建物によるゴースト妨害(フェージング、マルチパス)の克服に好適な変調方式として、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex、以下、略してOFDM)変調が知られている。OFMD変調は、1チャンネル帯域内に設けられたN個(256〜1024個程度)のサブキャリアにより映像信号や音声信号を効率よく伝送することができる変調方式であり、現在、地上デジタル放送や無線LANなどに広く利用されている。
OFDM変調では、送信ビットをいくつかまとめて複素信号にマッピングし(QPSK、16QAM、または、64QAM)、さらに、N個の複素信号を逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)することによって、ベースバンド(BB:Base Band)OFDM信号を得ている。
OFMD変調によって得られるOFDM信号について、図7を参照しながら、もう少し詳しく説明する。
OFDM信号は、逐次伝送される複数(100個程度)の伝送シンボルからなる伝送フレームを単位として伝送される。非特許文献1では、1伝送フレームあたりの伝送シンボル数を204個と定義している。情報伝送用の伝送シンボルの他に、フレーム同期用やサービス識別用の伝送シンボルなども、伝送フレーム内に含めることができる。
図7は、各伝送フレームを構成する伝送シンボルの構造を示す図である。伝送シンボル500は、通常、図7に示したように、逆高速フーリエ変換の処理窓に相当する有効シンボル510に、有効シンボル510の終端部511の信号波形を複写したガードインターバル(GI)520を付加することによって構成される。したがって、伝送シンボル期間長Tsは、FsクロックN周期分に相当する有効シンボル期間長Tuと、ガードインターバル期間長Tgとの和になる。
非特許文献1では、有効シンボル期間長Tuを、「モード」と呼ばれるパラメータに応じて、表1のように定義している。
また、非特許文献1では、有効シンボル期間長Tuに対するガードインターバル期間Tgの比(GI比g)が1/4、1/8、1/16、1/32の何れかになるよう、ガードインターバル期間Tgを、モードに応じて表2のように定義している。
OFDM信号に含まれる各伝送シンボルは、複数のセグメントに分割されており、各セグメントには、表3に示すサブキャリア群が含まれる。
表3において、データキャリアは、データ信号を伝送するためのキャリアである。また、SPキャリアは、波形等化の基準として用いられるSP(Scattered Pilot)信号を伝送するためのキャリアである。SPキャリアは、各伝送フレームに周期的に挿入される。この周期は予め定められており、具体的には、キャリア方向について12キャリアに1つ、シンボル方向について4シンボルに1つSPキャリアが配置される。TMCCキャリアは、同期ワードや伝送パラメータを含むTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号を伝送するためのキャリアである。AC1は、付加情報を伝送するためのAC1(Auxiliary Channel)信号を伝送するためのキャリアである。TMCCキャリアおよびAC1キャリアは、SPキャリアとは異なり、各伝送フレームに非周期的に挿入される。
次に、上記のようなOFDM信号を復調するOFDM復調装置について、図8〜図10を参照しながら説明する。
図8は、従来のOFDM復調装置600の典型的な構成を示すブロック図である(非特許文献1、特許文献1参照)。
OFDM復調装置600は、概略的に言えば、アンテナ101と、チューナ102と、OFDM復調LSI(大規模集積回路)103とにより構成されている。OFDM復調LSI103は、ベースバンド信号処理部(BB)110と、誤り訂正処理部(FEC)120とを含む。ベースバンド信号処理部110は、アナログデジタル変換部(ADC)111と、直交検波部112と、狭帯域キャリア周波数誤差補正部113と、高速フーリエ変換演算部(FFT)114と、波形等化部115と、シンボル同期部116と、自動利得制御部(AGC)117と、広帯域キャリア周波数誤差補正部118と、TMCC復号部119とにより構成される。
アンテナ101は、放送局から放送されたデジタル放送の放送波を受信し、RF(高周波)信号をチューナ102に供給する。チューナ102は、RF信号を周波数変換し、得られたIF(中間周波数)信号をベースバンド信号処理部110に設けられたADC111に供給する。
アナログデジタル変換部111は、IF信号をデジタル化し、デジタル化されたIF信号を直交検波部112に供給する。直交検波部112は、デジタル化されたIF信号を、設定されたキャリア周波数のキャリア信号を用いて直交検波することによって、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とからなるベースバンドOFDM信号を得る。得られたベースバンドOFDM信号は、狭大域キャリア周波数誤差補正部113に供給される。
狭帯域キャリア周波数誤差補正部113は、ベースバンドOFDM信号における狭帯域キャリア周波数誤差を補正し、補正されたベースバンドのOFDM信号を高速フーリエ変換部114、シンボル同期部116、および、自動利得制御部117に供給する。
シンボル同期部116は、補正されたベースバンドのOFDM信号から伝送モードやガードインターバル比などの伝送パラメータを抽出し、各有効シンボルの先頭タイミングを特定する。自動利得制御部117は、チューナ102のゲインを調整することによって、OFDM復調LSI103に入力されるIF信号の強度を最適化する。
高速フーリエ変換部114は、ベースバンドOFDM信号に対して高速フーリエ変換(FFT演算)を行う。もう少し具体的に言うと、シンボル同期部116によって特定された各有効シンボルの先頭タイミングを参照することによって、ベースバンドのOFDM信号から有効シンボル期間分の信号を抜き出すとともに、抜き出した信号に対して高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行う。ここで、高速フーリエ変換の対象として抜き出される信号の開始点は、ガードインターバル期間内の任意の点であってよい。
