以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は封止操作後の発光素子モジュールの一例の断面模式図である。図2〜6は封止操作前の積層体の一例の断面模式図である。図7は封止処理装置の一例の模式図である。
本発明の製造方法によって得られる発光素子モジュール1は、2枚の表面シート2の間に、複数の発光素子3及び電気配線4を有する回路基板5が封止樹脂6で封止されてなるものである。断面模式図を図1に示す。
本発明で使用される発光素子3は特に限定されず、発光ダイオード(LED)素子、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などが使用できる。EL素子としては、有機及び無機のEL素子のいずれも使用することが可能である。これらのなかでも、LED素子が好適に採用される。
本発明の発光素子3は、電気配線4を有する回路基板5上に配置される。複数の発光素子3が回路基板5上に配置されることによって、多数の発光素子3を効率良く配列させることが容易になる。発光素子3を回路基板5上に配置する方法は特に限定されず、回路基板5上に形成された電気配線4に対して電気的に接続されていればよい。予めプリント配線された基板に対して接続する場合には、規則正しく配列させることが容易である。また、基板そのものに対して、薄膜形成、拡散、エッチング、化学処理、熱処理などの操作を施して、直接電気配線4や発光素子3を形成することも可能である。好適には、半田や導電ペーストなどを用いて発光素子3を回路基板5上の電気配線4に対して電気的に接続させる。この場合の発光素子3の形態は特に限定されないが、表面実装の可能なチップであることが好ましい。表面実装用のチップは、発光素子3をパッケージに封入したものであってもよいし、発光素子3のベアチップであってもよい。このような表面実装は機械を用いて高精度に迅速に行うことが可能である。また、表面実装用のチップは寸法が小さいので、封止する際に上下からの荷重によって、発光素子3が破壊されにくい。ここで、本明細書において、発光素子3の破壊とは、発光素子3そのものの破壊やそれを含むパッケージの破壊のみならず、発光素子3と電気配線4との接続の断絶なども含み、発光素子3が正常に発光しなくなるような全ての現象を含むものである。
電気配線4を有する回路基板5の素材は特に限定されない。例えば、ガラス基板、セラミックス板、ガラスエポキシ複合体基板、プラスチック板、プラスチックフィルムなどを使用することが可能である。発光素子モジュール1全体の透明性が要求される用途であれば、ガラス基板、透明プラスチック板、透明プラスチックフィルムが好適に使用される。また、電気配線4を形成する方法は特に限定されず、基板上に形成された導電層をエッチングしてパターン形成してもよいし、導電ペーストを印刷してもよい。そして、回路基板5上の電気配線4に電気を供給されるための導線7が接続される。この導線7としては銅などの金属性のものが好適であり、平坦なリボン状のものが好適である。
1つの回路基板5上に配置される発光素子3の数は、複数であればよく特に限定されない。生産効率という点からは、数が多いほうが好ましく、10個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましい。一方、数が多すぎると、基板寸法が大きくなりすぎて製造するのが困難になるおそれがあるし、モジュールの寸法の自由度も低下するので、通常10000個以下である。
1つの発光素子モジュール1の中に封止される回路基板5は1つであっても構わないし、複数であっても構わない。大型のモジュールを製造する場合には、複数の前記回路基板5を相互に導線8で接続してから封止することが好ましい。これによって、建築用途などに使用される大面積のモジュールを製造するのも容易になるし、様々な寸法のモジュールをいくつかの回路基板パターンに基づいて自由に設計することも可能になる。1つの発光素子モジュール1の中に封止される発光素子3の数は、複数であればよく特に限定されない。大面積のモジュールを容易に製造できるという本発明の製造方法の利益を得るという面からは、発光素子3の数が多いことが好ましく、好適には20個以上、より好適には50個以上である。また、通常100000個以下である。
本発明の製造方法で使用される表面シート2は、少なくとも一方が透明であることが必要である。ここで要求される透明性は、一定割合の光が通過しさえすればよいという意味である。したがって、例えば、表面シート2が着色していてもよいし、白濁していてもよいし、表面シート2の表面にスリが入っていてもよい。表裏両面に対して光を放出させるモジュールである場合や、モジュール越しに外光を採り入れたり、風景を視認するような場合には、2枚の表面シート2がいずれも透明であることが好ましい。また、効率的に一方にのみ光を放出させる場合には、表面シート2の一方が鏡であり、その反射面が前記発光素子3側に向いていることが好ましい。また、同様の理由から、反射率の高い白色拡散シートを表面シート2の一方に使用することも好ましい。
表面シート2の材質は特に限定されず、ガラス、プラスチック、金属などを使用することができ、用途に応じて適宜選択される。また、その厚みも特に限定されず、板状のものからフィルム状のものまで使用することができる。
