JP4970734B2 - 透明水性組成物 - Google Patents

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本発明は、水中にユビキノン及びIOB値が0.1〜0.4の油剤を配合した、透明水性組成物に関するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品、皮膚外用剤等として使用可能な透明水性組成物に関するものである。より詳細には、結晶性が高く、油剤への溶解性が悪いユビキノンを水中に安定に配合し、透明性に優れ、しかもべたつき感等のない良好な使用性の透明水性組成物に関するものである。
ユビキノンは、別名コエンザイムQ10、ユビデカレノン、補酵素Q10等と呼ばれ、生体内でミトコンドリアの呼吸鎖の電子伝達体として作用しており、生体の重要なバイオファクターとして存在している物質である。これまで、代謝性強心剤として実用化されているほか、食品添加剤、化粧品添加剤としても使われており、安全性が高く、有用な化合物である。
しかし、ユビキノンは、結晶性が高い常温固体の油溶性物質であるため、水性組成物への配合が困難であった。特に、透明化粧水等の透明水性組成物として、ユビキノンを安定に配合する技術は見出されていなかった。
このため、ユビキノンを水性組成物に配合するために、様々な検討がなされてきた。例えば、平均重合度10のポリグリセリンと炭素数18の脂肪酸のモノエステルと、平均重合度3〜6のポリグリセリンと炭素数18の脂肪酸のエステルとを併用して、ユビキノンを水中に微分散させる技術(例えば、特許文献1参照。)、ステロールと併用し、ユビキノンを乳化させる技術(例えば、特許文献2参照。)、ポリオキシエチレン40モル付加水素化ひまし油を用いて、水中にユビキノンを配合する技術(例えば、特許文献3参照。)等が挙げられる。
特開2004−196781号公報(第1頁−第19頁) 特開2004−210669号公報(第1項−第8項) 特開平5−186340号公報(第1頁−第5頁)
しかしながら、前記従来の技術は、水中にユビキノンを多量に配合することを目的としており、透明水性組成物とすることは開示されていない。また、平均重合度10のポリグリセリン脂肪酸モノエステルと、平均重合度3〜6のポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用する技術等でも、界面活性剤によるべたつき感等を生じる場合があり、良好な使用性を得ることが困難であった。
このため、ユビキノンを水中に安定に配合し、透明性に優れ、しかもべたつき感等のない良好な使用性の透明水性組成物の開発が求められていた。
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、ユビキノンをIOB値が0.1〜0.4の油剤に溶解し、水中に分散させると、上記課題が解決された透明水性組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、水中に次の成分(a)及び(b);
(a)ユビキノン
(b)IOB値が0.1〜0.4の油剤
を配合することを特徴とする透明水性組成物を提供するものである。
また、成分(a)の配合量が0.0001〜0.05質量%であることを特徴とする前記透明水性組成物、成分(b)の配合量が0.0004〜0.12質量%であることを特徴とする前記透明水性組成物を提供するものである。
そして、成分(b)の配合量が、成分(a)の配合質量の1〜8倍であることを特徴とする前記何れかの透明水性組成物を提供するものである。
そして更に、成分(c)として可溶化剤を配合することを特徴とする前記何れかの透明水性組成物を提供するものである。また、成分(c)が、ポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ひまし油であることを特徴とする前記何れかの透明水性組成物を提供するものである。
そして、成分(c)の配合量が、成分(a)及び(b)の合計配合質量の3〜8倍であることを特徴とする前記何れかの透明水性組成物を提供するものである。
また、更に、成分(d)として低級アルコールを配合することを特徴とする前記何れかの透明水性組成物を提供するものである。
本発明の透明水性組成物は、結晶性が高く、油剤への溶解性が悪いユビキノンを水中に安定に配合することができ、透明性に優れ、しかもべたつき感等のない良好な使用性を得ることができる。
本発明に用いられる成分(a)のユビキノンは、別名コエンザイムQ10、ユビデカレノン、補酵素Q10等と呼ばれているものであり、2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−ポリプレニル−1,4−ベンゾキノンの側鎖のイソプレン単位が10のユビキノン類である。このようなユビキノンは、化学合成や発酵等により製造されるが、本発明に用いるユビキノンは、製造方法には限定されず、何れのものも使用することができる。
本発明の水性透明組成物中における成分(a)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.0001〜0.05質量%(以下、単に「%」と略す)が好ましく、0.001〜0.03%が好ましい。成分(a)をこの範囲で配合すると、安定性及び透明性がより良好な組成物を得ることができる。
本発明に用いられる成分(b)の油剤は、IOB値(※)が0.1〜0.4の油剤である。
※IOB値:無機性−有機性の比を示す値であり、油剤の極性を表し、
IOB値=無機性値/有機性値で規定される値である。
(甲田善生,「有機概念図―基礎と応用―」,三共出版(1984))
このような成分(b)の油剤は、具体的には、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、イソステアリン酸、オクチルドデカノール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスチル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
尚、これら成分(b)の油性の油剤の中でも、成分(d)の低級アルコールと相溶する油剤が好ましい。
本発明の透明水性組成物中における成分(b)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.0004%〜0.12%が好ましい。更には、成分(a)のユビキノンの配合質量の1〜8倍が好ましく、1〜4倍がより好ましい。この範囲で成分(b)を配合すると、水中に成分(a)を安定に配合することができ、可溶化に用いる界面活性剤の配合量を低減できるため、べたつき感等の使用性の悪さをより低減することができる。
