JP4972060B2 - ブレーキシステム及びブースタ圧力推定方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、アクセルペダルやブレーキペダルが操作されているとき、エンジンの吸入負圧は変化することから正確にブースタ圧力を推定することができない。
このように、正確なブースタ圧力が推定できないと、ブースタ圧力検出手段の故障を正確に診断することができないという問題がある。
したがって、運転者がブレーキ操作部を操作した状態であっても、ブレーキ操作部の操作量が略一定であれば、ブースタ圧力推定手段はブースタ圧力の推定値を算出でき、ブースタ圧力推定手段がブースタ圧力の推定値を算出する頻度を高めることができる。
また、エアコンの動作等によって、エンジンの吸気側の圧力がブースタ圧力より高い状態、つまりブースタ圧力に負圧が供給されない状態のときは、エンジンの吸気側の圧力がブースタ圧力の推定値にならず、ブースタ圧力検出手段が故障していないにもかかわらずに、ブースタ圧力検出手段が検出するブースタ圧力とブースタ圧力推定手段が算出するブースタ圧力の推定値の差が大きくなることがなく、故障診断手段がブースタ圧力検出手段の故障を誤検出することがない。
したがって、ブースタ圧力推定手段は、より正確なブースタ圧力の推定値を算出することができ、故障診断手段は、正確なブースタ圧力の推定値に基づいて、より精度よくブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。また、請求項1に記載の所定の待機時間中に圧力条件を判断することができ、複数の条件からなる場合であっても、その判断に時間を消費することがなく、ブースタ圧力検出手段に発生する故障を速やかに検出できる。
したがって、故障診断手段は、ブースタ圧力の検出値とブースタ圧力の推定値の差に基づく診断よりも精度よく、ブースタ圧力検出手段の故障を診断できる。
ブレーキ操作部の操作量とエンジンの吸気側の圧力が共に略一定のとき、ブースタ圧力は精度よくエンジンの吸気側の圧力に追従することから、ブースタ圧力推定手段は、精度よくブースタ圧力の推定値を算出することができる。
なお、以下の説明において「負圧」は、大気圧より真空の側の圧力、すなわちゲージ圧における負の圧力を示し、大気圧に近い負圧を「小さな負圧」、真空に近い負圧を「大きな負圧」と表記する。
なお、ブースタ2とマスタシリンダ3は一体に構成されていてもよい。
このように、ブースタ圧センサ2aは、ブースタ圧力を検出することから、請求項に記載のブースタ圧力検出手段になる。
インマニ負圧は、エンジン5の吸気側の圧力であり、インマニ負圧センサ5cは、インマニ負圧を検出することから、本実施形態に係るインマニ負圧センサ5cは、請求項に記載の吸気圧力検知手段になる。
なお、インマニ負圧を検出するインマニ負圧センサ5cを備えず、例えばエンジン5の回転速度やスロットルバルブの開度等からインマニ負圧を推定する吸気圧力検知手段を備える構成としてもよい。
このように機能するチェックバルブ6を備えることで、ブースタ圧力を、より大きな負圧に維持できる。
そして、ブースタ2は、運転者がブレーキペダル4を操作するときのブレーキ操作力を、ブースタ圧力の負圧で倍力してマスタシリンダ3に入力する。
マスタシリンダ3からブレーキ装置Brに入力される油圧(以下、シリンダ油圧と称する)は液圧センサ3aによって検出され、その検出値はシリンダ圧力信号P3として制御装置7に入力される。
しかしながら、例えば図示しないアクセルペダルの操作やエアコンの動作状態の変化によってエンジン回転速度が変化してインマニ負圧が小さくなる、すなわち、大気圧に近づくと、ブースタ圧力を好適な負圧に維持できなくなる場合がある。
以下、制御装置7がインマニ負圧に基づいて算出するブースタ圧力の推定値を推定ブースタ負圧と称し、ブースタ圧センサ2aが検出するブースタ圧力の検出値(実測値)を検出ブースタ負圧と称する。
そして、実線はインマニ負圧を示し、破線はブースタ圧力を示し、一点鎖線はシリンダ油圧を示す。
また、ブレーキペダル4(図1参照)は、ONのとき運転者によって操作されている(踏み込まれている)ことを示し、OFFのとき操作が解除されてブレーキペダル4が戻っていることを示す。
この状態のとき、ブースタ圧力は、インマニ負圧との定量的な圧力差(補正値)ΔPを維持しながらインマニ負圧に追従して変化する。したがって、インマニ負圧とブースタ圧力の間に発生する圧力差ΔPを取得できれば、制御装置7は、インマニ負圧に圧力差ΔPを加算して推定ブースタ負圧を算出できる。
したがって、制御装置7(図1参照)は圧力差ΔPを取得することができ、制御装置7は、インマニ負圧に圧力差ΔPを加算して推定ブースタ負圧を算出できる。
このように制御装置7は、推定ブースタ負圧を算出することから、請求項に記載のブースタ圧力推定手段になる。
したがって、インマニ負圧がブースタ圧力の負圧より大きい場合であっても、インマニ負圧の変化量が大きいとき、制御装置7は、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できない。
このように、インマニ負圧の変化量が小さくなると、ブースタ圧力はインマニ負圧の変化に追従するようになり、制御装置7(図1参照)は、インマニ負圧に基づいて推定ブースタ負圧を算出できる。
