Nの時間変化を示す。縦軸が力P、T、Nである。単位はニュートンである。横軸は時間(秒)である。t=0.81sの時に切削が開始され、t=1.33sの時に切削が終わっている。0.52秒間の短い時間の切削である。切削速度はU=1.89m/分=3.15cm/秒である。切削距離はL=1.64cmである。これは被削物の長さに等しい。
【0127】
短い切削時間の中で主分力Pは大きい。いくぶんの変動があるが大きい主分力Pが工具に掛かっていることがわかる。切削時間(0.52秒)における主分力平均値は<P>=6.35である。
背分力Tも同じ時間において大きい値を示す。背分力Tの変動は主分力Pの変動をほぼ軌を一にして起こる事がよく分かる。それは考えてみれば当然のことである。背分力の切削時間(0.52秒)における平均値は<T>=1.26である。
【0128】
送り分力Nはきわめて小さい。平均値は<N>=−0.17である。理想的にはバイトの刃先は切削方向に垂直な直線であり、送り分力は発生しないはずである。しかし実際には刃先が完全な直線ではなく、また切削方向に完全に垂直ではないため横方向に力が発生することがある。
【0129】
[実施例1;hx面楕円振動切削の場合(図7)]
図7に本発明の実施例の測定結果を示す。横軸は、楕円振動面(hx面)のyx面に対する傾き角度Φである。つまりh軸とy軸のなす角度がΦであり、これがパラメータとなっている。力P、N、Tについては、ここでは時間的な変化ではなくて切削時間(0.52秒)内での平均値を表している。微視的な力の時間変化は、図8、図14によって説明した通りであろう。縦軸は力の単位であり、ニュートンである。
【0130】
切削時間τは0.52sであり、楕円振動の周波数fは19.9kHzであるから、切削時間内での振動の回数はfτ=10300回である。楕円振動は、半径ξ=2.5μmの円振動なので、1周期の軌跡長さは2πξ=15.7μmである。切削時間での楕円振動軌跡の全長Hは、近似的にH=2πξfτ=16cmとなる。通常切削の場合のバイトの走行距離(切削距離)はL=1.64cmであった。だから工具の先端は実際に切削する長さの約10倍(=H/L)もの距離を右往左往している訳である。
【0131】
P、N、Tは19.9kHzで高速変化する。だから図6のように時間的な変化を測定するのは難しい。それに瞬時の力を測定してもあまり意味がない。そこで実施例については時間平均値を測定している。
主分力PについてはΦ=90(zx面での楕円振動;▲6▼、▲7▼の先行技術)で0.28で最小である。Φ=68゜(実施例)で0.32に上がる。Φ=38゜(実施例)で0.38に増える。Φ=20゜(実施例)で0.4に増える。
【0132】
通常切削では主分力Pの平均値は6.35であった。それに比較すると、Φ=90の時(先行技術)で1/23程度である。Φ=68゜(実施例)1/20程度に減る。Φ=38゜(実施例)で1/17に、Φ=20゜(実施例)で1/15程度に減っている。著しい主分力の減退である。これは刃先に平行に(y方向)に切断するからである。直接的に主分力を減らす作用がある。
【0133】
背分力Tはずっと小さい。絶対値で0.1以下である。通常切削のT平均値は1.26であったから、1/12以下に減少している。
【0134】
送り分力Nが現れるが、これも1周期で平均すればわずかなものである。絶対値にして0.03以下である。通常切削でNの平均値は−0.17であり、これは設定誤差などに由来するNである。本発明は横方向に積極的にバイトを動かしているにもかかわらず横方向の力Nが小さい。1/5以下に減退している。これは本発明の場合主文力自体が大幅に減少しているためである。
【0135】
もっとも、背分力Tと送り分力Nは1周期(19.9kHz)のうちに符号を変える変量であるから、1周期で平均をとると平均値が小さくなるのは当たり前である。瞬時のT、Nはもっと大きいはずであり、これを測定するには、後述するように振動周波数を下げてその分切削速度も下げる必要がある。
【0136】
他方、今回提案するように、楕円振動面を刃先方向に傾けてゆくと、背分力は負から正になって切り屑を引上げる力が減少し、その代わりに切れ刃方向(Feedの方向)の力が増大している。これは切れ刃を引きながら切っていることを表している。
【0137】
この結果として、zx楕円振動面を基準にして、0度(Φ=90゜)から70度(Φ=20゜)まで楕円振動面を傾けても主分力に急激な変化はなく、通常の切削に比べて主分力が極めて低い事が分かる。
【0138】
