実施の形態1〜6は、この発明に係る内燃機関の制御装置を、燃料の燃焼状態から燃料性状を判定し、その判定結果に基づいて、空燃比フィードバック制御が実行されないとき、特に冷間ファーストアイドルのときに於ける内燃機関の制御に適用した場合の実施の形態を示す。
実施の形態7〜12は、この発明に係る内燃機関の制御装置を、EGRを適用した内燃機関に於ける燃料の燃焼状態を検出し、その検出結果に基づいて、EGRを適用した内燃機関の制御に用いた場合の実施の形態を示す。
実施の形態13〜18は、この発明に係る内燃機関の制御装置を、空燃比制御を適用した内燃機関に於ける燃料の燃焼状態を検出し、その検出結果に基づいて、空燃比制御を適用した内燃機関の制御に用いた場合の実施の形態を示す。
以下、先ず、この発明に係る内燃機関の制御装置を、燃料の燃焼状態から燃料性状を判定するようにした実施の形態1〜6について説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置の構成図である。この実施の形態1による内燃機関の制御装置が適用される内燃機関は、図1に示すように、内燃機関本体6、内燃機関本体6の吸気ポートに接続された吸気管5、排気ポートに接続された排気管9を備える。吸気管5には、吸気通路及びサージタンク4を介してエアクリーナ1が接続されている。吸気通路には、エアフローセンサ2及びスロットルバルブ3が配設されている。
エアクリーナ1は、吸気通路に吸入される空気に含まれるダストを取り除くフィルターを有している。エアフローセンサ2は、例えば、熱線式エアフローセンサであり、吸入空気質量流量に応じた電圧信号を発生する。スロットルバルブ3は、図示しないアクセルペダルに連動し、吸入空気量を調整する。スロットルバルブ3の近くには、例えばポテンショメータを内蔵し、スロットルバルブ開度を検出するスロットルバルブ開度センサ13、スロットルバルブ3が全閉であることを検出するアイドルスイッチ14が配設されている。
又、内燃機関は、クランク角センサ11、カム角センサ12を備える。クランク角センサ11は、内燃機関6のクランク軸が一定回転する毎にパルス信号を出力する。例えば、
クランク角センサ11はクランク回転角10°CA毎に回転角検出用のパルスを出力する。尚、クランク角センサ11はクランク回転角(以下、クランク角度ATDCと称する)「0.5°」CA毎に回転角検出用のパルスを出力するものであってもよい。カム角センサ12は、内燃機関6のカムシャフトが一定回転する毎にパルス信号を出力する。カム角センサ12は、気筒毎に異なる信号を出力するので、クランク角センサ11の信号と組み合わせて各気筒の行程に対するクランク角度を特定する。
又、内燃機関はインジェクタ7を備える。インジェクタ7は、吸気管5の気筒毎の吸気ポート上流に設けられ、内燃機関コントロールユニット(Engine Control Unit、以下、
ECUと称す)21の信号に応じて開弁し、各気筒の吸気ポートへ加圧燃料を噴射する。噴射された燃料と吸気管5内を流れる空気とからなる混合気は、シリンダ24へ導入され、点火プラグ23で着火される。燃焼した混合気、即ち排ガスは、排気管9へと排出され、排気管9に配置された三元触媒を内蔵した触媒コンバータ8で、排ガス中の炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)の3成分を同時に浄化される。又、触媒コンバータ8の上流には空燃比センサ10が設けられ、排ガス中に含まれる酸素濃度から空燃比をリニアに検出する。
更に、内燃機関は、車室内等に装着されたECU21を備える。ECU21は、燃料噴射制御、点火時期制御等を実行するマイクロコンピュータシステムであり、入出力インターフェース19、中央演算処理装置16、ROM17、RAM18、駆動回路20から構成されている。ECU21は、イオン電流を検出するイオン電流検出手段、検出されたイオン電流を点火毎のイオン電流波形パターンとして認識するイオン電流波形パターン認識手段及び認識されたイオン電流波形パターンから燃料の燃料性状を判定する燃料性状判定手段を有する。
ECU21のイオン電流検出手段、イオン電流波形パターン認識手段及び燃料性状判定手段は、ROM17に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムの命令に従って中央演算処理装置16がデータを処理することにより実行される。ECU21の入力側には各種センサやスイッチ類が接続されており、各種センサ出力は入出力インターフェース19を介しA/D変換してECU21へ取り込まれる。その入力信号に基づいて演算処理を実行する。その演算結果に基づいて各種アクチュエータ用制御信号を出力し、インジェクタ7や点火プラグ23等の各種アクチュエータを制御する。
点火時期制御は、クランク角センサ11から得られる内燃機関の内燃機関回転数及びその他のセンサからの信号により、内燃機関の運転状態を総合的に判定し、最適な点火時期を決定し、駆動回路20を介して図示しない点火信号で点火プラグ23を制御駆動する。イオン電流検出手段としてのイオン電流検出回路22は、シリンダ24で混合気が燃焼する際に発生するイオンに基づくイオン電流を検出する。尚、このイオン電流検出回路22については、後述する。
次に、燃料噴射制御について図3を用いて説明する。図3は、ECU21に於いて燃料噴射量を制御する燃料噴射制御のシーケンス図である。図1及び図3に於いて、ECU21は、エアフローセンサ2の出力をA/D変換して読み込み、クランク角センサ11からの信号区間に於ける吸気量を積算して一吸気行程あたりの吸入空気量A/N0を算出する。エアフローセンサ2により検出した吸入空気は、サージタンク4に一旦充填されるためにシリンダ24に吸入される時には応答遅れが生じる。故に、それを補正するために、吸入空気量A/N0に1次フィルターを施し、シリンダ24に吸入される吸入空気量A/Nを演算する。こうして演算した吸入空気量A/Nを用いて、運転状態に応じて適切な空燃比となるように基本燃料噴射量TBを算出する。
又、始動時には、低温度に起因する燃料の気化率の低下や、内燃機関の摺動部分の潤滑オイルの粘度の増加等による摩擦トルクの増加を補うために燃料噴射量を増量する。そのために基本燃料噴射量TBは、始動直後増量補正cstで補正される。始動直後増量補正cstは一般的に水温センサ15で検出された内燃機関冷却水温が低いほど燃料量が増量される設定となっている。尚、運転状態に応じてその他各種の燃料量補正を実施しているが、ここでは詳細な説明は省略する。それら各種の燃料量補正をまとめて各種補正cetcと表す。
又、始動時以外では、運転状態、センサやアクチュエータの動作状態の変化に起因して運転状態に応じた目標空燃比と実空燃比に違いが発生するので、空燃比センサ10で検出した実空燃比AF0が運転状態に応じた目標空燃比Aftgtに制御されるように補正するための空燃比フィードバック補正量cfbが追加されている。
このようにして得られた補正量を用いて、基本燃料噴射量TBを補正して、有効燃料噴射量Taを算出する。又、インジェクタ7の開弁遅れ時間を補正する無効燃料噴射量TDを加算し、実燃料噴射量TIを算出する。そして、実燃料噴射量TIに応じて、駆動回路20を介してインジェクタ7を駆動する。
内燃機関には、シリンダ24で混合気が燃焼する際に発生するイオンを検出する為のイオン電流検出回路22が設けられている。イオンは混合気の燃焼状態に応じて発生し、イオン電流検出回路22に設けられた図示していない電圧バイアス回路から点火プラグ23にバイアス電圧をかけることによりシリンダ24内に発生したイオンが点火プラグ23とシリンダ24により捕捉され、イオン電流検出回路22にて図示しない検出用抵抗を介してイオン電流値を示す電圧として検出できる。検出したイオン電流値を示す電圧は、ECU21の入出力インターフェース19を介してA/D変換され、イオン電流としてECU21に検出される。
以上のような構成によれば、内燃機関の所定の運転状態に於いて、シリンダ24内の混合気が燃焼することにより発生するイオンをイオン電流出力として検出できる。ECU21では、クランク角センサ11の示すクランク角度毎のイオン電流波形として検出でき、検出したイオン電流波形により、内燃機関に用いられた燃料の燃料性状を判定することが可能となる。
次に、検出したイオン電流波形から燃料性状を判定する方法について説明する。図4は、始動時やアイドル運転時の場合に、クランク角センサ11にて検出した、例えば、クランク角度ATDC(以下、単に、クランク角度と称する)0°CA毎にA/D変換したイオン電流波形と、イオン電流波形CRIの発生判定区間、イオン電流波形TIIの発生判定区間、及びイオン電流波形ABIの発生判定区間を説明する説明図である。図4に於いて、クランク角度0°CAは、内燃機関の燃焼の上死点を表し、クランク角度0°CAから「180°」CAまでが燃焼行程である。クランク角度180°CAから360°CAまでが排気行程である。クランク角度0°CA以前は、圧縮行程であり、多くの場合は圧縮行程の終わりに点火プラグ23により点火される。点火の後、点火放電の終了後、点火プラグ23にはバイアス電圧が加えられ、イオン電流は、次に点火を開始するまでの間、検出することができる。
イオン電流は、シリンダ24内の混合気が燃焼する際に発生するイオンを点火プラグで捕捉することにより電流として検出できる。イオン電流検出回路22で検出できるイオン電流は、検出するクランク角度、即ち検出区間によって3つのイオン電流波形として分類できる。即ち、図4に示す区間1と区間2と区間3とからなる3つの区間に於ける混合気の燃焼状態に依存してイオンが発生するため、これらの3つの区間に於けるイオン電流波
形は、夫々の区間に於ける混合気の燃焼状態を表している。
イオン電流値及びイオン電流波形は、イオンの発生状態(発生量や発生速度)によって決まる。燃焼が良い燃焼状態では、イオンの発生量が多く、イオン電流値は大きくなる。又、燃焼が良い燃焼状態では、イオンの発生速度が速く、イオン電流波形はピークを持つ波形となる。他方、燃焼が悪い燃焼状態では、イオンの発生量が少なく、イオン電流値は小さくなったり、検出できなくなったりする。又、燃焼が悪い燃焼状態では、イオンの発生速度が遅く、イオン電流波形は、ピークを持たない波形となる。
区間1、区間2、区間3の3つの区間では、燃焼によるイオンの発生の仕方が異なり、そのイオン電流値及びイオン電流波形は、混合気の燃焼状態の特徴を表している。区間1に発生するイオンは、混合気を点火した直後の化学反応により発生するイオンである。以下、この区間1のイオン電流をCRI(Chemical Reaction Ion Current;化学反応イオ
ン電流)と称し、その波形をCRI波形と称する。
又、図4に示した区間2に発生するイオンは、混合気の爆発的な燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇による熱電離反応により発生するイオンであり、以下、この区間2のイオン電流をTII(Thermal Ionization Ion Current;熱電離イオン電流)と称し、その波形をTII波形と称する。
又、図4に示した区間3に発生するイオンは、燃焼行程前半にて燃え残った混合気及び可燃ガス等が後燃えすることにより発生するイオンであり、以下、この区間3のイオン電流をABI(After Burned Ion Current;後燃えイオン電流)と称し、その波形をABI波形と称する。
即ち、点火毎に検出したイオン電流波形は、区間を3分割すると、夫々の区間1〜3に現れる、前述したCRI波形とTII波形とABI波形という3つのイオン電流波形に分類できる。夫々のイオン電流波形は、夫々の区間の燃焼状態を表す。即ち、良い燃焼の場合には、イオン電流値が大きくなったり、イオン電流波形がピークを持ったりする。又、悪い燃焼の場合には、イオン電流値が小さくなったり、イオン電流が検出できなくなったり、イオン電流波形がピークを持たな且つたりする。故に、夫々の区間1〜3に於けるイオン電流波形の波形パターンを認識することにより、夫々の区間1〜3の燃焼状態を分類することができる。
点火毎に検出したイオン電流波形は、点火毎の混合気の燃焼状態を表しているので、連続する3つの区間によりCRI波形とTII波形とABI波形という3つのイオン電流波形に分類して検出し、それら3つのイオン電流波形の波形パターンを認識することにより、パターン認識した認識結果に従って点火毎の燃焼状態を分類することができる。
次に、点火毎に検出したイオン電流波形をCRI波形とTII波形とABI波形という3つのイオン電流波形の波形パターンに認識する方法について説明する。燃料性状は、前述の図2に示したような気化率の違いによって分類することができるので、図2に示した燃料性状を持つ燃料を内燃機関に用いた時の点火毎のイオン電流波形の一例を図5〜図8に示す。燃料性状の異なる2つ燃料として、図2に示した標準燃料と重質燃料を用いた。内燃機関に標準燃料を用いた場合の始動時に於いて、1点火目から12点火目までの点火毎のイオン電流波形を示したのが図5と図6である。又、内燃機関に重質燃料を用いた場合の始動時に於いて、1点火目から12点火目までの点火毎のイオン電流波形を示したのが図7と図8である。
図5〜図8の点火毎のイオン電流波形を3つの区間で分割した波形パターンとして認識
すると、CRI波形、TII波形及びABI波形という3つのイオン電流波形に分類できることが判る。又、3つのイオン電流波形は、夫々の区間に於いて、イオン電流波形が検出できる場合とイオン電流波形が検出できない場合に分類できることが判る。ここで図5〜8に関して説明すると、夫々の波形図に於いて矢印にて示す3つの区間は、図4に示した区間1〜3に対応するもので、点火毎のイオン電流波形に於いて左から順に、区間1、区間2、区間3であり、区間1、2、3の夫々にて検出されたイオン電流波形が、夫々CRI波形、TII波形、ABI波形である。
又、イオン電流波形が検出できる場合のCRIとTIIの波形パターンを分類すると、ピークがある場合とピークはない場合に分類できることが判る。又、イオン電流波形が検出できる場合のABIの波形パターンを分類すると、区間3に於けるABIの最大値が比較的大きな値になる場合と比較的小さな値となる場合に分類できることが判る。
そこで、図5〜図8に示されたCRI波形、TII波形、ABI波形を○、△、×の3つの波形パターン認識結果に分類するパターン認識を適用する。CRI波形を波形パターン○、△、×の3つの認識結果に分類する波形パターン認識条件を、図11の「イオン電流波形(CRI)認識結果の分類」の表1に示し、TII波形を波形パターン○、△、×の3つの認識結果に分類する波形パターン認識条件を、図11の「イオン電流波形(TII)認識結果の分類」の表2に示し、ABI波形を波形パターン○、△、×の3つの認識結果に分類する波形パターン認識条件を、図11の「イオン電流波形(ABI)認識結果の分類」の表3に示す。尚、ここでは、検出方法の説明を簡単にするために、波形パターン認識条件は定性的な表現としている。
図11に示す表1、表2、表3の波形パターン認識条件を適用して、図5と図6の1点火目から12点火目の点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形を○、△、×の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を、図12の表4の「試行H1」の欄のCRI、TII、ABIの列に示す。同様に、図7と図8の1点火目から12点火目の点火毎の電流波形CRI、TII、ABIを○、△、×の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を図12の表5の「試行J1」の欄のCRI、TII、ABIの列に示す。この結果から明らかなように、図5〜図8に示すイオン電流波形CRI、TII、ABIは、○、△、×の波形パターン認識結果で分類できることが判る。
点火毎の任意のイオン電流波形は、連続した3つの区間である区間1と区間2と区間3で分割したCRI波形、TII波形、ABI波形に分類できることは明らかである。又、図11に示す表1、表2、表3の波形パターン認識条件も、任意のイオン電流波形が○、△、×の波形パターンに分類できることは明らかである。しかしながら、イオン電流波形の波形パターンには、図5〜図8に示した波形パターン以外にも比較的良く発生する波形パターンが幾つかあるので、その例を図9と図10に示す。図9と図10には、CRI波形、TII波形、ABI波形の順番にパターン認識した波形パターン認識結果が、例えば「例1:○○×」というように記載してある。
図9と図10に示した波形パターン認識結果は、図11の表1、表2、表3の波形パターン認識条件を適用すると図9と図10に記載した通りであることは明らかであるが、2、3の例について説明を加える。例4、例5、例8、例9に於けるイオン電流波形CRIは、区間1に於いて複数個のピークが現れているが、少なくとも1つ以上のピークが現れているので「○」とパターン認識できる。例5に於けるTII波形は、区間2に於いて複数個のピークが現れているが、少なくとも1つ以上のピークが現れているので「○」とパターン認識できる。例9に於けるTII波形は、区間2に於いてイオン電流値が現れているが、その値は小さく、且つCRI波形を検出する区間1から値が減衰し、区間2では増加していないので、TII波形が現れたとは考えずに「×」とパターン認識している。例10、例11に於けるABI波形は、区間3に於いてイオン電流が現れているとパターン認識できるが、「発生したイオン電流波形の最大値が比較的大きな値である」と「発生したイオン電流波形の最大値が比較的小さな値である」の違いの一例である。
上述の例では、任意のイオン電流波形を連続した3つの区間である区間1と区間2と区間3で分割したイオン電流波形CRI、TII、ABIに分類し、3つの夫々のイオン電流波形を○、△、×の波形パターンに分類し、CRI波形、TII波形、ABI波形の順番にパターン認識した○、△、×の波形パターン認識結果を組み合わせた、たとえば、図9の「例1:○○×」というような波形パターン認識結果を得る方法について述べたが、検出した信号をコンピュータによって実現する、いわゆるパターン認識と称する認識処理を適用して、波形パターン認識結果を得る方法もある。その方法の一例について説明する。
先ず、例えばクランク角度0.5°CA毎にサンプルした区間1から区間3までの夫々の区間で検出されたCRI波形、TII波形、ABI波形のパターンを入力する。次に入力したパターン、即ちCRI波形、TII波形の夫々について、「ピークを持つ」「イオン電流値を持つ」「イオン電流値がない(所定値よりも値が小さい)」というイオン電流波形の標準パターンを定義しておき、夫々のCRI波形、TII波形と標準パターンとの比較を行う。その比較結果が、波形パターン認識結果である。このようなパターン認識結果を得るひとつの方法は、パターン間の距離を定義し、その距離が最小となる標準パターンが入力したイオン電流波形のパターン認識結果とする方法である。波形パターン間の距離は、イオン電流波形、又はイオン電流の標準パターンをクランク角度0.5°CA毎のイオン電流値を並べたベクトルで表現すると、その2つのベクトルに対して、例えばユークリッド距離やハミング距離やレーベンシュタイン距離等を適用することができる。
このようなパターン認識結果は、CRI波形とTII波形について夫々の波形が、「ピークを持つ」即ち「○」、或いは「イオン電流値を持つ」即ち「△」、或いは「イオン電流値がない(所定値よりも値が小さい)」即ち「×」であるという比較結果と夫々の距離が波形パターン認識結果となる。上述では、CRI波形、TII波形について述べたが、ABI波形については、「イオン電流値が比較的大きな値を持つ」「イオン電流値が比較的小さな値を持つ」「イオン電流値がない(所定値よりも値が小さい)」というイオン電流波形の標準パターンを定義しておき、ABI波形と標準パターンとの比較を行う。その結果、パターン認識結果は、ABI波形について「イオン電流値が比較的大きな値を持つ」即ち「○」、或いは「イオン電流値が比較的小さな値を持つ」即ち「△」、或いは「イオン電流値がない(所定値よりも値が小さい)」即ち「×」という比較結果と距離が波形パターン認識結果となる。
上述の一例では、CRI波形、TII波形、ABI波形の夫々に対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得る方法について述べたが、連続した3つのCRI波形とTII波形とABI波形全体に対して、上述の定義の「○」「△」「×」を組み合わせたイオン電流波形の標準パターン(27種類となる)をあらかじめ定義しておき、それらの標準パターンに対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得ることもできる。
