JP4973252B2 - ストール予兆検知方法及びエンジン制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、軸流圧縮機のストール予兆検知方法及びエンジン制御システムに関する。
ガスタービンエンジンやジェットエンジン等に使用される軸流圧縮機において、ストールが発生した場合、圧力比の低下、断熱効率の低下、吸入流量の減少や空気の逆流等の不具合が生じる。このため、従来の軸流圧縮機は、ストール現象の発生点から十分マージンを持った点で運転しなければならず、性能を十分に引き出せない状態で使用せざるを得なかった。
このような問題を解決するために、ストールを予兆段階で検知し、アクチュエーションによって回避するエンジン制御(アクティブストール制御)が提案されている。このアクティブストール制御を実現するためのストール予兆検知技術として、例えば、下記特許文献1には、高応答圧力センサをロータ動翼のリーディングエッジ近傍のケーシング内壁面に設置し、高応答圧力センサによって検出した壁圧の時系列データの自己相関値を、ストールリスクを評価する指標(ストールリスク評価指標)として算出し、当該ストールリスク評価指標に基づいてストール予兆を検知する技術が開示されている。また、下記特許文献2には、圧縮機に関するパラメータ(圧力等)の時系列データに周波数復調処理を施した後、カルマンフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、上記パラメータの生データとフィルタ処理後の推定値との差を示すカルマンフィルタ・イノベーションを求め、当該カルマンフィルタ・イノベーションの標準偏差をストールリスク評価指標として用いてストール予兆を検知する技術が開示されている。さらに、下記特許文献3には、圧縮機に関するパラメータ(圧力等)を示すデータに対してウェーブレット変換を実行することで、ストールリスク評価指標を求める技術が開示されている。
特開2002−364582号公報 特開2004−124946号公報 特開2005−188514号公報
上述したように、従来では種々のストール予兆検知技術があるが、ストールリスク評価指標には大きな時間的変動が生じる場合や、軸流圧縮機の周方向の位置によって出現時期や大きさが異なる(周方向不均一性)場合があり得る。このため、ストールの予兆を正確に検知することができず、ストール回避制御が不安定となったり、圧力等を測定するセンサの故障診断が困難となるという問題がある。
この問題に対し、本願発明者は、特願2006−140257において、エンジン制御周期を超えない時間幅でストールリスク評価指標の時間平均処理を行い、さらに、軸流圧縮機の周方向における複数箇所の夫々で取得したストールリスク評価指標の時間平均値の周方向平均値を求めることによりストールリスク評価指標の安定化を図り、高い信頼性を有するストール予兆検知技術を提案している。このようなストール予兆検知技術を用いることにより、ある程度ストールリスク評価指標の安定化を図ることは可能であるが、計測ノイズに起因するストールリスク評価指標の時間的変動を抑制するには十分ではなかった。
また、この計測ノイズに起因するストールリスク評価指標の時間的変動を抑制するために、ストールリスク評価指標の時間平均値に対し、指数平滑処理、移動平均処理、または低域通過フィルタ等を適用することによって平滑化を行う方法も考えられるが、この場合、大きな応答遅れがストールリスク評価指標に生じることになる。特にエンジンの急加速時にはストールマージンが100(ms)の間に5%程度の割合で急激に減少するため、ストールリスク評価指標の応答遅れによって必要な時にストール回避制御を行うことができず、ストールが発生してしまうという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、アクティブストール制御に必須の高精度(高感度)且つ安定したストールリスク評価指標を得ると共に、高信頼性を有する安定したストール予兆検知方法及び検知エンジン制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、ストール予兆検知方法に係る第1の解決手段として、複数の動翼が設けられたロータと、前記動翼と対向してロータの外周を覆うように設けられた円筒状のケーシングとからなる軸流圧縮機のストール予兆検知方法であって、
前記ケーシングの内壁面の周方向の複数箇所において、同一箇所の各々に1または複数設置された圧力センサによって検出された圧力の時系列データに基づいてストールリスクを評価する指標(ストールリスク評価指標)を算出する指標算出工程と、前記圧力センサに対応して得られる前記ストールリスク評価指標の各々に時間平均処理を行う時間平均処理工程と、前記圧力センサに対応して得られる前記時間平均処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する周方向平均処理工程と、前記ストールリスク評価指標の周方向平均値に対して平滑化処理を行う平滑化処理工程と、前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の応答遅れを補正する遅れ補正工程と、前記応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値に基づいてストールの予兆を検知する予兆検知工程とを有することを特徴とする。
また、本発明では、ストール予兆検知方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記遅れ補正工程では、前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の時間変化率と、所定の応答遅れ時間とを乗算してなる補正項を前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値に加算することにより、前記応答遅れを補正することを特徴とする。
また、本発明では、ストール予兆検知方法に係る第3の解決手段として、複数の動翼が設けられたロータと、前記動翼と対向してロータの外周を覆うように設けられた円筒状のケーシングとからなる軸流圧縮機のストール予兆検知方法であって、前記ケーシングの内壁面の周方向の複数箇所において、同一箇所の各々に1または複数設置された圧力センサによって検出された圧力の時系列データに基づいてストールリスクを評価する指標(ストールリスク評価指標)を算出する指標算出工程と、前記圧力センサに対応して得られる前記ストールリスク評価指標の各々に時間平均処理を行う時間平均処理工程と、前記圧力センサに対応して得られる前記時間平均処理後のストールリスク評価指標の各々に平滑化処理を行う平滑化処理工程と、前記圧力センサに対応して得られる前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々の応答遅れを補正する遅れ補正工程と、前記圧力センサに対応して得られる前記応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する周方向平均処理工程と、前記応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値に基づいてストールの予兆を検知する予兆検知工程とを有することを特徴とする。
また、本発明では、ストール予兆検知方法に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記遅れ補正工程では、前記圧力センサに対応して得られる前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々について、個別に前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の時間変化率と、所定の応答遅れ時間とを乗算してなる補正項を当該平滑化処理後のストールリスク評価指標に加算することにより、前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々の応答遅れを補正することを特徴とする。