この実施例では、傾き角Φが大きい(zx面回転)の方が主分力Pが少なくて、▲6▼、▲7▼の従来技術の方が良いような印象を与える。しかしそれは切込み深さk=5μmが上下方向振幅ξ=2.5μmより大きく、式(26)を満たす条件だからである。k<<ξのような条件になるとΦが小さい方が有利になると考えられる。それでも本発明のhx面振動は、▲6▼、▲7▼のzx面振動に比肩する効果があるということである。本発明のhx面、yq面、yx面振動の方が、より主分力Pを低減する上で効果的である場合が多いと考えられる。
【0139】
[比較例2;通常切削、切り取り厚さk=0.15mm(図9)]
振動の周波数が低い(f=10Hz)の場合について、切り取り厚さを0.15mmとし、通常切削とxy面楕円振動(先願)と、yz面より10度傾斜(Φ=10゜)楕円振動の切削を実行した。主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化と、仕上げ面の粗さを測定した。
試料; 4−6黄銅 (Cu60.4%、Pb0.003%、Fe0.004%、Zn残部)
切削幅; 2mm
平均切削速度 U=94.25mm/分
【0140】
上記の条件は以後に述べる比較例3、実施例2においても共通の条件となる。
比較例2は、通常切削だから、ξ=0、η=0、ω=0である。
図9は測定結果を示すグラフである。図9(a)は上から主分力P、背分力T、送り分力Nを示す。横軸は時間(秒)である。縦軸単位はニュートン(N)である。
図9(b)は仕上げ面の断面形状であり凹凸の高さを示す。横軸は試料の手前から図った距離(位置)である。単位はmmである。図9(a)からわかるように、10秒〜30秒において切削がなされている。主分力、背分力がこの期間だけ大きくなっている。主分力には細かい脈動があるが400N〜600Nである。この期間での平均主分力は508.12Nであった。主分力が特に大きいということがわかる。背分力は100N〜300Nの間にあってこれも激しく脈動している。背分力の平均は209.89Nである。送り分力はほとんど0である。切り屑の平均厚みは460μmであった。通常切削(ξ=0、η=0、ω=0)はこのように主分力、背分力ともに大きい。それに仕上げ面の粗度(roughness)が大きすぎる。Ry=1.959μm、Ra=0.321μmである。Ryというのは凹凸の山と谷の差の最大値である。Raというのは凹凸の山と谷の差の平均値である。
【0141】
[比較例3;zx面楕円振動切削、切り取り厚さk=0.15mm(図10)]振動の周波数が低い(f=10Hz)の場合について、切り取り厚さを0.15mmとし、zx面楕円振動(先願の方法)を行った。主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化と、仕上げ面の粗さを測定した。試料、切削幅、平均切削速度は同一である。
試料; 4−6黄銅 (Cu60.4%、Pb0.003%、Fe0.004%、Zn残部)
切削幅; 2mm
平均切削速度 U=94.25mm/分
【0142】
比較例3は、zx面楕円振動切削で、ξ=0.5mm、ζ=0.5mm、ω=2π×10ヘルツ=20π/sである。ξ=ζであるから円振動である。円周方向の線速度はξω=31.5mm/s=1890mm/分である。円振動の線速度は、x方向の直線切削速度Uの約20倍である。
【0143】
図10は測定結果を示すグラフである。図10(a)は上から主分力P、背分力T、送り分力Nを示す。横軸は時間(秒)であるが切削時間の全体を表すのではなくて、200msの短い間隔だけを示す。10Hzの振動であるから、200msに2周期の振動切削が含まれる。切削時間は約20秒であるから、この100倍の長さの繰り返し切削がなされていることになる。どの周期でも力の変動は似たようなものであるから200msだけを示した。縦軸単位はニュートン(N)である。図10(b)は仕上げ面の粗度を示す。これも切削開始点から約13mmの長さの分だけを示す。
【0144】
1周期のうちの切削期間にあたる期間だけ主分力、背分力が大きくなっている。その他の期間は主分力、背分力ともに0となる。工具が試料から離隔しているのである。主分力はパルス的な変化をする。パルスのピークは240Nであり、この1パルスでの主分力の平均値は147.38Nである。通常切削の比較例2(平均508.12N)に比べて主分力が減少している。背分力もパルス状でピークは70N程度でありそのピークでの平均背分力は55.63Nである。送り分力はほとんど0である。xz面の楕円振動であるから送り方向(y方向)の力が発生しないのである。このように工具が試料に接触し切削している期間は1サイクルの中で約1/4にすぎない。仕上げ面の粗さは、Ry=12.027μm、Ra=2.332μmである。このように主分力や背分力が小さくなるのはいいのであるが、仕上げ面の面粗度が大きすぎるという難点がある。通常切削の場合の8倍程度の粗さである。これはバイトを上下に振動させるから仕上げ面にもそのような顕著な凹凸が形成されるということである。やむをえないことである。