次に、点火毎に検出した3つのCRI波形とTII波形とABI波形の波形パターン認識結果より、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定する方法について説明する。図5〜図8に示したように、点火毎に検出した任意のイオン電流波形は、CRI波形、TII波形、ABI波形を○、△、×波形パターン認識結果により分類できるので、夫々1回の「試行H1」「試行J1」以外の各5試行、計10試行について、内燃機関に標準燃料を適用した場合と重質燃料を適用した場合の始動時に於ける1点火目から12点火目までの点火毎のイオン電流波形を分類した。ここでは、夫々5試行の点火毎のイオン電流波形は、図5〜図8と同様であるので、その分類結果のみを、図13〜図16の表6〜表15に示す。
即ち、図13は、「イオン電流波形パターンと波形パターン認識結果」の表6〜表8を示し、図14は、「イオン電流波形パターンと波形パターン認識結果」の表9〜表10を示し、図15は、「イオン電流波形パターンと波形パターン認識結果」の表11〜表13を示し、図16は、「イオン電流波形パターンと波形パターン認識結果」の表14〜表15を示す。前述の図12に示す標準燃料を用いた場合の表4以外の5試行は、図13〜図14の表6〜表10に示す「試行H2」〜「試行H6」までである。又、前述の図12に示す重質燃料を用いた場合の表5以外の5試行は、図15〜図16の表11〜表15の「試行J2」から「試行J6」までである。
次に、図12〜図16に示す表4〜表15の点火毎(表4〜表15では「点火サイクル」と表記、「点火毎」と「点火サイクル」は同義を表す)の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果を、図17の「イオン電流波形パターンと波形パターン認識結果の組合せ名と組合せ条件」の表16に示す4つの組み合わせに分類する。3つのCRI波形、TII波形、ABI波形と波形パターン認識結果○、△、×の組み合わせは、27通りの組み合わせがあるが、表16に示した組み合わせ名:A、B、C、Dの4つの分類は、27通りの任意の組み合わせが分類できることは明らかである。
そして、図12の表4の1点火目から12点火目の点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形と○、△、×の波形パターン認識結果の組み合わせに、図17の表16の組み合わせ条件を適用して4つの組み合わせ名A、B、C、Dで分類した結果を、図12〜図16の表4から表15の「名」の列に示す。
又、始動時の1点火目から12点火目までのイオン電流波形を図17に示す表16の組み合わせ条件を適用して4つの組み合わせ名:A、B、C、Dで分類した結果に対して、夫々の試行の場合に於いて、1点火目から12点火目まで順番に組み合わせ名:Aが現れた回数を表4〜表15の「A」の列に記入した。同様に、1点火目から12点火目まで順番に組み合わせ名:Bが現れた回数を「B」の列に記入した。同様に、1点火目から12点火目まで順番に組み合わせ名:Cが現れた回数を「C」の列に記入した。同様に、1点火目から12点火目まで順番に組み合わせ名:Dが現れた回数を「D」の列に記入した。
次に、図12〜図16の表4〜表15の結果を用いて、点火毎に検出した3つのCRI波形とTII波形とABI波形の波形パターン認識結果より、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定する方法について具体的に説明する。図12の表4と図13、図14の表6〜表10は、内燃機関に標準燃料を用いた始動時の結果であり、図12の表5と図15、図16の表11〜15は内燃機関に重質燃料を用いた始動時の結果である。
図12〜図16の表4乃至表15に於いて「点火毎のイオン電流波形CRI、TII、ABIと○、△、×の波形パターン認識結果の組み合わせ」について12点火目までの出現回数の特徴を整理すると図18の「3つのイオン電流波形と波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴」の表17のようになる。即ち、始動時の点火毎に検出した12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、表17の特徴1Hを満足する、或いは特徴2Hを満足する、或いは特徴1Hを満足し、且つ特徴2Hを満足すると判定した場合に、内燃機関に用いられた燃料は標準燃料であると判定できる。又、始動時の点火毎に検出した12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、表17の特徴1Jを満足する、或いは特徴2Jを満足する、或いは特徴1Jを満足し、且つ特徴2Jを満足すると判定した場合に、内燃機関に用いられた燃料は重質燃料であると判定できる。
上述の例では、内燃機関に用いた燃料性状を判定する方法に用いた3つのCRI波形、TII波形、ABI波形の夫々に「○」「△」「×」の波形パターン認識結果を組み合わせた波形パターン認識結果を用いているので、前述したような、検出した信号をコンピュータによって実現する、いわゆるパターン認識と称する認識処理を適用して、波形パターン認識結果を得る方法で得られたCRI波形、TII波形、ABI波形の夫々に対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)に対しても、まったく同様に適用して、内燃機関に用いた燃料性状を判定することができる。
又、連続した3つのCRI波形とTII波形とABI波形全体に対して、上述の定義の「○」「△」「×」を組み合わせたイオン電流波形の標準パターン(27種類となる)をあらかじめ定義しておき、それらの標準パターンに対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得る方法で得られた波形パターン認識結果に対しても、表17に示した燃料性状判定条件を適用して、内燃機関に用いた燃料性状を判定することかできるのは言うまでもない。
ところで、内燃機関に標準燃料を用いた場合に特徴1Hを満足するのは、以下のような理由がある。特徴1Hは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Aのイオン電流波形は、CRI波形とTII波形にピークが発生している燃焼状態であり、区間1と区間2のクランク角度に於いて混合気の燃焼状態が良いことを表している。標準燃料を用いると燃焼状態がよくなるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Aの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関に重質燃料を用いた場合に特徴1Jを満足するのは、以下のような理由がある。特徴1Jは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Bのイオン電流波形は、CRI波形のみにピークが発生している燃焼状態であり、区間2の混合気の燃焼状態が比較的悪いことを表している。重質燃料を用いると、例えば標準燃料より燃焼状態が比較的悪くなるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Bの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
尚、以上の説明では、具体的な例としての説明のために、点火回数や出現回数を特定の数値としているが、点火回数は気化率の異なる重質燃料や標準燃料を用いた場合には夫々の燃焼状態の特徴が現れる点火回数を用いることは言うまでもない。又、出現回数についても、図18の表17に示したような特定の数値を用いるだけでなく、判定に用いる点火回数を変更(増加、又は減量)して判定に用いる点火回数に対する百分率で判定しても全く同じ判定結果が得られる。
又、以上の説明では、始動時という運転状態の場合を例としているが、暖機時や暖機アイドル運転時や暖機加速時にも気化率の異なる重質燃料や標準燃料を用いた場合に燃焼状態の特徴が現れるので、夫々の運転状態毎に、特徴1Hや特徴1Jのような判定条件を適用することにより、上述と全く同じ判定結果が得られることは言うまでもない。
以下にECU21に記憶されたプログラムによって実施される上述した燃料性状判定の動作について、フローチャートを用いて詳細に説明する。図19〜図22のイオン電流波形パターン判定ルーチンによって点火毎のイオン電流をCRI波形、TII波形、ABI波形毎に「○」「△」「×」の波形パターン認識を行う。そして図26の燃料性状判定ルーチンによってイオン電流波形の波形パターン認識結果から、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定を行う。
先ず、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンについて、図19〜図22のイオン電流波形パターン判定ルーチンを表したフローチャートを用いて説明する。
図11に於いて、ステップS101では、アイドル時にセットされるアイドルフラグがセット(xidle=1)されていること、且つ、内燃機関冷却水温が所定温度以下(xwtが所定温度以下)であること、つまり冷間ファーストアイドルであることを確認する。ここでは、標準燃料と重質燃料を用いた時の燃焼状態の特徴が現れる運転状態の一つとして冷間ファーストアイドル時の運転状態を一例として説明する。
冷間ファーストアイドル時以外でも、暖機時や暖機アイドル運転時や暖機加速時にも気化率の異なる重質燃料や標準燃料を用いた場合に燃焼状態の特徴が現れるので、ステップS101と同様の運転判定条件により前述の冷間ファーストアイドル時以外の運転条件を判定して、以下に述べるような燃料性状判定をすることができることを補足説明しておく。そして、ステップS101で、冷間ファーストアイドル時以外と判定した時は、ノード151から図22のリターンに進み、本ルーチンを終了する。
次に、ステップS102で、ステップS101で冷間ファーストアイドルであると判定したので、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎のイオン電流Iion(i)を検出する。ここで、(i)は、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に順番に検出したイオン電流であることを表す。(i)は、現在波形パターンを判定しているイオン電流を検出している気筒の所定のクランク角度を0°CAとしてクランク角度0.5°CA毎に増加して、内燃機関のクランク角度を表す。
イオン電流を検出している気筒に関しては、クランク角度720°CAまで増加し、クランク角度720°CAになると、(i)は再びクランク角度0°CAとなって、このような動作が内燃機関2回転毎に繰り返される。又、前述のクランク角度0°CAとする所定のクランク角度とは、イオン電流を検出している気筒の点火時期のタイミングよりも手前のクランク角度である。点火時期はイオン電流を検出している気筒の点火毎に最適な運転状態となるようにECU21の機能によって変更されるので、前述のクランク角度0°CAとする所定のクランク角度は、設定されうる最も早いタイミングの点火時期よりも充分早いタイミングに設定されている。
次に、ステップS103に進み、イオン電流差分dIion(i)を検出する。dIion(i)は、ステップS102で検出したイオン電流Iion(i)とクランク角度0.5°CA前に検出したイオン電流Iion(i−1)との差分を演算した値、即ち、dIion(i)−Iion(i−1)を代入する。但し、i=1の場合のみはIion(i−1)=Iion(i)として演算することとする。このイオン電流差分dIion(i)は、後述する図23と図24のイオン電流ピーク判定ルーチンで用いるもので、検出したイオン電流波形のピーク判定に使用するものである。
次に、ステップS104に進み、現在のクランク角度が区間1にあることを判定する。即ち、イオン電流がイオン電流波形CRIであるか否かを判定するステップである。イオン電流は、点火終了後に検出ができるので、区間1は、点火毎に変化する点火時期より所定のクランク角度dCrk0経過したクランク角度から始める。区間の開始するクランク角度は、以降の連続する区間2も区間3も同様に計測している燃焼の点火時期を基準として決まる。即ち、現在のクランク角度が区間1にあることは、現角度(i)が(dCrk0+点火時期)以上、(dCrk1+点火時期)未満であることにより判定する。ここで、(dCrk1+点火時期)は区間2が開始するクランク角度である。現在のクランク角度が区間1にないと判定したときは、Nに進みノード152を経てステップS113の区間2判定に進む。現在のクランク角度が区間1にあると判定したときは、Yに進みステップS105に進む。
次に、ステップS105では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンが「×」であるかを判定する。イオン電流波形CRIの波形パターンが「×」であることは、図11の表1に示すように「イオン電流が発生していない」ことが判定条件であるが、定常的なノイズが重畳する可能性を考慮して比較的小さく「0」に近い所定値Ijbk1未満の場合に「×」であると判定する。即ち、イオン電流Iion(i)がIjbk1未満の場合には、Nに進みステップS106に進む。イオン電流Iion(i)がIjbk1以上の場合には、Yに進みステップS108に進む。
次に、ステップS106では、区間1のクランク角度に入ってから一度も波形パターン認識の判定をしていないことをチェックする。区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターン認識結果はRjk1(ns)に記憶するが、イオン電流波形の波形パターン認識を行っている点火回数nsに於いてイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合は、Rjk1(ns)=0としておく。Rjk1(ns)=0となっていることにより、点火回数nsに於いてはまだイオン電流波形の波形パターン認識を行っていないことがチェックできる。尚、点火回数nsは初期値1から始まり、後述するステップS135にてイオン電流波形の波形パターン認識が完了する毎に更新していく。ステップS106では、Rjk1(ns)=0でない場合は、Nに進みノード152を経て図20のステップS113へ進み、区間1での波形パターン認識処理を終了する。Rjk1(ns)=0である場合は、Yに進みステップS107に進む。
次に、ステップS107では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンは「×」であり、且つ点火回数nsに於いて区間1のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合であるので、区間1の判定結果をRjk1(ns)=1に設定し、Nに進みノード152を経て図20のステップS113へ進み、区間1での波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS105で区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンが「×」でないと判定した場合はステップS108に進んでいるので、ステップS108では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定してないことをチェックする。区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定していないことは、区間1の波形パターン認識結果Rjk1(ns)に記録されており、Rjk1(ns)が3でないことにより判定できる。区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」判定であることは、図11の表1に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことである。
この判定方法は後述するステップS110、即ち図23と図24のイオン電流ピーク判定ルーチンで具体的に説明する。ステップS108でRjk1(ns)が3であると判定した場合は、Nに進む。即ち、一度でも区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定すれば、現在検出している点火回数nsのイオン電流波形は「○」判定であり、「△」判定や再び「○」判定をする必要はないので、Nに進み図20のノード152を経てステップS113に進む。ステップS108でRjk1(ns)が3でないと判定した場合は、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形は「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、Yに進みステップS109へ進む。
次に、ステップS109では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオ
ン電流波形CRIの波形パターンは「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、区間1の判定結果Rjk1(ns)に2を設定してステップS110に進む。
次に、ステップS110では、図23と図24のイオン電流値ピーク判定ルーチンへ進み、現在のイオン電流Iion(i)に於いてイオン電流波形のピークの有無を判定し、イオン電流波形にピークがあると判定した場合には、Rjmk(i)に1を設定する。イオン電流波形にピークがないと判定した場合には、Rjmk(i)に0を設定する。図23と図24のイオン電流値ピーク判定ルーチンの動作については後述する。ステップS110の処理の後、ステップS111に進む。
次に、ステップS111では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンが「○」であるか否かを判定する。波形パターン認識結果が「○」であると判定するのは、図11の表1に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことであるので、ステップS110での判定結果Rjmk(i)=1の場合である。故に、Rjmk(i)=1である場合には、Yへ進みステップS112に進む。ステップS111でRjmk(i)が1でないと判定した場合は、イオン電流波形にピークが無かったので、Nへ進みノード152を経てステップS113へ進み、区間1での波形パターン認識処理を終了する。即ち、Nへ進んだ場合は、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンは、「×」判定でなく、且つ「○」判定でないので、ステップS109で設定した区間1が「△」判定結果Rjk1(ns)を2に保持し、確定する。そして、区間1での波形パターン認識処理を終了する。
ステップS112では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定でもなく、「○」判定であることが明らかになったので、区間1の判定結果Rjk1(ns)に3を設定して、ノード152を経て図20のステップS113に進み、区間1での波形パターン認識処理を終了する。
次に、図20に示すステップS113から始まる区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形CRIの波形パターンの波形パターン認識処理について説明する。図11の表1のイオン電流波形CRIの波形パターン認識条件と表2のイオン電流波形TIIの波形パターン認識条件を比較して明らかなように、波形パターン認識条件は同一であるので、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理についての説明は、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理の説明とほぼ同じである。