高速フーリエ変換部114によって、データ信号、SP信号、TMCC信号などを含む、各キャリアに変調されたN個の複素信号が得られる。得られた複素信号は、波形等化部115、広帯域キャリア周波数誤差補正部118、および、TMCC復号部119に供給される。
広帯域キャリア周波数誤差補正部118は、広帯域キャリア周波数誤差を検出して補正する。高速フーリエ変換部114によって得られた復調信号のうち、検出された広帯域キャリア周波数誤差に基づいて決定された特定の帯域内のキャリアに変調された複素信号のみが、波形等化部115に供給されるようになっている。
TMCC復号部119は、高速フーリエ変換部114にて得られたTMCC信号をDBPSK復調し、復調結果に含まれる同期ワードを検出することによって、各伝送フレームの先頭タイミングを特定する。また、そのTMCC信号に対して誤り訂正復号、具体的には差集合巡回復号を行い、伝送パラメータなどを規定するTMCC情報を得る。TMCC復号部119は、各伝送フレームの先頭タイミングを示す同期確立信号を波形等化部115と、誤り訂正処理部120とに送出する。また、誤り訂正復号により得られたTMCC情報は、誤り訂正処理部120に供給される。
波形等化部115は、高速フーリエ変換部114にて得られたデータ信号に対して波形等化を行う。具体的には、高速フーリエ変換部114にて得られたSP信号群の期待値に基づいて通信路の伝達関数(通信路で生じた振幅変動・位相回転に対応)を推定する。そして、データ信号群の各々を推定した伝達関数で複素除算することによって、波形等化されたデータ信号を得る。波形等化部115によって波形等化されたデータ信号群は、誤り訂正処理部120に供給される。
図9は、波形等化部115による波形等化について説明するための説明図である。図9(a)は、SP信号601およびデータ信号602の送信側におけるコンスタレーションを示し、図9(b)は、同じSP信号601およびデータ信号602の受信側におけるコンスタレーションを示し、図9(c)は、同じSP信号601およびデータ信号602の波形等化後のコンスタレーションを示す。
図9(a)に示したSP信号601およびデータ信号602が通信路を経ると、フェージングによって図9(b)に示したように歪む。ここでは、位相のみが回転する歪みを例示したが、振幅が変化する歪みや、振幅および位相の双方が変化する歪みも当然生じ得る。図9(a)に示したSP信号601のコンスタレーションは予め定められており、波形等化部115は、図9(b)に示したSP信号601の受信側におけるコンスタレーションを、既知のコンスタレーションと比較することによって、通信路の伝達関数を推定することができる。波形等化部115は、推定した伝達関数でデータ信号602を複素除算することによって、データ信号602のコンスタレーションを補正する。これにより、図9に示したように、データ信号602の送信側におけるコンスタレーションが復元される。つまり、フェージングの影響を、波形等化によってデータ信号602から取り除くことができる。
図8に示した誤り訂正処理部120は、TMCC復号部119によって特定されたフレーム先頭タイミング、および、TMCC復号部119によって抽出されたTMCC情報を参照して、波形等化されたデータ信号に対する誤り訂正復号を行う。
誤り訂正処理部120の構成例を、図10に示す。誤り訂正処理部120は、同図に示したように、周波数デインターリーブ部121と、時間デインターリーブ部122と、デマッピング部123と、ビットデインターリーブ部124と、デパンクチャー部125と、ビタビ復号部126と、バイトデインターリーブ部127と、エネルギー逆拡散部128と、TSP生成部129と、リードソロモン(RS)訂正部130とにより構成することができる。
周波数デインターリーブ部121は、波形等化されたデータ信号における周波数インターリーブを解除する。時間デインターリーブ部122は、時間インターリーブを解除する。デマップ部123は、QPSK、16QAM、または、64QAMの何れかによって複素信号にマッピングされた送信ビット列を復元する。ビットデインターリーブ部124は、復元された送信ビット列におけるビットインターリーブを解除する。
誤り訂正処理部120は、復元された送信ビット列に含まれる誤り訂正符号を用いて誤り訂正復号を行う。送信ビット列に含まれる誤り訂正符号の内符号がパンクチャーされた畳み込み符号の場合、デパンクチャー部125によってデパンクチャー処理を行う。また、ビタビ復号部126によって、送信側で内符号として畳み込み符号化された符号化データの復号と誤り訂正とを行う。
バイトデインターリーブ127は、バイトインターリーブを解除する。エネルギー逆拡散部128は、エネルギー逆拡散処理を行う。TSP生成部129は、エネルギー逆拡散部128の出力信号から所定サイズ(例えば、204バイト)のトランスポートストリームパケット(TSP:Transport Stream Packet)を生成する。リードソロモン訂正部130は、送信側で外符号としてリードソロモン符号化されたデータの復号と誤り訂正とを行う。
以上のように、OFDM変調装置100における復調処理は、各伝送フレームに挿入されたSP信号やTMCC信号を参照しながら行われるので、伝送フレームの先頭タイミングを特定することができなかった場合、OFDM復調LSI103全体をリセットするなどして、フレーム同期を確立し直す必要がある。このため、TMCC信号復号部119は、同期ワードを検出できた場合に、OFDM復調LSI103全体を制御している制御部(不図示)に、同期が正しく確立されていることを示す同期確立信号を送出するように構成されている。制御部は、この同期確立信号に基づいてフレーム同期が正しく確立されているか否かを判定し、フレーム同期が外れていると判定すれば、OFDM復調LSI103全体をリセットする。
このような同期確立信号を生成するTMCC復号部119の具体的な構成は、例えば、特許文献2に開示されている。図11は、特許文献2に開示されたTMCC復号部119の構成を示すブロック図である。
