JP4970848B2 - 工作機械におけるスペース確保方法 - Google Patents

Description

本発明は、たとえば立形マシニングセンタ等のワークが載置されたパレットを交換するためのパレット交換装置が前方に設置されてなる工作機械において、工作機械本体のワーク搬入口の前方に作業用のスペースを確保するためのスペース確保方法に関するものである。

従来より、たとえば立形マシニングセンタ等の工作機械には、待機位置に設置され、加工前のワークを載置したパレット（以下、前パレットという）と、交換位置（又は加工位置）に設置され、加工済のワークを載置したパレット（以下、後パレットという）とを交換するためのパレット交換装置が近接位置に備えられている。

このようなパレット交換装置としては、本件出願人が先に提案した特願２００５−１３２８７６のように、相反する方向へ向けられた一対のフォークを備えてなるアームを旋回自在、且つ、工作機械本体に対して前後方向にスライド可能に設けたものがある。該パレット交換装置は、工作機械の主軸装置等が設けられている工作機械本体の前面側に設置されており、工作機械本体の交換位置にある後パレットを前後方向へのスライド動作で受け取った後、旋回動作により待機位置にある前パレットと後パレットとの位置を逆転させて、再びスライド動作により前パレットを交換位置に設置するものである。また、作業者が初品加工などでの加工監視、刃具の点検、加工物の測定等のために工作機械本体にアクセスする際には、パレット交換装置が邪魔とならないように、一対のフォークが工作機械本体に対して左右方向へ向くように旋回させることにより、工作機械本体の前方（すなわち、加工空間の前方）に作業スペースを確保可能としている。

一方、上述したようなパレット交換装置以外のパレット交換装置としては、たとえば特許文献１に記載されているようなものがある。ここで、特許文献１に記載のパレット交換装置５１について、図１１をもとに説明する。図１１は、パレット交換装置５１を上方から見た説明図である。尚、図１１における上下方向をパレット交換装置５１の左右方向、図１１における左右方向をパレット交換装置５１の前後方向として説明する。

パレット交換装置５１は、左右方向へ並列設置された複数の工作機械５０、５０の前面側に備えられ、ワーク保管棚５７に収納されている前パレット５８ａと工作機械の交換位置（又は加工位置）にある後パレット５８ｂとを交換するものであって、工作機械５０、５０の前方に左右方向へ延設されたレール５２と、該レール５２上をスライドする移動台５３とを備えている。移動台５３上には、鉛直軸を中心として水平旋回する旋回テーブル５４が設置されており、該旋回テーブル５４には、相反する方向へ伸縮可能な一対のフォークを備えたアーム５５が設けられている。また、アーム５５は、昇降装置５６、５６によって上下方向へ移動可能となっている。尚、ワーク保管棚５７は、上下方向で複数段のパレット載置棚を有しているとともに、一段に複数のワークＷ、Ｗ・・を隣接した状態で収納可能となっている。

以上のようなパレット交換装置５１においては、移動台５３の左右方向へのスライド動作、アーム５５の上下方向への昇降動作、及び旋回テーブル５４の旋回動作によって、加工前のワークＷを載置した前パレット５８ａと加工済のワークを載置した後パレット５８ｂとの交換を行う。

実開平６−６３２５２号公報

上述の如く、工作機械本体の前方にパレット交換装置を備える場合、如何にして作業者のための作業スペースを工作機械本体の前方に確保するかが課題としてあり、本件出願人が先に提案したパレット交換装置によれば、アームの旋回により作業スペースを確保しようとしている。しかしながら、強度上の問題等からアームの長さに限りがあるため、アームを旋回させて確保される作業スペースも限られている。したがって、本件出願人が先に提案したようなパレット交換装置では、作業内容等によっては作業者にとって十分な作業スペースを確保することができないといった課題がある。また、アームを工作機械に対して前後方向へのみスライド可能としているため、特許文献１に記載されているような多面パレット交換方式に対応することができないといった課題もある。
一方、特許文献１に記載されているパレット交換装置５１では、工作機械本体の前方に十分な作業スペースを確保することができるものの、ワーク保管棚５７においてワークＷ、Ｗ・・を左右方向に並べて収納しているため、移動台５３をスライドさせるためのレール５２を左右方向へ長く延設する必要があり、装置が大型化するといった問題がある。また、パレット交換装置５１の大型化に伴い、ワーク保管棚５７の端部にある前パレット５８ａとの交換といった場合には、交換動作に時間がかかり、ワークＷの加工効率が低下するといった問題もある。