【0145】
[実施例2;hx面楕円振動切削、yx面から10度、切り取り厚さk=0.15mm(図11)]
振動の周波数が低い(f=10Hz)の場合について、切り取り厚さを0.15mmとし、yx面からの傾斜が10度のhx面楕円振動(本発明の方法)を行った。主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化と、仕上げ面の粗さを測定した。試料、切削幅、平均切削速度は同一である。
試料; 4−6黄銅 (Cu60.4%、Pb0.003%、Fe0.004%、Zn残部)
切削幅; 2mm
平均切削速度 U=94.25mm/分
【0146】
実施例2は、hx面楕円振動切削で、ξ=0.5mm、η=0.5mm、ω=2π×10ヘルツ=20π/sである。ξ=ζであるから円振動である。円周方向の線速度はξω=31.5mm/s=1890mm/分である。円振動の線速度は、x方向の直線切削速度Uの約20倍である。このような点は比較例3と同様であるが楕円振動の振動面が違う。
【0147】
図11は測定結果を示すグラフである。図11(a)は上から主分力P、背分力T、送り分力Nを示す。横軸は時間(秒)であるが切削時間の全体(20秒)を表すのではなくて、200msの短い間隔だけを示す。理由は比較例3と同様である。縦軸単位はニュートン(N)である。図11(b)は仕上げ面の粗度を示す。これも切削開始点から約13mmの長さの分だけを示す。
【0148】
1周期のうちの切削期間にあたる期間だけ主分力、背分力が大きくなっている。その他の期間は主分力、背分力ともに0となる。工具が試料から離隔しているのである。主分力はパルス的な変化をする。パルスのピークは250Nであり、この1パルスでの主分力の平均値は133.68Nである。通常切削の比較例2(平均508.12N)に比べて主分力が減少している。背分力もパルス状でピークは60N程度であり、そのパルスでの平均背分力は25.16Nである。本発明の振動面はy方向を含むから送り分力Nが出現する。やはり切削期間だけの負のピークである。負ピークは−120Nである。平均の送り分力は−42.71Nである。hx面の楕円振動であるから送り方向(y方向)の力が発生する。これは本発明の特徴である。ピークの幅は比較例3より伸びており、切削期間は1サイクルの中の半分程度である。仕上げ面の粗さは、Ry=1.459μm、Ra=0.239μmである。楕円振動の傾斜角が10度であるが、10度の傾斜のために発生する凹凸のRyは計算によれば0.98μmである。だから理論上の相異は約0.5μmというような小さい値である。傾斜角を小さくすればRyをもっと小さくできる。本発明の方法はこのように主分力や背分力が小さくなるし、仕上げ面の面粗度が極めて小さいという利点がある。平坦、平滑な面を創成することができる。図9の通常切削の場合の粗度より低い。切削力の低減、仕上げ面の平坦度などで極めて優れた方法であることがわかる。
【0149】
先願のzx面楕円振動の効果は切り取り厚さによって相違する。比較例2、3、実施例2では0.5mmという振動振幅に比べて、0.15mmという薄い切り取り厚さのものを扱った。ここでは切り取り厚さが厚い0.5mmの場合について、zx面楕円振動(先願;比較例4)と、yx面より10度傾斜楕円振動(実施例3)の切削を実行した。主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化と、仕上げ面の粗さを測定した。
【0150】
[比較例4;通常切削、切り取り厚さk=0.5mm(図12)]
主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化と、仕上げ面の粗さを測定した。試料、切削幅、平均切削速度はこれまでの比較例2、3、実施例2と同一である。
試料; 4−6黄銅 (Cu60.4%、Pb0.003%、Fe0.004%、Zn残部)
切削幅; 2mm
平均切削速度 U=94.25mm/分
【0151】
