JP4972060B2 - ブレーキシステム及びブースタ圧力推定方法 - Google Patents

ブレーキシステム及びブースタ圧力推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両のブレーキシステムと、そのブースタ圧力推定方法に関する。
運転者がブレーキペダルを踏み込む踏力(ブレーキ操作力)を、エンジンのインテークマニホールドに発生する負圧で倍力するブースタを備えた車両用のブレーキシステムが知られている。このようなブレーキシステムは、ブースタ内部の圧力(ブースタ圧力)をブースタ圧力検出手段で常時検出し、ブースタ圧力が好適な負圧を維持するように、制御装置によって制御されている。
制御装置は、ブースタ圧力検出手段が検出するブースタ圧力に基づいて、ブースタ圧力を好適な負圧に維持するようにブレーキシステムを制御することから、ブースタ圧力検出手段が故障し、ブースタ圧力を正確に検出できない状態になると、制御装置は、ブースタ圧力を好適な負圧に維持できなくなる。このような問題に対応するため、例えば特許文献1には、ブースタ圧力検出手段の故障を診断する技術が開示されている。
例えば特許文献1に開示される技術では、エンジンの吸入負圧に基づいてブースタ圧力を推定し、推定したブースタ圧力を利用してブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。
しかしながら、アクセルペダルやブレーキペダルが操作されているとき、エンジンの吸入負圧は変化することから正確にブースタ圧力を推定することができない。
したがって、例えば特許文献1に開示される技術は、アクセルペダル及びブレーキペダルが操作されていないときにしかブースタ圧力検出手段の故障を診断できない。このことによって、ブースタ圧力検出手段の故障を診断する頻度が少なくなり、ブースタ圧力検出手段に故障が発生した場合、速やかに故障を検出できないという問題がある。
また、アクセルペダルやブレーキペダルが操作されていない状態であっても、例えばエアコンの動作状況の変化に伴ってエンジン回転速度が変化すると、エンジンの吸入負圧が変化して正確にブースタ圧力を推定できない。
このように、正確なブースタ圧力が推定できないと、ブースタ圧力検出手段の故障を正確に診断することができないという問題がある。
特開平11−036927号公報
そこで、本発明は、精度よくブースタ圧力を推定できるブースタ圧力推定方法と、推定したブースタ圧力を利用してブースタ圧力検出手段の故障を速やかに検出できるブレーキシステムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、運転者がブレーキ操作部を操作するときのブレーキ操作力を、エンジンの吸気側に接続されたブースタによって倍力するブレーキシステムとした。そして、前記ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、前記エンジンの吸気側の圧力を検出又は推定する吸気圧力検知手段と、前記エンジンの吸気側の圧力に基づいて前記ブースタのブースタ圧力の推定値を算出するブースタ圧力推定手段と、を備え、前記吸気圧力検知手段が検出又は推定する前記エンジンの吸気側の圧力と、前記ブレーキ操作量検出手段が検出する前記操作量とが、共に略一定の状態であるという安定条件が成立して所定の待機時間が経過したときに、前記ブースタ圧力推定手段が、前記ブースタ圧力の推定値を算出することを特徴とした。
この発明によると、エンジンの吸気側の圧力とブレーキ操作部の操作量が共に略一定のとき、ブースタ圧力推定手段がブースタ圧力の推定値を算出できる。
したがって、運転者がブレーキ操作部を操作した状態であっても、ブレーキ操作部の操作量が略一定であれば、ブースタ圧力推定手段はブースタ圧力の推定値を算出でき、ブースタ圧力推定手段がブースタ圧力の推定値を算出する頻度を高めることができる。
また、本発明は、前記ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段と、前記ブースタ圧力検出手段が検出する前記ブースタ圧力の検出値及び前記ブースタ圧力推定手段が算出する前記ブースタ圧力の推定値に基づいて、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断する故障診断手段と、を備えることを特徴とした。
この発明によると、ブースタ圧力推定手段が算出するブースタ圧力の推定値に基づいて、ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段の故障を故障診断手段が診断できる。ブースタ圧力推定手段は、高い頻度でブースタ圧力の推定値を算出できることから、故障診断手段は、高い頻度でブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。したがって、故障診断手段は、ブースタ圧力検出手段に発生する故障を速やかに検出できる。
また、本発明は、前記ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段と、前記ブースタ圧力検出手段が検出する前記ブースタ圧力の検出値及び前記ブースタ圧力推定手段が算出する前記ブースタ圧力の推定値に基づいて、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断する故障診断手段と、を備え、前記ブースタ圧力の検出値が前記エンジンの吸気側の圧力よりも高いという圧力条件と前記安定条件が共に成立して前記所定の待機時間が経過したときに、前記ブースタ圧力推定手段が前記ブースタ圧力の推定値を算出し、前記故障診断手段が、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断することを特徴とした。
この発明によると、ブースタ圧力がエンジンの吸気側の圧力より高いときにブースタ圧力推定手段が算出するブースタ圧力の推定値に基づいて、故障診断手段が、ブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。
また、エアコンの動作等によって、エンジンの吸気側の圧力がブースタ圧力より高い状態、つまりブースタ圧力に負圧が供給されない状態のときは、エンジンの吸気側の圧力がブースタ圧力の推定値にならず、ブースタ圧力検出手段が故障していないにもかかわらずに、ブースタ圧力検出手段が検出するブースタ圧力とブースタ圧力推定手段が算出するブースタ圧力の推定値の差が大きくなることがなく、故障診断手段がブースタ圧力検出手段の故障を誤検出することがない。