そこで、本発明は、上記課題や問題に鑑みなされたものであって、パレット交換装置が前方に設置された工作機械において、十分な作業スペースを確保することができる工作機械におけるスペース確保方法を提供しようとするものである。

上記目的を達成するために、本発明は、相反方向へ突設された一対のフォークを有し、ワークが載置されたパレットを前記フォークにより支持可能なパレット支持手段と、パレットを保持可能なパレット保持部を複数有するパレット収納装置とを備え、前記パレット支持手段が、工作機械本体の加工空間内へワークを搬入するためのワーク搬入口を介して前記工作機械本体との間でパレットの交換を行う第一方向と、前記パレット収納装置との間でパレットの受け渡しを行う第二方向とに移動可能であるとともに、上下方向を軸として旋回可能であり、前記パレット支持手段を旋回させて所望の前記フォークが前記ワーク搬入口側へ向く第一姿勢とし、当該第一姿勢のまま前記第一方向へ移動させることにより前記工作機械本体との間でパレットの交換を行う一方、前記パレット支持手段を旋回させて所望の前記フォークが前記パレット収納装置側へ向く第二姿勢とし、当該第二姿勢のまま前記第二方向へ移動させることにより前記パレット収納装置との間でパレットの受け渡しを行うパレット交換装置が、前記ワーク搬入口の前方に設置されてなる工作機械において、前記ワーク搬入口の前方に作業用のスペースを確保するための工作機械におけるスペース確保方法であって、前記パレット支持手段を旋回させて前記第一姿勢とする第１ステップと、前記パレット支持手段を、前記第一姿勢のまま前記第二方向へ移動させることにより、前記ワーク搬入口の前方に作業用のスペースを確保する第２ステップとを実行することを特徴とする。

本発明によれば、相反方向へ突設された一対のフォークを有するパレット支持手段を、工作機械本体との間でパレットの交換を行う第一方向と、パレット収納装置との間でパレットの受け渡しを行う第二方向とへ移動可能に、且つ、上下方向を軸として旋回可能に設け、パレット支持手段を旋回させて所望のフォークがワーク搬入口側へ向く第一姿勢とする第１ステップと、第一姿勢のまま第二方向へ移動させる第２ステップとを実行することによりワーク搬入口の前方に作業用のスペースを確保することができる。したがって、本件出願人が先に提案したものと比較すると、ワーク搬入口の前方に作業者にとって十分な作業スペースを確実に確保することができ、使い勝手が良い。

以下、本発明の一実施形態となるパレット交換装置について図面をもとに説明する。
図１は、本実施形態に係るパレット交換装置１を備えた工作機械２０を上方から示した説明図であり、図２は、工作機械２０を側方から示した説明図である。また、図３は、工作機械２０の本体２１を示した斜視説明図である。尚、図１における上下方向を工作機械２０の前後方向として説明する。

工作機械２０は、５軸制御立形マシニングセンタである工作機械本体２１とパレット交換装置１とを備えてなるものであって、パレット交換装置１は、工作機械本体２１の前面側に設置されており、後述の如きアーム（パレット支持手段）２とパレットストッカー（パレット収納装置）３とを備えている。