ステップS113では、現在のクランク角度が区間2にあることを判定する。即ち、イオン電流がイオン電流波形TIIであるか否かを判定するステップである。現在のクランク角度が区間2にあることは、現角度(i)が(dCrk1+点火時期)以上、(dCrk2+点火時期)未満であることにより判定する。ここで、(dCrk2+点火時期)は区間3が開始するクランク角度である。現在のクランク角度が区間2にないと判定したときは、Nに進みノード153を経て図21のステップS122の区間3判定に進む。現在のクランク角度が区間2にあると判定したときは、Yに進みステップS114に進む。
次に、ステップS114では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンが「×」であるかを判定する。イオン電流波形TIIの波形パターンが「×」であることは、図11の表2に示すように「イオン電流が発生していない」ことが判定条件であるが、定常的なノイズが重畳する可能性を考慮して比較的小さく「0」に近い所定値Ijbk2未満の場合に「×」であると判定する。即ち、イオン
電流Iion(i)がIjbk2未満の場合には、Nに進みステップS115に進む。イオン電流Iion(i)がIjbk2以上の場合には、Yに進みステップS117に進む。
次に、ステップS115では、区間2のクランク角度に入ってから一度も波形パターン認識の判定をしていないことをチェックする。区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターン認識結果はRjk2(ns)に記憶するが、イオン電流波形の波形パターン認識を行っている点火回数nsに於いてイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合は、Rjk2(ns)=0としておく。Rjk2(ns)=0となっていることにより、点火回数nsに於いてはまだイオン電流波形の波形パターン認識を行っていないことがチェックできる。ステップS115では、Rjk2(ns)=0でない場合は、Nに進みノード153を経てステップS122へ進み、区間2での波形パターン認識処理を終了する。Rjk2(ns)=0である場合は、Yに進みステップS116に進む。
次に、ステップS116では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンは「×」であり、且つ点火回数nsに於いて区間2のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合であるので、区間2の判定結果をRjk2(ns)=1に設定し、Nに進みノード153を経て図21のステップS122へ進み、区間2での波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS114で区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンが「×」でないと判定した場合はステップS117に進んでいるので、ステップS117では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定してないことをチェックする。区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定していないことは、区間2の波形パターン認識結果Rjk2(ns)に記録されており、Rjk2(ns)が3でないことにより判定できる。区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」判定であることは、図11の表2に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことである。
この判定方法は後述するステップS119、即ち図23と図24のイオン電流値ピーク判定ルーチンで具体的に説明する。ステップS114でRjk2(ns)=3であると判定した場合は、Nに進む。即ち、一度でも区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定すれば、現在検出している点火回数nsのイオン電流波形は「○」判定であり、「△」判定や再び「○」判定をする必要はないので、Nに進みノード153を経てステップS122に進む。ステップS114でRjk2(ns)が3でないと判定した場合は、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形は「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、Yに進みステップS118へ進む。
ステップS118では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンは「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、区間2の判定結果をRjk2(ns)=2を設定してステップS119に進む。
ステップS119では、図23と図24のイオン電流値ピーク判定ルーチンへ進み、現在のイオン電流Iion(i)に於いてイオン電流波形のピークの有無を判定し、イオン電流波形にピークがあると判定した場合には、Rjmk(i)に1を設定する。イオン電流波形にピークがないと判定した場合には、Rjmk(i)に0を設定する。ステップS119の処理の後、ステップS120に進む。
次に、ステップS120では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオ
ン電流波形TIIの波形パターンが「○」であるか否かを判定する。波形パターン認識結果が「○」であると判定するのは、図11の表2に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことであるので、ステップS119での判定結果Rjmk(i)=1の場合である。故に、Rjmk(i)=1である場合には、Yへ進みステップS121に進む。ステップS120でRjmk(i)が1でないと判定した場合は、イオン電流波形にピークが無かったので、Nへ進みノード153を経てステップS122へ進み、区間2での波形パターン認識処理を終了する。即ち、Nへ進んだ場合は、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンは、「×」判定でなく、且つ「○」判定でないので、ステップS118で設定した区間2が「△」判定結果Rjk2(ns)=2を保持し、確定する。そして、区間2での波形パターン認識処理を終了する。
ステップS121では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定でもなく、「○」判定であることが明らかになったので、区間2の判定結果をRjk2(ns)=3を設定して、ノード153を経て図21のステップS122に進み、区間2での波形パターン認識処理を終了する。
次に、図21に於いて、ステップS122から始まる区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形ABIの波形パターンの波形パターン認識処理について説明する。表3のイオン電流波形ABIの波形パターン認識条件から明らかなように、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形の最大値を判定する必要がある。
ステップS122では、現在のクランク角度が区間3にあることを判定する。即ち、イオン電流がイオン電流波形ABIであるか否かを判定するステップである。現在のクランク角度が区間3にあることは、現角度(i)が(dCrk2+点火時期)以上、(dCrk3+点火時期)以下であることにより判定する。ここで、(dCrk3+点火時期)は区間3が終了するクランク角度である。現在のクランク角度が区間3にないと判定した場合はNに進み、ノード155からリターンに進み、イオン電流波形パターン判定ルーチンを終了する。即ち、ステップS101の運転条件は成立しているものの、区間1から区間3までののクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識は終了しているので、点火回数nsでのイオン電流波形の波形パターン認識処理を終了する。現在のクランク角度が区間3にあると判定したときは、Yに進みステップS123に進む。
次に、ステップS123では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形ABIの波形パターンが「×」であるかを判定する。イオン電流波形ABIの波形パターンが「×」であることは、表3に示すように「イオン電流が発生していない」ことが判定条件であるが、定常的なノイズが重畳する可能性を考慮して比較的小さく「0」に近い所定値Ijbk3未満の場合に「×」であると判定する。即ち、イオン電流Iion(i)がIjbk3未満の場合、Nに進みステップS124に進む。イオン電流Iion(i)がIjbk3以上の場合、Yに進みステップS126に進む。
次に、ステップS124では、区間3のクランク角度に入ってから一度も波形パターン認識の判定をしていないことをチェックする。区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形ABIの波形パターン認識結果はRjk3(ns)に記憶するが、イオン電流波形の波形パターン認識を行っている点火回数nsに於いてイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合は、Rjk3(ns)=0としておく。Rjk3(ns)=0となっていることにより、点火回数nsに於いてはまだイオン電流波形の波形パターン認識を行っていないことがチェックできる。ステップS124でRjk3(ns)=0である場合は、Yに進みステップS125に進む。Rjk3(ns)=0でない場合は、区間3に入ってからこれまでのクランク角度に於いてイオン電流波形ABIが「×」であるか、少なくとも「△」であるかを判定した場合であるので、新たにイオン電流ABIの波形パターン認識を行う必要はないので、Nに進みステップS129の区間3終了判定へ進み、区間3での波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS125では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形ABIの波形パターンは「×」であり、且つ点火回数nsに於いて区間3のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合であるので、区間3の判定結果をRjk3(ns)=1に設定し、ノード154を経てステップS129へ進み、区間3での波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS123で区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形ABIの波形パターンが「×」でないと判定した場合はステップS126に進んでいるので、ステップS126では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形が「△」か或いは「○」であることを判定し、記憶する。図11の表3に示すように、イオン電流波形ABIが「△」か「○」であることを判定するには、区間3が終了したクランク角度までのイオン電流波形ABIの最大値を判定する必要がある。区間3が終了するまでのクランク角度では、現在のイオン電流Iion(i)がこれまでの点火回数nsに於ける最大値であるか否かを判定し、記憶しておく必要がある。即ち、これまでの点火回数nsに於けるイオン電流Iion(i)の最大値はImk3に記憶しておくので、ステップS126では、イオン電流Iion(i)とImk3との大きさを比較する。
ここで、図示していないが点火回数nsに於いてi=1である場合には、Imk3にはイオン電流Iion(i)が計測しうる最小の値よりも小さい値を予め設定している。故に、点火回数nsに於いて初めて区間3のクランク角度にあると判定した場合は、Iion(i)は必ず最大値と判定される。故に、ステップS126に於いて、Iion(i)がImk3より小さいと判定した場合には、イオン電流Iion(i)を最大値として記憶しないようにNに進みステップS128へ進む。ステップS126に於いて、Iion(i)がImk3以上と判定した場合には、Yに進みステップS127に於いてImk3にこれまでの点火回数nsに於けるイオン電流Iion(i)の最大値を記憶する。
ステップS127では、イオン電流Iion(i)の値が、これまでの点火回数nsに於けるイオン電流の最大値であるので、Imk3=Iion(i)としてImk3にこれまでの点火回数ns於けるイオン電流の最大値を記憶してステップS128に進む。
ステップS128では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形ABIの波形パターンは「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、これまでの区間3の判定結果をRjk3(ns)=2を設定してノード154を介して図22のステップS129に進む。
図22に於いて、ステップS129では、現在のクランク角度(i)が区間3の最終値(dCrk3+点火時期)であるかを判定する。図11の表3に示すイオン電流波形ABIの場合の波形パターン認識条件から、イオン電流波形ABIの波形パターン認識結果が「△」か「○」であることは、区間3に於けるイオン電流の最大値により判定するのでクランク角度(i)が区間3の最終値(dCrk3+点火時期)であるタイミングに於いて判定する必要がある。故に、現在のクランク角度(i)が区間3の最終値(dCrk3+点火時期)でないタイミングの場合には、Nへ進みリターンへ進み、区間3での波形パターン認識処理を終了する。現在のクランク角度(i)が区間3の最終値(dCrk3+点火時期)であるタイミングの場合には、Yに進みS130に進み、イオン電流波形ABIの波形パターン認識結果が「×」であるか、「△」か「○」であるかを判定する。
次に、ステップS130では、先ず、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する。区間3での判定結果は、一度もABI波形の波形パターン認識結果が「×」でないと判定されな且つたときのみ、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」である、即ちABI波形の波形パターン認識結果がRjk3(ns)=1となっているので、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」である結果を保持して、区間3での波形のパターン認識処理を終了する。即ち、ステップS130に於いて、ABI波形の波形パターン認識結果がRjk3(ns)=1であると判定した場合には、Nへ進み、区間1から区間3までのイオン電流波形の波形パターンを認識するためにステップS134へ進む。ステップS130に於いて、ABI波形の波形パターン認識結果がRjk3(ns)が1でないと判定した場合には、Yへ進み、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」か「○」であることを判定するためにステップS131に進む。
次に、ステップS131では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」か「○」であることを判定する。図11の表3に示した「発生したイオン電流波形の最大値が比較的大きな値」又は、「発生したイオン電流波形の最大値が比較的小さな値」判定するために判定値Ijsk3を導入する。即ち、ステップS131では言うまでもなくABI波形の波形パターン認識結果は「×」ではなく、区間3に於けるABI波形の最大値Imk3がIjsk3以上であれば、ABI波形は「○」であると判定でき、ABI波形の最大値Imk3がIjsk3未満であれば、ABI波形は「△」であると判定できる。即ち、ステップS131に於いて、Ijsk3がImk3を超える場合は、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABIの波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定であることが明らかになったので、Yへ進み、ステップS132で区間3の判定結果をRjk3(ns)=2に設定する。又、Ijsk3がImk3以下の場合は、ABIの波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定でもなく、「○」判定であることが明らかになったので、Nへ進み、ステップS133で区間3の判定結果をRjk3(ns)=3に設定する。
上述したように、ステップS132では、ステップS131にてイオン電流波形ABIの波形パターンは「△」であると判定されたので、区間3の判定結果をRjk3(ns)=2に設定する。そして、ステップS134へ進む。
又、上述したように、ステップS133では、ステップS131にてイオン電流波形ABIの波形パターンは「○」であると判定されたので、区間3の判定結果をRjk3(ns)=3に設定する。そして、ステップS134へ進む。
ステップS134では、点火回数nsに於いて、区間1から区間3までのイオン電流波形の波形パターン認識が完了したので、点火回数nsに於ける、イオン電流波形CRIとイオン電流波形TIIとイオン電流波形ABIについての波形パターン認識結果「×」「△」「○」の組み合わせ名を判定する。判定方法は、図25のフローチャートに従って、詳細に説明する。後述する判定方法により、組み合わせ:AかBかCかDかを判定した後、ステップS135へ進む。
最後に、ステップS135では、点火回数nsを更新するために、nsにns+1を設定する。そして、リターンへと進み、点火回数nsでのイオン電流波形パターン判定を終了する。即ち、ステップS135を経過した以降は、点火回数nsでのイオン電流波形パターン判定は完了している。
次に、図19〜図22のフローチャートの説明では、イオン電流値ピーク判定ルーチンとイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンの処理について説明を保留していたので、
以下に説明する。先ず、図23と図24に従って、イオン電流値ピーク判定ルーチンの動作について説明する。
先ず、「イオン電流波形がピークを持つ状態」を定義する。今、イオン電流値は、内燃機関のクランク角度0°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に計測されている。イオン電流値の増減は、クランク角度(i)とクランク角度(i−1)の差分で判断することができる。イオン電流値の増減は、図19のステップS103にて演算されているイオン電流差分dIion(i)に記憶されている。そこで、イオン電流差分dIion(i)とその経緯を用いて「イオン電流波形がピークを持つ状態」を定義する。即ち、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合が「イオン電流波形がピークを持つ状態」と定義する。
次に、イオン電流差分dIion(i)は増加も減少もしない「増減なし」の場合も存在する。この状態が発生した場合でも、イオン電流差分dIion(i−2)が「増加」してイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」となり、イオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合も「イオン電流波形がピークを持つ状態」と定義する。
しかし、イオン電流Iion(i)がゆっくりと変化する場合には、クランク角度で幾つかの期間連続して「増減なし」となる場合もある。例えば、「増減なし」であるクランク角度が2回続いた場合には、イオン電流差分dIion(i−3)が「増加」してイオン電流差分dIion(i−2)が「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合が該当する。この場合も、「イオン電流波形がピークを持つ状態」であると言えるので、「イオン電流波形がピークを持つ状態」の定義に追加する。