また、本発明では、ストール予兆検知方法に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれかの解決手段において、前記平滑化処理工程では、前記平滑化処理として指数平滑処理を行うことを特徴とする。
さらに、本発明では、エンジン制御システムに係る解決手段として、軸流圧縮機を備えるエンジンの制御システムであって、上記のいずれかの解決手段を有するストール予兆検知方法を用いて軸流圧縮機のストールの予兆を検知するストール予兆検知装置と、当該ストール予兆検知装置によるストール予兆検知結果に基づいてエンジンの制御を行なうエンジン制御装置とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、ストールリスク評価指標における時間的変動、周方向不均一性及び固有差の影響の低減と共に、計測ノイズの低減、応答遅れの補正を行うので、エンジン急加速時などのストールマージンが急激に変化する場合でもアクティブストール制御に必須の高精度(高感度)且つ安定したストールリスク評価指標を得ることができ、その結果、正確なアクティブストール制御を行うことが可能である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン制御システムの構成ブロック図である。本エンジン制御システムは、軸流圧縮機を備えるガスタービンエンジンやジェットエンジン等の制御システムであり、軸流圧縮機のストール予兆を検知するストール予兆検知装置STDと、当該ストール予兆検知装置STDによるストール予兆検知結果に基づいてエンジンの制御を行なうエンジン制御装置ECUとから構成されている。なお、エンジン制御装置ECUは、2系統のエンジン制御装置(第1のエンジン制御装置20及び第2のエンジン制御装置30)から構成されている。
ストール予兆検知装置STDは、第1の圧力センサ1〜第8の圧力センサ8、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10、第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14、第1の信号処理部15、第2の信号処理部16及び記憶部17から構成されている。
図2は、軸流圧縮機Cに対する第1の圧力センサ1〜第8の圧力センサ8の設置位置を示す説明図であり、図2(a)は軸流圧縮機の正面図、図2(b)は軸流圧縮機の要部断面図(側面図)である。軸流圧縮機Cは、複数の動翼C1が設けられたロータC2と、上記動翼C1と対向してロータC2の外周を覆うように設けられた円筒状のケーシングC3とから略構成される。図2(a)に示すように、ケーシングC3の周方向に沿って設定されたセンサ設置箇所W1〜W4において、センサ感度面がケーシングC3の内壁面C4と面一となるように、それぞれ圧力センサが2個ずつ(2系統)設置されている。つまり、ケーシングC3の周方向において、12時の位置に設定されたセンサ設置箇所W1には、第1の圧力センサ1及び第2の圧力センサ2が設置され、3時の位置に設定されたセンサ設置箇所W2には、第3の圧力センサ3及び第4の圧力センサ4が設置され、6時の位置に設定されたセンサ設置箇所W3には、第5の圧力センサ5及び第6の圧力センサ6が設置され、また、9時の位置に設定されたセンサ設置箇所W4には、第7の圧力センサ7及び第8の圧力センサ8が設置されている。
また、図2(b)に示すように、各圧力センサは、動翼C1のリーディングエッジ近傍から、動翼チップ側前端と後端間の中央までの範囲Xの内壁面C4に設置されている。ここで、リーディングエッジXは、動翼C1の通過により同様なインジケーションを示す動翼C1の上流域も含む。なお、各センサ設置箇所に設置される圧力センサの内、奇数番目(第1の圧力センサ1、第3の圧力センサ3、第5の圧力センサ5及び第7の圧力センサ7)をα系統とし、偶数番目(第2の圧力センサ2、第4の圧力センサ4、第6の圧力センサ6及び第8の圧力センサ8)をβ系統とする。
これら第1の圧力センサ1〜第8の圧力センサ8は、例えば高応答圧力センサであり、各センサ設置箇所W1〜W4の内壁面C4において、動翼C1が回転することによって生じる壁圧変化を検出し、当該壁圧変化を示す圧力検出信号を第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14に出力する。具体的には、第1の圧力センサ1及び第2の圧力センサ2は、センサ設置箇所W1の内壁面C4における壁圧変化を検出し、当該壁圧変化を示す圧力検出信号を第1の評価指標算出部11に出力する。第3の圧力センサ3及び第4の圧力センサ4は、センサ設置箇所W2の内壁面C4における壁圧変化を検出し、当該壁圧変化を示す圧力検出信号を第2の評価指標算出部12に出力する。第5の圧力センサ5及び第6の圧力センサ6は、センサ設置箇所W3の内壁面C4における壁圧変化を検出し、当該壁圧変化を示す圧力検出信号を第3の評価指標算出部13に出力する。第7の圧力センサ7及び第8の圧力センサ8は、センサ設置箇所W4の内壁面C4における壁圧変化を検出し、当該壁圧変化を示す圧力検出信号を第4の評価指標算出部14に出力する。
図1に戻って説明すると、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10は、例えばパルスピックアップであり、軸流圧縮機CのロータC2の1回転当たり1パルスの回転数を検出し、当該回転数を示す回転パルス信号を第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14に出力する。このように、回転数センサを2系統備えることにより、仮にどちらか一方が故障した場合でも、回転数を正常に検出できる。ここで、第1の回転数センサ9をα系統とし、第2の回転数センサ10をβ系統とする。
第1の評価指標算出部11は、第1の圧力センサ1及び第2の圧力センサ2から入力される圧力検出信号、つまりセンサ設置箇所W1の内壁面C4における壁圧変化を示す時系列データに基づいてストールリスクを評価する指標(ストールリスク評価指標)を算出する。ここで、第1の評価指標算出部11は、ストールリスク評価指標を第1の圧力センサ1及び第2の圧力センサ2に対応して個別に算出し、第1の圧力センサ1から得られるストールリスク評価指標と、第2の圧力センサ2から得られるストールリスク評価指標とを示す第1の評価指標信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。
また、この第1の評価指標算出部11は、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10から入力される回転パルス信号に基づいて回転数を算出し、当該回転数を示す回転数信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する機能を有する。
第2の評価指標算出部12は、第3の圧力センサ3及び第4の圧力センサ4から入力さ
れる圧力検出信号、つまりセンサ設置箇所W2の内壁面C4における壁圧変化を示す時系列データに基づいてストールリスク評価指標を算出する。ここで、第2の評価指標算出部12は、ストールリスク評価指標を第3の圧力センサ3及び第4の圧力センサ4に対応して個別に算出し、第3の圧力センサ3から得られるストールリスク評価指標と、第4の圧力センサ4から得られるストールリスク評価指標とを示す第2の評価指標信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。また、この第2の評価指標算出部12は、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10から入力される回転パルス信号に基づいて回転数を算出し、当該回転数を示す回転数信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する機能を有する。