まず、図３にもとづき、工作機械本体２１について説明する。
工作機械本体２１は、上述の如く５軸制御立形マシニングセンタであって、基盤となるベッド２２上の前面側上面には、Ｙ軸案内レール２３、２３が設けられている。該Ｙ軸案内レール２３、２３上には、トラニオン構造のＡＣ軸ユニット２４がＹ軸方向（工作機械２０の前後方向）へ移動可能に設置されている。ＡＣ軸ユニット２４は、幅広なＵ字状に形成されてなるトラニオン２５を備えており、トラニオン２５の左右にＡ軸駆動機構２６、２６を内蔵している。そして、該Ａ軸駆動機構２６、２６によって、トラニオン２５をＸ軸方向（工作機械２０の左右方向）に平行なＡ軸を中心に回転傾斜可能としている。また、トラニオン２５上には、加工対象となるワークが載置されるパレットを設置可能なテーブル２７が備えられている。該テーブル２７は、トラニオン２５に内蔵されたＣ軸駆動機構（図示せず）によって、Ｚ軸（工作機械２０の上下方向）と平行なＣ軸周りに３６０度回転可能となっている。尚、２８は、テーブル２７上にてパレットを位置決め及び固定するためのテーパコーンであり、テーブル２７上に設置されるパレットは、該テーブルコーン２８、２８・・によって精密に位置決めされるとともに、図示しないクランプ装置によってテーブル２７に強固に固定される。

また、ベッド２２には、Ｙ軸案内レール２３、２３を跨ぐように門形構造のクロスレール２９が備えられている。クロスレール２９の前面には、Ｘ軸案内レール３０、３０が設けられており、該Ｘ軸案内レール３０、３０には、ラムサドル３１がＸ軸方向（工作機械２０の左右方向）へ移動可能に設置されている。さらに、ラムサドル３１の前面には、下端に主軸３３を備えた主軸頭３２がＺ軸方向へ移動可能に設置されている。
さらに、上記テーブル２７や主軸３３等は、周囲をカバー等で覆われてなる加工空間内に設けられている。そして、加工空間の前方を覆うカバーには、ワークを加工空間内へと搬入するためのワーク搬入口３５（図４に示す）が開設されており、該ワーク搬入口３５には、ワーク搬入口３５を開閉するためのドア３４（図４に示す）が取り付けられている。尚、ＡＣ軸ユニット２４、テーブル２７、主軸頭３２等のスライド動作及び回転動作、ドア３４の開閉動作等は、図示しないＮＣ装置によって制御される。

このように構成される工作機械本体２１では、テーブル２７上に固定されたワーク（パレット上に載置されている）をトラニオン２５のＡ軸及びＣ軸周りでの旋回動作とＡＣ軸ユニット２４のＹ軸方向へスライド動作とにより所望の加工位置へ位置決めし、工具を取り付けた主軸３３をＸ軸及びＺ軸方向へ移動させながら加工を行うことにより、ワークに対して多方向からの加工を可能としている。そして、オペレータ等の作業者は、該加工を工作機械２０の前面側から監視するとともに、工具の点検や初品加工後のワークの測定といった作業（以下、まとめてメンテナンス作業と称す）を、工作機械２０の前面側からアクセスし、ワーク搬入口３５を介して行う。

次に、工作機械本体２１の前方に設置されるパレット交換装置１について説明する。
パレット交換装置１は、それぞれパレットを支持可能な一対のフォーク１２、１２を備えたアーム２と、複数のパレットを収納可能なパレットストッカー３とを備えてなる。そして、第一位置において、加工前のワークを載置した待機位置にある前パレット１５ａ（図４に示す）と、加工済のワークを載置した交換位置（テーブル２７上）にある後パレット１５ｂ（図４に示す）との交換を工作機械本体２１との間で行う。また、第二位置において、工作機械本体２１から受け取った加工済のワークを載置した後パレット１５ｂと、パレットストッカー３に収納されている加工前のワークを載置したパレット１５ｃ（図８に示す）との受け渡しをパレットストッカー３との間で行う。尚、上述した工作機械本体２１との間での交換動作、及びパレットストッカー３との間での受け渡し動作については、後で詳述する。