しかしながら、あまりにもイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」である状態が続くと「イオン電流波形がピークを持つ状態」とは言えないので、イオン電流差分dIion(i)が「増減なし」である状態が続く回数に制限を設けて判定する必要がある。その所定回数をKcjdim回とする。即ち、「イオン電流がピークを持つ状態」とは、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Kcjdim)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合に「イオン電流波形がピークを持つ状態」と定義する。
即ち、ピーク1として、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合、ピーク2として、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Kcjdim)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合、クランク角度(i)に於いて「イオン電流波形がピークを持つ状態」があったと判定する。
上記の定義に従ったイオン電流値ピーク判定を、図23と図24のフローチャートに従って具体的に説明する。先ず、ステップS201にて、イオン電流値の「増減なし」を判定する。イオン電流は増減していないにも関わらず、ノイズ等の影響により、イオン電流差分dIion(i)が増減、即ち「0」でなく正負の値を示す場合がある。そこで、イオン電流差分dIion(i)が、Ijmよりも大きく、Ijpよりも小さい場合は、イオン電流差分dIion(i)は「増減なし」として判定することにする。即ち、ステップS201に於いて、dIion(i)がIjpを超える、又はImjがdIion(i)を超えるか否かを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i)が、Ijmよりも大きく、Ijpよりも小さい場合には、Nへ進み、ステップS202へ進む。又、判定の結果、イオン電流差分dIion(i)が、Ijpよりも大きく、又はIjmよりも小さい場合には、Yへ進み、ステップS203へ進む。
次にステップS202では、ステップS201にて、イオン電流差分dIion(i)は「増減なし」として判定されたので、イオン電流増減なしをRjdi(i)=0として記憶する。そして、ステップS206へ進む。
次にステップS203にて、イオン電流値の「増加」を判定する。即ち、ステップS203に於いて、dIion(i)がIjpより大きいか否かを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i)がIjp以上の場合には、Yへ進み、ステップS204へ進む。又、判定の結果、イオン電流差分dIion(i)が、Ijpよりも小さい場合には、Nへ進み、ステップS205へ進む。
次にステップS204では、ステップS203にて、イオン電流差分dIion(i)は「増加」したと判定されたので、イオン電流増加をRjdi(i)=1として記憶する。そして、ステップS206へ進む。
次にステップS205では、ステップS203にて、イオン電流差分dIion(i)は「増加」しな且つた」と判定された、即ち、イオン電流差分dIion(i)は「減少」したと判定されたので、イオン電流減少をRjdi(i)=1として記憶する。そして、ステップS206へ進む。
次にステップS206以降のステップでは、イオン電流の増減に応じて「イオン電流値がピークを持つ状態」を判定する。先ず上述した「ピーク1」の場合を判定する。即ち、ステップS206に於いて、Rjdi(i−1)=1且つRjdi(i)=1であるか否かを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合には、Rjdi(i−1)=1且つRjdi(i)=1が成立するので、Yへ進み、ステップS207へ進む。又、判定の結果、Rjdi(i−1)=1且つRjdi(i)=1が成立しな且つた場合には、Nへ進み、ステップS209へ進む。
次にステップS207では、ステップS206にて、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「減少」して「イオン電流値がピークを持つ状態」と判定したので、イオン電流ピーク有りという判定状態をRjmk(i)=1として記憶する。そして、ステップS208へ進む。
次にステップS208では、上述した「ピーク2」の場合を判定するために、イオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった回数を計数するための増加中カウンタCjdiをリセットする。即ち、イオン電流差分dIion(i−(X+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−X)からイオン電流差分dIion(i)までのX個が「増減なし」となっていないので、Cjdi=0を設定する。尚、この増加中カウンタCjdiの使い方は、後述する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したので、ノード161を経由してリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次にステップS209以降のステップでは、上述した「ピーク2」の場合を判定する。即ち、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Kcjdim)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合か否かを判定する。先ず、ステップS209に於いては、Rjdi(i−1)=0且つRjdi(i)=−1であるか否かを判定する。これは、イオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」の状態からイオン電流差分dIion(i)が「減少」した状態であり、上述した「ピーク2」の場合が完了する状態に該当している。判定の結果、イオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」となった場合には、Rjdi(i−1)=0且つRjdi(i)=−1が成立するので、Yへ進み、ステップS210へ進む。又、判定の結果、Rjdi(i−1)=0且つRjdi(i)=−1が成立しな且つた場合には、Nへ進み、ノード162を経由してステップS214へ進む。
次にステップS210では、上述した「ピーク2」の場合が完了する状態に該当しているか否かを判定する。即ち、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Kcjdim)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個未満までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合に該当するイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」の状態からイオン電流差分dIion(i)が「減少」した状態か否かを判定する。
後述する増加中カウンタCjdiには、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」の状態が継続した回数が記憶されている。即ち、ステップS210では、KcjdimがCjdi以上、且つCjdiが正であるか否かを判定する。判定の結果、KcjdimがCjdi以上、且つCjdiが正のときには、Yへ進み、ステップS211へ進む。又、判定の結果、KcjdimがCjdi未満又はCjdiが零又は負のときには、Nへ進み、ステップS213へ進む。
次にステップS211では、ステップS210にて、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個未満までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」して「イオン電流値がピークを持つ状態」と判定したので、イオン電流ピーク有りという判定状態をRjmk(i)=1として記憶する。そして、ステップS212へ進む。
次にステップS212では、上述した「ピーク2」の場合を判定するために、イオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった回数を計数するための増加中カウンタCjdiをリセットする。即ち、イオン電流差分dIion(i−(X+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−X)からイオン電流差分dIion(i)までのX個が「増減なし」という状態に該当していないので、Cjdi=0を設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したので、ノード161を経由してリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次にステップS213では、ステップS210にて、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以上までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した状態であるか、或いはイオン電流差分dIion(i−(X+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−X)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以上までが「増減なし」となった状態に該当せずにイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した状態であるかのいずれかであるので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」と判定したので、イオン電流ピーク無しという判定状態をRjmk(i)=0として記憶する。それからステップS212に進む。
ステップS209までのステップで上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定は終了しているので、ステップS214以降のステップでは、上述した「ピーク2」の場合が始まる状態であるイオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった状態であるか、イオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)が連続して「増減なし」となった状態であるかを判定する。
図23のノード161を経て図24のステップS214に進み、先ず、ステップS214では、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった状態か否かを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった場合には、Rjdi(i−1)=1且つRjdi(i)=0が成立するので、Yへ進み、ステップS215へ進む。又、判定の結果、Rjdi(i−1)=1且つRjdi(i)=0が成立しな且つた場合には、Nへ進み、ステップS217へ進む。
次にステップS215では、上述した「ピーク2」の場合を判定するために、イオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった回数を計数するための増加中カウンタCjdiをセットする。即ち、上述した「ピーク2」の場合が始まる状態であるイオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった状態であるので、Cjdi=1を設定する。そして、ステップS216へ進む。
ステップS209までのステップで上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態である」場合の判定は終了しているので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」。故にステップS216では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態をRjmk(i)=0として記憶する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次にステップS217では、イオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)が連続して「増減なし」となった状態であるかを判定する。判定の結果、Rjdi(i−1)=0且つRjdi(i)=0が成立した場合には、Yへ進み、ステップS218へ進む。又、判定の結果、Rjdi(i−1)=0且つRjdi(i)=0が成立しな且つた場合には、Nへ進み、ステップS225へ進む。
増加中カウンタCjdiには、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」の状態が継続した回数が記憶されているので、増加中カウンタCjdi=0であれば、上述した「ピーク2」の場合に該当するイオン電流差分dIion(i−1)とdIion(i)が連続して「増減なし」の状態でないことが判る。ステップS222にて後述するが、増加中カウンタCjdiは、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個よりも大きくなった場合にも増加中カウンタCjdi=0となるように設定しているので、上述した「ピーク2」の場合に該当するイオン電流差分dIion(i−1)とdIion(i)が連続して「増減なし」の状態でないことになる。
故にステップS218では、上述した「ピーク2」の場合に該当してイオン電流差分d
Iion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)が連続して「増減なし」となった状態であるか否かを判定するために、増加中カウンタCjdi=0であるか否かを判定する。即ち、判定の結果、Cjdi=0が成立した場合には、Yへ進み、ステップS219へ進む。又、判定の結果、Cjdi=0が成立しな且つた場合には、Nへ進み、ステップS220へ進む。
ステップS209までのステップで上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態である」場合の判定は終了しているので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」。故にステップS219では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態をRjmk(i)=0として記憶する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次にステップS220では、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i)まで「増減なし」の状態が継続した回数がKcjdim回よりも多くなったか否かを判定する。即ち、判定の結果、CjdiがKcjdimより大きいときには、Yへ進み、ステップS221へ進む。又、判定の結果、CjdiがKcjdim以下のときには、Nへ進み、ステップS223へ進む。
ステップS209までのステップで上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態である」場合の判定は終了しているので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」。故にステップS221では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態をRjmk(i)=0として記憶する。そして、ステップS222へ進む。
増加中カウンタCjdiは、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個よりも大きくなった場合にも増加中カウンタCjdi=0となるように設定して「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」という判定結果を表すようにしている。故に、ステップS222では、増減中カウンタCjdi=0を設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
ステップS209までのステップで上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態である」場合の判定は終了しているので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」。故にステップS223では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態をRjmk(i)=0として記憶する。そして、ステップS224へ進む。
増加中カウンタCjdiは、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」の状態が継続した回数が記憶されているので、今回のイオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてイオン電流差分dIion(i−1)とdIion(i)が連続して「増減なし」の状態なった結果を加算して次回のイオン電流Iion(i+1)を計測したタイミングに於いて増加中カウンタCjdiがイオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」の状態が継続した回数を表すように設定する必要がある。故に、ステップS224では、増加中カウンタCjdiをインクリメントするために、増減中カウンタCjdi=Cjdi+1を設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
ステップS209までのステップで上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態である」場合の判定は終了しているので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」。故にステップS225では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態をRjmk(i)=0として記憶する。そして、ステップS226へ進む。
ステップS217までのステップに於いて、イオン電流差分dIion(i)までの経緯が、上述した「ピーク1」か「ピーク2」の状態に該当する一部であるイオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)の経緯にあてはまらないことが判る。故にステップS226では、イオン電流Iion(i+1)を計測したタイミングに於いてイオン電流差分dIion(i)とdIion(i+1)が連続して「増減なし」の状態になったとしても「イオン電流値がピークを持つ状態」ではないので、増減中カウンタCjdi=0を設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
以上で、図23と図24に従ったイオン電流値ピーク判定ルーチンの動作について説明した。次に、図25に従って、図19〜図22のフローチャートの説明で説明を保留したイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンの処理について説明する。
図25のイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンでは、図19〜図22のイオン電流波形パターン判定ルーチンに於いて点火回数ns毎に判定したイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果「○」「△」「×」の組み合わせが、表16に定義した組み合わせ名:A、B、C、Dのいずれの組み合わせ条件に一致するかを判定する。
