JP4972773B2 - 高珪素鋼板の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、エネルギー損失をより一層低下させる要請から、鉄損がさらに低い材料が要求されている。このような要請に対して、特許文献1には、4.0%以下のSiを含有する方向性珪素鋼板にSiCl4ガスを利用した浸珪処理を施し、Si量を4.0〜7.0%とする方法が開示されている。
また、特許文献2には、磁束密度B8の高い方向性電磁鋼帯に冷間圧延を施し、板厚150μm以下とし、次いで一次再結晶焼鈍を施した後、SiCl4にて浸珪処理し、次いで非酸化性雰囲気下でSiを鋼中に拡散処理をすることを特徴とする{110}<001>方位集積度が高く鉄損が低い極薄電磁鋼帯が開示されている。
また、特許文献2の方法では、実施例にみられるように、1000℃×5時間もの長時間、拡散処理を施しており、コストが高い。また、浸珪処理前に一次再結晶焼鈍が必要であることから、更に高コストとなっている。以上のことから、特許文献2の方法による極薄電磁鋼帯は、工業的に生産されておらず、現実的でない。
浸珪処理、拡散処理を1050℃以上で行うと処理に必要な時間を顕著に短くすることができ、経済的な製造が可能となるが、一方向性電磁鋼板に冷間圧延を施し、1050℃以上の浸珪処理、拡散処理を行うと、結晶粒が成長し、その際、磁気特性に不利な結晶方位を有する結晶粒が優先的に成長する結果、磁気特性が劣化することが明らかとなった。
そこで、1050℃以上の熱処理における、粒成長の抑制方法について、種々の検討を行った。以下にその方法と結果を示す。
以上により得られた焼鈍板に対して、結晶粒径および圧延方向のB8を測定し、特性を調査した。なお、結晶粒径は断面の光学顕微鏡観察により円相当径(直径)を求め、また、JIS C2550記載のエプスタイン試験により、圧延方向の磁気特性B8(磁化力800A/mにおける磁束密度)を測定した。
得られた結果を図1に示す。図1より、焼鈍温度が1050℃以上では、鋼種(A)および(E)においては、結晶粒径の増加が顕著となり、同時にB8も大幅に劣化しているのがわかる。一方、鋼種(B)〜(D)においては、結晶粒径の増加は小さく、B8も劣化していない。以上のことから、1050℃以上の熱処理において、Sol.Alが25ppm未満、あるいは300ppm超で含有する場合には、結晶粒成長が大きく、磁気特性に不利な結晶方位が優先的に成長すること、Sol.Alが25ppm以上300ppm以下含有する場合には、結晶粒成長が小さく、磁気特性に不利な結晶方位の成長が抑制されることが明らかとなった。Sol.Alは、結晶粒成長を抑制する効果を有する。しかし、Sol.Alが25ppm未満では結晶粒成長の抑制効果が小さく、1050℃以上での熱処理で結晶粒成長、特に、磁気特性に望ましくない結晶方位を有する結晶粒が成長すると考えられる。一方、Sol.Alが300ppm超では、結晶粒成長の抑制効果が大きいために、一次再結晶完了後の結晶粒径が非常に小さくなり、1050℃以上での浸珪処理、拡散処理の際に異常粒成長が生じ、磁気特性に望ましくない結晶方位を有する結晶粒が成長すると考えられる。
以上の結果をもとに、発明者らは、1050℃以上の浸珪処理、拡散処理においても同様に、Sol.Alを25ppm以上300ppm以下含有させることにより、結晶粒成長とそれに伴う磁気特性に不利な結晶方位の優先成長が抑制され、良好な磁気特性が得られることを知見した。
[1]mass%で、Siを4.0%以下、Mnを1.0%未満、mass ppmで、Sol.Alを25ppm以上300ppm以下含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる二次再結晶粒より構成された一方向性電磁鋼板に、50%以上90%以下の圧下率で冷間圧延を施し、板厚0.03mm以上0.2mm以下とした後、SiCl4ガスを0.5%以上50%以下含む雰囲気中で、1050℃以上1300℃以下の温度域で10秒以上600秒以下の時間保持する浸珪処理を施し、次いで、1050℃以上1300℃以下の温度域で3秒以上600秒以下の時間保持するSi拡散処理を施すことを特徴とする高珪素鋼板の製造方法。
[2]前記[1]において、前記一方向性電磁鋼板は、さらに、mass%で、Sb:0.005%以上0.10%以下、Sn:0.005%以上0.50%以下、Bi:0.001%以上0.05%以下から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする高珪素鋼板の製造方法。
[3]前記[1]または[2]において、前記一方向性電磁鋼板は、さらに、mass%で、Cr:0.01%以上0.8%以下、Ni:0.01%以上1.0%以下から選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする高珪素鋼板の製造方法。
まず、本発明の高珪素鋼板を製造するにあたり、その素材としては、Siを4.0%以下、Mnを1.0%以下、Sol.Alを25ppm以上300ppm以下含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、二次再結晶粒より構成された一方向性電磁鋼板を用いる。そして、各成分組成の限定理由は下記の通りである。