第3の評価指標算出部13は、第5の圧力センサ5及び第6の圧力センサ6から入力さ
れる圧力検出信号、つまりセンサ設置箇所W3の内壁面C4における壁圧変化を示す時系列データに基づいてストールリスク評価指標を算出する。ここで、第3の評価指標算出部13は、ストールリスク評価指標を第5の圧力センサ5及び第6の圧力センサ6に対応して個別に算出し、第5の圧力センサ5から得られるストールリスク評価指標と、第6の圧力センサ6から得られるストールリスク評価指標とを示す第3の評価指標信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。また、この第3の評価指標算出部13は、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10から入力される回転パルス信号に基づいて回転数を算出し、当該回転数を示す回転数信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する機能を有する。
第4の評価指標算出部14は、第7の圧力センサ7及び第8の圧力センサ8から入力さ
れる圧力検出信号、つまりセンサ設置箇所W4の内壁面C4における壁圧変化を示す時系列データに基づいてストールリスク評価指標を算出する。ここで、第4の評価指標算出部14は、ストールリスク評価指標を第7の圧力センサ7及び第8の圧力センサ8に対応して個別に算出し、第7の圧力センサ7から得られるストールリスク評価指標と、第8の圧力センサ8から得られるストールリスク評価指標とを示す第4の評価指標信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。また、この第4の評価指標算出部14は、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10から入力される回転パルス信号に基づいて回転数を算出し、当該回転数を示す回転数信号を第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する機能を有する。
第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、上記第1〜第4の評価指標信号と回転数信号とに基づいて所定の信号処理を行うことにより、圧力センサの故障診断及び軸流圧縮機Cにおけるストール予兆検知を行う。また、詳細は後述するが、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、記憶部17において各圧力センサに対応して記憶されている、ロータC2の回転数とストールリスク評価指標の補正値との関係を示す近似多項式に基づいて、ストールリスク評価指標の補正を行う。
ここで、第1の信号処理部15は第1のエンジン制御装置20に、また、第2の信号処理部16は第2のエンジン制御装置30に、上記圧力センサの故障診断の結果及びストール予兆検知の結果を示す信号をそれぞれ出力する。
記憶部17は、例えばフラッシュメモリ等であり、各圧力センサに対応する、ロータC2の回転数とストールリスク評価指標の補正値との関係を示す近似多項式を予め記憶している。
第1のエンジン制御装置20及び第2のエンジン制御装置30は、上記第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16から取得した圧力センサの故障診断結果及びストール予兆検知結果に基づいてエンジンのアクティブストール制御を行なう。
以上のように、本エンジン制御システムでは、各センサ設置箇所W1〜W4に設置される圧力センサと評価指標算出部との組み合わせを4系統備えた3/4常用冗長系を構成すると共に、信号処理部及びこれに対応するエンジン制御装置を2系統備えた1/2待機冗長系を構成することにより、各センサ設置箇所W1〜W4に設置される圧力センサのいずれかが故障した場合や、信号処理部またはエンジン制御装置の一方が故障した場合であっても、妥当なストール予兆検知を行なうことができ、その結果、安全なエンジン制御を実現することができる。
なお、ここで、3/4常用冗長系とは、常に4系統使用してそれらの平均値を採用し、1系統が故障した場合でも残りの3系統で対応するシステムを指す。また、1/2待機冗長系とは、2系統の内、一方の系統をアクティブチャンネルに、他方の系統をスタンドバイ(待機)チャンネルに設定して、通常はアクティブチャンネル側の系統を使用し、この系統が故障した場合にはスタンドバイチャンネル側の系統に切り替わるシステムを指す。
次に、上記のように構成された本エンジン制御システムの動作、特にストール予兆検知装置STDにおけるストール予兆検知動作について、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。
まず、エンジン運転時において、軸流圧縮機Cの各センサ設置箇所W1〜W4に設置されたα系統及びβ系統の圧力センサは、それぞれが設置された内壁面C4の壁圧変化を検出し、圧力検出信号を各圧力センサに対応して設けられた第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14に出力する。また、第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10は、軸流圧縮機CのロータC2の回転数を示す回転パルス信号を第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14に出力する。
第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14は、上記のように第1の回転数センサ9及び第2の回転数センサ10から個別に出力される回転パルス信号に基づいて回転数を算出する(ステップS1)。本実施形態では、α系統の第1の回転数センサ9をアクティブチャンネル(第2の回転数センサ10をスタンドバイチャンネルとする)とし、当該第1の回転数センサ9から得られる回転パルス信号に基づいて回転数を算出するものとする。なお、仮に第1の回転数センサ9が故障した場合は、第2の回転数センサ10から得られる回転パルス信号に基づいて回転数を算出すれば良い。
また、回転数センサの故障を判断する方法としては、回転パルス信号は位相差によってアクティブチャンネル及びスタンドバイチャンネルから同時に出力されないため、回転パルス信号が両チャンネルから交互に検出される場合は正常と判断し、そうでなければ異常と判断することができる。例えば、アクティブチャンネルの回転パルス信号が2回連続で検出された場合は、スタンドバイチャンネルが故障していると判断する。
そして、第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14は、α系統及びβ系統の圧力センサから取得した圧力検出信号、つまり壁圧変化を示す時系列データに基づいてストールリスク評価指標を算出する(ステップS2)。本実施形態では、ストールリスク評価指標の算出方法として、特開2002−364582号公報(特許文献1)の技術を採用する。詳細な説明は省略するが、このストールリスク評価指標の算出方法は、壁圧変化を示す時系列データの一定時間内のデータセットと1周前又は複数周前のデータセットとの自己相関値をストールリスク評価指標として算出するものである。なお、自己相関値を計算する時間スパンは、1周以内であれば動翼C1の1翼間分であっても良いし、1周分であっても良い。