特許文献2によれば、TMCC復号部119は、図11に示したように、DBPSK復調部119a、多数決処理部119b、同期ワード検出部119c、誤り訂正復号部119d、同期確立・保護部119e、TMCC信号取得部119f、および、タイミング調整部119gとにより構成される。
DBPSK復調部119aは、TMCC信号をDBPSK復調する。多数決処理部119bは、復調結果に対して多数決処理を行う。同期ワード検出部119cは、多数決処理された復調結果から同期ワードを検出する。誤り訂正復号部119dは、多数決処理されたTMCC信号における誤り数をカウントし、誤り数が所定のビット数以下であれば誤り訂正復号、具体的には差集合巡回復号を行う。
同期確立・保護部119eは、多数決処理された復調結果列が同期ワードに一致し、かつ、そのTMCC信号に対する誤り訂正復号が行われた場合に、フレーム同期が確立されたと判断して同期確立信号を出力する。このため、同期ワードのみに基づいてフレーム同期が確立されたか否かを判断する場合と比べ、より正確な判断を行うことができる。
特開2002−261729号公報(平成14年9月13日公開)
特開2005−278111号公報(平成17年10月6日公開)
「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式ARIB STD−B31 1.5版」、社団法人電波産業界、2001年5月31日初版策定、2003年7月29日1.5版改定
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態に係るOFDM復調装置100について、図1に基づいて説明すれば以下のとおりである。OFDM復調装置100は、図8に示したOFDM復調装置600と同様、概略的に言えば、アンテナ101と、チューナ102と、OFDM復調LSI(大規模集積回路)103とにより構成されている。図1は、このOFDM復調LSI103の構成を示したブロック図である。
OFDM復調装置100のOFDM復調LSIは、図1に示したように、ベースバンド信号処理部(BB)110と、誤り訂正処理部(FEC)120とを含んでいる。また、ベースバンド信号処理部110は、アナログデジタル変換部(ADC)111と、直交検波部112と、狭帯域キャリア周波数誤差補正部113と、高速フーリエ変換演算部(FFT)114と、波形等化部115とを含んでいる。
図1に示したOFDM復調装置100の復調LSIに含まれる上記各ブロックは、図7に示したOFDM復調装置600の対応するブロックと同一の機能を有するので、対応するブロック同士に同一の参照を付すことによって、その説明を省略する。
本実施形態に係るOFDM復調装置100は、その特徴的な構成として、変調誤差比算出部151と、信号品質判別部152と、TMCC復号部153とを備えている。
変調誤差比算出部151は、波形等化部115によって波形等化されたデータ信号に基づいて変調誤差比(MER:Modulation Error Rate)を算出するための手段である。
変調誤差比MERとは、波形等化されたデータ信号XEQ(n、k)の電力換算値と、その複素信号XEQ(n、k)の理想コンスタレーションポイントXEQ’(n、k)からのズレ(ベクトル誤差)δXEQ(n、k)の電力換算値との比である。すなわち、データ信号XEQ(n、k)に対する変調誤差比MERは、以下の(1)〜(4)式によって定義される。
これらの式において、nはシンボル番号を表す添え字であり、kはキャリア番号を表す添え字である。また、(1)式における和は、添え字nとkとについての和である。より高い精度の変調誤差比MERを得るためには、より多くのnとkとについて和を取るようにすればよい。精度を犠牲にしてもリアルタイム性が要求される場合には、1シンボル内の全キャリア、または、特定のキャリアについてのみ和を取るようにすればよい。また、複素信号XEQ(n、k)に対する理想コンスタレーションポイントXEQ’(n、k)とは、(狭帯域変調方式に応じて決まる)取り得る全てのコンスタレーションポイントXm(0≦m<M)のうち、XEQ(n、k)との距離dm(n、k)=|XEQ(n、k)−Xm|が最小となるコンスタレーションポイントのことである。
変調誤差比算出部151によって算出される変調誤差比MERは、キャリア雑音電力比(CNR:Carrier to Noise Ratio)に相当し、波形等化されたデータ信号の信号品質を示す指標として用いることができる。変調誤差比算出部151によって算出された変調誤差比MERは、信号品質判別部152に供給される。
信号品質判別部152は、変調誤差比算出部151によって算出された変調誤差比MERを、予め設定された閾値Th1と比較することによって、波形等化後のデータ信号の信号品質を判別するとともに、その判別結果を後述する同期処理部153eに通知する。信号品質の判別は、例えば、変調誤差比MERが閾値Th1以上であるとき、信号品質が良好であると判定し、そうでないとき、信号品質が良好でないと判定することによって実現される。なお、この閾値Th1は、例えば、信号品質判別部152が備えている不図示のレジスタに格納しておくことができる。
TMCC復号部153は、DBPSK復調部153aと、多数決処理部153bと、同期ワード検出部153cと、誤り訂正復号部153dと、同期処理部153eと、TMCC信号取得部153fと、タイミング調整部153gとを備えている。
DBPSK復調部153aは、高速フーリエ変換部114によって得られたTMCC信号をDBPSK復調する。多数決処理部153bは、DBPSK復調部153aによって得られた復調結果に対して多数決処理を行う。同期ワード検出部153cは、多数決処理された復調結果から同期ワードを検出するとともに、その検出結果を同期処理部153eに通知する。同期ワードの検出は、例えば、多数決処理部153bから得た復調結果と同期ワード(既知のシンボル列)との相関を算出することによって実現される。この場合、算出された相関値が最大となるタイミングが同期ワードを検出したタイミングとなる。
誤り訂正復号部153dは、DBPSK復調部153aによって得られた復調結果に対して誤り訂正復号、具体的には差集合巡回復号を行う。そして、誤り訂正された復調結果をTMCC信号取得部37に供給する。TMCC信号取得部153fは、誤り訂正された復調結果から伝送パラメータなどのTMCC情報を抽出し、抽出したTMCC情報を誤り訂正処理部120に供給する。