図25に於いて、先ずステップS501では、CRI波形の波形パターン認識結果が「○」であるか否かを判定する。即ち、CRI波形の波形パターン認識結果がRjk1(ns)=3である場合には波形パターン認識結果は「○」であり、Yへ進み、ステップS502へ進む。CRI波形の波形パターン認識結果がRjk1(ns)=3でない場合には波形パターン認識結果は「○」ではなく、Nへ進み、ステップS505へ進む。
ステップS502では、TII波形の波形パターン認識結果が「○」であるか否かを判定する。即ち、TII波形の波形パターン認識結果がRjk2(ns)=3である場合には波形パターン認識結果は「○」であり、Yへ進み、ステップS503へ進む。TII波形の波形パターン認識結果がRjk2(ns)=3でない場合には波形パターン認識結果は「○」ではなく、Nへ進み、ステップS504へ進む。
ステップS503に到達した場合は、CRI波形の波形パターン認識結果が「○」であり、且つイオン電流波形TIIの波形パターン認識結果が「○」である場合である。この組み合わせの場合は、表16に定義した組み合わせ名:Aの条件に一致する。故に、点火回数nsのCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせは、組み合わせ名:Aであるので、Rjpr(ns)=1を記憶する。そして、リターンへ進み、イオン電流波形の波形パターン認識ルーチンを終了する。
ステップS504に到達した場合は、CRI波形の波形パターン認識結果が「○」であり、且つTII波形の波形パターン認識結果が「△」か「×」である場合である。この組み合わせの場合は、図17の表16に定義した組み合わせ名:Bの条件に一致する。故に、点火回数nsのCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせは、組み合わせ名:Bであるので、Rjpr(ns)=2を記憶する。そして、リターンへ進み、イオン電流波形の波形パターン認識ルーチンを終了する。
ステップS505では、ABI波形の波形パターン認識結果が「○」であるか否かを判定する。即ち、TII波形の波形パターン認識結果がRjk3(ns)=3である場合には波形パターン認識結果は「○」であり、Yへ進み、ステップS506へ進む。イオン電流波形TIIの波形パターン認識結果がRjk2(ns)=3でない場合には波形パターン認識結果は「○」ではなく、Nへ進み、ステップS507へ進む。
ステップS506に到達した場合は、ABI波形の波形パターン認識結果が「○」であるが、CRI波形の波形パターン認識結果が「○」である場合はステップS501で除かれている。この組み合わせの場合は、図17の表16に定義した組み合わせ名:Cの条件に一致する。故に、点火回数nsのCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせは、組み合わせ名:Cであるので、Rjpr(ns)=3を記憶する。そして、リターンへ進み、イオン電流波形の波形パターン認識ルーチンを終了する。
ステップS507に到達した場合は、CRI波形の波形パターン認識結果が「○」であると、ABI波形の波形パターン認識結果が「○」である場合を除く、すべての場合である。この組み合わせの場合は、図17の表16に定義した組み合わせ名:Dの条件に一致する。故に、点火回数nsのCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせは、組み合わせ名:Dであるので、Rjpr(ns)=4を記憶する。そして、リターンへ進み、イオン電流波形の波形パターン認識ルーチンを終了する。
以上で、図19〜図22のイオン電流波形パターン判定ルーチンによって点火毎のイオン電流をCRI波形、TII波形、ABI波形毎に「○」、「△」、「×」の波形パターン認識方法の説明が終了した。次に、図26の燃料性状判定ルーチンによってイオン電流波形の波形パターン認識結果から、内燃機関に用いた燃料の燃料性状判定の説明を行う。
図26の燃料性状判定ルーチンは、点火回数毎に実行される。この説明では、標準燃料と重質燃料を用いた時の燃焼状態の特徴が現れる運転状態の一つとして冷間ファーストアイドル時の運転状態を一例として説明しているので、ステップS301では、アイドル時にセットされるアイドルフラグがセット(xidle=1)されていること、且つ、内燃機関冷却水温が所定温度以下(xwtが所定温度以下)であること、つまり冷間ファーストアイドルであることを確認する。冷間ファーストアイドル時以外でも、暖機時や暖機アイドル運転時や暖機加速時にも気化率の異なる重質燃料や標準燃料を用いた場合に燃焼状態の特徴が現れるので、ステップS301と同様の運転判定条件により前述の運転条件を判定して、以下に述べるような燃料性状判定をすることができることをあらためて補足説明しておく。そして、ステップS301で、冷間ファーストアイドル時以外と判定した時は、Nへ進み、リターンに進み、本ルーチンを終了する。ステップS301で、冷間ファーストアイドル時であると判定した場合は、Yへ進み、ステップS302へ進む。
ステップS301で冷間ファーストアイドルであると判定した場合には、ステップS302で、図18の表17で述べたイオン電流波形の波形パターン認識結果出現回数を判定することができる点火回数Kjfpn回であるか否かを判定する。Kjfpn回は、表17のような出現回数を計数できる点火回数なので例えば12点火回数である。このように、Kjfpn回は、燃料性状を判定する特徴に応じて決定する。そして、点火回数nsがKjfpn回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。点火回数nsがKjfpn回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS303の出現回数計数ルーチンに進む。
ステップS303では、点火回数Kjfpn回までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの出現回数を計数する。計数方法は、図27の出現回数計数ルーチンのフローチャート従って、詳細に説明する。出現回数を計数した後、ステップS304へ進む。
ステップS304では、点火回数Kjfpn回までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D夫々の出現回数から、図18の表17に述べた内燃機関に用いた燃料の特徴に一致するか否かにより燃料性状を判定する。燃料性状の判定方法は、後述の図28、図29の燃料性状特徴判定ルーチンのフローチャートに従って、詳細に説明する。ステップS304にて、燃料性状の判定を完了することにより、ECU21に記憶されたプログラムによって実施された燃料性状判定の動作が全て完了する。即ち、リターンへ進み、燃料性状判定の動作が終了する。
さて、図26の燃料性状判定ルーチンのフローチャートの説明では、図27のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチンと図28、図29の燃料性状特徴判定ルーチンの処理について説明を保留していたので、以下に説明する。
先ず、図27に従って、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチンの動作について説明する。
図27に於いて、ステップS401では、出現回数Kjfpn回までの点火回数を計数するための点火回数カウンタCrpをリセットする。即ち、点火回数カウンタCrp=1を設定する。そして、ステップS402へ進む。
次に、ステップS402からステップS408では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(Crp)の出現回数を計数する。先ず、ステップS402では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Aであるか否かを確認する。即ち、Rjpr(Crp)=1であれば、Yへ進み、ステップS403で組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメントする。Rjpr(Crp)=1でなければ、Nへ進み、ステップS404以降に於いて他の組み合わせ名:B、C、Dの出現回数を計数する。
次に、ステップS403では、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpra=Cjpra+1として、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメントする。そして、ステップS409へ進む。
次に、ステップS404では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Bであるか否かを確認する。即ち、Rjpr(Crp)=2であれば、Yへ進み、ステップS405で組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメントする。Rjpr(Crp)=2でなければ、Nへ進み、ステップS406以降に於いて他の組み合わせ名:C、Dの出現回数を計数する。
次に、ステップS405では、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprb=Cjprb+1として、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメントす
る。そして、ステップS409へ進む。
次に、ステップS406では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Cであるか否かを確認する。即ち、Rjpr(Crp)=3であれば、Yへ進み、ステップS407で組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメントする。Rjpr(Crp)=3でなければRjpr(Crp)=4であるので、Nへ進み、ステップS408で組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをインクリメントする。
次に、ステップS407では、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprc=Cjprc+1として、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメントする。そして、ステップS409へ進む。
次に、ステップS408では、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprd=Cjprd+1として、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをインクリメントする。そして、ステップS409へ進む。
次に、ステップS409では、ステップS402からステップS408で、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(Crp)の出現回数を計数し終えているので、点火回数カウンタCrpをインクリメントする。即ち、点火回数カウンタCrpをCrp=Crp+1とする。
次に、ステップS410では、出現回数の計数が終了したか否かを判定する。即ち、出現回数を計数する点火回数は、Kjfpn回であるので、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多いか否かを判定する。点火回数カウンタCrpがKjfpn回以下の場合は、まだ出現回数の計数が終了していないのでNへ進み、ステップS402へ進み、出現回数の計数を繰り返す。又、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多い場合は、出現回数の計数が終了しているのでYへ進み、ステップS411へ進む。
ステップS411では、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数を記憶する。即ち、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Aである出現回数Rnjpra=Cjpraとする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Bである出現回数Rnjprb=Cjprbとする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Cである出現回数Rnjprc=Cjprcとする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Dである出現回数Rnjprd=Cjprdとする。そして、ステップS412へ進む。
次にステップS412では、図27の出現回数計数ルーチンを再び実行する際に、出現回数が0から計数されるようにリセットしておく。即ち、出現回数カウンタCjpra=0、Cjprb=0、Cjprc=0、Cjprd=0としておく。そして、リターンに進み、出現回数計数ルーチンを終了する。以上の動作によりCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数の計数を完了した。
次に、図28、図29に従って、図26フローチャートの説明で説明を保留した燃料性状特徴判定ルーチンの処理について説明する。
内燃機関に使用した燃料の燃料性状の特徴による燃料性状判定は、図18の表17の3
つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定できる。ここでは、図18の表17に記載の特徴2Hと特徴2Jを用いて判定する例1と、表17に記載の特徴2Hと特徴2Jと特徴1Hと特徴1Jを用いて判定する例2を夫々図28のフローチャートと図29のフローチャートに従って説明する。
先ず、図18の表17に記載の特徴2Hと特徴2Jを用いて判定する例1を図28の燃料性状判定ルーチン(例1)に従って説明する。表17の特徴2Hと特徴2Jは、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数のみの特徴に着目した燃料性状判定方法である。図28に於いて、ステップS601では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS602へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS603へ進む。
次に、ステップS602では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下であり、表17の特徴2Hを満足しているので、内燃機関に用いた燃料は標準燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
次に、ステップS603では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、表17の特徴2Jを満足しているので、内燃機関に用いた燃料は重質燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例1)を終了する。以上の動作により、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定が完了した。
図18の表17に記載の特徴2Hと特徴2Jと特徴1Hと特徴1Jを用いて判定する例2を図29の燃料性状判定ルーチン(例2)に従って説明する。表17の特徴2Hと特徴2Jは、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数に着目した特徴であり、表17の特徴1Hと特徴1Jは、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数に着目した特徴である。揮発性の異なる燃料性状をもつ燃料は、標準燃料や重質燃料の他にも使用される場合もある。故に、図18の表17の特徴1Hと特徴2Hの両方を満足した場合は、内燃機関に用いた燃料は標準燃料であると判定する。特徴2Hは満足するが、特徴1Hを満足しない場合には、内燃機関に用いた燃料は標準燃料に近い燃料であると判定する。表17の特徴1Jと特徴2Jの両方を満足した場合は、内燃機関に用いた燃料は重質燃料であると判定する。特徴2Jは満足するが、特徴1Jを満足しない場合には、内燃機関に用いた燃料は重質燃料に近い燃料であると判定する。
先ずステップS701では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS702へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS705へ進む。
次に、ステップS702では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が7回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS703へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS704へ進む。
次に、ステップS703では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上であり、図18の表17の特徴2Hと特徴1Hの両方を満足しているので、内燃機関に用いた燃料は標準燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
次に、ステップS704では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以下であり、表17の特徴2Hは満足しているが特徴1Hは満足していないので、内燃機関に用いた燃料は標準燃料に近い燃料であると判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
次に、ステップS705では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が4回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが4回以下ならば、Yへ進み、ステップS706へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが4回以下でないならば、Nへ進み、ステップS707へ進む。
次に、ステップS706では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが4回以下であり、図18の表17の特徴2Jと特徴1Jの両方を満足しているので、内燃機関に用いた燃料は重質燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
次に、ステップS707では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが5回以上であり、表17の特徴2Jは満足しているが特徴1Jは満足していないので、内燃機関に用いた燃料は重質燃料に近い燃料であると判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例2)を終了する。以上の動作により、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定が完了した。
以上のように、実施の形態1による内燃機関の制御装置では、揮発性の異なる燃料を用いた内燃機関に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、揮発性の違いに依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、上記イオン電流波形パターン認識結果に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
又、実施の形態1による内燃機関の制御装置では、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の点火回数の上記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。そして判定した燃料性状に応じて内燃機関を制御することにより、重質燃料を用いた場合に生じるドラビリ悪化の不具合を防止し、且つ標準燃料を用いた場合に生じる排ガスの悪化をも防止する。
実施の形態2.