図4(a)は、上記のように、動翼C1の1翼間分の時間スパンで自己相関値(つまりストールリスク評価指標)を算出した結果の一例である。なお、この図では、軸流圧縮機Cの所定の3箇所に設置された圧力センサから得られた時系列データを基に算出したストールリスク評価指標を示している。この図に示すように、ストールリスク評価指標は時間的変動が大きく、この状態ではストール予兆を正確に検知することや、以下に説明する圧力センサの故障診断を行なうことは非常に困難である。
第1の評価指標算出部11は、上記のような算出方法により、α系統(第1の圧力センサ1)及びβ系統(第2の圧力センサ2)に対応して得られたストールリスク評価指標を示す第1の評価指標信号と、回転数を示す回転数信号とを第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。同様に、第2の評価指標算出部11は、α系統(第3の圧力センサ3)及びβ系統(第4の圧力センサ4)に対応して得られたストールリスク評価指標を示す第2の評価指標信号と、回転数を示す回転数信号とを第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。また、第3の評価指標算出部13は、α系統(第5の圧力センサ5)及びβ系統(第6の圧力センサ6)に対応して得られたストールリスク評価指標を示す第3の評価指標信号と、回転数を示す回転数信号とを第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。さらに、第4の評価指標算出部14は、α系統(第7の圧力センサ7)及びβ系統(第8の圧力センサ8)に対応して得られたストールリスク評価指標を示す第4の評価指標信号と、回転数を示す回転数信号とを第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16に出力する。
次に、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、上記のように第1の評価指標算出部11〜第4の評価指標算出部14から取得した、α系統及びβ系統の各圧力センサに対応するストールリスク評価指標に対し、それぞれ時間平均処理を行う(ステップS3)。ここで、時間平均処理の手法としては、加算平均や2乗根平均等、種々の方法を適用可能である。図4(b)は、図4(a)のストールリスク評価指標の20(ms)間における2乗根平均値を示すものである。この図に示すように、時間平均処理を行うことにより、ストールリスク評価指標の時間的変動を大きく低減することが可能である。よって、ストール予兆検知や圧力センサの故障診断を正確に行なうことができる。なお、平均化を行なう時間幅は、エンジン制御周期や当該制御周期の1/2等、エンジン制御の安定化を図ることのできる充分な時間幅で、且つストール予兆検知時期を遅らせない程度の短い時間幅で、且つエンジン制御装置と整合性のある時間幅とすることが望ましい。
続いて、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、記憶部17に記憶されている各圧力センサに対応する、ロータC2の回転数とストールリスク評価指標の補正値との関係を示す近似多項式に基づき、運転時の回転数における補正値を算出する(ステップS4)。以下、この補正値について詳細に説明する。
上述したように、ストール予兆を正確に検知できない理由として、ストールリスク評価指標の時間的変動や、軸流圧縮機Cの周方向における圧力センサの設置箇所に依存して発生するストールリスク評価指標の周方向不均一性が考えられる。この内、ストールリスク評価指標の周方向不均一性の要因としては、実際に設置箇所に依存してストール予兆の出現時期や大きさが異なることが挙げられるが、他の要因として、圧力センサの個体差や、ケーシングC3の内壁面C4と動翼端間のクリアランスの周方向不均一性が考えられる。前者の要因については補正を行うべきではないが、後者の要因については補正を行うことが望ましい。
そこで、まず、実運転前(新製エンジンの出荷運転時やメンテナンス時等)に、種々の回転数の定常運転時において各圧力センサから得られるストールリスク評価指標を測定し、これらの周方向平均値を算出する。ここで、周方向平均値の算出方法としては、α系統の圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値と、β系統の圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値とを別個に算出する方法や、周方向に設置された全ての圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する方法を採用することができる。
そして、各圧力センサから得られたストールリスク評価指標と、上記のように算出した周方向平均値との差が、各圧力センサ毎の固有差である。よって、この固有差を各圧力センサ固有の補正値とし、実運転時には、各圧力センサから得られるストールリスク評価指標から上記補正値を差し引くことにより、圧力センサの個体差や、ケーシングC3の内壁面C4と動翼端間のクリアランスの周方向不均一性に起因するストールリスク評価指標の周方向不均一性を補正することができる。つまり、記憶部17には、このように実運転前に予め求めておいた、各圧力センサに対応する、ロータC2の回転数とストールリスク評価指標の補正値との関係が回転数の関数である近似多項式として記憶されているのである。従って、ステップS4の処理において、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、実運転時の回転数を上記近似多項式に代入することにより、各圧力センサに対応する補正値をそれぞれ算出することができるため、実運転に入ってから連続的に変化する回転数にリアルタイムに対応することができる。
なお、上記のように、回転数とストールリスク評価指標の補正値との関係を近似多項式で記憶したが、これに限定されず、テーブルデータとして記憶しても良い。
第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、ステップS3により時間平均処理を施した各圧力センサのストールリスク評価指標から、ステップS4により算出した各圧力センサに対応する補正値をそれぞれ差し引くことによりストールリスク評価指標の補正を行う(ステップS5)。
図5(a)は、上記のような補正を行わない場合におけるストールリスク評価指標(時間平均処理済み)とストールマージンとの関係を示すものである。なお、この図では、軸流圧縮機Cの所定の3箇所に設置された圧力センサから得られた時系列データを基に算出したストールリスク評価指標を示している。この図に示すように、ストールマージンの広い状態から、周方向でストールリスク評価指標の差が大きく、固有差があることがわかる。
一方、図5(b)は、ストールマージン15%における周方向平均値から各圧力センサの固有差(補正値)を求め、当該補正値をストールリスク評価指標から差し引いた場合、つまりステップS5による補正を行った場合の、ストールリスク評価指標とストールマージンとの関係を示すものである。この図に示すように、固有差の除去により、周方向におけるストールリスク評価指標の差を低減できることがわかる。ここでは、図5(a)と比較して、周方向におけるストールリスク評価指標の差の最大値は約2/5に減少している。
続いて、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、各センサ設置箇所の同一箇所に設置されたα系統の圧力センサから得られた補正後のストールリスク評価指標と、β系統の圧力センサから得られた補正後のストールリスク評価指標との乖離が所定の閾値より大きいか否かを判定することにより圧力センサの故障診断を行なう(ステップS6)。
