JP4971501B2 - 再構築可能な磁気論理回路配列体、および再構築可能な磁気論理回路配列体の製造方法および動作方法 - Google Patents

再構築可能な磁気論理回路配列体、および再構築可能な磁気論理回路配列体の製造方法および動作方法 Download PDF

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Description

本発明は、請求項1の上位概念に記載の再構築可能な磁気論理回路配列体と、請求項40および46の上位概念に記載の再構築可能な磁気論理回路配列体の製造方法および動作方法とに関する。
トランジスタをベースとし現在最も使用されている論理ゲートでは、それぞれ特定の関数を実行するためだけに適した種々の論理関数を、多数の論理スイッチング素子によってシミュレートしなければならない。典型的には、このような論理スイッチング素子は現在、いわゆるCMOS技術で形成され、論理スイッチング素子を流れる電流が、信号レベルによって相応の論理を形成する。CMOS技術のこのようなスイッチング素子の欠点は、電流が回路内に存在する間しかスイッチング論理の結果が得られず、電流が遮断された後はスイッチング論理の結果は自動的に失われ、スイッチング素子の固定的な論理関数においても同様であることだ。
このような欠点を解消するための有望なアプローチに、磁気抵抗素子(MR)をベースとする複数の磁気的スイッチング素子の小さな配列体を使用する再構築可能な論理回路がある。このような論理回路は、出力値がたとえばいわゆるMRAM技術(Magnetic Random Access Memory)においてすでに技術的に使用されているような不揮発性の出力値であるという付加的な利点を有する[1]。
このような記憶デバイスの大部分は、いわゆる交換バイアス効果が重要な役割を果たす磁気抵抗素子をベースとする。
すでに早い段階で、いわゆる交換バイアス効果(EB)によって、強磁性材料(FM材料)の磁気特性を所期のように変化させるのを可能にする効果が発見されている。FM材料のヒステリシスループは通常は外部磁界の0点に対して対称的であるが、FM材料が反磁性材料(AFM材料)に接触すると、該FM材料のヒステリシスループは0点からシフトする。このヒステリシスループのシフトが十分に大きい場合、AFM材料との磁気的な相互作用が生じ、FM材料には、0磁界において安定的な磁化方向が1つだけ残る。FM材料の磁化方向においてこのような異方性はAFM材料との交換相互作用によって引き起こされるので、両構成間のこのようなエネルギー差を交換異方性と称する。強磁性とはここでは、材料の磁気モーメントが平行に配向され、この平行な配向によって臨界温度(キュリー温度)を下回る温度で自然磁化が生じている状態を指す。強磁性物質の特徴は、残留磁気が発生することと、再磁化のヒステリシス振舞いが発生することである。反強磁性の場合、臨界温度(いわゆるネール温度)を下回る温度では磁気モーメントは相互に逆平行に配向されて相殺される。
強磁性体および反強磁性体から成るシステムにおいて、該強磁性体のキュリー温度が反強磁性体のネール温度を上回り、該システムが磁界中で製造されるかまたは磁界中でブロッキング温度を下回って冷却されることにより、このような交換シフトが発生する。その際に強磁性体が示すヒステリシス曲線は、磁界軸でシフトされる。すなわち、強磁性体は内部シフト磁界にさらされているかのように振舞う。このようなシフト磁界の原因は、境界面で生じる反強磁性スピンと強磁性スピンとの交換結合である。それゆえ、交換シフトとも称される。基本的には、このような交換シフトの発生は以下のように説明することができる。システムがネール温度を上回ると、反強磁性スピンが自由に可動になり、FMとAFMとの境界面において、たとえば外部磁界によって配向された強磁性体のスピンに対して平行に配向される。ここでシステムをネール温度より低い温度まで冷却すると、反強磁性スピンは「フリーズ」し、逆に外部磁界が除去されると、反強磁性スピンは再び交換結合によって、強磁性体に対して内部シフト磁界のように作用するようになる。
強磁性体および反強磁性体から成るシステムの多くでは、AFMのネール温度はFMのキュリー温度より格段に低い。このようなシステムを外部磁界内で、または磁化されたFMによって反強磁性体のブロッキング温度より低い温度に冷却すると、交換バイアスが発生する。すなわちヒステリシス曲線のシフトが発生する。たいていはこのことは、ヒステリシスの拡幅とともに発生する。現在はそのために、とりわけ薄膜システムを使用する。薄膜システムでは、成長パラメータ(界面粗度、粒度、配向)をより良好に制御することができ、このような薄膜システムは用途に対して一義的により関連づけされる。
磁気抵抗素子を技術的に転用するための手段は種々存在する。2つの強磁性層を非磁性金属によって分離すると、巨大磁気抵抗システム(Giant-Magneto-Resistance-System (GMR))が得られる。このようなシステムでは、層平面に対して垂直または平行な電気抵抗は、両強磁性体の磁化方向に大きく依存する。GMR素子はたとえばハードディスク読取りヘッドに使用される。それに対してトンネリング磁気抵抗素子(TMR素子)では、両強磁性層が非磁性絶縁体によって分離される。層平面に対して垂直なトンネル電流は、両磁化の相互間の配向に依存する。
技術的に重要なのは交換バイアスである。というのも交換バイアスは、スピンバルブシステムにおいて重要な役割を果たすからである。このスピンバルブシステムは2つの強磁性体を含み、1つは自由に再磁化可能であり、他方は基準として固定される。基準層のこのような「ピン留め」は、たとえば反強磁性体との結合によって行われる。
FM‐AFMの相互作用の効果のうちの単なる1つであるヒステリシスループの側方のシフトは、すでに1,2年前から技術的に応用されており、とりわけデータ記憶分野において使用されている。最新世代のハードディスク読取りヘッドでは、読取りヘッド特性を最適化するためにとりわけ2つの強磁性層と1つの反強磁性層とを含む層システムが使用される。反強磁性層によって、両強磁性層のうち1つの磁化が交換バイアス効果によって、精確に定義された方向に固定される(すなわち、応答としてきれいな「ピン留め」が実現される)。第2の強磁性層の磁化は自由に回転可能であり、ハードディスクに書き込まれるビットによって配向される。その際に測定される信号は、両強磁性層の相互間の相対的な配向に依存する。
再構築可能な磁気回路配列体の製造に関しても、EBの記載はすでに存在する。
文献[2]に、磁気スイッチング素子を基礎とする構築可能な論理回路の一例が記載されている。この論理回路は、論理単位あたり6つの磁気トンネル接合部(MTJ)から成る。この構成は、XOR以外のすべての基本論理関数に使用することができる。
DE10053206C1およびDE10113787C1から、少なくとも1つの磁気抵抗素子を有する論理回路配列体が公知である。この磁気抵抗素子には、少なくとも2つの信号端子を有する導体が配属されており、該導体によって、導通状態では該磁気抵抗素子に作用する磁界が生成され、この磁界によって磁気抵抗素子の軟磁性層の磁化が切り換えられる。この論理回路配列体では、軟磁性層の磁化に対して実質的に垂直な別の磁界を必要に応じて生成するための手段が設けられており、該手段によって論理回路の動作形式が変化し、ひいては該論理回路配列体の論理が変化する。この付加的な磁界によって、軟磁性層の磁化の回転ないしは切り換えに必要な保磁力が低減され、該軟磁性層を切り換えるためにはより小さい磁界で十分になる。論理回路配列体を駆動制御するための両信号に依存して、論理回路配列体の応答はこの付加的な磁界に依存して生成され、この応答をさらに処理することができる。DE10113787C1では、この付加的な磁界は磁気作用によって直接、電流なしで形成することもできる。