したがって、ブースタ圧力推定手段は、より正確なブースタ圧力の推定値を算出することができ、故障診断手段は、正確なブースタ圧力の推定値に基づいて、より精度よくブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。また、請求項1に記載の所定の待機時間中に圧力条件を判断することができ、複数の条件からなる場合であっても、その判断に時間を消費することがなく、ブースタ圧力検出手段に発生する故障を速やかに検出できる。
また、本発明は、前記故障診断手段は、前記ブースタ圧力の検出値と前記ブースタ圧力の推定値の関係を示す一次回帰直線を算出し、前記一次回帰直線の傾きが所定の範囲を外れたときに、前記ブースタ圧力検出手段が故障したと判定することを特徴とした。
この発明によると、故障診断手段は、ブースタ圧力検出手段が検出するブースタ圧力の検出値及びブースタ圧力推定手段が算出するブースタ圧力の推定値の関係を表す一次回帰直線の傾きに基づいて、ブースタ圧力検出手段が故障したと判定できる。
したがって、故障診断手段は、ブースタ圧力の検出値とブースタ圧力の推定値の差に基づく診断よりも精度よく、ブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。
また、本発明は、運転者がブレーキ操作部を操作するときのブレーキ操作力を、エンジンの吸気側に接続されたブースタによって倍力するブレーキシステムに、前記ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、前記エンジンの吸気側の圧力を検出又は推定する吸気圧力検知手段と、前記エンジンの吸気側の圧力に基づいて前記ブースタのブースタ圧力の推定値を算出するブースタ圧力推定手段と、を備えて前記ブースタ圧力を推定するブースタ圧力推定方法とした。そして、前記吸気圧力検知手段が検出又は推定する前記エンジンの吸気側の圧力が略一定であることを判定するステップと、前記エンジンの吸気側の圧力が略一定のときに、前記ブレーキ操作量検出手段が検出する前記操作量が略一定であることを判定し、前記エンジンの吸気側の圧力と前記操作量が共に略一定の状態であるという安定条件が成立したことを判定するステップと、前記安定条件が成立して、所定の待機時間が経過したことを判定するステップと、前記安定条件が成立して前記所定の待機時間が経過したときに、前記エンジンの吸気側の圧力に補正値を加算して、前記ブースタ圧力の推定値を算出するステップと、を前記ブースタ圧力推定手段が実行することを特徴とした。
この発明によると、ブースタ圧力推定手段は、エンジンの吸気側の圧力とブレーキ操作部の操作量が共に略一定のときに、ブースタ圧力の推定値を算出できる。
ブレーキ操作部の操作量とエンジンの吸気側の圧力が共に略一定のとき、ブースタ圧力は精度よくエンジンの吸気側の圧力に追従することから、ブースタ圧力推定手段は、精度よくブースタ圧力の推定値を算出することができる。
本発明によれば、精度よくブースタ圧力を推定できるブースタ圧力推定方法と、推定したブースタ圧力を利用してブースタ圧力検出手段の故障を速やかに検出できるブレーキシステムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において「負圧」は、大気圧より真空の側の圧力、すなわちゲージ圧における負の圧力を示し、大気圧に近い負圧を「小さな負圧」、真空に近い負圧を「大きな負圧」と表記する。
図1は、本実施形態に係るブレーキシステムの概略図である。図1に示すように、ブレーキシステム1は、運転者が踏み込み操作するブレーキペダル(ブレーキ操作部)4、運転者がブレーキペダル4を踏み込む力(ブレーキ操作力)を倍力してマスタシリンダ3に入力するブースタ2、及びブースタ2で倍力されたブレーキ操作力を油圧に変換し、ブレーキ装置Brの油圧系統に入力するマスタシリンダ3を含んで構成される。
なお、ブースタ2とマスタシリンダ3は一体に構成されていてもよい。
ブースタ2は、エンジン5の吸気側を形成するインテークマニホールド5aと、配管5bを介して連通している。そして、ブースタ2には、チェックバルブ6を介して、インテークマニホールド5aに発生する負圧(以下、インマニ負圧と称する)が供給され、ブースタ2のブースタ圧力は負圧に維持される。
ブースタ圧センサ2aはブースタ圧力を検出し、その検出値をブースタ圧力信号P1として制御装置7に入力する。
このように、ブースタ圧センサ2aは、ブースタ圧力を検出することから、請求項に記載のブースタ圧力検出手段になる。
また、インマニ負圧センサ5cは、インマニ負圧を検出し、その検出値をインマニ圧力信号P2として制御装置7に入力する。
インマニ負圧は、エンジン5の吸気側の圧力であり、インマニ負圧センサ5cは、インマニ負圧を検出することから、本実施形態に係るインマニ負圧センサ5cは、請求項に記載の吸気圧力検知手段になる。
なお、インマニ負圧を検出するインマニ負圧センサ5cを備えず、例えばエンジン5の回転速度やスロットルバルブの開度等からインマニ負圧を推定する吸気圧力検知手段を備える構成としてもよい。
チェックバルブ6は1方向弁であり、ブースタ2のブースタ圧力の負圧がインテークマニホールド5aに発生するインマニ負圧より大きい場合、チェックバルブ6は閉じてブースタ圧力を大きな負圧に維持する。一方、ブースタ圧力の負圧がインマニ負圧より小さい場合、チェックバルブ6は開いてブースタ2にインマニ負圧を供給し、ブースタ圧力の負圧をインマニ負圧と同等に大きくする。
このように機能するチェックバルブ6を備えることで、ブースタ圧力を、より大きな負圧に維持できる。
そして、ブースタ2は、運転者がブレーキペダル4を操作するときのブレーキ操作力を、ブースタ圧力の負圧で倍力してマスタシリンダ3に入力する。
マスタシリンダ3は、ブースタ2から入力されるブレーキ操作力を油圧に変換してブレーキ装置Brの油圧系統に入力し、ブレーキ装置Brを動作する。
マスタシリンダ3からブレーキ装置Brに入力される油圧(以下、シリンダ油圧と称する)は液圧センサ3aによって検出され、その検出値はシリンダ圧力信号P3として制御装置7に入力される。
制御装置7は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備えるコンピュータ及び周辺回路などを含んで構成される。そして、例えばROMに記憶されるプログラムを実行し、ブースタ2のブースタ圧力を好適な負圧に維持するように動作する。