この故障診断は、各センサ設置箇所についてそれぞれ行なわれる。
ステップS6において、「NO」、つまり全てのセンサ設置箇所において、上記乖離が所定の閾値以下であった場合、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、全圧力センサを正常と判断し、各圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する(ステップS7)。本実施形態では、各センサ設置箇所のα系統の圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値と、β系統の圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値とを別個に算出する。そして、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、α系統とβ系統の内、事前にアクティブチャンネルとして指定されている方のストールリスク評価指標の周方向平均値を、最終的にストール予兆を検知するための指標として選択する(ステップS8)。
一方、ステップS6において、「YES」、つまりいずれかのセンサ設置箇所において、上記乖離が所定の閾値より大きい場合、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、当該センサ設置箇所に設置された全ての圧力センサに故障が発生したと判断し、その故障が単一故障(1つのセンサ設置箇所で故障が発生)か、または二重故障(2つ以上のセンサ設置箇所で故障が発生)かを判定する(ステップS9)。このステップS9において、「YES」、つまり単一故障が発生した場合、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、上記単一故障が発生したセンサ設置箇所を除く他の3つのセンサ設置箇所の各圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する(ステップS10)。ここでも、ステップS7と同様に、α系統の圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値と、β系統の圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値とを別個に算出する。そして、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、α系統の周方向平均値とβ系統の周方向平均値とを比較し、周方向平均値が大きい方の系統をアクティブチャンネル系統として選択し(ステップS11)、ステップS8に移行する。この場合、故障と判定した箇所の圧力センサは以後使用禁止に設定する。
ここで、上記のようにストールリスク評価指標の周方向平均値を求めることによる効果について説明する。図6(a)は、軸流圧縮機Cの周方向6箇所に圧力センサを設置し、軸流圧縮機Cを設計点で作動させた状態からストール状態に遷移するまでの、各圧力センサから得られるストールリスク評価指標(時間平均処理済み)の変化を示すものである。ストールリスク評価指標の時間的変動は時間平均処理によって解決できるが、図6(a)に示すように、周方向における圧力センサの設置箇所によってストールリスク評価指標は大きく変動する(つまり周方向不均一性が大きい)ことがわかる。一般的に、ストールリスク評価指標(壁圧の自己相関値)が周方向のある特定の位置で悪化した場合でも、すぐにストール状態には陥らず、周方向のほぼ全域で悪化し始めてからストールする傾向にある。従って、本実施形態のように、ストールリスク評価指標の周方向平均値を求めることは、周方向不均一性に対する最適な対処方法であると考えられる。
図6(b)は、6箇所の各圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値と、1箇所故障が発生した場合に、残り5箇所の各圧力センサから得られるストールリスク評価指標の周方向平均値の変化を示すものである。この図に示すように、故障により圧力センサを1個(1箇所分)失った場合であっても、周方向平均値に与える影響は少ないことがわかる。従って、上記ステップS7とS10とで算出した周方向平均値には大きな乖離がなく、単一故障が発生した場合であってもストール予兆検知精度を維持することができる。また、単一故障した場合は、ステップS11のように、α系統とβ系統との周方向平均値の内、大きい方を選択することで、より安全なストール予兆検知を行なうことができる。
一方、ステップS9において、「NO」、つまり二重故障が発生した場合、第1の信号処理部15は第1のエンジン制御装置20に、第2の信号処理部16は第2のエンジン制御装置30に二重故障警報信号をそれぞれ出力する(ステップS12)。このように、2箇所以上で圧力センサに異常が発生した場合、ストール予兆検知精度を維持できなくなる可能性があるため警報を発生する。
次に、ステップS13に戻って説明すると、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、ステップS8によって決定したストールリスク評価指標の周方向平均値に対して、下記(1)式を用いて指数平滑処理を行う(ステップS13)。なお、下記(1)式において、yはストールリスク評価指標の周方向平均値の今回値、Yn−1は指数平滑処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の前回値、Yは指数平滑処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の今回値、Cは係数(平滑化定数)である。ここで、応答遅れ時間は係数Cに依存して決まることになる。
Figure 0004973252
以下、ストールリスク評価指標の周方向平均値に対する指数平滑処理の効果について説明する。
(1)指数平均化処理を行わない場合
まず、指数平均化処理を行わない場合について説明する。図7(a)は、軸流圧縮機Cにおける周方向の3箇所に設置した各圧力センサに対応する1翼間のストールリスク評価指標を算出し、夫々のストールリスク評価指標を10(ms)に亘って時間平均処理した後、夫々のストールリスク評価指標の時間平均値を周方向平均して得られたストールリスク評価指標の時間変動を示すものである。なお、図7(a)は軸流圧縮機Cを定常運転して得たデータである。図7(b)に、100(ms)以上に亘って平均化したストールリスク評価指標とストールマージンとの関係を示す。アクティブストール制御の開始または停止を判断するためのストールリスク評価指標の閾値(後述する第1の閾値L1及び第2の閾値L2)は、この図7(b)に示すストールリスク評価指標とストールマージンとの平均的関係に基づいて設定される。
図7(a)に示すストールリスク評価指標の周方向平均値の時間変動が、アクティブストール制御の開始または停止の判断に与える影響を評価するために、図7(a)のストールリスク評価指標の周方向平均値を、図7(b)のストールリスク評価指標とストールマージンとの平均的関係を用いてストールマージンに換算し、図7(c)に示すような換算後のストールマージンの時間変動を求めた。