DE10255587B3から次のような磁気論理デバイスおよび磁気論理デバイスの動作方法が、すなわち、該磁気論理デバイスが演算前に所定のオペレータ制御信号によってオペレータ関数を実行するための開始状態に設定される磁気論理デバイスおよび磁気論理デバイスの動作方法が公知である。この磁気論理デバイスではオペレータ制御信号は、それぞれ所定の論理関数を特徴づける論理デバイスの異なる複数の不揮発性の開始状態を所期のように設定するための異なる種類の制御信号のグループから選択される。このような磁気論理デバイスは、相互に結合されていない個々の論理素子から構成され、該個々の論理素子はそれぞれ、論理ステップの実行前に必ず相応の動作状態に切り換えなければならず、この切り換えは実に面倒である。また、使用可能な論理関数の範囲は制限されている。
それゆえ本発明の課題は、実際に使用するのに必要な論理回路すべてを独立した論理回路モジュールによって簡単に形成して選択的に使用できる論理回路配列体と、論理回路配列体の製造方法と、論理回路配列体の動作方法とを提供することである。
本発明の課題は、論理回路配列体に関しては請求項1記載の構成によって解決され、動作方法に関しては請求項40ないしは46記載の方法によって解決される。従属請求項に本発明の別の有利な実施形態が記載されている。
本発明は回路配列体に関しては、少なくともそれぞれ2つの磁性層から成る少なくとも2つの磁気抵抗素子と、少なくとも2つの信号端子に対する少なくとも1つの導体とを備えた再構築可能な磁気論理回路配列体に関し、該磁性層はそれぞれ中間層によって相互に分離されており、該磁性層のうち1つは基準層として、外部磁界に影響されても磁化を実質的に変化せず、他方の磁性層は自由層として、外部磁界に影響されると磁化を検出可能に変化し、該導体が通電されている状態では該導体によって、該磁気抵抗素子に作用して該自由層の磁化を切り換える第1の磁界が生成され、当該磁気論理回路配列体はさらに、該磁気抵抗素子に影響する第2の可変の磁界を必要に応じて生成するための第2磁界生成装置も備えている。このような回路配列体は、本発明ではさらに、前記のような2つの磁気抵抗素子が相互に隣接して配置され、前記2つの基準層の磁化は、予め設定された一軸異方性によって相互に逆方向に配向され、前記第1の磁界および前記第2の磁界が前記磁気抵抗素子に作用して前記自由層の磁化の配向が変化し、ひいては該磁気抵抗素子の抵抗が変化することによって論理回路配列体においてすべての基本的な論理関数の切換動作が行われるように該磁気抵抗素子は相互に接続されており、とりわけAND関数、OR関数、NAND関数、NOR関数、XOR関数またはXNOR関数の切換動作が行われるように該磁気抵抗素子は相互に接続されている構成によって発展される。このような構成により、2つの磁気抵抗素子を簡単に接続して、これら2つの磁気抵抗素子の基準層の磁化を相互に逆方向にすることにより、それによって得られる各磁気抵抗素子のシフトされるヒステリシス曲線を考慮して、各磁気抵抗素子の磁化特性が信号電流および第2の選択的に制御される磁界の電磁作用によって影響されて、論理回路配列体の応答特性が大きな手間なしで要求に応じて選択された応答特性に相応に調整されることにより、たとえばAND関数、OR関数、NAND関数、NOR関数、XOR関数またはXNOR関数等のすべての技術的に重要な論理関数を同一の回路によって生成することができる。その際には、磁気抵抗素子の基準層の相互に逆方向の磁化が非常に重要である。というのもこのような逆方向の磁化によって、外部から印加される磁界の作用と組み合わされて、磁気抵抗素子の磁化特性が所期のように影響され、個々の磁気抵抗素子の自由FM層のヒステリシス曲線が相互にシフトされ、適切なフェーズで、外部で生成される第1の磁界および第2の磁界が作用して、そのつど必要とされる論理回路に適切に選択的に、回路配列体内の磁気抵抗素子の共働に影響できるからである。このようにして1つの回路だけで、必要とされる論理関数をすべて実現することができ、これらの論理関数はもちろん、適切な回路単位に多重に設けることができ、このことによって高パフォーマンスの再プログラミング可能な論理回路配列体を構成することができる。それと同時に、回路の結果が回路配列体によって不揮発性になり、この結果を給電なしで長時間保持することができる。
さらに、第2磁界生成装置が、位置が前記少なくとも2つの信号端子に対する導体に垂直方向である通電可能な導体を有すると有利である。このような構成では、論理回路配列体の領域内に磁気的に作用するエレメントを配置することができ、有利には、第2の可変の磁界の少なくとも2つの信号端子に対する導体が、このような磁気的に作用するエレメントを含むことができる。この磁気的に作用するエレメントの磁界は、磁気抵抗素子の基準層の磁化に対して平行または逆平行に配向されている。論理関数を選択するために第2の磁界を生成すること、また、信号に対応する第1の磁界を生成することは、たとえば外部のコイルを使用して行うことができる。その際には、この外部のコイルによって発生する第2の磁界は、有利には楕円形状の磁気抵抗素子の短軸に対して平行にすることができる。また、現在たとえばプロジェクタのミラーアレイ用に開発されているようなマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を微細な永久磁界とともに使用することや、たとえばMFM(磁気力顕微鏡、magnetic force microscope)で使用されるような多数の磁気尖端を併用することも考えられる。基本的には、たとえば磁気ひずみ等の別の技術によって磁界を生成することも考えられる。
さらに、磁気抵抗素子の回路においてすべての基本的な論理関数の切換動作、とりわけAND関数、OR関数、NAND関数、NOR関数、XOR関数またはXNOR関数の切換動作を選択的に設定できるように、該磁気抵抗素子の回路に関して第1の磁界と第2の磁界とが重なるようにすることも重要である。このような構成では、相互に重なる第1の磁界と第2の磁界との相互作用、ならびに該相互作用によって磁気抵抗素子の磁気特性に及ぼされる影響を利用して、たとえば相互に直列接続または並列接続された磁気抵抗素子の回路のヒステリシス特性によって、該磁気抵抗素子のスイッチング閾値を1つの信号または両信号が超えるかまたは超えないことにより、論理回路配列体のそのつど所望の動作状態を設定することができる。その際には第2の磁界によって、選択された論理関数に応じて、この第2の磁界の作用によってそのつど所望の論理回路にのみ調整されるように、スイッチング閾値を所期のように調整することができる。
さらに有利には、磁気抵抗素子の磁性層は強磁性材料から成り、たとえば基準層には硬磁性材料が使用され、自由層には軟磁性材料が使用される。このような構成では、強磁性材料として有利には、CoFe,NiFe,CoFeBまたはホイスラー化合物が使用される。MgOバリアを含む磁気トンネル素子(MTJ、magnetic tunnel junction)では、現在のところCoFeBが非常に好まれている。その理由は、スパッタリング成層されたCoFeB層によって格段に大きな効果が得られているからである(たとえば、Appl. Phys. Lett. 89, 232510(2006年)中の J. Hayakawaa を参照されたい)。また、Fe/MgO/Fe系を使用することも非常に大きな成果を上げている(たとえば、nature materials, Vol. 3, 826(2004年)中の S. S. P. Parkin を参照されたい)。期待されるスピン偏極が大きいことから、ホイスラー化合物も非常に期待されている。