同期処理部153eは、同期ワード検出部153cから通知された検出結果、および、信号品質判別部152から通知された判別結果に基づいて、フレーム同期が正しく確立されているか否かを判定するとともに、判定結果に基づいて、同期確立信号、および、同期信号を出力する。ここで、同期確立信号は、フレーム同期が確立していることを示す信号であり、タイミング処理部153gを介して制御部(不図示)に供給される。一方、同期信号は、フレーム先頭タイミングを示す信号であり、タイミング処理部153gを介して訂正処理部120に供給される。
制御部(不図示)は、同期処理部153eから供給される同期確立信号が途絶えたとき、フレーム同期を確立し直すようOFDM復調LSI103全体をリセットする。このリセットは、例えば、OFDM変調LSI103に復調処理をいったん停止させた後、OFDM変調LSI103が復調処理を実行するために利用する各種パラメータを初期化した上で、OFDM変調LSI103に復調処理を再開させることにより実現される。
同期処理部153eが、フレーム同期が正しく確立されているか否かを判断するアルゴリズムは、以下のとおりである。すなわち、(1)同期ワードが検出されたフレームについては、波形等後のデータ信号の信号品質の良否に関わらず、フレーム同期が正しく確立されていると判定する。一方、(2)同期ワードが検出されなかったフレームについては、(2−1)波形等後のデータ信号の信号品質が良好であれば、フレーム同期が正しく確立されていると判定し、(2−2)波形等化後のデータ信号の信号品質が良好でなければ、フレーム同期が正しく確立されていないと判定する。
このような判定に基づいて生成された同期確立信号を参照することによって、制御部(不図示)は、DBPSK復調誤りが頻発して同期ワードを検出することができないフェージング環境下においても、波形等後のデータ信号の信号品質が良好であればOFDM復調LSI103をリセットすることなく、フレーム同期を保護することができる。
なお、同期ワードが検出されたフレームについても、(1−1)波形等後のデータ信号の信号品質が良好であれば、フレーム同期が正しく確立されていると判定し、(1−2)波形等後のデータ信号の信号品質が良好でなければ、フレーム同期が正しく確立されていないと判定するようにしてもよい。すなわち、同期ワードが検出されたか否かに関わらず、波形等化後のデータ信号の信号品質のみに基づいて、フレーム同期判定を行うようにしてもよい。この場合も、制御部(不図示)は、波形等化されたデータ信号の信号品質が良好であれば、OFDM復調LSI103をリセットすることなく、フレーム同期を保護することができる。
同期処理部153eは、フレーム同期が維持されている間、同期信号を周期的に出力する。つまり、同期処理部153eは、あるフレームについてフレーム同期が正しく確立されていると判定した場合、そのフレームの次のフレームの先頭タイミングで最初の同期信号を出力し、以後フレーム同期が正しく確立されていないと判定するまで、同期信号を周期的に出力し続ける。
同期処理部153eが同期信号を送出するタイミングと、波形等化部14が各伝送フレームの先頭シンボルを送出するタイミングとの間にはズレが生じる。これは、TMCC復号部153が同期信号を出力するまでに要する時間と、波形等化部115が波形等化のために要する時間とが異なるためである。タイミング調整部153gは、このタイミングシフトを解消するよう同期信号を遅延する。タイミング調整部153gによりタイミング調整がなされた同期信号は、誤り訂正処理部120においてフレームクロックとして参照される。
本実施形態においては、波形等化後のデータ信号の信号品質を、変調誤差比MERを指標として判別する構成を示したが、これに限定されるものではなく、他の量を指標として波形等化後のデータ信号の信号品質を判別する構成に変更することも可能である。以下、そのような実施形態をいくつか示す。
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態に係るOFDM復調装置200について、図2から図3に基づいて説明すれば以下のとおりである。
図2は、OFDM復調装置200のOFDM復調LSIの構成を示すブロック図である。図2に示したOFDM復調装置200のOFDM復調LSIに含まれる各ブロックは、図1に示したOFDM復調装置100の対応するブロックと同一の機能を有するので、対応するブロック同士に同一の参照符号を付すことによって、その説明を省略する。また、図示を一部省略しているが、誤り訂正処理部120の内部構成は、図8に示したものと同一である。
図2に示したOFDM復調装置200における図1に示したOFDM復調装置100との相違点は、変調誤差比算出部151の代わりに、ビタビ復号部126に入力される波形等化後のデータ信号におけるビット誤り率(BER:Bit Error Rate)(以下、ビタビ前BERと略記)を算出するビット誤り率算出部154を設けた点にある。
本実施形態において、信号品質判別部152は、ビット誤り率算出部154によって算出されたビタビ前BERを予め設定された閾値Th2と比較することによって、波形等化されたデータ信号の信号品質を判別する。具体的には、ビタビ前BERが閾値Th2以下であるとき、信号品質が良好であると判定し、そうでないとき、信号品質が良好でないと判定する。この閾値Th2は、例えば、信号品質判別部152が備えている不図示のレジスタに格納しておくことができる。
同期処理部153eが、同期ワード検出部153cから通知された判定結果と、信号品質判別部152から通知された判別結果とに基づいてフレーム同期が確立しているか否かを判定し、フレーム同期が確立していると判定した場合、制御部に同期確立信号を送出する点は実施形態1と同様である。
畳み込み符号の復号は、シンドロームを計算して誤りを検出する線形符号と異なり、推定処理の一手法であるビタビ復号により、もっともらしい復号データを生成する。そこで、ビタビ復号前の符号化データと、ビタビ復号後の復号データを再符号化して得られた再符号化データとを比較することによって、誤りを検出することができる。