比較例4はzx面楕円振動切削で、ξ=0.5mm、ζ=0.5mm、ω=2π×10ヘルツ=20π/sである。ξ=ζであり、円振動である。円周方向の線速度はξω=31.5mm/s=1890mm/分である。円振動の線速度は、x方向の直線切削速度Uの約20倍である。このような点は比較例3と同様である。
【0152】
図12は測定結果を示すグラフである。図12(a)は上から主分力P、背分力T、送り分力Nを示す。横軸は時間(秒)であるが切削時間の全体を表すのではなくて、200msの短い間隔だけを示す。縦軸単位はニュートン(N)である。図12(b)は仕上げ面の粗度を示す。これも切削開始点から約13mmの長さの分だけを示す。
【0153】
1周期のうちの切削期間にあたる期間(約半分)だけ主分力、背分力が大きくなっている。その他の期間は主分力、背分力ともに0となる。工具が試料から離隔しているのである。主分力はパルス的な変化をする。パルスのピークは700Nであり、この1パルスでの主分力の平均値は419.66Nである。通常切削の比較例2から類推すると0.5mmの切込みでは平均508.12N×0.5mm/0.15mm=1693.7Nの主分力が必要となるが、これに比べて主分力が大幅に減少している。背分力もパルス状でピークは+70N、−180N程度でありそのピークでの平均背分力は−49.39Nである。送り分力はほとんど0である。xz面の楕円振動であるから送り方向(y方向)の力が発生しないのである。このように工具が試料に接触し切削している期間は1サイクルの中で約1/2である。切削力が大きくなって各部の弾性変形が大きくなり、接触時間が長くなるから比較例3より見かけの切削期間が長くなっている。仕上げ面の粗さは、Ry=9.503μm、Ra=2.507μmである。このように主分力や背分力が小さくなるのはいいのであるが、仕上げ面の面粗度が大きすぎるという難点がある。バイトを上下動させるからである。
【0154】
[実施例3;hx面楕円振動切削、yx面から10度、切り取り厚さk=0.5mm(図13)]
切り取り厚さが厚い0.5mmの場合について、yx面からの傾斜が10度のhx面楕円振動(本発明の方法)を行った。主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化と、仕上げ面の粗さを測定した。試料、切削幅、平均切削速度は同一である。
試料; 4−6黄銅 (Cu60.4%、Pb0.003%、Fe0.004%、Zn残部)
切削幅; 2mm
平均切削速度 U=94.25mm/分
【0155】
実施例3は、hx面楕円振動切削で、ξ=0.5mm、η=0.5mm、ω=2π×10ヘルツ=20π/sである。ξ=ζであり、円振動である。円周方向の線速度はξω=31.5mm/s=1890mm/分である。
図13は測定結果を示すグラフである。図13(a)は上から主分力P、背分力T、送り分力Nを示す。横軸は時間(秒)であるが切削時間の全体(20秒)を表すのではなくて、200msの短い間隔だけを示す。理由は比較例2、3、実施例2と同様である。縦軸単位はニュートン(N)である。図13(b)は仕上げ面の粗度を示す。これも切削開始点から12mmの長さの分だけを示す。
【0156】
1周期のうちの切削期間にあたる期間(約2/3)だけ主分力、背分力が大きくなっている。その他の期間は主分力、背分力ともに0となる。工具が試料から離隔しているのである。主分力はパルス的な変化をする。パルスのピークは1000N程度であり、この1パルスでの主分力の平均値は608.88Nである。zx楕円振動切削の比較例4(平均419.66N)に比べて主分力が増大している。背分力はパルス状でピークは200N程度でありそのピークでの平均背分力は56.63Nである。これも先願の比較例4よりも大きい値である。本発明の振動面はy方向を含むから送り分力Nが出現する。やはり切削期間だけの正負のまざった上下ピークである。正ピーク高さは80N、負ピーク高さは−250Nである。平均の送り分力は−88.45Nである。hx面の楕円振動であるから送り方向(y方向)の力が発生する。ピークの幅は比較例3より伸びており、切削期間は、1サイクルの中の2/3程度である。仕上げ面の粗さは、Ry=20.065μm、Ra=3.674μmである。図13(b)のように面粗度は、10サイクルごとに上下する副振動をもっている。このように切り屑が厚く、切り取り厚さが0.5mmになると、工具にかかる主分力、背分力ともに増大する。安定した切削が行えないために面粗度も悪くなる。
【0157】