とりわけ、中間層が絶縁体層である場合には、絶縁体層の材料として酸化マグネシウムMgOまたは酸化アルミニウムAlを使用することができる。その際には、磁気抵抗素子はトンネル磁気抵抗素子(TMR素子)となる。TMR素子用に技術的に使用できる典型的な層スタックは、たとえばCu 25nm(下方の給電線)/Mn83Ir17 12nm(交換バイアス用)/Co70Fe30 3nm(基準層)/バリアとしてAl 1.3nm+プラズマ酸化/Ni80Fe20 4nm(第2のFM電極)と、上方の保護層としてTa 3nm/Cu 47nm/Au 26nmとから成る。このような材料選定で有利なのは、第1の磁界に応じて磁化の配向がほぼ平行になるかまたは反平行になるようにすることである。さらに、このような磁性層構成体に関する種々の文献においてしばしば記載されているように、個々の材料を交換したり、成長を改善するために付加的なバッファ層を付加したり、個々の強磁性層と(層間交換結合によって反平行に結合された2つのFM層から成る)人工のフェリ磁性体とを交換することによって正味の磁気モーメントを低減したり(このことはたとえば、W. J. Gallagher et al. によって IBM J. RES. & DEV. VOL. 50, 5(2006年)に記載されている)、第2のバリアと別の強磁性層とを付加したり、多くの別の変更を行うことができる。しかし、ここで必ず重要なのは、強磁性体/絶縁体/強磁性体という順序である。
また、中間層を非磁性層とし、それによって得られる磁気抵抗素子を巨大磁気抵抗素子(GMR素子)とすることも考えられる。このようなスピンバルブでは、基本的な構成は反強磁性体/強磁性体/非磁性体/強磁性体から成ることができる。このような構成では、反強磁性体/強磁性体の一部がピン留めに使用される。択一的に反強磁性体を省略し、中間層の厚さを適切に選択し、それによって得られる反強磁性の層間交換結合によって両強磁性体の配向を反平行にすることもできる。しかし、このことによって対称的なMR曲線が得られるので、このような論理回路で使用できる条件は限られている。
また、磁気抵抗素子の基準層の実質的に一定の磁気的特性を、強い一軸異方性および/または高い保磁力を有する付加的な磁性層によって安定化することも考えられる。このような付加的な磁性層は、非磁性層を介して基準層に反強磁性結合することができる。このような構成では、基準層を予め相互に逆方向に磁化することもでき、たとえばイオン衝突によって反強磁性結合を強磁性結合に変換することによって、このような逆方向の磁化を行うことができる。以下で、このような逆方向の磁化を行う手法を簡単な基準層に関して説明する。その際に重要なのは、とりわけ、両磁気抵抗素子の基準層の一軸異方性の方向が相互に逆であることだ。基準層の磁化方向を交換バイアスによって固定することに関しては、動作中に期待される外部磁界において強磁性層の磁化方向を固定的にすべきであるという条件が適用される。その際には、この磁化方向は局所的に変化することができる。たとえば、外部磁界が発生しても磁化方向を変化させない大きな一軸結晶異方性と大きな保持磁界とを有する強磁性層を選定することができ、この強磁性層に磁気抵抗素子の本来の基準層を層間交換相互作用によって反平行に結合することができる。このことはたとえば、約1nmの厚さのルテニウム中間層によって実現することができる。この系に多量のHeイオンを局所的に衝突させると、このような反平行結合は平行結合に変換する(このことは、種々の材料の組合せに関してすでに示されている)。このことにより、基準層の磁化方向が所望のように局所的に変化する。また、別の任意の形態の一軸異方性を利用することも考えられる。
相互に接続された磁気抵抗素子の場所の磁界強度が実質的に同じであることも重要である。というのも、このことによって両磁気抵抗素子の振舞いが均質になるからである。
第1の実施形態では、入力信号が磁気抵抗素子の回路に、少なくとも1つの導体によって、有利には2つの平行な導体によって印加され、該導体に、論理"0"または論理"1"の異なる信号レベルに対して異なる電流強度を個別に、または同時に、該磁気抵抗素子の回路に与える構成が考えられる。これら2つの信号レベルは相互に加算され、導体の周囲に磁界作用を発生させ、この磁界作用が所望のスイッチング振舞いを決定する。その際には別の構成では、導体によって生成された磁界の方向が基準層の磁化方向に対して平行になるようにする。このようにして、両信号の電流が負である場合には負の磁界が発生し、両信号のうち一方の電流が正であり他方の電流が負である場合には0磁界が発生し、両信号の電流がともに正である場合には正の磁界が発生するようになる。
信号状態に相応して生成された磁界を入力結合するために電流が流される簡単な導体の代わりに、入力信号を印加するための少なくとも1つの導体と、固定された硬磁性のレールとを次のように設けることができる。すなわち、該導体を流れる電流によって発生する磁界に対して等しい振幅かつ逆方向の漏れ磁界が得られるように設けることができる。このような構成では漏れ磁界は、固定された硬磁性のレールの厚さと固定方向とによって構成に関して決定することができる。この場合、信号を印加するために双極の電流を使用する必要はない。
さらに、正のスイッチング閾値および負のスイッチング閾値の代わりに、磁気抵抗素子の回路の個々のスイッチング応答を表現するために異なる正の磁界強度を使用することもできる。また、両磁気抵抗素子の導電度または抵抗の差が、両磁気抵抗素子の回路のスイッチング応答を示す構成も考えられる。その際には、両磁気抵抗素子の導電度または抵抗の差が存在しないことが論理"0"を意味し、高い抵抗差が論理"1"を意味するようにすることができる。
論理回路配列体のスイッチング状態の再現性に関して重要なのは、磁気抵抗素子の回路が各スイッチング過程の前に常に、定義された初期状態に切り替えられることである。こうするためには、磁気抵抗素子の自由層を正または負に飽和させることによって、定義された初期状態に設定し、これを出発点として、論理回路配列体の実際のスイッチング振舞いを選択し、第2の磁界の作用によって設定する。
本発明はさらに、請求項1記載の再構築可能な磁気論理回路配列体の製造方法にも関する。この製造方法では、磁気抵抗素子の作製前、作製中または作製後に、基準層の磁化方向を少なくとも局所的に、磁気抵抗素子が配置された領域において所期のように配向し、磁気抵抗素子を完全または部分的に作製する前、作製する間または作製した後に、固定化される磁気抵抗素子において、または磁気抵抗素子が配置される領域において、各基準層の磁化方向を変化させる。その際には、磁気抵抗素子を作製し、各基準層の磁化方向を所期のように決定するために実施可能な手法は種々存在する。とりわけ、ボード全体において固定を画一的に行い(磁界内で堆積するか、またはMTJ層の作製後に磁界中で冷却する)、その後にMTJ層を完全に形成することが考えられる。その際には、固定化を後で、イオン衝突またはレーザによって操作する。択一的に、ボード全体において固定状態を画一的に形成し(たとえば磁界内で堆積するか、または基準層の成層後に磁界内で冷却する)、その後にMTJ層を部分的に(たとえば基準層まで)形成した後に、固定化をイオン衝突またはレーザによって操作し、MTJの残りを形成することもできる(このことはたとえば、バリアをいたわるために使用することができる)。さらに、ボード上で固定化を最初は初期化せず、まずはMTJを完全または部分的に形成し、製造プロセス中(たとえば基準層の成層後)またはその後でMTJ層が完全に形成された後、固定化を2段階でイオン衝突またはレーザによって操作することも考えられる。その際には、まず一方の固定化方向のすべてのMTJを処理し、その後に他方の固定化方向のすべてのMTJを処理する。このことの利点は、すべてのトンネル素子に同一のイオン量を打ち込み、すべてのトンネル素子が同じTMR変化ないしは抵抗変化を示すようになることである。また、磁界内で別個に成層を行うことにより、初めから両種類のMTJの固定化方向を逆平行に方向付けすることも考えられる。上記のすべての方法において、磁気抵抗素子をたとえば薄膜回路で形成するために、たとえば通常のリソグラフィ法およびエッチング法の公知のステップを使用し、たとえば2番目ごとまたはn番目ごとの磁気抵抗素子に基準層の逆方向の磁化を施して、請求項1記載の論理回路配列体において使用できるようにすることができる。その際には、各基準層の磁化方向を磁界内でイオン衝突によって選択的に変化させたり、磁界内で有利にはレーザによって基準層を局所的に加熱することによって各基準層の磁化方向を選択的に変化させたり、相互に逆の外部磁界内で磁気抵抗素子の一部を別個にスパッタリングすることによって各基準層の磁化方向を選択的に変化させたり、適切な別の手法によって各基準層の磁化方向を選択的に変化させることが考えられる。たとえばイオン衝突等の面全体で処理する手法の場合、変化すべきでない磁気抵抗素子の変化すべきでない区分を有利には被覆マスク等によって被覆することにより、変化すべき磁気抵抗素子を所期のように選択することができる。