透明性を有する板状体という点からは、表面シート2としてアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などのプラスチックを使用しても構わないし、ガラスを使用しても構わない。しかしながら、耐久性、硬度、難燃性などを考慮すると、表面シート2としてガラス板を使用することが好適である。特に、2枚の表面シート2がいずれもガラス板であることが好適である。広い面積の構造材を構成することも多いことから、表面圧縮応力が20MPa以上のガラス板であることが、強度の面から好ましい。また、面積が広い場合には、屋外で使用する場合などに日照などによる温度上昇に伴う熱割れも生じやすいので、この点からも表面圧縮応力が20MPa以上のガラス板を使用することが好適である。しかしながら、大きい表面圧縮応力を有するガラス板は、通常、フロート板ガラスを加熱、急冷して製造されることから、一定の歪の発生が避けられない。そのために生じるガラスの反りによって、封止時に一部の発光素子3に過剰な荷重がかかりやすく、発光素子3の破壊を防止するために、封止操作の工夫が必要な場合がある。
ここで、板ガラスの表面圧縮応力は、JIS R3222に準じて測定される値である。表面圧縮応力が20MPa以上のガラス板としては、具体的には、倍強度ガラス、強化ガラス、超強化ガラスなどが挙げられる。倍強度ガラスは表面圧縮応力が通常20〜60MPaのものであり、強化ガラスは表面圧縮応力が通常90〜130MPaのものであり、超強化ガラスは表面圧縮応力が通常180〜250MPaのものである。表面圧縮応力を大きくするほど、強度は向上するが、反りが大きくなりやすく製造コストも大きくなりやすい。また倍強度ガラスは、比較的反りの少ないものを製造しやすく、破損したときに細片になって落下することがない点で好ましい。ガラス板は、用途や目的に応じて選択される。
ガラスの材質は特に限定されず、ソーダライムガラスが好適に使用される。また、熱線反射ガラス、熱線吸収ガラスなどを使用することも用途によっては好ましい。また、表面にエンボス模様を形成した型板ガラスやスリガラスなどを使用することもできる。ガラス板の厚みは、特に限定されないが、構造材として使用するのであれば、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましい。このように厚いガラス板を使用する際には自重の影響が大きく、貼り合わせ前にガラス板を重ねる際に発光素子が破損するおそれがあり、封止操作の工夫が必要な場合がある。ガラス板の厚みは通常20mm以下である。また、ガラスの面積は用途によって様々であるが、本発明の製造方法によれば、1m2以上の大型のモジュールを製造することも容易である。
本発明で使用される表面シート2は、平坦なものであっても良いし、湾曲を有するものであっても構わない。表面シート2が湾曲している場合には、従来広く行われているように液状の樹脂を硬化させて封止することが困難なので本発明の製造方法を採用する利益が大きい。湾曲を有する場合の局率は特に限定されないが、通常、曲率半径が100〜10000mmの湾曲を有するものが好適である。ここで、表面シート2の形状は円筒の一部であっても構わないし、球の一部であっても構わない。また、場所や向きによって曲率が変化していてもよい。
また、本発明で使用される表面シート2は、孔を有していても構わない。例えば、近年DPG(Dot Point Glazing)工法によって建築物のガラス壁面を構築する方法が広く採用されているが、この場合には、ガラスに設けられた孔に金具を挿入することが必要になるので、孔を有する表面シート2を用いて封止することになる。このとき、当該穴に金具を装着した状態で封止したい場合もあり、そのような場合には柔軟なシートからなる封止処理容器を使用する後述の方法が好適に採用される。
表面シート2の一方が板であり他方がフィルムであることも軽量化が要求される用途などでは好適である。この場合、板はモジュール全体の強度を担うものであり、剛性を有する板状体である。板の厚みは、2〜25mmであることが好ましい。薄すぎる場合には、モジュール全体の強度が低下するおそれがあり、より好適には3mm以上である。一方、厚すぎる場合にはモジュール全体の重量が重くなりすぎるおそれがあり、より好適には15mm以下である。
フィルムの材質は特に限定されないが、通常、樹脂フィルム又は少なくとも1層以上の樹脂層を有する多層フィルムである。使用される樹脂は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂や、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などが好適に使用される。屋外に配置される用途では、耐候性に優れたフッ素系樹脂が好適に使用される。また、強度や寸法精度が要求される用途ではポリエステル樹脂が好適に使用される。多層フィルムにする場合には、種類の異なる樹脂を積層してもかまわないし、アルミ箔に代表される金属箔などと積層しても構わない。フィルムの厚みは通常0.01〜1mmである。フィルムの厚みが0.01mm未満である場合には、フィルムの強度が低下して保護性能が低下するおそれがあり、より好適には0.02mm以上、さらに好適には0.03mm以上である。一方、フィルムの厚みが1mmを超える場合には軽量化の効果が小さくなり、より好適には0.5mm以下、さらに好適には0.3mm以下である。フィルムが光出射面側に配置される場合には、透明でなければならないが、裏側に配置されるのであれば、透明である必要はなく、着色したものを用いても構わない。2枚の表面シート2のいずれもがフィルムであってもよく、この場合には回路基板5も柔軟なフィルムからなることが好ましい。これによってフレキシブルな発光素子モジュールを得ることもできる。