アーム２は、図示しないサーボモータ等により基台１０上でＺ軸を中心に旋回可能に設けられものであって、パレットを支持する一対のフォーク１２、１２を相反する方向へ向けた状態で、且つ、フォーク１２、１２の方向と直交する方向へそれぞれ所定距離だけずらした旋回軸回りで対称となる位置に備えてなる。また、アーム２は、基台１０上に設けられたガイド（図示せず）に沿ってＹ軸方向へ移動可能となっている。
さらに、アーム２は、図示しない油圧シリンダによってＺ軸方向に沿って上下動可能となっているとともに、Ｘ軸方向に沿って設けられたガイドレール１１、１１に沿って基台１０とともに左右方向へスライド可能となっている。尚、各フォーク１２は、一対の支持爪を所定の間隔（ほぼパレットの左右幅と同じ間隔）離して平行に並設したものであり、パレットの左右に設けられた受け部の下側へ該支持爪を差し込むことにより、パレットを支持することができる。

一方、パレットストッカー３は、本体４から径方向へ６つのパレット載置台（パレット保持部）５、５・・を突設してなるものであって、本体４は、図示しない駆動機構等によりＺ軸方向と平行な軸周りで旋回可能となっており、該旋回動作により任意のパレット載置台５を所定の受け渡し位置へ旋回割出することができる。また、パレットストッカー３の上記受け渡し位置とは異なる所定の旋回位置には、外部装置との間でパレット上のワークの段取りを行うための段取りステーション（段取り位置となる）８が設けられている。さらに、パレットストッカー３の周囲は、カバー６にて覆われており、該カバー６の段取りステーション８に対応する位置には開口部が設けられているとともに、該開口部を開閉するためのドア７が備えられている。
尚、パレット交換装置１におけるアーム２の旋回動作やスライド動作、パレットストッカー３の旋回動作も、工作機械２０に設けられたＮＣ装置によって制御される。

ここで、上述したようなパレット交換装置１における工作機械本体２１との間でのパレットの交換動作、すなわちアーム２による前パレット１５ａと後パレット１５ｂとの交換動作について、図４〜図６にもとづき説明する。図４〜図６は、前パレット１５ａと後パレット１５ｂとを交換する態様を示した説明図である。
ＮＣ装置からパレット交換の指令が出されると、工作機械本体２１では、後パレット１５ｂが固定されているテーブル２７を加工位置から交換位置Ｑへ移動させる（図４（ａ））。具体的には、テーブル２７を、ＡＣ軸ユニット２４においてＡ軸及びＣ軸周りで旋回させてホームポジション（初期位置であって、テーブル２７が水平となる状態）へ戻すとともに、ＡＣ軸ユニット２４をＹ軸方向へスライドさせて交換位置Ｑへと移動させる。また、主軸頭３２等を、Ｘ軸及びＹ軸方向へスライドさせ、パレット交換の邪魔にならない上方位置へ退避させる。さらに、ドア３４を開放する。

一方、パレット交換装置１では、後述の如くして準備される前パレット１５ａを待機位置Ｐにて一方のフォーク１２に支持した状態で、アーム２を、他方のフォーク（前パレット１５ａを支持していないフォーク）１２が工作機械本体２１側へ向いた姿勢とする（図４（ａ））。そして、ドア３４の開放に伴い、アーム２を上記姿勢のままＹ軸方向に沿って工作機械本体２１側へとスライドさせてワーク搬入口３５を介して加工空間内へ進入させ、他方のフォーク１２を交換位置Ｑにあるテーブル２７上に固定された後パレット１５ｂの下側へ差し込ませる（図４（ｂ））。そして、テーブル２７と後パレット１５ｂとの固定が解除された後、アーム２を上方へ移動させて、後パレット１５ｂをフォーク１２にて支持させる。