本実施形態におけるビット誤り率算出部154は、例えば、図3に示したように、ビタビ復号部126に入力される波形等化後のデータ信号にビタビ復号処理のレイテンシーに相当する遅延を与えるFIFO154aと、ビタビ復号部126の出力を再符号化する畳み込み符号化器154bと、FIFO154aによって遅延された符号化データと畳み込み符号化器154bにより再符号化された再符号化データとを比較する比較器154cと、比較器154cの比較結果をカウントするカウンタ154dとにより構成することができる。比較器154cにて比較される符号化データと再符号化データとが一致した場合、ビタビ復号部126にて誤り訂正が行われなかったことを意味し、異なる場合、ビタビ復号部126にて誤り訂正が行われたことを意味する。カウンタ154dは、後者の回数をカウントすることにより、ビタビ復号部126に入力される波形等化後のデータ信号における誤り数をカウントする。ビット誤り率算出部154は、カウンタ154dに格納された誤り数、あるいは、その誤り数から算出したビタビ前BERを信号品質判定手段152に送出する。
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態に係るOFDM復調装置300について、図4から図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。
図4は、OFDM復調装置300のOFDM復調LSIの構成を示すブロック図である。図4に示したOFDM復調装置300のOFDM復調LSIに含まれる各ブロックは、図1に示したOFDM復調装置100の対応するブロックと同一の機能を有するので、対応するブロック同士に同一の参照符号を付すことによって、その説明を省略する。また、図示を一部省略しているが、誤り訂正処理部120の内部構成は、図8に示したものと同一である。
図4に示したOFDM復調装置300における、図1に示したOFDM復調装置100との相違点は、変調誤差比算出部151の代わりに、リードソロモン訂正部130の出力データにおけるビット誤り率(BER:Bit Error Rate)(以下、RS後BERと略記)を算出するビット誤り率算出部155を設けた点にある。
図5は、誤り訂正処理部120に含まれるリードソロモン訂正部130の内部構成を示すブロック図である。図5に示したように、リードソロモン訂正部130は、シンドローム計算部131、誤り数計算部132、誤り位置計算部133、および、誤り訂正処理部134を含んで構成されている。リードソロモン訂正部130の出力データにおけるビット誤り率は、この誤り数計算部132によって算出される誤り数から算出することができる。
リードソロモン訂正部130は、2進数によって記述されるビット単位ではなく、ガロア体によって記述されるバイト単位で処理を行う。シンドローム計算部131は、シンドロームを計算する。誤り数計算部132は、前記シンドロームから誤り数を計算する。誤り位置計算部133は、前記シンドロームと前記誤り数とに基づいて誤り位置を計算する。誤り訂正処理部134は、前記誤り位置に基づいてバイト単位で誤り訂正を行う。
例えば、非特許文献1の規格に準拠したRS訂正部130は、トランスポートストリームパケット(TSP:Transport Stream Packet、204バイト)単位で誤り訂正処理を行う。この場合、誤り数計算部132は、204バイト(=1632ビット)中の誤りバイト数もしくはビット数を算出することになる。
ビット誤り率算出部155は、誤り数計算部132にて算出された誤り数(ビット数またはバイト数)を複数のトランスポートストリームに渡って積分することによって、ビット誤り率を算出する。このように誤りバイト数またはビット数を所定数のトランスポートストリームに渡って積分することにより、ビット誤り率の精度を良くすることができる。
信号品質判別部152は、ビット誤り率算出部155によって算出されたRS後BERを、予め設定された閾値Th3と比較することによって、波形等化後のデータ信号の信号品質を判別する。具体的には、RS後BERが閾値Th3以下であるとき、信号品質が良好であると判定し、そうでないとき、信号品質が良好でないと判定する。この閾値Th3は、例えば、信号品質判別部152が備えている不図示のレジスタに格納しておくことができる。
同期処理部153eが、同期ワード検出部153cから通知された判定結果と、信号品質判別部152から通知された判別結果に基づいてフレーム同期が確立しているか否かを判定し、フレーム同期が確立していると判定した場合、制御部に同期確立信号を送出する点は実施形態1と同様である。
なお、本実施形態において信号品質の指標となるRS後BERを算出する処理は、シンドロームを計算する工程と、算出されたシンドロームに基づいて誤り数を算出する工程とを含むが、これらの工程は、何れも公知の量を公知のアルゴリズムによって算出するものなので、立ち入った説明は省略した。これらについての詳細は、例えば、「誤り訂正符号とその応用−先端技術の手ほどきシリーズ」(江藤・金子編著 オーム社)や、「情報のデジタル伝送」(森北出版 R.E.Blahut著 有本等共訳)などを参照されたい。
(実施形態4)
本発明の第4の実施形態に係るOFDM復調装置400について、図6に基づいて説明すれば以下のとおりである。
図6は、OFDM復調装置400のOFDM復調LSIの構成を示すブロック図である。図6に示したOFDM復調装置400のOFDM復調LSIに含まれる各ブロックは、図1に示したOFDM復調装置100の対応するブロックと同一の機能を有するので、対応するブロック同士に同一の参照を付すことによって、その説明を省略する。また、図示を一部省略しているが、誤り訂正処理部120の内部構成は、図8に示したものと同一である。
図6に示したOFDM復調装置400における、図1に示したOFDM復調装置100との相違点は、変調誤差比算出部151の代わりに、リードソロモン訂正部130の誤り数計算部132によって算出された誤り数に基づいて、トランスポートストリームの有効性を判定する誤り訂正情報抽出部156を設けた点である。