ブースタ2はインテークマニホールド5aと連通し、インマニ負圧が供給されることでブースタ圧力を好適な負圧に維持することができ、運転者がブレーキペダル4を操作するときのブレーキ操作力を効果的に倍力できる。
しかしながら、例えば図示しないアクセルペダルの操作やエアコンの動作状態の変化によってエンジン回転速度が変化してインマニ負圧が小さくなる、すなわち、大気圧に近づくと、ブースタ圧力を好適な負圧に維持できなくなる場合がある。
そこで、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aから入力されるブースタ圧力信号P1と、インマニ負圧センサ5cから入力されるインマニ圧力信号P2を監視し、例えばインマニ負圧が小さくなってブースタ圧力を好適な負圧に維持できないと判定したときには、エンジン5を制御するエンジン制御装置8に指令を与え、インマニ負圧が好適な負圧になるようにエンジン回転速度を制御する。
例えば、エアコンが動作している場合であっても、制御装置7は、エアコンの動作状態によらずエンジン5のエンジン回転速度を好適に維持するように、エンジン制御装置8に指令を与え、インマニ負圧を好適な負圧に維持する。
しかしながら、例えばブースタ圧センサ2aが故障して正確なブースタ圧力を検出できないときにブースタ圧力の負圧が小さくなっても、制御装置7は、エンジン制御装置8に適切な指令を与えることができず、インマニ負圧が小さくなることがある。そして、ブースタ2に好適な負圧が供給されなくなる。
すなわち、ブースタ2は、ブースタ圧力を好適な負圧に維持することができなくなり、運転者がブレーキペダル4を操作するときのブレーキ操作力を倍力できない。その結果、ブレーキ装置Brに所定の制動性能を発揮させるため、運転者は、強い力でブレーキペダル4を操作することが必要になり、運転者の負担が増えるという問題が発生する。
そこで、ブースタ圧センサ2aの故障を診断するため、制御装置7が、エンジン5のインテークマニホールド5aに発生するインマニ負圧に基づいてブースタ圧力の推定値を算出し、算出したブースタ圧力の推定値と、ブースタ圧センサ2aが検出するブースタ圧力の検出値に基づいて、制御装置7がブースタ圧センサ2aの故障を診断する構成が好適である。具体的に、ブースタ圧センサ2aが検出するブースタ圧力の検出値と、制御装置7が算出するブースタ圧力の推定値の差が所定値以上のときに、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する。
従来、ブレーキペダル4及び図示しないアクセルペダルが、運転者によって操作されていないときのみ、制御装置7がブースタ圧センサ2aの故障を診断する構成、すなわち、ブレーキペダル4及びアクセルペダルが、運転者によって操作されていないときのみ、制御装置7がブースタ圧センサ2aの故障を診断する構成であったが、本実施形態においては、ブレーキペダル4及びアクセルペダルが、運転者によって操作されている状態であっても、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aの故障を診断できる構成とした。
この構成によって、ブースタ圧センサ2aに故障が発生した場合、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したことを速やかに判定できる。
以下、制御装置7がインマニ負圧に基づいて算出するブースタ圧力の推定値を推定ブースタ負圧と称し、ブースタ圧センサ2aが検出するブースタ圧力の検出値(実測値)を検出ブースタ負圧と称する。
図2は、ブレーキペダルの操作状態に伴うインマニ負圧、ブースタ圧力、及びシリンダ油圧の変化を示すグラフであり、縦軸は圧力、横軸は経過時間を示す。
そして、実線はインマニ負圧を示し、破線はブースタ圧力を示し、一点鎖線はシリンダ油圧を示す。
また、ブレーキペダル4(図1参照)は、ONのとき運転者によって操作されている(踏み込まれている)ことを示し、OFFのとき操作が解除されてブレーキペダル4が戻っていることを示す。
図2に示すように、ブレーキペダル4(図1参照)がOFFの状態のとき、インマニ負圧の変化量は小さい(T1)。
この状態のとき、ブースタ圧力は、インマニ負圧との定量的な圧力差(補正値)ΔPを維持しながらインマニ負圧に追従して変化する。したがって、インマニ負圧とブースタ圧力の間に発生する圧力差ΔPを取得できれば、制御装置7は、インマニ負圧に圧力差ΔPを加算して推定ブースタ負圧を算出できる。
インマニ負圧とブースタ圧力の間に発生する圧力差ΔPは、インテークマニホールド5a(図1参照)とブースタ2(図1参照)を接続する配管5b(図1参照)の長さなど、エンジン5(図1参照)やブレーキシステム1(図1参照)の構成によって決まる設計値であり、設計時の計算や実験による計測で求めることができる。
したがって、制御装置7(図1参照)は圧力差ΔPを取得することができ、制御装置7は、インマニ負圧に圧力差ΔPを加算して推定ブースタ負圧を算出できる。
このように制御装置7は、推定ブースタ負圧を算出することから、請求項に記載のブースタ圧力推定手段になる。
一方、ブレーキペダル4(図1参照)のON、OFFが短時間に繰り返されると、インマニ負圧の変化量は大きくなり、ブースタ圧力の負圧より小さく場合がある(T2)。このようにインマニ負圧がブースタ圧力の負圧より小さくなると、チェックバルブ6(図1参照)が閉じてブースタ圧力を大きな負圧に維持する。したがって、ブースタ圧力がインマニ負圧に追従しないことから、制御装置7(図1参照)は、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できない。
また、図1に示すように、エンジン5のインテークマニホールド5aとブースタ2とは、配管5bを介して接続されることから、インマニ負圧がブースタ2に供給されるまでには遅れが生じる。このため、インマニ負圧の変化量が大きいとき、ブースタ2のブースタ圧力はインマニ負圧の変化に追従して変化することができず、制御装置7はインマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出することができない。
したがって、インマニ負圧がブースタ圧力の負圧より大きい場合であっても、インマニ負圧の変化量が大きいとき、制御装置7は、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できない。