さらに、アーム２をＹ軸方向に沿って前方（工作機械本体２１から離れる方向）へスライドさせ（図５（ｃ））、アーム２が旋回可能な位置となると、アーム２を１８０度旋回させ、前パレット１５ａを工作機械本体２１側へ向けた姿勢とする（図５（ｄ））。そして、再びアーム２を工作機械本体２１側へスライドさせ、前パレット１５ａをテーブル２７の上方に位置させる（図５（ｅ））。

その後、アーム２を下降させて、テーブル２７に前パレット１５ａを設置する（図６（ｆ））。この際、前パレット１５ａは、テーパコーン２８、２８・・によって位置決めされるとともに、クランプ装置にてテーブル２７に強固に固定される。前パレット１５ａの設置が完了し、アーム２を前方へスライドさせて前パレット１５ａの下側からフォーク１２が抜き取られる（図６（ｇ））と、工作機械本体２１では、ドア３４を閉じて前パレット１５ａ上にあるワークに対しての加工を行う。
以上のようにして、パレット交換装置１は、アーム２と工作機械本体２１との間でのパレットの交換動作を行う。尚、アーム２が工作機械本体２１との間でパレットの交換を行う上記位置（パレットの交換に際して、工作機械本体２１に対して前後方向へスライドする範囲であり、待機位置Ｐを含む）を、アーム２の第一位置と定義する。

一方、パレット交換装置１では、前パレット１５ａに対する加工が行われている間に、アーム２が工作機械本体２１から受け取った後パレット１５ｂと、パレットストッカー３にストックされている新たな加工前のワークを載置した前パレット１５ｃとを交換して、前パレット１５ｃの待機位置Ｐへの準備を行う。以下、前パレット１５ｃの待機位置Ｐへの準備について、図７〜図９にもとづき説明する。図７〜図９は、後パレット１５ｂと前パレット１５ｃとを交換する態様を示した説明図である。

まず、フォーク１２に後パレット１５ｂを支持させた状態にて、アーム２を上方へ移動させ（図７（ａ））た後、後パレット１５ｂがパレットストッカー３側へ向くまでアーム２を９０度右旋回させる（図７（ｂ））。この際、パレットストッカー３は、後パレット１５ｂを受け取り可能なパレット載置台５（パレットが載置されていない空台）を、所定の受け渡し位置（アーム２側へ向けられた位置）Ｒへと旋回割出する。

次に、アーム２を上記姿勢のままＸ軸方向に沿ってパレットストッカー３側へスライドさせ、受け渡し位置Ｒにあるパレット載置台５の上方に後パレット１５ｂを位置させた後、アーム２を下降させて後パレット１５ｂをパレット載置台５へ受け渡す（図７（ｃ））。その後、パレットストッカー３の本体４が旋回可能となる（すなわち、パレット載置台５、５・・がアーム２に干渉しない）位置まで、アーム２をＸ軸方向に沿って右方（パレットストッカー３から離れる方向）へスライドさせ（図８（ｄ））た後、本体４を旋回させて、アーム２へ受け渡す前パレット１５ｃが載置されたパレット載置台５を受け渡し位置Ｒへ旋回割出させる（図８（ｅ））。