正確なアクティブストール制御を行うためには、ストールマージンの時間変動幅を±2%以内に抑える必要がある。しかしながら、実際には図7(c)に示すように、ストールマージンは6%を中心として±2%を大きく超える時間変動幅を有しており、アクティブストール制御の開始または停止の判断に多大な影響を与えることになる。ここで、ストールリスク評価指標は軸流圧縮機Cを定常運転して得たデータであるので、図7(c)に示すストールマージンの時間変動は、ストールリスク評価指標の計測ノイズが支配的であると考えられる。ただし、図7(c)では、瞬時圧縮機作動が不安定となり、その後平均的状態に復帰する場合も観察でき、ストールリスク評価指標の時間変動の一部は実際にストールマージンが時間変動していることに起因すると考えられる。このようなストールマージンの時間変動は、軸流圧縮機Cを定常運転していても起こり得る不安定の成長及び復帰の他、インレットディストーション(機体が急旋回をしたり、横風や突風を受けたりしたためにエンジンに対して斜めから空気が流入すること)の影響によって誘発される場合も考えられる。
(2)指数平均化処理を行った場合
次に、指数平均化処理を行った場合について説明する。図8(a)は、ストールリスク評価指標の周方向平均値に対して、上記(1)式を用いて指数平滑処理を行った場合における、指数平滑処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の時間変動を示すものである。なお、係数Cの値は0.15に設定した。また、図7(c)と同様に、図8(a)の指数平滑処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値を、図7(b)のストールリスク評価指標とストールマージンとの平均的関係を用いてストールマージンに換算し、図8(b)に示すような換算後のストールマージンの時間変動を求めた。
図7(a)と図8(a)とを比較してわかるように、指数平滑処理を行うことにより、計測ノイズ、つまり時間変動を低減することができる。また、図8(b)に示すように、定常運転中における急激な不安定の成長及び復帰の部分を除き、ストールマージンの時間変動幅を±2%以内に抑えることができる。以上のように、指数平均化処理を行った場合、計測ノイズを低減でき、ストールリスク評価指標の安定化を図ることができる。
このように、指数平滑化処理を行うことで計測ノイズを低減できる一方、運転状態が急激に不安定化する場合には応答遅れが発生する。この応答遅れの影響を以下のように評価した。まず、上述したような軸流圧縮機Cの定常運転中において起こり得る不意の変動はないものと仮定し、エンジン動特性シミュレーションにより予測したエンジン急加速時のストールマージンの時間変化を図9(a)に示す。この図9(a)において、時刻0(s)が急加速開始時点を示す。これに対し、ストールマージンに不意の時間変動を重畳することによって、定常運転中に実際に起こり得るストールマージン変化を図9(b)のように仮定した。この時の計測ノイズがない場合のストールリスク評価指標を図9(c)に示す。なお、図9(c)において、符号100の破線は、ストールマージン0%の場合のストールリスク評価指標を示し、符号200の破線は、ストールマージン5%の場合のストールリスク評価指標を示し、符号300の破線は、ストールマージン15%の場合のストールリスク評価指標を示している。ここで、ストールマージンが0%以下になる前に、つまりストールリスク評価指標が破線100に到達する前にアクティブストール制御を開始する必要がある。
また、図9(c)のストールリスク評価指標(以下、このストールリスク評価指標をストールリスク評価指標真値と呼ぶ)に対し、ストールマージン換算で標準偏差1.5%に対応する計測ノイズを重畳して作成したストールリスク評価指標計測値、及びこのストールリスク評価指標計測値に対して指数平滑処理を行ったストールリスク評価指標指数平滑値の時間変化を図10(a)に示す。この図10(a)に示すように、ストールリスク評価指標指数平滑値には、ストールリスク評価指標真値やストールリスク評価指標計測値に対して応答遅れが発生していることがわかる。従って、仮に、この応答遅れを見込んでストールマージンが5%以下になった場合、つまりストールリスク評価指標指数平滑値が破線200に到達した場合を、アクティブストール制御の開始時点と設定しても、実際のストールマージンは0%以下となっており、ストールの回避は不可能となる。
そこで、ステップS14では、ステップS13で求めた指数平滑後のストールリスク評価指標の周方向平均値に対して、下記(2)式を用いて応答遅れの補正を行う(ステップS14)。下記(2)式に示すように、本実施形態では、Yの時間変化率と、平滑処理方法によって任意に決定される応答遅れ時間Δtとを乗算してなる補正項をYに加算することにより、平滑化による応答遅れの影響を補正するものである。なお、下記(2)式において、Xは応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値である。
Figure 0004973252
なお、ストールリスク評価指標が増加するほどストールマージンは小さくなってストールの危険が高まり、逆にストールリスク評価指標が減少するほどストールマージンは大きくなってストールの危険は少なくなる。従って、ストールリスク評価指標が増加する場合のみ、上述した応答遅れの補正項を使用するようにしても良い。すなわち、上記(2)式を変形して、下記(3)式のようにしても良い。
Figure 0004973252
このような応答遅れの補正の効果を図10(b)を参照して説明する。図10(b)は、図10(a)におけるストールリスク評価指標指数平滑値に対し、(3)式を用いて応答遅れの補正を行った結果を示している。なお、以下では、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標指数平滑値をストールリスク評価指標遅れ補正指数平滑値と呼ぶ。また、(3)式において、係数C’の値を0.15、応答遅れ時間Δtの値を60(ms)と設定した。
図10(b)に示すように、ストールリスク評価指標遅れ補正指数平滑値は、計測ノイズを十分に抑制しながら、応答遅れも少なく、ストールリスク評価指標真値に対して良好な追従性を有することがわかる。その結果、ストールマージンが5%以下になった場合、つまりストールリスク評価指標指数平滑値が破線200に到達した場合を、アクティブストール制御の開始時点と設定しても、実際のストールマージンを2.5%以上も残すことができ、ストールの回避が可能となる。
次に、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値に基づいてストール予兆を検知するための第1の閾値L1及び第2の閾値L2を算出する(ステップS15)。ここで、第1の閾値L1は、アクティブストール制御停止時のストールリスク評価指標であり、第2の閾値L2は、アクティブストール制御開始時のストールリスク評価指標である。これら第1の閾値L1及び第2の閾値L2は、回転数に応じて変化するものであるので回転数の関数で表すことができる。つまり、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、運転時の回転数に応じた第1の閾値L1及び第2の閾値L2をリアルタイムに算出する。
そして、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値が、第1の閾値L1より大きいか否かを判定する(ステップS16)。このステップS16において、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値が第1の閾値L1より大きいと判定された場合(「YES」)、次に第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値が第2の閾値L2より大きいか否かを判定する(ステップS17)。このステップS17において、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値が第2の閾値L2より大きいと判定された場合(「YES」)、ストール予兆が発生したと判断できるため、第1の信号処理部15は第1のエンジン制御装置20に、第2の信号処理部16は第2のエンジン制御装置30にアクティブストール制御開始信号をそれぞれ出力する(ステップS18)。