封止樹脂6の材質は、透明であって、熱可塑性及び接着性を有するものであればよく、特に限定されないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール及びポリウレタンからなる群から選択される一種の樹脂が好適に使用される。このとき、架橋可能な熱可塑性樹脂、特に加熱することによって架橋反応が進行する樹脂であることが強度や耐久性の面からは好ましい。加熱によって架橋される樹脂であることが、好ましい。したがって、このような樹脂をシートの形態で2枚の表面シート2の間に挟み、加熱溶融してから、必要に応じて架橋反応を進行させ、その後冷却固化させて、複数の発光素子3及び電気配線4を有する回路基板5を封止する。加熱によって架橋されるものを使用することによって、耐久性や接着性に優れたものとできる。架橋可能な熱可塑性樹脂としては、加熱した時に架橋反応が進行するものであれば特に限定されない。例えばEVAであれば架橋剤を配合して加熱することで架橋させることができるし、ポリウレタンであればイソシアネート基と水酸基とを反応させることによって架橋させることができる。
ポリウレタンの場合には、比較的低温で架橋反応が進行するので、表面シート2の少なくとも一方に耐熱性の低い樹脂板を使用する場合などに好適である。また、ポリウレタンは柔軟性にも優れているので、ガラスとプラスチックのように熱膨張係数の大きく異なる材料を組み合わせて、表面シート2として使用する場合にも、剥離が生じにくく好適である。さらにポリウレタンは、貫通強度にも優れている。
架橋可能な熱可塑性樹脂のうちでも、架橋剤を含有する熱可塑性樹脂を使用することが好適である。このときの熱可塑性樹脂は、架橋剤とともに加熱した時に架橋反応が進行するものであれば特に限定されないが、透明性、柔軟性、耐久性などに優れたエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が最も好適に使用される。
本発明の製造方法では、封止樹脂シートを2枚の表面シート2の間に挟み、加熱溶融してから冷却固化させて、複数の発光素子3及び電気配線4を有する回路基板5を封止する。封止樹脂シートがEVA樹脂に架橋剤を含有するものであることが好ましく、この場合には、加熱溶融してから架橋反応を進行させ、その後冷却することで架橋されたEVAで封止することができる。封止樹脂シート中のEVAは、DSC法で測定した融点が50〜80℃のものであることが、透明性と形態保持性のバランスの観点から好ましい。
封止樹脂シートは、その片面又は両面に適当なエンボスを有することがブロッキングを防止でき、気泡残りも抑制しやすいので好ましい。好適なエンボス深さは10〜100μmであり、深すぎると逆に気泡が残存するおそれがある。シート厚みは好適には0.2〜2mm、より好適には0.3〜1mmであり、これを一枚又は複数枚重ねて厚み調節して使用することができる。
以下、本発明の製造方法による封止操作を説明する。まず、図2の例について説明する。図2は、封止操作前の積層体の一例の断面模式図である。2枚の表面シート2がいずれもガラス板であり、複数の回路基板5を相互に導線8で接続してから封止する場合を例にして操作を説明する。上下を反対にして、以下の例の逆の順番で重ねても構わない。
最初に、ガラス板からなる表面シート2の上に、実質的にその全面を覆うように第1の封止樹脂シート11を重ねる。第1の封止樹脂シート11は、回路基板5の裏面(発光素子3の載置されていない面)と接する封止樹脂シートである。このとき、第1の封止樹脂シート11の厚さは0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。一定以上の厚みとすることで、衝撃を効率的に吸収できて発光素子3を有効に保護することができる。一方、その厚さは、通常3mm以下、好適には2mm以下である。第1の封止樹脂シート11は表面シート2と回路基板5の裏面との間に挟まれるものであり、平坦なもの同士に挟まれるものであるから、それほど厚くなくても発光素子3に過大な荷重がかかることは少ない。第1の封止樹脂シート11を、複数の封止樹脂シートを積層することによって構成してもよい。第1の封止樹脂シート11は、表面シート2の実質的に全面を覆っていればよく、導線の配置などのために一部が欠落していても構わないし、サイド・バイ・サイドに配置された複数枚の封止樹脂シートから構成されていても構わない。
第1の封止樹脂シート11の上に、複数の発光素子3及び電気配線4を有する回路基板5を載置する。このとき、回路基板5の裏面側が第1の封止樹脂シート11に接し、発光素子3が上になるような向きで載置する。複数の回路基板5を封止する場合には、予め相互に接続された複数の回路基板5を載置してもよいし、一部接続したものを載置してから残りを接続してもよいし、複数の回路基板5を載置してから相互に接続してもよい。
第1の封止樹脂シート11の上に回路基板5を載置するとともに、回路基板5の外側の余白部20に封止樹脂シート片12〜15を配置することが好ましい。回路基板5の外側の余白部20に、このような封止樹脂シート片12〜15を配置することによって、内部を減圧した際に、表裏両面からの大気圧による荷重が発光素子3に直接かかることがなく、封止樹脂シート片12〜15がその荷重を受ける。そして、温度が上昇するにしたがって、封止樹脂は軟化して荷重のかかった封止樹脂シート片12〜15の厚みが減少していき、発光素子3と、封止樹脂シート16とが接触することになるが、そのときには封止樹脂シート16が軟化しているので局所的な荷重がかかることがなく、発光素子3が軟化した封止樹脂シート16に埋まりこむように密着することができる。これによって、減圧工程での発光素子3の破壊を防止することができる。特に、1つのモジュールに封入される発光素子3の個数が多いほど、発光素子3の破損に由来する不良品率が上昇することから、当該封止樹脂シート片12〜15を配置する利益が大きい。また、こうすることによって、回路基板5がガラス板からなる場合に、回路基板5が割れるのを防止することもできる。