本発明はさらに、請求項1記載の再構築可能な磁気論理回路配列体の動作方法にも関する。この動作方法では、両磁気抵抗素子の回路の動作時に各スイッチング過程の前に常に最初に、該磁気抵抗素子の自由層を負または正に飽和させ、その後に論理関数を選択するための磁界を発生し、かつ/または論理信号を少なくとも1つの導体に印加することにより、磁気抵抗素子の自由層の磁化を変化させ、回路の論理応答を検出する。このシーケンスにより、各磁化サイクルごとに論理回路配列体のスイッチング状態が定義されたスイッチング状態になることが保証され、論理回路の結果は先行のサイクルに依存しなくなる。その際にはさらに、磁気抵抗素子の自由層の磁化の振舞いを最適化するために、磁気抵抗素子の回路の設定すべき論理関数に依存して磁気抵抗素子の自由層の飽和を選択することもできる。有利には、入力信号を供給するための前記少なくとも1つの導体を、磁気抵抗素子の自由層の飽和を供給するためにも使用することができる。
また、生成された切替結果の不揮発性を保証するために、論理信号の遮断前に論理関数を選択するための磁界を遮断することにも留意しなければならない。
さらに、論理関数を選択するための磁界の生成にも、論理信号のための磁界の生成にも、クロック制御される電流を使用することも有利である。
また、共通の論理回路上で同種類の論理回路配列体が、設定に応じて同時に異なる論理関数を実行し、また同時に同じ論理回路を実行することも考えられる。
図面に、本発明の論理回路配列体の特に有利な実施形態を示す。
EBの方向が相互に逆である2つの楕円形のMTJから成る再構築可能な磁気論理用の本発明の論理回路配列体の基本構成を示す概略図である。 図1に示した論理回路構成体の異なるスイッチング状態を示すスイッチングアステロイド曲線である。 図1に示した論理回路構成体の異なるスイッチング状態を示すスイッチングアステロイド曲線である。 もっぱら正の入力信号電流の場合のスイッチング状態を示すスイッチングアステロイド曲線である。 論理スイッチングサイクルの実施中のスイッチングアステロイド曲線における流れを示す概略図である。 論理スイッチングサイクルの実施中のスイッチングアステロイド曲線における流れを示す概略図である。 負の磁界による飽和後に関数選択フィールドの磁界強度を変化することによって行われる低抵抗の領域のシフトを示す。 本発明による論理回路配列体のMTJの概略的な層構成および配線接続構成を示す。 イオン照射されたMTJのマイナーループと、イオン未照射のMTJのマイナーループと、これら2つのMTJの直列接続体のマイナーループとを示す。 イオン照射されたMTJとイオン未照射のMTJとが直列接続された場合の、両MTJのマイナーループを示す。 イオン照射されたMTJの測定されたスイッチングアステロイド曲線と、イオン未照射のMTJの測定されたスイッチングアステロイド曲線である。 NAND関数、OR関数およびXOR関数の種々のスイッチング順序と測定値とを示す。 NAND関数、OR関数およびXOR関数の種々のスイッチング順序と測定値とを示す。 NAND関数、OR関数およびXOR関数の種々のスイッチング順序と測定値とを示す。 NAND関数、OR関数およびXOR関数の種々のスイッチング順序と測定値とを示す。
図1に、再構築可能な磁気論理回路用の本発明の論理回路配列体を概略的にのみ示す。この論理回路配列体の主要な部分は、交換バイアス相互作用(EB)によって引き起こされる一軸異方性の相互に逆の磁化方向を有する2つの相互に接続されたMTJから成る。同図中、楕円形内の矢印は、一軸異方性で固定化された基準層の磁化方向を概略的に示す。これによって、使用される比較的小さい外部磁界のために2つの基準層が相互に逆方向に磁化され、これらの磁気抵抗素子のヒステリシス特性はマイナーループによって測定される。このようなアプローチを実現するためには、磁気抵抗素子の製造時にEBの方向をまず、試料全体に均質にし、たとえばスパッタリング中に磁界成長によって、またはスパッタリング後に磁界中でさらに冷却することによって、EBの方向を均質にする。その際には、一方のMTJのEBの方向を有利にはイオン衝突によって180°回転させることができる。このことによって、基準層の磁化の残留磁界方向が相互に逆方向の2つの楕円形のMTJ(図1中では矢印でのみ示されている)が通常のリソグラフィ法およびエッチング法によって得られる。このことはたとえば、試料に配置された各MTJごとに、たとえばマスクを被覆することによって選択的に調整することができる。
MTJの領域において相互に直交する導体により、信号状態と所望の論理回路とに依存して、各楕円形のMTJの主軸にも副軸にも平行な方向の磁界を生成することができる。この磁界の磁界強度は、両MTJにおいて同じでなければならない。その際には論理回路配列体の論理入力量は電流Iin1/Iin2として、図1中の上方の相互に平行な導体に与えることができる。ここでは、正の電流は入力信号"1"であり、負の電流は入力信号"0"である。導体の周囲に発生した磁界の方向は、MTJの長軸の方向になる。2つの磁界がこのように重なることにより、(0,0)の場合には負の磁界となり、(1,0)および(0,1)の場合には0磁界となり、(1,1)の場合には正の磁界となる(図2aおよび2bを参照されたい)。
FMストリップの厚さおよび固定化方向は、振幅が等しくかつ磁界の方向が逆方向である漏れ磁界が、導体を流れる電流Iinによって発生されるように選択しなければならない。このことにより、両導体を流れる電流がゼロである場合には図2中の(0,0)の場合の相応の磁界が得られ、一方の導体のみを流れる電流が正である場合((1,0)/(0,1))に発生する磁界はゼロ磁界となり、両導体を流れる電流が正である場合(1,1)には正の磁界が得られる。このことは、2極の電流を全く必要としないという利点を有する。このような磁気論理回路の第3の実施形態は、(0,0)に対してHin=0を定義し、(0,1)/(1,0)に対して小さい正のHinを定義し、(1,1)に対してより大きい正のHinを定義することである。図3にこのことが示されている。この場合、初期化ステップ以外では負の電流を必要とせず、付加的な磁性層を必要としない。以下の説明では第1のアプローチを使用するが、この説明は3つすべてのアプローチに適用できる。2つのMTJの抵抗から磁気論理回路の出力を推定することができる。両MTJを接続する手段に、2つのMTJを並列接続または直列接続する手段がある(高い導電度/低い抵抗は論理"1"を意味し、低い導電度/高い抵抗は論理"0"を意味する)。この構成を以下の説明で使用する。択一的に、論理出力を得るために、2つのMTJの導電度の差の測定結果を使用することができる(抵抗差が存在しない場合には論理"0"を意味し、大きな抵抗差は論理"1"を意味する)。ここでは、関数選択用の電流Ifsと、MTJの長手軸に垂直な相応の磁界Hfsとが、論理関数の選択に使用される。