Siは、磁気特性を改善するために添加されるが、4.0%を超えると冷間圧延が困難となることから、4.0%以下とする必要がある。
Mnは、熱間圧延時の割れを抑止するために添加され、0.02%以上添加されることが望ましい。一方、Mnが1.0%以上では、Sol.Alが25ppm以上含有されても、1050℃以上で行われる浸珪処理、拡散処理での結晶粒成長および磁気特性に不利な結晶粒の優先成長を抑止することができない。よって、1.0%未満とする必要がある。
本発明において、最も重要な用件である。通常の方向性電磁鋼板製品の地鉄に含有されるSol.Alは25ppm未満である。しかしながら、本発明では、1050℃以上の浸珪処理やSi拡散処理において、結晶粒成長を抑制し、磁気特性に望ましくない結晶方位を有する結晶粒の成長を抑止するために、冷間圧延前の一方向性電磁鋼板のSol.Al量を25ppm以上300ppm以下に制御する必要がある。そのため、本発明では、Sol.Alを25ppm以上300ppm以下に制御する。
Sol.Alを上記の範囲に制御する方法は限定しないが、製鋼段階でのAl添加量の制御や、二次再結晶板を得るまでの途中工程での脱Al量を制御することが、工業生産性の観点から有利である。
本発明の一方向性電磁鋼板は以下のような工程で得ることができる。すなわち、上述の成分を含有する一方向性電磁鋼板用の熱延板に焼鈍と冷間圧延を施し、次いで、一次再結晶焼鈍を施した後、バッチ焼鈍で二次再結晶する。バッチ焼鈍で鋼板同志が融着しないように、一次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布することもできる。焼鈍分離剤としては、MgO、Al2O3、SiO2などを用いることができるが、MgOを用いた場合、鋼板表面にフォルステライトが形成されるので、冷間圧延前に酸洗や研磨でフォルステライトを除去する必要がある。しかし、焼鈍分離剤としてAl2O3やSiO2、あるいは微量の塩化物を含むMgOを用いることにより、フォルステライトがない、あるいはフォルステライトの量の少ない二次再結晶板が得られ、冷間圧延前の酸洗や研磨を省略あるいは簡略化できるので有利である。
圧下率50%未満あるいは90%超では、良好な集合組織を得ることができない。板厚0.03mm未満では、コストの上昇が大きく、板厚0.2mm超では、板厚が厚すぎて、良好な鉄損特性を得ることができない。
なお、得られた一方向性電磁鋼板の組成は表1の記載と同じであった。次いで、上記一方向性電磁鋼板に、表1に示す圧下率にて冷間圧延を施し、板厚0.075mmとした。
次いで、25%SiCl4-75%N2雰囲気中で、1200℃、60秒の浸珪処理を施した後、引き続き、1250℃、60秒の拡散処理を施した。
以上により得られた高珪素鋼板に対して、鋼板の圧延方向の高周波鉄損(周波数5kHz、最大磁束密度0.15T)を評価した。なお、高周波鉄損はJIS C2550記載のエプスタイン試験の方法により測定した。得られた結果を表1に示す。
なお、得られた一方向性電磁鋼板の組成は表2の記載と同じであった。次いで、上記一方向性電磁鋼板に、圧下率60%の冷間圧延を施し、板厚0.12mmとした。
次いで、10%SiCl4-90%Ar雰囲気中で、1100℃、300秒の浸珪処理を施した後、引き続き、1150℃、300秒の拡散処理を施した。
以上により得られた高珪素鋼板に対して、鋼板の圧延方向の高周波鉄損(周波数5kHz、最大磁束密度0.15T)を評価した。なお、高周波鉄損の測定方法は実施例1と同様である。得られた結果を表2に示す。
Claims (3)
- mass%で、Siを4.0%以下、Mnを1.0%未満、mass ppmで、Sol.Alを25ppm以上300ppm以下含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる二次再結晶粒より構成された一方向性電磁鋼板に、50%以上90%以下の圧下率で冷間圧延を施し、板厚0.03mm以上0.2mm以下とした後、
SiCl4ガスを0.5%以上50%以下含む雰囲気中で、1050℃以上1300℃以下の温度域で10秒以上600秒以下の時間保持する浸珪処理を施し、
次いで、1050℃以上1300℃以下の温度域で3秒以上600秒以下の時間保持するSi拡散処理を施すことを特徴とする高珪素鋼板の製造方法。 - 前記一方向性電磁鋼板は、さらに、mass%で、Sb:0.005%以上0.10%以下、Sn:0.005%以上0.50%以下、Bi:0.001%以上0.05%以下から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高珪素鋼板の製造方法。
- 前記一方向性電磁鋼板は、さらに、mass%で、Cr:0.01%以上0.8%以下、Ni:0.01%以上1.0%以下から選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高珪素鋼板の製造方法。
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