この発明に係わる実施の形態2による内燃機関の制御装置は、実施の形態1による内燃機関の制御装置とECU21が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。又、この発明に係わる実施の形態2による内燃機関の制御装置のECU21は、実施の形態1による内燃機関の制御装置のECU21と記憶されているプログラムが異なるので、そのプログラムの違いについてのみ説明する。
この発明に係る実施の形態2による内燃機関の制御装置のECU21では、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果に於いて発生した所定のイオン電流波形パターンの出現回数の計数を複数回行い、その複数回の出現回数の計数結果に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定する。そのため、所定の運転条件を満足している連続した点火回数nsに於いて点火回数Kjfpn回毎にイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数する必要がある。その点火回数Kjfpn回毎のイオン電流波形パターンの出現回数を複数回計数し、夫々の出現回数の計数から得られた、同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の複数回の計数結果に関して平均化してイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を求める。このようにして、複数回の出現回数の計数結果に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定する。
上述の点火回数Kjfpn回の夫々の出現回数の計数で得られた同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果とは、例えば、図17の表16に示したイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、Dの夫々の出現回数であり、夫々の組み合わせの出現回数を複数回の計数結果により平均化することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、Dの出現回数を得ることができる。上述の平均化するための計数の回数をKjfpnt回とする。以下に、フローチャートに基づいて上述の動作を具体的に説明する。
実施の形態2によるプログラムは、実施の形態1によるプログラムと燃料性状判定の手順が異なっている。尚、図19〜図22のフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、又はそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンは全く同様であるので説明は省略する。実施の形態1と実施の形態2との異なる手順のルーチンは、実施の形態1に於いて点火回数毎に実行される図26の燃料性状判定ルーチンの手順に対する図30に示す実施の形態2に於ける第2燃料性状判定ルーチンの手順である。次にその実施の形態2に於ける第2燃料性状判定ルーチンの手順について説明する。
図30に於いて、第2燃料性状判定ルーチンは、点火回数毎に実行される。この説明では、標準燃料と重質燃料を用いた時の燃焼状態の特徴が現れる運転状態の一つとして暖機アイドル時の運転状態を一例として説明する。ステップS801では、アイドル時にセットされるアイドルフラグがセット(xidle=1)されていること、且つ、内燃機関冷却水温が所定温度以上且つ所定温度以下(xwtが第1温度以上且つ第2温度以下)であること、即ち暖機アイドル時であることを確認する。暖機アイドル運転時以外でも、冷間ファーストアイドル時や暖機時や暖機加速時にも気化率の異なる重質燃料や標準燃料を用いた場合に燃焼状態の特徴が現れるので、夫々の運手条件に対応してステップS801と同様の運転判定条件を適用して前述の夫々の運転条件を判定して、以下に述べるような燃料性状判定をすることが可能なことを補足説明しておく。
ステップS801で、暖機アイドル時以外と判定した時は、Nへ進み、リターンに進み、本ルーチンを終了する。ステップS801で、暖機アイドル時であると判定した場合は、Yへ進み、ステップS802へ進む。
ステップS801で暖機アイドル時であると判定した場合には、ステップS802で、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数ntをns÷Kjfpnの商の整数部として求める。これは、上述したイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、Dの出現回数の計数が、点火回数ns回数に於いて計数が完了している計数回数ntである。Kjfpnt回のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数したとすると、点火回数nsは、ns=Kjfpnt×Kjfpnであり
、よって、ns=nt×Kjpnである。即ち、点火回数nsの場合に計測が完了している計数回数ntは、nsをKjfpnで除算した商の整数部で求めることができる。そして、ステップS803へ進む。
次に、ステップS803では、点火回数nsから点火回数Kjfpn毎に図18の表17で述べたイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数するための燃料性状判定用点火回数nsjを、nsをKjfpnで除算して得た剰余数に1を加算することにより求める。Kjfpn回は、表17のような出現回数を計数できる点火回数なので例えば12点火回数である。この場合、燃料性状判定用点火回数nsjは、1から12までとなり、nsjが12になる毎、即ち、点火回数がKjfpn回毎に、燃料性状を判定するためにイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数することができる。そして次にステップS804に進む。
ステップS804では、燃料性状判定用点火回数nsjが、燃料性状を判定するためにイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数がKjfpn回に達したか否かを判定する。即ち、燃料性状判定用点火回数nsjがKjfpn回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。燃料性状判定用点火回数nsjが、Kjfpn回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS805の第2出現回数計数ルーチンに進む。
ステップS805では、点火回数Kjfpn回までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの出現回数を計数する。計数方法は、図31の第2出現回数計数ルーチンのフローチャート従って、詳細に説明する。出現回数を計数した後、ステップS806へ進む。
ステップS806では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数ntが、夫々の波形パターン認識結果の出現回数を平均化するための出現回数の計数回数Kjfpnt回に達したか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数ntがKjfpnt回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数ntが、Kjfpnt回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS807の出現回数平均化ルーチンに進む。
ステップS807では、点火回数Kjfpn回毎のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数をKjfpnt回計測し、夫々の出現回数の計数で得られた、同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を出現回数のKjfpnt回の計数結果に関して平均化したイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を求める。即ち、Kjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの平均出現回数を算出する。算出方法は、図34の出現回数平均化ルーチンのフローチャート従って、詳細に説明する。平均出現回数を算出した後、ステップS808へ進む。
ステップS808では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数をKjfpnt回計数した結果に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの平均出現回数から、図18の表17に述べた内燃機関に用いた燃料の特徴に一致するか否かにより燃料性状を判定する。燃料性状の判定方法は、図32、図33の第2燃料性状特徴判定ルーチンのフローチャート従って、詳細に説明する。ステップS808にて、燃料性状の判定を完了することにより、ECU21に記憶されたプログラムによって実施された燃料性状判定の動作が全て完了する。即ち、リターンへ進み、燃料性状判定の動作が終了する。
次に、図31のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの第2出現回数計数ルーチンと図34のイオン電流波形の波形パターン認識結果の平均出現回数を算出する出現回数平均化ルーチンと図24や図25の第2燃料性状特徴判定ルーチンの処理について説明する。先ず、図31に従って、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの第2出現回数計数ルーチンの動作について説明する。
図31に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの第2出現回数計数ルーチンのステップS901では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数nt回に於いて、燃料性状判定用点火回数nsjが1回からKjfpn回までの点火回数を計数するための点火回数カウンタCrpをリセットする。即ち、点火回数カウンタCrpに1を設定する。そして、ステップS902へ進む。
ステップS902からステップS908では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数nt回に於ける点火回数Crp回目のイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(nt×Kjfpn+Crp)の出現回数を計数する。これまでのRjpr(x)の定義により、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数nt回に於ける点火回数Crp回目はnt×Kjfpn+Crpであるので、点火回数Crp回目のイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ結果は、Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)に格納されている。
ステップS902では、点火回数Crp回目のイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Aであるか否かを確認する。即ち、Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=1であれば、Yへ進み、ステップS903で組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメントする。Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=1でなければ、Nへ進み、ステップS904に進む。
次にステップS903では、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpra=Cjpra+1として、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメントする。そして、ステップS909へ進む。
次にステップS904では、点火回数Crp回目のイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Bであるか否かを確認する。即ち、Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=2であれば、Yへ進み、ステップS905で組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメントする。Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=2でなければ、Nへ進み、ステップS906へ進む。
次にステップS905では、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprb=Cjprb+1として、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメントする。そして、ステップS909へ進む。
次にステップS906では、点火回数Crp回目のイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Cであるか否かを確認する。即ち、Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=3であれば、Yへ進み、ステップS907で組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメントする。Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=3でなければRjpr(nt×Kjfpn+Crp)=4であるので、Nへ進み、ステップS908で組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをインクリメントする。
次にステップS907では、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprc=Cjprc+1として、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメントする。そして、ステップS909へ進む。
次にステップS908では、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprd=Cjprd+1として、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをインクリメントする。そして、ステップS909へ進む。
次にステップS909では、ステップS902からステップS908で、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数nt回に於ける点火回数Crp回目のイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(nt×Kjfpn+Crp)の出現回数を計数し終えているので、点火回数カウンタCrpをインクリメントする。即ち、点火回数カウンタCrpをCrp=Crp+1とする。
次に、ステップS910では、出現回数の計数が終了したか否かを判定する。即ち、出現回数の計数回数nt回に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数する点火回数は、Kjfpn回であるので、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多いか否かを判定する。点火回数カウンタCrpがKjfpn回以下の場合は、まだ出現回数の計数が終了していないのでNへ進み、ステップS902へ進み、出現回数の計数を繰り返す。又、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多い場合は、出現回数の計数が終了しているのでYへ進み、ステップS911へ進む。
ステップS911では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数nt回に於けるイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数を記憶する。即ち、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Aである出現回数Rnjpra(nt)=Cjpraとする。又、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Bである出現回数Rnjprb(nt)=Cjprbとする。又、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Cである出現回数Rnjprc(nt)=Cjprcとする。又、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Dである出現回数Rnjprd(nt)=Cjprdとする。そして、ステップS912へ進む。
次にステップS912では、図31の第2出現回数計数ルーチンを再び実行する際に、出現回数が0から計数されるようにリセットしておく。即ち、出現回数カウンタCjpra=0、Cjprb=0、Cjprc=0、Cjprd=0としておく。そして、リターンに進み、出現回数計数ルーチンを終了する。
以上の動作によりイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数回数nt回に於けるイオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数の計数を完了した。
次に、図34に従って、出現回数平均化ルーチンの処理について説明する。図34のKjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの平均出現回数を算出する出現回数平均化ルーチンのステップS1001では、出現回数の計数回数カウンタCntをリセットする。即ち、計数回数カウンタCnt=1とする。そして、ステップS1002へ進む。
ステップS1002では、Kjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の
波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数を積算する積算値をリセットする。夫々の出現回数の積算値を積算回数、即ち出現回数の計数回数Kjfpnt回で除することにより平均化できる。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数を積算する積算値SRnjpra=0とする。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数を積算する積算値SRnjprb=0とする。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数を積算する積算値SRnjprc=0とする。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数を積算する積算値SRnjprd=0とする。そして、ステップS1003へ進む。
ステップS1003では、Kjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数を積算する。即ち出現回数の計数回数Cnt回めの夫々の出現回数を夫々の積算値に積算する。即ち、計数回数Cnt回めのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpra(Cnt)を積算値SRnjpraに積算するために、SRnjpra=SRnjpra+Rnjpra(Cnt)とする。計数回数Cnt回めのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprb(Cnt)を積算値SRnjprbに積算するために、SRnjprb=SRnjprb+Rnjprb(Cnt)とする。計数回数Cnt回めのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprc(Cnt)を積算値SRnjprcに積算するために、SRnjprc=SRnjprc+Rnjprc(Cnt)とする。計数回数Cnt回めのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprd(Cnt)を積算値SRnjprdに積算するために、SRnjprd=SRnjprd+Rnjprd(Cnt)とする。そして、ステップS1005へ進む。
ステップS1004では、積算値を積算するためのカウンタとして用いる計測回数カウンタCntをインクリメントする。即ち、計測回数カウンタCnt=Cnt+1とする。そして、ステップS1005に進む。
ステップS1005では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの出現回数を積算が終了したか否かを判定する。計数回数カウンタCntが出現回数の計数回数Kjfpntよりか大きい場合には、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの出現回数の積算が終了しているので、Yへ進み、ステップS1006へ進み平均化処理を行う。計数回数カウンタCntが出現回数の計数回数Kjfpntよりか小さい場合には、出現回数の積算を継続するために、Nへ進み、ステップS1003へ進み、出現回数の積算を継続する。
ステップS1006では、Kjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の出現回数の積算値を出現回数の計数回数Kjfpnt回で除することにより平均化する。即ち、Kjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraをAVRnajpra=SRnjpra÷Kjfpntとする。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbをAVRnajprb=SRnjprb÷Kjfpntとする。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnajprcをAVRnajprc=SRnjprc÷Kjfpntとする。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnajprdをAVRnajprd=SRnjprd÷Kjfpntとする。そして、ステップS1007へ進む。
ステップS1007では、Kjfpnt回の出現回数の計数に於けるイオン電流波形の
波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の平均出現回数を整数化する。例えば、表17の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴は整数であるので、判定を簡易化するために、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの夫々の平均出現回数を整数化する。そして、リターンへ進み、本ルーチンの処理を終了する。
次に、図32、図33に従って、図30のフローチャートの説明で説明を保留した第2燃料性状特徴判定ルーチンの処理について説明する。先ず、図18の表17に記載の特徴2Hと特徴2Jを用いて判定する例3を図32の燃料性状判定ルーチン(例3)に従って説明する。表17の特徴2Hと特徴2Jは、イオン電流形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数のみの特徴に着目した燃料性状判定方法である。図32に於いて、ステップS1101では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS1102へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1103へ進む。
次にステップS1102では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbが5回以下であり、表17の特徴2Hを満足しているので、内燃機関に用いた燃料は標準燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例3)を終了する。
次にステップS1103では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbが6回以上であり、図18の表17に於ける特徴2Jを満足しているので、内燃機関に用いた燃料は重質燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例3)を終了する。以上の動作により、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定が完了した。
次に、図18の表17に記載の特徴2Hと特徴2Jと特徴1Hと特徴1Jを用いて判定する例3を図33の燃料性状判定ルーチン(例4)に従って説明する。表17の特徴2Hと特徴2Jは、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数に着目した特徴であり、表17の特徴1Hと特徴1Jは、イオン電流波形CRI、TII、ABIの波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数に着目した特徴である。揮発性の異なる燃料性状をもつ燃料は、標準燃料や重質燃料の他にも使用される場合もある。故に、表17の特徴1Hと特徴2Hの両方を満足した場合は、内燃機関に用いた燃料は標準燃料であると判定する。特徴2Hは満足するが、特徴1Hを満足しない場合には、内燃機関に用いた燃料は標準燃料に近い燃料であると判定する。表17の特徴1Jと特徴2Jの両方を満足した場合は、内燃機関に用いた燃料は重質燃料であると判定する。特徴2Jは満足するが、特徴1Jを満足しない場合には、内燃機関に用いた燃料は重質燃料に近い燃料であると判定する。