回路基板5の外側の余白部20に配置される封止樹脂シート片12〜15の厚みは、その合計の厚みが回路基板5と発光素子3の合計厚みよりも厚いことが好ましい。ここで、合計の厚みとは、複数枚の封止樹脂シート片12〜15を重ねて使用した場合には、その合計の厚みということである。例えば、封止樹脂シート片を、第1の封止樹脂シート11と第2の封止樹脂シート16の間にだけ配置する場合のみならず、第2の封止樹脂シートを構成する複数の封止樹脂シート16〜19相互の間に挟持されるように配置する場合も含むものである。図2の例では、第1の封止樹脂シート11と第2の封止樹脂シート16の間に配置される1枚の封止樹脂シート片12と、第2の封止樹脂シートを構成する4枚の封止樹脂シート16〜19相互の間に挟持される3枚の封止樹脂シート片13〜15との合計(4枚)の厚みということである。
封止樹脂シート片12〜15の合計の厚みが、回路基板5と発光素子3の合計厚みより0.5mm以上厚いことがより好ましく、1mm以上厚いことがさらに好ましい。具体的には、封止樹脂シート片12〜15の合計の厚みが1〜5mmであることが好適である。封止樹脂シート片12〜15の合計の厚みはより好適には1.5mm以上であり、さらに好適には2mm以上である。また、より好適には4mm以下であり、さらに好適には3mm以下である。
封止樹脂シート片12〜15を、水平方向に相互に間隔をあけて配置し、そこから内部の空気を排出できるようにすることが好ましい。内部の空気を積極的に排出する通路を確保することで、気泡の残存を抑制することができ、外観の良好なモジュールを製造することができる。このとき、封止樹脂シート片12〜15同士が直接重ねられた構成である場合には、その少なくとも1枚において封止樹脂シート片12〜15相互の間に水平方向に間隔をあけて、そこから内部の空気を排出できれば良い。
複数の回路基板5を封止する場合には、図2のように隣接する回路基板5を接近させて配置してもよいし、水平方向に間隔を空けて配置してもよい。間隔を空けて回路基板5を配置する場合には、その間隙部に封止樹脂シート片を配置することも好ましい。回路基板5間の間隙部に封止樹脂シート片を配置する場合の、寸法や配置方法については、回路基板5の外側の余白部20に封止樹脂シート片を配置する場合と同様である。特に、隣接する回路基板5相互の間に適当なスペースがあり、モジュール全体の面積が大きい場合には、回路基板5の外側の余白部20に加えて、回路基板5間の間隙部にも封止樹脂シート片を配置することが好ましい。
第1の封止樹脂シート11の上に回路基板5を載置し、回路基板5の外側の余白部20に封止樹脂シート片12を間歇的に載置してから封止樹脂シート16で全体を覆う。引き続き、余白部20に封止樹脂シート片13を間歇的に載置し、封止樹脂シート17で全体を覆い、余白部20に封止樹脂シート片14を間歇的に載置し、封止樹脂シート18で全体を覆い、余白部20に封止樹脂シート片15を間歇的に載置し、封止樹脂シート19で全体を覆う。これにより、4枚の封止樹脂シート16〜19で第2の封止樹脂シートが構成されることになる。第2の封止樹脂シート16〜19は、回路基板5の表面(発光素子3の載置されている面)と接する側の封止樹脂シートである。第2の封止樹脂シート16〜19の厚さは0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。一定以上の厚みとすることで、衝撃を効率的に吸収できて発光素子3を有効に保護することができる。一方、その厚さは、通常5mm以下、好適には3mm以下である。第2の封止樹脂シート16〜19は回路基板5に配置された発光素子3に直接触れるものであり、発光素子3にかかる荷重を抑制するためには、その厚さを第1の封止樹脂シート11の厚さよりも厚くする方が好ましい。第2の封止樹脂シート16〜19を、複数の封止樹脂シートを積層することによって構成することが好ましい。第2の封止樹脂シート16〜19は、それと接する表面シート2の実質的に全面を覆っていればよく、導線の配置などのために一部が欠落していても構わないし、サイド・バイ・サイドに配置された複数枚の封止樹脂シートから構成されていても構わない。最後に、封止樹脂シート19の上にガラス板からなる表面シート2が載置され、封止処理前の積層体が得られる。
次に、図3の例について説明する。図3は、封止操作前の積層体の一例の断面模式図であり、回路基板5がガラス板からなる例である。このように、複数のガラス板からなる回路基板5を封止する場合には、回路基板5相互の間に封止樹脂ライン21が狭持されるように配置してから封止することが好ましい。例えば、回路基板5の厚み程度の幅のライン状に封止樹脂シートを細く切断して、それを隣接する回路基板5の端部同士で挟み込むことが好ましい。こうすることによって、ガラス板同士の距離を狭くしても、ガラス板同士が接触して破損するのを防止することができる。
図3の例では、回路基板5の厚みが大きいので、封止樹脂シート片12を2枚重ねにして厚くしている。また、封止樹脂ライン9を両側から押さえるようにして回路基板5を第1の封止樹脂シート11の上に配置し、その後導線8及び導線7で回路基板5同士を接続するのが作業性の面から好ましい。その他については、図2の例と同様にして積層体を得ることができる。