図2aおよび2bに、両MTJの軟磁性層のスイッチング磁界を表すアステロイド曲線を示す。このアステロイド曲線は、マイナーループ測定によって検出されたものである。これらのアステロイド曲線は、相互に逆方向に、Hin=0に対してシフトして位置している。MTJが数μmのサイズと大きく、バリアと2つのFM層との間の2つの表面の粗度が有意であり相関関係にある場合、このシフトは境界層において静磁気相互作用によって発生する(ネール結合)。比較的小さいMTJの場合、2つのFM層間に漏れ磁界結合のシフトが発生し、MTJの大きさが低減するとシフトは増大する[3]。漏れ磁界の結合の大きさは、基準層中の人工フェリ磁性体(AFi)の正味モーメントの調整によって調整することができる。図2a中に水平方向の線"1"によって、関数選択のための磁界Hfsを示しており、試料が予め正に飽和された場合のこの磁界Hfsのためのスイッチング磁界を破線で示し、負に飽和された場合の磁界Hfsのためのスイッチング磁界を点線で示している。図2aの上部分に、Hinに依存する個々のMTJの相応の抵抗を、高い抵抗の場合には"+"によって示しており、低い抵抗の場合には"−"によって示している。両MTJが低い抵抗を示すと、配列体全体の論理出力は「ロー」になり、1つまたは2つのMTJが高い抵抗を有する場合、出力は「ハイ」となる。論理信号に対する有効磁界H(i,j)(図2a中の垂直方向の実線)を全抵抗と比較すると、(1,1)および(0,0)では高い抵抗と低い電流とが得られ、出力0に相応し、(1,0)および(0,1)では低い抵抗/高い電流が得られることが判明している。このことは、XOR関数に相応する。
出力を不揮発性にするためには、パルスの時間的シーケンスを、最初にHfsがスイッチオンされて(図4b中の"A")論理関数が選択されるようにしなければならない。このようにして、磁界アステロイド曲線に相応する切替を示す多数の可能なマイナーループを扱う必要がなくなる。何が起こるかを理解するためには、Hfsの選択された値に対応する両MTJのマイナーループを見るだけで十分である(図4bの"A"で示された上部分を参照されたい)。電流Iin1およびIin2が、MTJの長手軸に垂直な2つの導体によって論理入力に相応してスイッチオンされている(たとえば、図4b中の"B"における(1,1))。このステップ中に、両MTJの自由磁性層の磁化は、論理出力を決定する構成に切り替えられる。このようにして、この状態を持続的に記憶されたままにすることができる。その後にHfsがスイッチオフされ(図4bにおける"C")、最後にHinもスイッチオフされる(図4b中の"D")。アステロイド曲線がHfs軸に交差する点(図4b中の"X")をHfsの値が上回って高い場合、Hfsがスイッチオフされるかまたは格段に低減される前にHinをスイッチオフすることは意味を成さない。というのもそうすると、一方のMTJの磁化が切り替え戻され、出力の維持は揮発性になってしまうからである。図4bで使用される値のようにHfsの値が比較的小さい場合、磁界のスイッチング順序は重要でない。
図2aに示されたようにHfsが"1"である場合、論理関数は回路の初期の状態に依存しない。Hfsの値が他の値である場合、別の関数が回路の初期の状態に依存して得られる。図2bの上部分に、Hfs="2"の場合の抵抗の一例を示す。ここでは、初期の負の飽和によってAND関数が生成され、初期に正の飽和を行うとNOR関数が得られる。これらの値をHfsに使用するためには、システムの定義された状態でサイクルを開始するのを保証するために、論理関数を使用する前に、両MTJの自由層を1つの方向に飽和する初めの初期化ステップが必要である。このことは、固定化された強磁性層を導体上で使用することなく、たとえば同時に入力量を(0,0)に設定してHfsをたとえば図2中の"1"で示されているような値に設定することによって行うか、または択一的に、比較的大きな電流Iin1およびIin2を使用することによって行うことができる。固定化された強磁性層を導体上で一方向に使用する場合には、初期化するためにはHfsの1パルスのみで十分である。
inに依存してHfsが変化し、低い抵抗領域全体がシフトすると(図5中の斜線領域を参照されたい)、複数の異なる論理関数を設定することができる。表1に、可能性すべてのリストを示す。表1の左側に全体の抵抗を示し、図2に相応して、高い抵抗の場合には上側に位置する円によって示し、低い抵抗の場合には低い位置の円によって示している。出力信号を測定するために選択された手法に基づき、Rtotal(Hin)のこの分布から種々の論理関数が得られる(表1の右側を参照されたい)。最終行に示されたRtotalの分布は、XOR/XNOR関数と同じMTJでは形成されない。というのも、低抵抗の状態で(0,1)/(1,0)のみが発生するのを阻止するためには、低抵抗の領域を大きくする必要があるからだ。このことは、アステロイド曲線のシフトが大きくなることに相応し、層のスタックの構成が異なることに相応する。
最後の段落のすべての説明では、ここに記載したシステムのMTJでは、基準層のEB固定化がイオン衝突によって磁界中で影響される。以下ではさらに、この基本的原理の実用的な変換に基づいて、本発明の実施形態を示す。もちろん基本的には、このような磁気論理回路の別の変換も考えられる。たとえば、巨大磁気抵抗(GMR)、または、2つの強磁性層の相対方向を変化させた場合にシステムの抵抗が変化する現在未知の作用等の別の磁気抵抗効果を使用することができる。最近室温で実現された最大472%の高い効率[4]と、技術的に類似するMTJによるMRAM技術が市販されているという事実[5]とを併せて鑑みると、現在はTMRが、相応の磁気論理回路を実現する最良の候補である。
原則的には、磁化方向の相対方向を変化した場合に変化することができるMTJの別の特性であって、抵抗の代わりに論理出力を決定するのに使用できるMTJの別の特性を使用することもできる。
Figure 0004971501
表1:異なるHfs(上から下に向かうほどHfsは低減される)ごとのHinに依存する(右側に向かうほど正のHinは増大する)抵抗と、相応にシフトされた低抵抗領域(図5を参照されたい)。高い(低い)位置にある円は、個々のMTJの異なる(2倍低い)抵抗によって引き起こされる高い(低い)全抵抗を示す。垂直方向の線は、論理入力(0,0),(0,1)/(1,0)および(1,1)に相応する磁界Hinを示す。右側:それによって得られる論理関数が、低い抵抗領域のシフトによって得られる。左側には、直列/並列配線の場合の低抵抗領域を示し、右側には、抵抗差を測定した場合の低抵抗領域を示す(最後の行の低抵抗領域の幅は異なることに留意されたい)。
また、磁界内でイオン照射を行う代わりにEBの方向を局所的に操作するための別の技術も使用することができ、たとえばレーザによる局所的な加熱、両MTJの基準電極のうち1つを磁界中で成長させた後に他方の基準電極を異なる方向の磁界で成長させる技術、強磁性材料の一軸異方性を局所的に変化させることができる別の任意の技術を使用することができる。しかし現在は、イオン照射が製造産業においてウェハ全体の局所的な操作を行うのに最適な手段であると考えられる。というのもたとえば、ウェハ全体でレジストマスクを使用してイオン照射を行うように大きな領域で、EBをレーザによって操作するのは困難であるからだ。MTJを磁界中で別個に成長させることにより、スパッタリングおよびリソグラフィで必要とされるステップの数が増大するため、MTJを別個に磁界中で成長させることは、特に高コストパフォーマンスであるとは考えられない。