そして、再びアーム２をＸ軸方向に沿ってパレットストッカー３側へスライドさせ、フォーク１２を受け渡し位置Ｒにあるパレット載置台５上の前パレット１５ｃの下側へ差し込ませた後、アーム２を上方へ移動させて、パレットストッカー３から前パレット１５ｃを受け取る（図８（ｆ））。その後、アーム２を右方へスライドさせて（図９（ｇ））から下降させるとともに、前パレット１５ｃが待機位置Ｐに位置する（前パレット１５ｃを支持していない側のフォーク１２が工作機械本体２１側へ向けられた姿勢となる）までアーム２を９０度左旋回させて（図９（ｈ））、該姿勢にてＮＣ制御装置から新たなパレット交換の指令が出されるまで待機する。尚、パレットストッカー３におけるパレット上のワークの段取りは、アーム２の待機中等に行われる。
以上のようにして、パレット交換装置１は、前パレット１５ｃの待機位置Ｐへの準備を行う。尚、アーム２がパレットストッカー３の受け渡し位置Ｒとの間でパレットの受け渡しを行う上記位置（パレットの受け渡しに際して、後パレット１５ｂを受け渡し位置Ｒにあるパレット載置台５に受け渡してから、新たにパレット受け渡し位置Ｒへ旋回割出されたパレット載置台５上にある前パレット１５ｃを受け取る間に、パレットストッカー３に対して左右方向へスライドする範囲であり、待機位置Ｐは含まない）を、アーム２の第二位置とする。

また、作業者がメンテナンス作業を行う場合には、図１０に示すように、アーム２をＸ軸方向に沿って左方（パレットストッカー３側、すなわち第二位置側）へスライドさせて退避位置に位置させることにより、工作機械本体２１のワーク搬入口３５の前方に作業スペースＳを確保することができる。なお、作業スペースＳを確保する場合、アーム２を、フォーク１２、１２を工作機械２０の前後方向へ夫々向けた姿勢のまま左方へスライドさせることが望ましい。

上述したようなパレット交換装置１によれば、アーム２を工作機械本体２１に対して前後方向（Ｙ軸方向）だけでなく、左右方向（Ｘ軸方向）へもスライド可能として、アーム２を第一位置と第二位置との間で移動可能としているため、作業者が工作機械本体２１の前面側からアクセスしてメンテナンス作業を行いたい場合、アーム２をＸ軸方向に沿って第二位置側、すなわちパレットストッカー３側へスライドさせることにより、工作機械本体２１のワーク搬入口３５の前方に作業スペースＳを確保することができる。したがって、本件出願人が先に提案したものと比較すると、工作機械本体２１の前方に作業者にとって十分な作業スペースを確実に確保することでき、使い勝手が良い。
また、アーム２の左方に複数のパレットを収納可能なパレットストッカー３を備えており、第二位置におけるアーム２のスライド動作、旋回動作、及び昇降動作にて、アーム２とパレットストッカー３との間でパレットの受け渡しを可能とした多面パレット交換方式を採用しているため、効率の良い加工を行うことができる。

さらに、パレットストッカー３を、本体４から径方向に突設された複数のパレット載置台５、５・・を備えてなるものとし、Ｚ軸方向に平行な軸を中心として本体４を旋回させることで、所望のパレット載置台５を受け渡し位置Ｒへと旋回割出可能に構成している。すなわち、従来と異なり、パレットストッカー３を動作可能に構成しているため、アーム２のスライド距離の短縮等を図ることができ、ひいては装置自体の小型化、交換に必要な時間の短縮といった効果を奏することができる。
加えて、パレットストッカー３は、旋回動作によって収納しているパレットを段取りステーション８へと割り出すことができるため、従来の動作しないものと比較して、段取り作業の効率を大きく向上させることができる。そして、該段取り作業は、アーム２の待機中等の時間を利用して行えばよく、合理的で加工効率に非常に優れた工作機械２０とすることができる。

なお、本発明のパレット交換装置に係る構成は、上記実施の形態に記載した態様に何ら限定されるものではなく、パレット支持手段、及びパレット収納装置に係る構成等を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。

たとえば、上記実施形態では、パレット交換装置におけるパレット支持手段として相反する方向へ向けられた一対のフォークを備えたアームを採用しているが、３以上のフォークを備えたパレット支持手段とすることも可能である。尚、一対のフォークを備えたものにあっても、上記実施形態とは異なり、軸を中心としてフォークを左右方向へずらしていない従来より周知のフォーク（たとえば、特許文献１に開示されているような直線状のアーム）を有するパレット支持手段としても何ら問題はない。