ブレーキペダル4(図1参照)が操作されると(T3)、ブレーキペダル4の操作量が変化している間(T3a)はインマニ負圧の変化量が大きく、ブースタ圧力がインマニ負圧に追従しない。しかしながら、ブレーキペダル4の操作量が略一定のとき(T3b)、インマニ負圧の変化量は小さくなる。
このように、インマニ負圧の変化量が小さくなると、ブースタ圧力はインマニ負圧の変化に追従するようになり、制御装置7(図1参照)は、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できる。
なお、図2は、シリンダ油圧が変化している間(T3a)、ブレーキペダル4(図1参照)の操作量が変化していることを示している。
ブレーキペダル4(図1参照)がOFFの状態になると(T4)、ブレーキペダル4がOFFになった直後(T4a)は、インマニ負圧の変化量が大きく、ブースタ圧力がインマニ負圧に追従しない。そして、時間の経過とともにインマニ負圧の変化量は小さくなる(T4b)。インマニ負圧の変化量が小さくなると、ブースタ圧力はインマニ負圧の変化に追従するようになり、制御装置7(図1参照)は、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できる。
ブレーキペダル4(図1参照)がONとOFFの状態を繰り返すとき(T5)、ONの状態からOFFの状態又はOFFの状態からONの状態に切り換わった直後は(T5a、T5b、T5e)、インマニ負圧の変化量が大きく、ブースタ圧力がインマニ負圧に追従しない。
そして、ブレーキペダル4の操作量が略一定の状態が維持されると、時間の経過に伴ってインマニ負圧の変化量は小さくなる(T5c、T5f)。
なお、T5dの期間は、ブレーキペダル4(図1参照)の状態が変化しないにもかかわらずインマニ負圧が大きく変化しているが、これはエアコンの動作状態が変化したり、アクセルペダルの状態変化によってエンジン5の回転速度が大きく変化したことを示す。このような場合もインマニ負圧が大きく変化し、ブースタ圧力はインマニ負圧に追従しない。
本実施形態は、インマニ負圧の変化量が小さなときに、制御装置7(図1参照)が、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出する構成とした。具体的に制御装置7は、インマニ負圧に所定の圧力差ΔPを加算して推定ブースタ負圧を算出する。
この構成によって、ブレーキペダル4(図1参照)が操作された状態であっても、制御装置7は、推定ブースタ負圧を算出できることから、制御装置7が推定ブースタ負圧を算出する頻度を高めることができる。
また、図示しないアクセルペダルが操作されてエンジン5(図1参照)の回転速度が変化した場合であっても、インマニ負圧の変化量が小さくなったときに、制御装置7(図1参照)は推定ブースタ負圧を算出できる。
したがって、本実施形態に係る制御装置7は、図示しないアクセルペダルが操作された状態であっても、推定ブースタ負圧を算出できる。
このように、制御装置7(図1参照)は、推定ブースタ負圧を算出することで、ブースタ2(図1参照)内のブースタ圧力を常に監視することができる。
このことによって、例えばブースタ圧センサ2a(図1参照)を備えないブレーキシステム1(図1参照)を構成することができ、ブレーキシステム1のコストを削減できるという優れた効果を奏する。
また、制御装置7(図1参照)が算出する推定ブースタ負圧を利用して、例えば制御装置7がブースタ圧センサ2a(図1参照)の故障を診断し、ブースタ圧センサ2aに故障が発生した場合は、ブースタ圧センサ2aの故障を検出できるブレーキシステム1(図1参照)を構成できる。
この場合、本実施形態に係る制御装置7は、ブレーキペダル4(図1参照)や図示しないアクセルペダルの状態によらず、高い頻度で推定ブースタ負圧を算出できることから、制御装置7がブースタ圧センサ2aの故障を診断する頻度を高めることができる。したがって、ブースタ圧センサ2aに故障が発生した場合、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したことを速やかに判定できる。
このように、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aの故障を診断することから、請求項に記載の故障診断手段になる。
図3は、検出ブースタ負圧と推定ブースタ負圧の関係の一例を示す図である。
図3に示すように、例えば検出ブースタ負圧を縦軸にとって、推定ブースタ負圧を横軸にとった座標系Sを設定する。そして、推定ブースタ負圧と検出ブースタ負圧を座標系S上の座標とする座標データDを配置する。
なお、図3に示す座標系Sは、原点Oから離れるほど負圧が大きくなる、すなわち、ゲージ圧で圧力が低くなることを示す。
ブレーキシステム1(図1参照)及びエンジン5(図1参照)が理想的なモデルの場合、検出ブースタ負圧と推定ブースタ負圧の関係は、図3に示すように、直線Saで示される。
しかしながら、推定ブースタ負圧は、インマニ負圧センサ5c(図1参照)が検出するインマニ負圧に基づいて制御装置7(図1参照)が算出することから、インマニ負圧センサ5cが有する許容誤差によって推定ブースタ負圧に誤差が発生する。同様に、ブースタ圧センサ2aが有する許容誤差によって、検出ブースタ負圧に誤差が発生する。
このような誤差を考慮すると、検出ブースタ負圧と推定ブースタ負圧の関係は、例えば図3に示すように、直線Saより傾きの小さい直線Sbと、直線Saより傾きの大きい直線Sbが、直線Saを挟んで形成する領域Sbで示される。換言すると、推定ブースタ負圧と検出ブースタ負圧を、座標系S上の座標とする座標データDは、領域Sbの範囲内に配置される。
このような領域Sbは、例えば、インマニ負圧センサ5c(図1参照)が有する許容誤差とブースタ圧センサ2a(図1参照)が有する許容誤差に基づいて設定できる。
ブースタ圧センサ2a(図1参照)が故障すると、ブースタ圧センサ2aが検出する検出ブースタ負圧の値は正常でなくなることから、推定ブースタ負圧と検出ブースタ負圧を座標系S上の座標とする座標データDが、領域Sbの範囲外に配置される場合がある。したがって、制御装置7(図1参照)は、座標データDが領域Sbの範囲外に配置されたときに、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定できる。