また、少なくとも相応の磁気論理回路デバイスを適用する適用領域内で基準層の逆方向の磁化方向の局所的な操作を行うための磁界が最大量に達するまで該基準層の磁化方向を維持するのに使用できる他のものに、EBを置換することも考えることができる。その可能な一例に、非常に強い一軸異方性と、磁気論理回路配列体がさらされるどの磁界によっても磁化が変化されないことを保証できる非常に高い保磁力とを有する付加的な強磁性層を使用する手法がある。このような磁性層が基準層に結合された場合、たとえば反強磁性層間交換結合によってたとえばルテニウム等の非磁性中間層によってMTJに結合された場合、付加的な硬磁性層の磁化方向を変化させるかまたは中間層による結合を克服するのに十分に大きくないすべての外部磁界に対して、基準層の磁化方向が固定化される。層間交換結合によって決定される2つの強磁性層の相対的な磁化方向は、局所的に反平行から平行に、イオン照射によって変化させることができる。このことは、基準層の方向を180°回転させることを意味する。このことによって、提案されたような磁気論理回路に必要なすべての要件が満たされる。EBと比較して、このような技術は有利でない。というのも、反強磁性層間結合を強磁性結合に変化するのに必要とされるイオン量は多くなるからである。このようにイオン量が多くなることは、このような用途に有利でない構成を有するMTJにおいて、完全なMTJを設けた後に基準電極を操作しなければならない場合に問題となることがある。この場合、イオン量を増加すると高感度のバリアがより大きく阻害され、MTJの適正な動作が格段に劣化する可能性がある。それゆえこのような方法では、バリア層を設ける前にイオン照射を行うことが必要である。このことはEBを操作するための興味深い選択肢ではあるが、このようなアプローチが後続の層の成長に及ぼす作用は、これまで詳細に調べられていない。論理入力に使用され、論理関数の選択および定義された初期化状態の生成にも使用される磁界は、チップ上の導体を流れる電流によって生成するのが最も簡単である。というのもこの導体は、現在たとえばコンピュータチップの製造に使用される高信頼性の技術によって形成できるからである。しかしもちろん、たとえば磁気力顕微鏡の先端の漏れ磁界によって磁界を形成することも考えられる。その際には、たとえば原子間力顕微鏡のアレイによってデータを記憶するためのIBMのミリペードプロジェクトで説明されているように、多数の先端を併用することが考えられる。択一的に、論理素子の位置で有効磁界を変化させるために、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の分野の新たな技術を使用することもできる。
要約すると、ピン留めによって固定された層と外部磁界に自由に追従する層との2つの強磁性層が必要であると言える。これらの強磁性層の相対方向を適切な手法で、ここでは磁気抵抗作用によって測定しなければならない。
次の基本的原理の検証の目的は、新規の磁気論理回路の上記のコンセプトを実際にどのように実用化するかを示すことである。ここでは、既存の例での使用を示す。この例は、別の目的のために製造されたために、この種の論理回路を必要とする場合のために、またはそもそも磁気論理回路のためには一般的に最適化されていない。産業的に適用するためには、良好なMTJを製造するために、たとえばMRAMの製造時に使用されるような技術を、たとえばMTJの形態の選択や層の層構成および層の組み合わせの最適化等に関して使用する試行を行う。これらのことは、多くの種々の研究グループによって過去に得られており、最終的には市販にこぎつけられた製品の開発につながっている[5]。
原理を検証するために、[6]に記載されたパターンを使用した。層の構成は、Cu 25nm/Mn83Ir17 12nm/Co70Fe30 3nm/Al 1.3nm+プラズマ酸化/Ni80Fe20 4nm/Ta 3nm/Cu 47nm/Au 26nmから成る。この積層体を、275℃で1時間にわたって、HFC=1000 Oeの磁界内で焼結した。HFCに対して直角な磁界HIB内で試料の一部にヘリウムイオン(10keV、3×1015イオン数/cm)を衝突させ、その後に再び、この試料を1時間にわたって275℃で外部磁界なしで焼結した。基準層の磁化方向を逆平行の方向に設定するために、イオン未照射の試料の部分を除去して90°回転した。双方の部分に新たなMTJをパターニング形成し、下方にある接続導体を接続し、100μm×100μmのサイズの方形のイオン未照射のMTJとイオン照射されたMTJとを金線によってコンタクトした(図6を参照されたい)。
図7に、磁場冷却されただけのMTJ(TMR=48.5%、R min=3.6MΩμm)で測定されたマイナーループと、磁場冷却されさらにイオン照射されたMTJ(TMR=35.6%、R min=6.8MΩμm)で測定されたマイナーループと、両MTJが直列にワイヤ接続されて構成された構成体(R min=10.5MΩμm)で測定されたマイナーループとを示す(バイアス電圧10mV)。イオン未照射のMTJを(Hinの正の値で)スイッチングすることにより、TMR値が36%高くなるにも関わらず、MTJ配列体の抵抗の切り替えが、イオン照射されたMTJのスイッチングより27%小さくなることが確認できる。このことは、抵抗が高くなり、イオン照射されたMTJの抵抗の変化が絶対的に大きくなったことに起因する。Hfsの異なる値で、2つの接続されたMTJのマイナーループを測定すると(図8を参照)、図9に示された両MTJのスイッチング磁界のアステロイド曲線が検出される。自由層の保磁力はアステロイド曲線のシフトより小さいことが明らかである。それゆえこれらを、2つのMTJを直列接続してNOR関数およびAND関数として使用することはできない。さらに、論理出力は揮発性である。というのも、これらのMTJの抵抗状態は残留磁気のみによるからだ。さらに、HinおよびHfsをヘルムホルツコイルによってシミュレートし((0,0):−13Oe、(0,1)/(1,0):0Oe、(1,1):17Oe)、MTJの直列構成の抵抗を測定した。図10に、Hfs=3Oeおよび正のHinによって初期化した場合の測定値を示す。5秒経過した後に、Hfsを3Oeにした。試料を60Oeで15秒にわたって飽和させ、その後にHinを25〜30秒にわたって、論理入力に相応する値に設定した。次に論理出力が見られる。45秒後にHfsをスイッチオフし、その後、55秒後にHinもスイッチオフした。このような測定を、論理入力(0,0),(0,1)/(1,0)および(1,1)に相応するHinの3つの値すべてに対して行った。図10のすべての部分図の上部分に、入力(1,1)の場合の磁界の時間特性を示す。スイッチングステップ間の時間と、磁界が切り替えられる比較的長い変化する切替時間と、抵抗の相応の変化は、このような磁気論理回路の典型的な特性ではなく、ヘルムホルツコイルを流れる電流に対して手動のスイッチング装置を適用したことに拠る。この測定の結果は図10aにおいて、(1,1)では高い抵抗(出力"0")を示し、(0,0/0,1)および(1,0)では低い抵抗(出力"1")を示す。これはNAND関数となる。同様に、負の磁界によって初期化した後にHfs=3Oeで測定され(図10b)、正の磁界によって初期化した後にHfs=13Oeで測定されたのは(図10c)、OR関数およびXOR関数である。マーキングより上の抵抗は"0"の論理出力を示し、マーキングより下の抵抗は論理出力"1"と同じである。図10b中の論理入力(1,1)で測定された抵抗が、図10の他の測定結果と異なるのは、金先端とMTJとの間のコンタクトが完全でないことが原因であり、この不完全なコンタクトによって、測定結果が周辺の機械的影響に対して敏感に応答したからである。図10c中、(この測定では35〜45秒以上にわたって)論理入力(0,0)および(1,1)で得られる出力抵抗が格段に異なることは、以下のことによって説明することができる。すなわち、使用された2つのMTJのTMR値/抵抗が異なっていたことによる(図7および8を参照されたい)。このことは、直列にワイヤ接続される場合には両MTJの抵抗の変化を絶対的に等しくすることが重要であることを明らかに示す。さらに論理入力のHinの値は、これら2つのMTJのHfsの選択された値に完全には適合していない。それにもかかわらず、XOR関数を一義的に同定することができる。