そして、ブレーキペダル4の操作量が略一定の状態が維持されると、時間の経過に伴ってインマニ負圧の変化量は小さくなる(T5c、T5f)。
この構成によって、ブレーキペダル4(図1参照)が操作された状態であっても、制御装置7は、推定ブースタ負圧を算出できることから、制御装置7が推定ブースタ負圧を算出する頻度を高めることができる。
したがって、本実施形態に係る制御装置7は、図示しないアクセルペダルが操作された状態であっても、推定ブースタ負圧を算出できる。
このことによって、例えばブースタ圧センサ2a(図1参照)を備えないブレーキシステム1(図1参照)を構成することができ、ブレーキシステム1のコストを削減できるという優れた効果を奏する。
このように、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aの故障を診断することから、請求項に記載の故障診断手段になる。
図3に示すように、例えば検出ブースタ負圧を縦軸にとって、推定ブースタ負圧を横軸にとった座標系Sを設定する。そして、推定ブースタ負圧と検出ブースタ負圧を座標系S上の座標とする座標データDを配置する。
なお、図3に示す座標系Sは、原点Oから離れるほど負圧が大きくなる、すなわち、ゲージ圧で圧力が低くなることを示す。
しかしながら、推定ブースタ負圧は、インマニ負圧センサ5c(図1参照)が検出するインマニ負圧に基づいて制御装置7(図1参照)が算出することから、インマニ負圧センサ5cが有する許容誤差によって推定ブースタ負圧に誤差が発生する。同様に、ブースタ圧センサ2aが有する許容誤差によって、検出ブースタ負圧に誤差が発生する。
このような領域Sbは、例えば、インマニ負圧センサ5c(図1参照)が有する許容誤差とブースタ圧センサ2a(図1参照)が有する許容誤差に基づいて設定できる。
制御装置7が、ブースタ圧センサ2aの故障を診断するための、一次回帰直線の傾きの所定の範囲は、例えば、領域Sbを形成する直線Sb1の傾きと直線Sb2の傾きの範囲とする。
そして、図3に示すように、一次回帰直線Scの傾きが、直線Sb1の傾きと直線Sb2の傾きの範囲内にないとき、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する。
以下、主に図4、図5を参照して、故障診断手順を説明する(適宜、図1〜図3参照)。
この場合、制御装置7が故障診断手順を実行するサイクル時間は限定されるものではなく、ブレーキシステム1に要求される性能等に対応して適宜設定すればよい。
すなわち、故障診断手順がサブルーチンで実行されている場合、制御装置7は、メインルーチンの実行に戻る。
このとき、例えば図示しないRAMに一時記憶された不要のデータを消去する構成が好適である。
一方、シリンダ油圧の変化量が所定値以下の場合(図4のステップS2→Yes)、制御装置7は、制御を図4のステップS3に進める。
したがって、制御装置7は、シリンダ油圧の変化量が所定値より小さいことで、ブレーキペダル4のブレーキ操作量が略一定であることを検出できる。
このように、本実施形態において、液圧センサ3aが検出するシリンダ油圧に基づいて、制御装置7がブレーキ操作量を検出することから、液圧センサ3aが請求項に記載のブレーキ操作量検出手段になる。
ブレーキ操作量に対するインマニ負圧の変化量は、ブレーキシステム1やエンジン5の構成によって決定されることから、ブレーキ操作量を略一定とするブレーキ操作量の変化量は、予め実験などで求めることができる。
そして、ブレーキ操作量が略一定であることを制御装置7が検出するための、シリンダ油圧の変化量の所定値は、ブレーキシステム1に備わるマスタシリンダ3の特性等に基づいて、適宜設定すればよい。
この場合、制御装置7は、図示しないストロークセンサが検出するブレーキペダル4のストローク量の変化に基づいて、ブレーキ操作量が略一定であることを検出できる。
一方、インマニ負圧の変化量が所定値以下の場合(図4のステップS4→Yes)、制御装置7は、インマニ負圧が略一定で、インマニ負圧が安定したと判定する。すなわち、エンジン5の吸気側の圧力が略一定であると判定する。そして、制御装置7は、制御を図4のステップS5に進める。
したがって、アイドルストップ機能によってエンジン5が停止している間、制御装置7は、故障診断手順の実行を中止する構成としてもよい。
そこで、制御装置7が推定ブースタ負圧を算出できる範囲でインマニ負圧が変化するとき、制御装置7はインマニ負圧が略一定で、インマニ負圧が安定したと判定する。
なお、制御装置7が、インマニ負圧の安定を判定するための所定値は、例えば、ブースタ圧力がインマニ負圧の変化に追従できる範囲でインマニ負圧が変化するときの変化量とすればよい。このような所定値は、例えば実験によって求めることができる。
したがって、制御装置7は、検出ブースタ負圧がインマニ負圧より大きく、圧力条件が成立しないとき(図4のステップS5→No)、圧力条件が成立しないことを判定した回数をカウントし、その回数が所定値より大きくなった場合(図4のステップS13→Yes)、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定する(図5のステップS11)。
このように算出した時間が所定の検出時間より長い場合、制御装置7は、ブースタ圧センサ2aが故障していると判定する構成とすればよい。