例えば、図3に示すように、座標系Sに7個の座標データD(1)〜D(7)が配置される場合、制御装置7(図1参照)は、座標データD(6)、D(7)が領域Sbの範囲外に配置されていることに基づいて、ブースタ圧センサ2a(図1参照)に故障が発生したと判定できる。
さらに、本実施形態は、制御装置7(図1参照)がブースタ圧センサ2a(図1参照)の故障を診断するときの精度を向上するため、例えば最小二乗法によって、推定ブースタ負圧と検出ブースタ負圧の関係を示す一次回帰直線を算出し、得られた一次回帰直線の傾きが所定の範囲を外れたときに、制御装置7(図1参照)が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する構成とした。
制御装置7が、ブースタ圧センサ2aの故障を診断するための、一次回帰直線の傾きの所定の範囲は、例えば、領域Sbを形成する直線Sbの傾きと直線Sbの傾きの範囲とする。
図3に示すように、座標系Sに7個の座標データD(1)〜D(7)が配置される場合、制御装置7(図1参照)は、座標データD(1)〜D(7)を最小二乗法によって解析して、破線で示される一次回帰直線Scを得る。
そして、図3に示すように、一次回帰直線Scの傾きが、直線Sbの傾きと直線Sbの傾きの範囲内にないとき、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する。
この構成によると、例えば、座標データDが、D(1)からD(7)の順に配置される場合、制御装置7(図1参照)は、座標データD(6)、D(7)が領域Sbの範囲外に配置されるのを待つことなく、一次回帰直線Scの傾きを算出した時点で、ブースタ圧センサ2a(図1参照)に故障が発生したと判定できる。
また、座標データDが領域Sbの範囲内だけに配置される場合であっても、一次回帰直線Scの傾きが直線Sbの傾きと直線Sbの傾きの範囲内にないとき、制御装置7(図1参照)は、ブースタ圧センサ2a(図1参照)に故障が発生したと判定できる。したがって、制御装置7がブースタ圧センサ2aの故障を診断するときの精度を向上できる。
図4、図5は、制御装置がブースタ圧センサの故障を診断する手順(以下、故障診断手順と称する)を示すフローチャートである。
以下、主に図4、図5を参照して、故障診断手順を説明する(適宜、図1〜図3参照)。
なお、図4、図5に示す故障診断手順は、制御装置7が実行するプログラムにサブルーチンとして組み込まれ、割り込み処理などによって、所定のサイクル時間で定期的に制御装置7が実行する構成とすればよい。
この場合、制御装置7が故障診断手順を実行するサイクル時間は限定されるものではなく、ブレーキシステム1に要求される性能等に対応して適宜設定すればよい。
また、制御装置7は、故障診断手順におけるデータ番号を変数iとする。データ番号iは、推定ブースタ負圧と検出ブースタ負圧を座標系S上の座標とする座標データDの個数である。
1サイクル前の故障診断手順の実行が終了してから所定のサイクル時間が経過したら、制御装置7は故障診断手順の実行を開始し、液圧センサ3aから入力されるシリンダ圧力信号P3によって、シリンダ油圧を取得する(図4のステップS1)。制御装置7は、取得したシリンダ油圧を、例えば図示しないRAMに一時記憶する。
制御装置7は、取得したシリンダ油圧と、1サイクル前に故障診断手順を実行したときに取得したシリンダ油圧を比較してシリンダ油圧の変化量を算出し、シリンダ油圧の変化量が所定値より大きい場合は(図4のステップS2→No)、データ番号iをリセットする(図4のステップS14)。すなわち、データ番号iを0にする。そして、故障診断手順の実行を終了する。
すなわち、故障診断手順がサブルーチンで実行されている場合、制御装置7は、メインルーチンの実行に戻る。
このとき、例えば図示しないRAMに一時記憶された不要のデータを消去する構成が好適である。
一方、シリンダ油圧の変化量が所定値以下の場合(図4のステップS2→Yes)、制御装置7は、制御を図4のステップS3に進める。
なお、制御装置7が最初に故障診断手順を実行する場合は、予め設定される初期値を1サイクル前のシリンダ油圧とすればよい。この場合の初期値は、例えばブレーキペダル4がOFFの状態におけるシリンダ油圧とすればよい。
図2に示すように、ブレーキペダル4の操作量(ブレーキ操作量)が変化する場合、シリンダ油圧の変化量が大きくなる。そして、ブレーキ操作量が略一定のときは、シリンダ油圧の変化量が小さい。
したがって、制御装置7は、シリンダ油圧の変化量が所定値より小さいことで、ブレーキペダル4のブレーキ操作量が略一定であることを検出できる。
このように、本実施形態において、液圧センサ3aが検出するシリンダ油圧に基づいて、制御装置7がブレーキ操作量を検出することから、液圧センサ3aが請求項に記載のブレーキ操作量検出手段になる。
図2に示すように、ブレーキ操作量が変化するとき(T3a、T5a、T5e)、インマニ負圧の変化量が大きく、制御装置7は、推定ブースタ負圧を算出できない。したがって、本実施形態において制御装置7は、ブレーキ操作量の変化が小さいとき、すなわちブレーキ操作量が略一定で、インマニ負圧の変化量が小さいときに、推定ブースタ負圧を算出する構成とする。
したがって、制御装置7が推定ブースタ負圧を算出できる程度にインマニ負圧の変化量を小さくできる範囲でブレーキ操作量が変化するとき、制御装置7は、ブレーキ操作量が略一定と判定する。
ブレーキ操作量に対するインマニ負圧の変化量は、ブレーキシステム1やエンジン5の構成によって決定されることから、ブレーキ操作量を略一定とするブレーキ操作量の変化量は、予め実験などで求めることができる。
そして、ブレーキ操作量が略一定であることを制御装置7が検出するための、シリンダ油圧の変化量の所定値は、ブレーキシステム1に備わるマスタシリンダ3の特性等に基づいて、適宜設定すればよい。
また、ブレーキペダル4に図示しないストロークセンサを備え、ブレーキペダル4のストローク量をブレーキ操作量として検出する構成であってもよい。
この場合、制御装置7は、図示しないストロークセンサが検出するブレーキペダル4のストローク量の変化に基づいて、ブレーキ操作量が略一定であることを検出できる。
シリンダ油圧の変化量が所定値以下の場合(図4のステップS2→Yes)、制御装置7はブレーキ操作量が略一定と判定し、インマニ負圧センサ5cから入力されるインマニ圧力信号P2によって、インマニ負圧を取得する(図4のステップS3)。そして、制御装置7は、取得したインマニ負圧と、1サイクル前に故障診断手順を実行したときに取得したインマニ負圧を比較してインマニ負圧の変化量を算出し、インマニ負圧の変化量が所定値より大きい場合は(図4のステップS4→No)、制御を図4のステップS14に進める。