本発明の透明水性組成物には、成分(c)として可溶化剤を配合することが好ましい。このような成分(c)の可溶化剤は、通常の化粧料等に用いられる可溶化剤であり、水中に成分(a)及び(b)をより透明状態で、安定に配合するための成分である。このような成分(c)の可溶化剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等の何れでも良い。尚、より少量で成分(a)及び(b)を可溶化できる成分として、ポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ひまし油を選択することが好ましい。
本発明の透明水性組成物における成分(c)の配合量は、特に限定されるものではないが、成分(a)及び(b)の合計配合質量の3〜8倍が好ましい。成分(c)をこの範囲で配合すると、べたつき感が無く使用性がより良好な組成物を得ることができる。
本発明の透明水性組成物には、成分(d)として低級アルコールを配合することにより、べたつき感が無く使用性がより良好な組成物を得ることができる。このような成分(d)としては、エタノール等が挙げられる。
本発明の透明水性組成物における成分(d)の配合量は、特に限定されるものではないが、1〜30%が好ましく、3〜20%がより好ましい。成分(d)をこの範囲で配合すると、べたつき感が無く使用性がより良好な組成物を得ることができる。
本発明の透明水性組成物には、前記成分の他に、通常の化粧料等に使用される成分として、成分(c)以外の界面活性剤、多価アルコール類、水溶性高分子、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
本発明の透明水性組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、成分(a)を成分(b)に溶解し、必要に応じて成分(c)〜(d)と混合し、水中に分散させる方法等が挙げられる。
本発明の透明水性組成物は、化粧料、医薬部外品、医薬品、皮膚外用剤等として使用可能である。また、化粧料としての用途は、化粧水、美容液、ボディローション等が挙げられる。そして、化粧料としての性状は、液状が好ましいが、水性増粘剤を添加して、粘性を付与した性状でも良い。更に、化粧料としての使用方法は、手や指を用いて顔や体に塗布する方法、噴射剤と供に容器に充填しエアロゾルとして塗布する方法、不織布に含浸させて使用する方法等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜3:化粧水
表1〜3に示す組成の化粧水を以下に示す製造方法により調製し、「透明性」、「使用性」、「経時安定性」について、以下に示す評価方法により評価し、結果を併せて表1〜3に示した。
(製造方法)
A.成分1〜12を均一に溶解する。(必要に応じて、50℃に加温する。)
B.成分13〜17を均一に溶解する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一に混合する。
D.Cを容器に充填して、化粧水を得た。
〔評価方法1:透明性〕
実施例及び比較例の化粧水の製造直後の状態を目視観察し、以下の基準に従って評価した。
[外観状態] :[基 準]
透明 : ◎
青白色(微濁): △
白色(濁り) : ×
〔評価方法2:使用性〕
化粧品評価専門パネル20名に前記実施例及び比較例の化粧水を使用してもらい、塗布後のべたつき感の無さについて、各自が以下の基準に従って5段階評価し、化粧水毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
〔評価方法3:経時安定性〕
実施例及び比較例の化粧水を5℃、室温、50℃の暗所にて1ヶ月間静置し、外観状態を目視観察し、下記基準に従って評価した。
[外観状態] :[基 準]
透明 : ◎
青白色(微濁): △
白色(濁り) : ×
表1〜表3の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜7の化粧水は、「透明性」、「使用性」、「経時安定性」の全ての項目に優れたものであった。一方、
IOB値が0.1〜0.4の範囲外の油剤を用いた比較例1〜3の化粧水は何れも、製造直後より、透明性が確保できなかった。
実施例8:美容液(液状)
(成分) (%)
1.イソステアリン酸ポリオキシエチレン(50モル)
硬化ひまし油 0.5
2.ユビキノン 0.02
3.トリオクタン酸グリセリル 0.03
4.コハク酸ジ2−エチルヘキシル 0.03
5.ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 0.05
6.エタノール 3
7.精製水 残量
8.エデト酸二ナトリウム 0.1
9.メチルパラベン 0.2
10.フェノキシエタノール 0.5
11.グリセリン 5
12.乳酸ナトリウム 0.5
13.キサンタンガム 0.05
14.精製水 10
15.香料 適量
(製造方法)
A.成分1〜6を均一に溶解する。
B.成分13を70℃に加熱し、成分14を添加して均一に混合する。
C.Bに成分7〜12を添加し、均一に混合する。
D.Cを攪拌しながら、A及び成分15を添加し、均一に混合する。
E.Dを容器に充填して、美容液を得た。
実施例8の美容液は、「透明性」、「使用性」、「経時安定性」の全ての項目に優れたものであった。
以 上

Claims (3)

  1. 水中に、次の成分(a)〜(c);
    (a)ユビキノン
    (b)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、イソステアリン酸、オクチルドデカノール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、及びテトラオクタン酸ペンタエリスチルから選択される一種又は二種以上のIOB値が0.1〜0.4の油剤
    (c)ポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ひまし油である可溶化剤
    を配合し、成分(a)の配合量が0.0001〜0.05質量%、成分(b)の配合量が0.0004〜0.12質量%、及び成分(c)の配合量が、成分(a)及び(b)の合計配合質量の3〜8倍であることを特徴とする化粧料用又は皮膚外用剤用の可溶化透明水性組成物。
  2. 成分(b)の配合量が、成分(a)の配合質量の1〜8倍であることを特徴とする請求項1に記載の可溶化透明水性組成物。
  3. 更に、成分(d)として低級アルコールを配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の可溶化透明水性組成物。
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