次に、図4の例について説明する。図4は、封止操作前の積層体の一例の断面模式図であり、表面シート2の一方がフィルム31であり、他方がガラス板32である例である。この場合には、封止するに際しては、フィルム31の縁部を固定することが好ましい。また、フィルム31の外側に当て板34を配置してから封止することも好ましい。図4に示すようにフィルム31の縁部33を当て板34に固定してから封止することがより好ましい。こうすることによって、得られるモジュールのフィルム31面を平滑にすることができ、外観の美麗なモジュールを得ることができる。当て板34は、封止する際に、フィルム31の外側に配置される板のことをいう。フィルム31の外側とは、フィルム31の封止樹脂6と接しない側のことをいう。当て板34には、封止操作中に容易に撓むことがない程度の剛性が必要である。当て板34の厚みは、1〜25mmであることが好ましい。当て板34の材質は特に限定されず、ガラス、プラスチック、金属、セラミックスなどを使用することができる。図4の例では、表面シート2の一方を形成するガラス板32と同寸法のガラス板を使用している。
予め当て板34となるガラス板の片面にフィルム31を重ねて、フィルム31の縁部33を折り返して当て板34の裏面側で固定することが好ましい。図4の例では、折り返して耐熱粘着テープ35で固定している。このように当て板34に固定されたフィルム31を、表面シート2として使用する以外は、図2の例と同様にして各部材を配置する。このとき、フィルム31を下側に配置すれば、ガラス板32側に発光素子が向くことになるし、フィルム31を上側に配置すれば、フィルム31側に発光素子が向くことになる。用途に応じていずれを採用することもできる、図4の例は、後者の例である。
フィルム31を当て板34に固定してから封止することによって、封止後のフィルム31にシワが発生しにくくなり、外観の良好なモジュールを得ることができる。特に、樹脂のみからなるフィルム31は加熱によって収縮するものが多いため、加熱して封止する際にシワが発生しやすいが、そのような場合であっても、シワの発生の少ない、フィルム31表面の平滑な外観の良好な発光素子モジュール1を得ることができる。封止操作後に耐熱粘着テープ35を剥離して当て板34を外し、余分なフィルム31を切り落とす。
縁部を固定する方法としては、図4のようにフィルム31の縁部を前記当て板に固定する方法以外にも、フィルム31の縁部を枠体に固定する方法などが例示される。また、複数の太陽電池モジュールを重ねて同時に封止し、その際、フィルム31の縁部を表面シート2を構成する板に固定するとともに、隣接する太陽電池モジュールにおいて表面シート2を構成する板を前記当て板として使用することもできる。
次に、図5の例について説明する。図5は、封止操作前の積層体の一例の断面模式図であり、2枚の表面シートのいずれもが湾曲したガラス板41、42である。このとき、作業性の点から、凹面側が上になるようにガラス板41を配置し、その上に第1の封止樹脂シート11を重ねることが好適である。
図5の例では、下側のガラス板41の上に、第1の封止樹脂シート11、複数の発光素子3及び電気配線4を有する回路基板5、封止樹脂シート片12〜15及び第2の封止樹脂シート16〜19を重ねるが、その具体的方法は図2の例と同様である。ただし、回路基板5は樹脂フィルムからなるものにすることが、ガラス板41、42の曲率に沿わせやすくて好ましい。最後に、第2の封止樹脂シート19の上にガラス板42が載置される。このとき、上側のガラス板42は下側のガラス板41と実質的に同じ曲率半径の湾曲を有することが好ましく、その凸面側が下に向けられて重ねられる。図5の例では、凹面側の方に向けて光が出射されるモジュールが得られるが、逆にすることもできる。
また次に、図6の例について説明する。図6の例は、一方の表面シート51に皿孔52が設けられ、そこにモジュール取付け金具53が挿入されている例である。表面シート51は板、特にガラス板であることが好ましい。図6は、封止操作前の積層体の一例の断面模式図である。重ねる順番は特に限定されないが、モジュール取付け金具53の先端部が突出している側が上側になるようにして重ねるほうが、作業性の面から好ましい。表面シート54の上に、封止樹脂シート11、複数の発光素子3及び電気配線4を有する回路基板5、封止樹脂シート片12〜15及び封止樹脂シート16〜19を重ねる具体的方法は図2の例と同様である。
最後に、封止樹脂シート19の上に皿孔52を有する表面シート51が載置されるが、このとき、モジュール取付け金具53の頭部が皿孔52に嵌め込まれるようにする。封止する前にモジュール取付け金具53の頭部をモジュールの内部に配置することによって、もう一方の表面シート54に孔をあけることなく、モジュール取付け金具53をしっかりと固定することができる。モジュール取付け金具53の形態は特に限定されないが、皿孔52に沿うことのできる形状の頭部を有するものであることが好ましい。また、適宜ネジ切などが施されていてもよい。表面シート54は、板、特にガラス板であることが好ましいが、軽量化のために樹脂フィルムを採用することもできる。
以上、図2〜6を使用して、封止操作前の積層体の構成について説明した。引き続き、2枚の表面シート2の間の空気を排出し、加熱して樹脂を溶融させてから冷却して封止する。このとき、加熱して樹脂を溶融させ、架橋反応を進行させてから冷却して封止することが好ましい。
図7は、封止処理装置の一例の模式図である。この封止処理装置は、積層体60を内部に収容する複数の封止処理容器61を有し、空気の排出操作と加熱操作の可能なものである。このとき、封止処理容器61はその一部又は全部が気体非透過性の柔軟な膜からなるものである。当該膜の素材は、気体非透過性の柔軟な膜であれば良く、一定以上の柔軟性と強度があって、膜の内部が真空になった時に外気圧が積層体60全体に均一にかかるようになるものであれば特に限定されず、ゴムや樹脂のシートやフィルムが使用できる。このとき、全体が気体非透過性の柔軟な膜からなる袋を使用することが好ましい。この場合には、封止処理容器61は単なる袋であるから、様々な形状や寸法の発光素子モジュールを製造する際に柔軟に対応することが可能であり、建材や内装材など、多様な寸法の製品を製造することが要求される用途に対して好適である。
