JP2002364582A - 軸流圧縮機におけるストール予知方法 - Google Patents

軸流圧縮機におけるストール予知方法

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JP2002364582A
JP2002364582A JP2001175745A JP2001175745A JP2002364582A JP 2002364582 A JP2002364582 A JP 2002364582A JP 2001175745 A JP2001175745 A JP 2001175745A JP 2001175745 A JP2001175745 A JP 2001175745A JP 2002364582 A JP2002364582 A JP 2002364582A
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卓郎 中島
Nobuyuki Tahara
信之 太原
Masahiro Kurosaki
正大 黒崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストール現象を予知できる軸流圧縮機におけ
るストール予知方法を実現する。 【解決手段】 高応答圧力センサをロータ翼のリーディ
ングエッジ近傍の壁面に設置し、前記高応答圧力センサ
によって検出した時系列データの自己相関をとることに
よりストールを予知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001 】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンエン
ジン、ジェットエンジン等の軸流圧縮機に関し、特にそ
の効率を著しく低下させるストール現象を予知する軸流
圧縮機におけるストール予知方法に関する。
【0002 】
【従来の技術】一般に、ガスタービンエンジン、ジェッ
トエンジン等の軸流圧縮機は、空気流量の減少に伴って
圧縮比が上昇し、効率が向上する。しかし、ピーク近傍
において、ストールと称する非定常現象を起こし、圧縮
効率が著しく低下する。このため、従来の圧縮機は、ス
トール現象の発生点から十分離れた点で運転していた。
【0003 】
【発明が解決しようとする課題】従来の圧縮機では、上
述したようにストール現象の発生点から十分離れた点で
運転していたために、圧縮機の性能を十分に引き出せな
い状態で使用せざるを得なかった。また、従来では圧縮
機がストール状態に陥った場合には、圧力低下や騒音の
発生により認知できるが、定常運転中にストール現象が
切迫していることを確実に予知する技術は実用化されて
いなかった。
【0004 】本発明はこのような事情に鑑みてなされ
たものであって、切迫したストール現象を確実に予知
し、圧縮機の運転条件を圧縮比のピークに近づけ、運転
効率の向上を図れる軸流圧縮機におけるストール予知方
法を提供することを目的とする。
【0005 】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の軸流圧縮機のストール予知方法は、圧力セ
ンサをロータ翼のリーディングエッジ近傍の壁面に設置
し、前記圧力センサによって検出した時系列データによ
りストールを予知することを特徴とする。本発明によれ
ば、ロータ翼のリーディングエッジ近傍ではストール直
前まで気流の乱れが少ないので、この位置に圧力センサ
を設けることによって、ストールが発生しそうな場合、
圧力センサによって検出した時系列データに基づいてス
トールの予知を安定して行うことができる。したがっ
て、圧縮機の運転条件を圧縮比のピークに近づけること
ができるので、運転効率を向上することができる。
【0006 】前記圧力センサによって検出した時系列
データの一定時間内のデータセットと1周前又は複数周
前のデータセットとの自己相関を算出し、この自己相関
値の変化によりストールを予知することを特徴とするの
で、翼間通過流れからストールセルへの遷移過程を捉え
ることができる。
【0007 】前記圧力センサを軸線方向に複数個配置
したことを特徴とするので、迅速にストールの切迫を予
知することができる。
【0008 】前記圧力センサを圧縮機の周方向に複数
個配置したことを特徴とするので、僅かな翼間通過流れ
の変化を捉えることができる。
【0009 】前記自己相関値を算出する時間スパン
は、ロータ翼1枚分のデータであることを特徴とするの
で、迅速に自己相関を算出することができる。