そうであれば切り取り厚さが0.5mmというような厚いものでは本発明の卓越性がなくなるのか?というとそうではない。切り取り厚さが0.5mmの場合の通常切削の結果をここに示していない。それは0.5mmの場合、バイトが折損してしまって激しいびびり振動を生じ、もはや切削が不可能なのである。通常切削で不可能な厚い切り取り厚さでも切削可能だというところに本発明の優れた利点がある。ただし図10〜図13の結果から切り取り厚さが大きい場合は先願のzx面楕円振動切削の方が必要な主分力が小さくなり背分力も小さく面粗度の点でもより優越しているといえる。
【0158】
切り取り厚さkが0.5mmというのは、楕円振動の振幅ξ、ζ、ηの0.5mmというのと同じ大きさで、このように振幅と同程度の厚い切り取りを行う場合は、切り屑を表面より上まで持ち上げるzx面楕円振動に一歩を譲るようである。しかしながら、切り取り厚さが0.15mmのように振幅よりも小さい場合は、本発明のyq面楕円振動切削はその優越性をいかんなく発揮する。それは図11の(b)の面粗度のグラフから一目でわかる。
【0159】
本発明の方法はこのように通常切削では不可能な厚い切り取り厚さkで切削できるという長所がある。通常切削可能な場合でも、主分力や背分力が小さくなる。工具の負担も軽くなり破損、欠損などがおこりにくく長寿命になる。また被加工物の仕上げ面の面粗度が極めて小さいという利点がある。通常切削ではとても望みがたいような平坦、平滑な面を創成することができる。有望な発明である。
【0160】
【発明の効果】
▲6▼、▲7▼のように切り屑排出方向を含む面(zx面)内に限らず、本発明は刃先方向を含む面内(yz面、yq面、hx面)で楕円振動を付加しても類似の必要切削力低減効果が得られることを実証した。この必要切削力低減効果は、本質的な効果である。
【0161】
実用的には加工精度や、表面粗さの改善、びびり振動の抑制、難削材や難削形状の加工性の向上、被削材の工具への凝着の抑制、工具摩耗の抑制、など数多くの効果が得られるものと考えられる。
【0162】
▲6▼、▲7▼のように切り屑排出方向を含む面(zx面)内での楕円振動を与える方法では、切り取り厚さkが振動振幅に比べて小さい場合に、効果が得難くなるという欠点があった。また実際の切削加工では、この面内での楕円振動を与えることが困難な場合もある。
【0163】
これらのことから、ここで提案した、工具刃先の方向(yz面、yq面、hx面)に振動面を傾ける楕円振動切削加工法は、▲6▼、▲7▼とは異なる原理に基づき、異なる特徴をもつ新しい加工方法として、実用に共しうるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 工具、被削物、切屑の空間的関係を示すための斜視図。切削方向をx軸、切屑の這い上る背分力方向をz軸、送り方向をy軸というように座標を定義する。
【図2】 工具にx、y2方向の単振動を与えるための2つの圧電素子を有する楕円振動機構を示す正面図。
【図3】 工具にx、y2方向の単振動を与えるための2つの圧電素子を有する楕円振動機構を示す底面図。
【図4】 工具、被削物、切屑、楕円振動の空間的関係を示すための斜視図。図1と同様に切削方向をx軸、背分力方向をz軸、送り方向をy軸というように座標を定義し、先願のzx面楕円振動面と、本願発明のyx面楕円振動面とを図示している。
【図5】 実施例において被削物としての無酸素銅を回転させ工具を楕円振動させながら無酸素銅を切削する状況を示す斜視図。
【図6】 工具を振動、回転させない通常切削の場合の主分力P、背分力T、送り分力Nの時間変化の測定結果を示すグラフ。横軸が時間(秒)、縦軸が主分力P、背分力T、送り分力Nである。
【図7】 工具をxh面において楕円振動させた本発明の実施例における、主分力P、背分力T、送り分力Nの角度変化を示すグラフ。横軸が振動面xh面のzx面からの傾斜角(90−Φ)である。縦軸が主分力P、背分力T、送り分力Nである。
【図8】 yx面で工具を楕円振動させる本発明の方法において、楕円振動1周期ABCDA’において、工具刃先の被削物上の軌跡の1周期での変動を示す図。
【図9】切り取り厚さを0.15mmとした通常切削をおこなう比較例2において、加工中の3種の切削力(主分力、背分力、送り分力)の時間変化を示すグラフ(a)と、仕上げ面の凹凸を示す断面形状のグラフ(b)。グラフ(a)において横軸は時間(s)、縦軸は力(ニュートン;N)である。グラフ(b)において横軸は仕上げ面の上において切削方向位置(mm)、縦軸は断面形状(μm)を示している。