一方、インマニ負圧の変化量が所定値以下の場合(図4のステップS4→Yes)、制御装置7は、インマニ負圧が略一定で、インマニ負圧が安定したと判定する。すなわち、エンジン5の吸気側の圧力が略一定であると判定する。そして、制御装置7は、制御を図4のステップS5に進める。
なお、例えばエンジン5がアイドルストップ機能を有する場合、アイドルストップ機能によってエンジン5が停止すると、インマニ負圧が大気圧に近づくように高くなることから、制御装置7が取得するインマニ負圧が小さくなり、制御装置7は精度よくブースタ圧センサ2aの故障を診断することができない。
したがって、アイドルストップ機能によってエンジン5が停止している間、制御装置7は、故障診断手順の実行を中止する構成としてもよい。
図2に示すように、インマニ負圧の変化量が大きいとき、ブースタ2のブースタ圧力はインマニ負圧の変化に追従して変化しない。このため、制御装置7はインマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出することができない。
そこで、制御装置7が推定ブースタ負圧を算出できる範囲でインマニ負圧が変化するとき、制御装置7はインマニ負圧が略一定で、インマニ負圧が安定したと判定する。
そして、インマニ負圧の変化量が所定値より大きい場合、制御装置7は故障診断手順の実行を終了し、インマニ負圧の変化量が所定値以下でインマニ負圧が略一定の場合、すなわち、エンジン5の吸気側の圧力が略一定のとき、制御装置7は故障診断手順を進める。
なお、制御装置7が、インマニ負圧の安定を判定するための所定値は、例えば、ブースタ圧力がインマニ負圧の変化に追従できる範囲でインマニ負圧が変化するときの変化量とすればよい。このような所定値は、例えば実験によって求めることができる。
インマニ負圧の変化量が所定値以下の場合(図4のステップS4→Yes)、制御装置7は、インマニ負圧が略一定でインマニ負圧が安定していると判定し、ブースタ圧センサ2aから入力されるブースタ圧力信号P1によって、検出ブースタ負圧を取得する。そして、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さいとき(図4のステップS5→Yes)、制御を図4のステップS6に進める。
このように、ブレーキ操作量が略一定の場合にインマニ負圧が略一定という条件を安定条件と称する。この場合、制御装置7は、図4のステップS1からステップS4までの手順で、安定条件が成立するか否かを判定することになる。そして、制御装置7は、安定条件が成立したとき(図4のステップS4→Yes)、制御を図4のステップS5に進める。
また、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さい、すなわち、ゲージ圧で、ブースタ圧力がインマニ負圧より高いという条件を圧力条件と称する。この場合、制御装置7は、図4のステップS5の手順で、圧力条件が成立するか否かを判定することになる。そして、制御装置7は、圧力条件が成立したとき(図4のステップS5→Yes)、制御を図4のステップS6に進める。
ここで、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さいとき、すなわち圧力条件が成立したとき(図4のステップS5→Yes)、検出ブースタ負圧はインマニ負圧より大気圧に近い状態で、インマニ負圧がブースタ2に供給される。この状態のとき、ブースタ圧力はインマニ負圧に追従することから、制御装置7はインマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できる。
一方、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より大きく、圧力条件が成立しないとき(図4のステップS5→No)、ブースタ圧力はインマニ負圧に追従しないことから、制御装置7はインマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できない。
そして、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より大きい状態、すなわち圧力条件が成立しない状態が所定の検出時間より長く継続した場合、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aが故障していることを判定する構成が好適である。
したがって、制御装置7は、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より大きく、圧力条件が成立しないとき(図4のステップS5→No)、圧力条件が成立しないことを判定した回数をカウントし、その回数が所定値より大きくなった場合(図4のステップS13→Yes)、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する(図5のステップS11)。
前記のように、本実施形態に係る制御装置7は、故障診断手順を所定のサイクル時間で定期的に実行する。したがって、制御装置7は、圧力条件が成立しないことを判定した回数をカウントすることで、圧力条件が成立しない状態が継続した時間を算出できる。
このように算出した時間が所定の検出時間より長い場合、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aが故障していると判定する構成とすればよい。
なお、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定するための所定の検出時間は、ブレーキシステム1に要求される仕様等に基づいて、適宜設定すればよい。
検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さい状態(図4のステップS5→Yes)、すなわち圧力条件が成立するとき、制御装置7は、この状態で所定の待機時間が経過したか否かを判定する(図4のステップS6)。換言すると、制御装置7は、安定条件と圧力条件が共に成立した状態で、所定の待機時間が経過したか否かを判定する。