すべての論理関数と不揮発性の出力とを形成するためには、漏れ磁界結合された小さな楕円形のMTJを使用しなければならない。これらのMTJは、AFiの正味モーメントの選択によって適合される。このことにより、図2に示されたように、残留磁気で2つの抵抗状態を有する重なり合う2つのアステロイド曲線が得られる。直接ワイヤ接続では、TMR振幅の差、またはイオン照射されたMTJとイオン未照射のMTJとの抵抗差は、そのつど切り替えるMTJに依存せずに抵抗の変化が等しくなるように、素子サイズを調整することによって補償することができる(図10cを参照されたい)。直列接続されたMTJの抵抗測定の欠点は、両MTJの磁気抵抗の相対変化が各個々のMTJと比較して小さいことである(図7を参照されたい)。
それに対して、抵抗差を測定する際に完全なTMR値を実現することができる。しかしこの場合には、イオン照射されたMTJおよびイオン未照射のMTJの異なる抵抗値を、素子サイズの変化によって補償することができない。それゆえ、イオン投与量を適切に選択してイオン照射中のエネルギーを適切に選択することにより、有利にはピン留めされた強磁性層を有する層構成体を分離層の上方において、イオン照射中の該分離層の欠陥を低減して可能性のある欠陥を除去するために後で焼結するのに使用することにより、すべてのMTJの均等性を保証しなければならない。

Claims (52)

  1. 少なくとも2つの磁気抵抗素子を有する再構築可能な磁気論理回路配列体であって、
    前記磁気抵抗素子はそれぞれ、少なくとも2つの磁性層と、少なくとも2つの信号端子に対応する少なくとも1つの導体から構成され、
    前記磁性層は中間層によって相互に分離されており、
    前記磁性層のうち1つは基準層として、外部磁界に影響されても磁化を実質的に変化させず、他方の磁性層は自由層として、外部磁界に影響されると磁化を検出可能に変化させ、
    前記少なくとも1つの導体が通電状態にあると、該導体によって、前記磁気抵抗素子に作用し前記自由層の磁化を切り換える第1の磁界が生成され、
    当該磁気論理回路配列体は、前記磁気抵抗素子に影響する可変の第2の磁界を必要に応じて生成するための第2磁界生成装置を有する、磁気論理回路配列体において、
    2つの前記磁気抵抗素子が相互に隣接して配置されており、
    両基準層の磁化は、予め設定された一軸異方性によって逆方向に配向されており、
    前記第1の磁界および第2の磁界が前記磁気抵抗素子に作用して前記自由層の磁化方向が相応に変化し、該磁気抵抗素子の抵抗が相応に変化することにより、当該磁気論理回路配列体においてすべての基本的な論理関数の切換動作を行えるように、前記磁気抵抗素子は相互に接続されており、とりわけAND関数、OR関数、NAND関数、NOR関数、XOR関数またはXNOR関数に切り換えられるように前記磁気抵抗素子は相互に接続されていることを特徴とする、磁気論理回路配列体。
  2. 前記第2磁界生成装置が、位置が前記少なくとも2つの信号端子に対応する導体に垂直方向である通電可能な導体を有する、請求項1記載の磁気論理回路配列体。
  3. 当該磁気論理回路配列体の領域内に、磁気的に作用するエレメントが配置されており、有利には、前記第1の可変の磁界の少なくとも2つの信号端子に対応する導体が、該磁気的に作用するエレメントを含み、
    該磁気的に作用するエレメントの磁界は、前記磁気抵抗素子の基準層の磁化に対して平行または逆平行に配向されている、請求項1記載の磁気論理回路配列体。
  4. 前記磁気抵抗素子の接続体においてすべての基本的な論理関数の切換動作、とりわけAND関数、OR関数、NAND関数、NOR関数、XOR関数またはXNOR関数の切換動作を選択的に設定できるように、該磁気抵抗素子の接続に関して前記第1の磁界と前記第2の磁界とが重なるようにされている、請求項1から3までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  5. 相互に逆方向にピン留めされた前記2つの磁気抵抗素子のスイッチングアステロイド曲線は、前記基準層の交換バイアス結合(EB)によって相互にシフトされている、請求項1から4までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  6. 前記磁気抵抗素子の磁性層は強磁性材料から成る、請求項1から5までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  7. 前記磁気抵抗素子の基準層はそれぞれ硬磁性材料を含む、請求項6記載の磁気論理回路配列体。
  8. 前記磁気抵抗素子の自由層はそれぞれ軟磁性材料を含む、請求項6記載の磁気論理回路配列体。
  9. 前記強磁性材料は、CoFe,NiFe,CoFeBまたはホイスラー化合物を含む、請求項6から8までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  10. 前記磁気抵抗素子の基準層の一軸異方性は、交換結合によって強磁性材料と反強磁性材料との間に存在する、請求項1から9までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  11. 前記中間層は絶縁体層である、請求項1から10までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  12. 前記絶縁体層は酸化マグネシウムMgOまたは酸化アルミニウムAlを絶縁体材料として含む、請求項11記載の磁気論理回路配列体。
  13. 前記磁気抵抗素子はトンネル磁気抵抗素子(TMR素子)である、請求項11または12記載の磁気論理回路配列体。
  14. 前記中間層は非磁性金属層である、請求項1から10までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  15. 前記磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗素子(GMR素子)である、請求項14記載の磁気論理回路配列体。
  16. 前記磁気抵抗素子の基準層の実質的に一定の磁気的特性が、強い一軸異方性および/または高い保磁力を有する付加的な磁性層によって安定化され、
    前記付加的な磁性層は、非磁性層を介して層間交換結合によって前記基準層に結合される、請求項1から15までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  17. 前記2つの磁気抵抗素子の基準層の一軸異方性は、前記基準層の交換バイアス結合(EB)によって相互に逆方向に配向されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  18. 前記磁気抵抗素子は方形の基本形を有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  19. 前記磁気抵抗素子は、長い主軸と短い主軸とを有する楕円形の基本形を有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  20. 相互に接続された前記磁気抵抗素子の場所の磁界強度は、実質的に同じである、請求項1から19までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  21. 前記入力信号は、少なくとも1つの導体によって前記磁気抵抗素子の接続体に印加され、
    前記少なくとも1つの導体で、論理0または論理1の異なる信号レベルに対応する異なる電流強度が個別または同時に、前記磁気抵抗素子の接続体に与えられるように構成されている、請求項1から20までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  22. 前記磁気抵抗素子の自由層の磁化が所期のように変化することにより、該磁気抵抗素子の接続体全体の特性が変化するように、前記入力信号によって前記導体上に発生する磁界は相互に重なる、請求項21記載の磁気論理回路配列体。