特に、積層体60において、表面シート2の少なくとも一方が湾曲したガラス板である場合に、このような封止処理容器61を使用することが好ましい。封止処理容器61の内部を減圧して上下からの荷重が積層体60にかかった時に、表面シート2が割れるのを防止することができる。この場合には、封止処理容器61である袋を、表面シート2の表面に沿わせてから封止するのが好ましい。
また、積層体60が、モジュール取付け金具53などのように表面シートから外側へ突出した部材を有する場合にも、このような封止処理容器61を使用することが好ましい。この場合にも、封止処理容器61である袋を、突出した部材の形状に沿わせてから封止するのが好ましい。突出した部材の形状によっては、その形状に対応したポケットを有する袋を使用しても良い。また、突出部に過剰の荷重がかかるのを防止するために、突出部を、減圧時に変形しにくいカバーで覆ってから、封止処理容器61の中に導入することも好ましい。こうすることによって封止処理容器61の破損を防止することもできる。
積層体60を封止処理容器61に導入する際には、積層体60の外縁を通気性のある素材からなるブリーダー62で覆って、積層体60内部の溶融樹脂が流出するのを防ぐとともに、積層体60内部からの空気の排出ルートを確保することが好ましい。ブリーダー62に使用される素材としては、織布、編地、不織布などの布帛が使用可能である。
このようにして積層体60が入れられた複数の封止処理容器61をオーブン63内に導入して相互に間隔をあけて平行に配置する。これによって、封止処理容器61内の積層体60は相互に平行に配置されることになる。複数の封止処理容器61は、上下方向に、間隔をあけて重ねて配置されることが好ましい。所定の間隔をあけて配置する方法は特に限定されず、所定の間隔を有する棚をオーブン63内に設ける方法などが例示される。
オーブン63内において積層体60と平行の向きに熱風を流すことによって積層体60を加熱する。積層体60と平行の向きに熱風を流すことによって、積層体60に効率良くかつ均一に熱を伝えることが可能である。このとき、封止処理容器61の下面にも熱風が接触するようにすることが好ましく、そのためには、封止処理容器61と棚との間にスペーサーを配置する方法や、棚自体を網棚にする方法などが好適に採用される。熱風を供給する方法は特に限定されず、オーブン63内にヒーターを設けて、ファンを用いて積層体60と平行の向きに熱風を流しても良い。しかしながら、オーブン63の外部にヒーターを設けて、熱風をオーブン63内に導入する方法が、均一に加熱しやすくて好ましい。この場合、オーブン63が、熱風導入口と、その反対側に設けられた熱風導出口とを有し、熱風導入口から熱風導出口へと流れる通路の間に複数の封止処理容器61が配置されることが好ましい。また、オーブン63内を実質的に大気圧に維持しながら積層体60を加熱することが、装置コストの面から好ましい。
封止処理に際しては、前記封止処理容器61内を減圧して2枚の表面シート2の間の空気を排出する。図7の封止処理装置では、それぞれの封止処理容器61に排気するためのパイプ64が接続されている。パイプ64は、3本まとめられてパイプ65に接続されている。さらにこのようにまとめられたパイプ65が6本(一部図示を省略)、タンク66に接続されている。タンク66は真空ポンプ67に接続されており、これによって封止処理容器61内部の空気を排出することが可能である。封止処理容器61の数は、複数であれば特に限定されないが、生産効率を考慮すれば、6個以上であることが好ましく、12個以上であることがより好ましい。
6本のパイプ65のそれぞれには、バルブ68を介して圧力計69が接続され、またパイプ65中の流れを遮断することの可能な電磁弁70が設けられている。これによって、パイプ65に接続された封止処理容器61のいずれかに漏れが発生した場合に、圧力計69が圧力の上昇を検知し、制御回路71が電磁弁70に信号を送って電磁弁70を閉じる。これによって、封止操作の途中で一つの封止処理容器61に漏れが発生しても、他の封止処理容器61にその悪影響が及ぶのを防止することができる。本発明で使用する封止処理容器61は、柔軟なシートからなるものであるし、発光素子モジュールの形態にしたがってさまざまな形状のものを準備する必要があるので、漏れが発生するおそれがある。しかも、一般に発光素子モジュールはかなり高価である。したがって、このような制御方法を採用することが好ましい。図7の例では、3つの封止処理容器61ごとに一つの制御を行っているが、これは設備コストと効果とのバランスに基づくものである。圧力計69と電磁弁70のセットは、2セット以上あればよいが、好適には3セット以上、より好適には5セット以上である。制御回路71からアラーム信号を出して、オペレーターに知らせることもできる。
6本のパイプ65はタンク66に接続されており、電磁弁70が開いている状態では、全ての封止処理容器61がタンク66と連通している。タンク66の空気は真空ポンプ67によって排出される。また、タンク66にはコントロールバルブ72を介して外気を導入することができる。
後に説明するように、封止処理容器61内の圧力は、厳密に制御する必要がある。図7の封止処理装置においては、タンク66内の圧力を制御することによって全ての封止処理容器61の内部の圧力を同時に制御することができる。タンク66内部の圧力は、バルブ73を介して接続された圧力計74で計測され、この圧力データを受け取った制御回路75がコントロールバルブ72に信号を送って外気を取り入れながら所望の圧力に微調整する。この間真空ポンプ67は運転を継続している。比較的容量の大きなタンク66に対して外気を取り込みながら制御することで封止処理容器61内の圧力の微調整が可能である。