例えば、非特許文献1の規格に準拠したリードソロモン訂正部130は、トランスポートストリームパケット(TSP:Transport Stream Packet、204バイト)当たり最大8バイトの誤りが訂正可能な(204,188)符合を採用した構成となっている。したがって、誤り数が8バイト以下ならば、トランスポートストリームパケットは有効なパケットであると考えられるし、そうでなければ、無効なパケットであると考えられる。
誤り訂正情報抽出部156は、誤り数計算部132が検出した誤り数が8バイト以下の場合、処理中のトランスポートストリームパケットが有効なパケットであると判断する。一方、検出した誤り数が9バイト以上の場合、処理中のトランスポートストリームパケットが無効なパケットであると判断する。そして、誤り訂正情報抽出部156は、その判断結果を示す誤り訂正情報を信号品質判別部152に送出する。
信号品質判別部152は、この誤り訂正情報に基づいて、波形等化されたデータ信号の信号品質を判別する。例えば、連続する無効パケット数が閾値Th4を超えた場合、信号品質が良好でないと判定し、連続する無効パケット数が閾値Th4以下の場合に、信号品質が良好であると判定する。この閾値Th4は、例えば、信号品質判別部152が備えている不図示のレジスタに格納しておくことができる。
同期処理部153eが、同期ワード検出部153cから通知された判定結果と、信号品質判別部152から通知された判別結果とに基づいて、フレーム同期が確立しているか否かを判定し、フレーム同期が確立していると判定した場合、制御部に同期確立信号を送出する点は、実施形態1と同様である。
(閾値の設定)
上述した各実施形態における閾値の設定について、ここで簡単に説明する。
OFDM復調装置の性能指標の一つとして、いわゆる所要CNがある。所要CNとは、通信路として加法性白色ガウス雑音(AWGN:Additive White Gaussian Noise)を考えた際に、OFDM復調装置の出力信号(すなわち、リードソロモン訂正部130の出力データ)のビット誤り率が10-11以下になる、すなわち擬似エラーフリーとなる信号対雑音電力比(CNR:Carrier-to-Noise Ratio)のことである。
この所要CNを参照して、擬似エラーフリーとなるように、各閾値を定めることが考えられる。つまり、閾値Th1は、信号対雑音電力比が所要CNに一致するときの変調誤差比に設定することができる。一例を挙げれば、狭帯域変調方式がQPSK、符号化率が1/2の場合、閾値Th1を4.0dB程度に設定するとよい。また、別の例を挙げれば、狭帯域変調方式がQPSK、符号化率が2/3の場合、閾値Th1を4.0dB程度に設定するとよい。さらに、別の例を挙げれば、狭帯域変調方式が16QAM、符号化率が1/2の場合、閾値Th1を10dB程度に設定するとよい。ただし、これらの設定は、波形等化の雑音除去能力など、システムの各種パラメータに依存するので、擬似エラーフリーを実現するための閾値として利用可能な値は、上述した具体例に限定されるものではない。
その他の閾値Th2〜4についても、擬似エラーフリーとなるように設定することが考えられる。つまり、閾値Th2を、信号対雑音電力比が所要CNに一致するときのビタビ前BERに設定し、閾値Th3を、信号対雑音電力比が所要CNに一致するときのRS後BERに設定することが考えられる。また、閾値Th4は、例えば、信号対雑音電力比が所要CNに一致するときの、平均的な連続無効パケット数に設定することが考えられる。
なお、上述した閾値の定め方は、受信率が100%となることを保証するための閾値の定め方を例示したものであり、例えば、受信率が95%以上になることを保証するように閾値を定めてもよいし、受信率が90%以上になることを保証するように閾値を定めてよいし、受信率の下限がさらに小さくなるように閾値を定めてもよい。
実際、信号対雑音電力比が所要CNより小さくなるような電波環境においても、95%以上の受信率を確保できる場合がある。この場合、再同期をかけると、その期間中受信が全く出来なくなるので、受信率が却って低下してしまう。したがって、信号対雑音電力比が所要CNより小さくなることを許容するように閾値を設定することによって、最終的な受信率の改善に繋がることがある。つまり、最終的には、受信システム全体の構成と要求仕様とを考慮しつつ、実際のシステムや試作のシステムなどを用いて、実験的に閾値を最適化することが望ましい。
(変形例1)
例えば、電車などの移動体中で受信する際に、その移動体がトンネルや山などの電波環境的な陰に入ると、一時的に、TMCC信号から同期ワードを検出できなくなったり、波形等化されたデータ信号の信号品質が低下したりすることがある。この場合には、電波環境的な陰から抜け出さない限り、再びフレーム同期を確立することはできない。
そこで、フレーム同期が外れたと同期処理部153eが判定した場合に、すぐにフレーム再同期を行わずに、一定の時間T0だけ待ってからフレーム再同期を行うよう、上記各実施形態を変形することが考えられる。なお、この変形は、例えば、同期確立信号が途絶えた時点でOFDM復調LSI103をリセットするのではなく、同期確立信号が途絶えてから上記一定の時間T0だけ経過した時点でOFDM復調LSI103をリセットするように制御部を構成することによって実現することができる。
なお、フレーム同期が一度外れると、次に同期をかけられるタイミングは、少なくとも1伝送フレーム期間長のあいだ訪れない。したがって、上記一定の時間T0は、1伝送フレーム期間長、あるいは、その整数倍に設定することが好ましい。
ただし、上記一定の時間T0は、実際のシステムや試作のシステム等で実験的に最適化することが望ましい。時間T0が短くなると、フレーム再同期の頻度が上がるので、再びフレーム同期を確立するまでに要する時間は短縮できるが、その分消費電力が増大する。逆に時間T0が長くなると、フレーム再同期の頻度が下がるので、再びフレーム同期を確立するまでに要する時間は長くなるが、その分消費電力を削減することができる。この様に、再び同期を確立できるまでに要する時間と消費電力とが、時間T0に関してトレードオフの関係となるので、要求仕様を考慮しながら実験的に最適化するのが望ましい。