また、ステップS17において、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値が第2の閾値L2以下と判定された場合(「NO」)、ストール予兆が発生する可能性が高いと判断できるため、第1の信号処理部15は第1のエンジン制御装置20に、第2の信号処理部16は第2のエンジン制御装置30にアクティブストール制御継続信号をそれぞれ出力する(ステップS19)。
一方、ステップS16において、応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値が第1の閾値L1以下と判定された場合(「NO」)、ストール予兆はないと判断できるため、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、アクティブストール制御継続信号を出力しているか否かを判断し(ステップS20)、アクティブストール制御継続信号を出力していると判断された場合(「YES」)、第1の信号処理部15は第1のエンジン制御装置20に、第2の信号処理部16は第2のエンジン制御装置30にアクティブストール制御停止信号をそれぞれ出力する(ステップS21)。また、ステップS20において、アクティブストール制御継続信号を出力していないと判断された場合(「NO」)、第1の信号処理部15及び第2の信号処理部16は、アクティブストール制御に関する信号を出力しない(ステップS22)。ストール予兆検知装置STDは、上述したステップS1〜S22までの動作をストール予兆検知装置の制御周期ごとに繰り返す。
上記のように、ステップS11では、α系統の周方向平均値とβ系統の周方向平均値とを比較し、大きい方の周方向平均値を選択する。これは、ステップS11が、圧力センサが1箇所故障した場合であるため、より安全性を重視したからである。故障と判定された箇所の圧力センサは以後使用しないため、故障発生時にステップS11でアクティブチャンネル選択を行った以後はアクティブチャンネルが固定される。なお、ステップS11においてアクティブチャンネル選択を行わず、事前に設定されているアクティブチャンネル系統を使用し続けても良い。
以上がストール予兆検知装置STDの動作であり、エンジン制御装置ECU(第1のエンジン制御装置20及び第1のエンジン制御装置20)は、ストール予兆検知装置STDからアクティブストール制御開始信号を受信すると、エンジンの燃料供給量を制限したり、抽気により軸流圧縮機出口の圧力を下げるなど、ストール発生回避のための所定のエンジン制御を行う。また、アクティブストール制御継続信号を受信した場合、エンジン制御装置ECUは、上記のようなアクティブストール制御を継続して行なう。また、アクティブストール制御停止信号を受信した場合、エンジン制御装置ECUは、上記のようなアクティブストール制御を停止して通常運転制御を行なう。また、二重故障警報信号を受信した場合、エンジン制御装置ECUは、エンジンを緊急停止させる等の緊急処置、または決して圧縮機をストールさせることのないレベルまで燃料供給量を制限あるいは抽気量の増加などの処置を行なう。なお、エンジン制御装置ECUは、第1のエンジン制御装置20及び第1のエンジン制御装置20の2系統からなる1/2待機冗長系を構成しているので、アクティブ系統に指定されているどちらか一方のエンジン制御装置をエンジン制御用に使用すれば良い。
以上のように、本実施形態によれば、ストールリスク評価指標における時間的変動、周方向不均一性及び固有差の影響の低減と共に、計測ノイズの低減、応答遅れの抑制を行うので、エンジン急加速時などのストールマージンが急激に変化する場合でもアクティブストール制御に必須の高精度(高感度)且つ安定したストールリスク評価指標を得ることができ、その結果、正確なアクティブストール制御を行うことが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、ストールリスク評価指標の周方向平均値の指数平滑処理(ス
テップS13)及び応答遅れ補正処理(ステップS14)をステップS8とステップS15との間に設けたが、これらのステップS13及びS14の処理をステップS5とステップS6との間に設けても良い。これにより、圧力センサの故障診断の確度を向上させることができ、アクティブストール制御に必須の高信頼性を有する安定したエンジン制御システムの冗長系管理が可能となる。
なお、このように指数平滑処理及び応答遅れ補正処理をステップS5とステップS6との間に設けた場合、以下のように上記実施形態とは異なる点が生じる。まず、指数平滑処理を行う場合、ステップS5によって得られた、各圧力センサに対応する時間平均処理後(固有差の補正済み)のストールリスク評価指標の各々に対して平滑化処理を行う必要がある。また、応答遅れの補正処理を行う場合、各圧力センサに対応する平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々について、個別に平滑化処理後のストールリスク評価指標の時間変化率と、応答遅れ時間Δtとを乗算してなる補正項を当該平滑化処理後のストールリスク評価指標に加算することにより、各圧力センサに対応する平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々の応答遅れを補正する必要がある。
(2)上記実施形態では、ストールリスク評価指標の周方向平均値の平滑処理として指数平滑処理を採用したが、これに限定されず、移動平均処理などの他の平滑処理を採用しても良い。この場合でも上記(2)及び(3)式を使用することで応答遅れの補正を行うことができる。
(3)上記実施形態では、図3のステップS9において単一故障が発生したと判断された場合、これに該当するセンサ設置箇所のα系統及びβ系統の圧力センサを除く、他のセンサ設置箇所の圧力センサからそれぞれ得られるストールリスク評価指標の平均値を算出したが、これに限定されず、他のセンサ設置箇所に設置された圧力センサから得られるストールリスク評価指標による推定値と比較して同程度の値が得られる圧力センサを正常と判定する一方、他の箇所に設置された圧力センサから得られるストールリスク評価指標による推定値と比較して乖離した値が得られる圧力センサを故障と判定し、当該単一故障と判断されたセンサ設置箇所において正常と判定された圧力センサと、他のセンサ設置箇所に設置された圧力センサとからそれぞれ得られるストールリスク評価指標の平均値を算出しても良い。
または、単一故障と判断されたセンサ設置箇所において、最も大きいストールリスク評価指標が得られる圧力センサを正常と判定する一方、他方の圧力センサを故障と判定し、当該センサ設置箇所において正常と判定された圧力センサと、他のセンサ設置箇所に設置された圧力センサとからそれぞれ得られるストールリスク評価指標の平均値を算出しても良い。
(4)上記実施形態では、同一のセンサ設置箇所において圧力センサを2個ずつ設置したが、これに限定されず、2個以上または1個ずつ設置しても良い。1個ずつ設置した場合、圧力センサの故障診断を行なうことはできないが、ストールリスク評価指標における時間的変動、周方向不均一性及び固有差の影響を排除することにより、アクティブストール制御に必須の高精度(高感度)且つ安定したストールリスク評価指標を得るという効果は同様である。
(5)上記実施形態では、センサ設置箇所を4箇所と想定して説明したが、これに限定されない。センサ設置箇所は多い程好ましく、これによりストールリスク評価指標の周方向不均一性を効果的に排除することができる。
(6)上記実施形態では、アクティブストール制御開始信号及び停止信号のON/OFF信号を出力していたが、これに限定されず、ストールマージンとストールリスク評価指標との相関関係から、エンジン制御装置で利用できるモジュレーション用信号を出力しても良い。このようなモジュレーション用信号は、例えば下記(4)式で表される。なお、下記(4)式において、STはストールリスク評価指標、L1は第1の閾値、L2は第2の閾値である。