なお、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定するための所定の検出時間は、ブレーキシステム1に要求される仕様等に基づいて、適宜設定すればよい。
すなわち、制御装置7は、安定条件と圧力条件が共に成立した状態で、所定の待機時間が経過したと判定する。
なお、安定条件と圧力条件が共に成立した状態で待機する所定の待機時間は、ブレーキシステム1に要求される性能等に基づいて、適宜設定すればよい。
また、該所定の待機時間を、安定条件と圧力条件を判定している時間も計時する構成にして、安定条件と圧力条件の他に何らかの条件を加えたとしても、図4のステップS6がYesになるまでの時間を変わらなくすることもできる。
一方、一次回帰直線の傾きが所定の範囲から外れていない場合(図5のステップS10→No)、制御装置7は、制御を図5のステップS12に進める。
この場合、制御装置7が、ブースタ圧センサ2aに故障が発生したと判定するためのインマニ負圧の所定値は、例えば、ブースタ圧力が取りうる最低の圧力値(最も真空に近いブースタ圧力)とすればよい。
2 ブースタ
2a ブースタ圧センサ(ブースタ圧力検出手段)
3 マスタシリンダ
3a 液圧センサ(ブレーキ操作量検出手段)
4 ブレーキペダル(ブレーキ操作部)
5 エンジン
5a インテークマニホールド(エンジンの吸気側)
5c インマニ負圧センサ(吸気圧力検知手段)
7 制御装置(ブースタ圧力推定手段、故障診断手段)
Claims (5)
- 運転者がブレーキ操作部を操作するときのブレーキ操作力を、エンジンの吸気側に接続されたブースタによって倍力するブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
前記エンジンの吸気側の圧力を検出又は推定する吸気圧力検知手段と、
前記エンジンの吸気側の圧力に基づいて前記ブースタのブースタ圧力の推定値を算出するブースタ圧力推定手段と、を備え、
前記吸気圧力検知手段が検出又は推定する前記エンジンの吸気側の圧力と、前記ブレーキ操作量検出手段が検出する前記操作量とが、共に略一定の状態であるという安定条件が成立して所定の待機時間が経過したときに、前記ブースタ圧力推定手段が、前記ブースタ圧力の推定値を算出することを特徴とするブレーキシステム。 - 前記ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段と、
前記ブースタ圧力検出手段が検出する前記ブースタ圧力の検出値及び前記ブースタ圧力推定手段が算出する前記ブースタ圧力の推定値に基づいて、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断する故障診断手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。 - 前記ブースタ圧力を検出するブースタ圧力検出手段と、
前記ブースタ圧力検出手段が検出する前記ブースタ圧力の検出値及び前記ブースタ圧力推定手段が算出する前記ブースタ圧力の推定値に基づいて、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断する故障診断手段と、を備え、
前記ブースタ圧力の検出値が前記エンジンの吸気側の圧力よりも高いという圧力条件と前記安定条件が共に成立して前記所定の待機時間が経過したときに、
前記ブースタ圧力推定手段が前記ブースタ圧力の推定値を算出し、前記故障診断手段が、前記ブースタ圧力検出手段の故障を診断することを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。 - 前記故障診断手段は、
前記ブースタ圧力の検出値と前記ブースタ圧力の推定値の関係を示す一次回帰直線を算出し、前記一次回帰直線の傾きが所定の範囲を外れたときに、前記ブースタ圧力検出手段が故障したと判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のブレーキシステム。 - 運転者がブレーキ操作部を操作するときのブレーキ操作力を、エンジンの吸気側に接続されたブースタによって倍力するブレーキシステムに、
前記ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
前記エンジンの吸気側の圧力を検出又は推定する吸気圧力検知手段と、
前記エンジンの吸気側の圧力に基づいて前記ブースタのブースタ圧力の推定値を算出するブースタ圧力推定手段と、を備えて前記ブースタ圧力を推定するブースタ圧力推定方法であって、
前記吸気圧力検知手段が検出又は推定する前記エンジンの吸気側の圧力が略一定であることを判定するステップと、
前記エンジンの吸気側の圧力が略一定のときに、前記ブレーキ操作量検出手段が検出する前記操作量が略一定であることを判定し、前記エンジンの吸気側の圧力と前記操作量が共に略一定の状態であるという安定条件が成立したことを判定するステップと、
前記安定条件が成立して、所定の待機時間が経過したことを判定するステップと、
前記安定条件が成立して前記所定の待機時間が経過したときに、前記エンジンの吸気側の圧力に補正値を加算して、前記ブースタ圧力の推定値を算出するステップと、を前記ブースタ圧力推定手段が実行することを特徴とするブースタ圧力推定方法。
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