また、封止処理容器61内の減圧操作を開始する前に、電磁弁70及びコントロールバルブ72を閉めた状態で真空ポンプ67の運転を行うことによって、タンク66内を予め減圧しておくこともできる。この場合には、電磁弁70を開くことによって迅速に封止処理容器61内の空気を排出することができる。これによって、真空ポンプ67の排気能力が小さい場合であっても、封止処理容器61内を迅速に減圧するのに役立つ。
タンク66の容量は特に限定されるものではないが、10リットル以上であることが好ましく、20リットル以上であることがより好ましい。また、容量が大きすぎる場合には、コントロールバルブ72による圧力制御が迅速にできなくなるおそれがあるので、500リットル以下であることが好ましい。後に説明する実施例で使用した封止処理装置は、50リットルのタンク66を備えていた。
図7には具体的に示されてはいないが、前記オーブン63に隣接する温度調節室を少なくとも1つ設け、該温度調節室において予熱操作又は冷却操作を行うことも好適である。これによって、予熱操作や徐冷操作に必要な時間の分だけ封止操作のサイクルタイムを短縮することができる。温度調節室は、オーブン63に隣接して配置され、その内部で温度調整ができるものであれば特に限定されない。
以上説明したような封止処理装置を用いて2枚の表面シート2の間の空気を排出し、加熱して樹脂を溶融させてから冷却して封止する。このときの温度条件は特に限定されるものではなく、樹脂が溶融することの可能な温度まで上昇させれば良く、結晶性の樹脂であればその樹脂の融点以上まで加熱すれば良い。また、封止樹脂が架橋可能な熱可塑性樹脂であれば、架橋可能な温度まで上昇させて、所定の時間架橋可能な温度に保持する。圧力も積層体60内の空気を排出できて気泡残りが低減できるような圧力まで減圧できるのであればその圧力は特に限定されない。
具体的には、封止処理容器61内で封止するに際して、封止樹脂の融点未満の温度において封止処理容器内を減圧する工程(工程2)、減圧したままで封止樹脂の融点以上の温度まで昇温する工程(工程3)、冷却する工程(工程5)及び前記封止処理容器内の圧力を上昇させる工程(工程6)の各工程からなる封止操作を行うことが好適である。このとき、前記工程2において封止樹脂の融点未満の温度において封止処理容器内を0.01MPa以下の圧力まで減圧するとともに、該工程2に先立って、封止処理容器内の圧力を0.05MPa以上に保って封止樹脂を加熱する工程(工程1)を有することがより好適である。
前記工程1は、封止処理容器61内の圧力を0.05MPa以上に保って封止樹脂を加熱する工程である。封止処理容器61内の圧力を0.05MPa以上に保つことによって、積層体60の上下方向から発光素子3に大きな荷重がかかるのを防止することができる。より好適には当該圧力は0.06MPa以上である。封止樹脂シート片を使用しない場合、封止樹脂シート片の厚さが薄い場合、発光素子の高さが高い場合、表面シート2の寸法が大きい場合、表面シート2が湾曲している場合など、発光素子の破損や電気配線の断線が発生しやすい場合には特に工程1を採用することが好ましい。
工程1における封止処理容器61内の圧力は実質的に大気圧(0.1MPa)と同じであることが、セルに対して上下からかかる荷重が小さくて好ましい。また、装置や操作が簡便になる点からも好ましい。一方、一旦0.09MPa以下まで減圧することで、封止処理容器61の漏れをチェックすることができる。工程1においては、封止樹脂が未だ溶融していないので、封止処理容器61に漏れがあった場合には、この段階で補修することが可能である。本発明の製造方法で使用する封止処理容器61は柔軟なシートからなり、破損や漏れが生じる場合があるので、このように少し減圧してもよい。大気圧から0.05MPa以上の所定の圧力まで減圧する際には、減圧操作に要する時間を10分以上かけることが好ましい。大きな荷重はかからないものの、急激な減圧操作は発光素子の破損を引き起こす可能性があるからである。
以上のように、封止処理容器61内の圧力が高い状態で封止樹脂を加熱することによって、封止樹脂を予め軟化させる。このときの加熱によって到達する温度は、封止樹脂が溶融しない温度でありながら、弾性率が低下する温度である。ここで、封止樹脂が溶融しない温度とは、通常、融点(Tm)よりも低い温度ということであり、好適には(Tm−5)℃以下であり、より好適には(Tm−10)℃以下である。封止樹脂が融点を有しない場合には、ここでいう融点をガラス転移点又は軟化点と置き換えて考えればよい。多くの封止樹脂において好適な温度は70℃以下であり、より好適な温度は65℃以下である。当該温度が高すぎると、工程2において封止処理容器61内の圧力が0.01MPa以下まで下がる前に樹脂の流動が開始してしまい、積層体60の内部の空気を排出するための通路が塞がれて、気泡残りが発生するおそれがある。また、前記加熱によって到達する温度は、好適には(Tm−30)℃以上であり、より好適には(Tm−20)℃以上である。多くの封止樹脂において好適な温度は40℃以上であり、より好適な温度は45℃以上である。当該温度が低すぎる場合には、封止樹脂の弾性率の低下が不十分であり、工程2において封止処理容器61内の圧力を下げた場合に発光素子3が破損するおそれがある。このような温度範囲で5分以上、より好適には10分以上維持してから工程2の減圧操作を開始することが好ましい。