具体的に、制御装置7は、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さい状態(図4のステップS5→Yes)を判定した回数をカウントする。そして、制御装置7が故障診断手順を実行するサイクル時間にカウントした回数を積算して、安定条件と圧力条件が共に成立している時間を算出する。
このように算出した時間が所定の待機時間より長いとき、制御装置7は、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さい状態で所定の待機時間が経過したと判定する(図4のステップS6→Yes)。
すなわち、制御装置7は、安定条件と圧力条件が共に成立した状態で、所定の待機時間が経過したと判定する。
一方、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より小さい状態(図4のステップS5→Yes)で所定の待機時間が経過していないとき(図4のステップS6→No)、制御装置7は、データ番号iをリセットしないで故障診断手順の実行を終了する。
このように、安定条件と圧力条件が共に成立した状態で、所定の待機時間が経過するまで待機することによって、制御装置7は、インマニ負圧が安定してブースタ2に供給される状態であることを判定できる。
なお、安定条件と圧力条件が共に成立した状態で待機する所定の待機時間は、ブレーキシステム1に要求される性能等に基づいて、適宜設定すればよい。
また、該所定の待機時間を、安定条件と圧力条件を判定している時間も計時する構成にして、安定条件と圧力条件の他に何らかの条件を加えたとしても、図4のステップS6がYesになるまでの時間を変わらなくすることもできる。
安定条件と圧力条件が共に成立した状態で、所定の待機時間が経過したとき(図4のステップS6→Yes)、制御装置7は、取得したインマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出する。具体的に制御装置7は、インマニ負圧に補正値である圧力差ΔPを加算して推定ブースタ負圧を算出する。そして、制御装置7は、検出ブースタ負圧と推定ブースタ負圧を座標系S上の座標とする、データ番号iの座標データD(i)を作成し(図5のステップS7)、作成した座標データD(i)を、例えば図示しないRAMに一時記憶する。
制御装置7は、座標データD(i)の個数が所定値以下のとき、すなわち、データ番号iが所定値以下のとき(図5のステップS8→No)、制御を図5のステップS12に進めるが、データ番号iが所定値より大きいとき(図5のステップS8→Yes)、制御装置7は、図示しないRAMに一時記憶されている全ての座標データD(i)を最小二乗法を用いて解析する。そして、得られた一次回帰直線の傾きを算出する(図5のステップS9)。
制御装置7は、得られた一次回帰直線の傾きが所定の範囲から外れている場合(図5のステップS10→Yes)、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する(図5のステップS11)。
一方、一次回帰直線の傾きが所定の範囲から外れていない場合(図5のステップS10→No)、制御装置7は、制御を図5のステップS12に進める。
例えば最小二乗法を用いて座標データD(i)を解析する場合、2個の座標データD(i)を利用すると解析に要する時間は短いが精度は低下する。また、解析に利用する座標データD(i)の数が多いほど精度は向上するが、解析に要する時間が長くなる。したがって、解析に利用する座標データD(i)の個数の所定値は、ブレーキシステム1に要求される性能等に基づいて、解析に要する時間と精度が好適になるように適宜設定すればよい。
そして、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定した場合(図5のステップS11)、例えば制御装置7は、インテークマニホールド5aに好適な負圧が発生するエンジン回転速度を維持するようにエンジン制御装置8に指令を与え、ブースタ2のブースタ圧力を好適な負圧に維持する構成とすればよい。
また、例えばエンジン5がアイドルストップ機能を有する場合に、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生した判定したときは、制御装置7がエンジン制御装置8に指令を与えてアイドルストップ機能を停止し、アイドルストップ機能によってインテークマニホールド5aのインマニ負圧が小さくなることを防止する構成としてもよい。
このような構成によって、仮にブースタ圧センサ2aに故障が発生した場合であっても、ブースタ2はブースタ圧力を好適な負圧に維持することができる。したがって、運転者がブレーキペダル4を操作するときのブレーキ操作力を好適に倍力することができ、運転者は、強い力でブレーキペダル4を操作する必要がない。すなわち、ブースタ圧センサ2aが故障した場合であっても、運転者の負担を増やすことなく、ブレーキ装置Brに所定の制動性能を発揮させることができるという優れた効果を奏する。
さらに、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定した場合、例えば図示しない警報装置によって、運転者にブースタ圧センサ2aの故障を報知する構成であってもよい。
なお、本実施形態は、図4のステップS10で、一次回帰直線の傾きが所定の範囲から外れたときに、制御装置7がブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する構成としたが、例えば、座標データD(i)が、図3に示す領域Sbの範囲外に配置されたことに基づいて、制御装置7がブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する構成であってもよい。
この構成によると、例えば、座標データD(i)の個数が所定値より少ない場合であっても、座標データD(i)が、図3に示す領域Sbの範囲外に配置されると、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定できる。したがって、ブースタ圧センサ2aに故障が発生した場合、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したことを速やかに判定できる。
また、例えば図4のステップS5において、インマニ負圧が所定値より大きい場合に、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より大きいとき、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する構成であってもよい。