  23. 生成される磁界の方向が前記磁気抵抗素子の磁化方向に対して平行になるように、前記入力信号を印加するための導体は前記磁気抵抗素子の基準層の磁化方向に対して配置されている、請求項1から22までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  24. 前記磁気抵抗素子の接続体の各入力信号ごとに1つの専用の導体が設けられている、請求項1から23までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  25. 前記少なくとも1つの導体によって発生する前記磁気抵抗素子の磁気作用は、
    両信号の電流が負である場合には負の磁界が発生し、
    両信号のうち1つの電流が正であり他方の電流が負である場合にはゼロ磁界が発生し、
    両信号の電流が同時に正である場合には正の磁界が発生する
    ように形成される、請求項1から24までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  26. 前記入力信号を印加するための少なくとも1つの導体を流れる電流によって生じる磁界に対して逆方向かつ等しい振幅の漏れ磁界が発生するように、該入力信号を印加するための少なくとも1つの導体に、ピン留めされた硬磁性のレールが設けられている、請求項1から25までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  27. 前記漏れ磁界は、前記ピン留めされた硬磁性のレールの厚さと該硬磁性のレールのピン留め方向とによって決定される、請求項26記載の磁気論理回路配列体。
  28. 前記2つの端子を有する導体を流れる電流によって生じる第1の磁界と、該第1の磁界に対して平行または逆平行の付加的な磁界とが重なり合うことにより、
    両信号の電流がゼロである場合には負の磁界が発生し、
    両信号のうち一方のみに電流が流れる場合にはゼロ磁界が発生し、
    両信号に同時に電流が流れる場合には正の磁界が発生する
    ように構成されている、請求項26または27記載の磁気論理回路配列体。
  29. 前記信号を印加するために2極の電流を必要としない、請求項26から28までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  30. 前記磁気抵抗素子の接続体の個々のスイッチング応答を表現するために異なる正の磁界強度が使用される、請求項1から29までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  31. 前記切換動作を設定するための別の磁界の方向は、楕円形の前記磁気抵抗素子の長い半軸と前記基準層の磁化方向とに対して垂直である、請求項1から30までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  32. 前記磁気抵抗素子の接続体は、各切換過程の前に常に、定義された初期状態に切り換えられる、請求項1から31までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  33. 前記定義された初期状態は、前記磁気抵抗素子の自由層の正の飽和または負の飽和を含む、請求項32記載の磁気論理回路配列体。
  34. 前記磁気抵抗素子は相互に直列接続されている、請求項1から33までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  35. 前記磁気抵抗素子は相互に並列接続されている、請求項1から33までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  36. 前記磁気抵抗素子の導電度が高く、ひいては抵抗が低い場合、該磁気抵抗素子の振舞いは論理1となり、
    該磁気抵抗素子の導電度が低く、ひいては抵抗が高い場合、該磁気抵抗素子の振舞いは論理0を指す、請求項1から35までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  37. 前記2つの磁気抵抗素子の導電度または抵抗の差が、該2つの磁気抵抗素子の接続体のスイッチング応答を示す、請求項1から36までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  38. 前記2つの磁気抵抗素子の導電度または抵抗に差がない場合、該差がないことは論理0を意味し、
    前記抵抗に大きい差が存在する場合、該差は論理1を意味する、請求項37記載の磁気論理回路配列体。
  39. 有利には同種類の多数の再構築可能な磁気論理回路配列体が、1つの共通の論理回路に配置されている、請求項1から38までのいずれか1項記載の磁気論理回路配列体。
  40. 請求項1記載の再構築可能な磁気論理回路配列体の製造方法において、
    前記磁気抵抗素子の作製前または作製中または作製後に、前記基準層の所期の磁化方向を少なくとも局所的に、磁気抵抗素子が配置される領域内で形成し、
    前記磁気抵抗素子の完全または部分的な作製前または作製中または作製後に、固定化可能な磁気抵抗素子において、または磁気抵抗素子が配置される領域において、各基準層の磁化方向を変化することを特徴とする、製造方法。
  41. 各基準層の磁化方向を、磁界中でイオン衝突によって選択的に変化させる、請求項40記載の製造方法。
  42. 各基準層の磁化方向を磁界中で、有利にはレーザによって該基準層の局所的な加熱を行うことにより、選択的に変化させる、請求項40記載の製造方法。
  43. 前記磁気抵抗素子の一部分を、相互に逆方向の外部磁界内で別個にスパッタリングすることにより、各基準層の磁化方向を選択的に変化させる、請求項40記載の製造方法。
  44. 変化すべきでない磁気抵抗素子を有する変化すべきでない区分を有利には被覆マスク等によって被覆することにより、各基準層の磁化方向を選択的に変化させる、請求項40記載の製造方法。
  45. 両基準層の磁化方向を相互に逆方向に配向して、前記磁気抵抗素子を通常のリソグラフィ法またはエッチング法によって作製する、請求項1から44までのいずれか1項記載の製造方法。
  46. 請求項1記載の再構築可能な磁気論理回路配列体の動作方法において、
    前記2つの磁気抵抗素子の接続体の動作時に、各切換過程前に常に、最初に該磁気抵抗素子の自由層を負または正に飽和させ、
    前記論理関数を選択するための磁界を発生させ、かつ/または前記論理信号を前記少なくとも1つの導体に与えることにより、前記磁気抵抗素子の自由層の磁化を変化させ、該磁気抵抗素子の接続体の論理応答を検出することを特徴とする、動作方法。
  47. 前記磁気抵抗素子の自由層の飽和を、該磁気抵抗素子の接続体の設定すべき論理関数に依存して選択する、請求項46記載の動作方法。
  48. 前記入力信号を供給するための少なくとも1つの導体を、前記磁気抵抗素子の自由層の飽和を供給するためにも使用する、請求項47記載の動作方法。
  49. 前記論理信号のスイッチオフ前に、前記論理関数を選択するための磁界をスイッチオフする、請求項46から48までのいずれか1項記載の動作方法。
  50. 前記論理関数を選択するための磁界の生成と、前記論理信号とのために、クロック制御される電流を使用する、請求項46から49までのいずれか1項記載の動作方法。
  51. 前記共通の論理回路上に配置された同種類の磁気論理回路配列体は、設定に応じて同時に異なる論理関数を実行する、請求項46から50までのいずれか1項記載の動作方法。
  52. 前記共通の論理回路上に配置された同種類の磁気論理回路配列体は、設定に応じて同時に同じ論理関数を実行する、請求項46から50までのいずれか1項記載の動作方法。
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