工程2は、封止樹脂の融点未満の温度において封止処理容器61内を減圧する工程であり、工程1が採用される場合には、工程1に引き続いて行われる工程である。封止樹脂の融点未満の温度で減圧することによって積層体60の内部の空気が排出される通路が確保されるものである。このとき、封止処理容器61内の圧力は、好適には0.01MPa以下、より好適には0.005MPa以下まで減圧される。十分に減圧することによって封止後の気泡残りを効果的に抑制することができる。工程2において0.05MPaから0.01MPaまで減圧する間の温度は、工程1で説明した前記加熱によって到達する温度と同じ温度範囲に維持されることが好ましい。また、急激な減圧操作による発光素子3の破損を防止するためには、0.05MPaから0.01MPaまで、5分以上かけてゆっくり減圧することが好ましい。
工程3は、減圧したままで封止樹脂の融点以上の温度まで昇温する工程であり、工程2に引き続いて行われる工程である。封止樹脂を昇温すると融点付近で弾性率が大きく低下し高粘度の液体へと変化することになるが、工程3は、そのような温度に到達するまで減圧したままにする工程である。弾性率が高いうちに減圧度を下げて昇圧したのでは、積層体60の内部へ空気が流入してしまい、封止樹脂中に気泡が残留するおそれがある。ここで、工程3の昇温操作で到達する温度の下限値は、好適には(Tm+10)℃以上であり、より好適には(Tm+20)℃以上である。多くの封止樹脂において好適な下限値は80℃以上であり、より好適には85℃以上である。また上限値は、通常200℃以下である。
工程3で昇温する速度はゆっくりであることが好ましく、室温から上記温度まで昇温するのにかかる時間が15分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、1時間以上であることがさらに好ましい。ゆっくり昇温することによって、急に荷重がかかることがなく、発光素子3の破壊を効率的に防止することができる。このとき、途中で昇温速度を変化させてもよいし、昇温を停止して積層体60の内部の温度分布を解消させる、バランシング操作を施しても良い。生産性の観点から、昇温時間は通常10時間以下であり、好適には5時間以下である。
封止樹脂として、架橋可能な熱可塑性樹脂を使用する場合には、減圧したままで封止樹脂の融点付近以上まで昇温する工程(工程3)の後に、架橋反応が進行する温度範囲で架橋反応を進行させる工程(工程4)を有することが好ましい。この場合、上記工程3において、架橋反応が進行する温度範囲まで昇温する。通常100℃以上、好適には120℃以上、より好適には130℃以上、さらに好適には140℃以上に加熱して架橋反応を進行させる。樹脂の劣化を防止するために、通常は200℃以下の架橋温度が採用される。架橋反応が進行する温度範囲に保つ時間は、目指す架橋度などにより異なるが、通常5分〜2時間、好適には10分〜1時間である。工程4で架橋反応を進行させるときの封止処理容器61内の圧力は特に限定されず、工程3における減圧状態を維持したままであっても構わないし、圧力を上昇させても構わない。
工程5は冷却する工程であり、工程3又は工程4に引き続いて行われる工程である。工程5においては、通常、室温付近まで冷却するが、冷却速度が早すぎると、表面シート2や回路基板5に用いられているガラス板が割れるおそれがある。また、得られる発光素子モジュール1に反りが発生するおそれもある。したがって、好適には10分以上、より好適には20分以上かけて冷却する。
また、工程6は封止処理容器61内の圧力を上昇させる工程である。工程6は、工程3に引き続いて行われる工程であるが、工程4あるいは工程5よりも前に行っても後に行っても構わないし、工程4あるいは工程5と同時に行っても構わない。通常、大気圧と実質的に同じ圧力(0.1MPa)まで昇圧する。工程5において室温付近まで冷却した後に圧力を上昇させるのであれば、短時間で昇圧すればよいが、樹脂が溶融状態にあるときに昇圧する場合には、ゆっくり昇圧するほうが好ましい。また、段階的に昇圧しても構わない。
こうして得られた発光素子モジュール1は、モジュールの周縁部まで封止樹脂6が充填されており、封止樹脂層の周縁にスペーサーを有さないものである。接着性や耐久性に優れた封止樹脂で周縁部まで封止することができるので、信頼性の高い発光素子モジュールを提供することができる。封止樹脂層の厚みは全体で1〜6mmであることが好ましい。より好適には2mm以上であり、また5mm以下である。
気体不透過性の柔軟なシートからなる封止処理容器内で封止するという、上記製造方法によれば、表面シート2の少なくとも一方が湾曲したガラス板である場合であっても、封止操作が容易である。この場合、曲げガラスにはさまれた発光素子モジュールを提供することができるので、建築物のデザインの多様化の要求に応えることができる。また、モジュール固定用の金具を備え、該金具が表面シートに形成された貫通孔に挿入され、該金具の頭部側の端部が封止樹脂層側に配置され、該金具の反対側の端部が外側に突出している発光素子モジュールも容易に製造できる。これによって、近年広く行われるようになったDPG工法に適用できる発光素子モジュールを提供することができる。
また、本発明の発光素子モジュールは、2枚の表面シート2の間に複数の発光素子3が破損されることなく、規則正しく整列されたものである。多数の発光素子3を破損することなく封止樹脂6で封止することができるので、大型の発光素子モジュールを提供することができる。しかも、気泡残りが抑制され、端部からの樹脂のはみ出しも抑制され、正しく整列されて外観が美麗であるので、各種の照明、装飾、表示装置として好適に使用される。特に、様々な形状や寸法への対応が容易なので、建築物の外壁、屋根、窓、天井、内壁などに好適に使用されるとともに、屋内外の装飾や表示装置としても好適に使用される。