この場合、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定するためのインマニ負圧の所定値は、例えば、ブースタ圧力が取りうる最低の圧力値(最も真空に近いブースタ圧力)とすればよい。
以上のように、本実施形態に係るブレーキシステム1(図1参照)は、ブレーキペダル4の操作状態にかかわらず、エンジン5のインマニ負圧が安定した状態であれば、制御装置7(図1参照)が、ブースタ圧センサ2a(図1参照)の故障を診断することができる。したがって、制御装置7がブースタ圧センサ2aの故障を診断する頻度を高めることができ、ブースタ圧センサ2aに故障が発生した場合に、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したことを速やかに検出できるという優れた効果を奏する。
なお、本実施形態に係るブレーキシステム1(図1参照)は、インマニ負圧が安定した状態であれば、制御装置7がブースタ圧センサ2a(図1参照)の故障を診断できることから、図示しないアクセルペダルの状態にかかわらず、制御装置7はブースタ圧センサ2aの故障を診断できる。
本実施形態に係るブレーキシステムの概略図である。 ブレーキペダルの操作状態に伴うインマニ負圧、ブースタ圧力、及びシリンダ油圧の変化を示すグラフである。 検出ブースタ負圧と推定ブースタ負圧の関係の一例を示す図である。 制御装置がブースタ圧センサの故障を診断する手順を示すフローチャートである。 制御装置がブースタ圧センサの故障を診断する手順を示すフローチャートの続きである。
符号の説明
1 ブレーキシステム
2 ブースタ
2a ブースタ圧センサ(ブースタ圧力検出手段)
3 マスタシリンダ
3a 液圧センサ(ブレーキ操作量検出手段)
4 ブレーキペダル(ブレーキ操作部)
5 エンジン
5a インテークマニホールド(エンジンの吸気側)
5c インマニ負圧センサ(吸気圧力検知手段)
7 制御装置(ブースタ圧力推定手段、故障診断手段)

Claims (5)

  1. 運転者がブレーキ操作部を操作するときのブレーキ操作力を、エンジンの吸気側に接続されたブースタによって倍力するブレーキシステムにおいて、
    前記ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
    前記エンジンの吸気側の圧力を検出又は推定する吸気圧力検知手段と、
    前記エンジンの吸気側の圧力に基づいて前記ブースタのブースタ圧力の推定値を算出するブースタ圧力推定手段と、を備え、
    前記吸気圧力検知手段が検出又は推定する前記エンジンの吸気側の圧力と、前記ブレーキ操作量検出手段が検出する前記操作量とが、共に略一定の状態であるという安定条件が成立して所定の待機時間が経過したときに、前記ブースタ圧力推定手段が、前記ブースタ圧力の推定値を算出することを特徴とするブレーキシステム。
  2. 前記ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段と、
    前記ブースタ圧力検出手段が検出する前記ブースタ圧力の検出値及び前記ブースタ圧力推定手段が算出する前記ブースタ圧力の推定値に基づいて、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断する故障診断手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
  3. 前記ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段と、
    前記ブースタ圧力検出手段が検出する前記ブースタ圧力の検出値及び前記ブースタ圧力推定手段が算出する前記ブースタ圧力の推定値に基づいて、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断する故障診断手段と、を備え、
    前記ブースタ圧力の検出値が前記エンジンの吸気側の圧力よりも高いという圧力条件と前記安定条件が共に成立して前記所定の待機時間が経過したときに、
    前記ブースタ圧力推定手段が前記ブースタ圧力の推定値を算出し、前記故障診断手段が、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断することを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
  4. 前記故障診断手段は、
    前記ブースタ圧力の検出値と前記ブースタ圧力の推定値の関係を示す一次回帰直線を算出し、前記一次回帰直線の傾きが所定の範囲を外れたときに、前記ブースタ圧力検出手段が故障したと判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のブレーキシステム。
  5. 運転者がブレーキ操作部を操作するときのブレーキ操作力を、エンジンの吸気側に接続されたブースタによって倍力するブレーキシステムに、
    前記ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
    前記エンジンの吸気側の圧力を検出又は推定する吸気圧力検知手段と、
    前記エンジンの吸気側の圧力に基づいて前記ブースタのブースタ圧力の推定値を算出するブースタ圧力推定手段と、を備えて前記ブースタ圧力を推定するブースタ圧力推定方法であって、
    前記吸気圧力検知手段が検出又は推定する前記エンジンの吸気側の圧力が略一定であることを判定するステップと、
    前記エンジンの吸気側の圧力が略一定のときに、前記ブレーキ操作量検出手段が検出する前記操作量が略一定であることを判定し、前記エンジンの吸気側の圧力と前記操作量が共に略一定の状態であるという安定条件が成立したことを判定するステップと、
    前記安定条件が成立して、所定の待機時間が経過したことを判定するステップと、
    前記安定条件が成立して前記所定の待機時間が経過したときに、前記エンジンの吸気側の圧力に補正値を加算して、前記ブースタ圧力の推定値を算出するステップと、を前記ブースタ圧力推定手段が実行することを特徴とするブースタ圧力推定方法。
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