【0010 】前記自己相関値を算出する時間スパン
は、ロータ翼複数枚分のデータであることを特徴とする
ので、ほぼ正確にストールの切迫を予知できる。
【0011 】本発明の軸流圧縮機におけるストール予
知方法は、圧力センサをロータ翼のリーディングエッジ
近傍の壁面で且つ12時の位置に設置し、前記圧力セン
サによって検出した時系列データによりストールを予知
することを特徴とする。本発明によれば、最もストール
の初めに生じやすい位置で予知することができる。すな
わち、例えば、ガスタービンエンジンを停止してから所
定時間後に始動する際、前記所定時間が短いとストール
を生じる場合がある。これは、エンジン停止後、圧縮機
ダクト下部は早く冷えるが、上部は熱を溜めて冷えにく
いので、ダクト上部において翼端との間に大きなクリア
ランスが生じる場合があり、このクリアランスによって
ストールが生じやすくなる。このとき、圧力センサを1
2時の位置、すなわちダクト上部に取り付けておくこと
により、前記クリアランスによりストールが生じやすい
位置の圧力を検出することができるので、最もストール
の生じやすい位置で予知することができる。
【0012 】本発明の軸流圧縮機におけるストール予
知方法は、圧力センサをロータ翼のリーディングエッジ
近傍の壁面で且つローテーティングストールが初めに生
じる固有の周方向位置に設置し、前記圧力センサによっ
て検出した時系列データによりストールを予知すること
を特徴とする。本発明によれば、ストールを最も早い時
期で予知することができる。
【0013 】
【発明の実施の形態】以下、本発明の軸流圧縮機におけ
るストール予知方法の一実施形態について図面を参照し
ながら説明する。図1は本発明の高応答圧力センサ(圧
力センサ)の取り付け状態を示す要部断面図、図2は本
発明の高応答圧力センサの取り付け位置を説明する要部
断面図である。
【0014 】図1において、軸流圧縮機10は、ロー
タ11と、ロータ11の周方向に配設された複数のロー
タ翼12とを備えている。ロータ翼12を有するロータ
11のまわりには筒状に形成されたダクトの壁面14が
配置されている。壁面14には高応答圧力センサ13が
設けられている。この高応答圧力センサ13は側面14
からダクト内側に露出しないように設置されている。高
応答圧力センサ13は、ロータ翼12が回転することに
よって生じる圧力変化を検出し、検出結果を信号処理装
置15に出力するようになっている。
【0015 】図2に示すように、高応答圧力センサ1
3は、ロータ翼12のリーディングエッジX近傍から翼
厚の最大となる位置の壁面14に設置されている。ここ
で、リーディングエッジXは、ロータ翼12の通過によ
り同様なインジケーションを示すロータ翼12の上流域
も含む。
【0016 】ここで、高応答圧力センサ13はダクト
(壁面14)の上部側に設けられている。すなわち、筒
状に形成されているダクトを正面視した場合、高応答圧
力センサ13はダクトの12時の位置に設けられてい
る。
【0017 】次に、リーディングエッジ近傍の壁面に
取り付けられた高応答圧力センサ13の検出結果に基づ
いてストールを予知する方法について図3、図4を参照
しながら説明する。図3は本実施形態における高応答圧
力センサ13の定常状態における時系列データ、図4は
高応答圧力センサ13の検出結果に基づいた信号処理装
置15の処理結果である。
【0018 】ロータ翼12が回転することによって高
応答圧力センサ13は図3に示すような信号を出力す
る。ここで、図3のグラフにおける横軸は時間、縦軸は
圧力である。図3に示す時系列データは、軸流圧縮機1
0にストールが切迫していない定常状態で作動している
場合のロータ翼12のリーディングエッジX位置に相当
する壁面14に取り付けた高応答圧力センサ13の出力
結果である。そして、図3に示す波形は、圧縮機ダクト
内を回転するロータ翼12の通過に伴う周期的なもので
ある。ピークはロータ翼12のプレッシャ面に対応し、
急峻な右下がりの勾配は、ロータ翼の通過に対応し、ボ
トムはロータ翼12のサクション面にそれぞれ対応して
いる。
【0019 】高応答圧力センサ13による時系列デー
タは、信号処理装置15によって処理され、信号処理装
置15は図4に示すような結果を出力する。ここで、図
4(a)は設計点からストールまでのロータ翼後方全圧
を示す図、図4(b)はリーディングエッジ壁面圧の自
己相関を示す図、図4(c)は図4(b)の拡大図であ
る。それぞれのグラフにおける横軸は、時間あるいはロ
ータの回転数であって、実験では「0」の時点でストー
ルが発生しており、ストール発生時点からある時間スパ