(変形例2)
例えば、電車などの移動体中で受信する際に、その移動体がトンネルや山などの電波環境的な陰に入ると、一時的に、TMCC信号から同期ワードを検出できなくなったり、波形等化されたデータ信号の信号品質が低下したりすることがある。この場合には、電波環境的な陰から抜け出さない限り、再びフレーム同期を確立することはできない。
そこで、フレーム同期が確立されていないと同期処理部153eが閾値回数N0以上繰り返して判断した場合に、チューナ102とOFDM復調LSI103とに対する電力、および、動作クロックの供給を停止するなどして、復調処理を中止するよう上記各実施形態を変形することが考えられる。これは、フレーム同期が確立されていないと同期処理部153eが閾値回数N0以上繰り返して判断した場合、OFDM復調装置がトンネルや山などの電波環境的な陰に入ったことなどが想定されるためである。なお、この変形は、例えば、同期処理部153eが同期確立信号を出力しなかったフレーム数を制御部がカウントし、その回数が閾値回数N0を上回ったら、その制御部がチューナ102とOFDM復調LSI103とに対する電力、および、動作クロックの供給を停止するなどして、復調処理を中止することによって実現することができる。これによって無駄な再同期処理を削減することができるので、消費電力を削減することができる。なお、上記閾値回数N0は、制御部が読み出し可能なレジスタなどに格納しておけばよい。
閾値回数N0は、実際のシステムや試作のシステム等で実験的に最適化するのが望ましい。閾値回数N0を小さく設定すると、消費電力削減の効果が大きいが、その分停止しやすくなってしまう。逆に、閾値回数N0を大きく設定すると、消費電力削減の効果が抑制されるが、その分ぎりぎりまで再同期処理を粘り続けることになる。この様に再同期継続回数と消費電力とは閾値回数N0に関してトレードオフの関係となるので、要求仕様を考慮しながら実験的に最適化するのが望ましい。
例えば、OFDM復調LSI103が、電波状態と無関係にフレーム同期を必ず確立するように実装されている場合、フレーム同期が外れた状態が繰り返される状況として、受信しようとする電波が存在しない場合が想定される。したがって、閾値回数N0は、2回とすることが好ましい。
また、OFDM復調LSI103が、ある特定のフェージング環境においてフレーム同期を必ず確立しないように実装されている場合、好ましい繰り返し回数は2回以上となる。この場合、フレーム同期の確立は、シンボル同期部のシンボル同期性能、広帯域キャリア周波数誤差補正部の補正性能、TMCC部フレーム同期性能から複合的に決まる。したがって、どのレベルまで繰返し回数を増やすかは、フレーム同期の確立が弱い条件にて実験的に確認することが望ましい。
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、本発明は以下のように表現、あるいは、変形することができる。
1.誤り訂正符号化されたデータ信号と、フレーム同期信号と制御信号と、波形等化処理の基準となるパイロット信号を、直交周波数分割多重変調を行うことで有効シンボルを生成し、前記有効シンボルと、前記有効シンボルの一部分と同一の内容を複写してなるガードインターバルとを備えた伝送シンボルを含む直交周波数分割多重変調(OFDM)方式によるデジタル送信波を受信・復調するOFDM復調装置において、受信波の電力を自動調整するAGC手段と、前記受信波の有効シンボル先頭を抽出するシンボル同期手段と、前記受信波のキャリア周波数誤差を補正するAFC手段と、前記受信波のOFDM復調を行うFFT手段と、前記フレーム同期信号からフレーム同期処理を行うフレーム同期検出手段と、前記制御信号を抽出する制御信号復調手段と、前記パイロット信号を基準に波形等化処理を行う波形等化処理手段と、前記受信波の通信路情報を検出する通信路情報検出手段と、前記通信路情報に基づきフレーム同期保護およびフレーム再同期を行うフレーム同期処理手段とを具備することを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、TMCCの誤り訂正情報ではなく、通信路情報で、フレーム同期の同期保護や再同期処理を適切に行うことが可能となる。これによって、ユーザーは、TMCC情報で判定した場合には復調が途切れてしまう場合でも、途切れることなく通信や放送の受信・復調が可能となる。逆に、通信路情報が悪化した場合にはOFDM復調LSIの出力も有効でなくなるので、再同期処理によって有効データに復活する可能性がある。
2.1に記載のOFDM復調装置において、波形等化出力のMER計算手段を具備し、前記通信路情報検出手段はMERから通信路情報を検出することを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、通信路情報として波形等化出力のMERを用いることで、フレーム同期の同期保護や再同期処理を適切に行うことが可能となる。これによって、ユーザーは、TMCC情報で判定した場合には復調が途切れてしまう場合でも、途切れることなく通信や放送の受信・復調が可能となる。逆に、MERが悪化した場合にはOFDM復調LSIの出力も有効でなくなるので、再同期処理によって有効データに復活する可能性がある。
3.1に記載のOFDM復調装置において、前記誤り訂正のBER計算手段を具備し、前記通信路情報検出手段はBERから通信路情報を検出することを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、通信路情報として誤り訂正符号のBERを用いることで、フレーム同期の同期保護や再同期処理を適切に行うことが可能となる。これによって、ユーザーは、TMCC情報で判定した場合には復調が途切れてしまう場合でも、途切れることなく通信や放送の受信・復調が可能となる。逆に、BERが悪化した場合にはOFDM復調LSIの出力も有効でなくなるので、再同期処理によって有効データに復活する可能性がある。