また、工作機械本体とパレット支持手段とのパレット交換にかかり、工作機械本体に対してパレット支持手段を前後方向へスライドさせて交換を行うのではなく、工作機械本体に対してパレット支持手段を伸縮させることによりパレット交換を行うような構成としてもよい。さらにまた、パレット収納装置の設置位置も適宜変更可能であって、パレット支持手段の左方に限定されることはなく、右方、左右斜め後方に設けることも可能である。

さらに、パレット収納装置として、上記実施形態では、径方向に突設された６つのパレット載置台を有するパレットストッカーを採用しているが、より多くのパレットをチェーンを用いて循環させるなどパレット載置台の数や形状等は適宜変更可能であるし、パレット載置台を上下に複数段備えるようなパレット収納装置を採用しても何ら問題はない。

加えて、本発明に係るパレット交換装置を、上記実施形態に記載したような５軸制御立形マシニングセンタ以外の工作機械（たとえば、通常の立形マシニングセンタや横形マシニングセンタなどワークをテーブル上に載置する形式の工作機械）に対して適用することは、当然可能である。そして、そのような工作機械においては、ワーク搬入出口を工作機械の前方ではなく、テーブルの側方に設けるようにしても良い。

本実施形態に係る工作機械を上方から示した説明図であ 本実施形態に係る工作機械を側方から示した説明図である。 本実施形態に係る工作機械の本体を示した斜視説明図である。 前パレットと後パレットとを交換する態様を示した説明図である。 前パレットと後パレットとを交換する態様を示した説明図である。 前パレットと後パレットとを交換する態様を示した説明図である。 後パレットと前パレットとを交換する態様を示した説明図である。 後パレットと前パレットとを交換する態様を示した説明図である。 後パレットと前パレットとを交換する態様を示した説明図である。 作業スペースを確保する態様を示した説明図である。 従来のパレット交換装置を上方から見た説明図である。

符号の説明

１・・パレット交換装置、２・・アーム、３・・パレットストッカー、４・・本体、５・・パレット載置台、６・・カバー、７・・ドア、８・・段取りステーション、１０・・基台、１１・・ガイドレール、１２・・フォーク、１５ａ、１５ｃ・・前パレット、１５ｂ・・後パレット、２０・・工作機械、２１・・工作機械本体。

Claims (1)

1. 相反方向へ突設された一対のフォークを有し、ワークが載置されたパレットを前記フォークにより支持可能なパレット支持手段と、パレットを保持可能なパレット保持部を複数有するパレット収納装置とを備え、前記パレット支持手段が、工作機械本体の加工空間内へワークを搬入するためのワーク搬入口を介して前記工作機械本体との間でパレットの交換を行う第一方向と、前記パレット収納装置との間でパレットの受け渡しを行う第二方向とに移動可能であるとともに、上下方向を軸として旋回可能であり、前記パレット支持手段を旋回させて所望の前記フォークが前記ワーク搬入口側へ向く第一姿勢とし、当該第一姿勢のまま前記第一方向へ移動させることにより前記工作機械本体との間でパレットの交換を行う一方、前記パレット支持手段を旋回させて所望の前記フォークが前記パレット収納装置側へ向く第二姿勢とし、当該第二姿勢のまま前記第二方向へ移動させることにより前記パレット収納装置との間でパレットの受け渡しを行うパレット交換装置が、前記ワーク搬入口の前方に設置されてなる工作機械において、前記ワーク搬入口の前方に作業用のスペースを確保するための工作機械におけるスペース確保方法であって、
   前記パレット支持手段を旋回させて前記第一姿勢とする第１ステップと、
   前記パレット支持手段を、前記第一姿勢のまま前記第二方向へ移動させることにより、前記ワーク搬入口の前方に作業用のスペースを確保する第２ステップと
   を実行することを特徴とする工作機械におけるスペース確保方法。

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