ン(データセット)遡ったデータが出力されている。本
実施形態においては、図4(a)(b)に示すように、
ストール発生点から800回転遡った時点までの時間ス
パンが出力される。また、図4(a)の縦軸は全圧、図
4(b)(c)の縦軸は自己相関値である。
【0020 】定常回転時において、ある時間スパン
(データセット)の同一ロータ翼(列)の現在と1周前
の波形とは殆ど一致し、自己相関をとると略1となる。
ここで、自己相関を計算する時間スパンは、1周以内で
あればロータ翼12の1枚分であっても1周分であって
も良い。現時点と1周前のデータセットとの自己相関を
とることにより、ロータ翼12の製造上の微細な差異を
キャンセルすることができ、僅かな翼間通過流れの変化
を正確に捉えることができる。
【0021 】ストールの発生メカニズムは未だ明らか
ではないが、結果として、正常な通過流れ領域と明確に
区別されるストールセルという流れの澱んだ領域が形成
される。ストール予知の技術的課題は、ストールセル形
成の発端を捉えることであるが、ロータ翼端にストール
セルが形成されると、数回転後には著しい圧力低下を引
き起こすので、ストールセルを検知したのでは遅すぎ
る。図4(b)(c)か明らかなように、ストール直前
で自己相関が急激に低下している。本発明では、予め設
定した基準値を下回る急低下をもってストールの切迫と
判断する。つまり、翼間通過流れからストールセルへの
遷移過程を自己相関値の変化をもって判断するものであ
る。
【0022 】そして、ストール発生を予知したら、例
えば、燃料供給量を低減したり、抽気により圧縮機出口
の圧力を下げるなど、ストール発生回避のための所定の
処置を行えばよい。
【0023 】ここで、高応答圧力センサ13をロータ
翼12のリーディングエッジ近傍から翼厚の最大となる
領域の壁面14に設けることにより、ストール予知の精
度を向上することができる。すなわち、高応答圧力セン
サ13をロータ翼12のトレーリングエッジ近傍の壁面
14に設けることも考えられるが、ロータ翼12のトレ
ーリングエッジでは、設計点の定常運転でも多少なりと
も剥離領域をもって運転されており、この位置でストー
ルの兆候を精度良く検知するのは困難である。一方、ロ
ータ翼12のリーディングエッジ近傍から翼厚の最大と
なる領域は、ストール直前まで乱れが少なく、高応答圧
力センサ13を取り付ける軸方向位置として最も信頼性
が高い。
【0024 】以上説明したように、ロータ翼12のリ
ーディングエッジ近傍ではストール直前まで気流の乱れ
が少ないので、この位置に高応答圧力センサ13を設け
ることによって、ストールが発生しそうな場合、高応答
圧力センサ13によって検出した時系列データに基づい
てストールの予知を確実に安定して行うことができる。
【0025 】自己相関のための計算負荷が比較的軽い
ので、信号処理装置15は迅速に処理することができ、
翼間通過流れからストールセルへの遷移過程を短時間に
捉えることができる。
【0026 】また、高応答圧力センサが圧縮機ダクト
内に突出しないので、ダクト内の通過流れの支障となる
ことがない。
【0027 】ところで、軸流圧縮機のローテーティン
グストールがロータ翼端から生じることが知られてお
り、その原因の一つに翼端クリアランスからのリークに
より翼間通過流れが乱されることが上げられる。更に、
ガスタービンエンジンを始動する際、前のエンジン停止
からの時間が短い時にストールが生じる場合がある。こ
れは、圧縮機ダクト下部は早く冷えるが、上部は熱が溜
まり易く冷えにくいため、ダクト上部の翼端クリアラン
スが大きくなることが原因である。したがって、高応答
圧力センサ13を取り付ける圧縮機ダクト上の周方向の
位置は原則として任意であるが、ローテーティングスト
ールが初めに生じる固有の周方向位置があれば、そこに
設置するのが効果的である。一方、ローテーティングス
トールが初めに生じる固有の周方向位置が特になけれ
ば、前述したようにダクト上部の翼端クリアランスが大
きくなることから、高応答圧力センサ13のダクトへの
取り付け位置は、12時の位置(ダクトの上部)が適当
である。
【0028 】なお、以上の説明では、高応答圧力セン
サ13をリーディングエッジXに一個配設する場合につ
いて説明したが、高応答圧力センサ13を冗長化などの
目的で圧縮機ダクトの軸線方向に複数個配置してもよ
い。また、高応答圧力センサ13を圧縮機ダクトの周方
向に複数個配置してもよい。
【0029 】
【発明の効果】本発明の軸流圧縮機におけるストール予
知方法は、圧力センサをロータ翼のリーディングエッジ