【図10】切り取り厚さを0.15mmとしたxz方向(縦方向)楕円振動切削を行う比較例3において、加工中の3種の切削力(主分力、背分力、送り分力)の時間変化を示すグラフ(a)と、仕上げ面の凹凸を示す断面形状のグラフ(b)。グラフ(a)において横軸は時間(s)、縦軸は力(ニュートン;N)である。グラフ(b)において横軸は仕上げ面の上において切削方向位置(mm)、縦軸は断面形状(μm)を示している。
【図11】切り取り厚さを0.15mmとしたxy方向(水平方向)から10度の傾斜面を振動面とするxh面楕円振動切削を行う実施例2において、加工中の3種の切削力(主分力、背分力、送り分力)の時間変化を示すグラフ(a)と、仕上げ面の凹凸を示す断面形状のグラフ(b)。グラフ(a)において横軸は時間(s)、縦軸は力(ニュートン;N)である。グラフ(b)において横軸は仕上げ面の上において切削方向位置(mm)、縦軸は断面形状(μm)を示している。
【図12】切り取り厚さを0.5mmとしたxz面を振動面とする楕円振動切削を行う比較例3において、加工中の3種の切削力(主分力、背分力、送り分力)の時間変化を示すグラフ(a)と、仕上げ面の凹凸を示す断面形状のグラフ(b)。グラフ(a)において横軸は時間(s)、縦軸は力(ニュートン;N)である。グラフ(b)において横軸は仕上げ面の上において切削方向位置(mm)、縦軸は断面形状(μm)を示している。
【図13】切り取り厚さを0.5mmとしたxy方向(水平方向)から10度の傾斜面を振動面とするxh面楕円振動切削を行う実施例3において、加工中の3種の切削力(主分力、背分力、送り分力)の時間変化を示すグラフ(a)と、仕上げ面の凹凸を示す断面形状のグラフ(b)。グラフ(a)において横軸は時間(s)、縦軸は力(ニュートン;N)である。グラフ(b)において横軸は仕上げ面の上において切削方向位置(mm)、縦軸は断面形状(μm)を示している。
【図14】yx面で工具を楕円振動させる本発明の方法において、図8に示す楕円振動1周期ABCDA’において、工具刃先の被削物上での主分力P、背分力T、送り分力Nの1周期での変動を示す図。 刃先が被削物に接触している切削期間ABでは、P、T、Nともに大きくなる。刃先が被削物に非接触となる離隔期間BA’では、P、T、Nともにほぼ0になる。
【符号の説明】
1 工具
2 被削物
3 切屑
4 刃先
5 逃げ面
6 すくい面
10 ベース
11 支持ブロック
12 第1圧電素子
13 第2圧電素子
14 固定台
15 センサ
17 ベースのxz面
18 ベースのzy面
19 支持ブロックのxz面
20 支持ブロックのzy面
21 被削物支持台
22 送り装置
23 支持ブロックのyz面
Claims (4)
- 切削方向をx方向、切屑排出方向をz方向、工具送り方向をy方向として、yx面で工具を楕円振動させる楕円振動切削加工法において、
被削物を工具が切削する切削期間と、工具の刃先が被削物を離れる離隔期間とを含み、前記切削期間は、工具送り方向の速度が反転した後に開始し、前記切削期間内で前記工具送り方向の速度が0になることがなく、また反転することがないように工具を楕円振動させる事を特徴とする楕円振動切削加工法。 - 切削方向をx方向、切屑排出方向をz方向、工具送り方向をy方向として、yx面をy軸方向の廻りにΘだけ回転したyq面で工具を楕円振動させる楕円振動切削加工法において、
被削物を工具が切削する切削期間と、工具の刃先が被削物を離れる離隔期間とを含み、前記切削期間は、工具送り方向の速度が反転した後に開始し、前記切削期間内で前記工具送り方向の速度が0になることがなく、また反転することがないように工具を楕円振動させる事を特徴とする楕円振動切削加工法。 - 切削方向をx方向、切屑排出方向をz方向、工具送り方向をy方向として、yx面をx軸の廻りにΦだけ回転させたhx面で工具を楕円振動させる楕円振動切削加工法において、
被削物を工具が切削する切削期間と、工具の刃先が被削物を離れる離隔期間とを含み、前記切削期間は、工具送り方向の速度が反転した後に開始し、前記切削期間内で前記工具送り方向の速度が0になることがなく、また反転することがないように工具を楕円振動させる事を特徴とする楕円振動切削加工法。 - 直交する二方向の振動の波形が方形波であって四角形軌跡をもつ振動をさせることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の楕円振動切削加工法。
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