Figure 0004973252
(7)本実施形態におけるストール予兆検知装置は、エンジンヘルスモニタリングシステムとして、軸流圧縮機の健康状態を判断するために利用することができる。例えば、ストールリスク評価指標がある閾値を越えた場合、これをトリガーとしてストールリスク評価指標などを記録したり、また、エンジン制御装置にも上記トリガーを出力してエンジン作動状態を記録させる。なお、エンジンヘルスモニタリングシステムとして使用する場合、必ずしも冗長系管理は必要とせず、圧力センサは周方向の各箇所に1個ずつ設置し、評価指標算出部、信号処理部及びエンジン制御装置はそれぞれ1系統としても良い。
(8)上記実施形態では、特開2002−364582号公報(特許文献1)の技術を採用し、ストールリスク評価指標として壁圧の時系列データの自己相関値を用いたが、これに限定されず、ストールリスク評価指標が時間的変動、周方向不均一性を有するものであれば本発明を適用し、その効果を得ることができる。よって、ストールリスク評価指標の算出方法としては、特開2004−124946号公報(特許文献2)、特開2005−188514号公報(特許文献3)などの技術を採用しても良い。
本発明の一実施形態におけるエンジン制御システムの構成ブロック図である。 本発明の一実施形態における軸流圧縮機に対する圧力センサの配置説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知装置の動作フローチャートである。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第1の説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第2の説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第3の説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第4の説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第5の説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第6の説明図である。 本発明の一実施形態におけるストール予兆検知処理に関する第7の説明図である。
符号の説明
STD…ストール予兆検知装置、1…第1の圧力センサ、2…第2の圧力センサ、3…第3の圧力センサ、4…第4の圧力センサ、5…第5の圧力センサ、6…第6の圧力センサ、7…第7の圧力センサ、8…第8の圧力センサ、9…第1の回転数センサ、10…第2の回転数センサ、11…第1の評価指標算出部、12…第2の評価指標算出部、13…第3の評価指標算出部、14…第4の評価指標算出部、15…第1の信号処理部、16…第2の信号処理部、17…記憶部、20…第1のエンジン制御装置、30…第2のエンジン制御装置、C…軸流圧縮機、C1…動翼、C2…ロータ、C3…ケーシング、C4…内壁面

Claims (6)

  1. 複数の動翼が設けられたロータと、前記動翼と対向してロータの外周を覆うように設けられた円筒状のケーシングとからなる軸流圧縮機のストール予兆検知方法であって、
    前記ケーシングの内壁面の周方向の複数箇所において、同一箇所の各々に1または複数設置された圧力センサによって検出された圧力の時系列データに基づいてストールリスクを評価する指標(ストールリスク評価指標)を算出する指標算出工程と、
    前記圧力センサに対応して得られる前記ストールリスク評価指標の各々に時間平均処理を行う時間平均処理工程と、
    前記圧力センサに対応して得られる前記時間平均処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する周方向平均処理工程と、
    前記ストールリスク評価指標の周方向平均値に対して平滑化処理を行う平滑化処理工程と、
    前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の応答遅れを補正する遅れ補正工程と、
    前記応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値に基づいてストールの予兆を検知する予兆検知工程と、
    を有することを特徴とするストール予兆検知方法。
  2. 前記遅れ補正工程では、前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値の時間変化率と、所定の応答遅れ時間とを乗算してなる補正項を前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の周方向平均値に加算することにより、前記応答遅れを補正することを特徴とする請求項1記載のストール予兆検知方法。
  3. 複数の動翼が設けられたロータと、前記動翼と対向してロータの外周を覆うように設けられた円筒状のケーシングとからなる軸流圧縮機のストール予兆検知方法であって、
    前記ケーシングの内壁面の周方向の複数箇所において、同一箇所の各々に1または複数設置された圧力センサによって検出された圧力の時系列データに基づいてストールリスクを評価する指標(ストールリスク評価指標)を算出する指標算出工程と、
    前記圧力センサに対応して得られる前記ストールリスク評価指標の各々に時間平均処理を行う時間平均処理工程と、
    前記圧力センサに対応して得られる前記時間平均処理後のストールリスク評価指標の各々に平滑化処理を行う平滑化処理工程と、
    前記圧力センサに対応して得られる前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々の応答遅れを補正する遅れ補正工程と、
    前記圧力センサに対応して得られる前記応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値を算出する周方向平均処理工程と、
    前記応答遅れ補正後のストールリスク評価指標の周方向平均値に基づいてストールの予兆を検知する予兆検知工程と、
    を有することを特徴とするストール予兆検知方法。
  4. 前記遅れ補正工程では、前記圧力センサに対応して得られる前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々について、個別に前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の時間変化率と、所定の応答遅れ時間とを乗算してなる補正項を当該平滑化処理後のストールリスク評価指標に加算することにより、前記平滑化処理後のストールリスク評価指標の各々の応答遅れを補正することを特徴とする請求項3記載のストール予兆検知方法。
  5. 前記平滑化処理工程では、前記平滑化処理として指数平滑処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のストール予兆検知方法。
  6. 軸流圧縮機を備えるエンジンの制御システムであって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のストール予兆検知方法を用いて軸流圧縮機のストールの予兆を検知するストール予兆検知装置と、
    当該ストール予兆検知装置によるストール予兆検知結果に基づいてエンジンの制御を行なうエンジン制御装置と、
    を具備することを特徴とするエンジン制御システム。
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