近傍の壁面に設置し、前記圧力センサによって検出した
時系列データによりストールを予知するので、ストール
の切迫を確実に予知することができる。また、計算負荷
も軽く迅速な信号処理ができる。更に、予知は最低限1
つの圧力センサで実現可能であり、安価なシステムを構
築できる。
【0030 】本発明の軸流圧縮機におけるストール予
知方法は、圧力センサをロータ翼のリーディングエッジ
近傍の壁面で且つ12時の位置に設置し、前記圧力セン
サによって検出した時系列データによりストールを予知
するので、最もストールの生じ易い位置で予知すること
ができる。
【0031 】本発明の軸流圧縮機におけるストール予
知方法は、圧力センサをロータ翼のリーディングエッジ
近傍の壁面で且つローテーティングストールが初めに生
じる固有の周方向位置に設置し、前記圧力センサによっ
て検出した時系列データによりストールを予知するの
で、ストールを最も早い時期で予知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態における高応答圧力センサ
の取り付け状態を示す要部断面図である。
【図2】 同高応答圧力センサの取り付け位置を説明す
る要部断面図である。
【図3】 同高応答圧力センサの定常状態における時系
列データの一例である。
【図4】 (a)は、設計点からストールまでのロータ
翼後方全圧を示す説明図、(b)は、LE壁面圧の自己
相関を示す説明図、(c)は(b)ストール近傍を拡大
した説明図である。
【符号の説明】
X リーディングエッジ 10 軸流圧縮機 11 ロータ 12 ロータ翼 13 高応答圧力センサ 14 壁面 15 信号処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒崎 正大 東京都西多摩郡瑞穂町殿ヶ谷229番地 石 川島播磨重工業株式会社瑞穂工場内 Fターム(参考) 3H021 AA01 BA21 CA01 EA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧力センサをロータ翼のリーディングエ
    ッジ近傍の壁面に設置し、前記圧力センサによって検出
    した時系列データによりストールを予知することを特徴
    とする軸流圧縮機におけるストール予知方法。
  2. 【請求項2】 前記圧力センサによって検出した時系列
    データの一定時間内のデータセットと1周前又は複数周
    前のデータセットとの自己相関を算出し、この自己相関
    値の変化によりストールを予知することを特徴とする請
    求項1に記載の軸流圧縮機におけるストール予知方法。
  3. 【請求項3】 前記圧力センサを軸線方向に複数個配置
    したことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸流圧縮
    機におけるストール予知方法。
  4. 【請求項4】 前記圧力センサを圧縮機の周方向に複数
    個配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸
    流圧縮機におけるストール予知方法。
  5. 【請求項5】 前記自己相関値を算出する時間スパン
    は、ロータ翼1枚分のデータであることを特徴とする請
    求項2に記載の軸流圧縮機におけるストール予知方法。
  6. 【請求項6】 前記自己相関値を算出する時間スパン
    は、ロータ翼複数枚分のデータであることを特徴とする
    請求項2に記載の軸流圧縮機におけるストール予知方
    法。
  7. 【請求項7】 圧力センサをロータ翼のリーディングエ
    ッジ近傍の壁面で且つ12時の位置に設置し、前記圧力
    センサによって検出した時系列データによりストールを
    予知することを特徴とする軸流圧縮機におけるストール
    予知方法。
  8. 【請求項8】 圧力センサをロータ翼のリーディングエ
    ッジ近傍の壁面で且つローテーティングストールが初め
    に生じる固有の周方向位置に設置し、前記圧力センサに
    よって検出した時系列データによりストールを予知する
    ことを特徴とする軸流圧縮機におけるストール予知方
    法。
JP2001175745A 2001-06-11 2001-06-11 軸流圧縮機におけるストール予知方法 Pending JP2002364582A (ja)

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