図33に於いて、ステップS1201では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS1202へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnajprbが5回を超える場合、Nへ進み、ステップS1205へ進む。
次に、ステップS1202では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ
名:Aの平均出現回数が7回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS1203へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが7回未満ならば、Nへ進み、ステップS1204へ進む。
次に、ステップS1203では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが7回以上であり、表17の特徴2Hと特徴1Hの両方を満足しているので、内燃機関に用いた燃料は標準燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例4)を終了する。
次に、ステップS1204では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが6回以下であり、表17の特徴2Hは満足しているが特徴1Hは満足していないので、内燃機関に用いた燃料は標準燃料に近い燃料であると判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例4)を終了する。
次に、ステップS1205では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が4回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが4回以下ならば、Yへ進み、ステップS1206へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが4回を超えるならば、Nへ進み、ステップS1207へ進む。
次に、ステップS1206では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが4回以下であり、表17の特徴2Jと特徴1Jの両方を満足しているので、内燃機関に用いた燃料は重質燃料と判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例4)を終了する。
次に、ステップS1207では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnajpraが5回以上であり、表17の特徴2Jは満足しているが特徴1Jは満足していないので、内燃機関に用いた燃料は重質燃料に近い燃料であると判定する。そして、リターンへ進み、燃料性状特徴判定ルーチン(例4)を終了する。以上の動作により、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定が完了した。
このように、実施の形態2による内燃機関の制御装置では、揮発性の異なる燃料を用いた内燃機関に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、揮発性の違いに依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の点火回数のイオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、更に所定の点火回数のイオン電流波形パターン認識結果を複数回計測し、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を平均化して出現回数の計数結果の計測精度が更に向上している。
そしてその所定のイオン電流波形パターン認識結果の平均出現回数に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を更に精度良く判定することができる。従って、判定した燃料性状に応じて内燃機関を制御することにより、重質燃料を用いた場合に生じるドラビリ悪化の不具合を防止し、且つ標準燃料を用いた場合に生じる排ガスの悪化をも防止する。
実施の形態3.
この発明に係わる実施の形態3による内燃機関の制御装置は、実施の形態1による内燃機関の制御装置とECU21が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。この発明に係わる実施の形態3による内燃機関の制御装置のECU21は、実施の形態1による内燃機関の制御装置のECU21と記憶されているプログラムが異なるので、プログラムの違いについてのみ説明する。
この発明に係る実施の形態3による内燃機関の制御装置では、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果に於いて、発生した特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定する。
特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果とは、例えば図35の表18に示したイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴であり、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、Cが特定の点火順序に発生した結果に基づいてより正確に内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定することができる。以下に、フローチャートに基づいて上述の動作を具体的に説明する。
実施の形態3に於けるプログラムは、実施の形態1に於けるプログラムと燃料性状判定の動作に関してだけ異なる。図19〜図22のフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンは全く同じであるので説明は省略する。そして異なるのは、実施の形態1に於いて点火回数毎に実行される図26の燃料性状判定ルーチンの動作であるので、対応する実施の形態3に於ける図36の第3燃料性状判定ルーチンについて説明する。
図36の第3燃料性状判定ルーチンは、点火回数毎に実行される。この説明では、標準燃料と重質燃料を用いた時の燃焼状態の特徴が現れる運転状態の一つとして冷間ファーストアイドル時の運転状態を一例として説明している。
図36に於いて、ステップS1301では、アイドル時にセットされるアイドルフラグがセット(xidle=1)されていること、且つ、内燃機関冷却水温が所定温度以下(xwtが所定温度以下)であること、つまり冷間ファーストアイドルであることを確認する。冷間ファーストアイドル時以外でも、暖機時や暖機アイドル運転時や暖機加速時にも、気化率の異なる重質燃料や標準燃料を用いた場合に燃焼状態の特徴が現れるので、ステップS1301と同様の運転条件判定により前述の運転条件を判定して、以下に述べるような燃料性状判定をすることができることを補足説明しておく。そして、ステップS1301で、冷間ファーストアイドル時以外と判定した時は、Nへ進み、リターンに進み、本ルーチンを終了する。ステップS1301で、冷間ファーストアイドル時であると判定した場合は、Yへ進み、ステップS1302へ進む。
ステップS1302では、ステップS1301で冷間ファーストアイドルであると判定した場合であり、図35の表18で述べたイオン電流波形の波形パターン認識結果出現回数を判定することができる点火回数Kjfpn回であるか否かを判定する。Kjfpn回は、表18のような出現回数を計数できる点火回数なので例えば10点火回数である。以下の説明では、特徴3H、特徴4H、特徴5H、特徴4J、特徴5Jの全ての特徴に一致するか否かを判定することにより、燃料性状を判定しているが、例えば、特徴3Hのみに一致するか否かを判定することにより、燃料性状を判定する場合には、Kjfpn回は7点火回数でも良い。このように、Kjfpn回は、燃料性状を判定する特徴に応じて決定する。そして、点火回数nsがKjfpn回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。点火回数nsがKjfpn回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS1303の出現回数計数ルーチンに進む。
ステップS1303では、点火回数Kjfpn回までの各点火回数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、Dの出現結果から、表18に述べた内燃機関に用いた燃料の特徴に一致するか否かにより燃料性状を判定する。燃料性状の判定方法は、図37、図38の第3燃料性状特徴判定ルーチンのフローチャート従って、詳細に説明する。ステップS1303にて、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定を完了することにより、ECU21に記憶されたプログラムによって実施された燃料性状判定の動作が全て完了する。即ち、リターンへ進み、燃料性状判定動作が終了する。
図36のフローチャートの説明では、図37と図38の第3燃料性状特徴判定ルーチンの処理について説明を保留していたので、以下に説明する。第3燃料性状特徴判定ルーチンに進んだ時には、Kjfpn点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果がRjpr(ns)に格納されている。そこで、表18に示した特徴に一致するか否かを判定して、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定する。
図37に於いて、ステップS1401からステップS1404では、図35の表18の特徴3Hと一致するか否かを判定する。ステップS1401では、点火回数が3点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(3)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであるか否かを判定する。即ち、3点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(3)=1であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであったので、Yへ進み、ステップS1402へ進む。3点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(3)=1でな且つた場合には、特徴3Hとは一致しないので、Nに進み、ステップS1406へ進む。
次に、ステップS1402では、点火回数が4点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(4)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであるか否かを判定する。即ち、4点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(4)=1であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであったので、Yへ進み、ステップS1403へ進む。4点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(4)=1でな且つた場合には、特徴3Hとは一致しないので、Nに進み、ステップS1406へ進む。
次に、ステップS1403では、点火回数が6点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(6)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであるか否かを判定する。即ち、6点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(6)=1であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであったので、Yへ進み、ステップS1404へ進む。6点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(6)=1でな且つた場合には、特徴3Hとは一致しないので、Nに進み、ステップS1406へ進む。
次に、ステップS1404では、点火回数が7点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(7)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであるか否かを判定する。即ち、7点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(7)=1であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであったので、これまでの判定結果から特徴3Hに一致しており、内燃機関に用いた燃料は標準燃料であると判定し、Yへ進み、ステップS1405へ進む。7点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(7)=1でな且つた場合には、特徴3Hとは一致しないので、Nに進み、ステップS1406へ進む。
ステップS1406とステップS1407では、図35の表18の特徴4Hと一致するか否かを判定する。ステップS1406では、点火回数が5点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(5)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、5点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(5)=2であ
った場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、Yへ進み、ステップS1407へ進む。5点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(5)=2でな且つた場合には、特徴4Hとは一致しないので、Nに進み、ステップS1408へ進む。
次に、ステップS1407では、点火回数が9点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(9)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、9点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(9)=2であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、9点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(9)=2でな且つた場合には、特徴4Hとは一致しないので、Nに進み、ステップS1408へ進む。
ステップS1408からステップS1411では、表18の特徴5Hと一致するか否かを判定する。ステップS1408では、特徴5Hとの一致性を確認するための点火回数に該当する判定用カウンタCtmpをリセットする。即ち、判定用カウンタCtmp=1とする。そして、ステップS1409へ進む。
次に、ステップS1409では、点火回数が1点火目から10点火目までの波形パターンの認識結果Rjpr(Ctmp)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cでないことを判定する。ここで、後述するように、ステップS1409に進んで来た場合には、判定用カウンタCtmpは1から10まで順次インクリメントされている。即ち、Ctmp点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(Ctmp)が3でない場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cでな且つたので、Yへ進み、ステップS1410へ進む。Ctmp点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(Ctmp)が3であった場合には、点火回数が1点火目から10点火目までのいずれかで波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであったので、特徴5Hとは一致しない。故に、Nに進み、ノード172を経由してステップS1412へ進む。
次に、ステップS1410では、判定用カウンタCtmpをインクリメントする。即ち、Ctmp=Ctmp+1を設定する。そして、ステップS1411へ進む。ステップS1411では、1点火目から10点火目までの波形パターンの認識結果Rjpr(Ctmp)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cでな且つたか否かを確認する。即ち、判定用カウンタCtmpはステップS1411まで進んで来た場合に、Ctmp=11までインクリメントされるのは、Rjpr(1)からRjpr(10)までのすべてが3でない場合のみである。
Ctmpが10を超える場合、即ち、Ctmp=11である場合には、Rjpr(1)からRjpr(10)までのすべてが3でなく、1点火目から10点火目までの波形パターンの認識結果Rjpr(Ctmp)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cではな且つたので特徴5Hに一致しており、内燃機関に用いた燃料は標準燃料であると判定し、Yへ進み、ステップS1405へ進む。Ctmpが10以下の場合は、まだ10点火目までの波形パターンの認識結果Rjpr(Ctmp)が3でないことを確認していないので、Nへ進み、ステップS1409に進む。
そして、ステップS1405は、図35の表18に示した特徴3H、特徴4H、特徴5Hのいずれかの場合に該当するので、それまでの判定結果により、内燃機関に用いた燃料は標準燃料であると判定する。そして、ノード171を経由して図38のリターンへ進み、第3燃料性状特徴判定ルーチンを終了する。
次に、図38に於いて、ステップS1412からステップS1415では、図35の表18の特徴4Jと一致するか否かを判定する。ステップS1412では、点火回数が4点
火目の波形パターンの認識結果Rjpr(4)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、4点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(4)が2であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、Yへ進み、ステップS1413へ進む。4点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(4)が2でな且つた場合には、特徴4Jとは一致しないので、Nに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1413では、点火回数が5点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(5)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、5点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(5)が2であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、Yへ進み、ステップS1414へ進む。5点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(5)が2でな且つた場合には、特徴4Jとは一致しないので、Nに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1414では、点火回数が6点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(6)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、6点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(6)が2であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、Yへ進み、ステップS1415へ進む。6点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(6)が2でな且つた場合には、特徴4Jとは一致しないので、Nに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1415では、点火回数が7点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(7)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、7点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(7)が2であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、これまでの判定結果から特徴4Jに一致しており、内燃機関に用いた燃料は重質燃料であると判定し、Yへ進み、ステップS1416へ進む。7点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(7)が2でな且つた場合には、特徴4Jとは一致しないので、Nに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1417とステップS1418では、図35の表18の特徴5Jと一致するか否かを判定する。ステップS1417では、点火回数が8点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(8)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであるか否かを判定する。即ち、8点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(8)が3であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであったので、この判定結果から特徴5Jに一致しており、内燃機関に用いた燃料は重質燃料であると判定し、Yへ進み、ステップS1416へ進む。8点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(8)が3でな且つた場合には、特徴5Jのもう一つの特徴と一致するか否かを判定するために、Nに進み、ステップS1418へ進む。
次に、ステップS1418では、表18の特徴5Jのもう一つの特徴と一致するか否かを判定する。即ち、点火回数が9点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(9)がイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであるか否かを判定する。即ち、9点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(9)が3であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであったので、この判定結果から特徴5Jに一致しており、内燃機関に用いた燃料は重質燃料であると判定し、Yへ進み、ステップS1416へ進む。9点火目の波形パターンの認識結果Rjpr(9)が3でな且つた場合には、表18に示した特徴3H、特徴4H、特徴5H、特徴4J、特徴5Jのいずれの特徴にも一致しないので標準燃料及び重質燃料以外の燃料であると判定し、Nへ進み、ステップS1419へ進む。
ステップS1416では、表18に示した特徴4J、特徴5Jのいずれかの場合に該当するので、それまでの判定結果により、内燃機関に用いた燃料は重質燃料であると判定する。そして、リターンへ進み、第3燃料性状特徴判定ルーチンを終了する。
ステップS1419では、図35の表18に示した特徴3H、特徴4H、特徴5H、特徴4J、特徴5Jのいずれの特徴にも一致しないので、標準燃料及び重質燃料以外の燃料であると判定する。そして、リターンへ進み、第3燃料性状特徴判定ルーチンを終了する。以上の動作により、内燃機関に用いた燃料の燃料性状の判定が完了した。
このように、実施の形態3による内燃機関の制御装置では、揮発性の異なる燃料を用いた内燃機関に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、揮発性の違いに依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、その点火毎のイオン電流波形パターン認識結果に於いて発生した特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定しているので、内燃機関に用いた燃料の燃料性状をより正確に精度良く判定することができる。
又、燃料性状判定に用いる特徴によっては、より少ない点火回数のイオン電流波形の波形パターン認識結果により燃料性状を判定することができ、より早いタイミングでの燃料性状を判定することができる。そして判定した燃料性状に応じて内燃機関を制御することにより、重質燃料を用いた場合に生じるドラビリ悪化の不具合を防止し、且つ標準燃料を用いた場合に生じる排ガスの悪化をも防止する。
実施の形態4.