4.3に記載のOFDM復調装置において、誤り訂正符号が畳み込み符号である場合に、前記BER計算手段がビタビ前BER計算手段であることを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、誤り訂正符号として畳み込み符号が採用されている場合には、ビタビ前BER計を用いることで、フレーム同期の同期保護や再同期処理を適切に行うことが可能となる。これによって、ユーザーは、TMCC情報で判定した場合には復調が途切れてしまう場合でも、途切れることなく通信や放送の受信・復調が可能となる。逆に、ビタビ前BERが悪化した場合にはOFDM復調LSIの出力も有効でなくなるので、再同期処理によって有効データに復活する可能性がある。
非特許文献1の放送規格の復調は、畳み込み符号とリードソロモン符号の連接符号を採用している。OFDM復調LSIの性能指標として所要CNがある。これはビタビ出力時点でのBERで定義される。ビタビ前BERを通信路情報として用いることで、所要CNと関連づけて同期保護・再同期処理の条件の設定が可能となる。
5.3に記載のOFDM復調装置において、誤り訂正符号がリードソロモン符号である場合に、前記BER計算手段がリードソロモンBER計算手段であることを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、誤り訂正符号としてリードソロモン符号が採用されている場合には、リードソロモンBERを用いることで、フレーム同期の同期保護や再同期処理を適切に行うことが可能となる。これによって、ユーザーは、途切れることなく通信や放送の受信を行うことが可能となる。逆に、リードソロモンBERが悪化した場合にはOFDM復調LSIの出力も有効でなくなるので、再同期処理によって有効データに復活する可能性がある。
前記放送規格では、リードソロモン復号処理が最後の誤り訂正処理になるので、リードソロモンBERがOFDM復調LSI出力信号のBERに相当する。上記の構成によれば、リードソロモンBERを通信路情報として用いることで、OFDM復調LSIの出力信号の状態と関連づけて同期保護・再同期処理の条件の設定が可能となる。
6.1に記載のOFDM復調装置において、誤り訂正符号がリードソロモン符号である場合に、復号出力の有効信号を生成する誤り訂正情報抽出手段を具備し、前記通信路情報検出手段は有効信号から通信路情報を検出することを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、誤り訂正符号としてリードソロモン符号が採用されている場合には、有効信号を用いることで、フレーム同期の同期保護や再同期処理を適切に行うことが可能となる。これによって、ユーザーは、TMCC情報で判定した場合には復調が途切れてしまう場合でも、途切れることなく通信や放送の受信・復調が可能となる。逆に、リードソロモンBERが悪化した場合にはOFDM復調LSIの出力も有効でなくなるので、再同期処理によって有効データに復活する可能性がある。
リードソロモンは、シンドロームを計算して誤りを検出・訂正する線形符号である。誤りの数が訂正能力範囲内の場合には、リードソロモン復号部は出力信号の有効性を100%保証する。
非特許文献1の放送規格の復調は、畳み込み符号とリードソロモン符号の連接符号を採用している。前記放送規格では、リードソロモン復号処理が最後の誤り訂正処理になるので、リードソロモン出力の有効信号がOFDM復調LSI出力信号の有効信号に相当する。有効信号を通信路情報として用いることで、OFDM復調LSIの出力信号の状態と関連づけて同期保護・再同期処理の条件の設定が可能となる。
7.1〜6に記載のOFDM復調装置において、フレーム同期信号が検出できず、前記通信路情報検出部が有効TSPを出力できる電波状態であると検出した場合には、前記フレーム同期処理部がフレーム同期保護を行うことを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、フレーム同期信号が正しく検出できない状態でも、通信路情報検出部が有効データが出力可能であると検出した場合には、フレーム同期の同期保護行なうことで、フレーム同期の停止や再同期が抑制される。これによって、ユーザーは、TMCC情報で判定した場合には復調が途切れてしまう場合でも、途切れることなく通信や放送の受信・復調が可能となる。
8.1〜6に記載のOFDM復調装置において、フレーム同期信号が検出できず、前記通信路情報検出部が有効TSPを出力でない電波状態であると検出した場合には、前記フレーム同期処理部が再同期処理を行うことを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、フレーム同期信号が正しく検出できない状態で、通信路情報検出部も有効データが出力不可能であると検出した場合には、フレーム同期の再同期を行うことで、有効データが出力できる状態に復活できる可能性がある。
9.8に記載のOFDM復調装置において、前記フレーム同期処理部が再同期処理を間欠的に行うことを特徴とするOFDM復調装置。
上記の構成によれば、フレーム同期信号が正しく検出できない状態で、通信路情報検出部も有効データが出力不可能であると検出した場合には、すぐにフレーム同期の再同期を行っても、有効データが出力できる状態に復活できない可能性がある。そこで、間欠的に再同期処理を行うことで、消費電力が抑制可能となる。
10.8に記載のOFDM復調装置において、再同期処理がある設定した回数を超えた場合には、前記フレーム同期処理部がOFDM復調処理を停止することを特徴とするOFDM復調装置。
8に記載のOFDM復調装置でフレーム再同期処理を行った際に、再同期処理が複数繰り返される場合がある。この場合には、通信路の電波状態が受信不可である可能性が高い。この場合には、OFDM復調処理は消費電力を無駄にするだけであるので、OFDM復調処理やチューナを停止することで、消費電力抑制が可能となる。
なお、上記各実施形態のOFDM復調装置の各部は、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、インターフェース部などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態のOFDM復調装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。