この発明に係る実施の形態4による内燃機関の制御装置は、実施の形態1による内燃機関の制御装置とECU21が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。この発明に係る実施の形態4による内燃機関の制御装置のECU21は、実施の形態1による内燃機関の制御装置のECU21と記憶されているプログラムが異なるので、プログラムの違いについてだけ説明する。
この発明に係る実施の形態4による内燃機関の制御装置では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数のイオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定するのであるが、所定の運転条件に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
ECU21で実行される実施の形態4の動作は、上述のイオン電流波形の波形パターン認識条件が、ECU21に於いて検出された運転条件に応じて変更される動作以外は、実施の形態1と同様であるので、以下には、実施の形態1と比較して異なる動作を具体的に説明する。
イオン電流波形の波形パターン認識条件を変更するため用いる運転条件、及びその検出について説明する。イオンの発生量に応じてイオン電流値が決まり、イオンの発生の仕方によりイオン電流波形が決まるので、イオンの発生量やイオンの発生の仕方に影響を与える運転条件を考慮することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができる。イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の燃料量であり、イオンの発生の仕方に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の点火時期であ
る。そこで、点火毎の燃料量や点火毎の点火時期等の制御パラメータはECU21にて演算され、燃料制御や点火時期制御に用いられているので、例えば上述の図26の燃料性状判定ルーチンと同じタイミングに検出することができる。即ち、例えば上述の図26が実行される点火回数毎に検出する。
そして、実施の形態1で説明したように、イオン電流波形の波形パターン認識は、図19〜図22のフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンに於いて行われている。図19〜図22のイオン電流波形パターン判定ルーチンでは、波形パターン認識を「○」「△」「×」に分類している。
具体的には、図19〜図22のフローチャートに於いて、イオン電流波形CRIの波形パターンが「×」であると認識するのは、ステップS105の「×判定」のステップである。同様に、イオン電流波形TIIの波形パターンが「×」であると認識するのは、ステップS114の「×判定」のステップである。同様に、イオン電流波形ABIの波形パターンが「×」であると認識するのは、ステップS123の「×判定」のステップである。更に、イオン電流波形ABIの波形パターンが「△」或いは「○」であると認識するのは、ステップS131の「△判定」のステップである。
これらのステップに於いて、イオン電流波形の波形パターン認識結果が「○」「△」「×」と決定されるのは、検出したイオン電流値の大きさに依存している。即ち、ステップS105の「×判定」のステップでは、イオン電流値Iion(i)がIjbk1よりも小さいことにより「×」と認識される。又、ステップS114の「×判定」のステップでは、イオン電流値Iion(i)がIjbk2よりも小さいことにより「×」と認識される。又、ステップS123の「×判定」のステップでは、イオン電流値Iion(i)がIjbk3よりも小さいことにより「×」と認識される。
又、ステップS131の「△判定」のステップでは、区間3に於けるイオン電流値Iion(i)の最大値Imk3がIjsk3よりも小さいことにより「△」と認識され、区間3に於けるイオン電流値Iion(i)の最大値Imk3がIjsk3以上であることにより「○」と認識される。更に、ステップS110やステップS119で実行される図23と図24のイオン電流値ピーク判定ルーチンでは、ステップS201の「イオン電流値増減判定」のステップでのイオン電流値差分の大きさをIjp及びIjmとの大きさを比較して「イオン電流値の増減」を判定している。
以上述べたIjbk1、Ijbk2、Ijbk3、Ijsk3、Ijp、Ijmの大きさに依存して、イオン電流波形の波形パターン認識結果は影響を受ける。具体的には、Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、Ijsk3が大きくなると「×」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる。又、Ijp、Ijmが大きくなると「増減なし」と判
定するイオン電流値差分が比較的多くなる。
又、Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、Ijsk3、Ijp、Ijmの大きさは同じだがイオン電流値が大きくなると、「△」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる。又更に、Ijp、Ijmの大きさは同じだがイオン電流値が大きくなると、「増加」或いは「減少」と判定するイオン電流値差分が比較的多くなる。そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので同じ燃料性状の燃料であっても燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、イオン電流値は極端に大きくなったり、極端に小さくなったりする場合がある。
このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる場合には、上述のIj
bk1、Ijbk2、Ijbk3、Ijsk3、Ijp、Ijmの大きさを異なる運転条件に応じて変更することにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
そこで、実施の形態4に於いては、上述した点火回数毎の燃料量に応じて、点火回数毎に、例えば図18の燃料性状判定ルーチンのフローチャートで用いられる上述のIjbk1、Ijbk2、Ijbk3、Ijsk3、Ijp、Ijmの大きさを変更するようにしている。このように運転条件、即ち、例えば燃料量の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に用いた燃料性状の検出精度を向上することができる。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の燃料量に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更する具体例を説明したが、イオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火時期や内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度や燃料混合気の空燃比の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の燃料量と同様に、点火時期や内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度や燃料混合気の空燃比に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に用いた燃料性状の検出精度を向上することができる。
又、実施の形態1で説明したように、イオン電流波形の波形パターン認識を行う区間1、区間2、区間3は、図91〜図22のフローチャートで説明したように点火時期を基準に分割している。これは点火時期がイオン電流の発生するタイミングに影響を与えるからであるが、点火時期は、イオンの発生の仕方にも影響を与える。故に、点火回数毎の点火時期に応じて区間1、区間2、区間3を分割するクランク角度を変更することにより、イオン電流の発生するタイミングやイオン電流の発生の仕方に与える影響を排除することができる。
具体的には、図19〜図22のフローチャートに於いて、イオン電流波形CRIの波形パターン認識を行う区間1は、ステップS104で点火時期を基準にdCrk0とdCrk1をオフセット加算することにより決まる。又、イオン電流波形TIIの波形パターン認識を行う区間2は、ステップS113で点火時期を基準にdCrk1とdCrk2をオフセット加算することにより決まる。又、イオン電流波形ABIの波形パターン認識を行う区間3は、ステップS122で点火時期を基準にdCrk2とdCrk3をオフセット加算することにより決まる。
上述したように、イオン電流波形TIIは、混合気の爆発的な燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇による熱電離反応により発生するイオンであるので、点火時期が変化すると、点火時期に応じて変化する燃焼による圧力上昇と内燃機関のピストン上昇による圧力変化の組み合わせにより、混合気の燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇のタイミングが点火時期に応じて変化する。その結果、熱電離反応により発生するイオンの発生の仕方が異なり、例えば、イオン電流波形TIIのピークが発生するタイミングが点火時期の影響を受ける場合がある。
更に、図9と図10に示した種種のイオン電流波形の例4、例5、例8、例9のようにイオン電流波形CRIやイオン電流波形TIIのピークが複数個発生する場合には、イオン電流波形TIIのピークの有無、即ち、波形パターン認識結果が「△」であるか「○」であるかという判定結果に影響を与える場合がある。故に、点火時期に応じてイオン電流波形のピークの有無の判定結果が異なる場合には、dCrk0、dCrk1、dCrk2
、dCrk3の値を点火時期に応じて変更することにより、点火時期、即ち運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
そこで、実施の形態4に於いては、上述した点火回数毎の点火時期に応じて、点火回数毎に、例えば図26の燃料性状判定ルーチンのフローチャートで用いられる上述のdCrk0、dCrk1、dCrk2、dCrk3の値を変更するようにしている。このように運転条件、即ち、例えば点火時期の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に用いた燃料性状の検出精度を向上することができる。
尚、上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の点火時期に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更する具体例を説明したが、区間1や区間2や区間3の分割するクランク角度の違いによるイオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火毎の燃料量や内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度や燃料混合気の空燃比の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の点火時期と同様に、内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度や燃料混合気の空燃比に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に用いた燃料性状の検出精度を向上することができる。
実施の形態5.
この発明に係る実施の形態5による内燃機関の制御装置は、実施の形態1による内燃機関の制御装置とECU21が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。この発明に係る実施の形態5による内燃機関の制御装置のECU21は、実施の形態1による内燃機関の制御装置のECU21と記憶されているプログラムが異なるので、プログラムの違いについてのみ説明する。
この発明に係る実施の形態5による内燃機関の制御装置では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数のイオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定するのであるが、所定の運転条件に応じて内燃機関に用いた燃料の燃料性状判定条件を変更することにより、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
ECU21で実行される実施の形態5の動作は、上述の燃料性状判定条件が、ECU21に於いて検出された運転条件に応じて変更される動作以外は、実施の形態1と同様であるので、以下には、実施の形態1と比較して異なる動作を具体的に説明する。
イオン電流波形の波形パターン認識条件を変更するため用いる運転条件、及びその検出について説明する。イオンの発生量に応じてイオン電流値が決まり、イオンの発生の仕方によりイオン電流波形が決まるので、イオンの発生量に影響を与える運転条件を考慮することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができる。イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の燃料量である。そこで、点火毎の燃料量等の制御パラメータはECU21にて演算され、燃料制御に用いられているので、例えば上述の図18の燃料性状判定ルーチンと同じタイミングに検出することができる。即ち、点火毎の燃料量等の制御パラメータは、例えば上述の図26の燃料性状判定ルーチンが実行される点火回数毎に検出する。
そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので同じ燃料性状の燃料であっても
燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、イオン電流値は極端に大きくなったり、極端に小さくなったりする場合がある。例えば、揮発性の低い(悪い)重質燃料を用いた運転であっても、燃料量が極端に多い運転条件である燃焼サイクルに於いては、熱電離反応によるイオンの発生量が多くなり、イオン電流値が大きくなる場合がある。
このような場合には、イオン電流波形TIIのイオン電流値の大きさは、通常の燃料量である場合に比較して、図19〜図22のフローチャートに於けるステップS114の「×判定」のステップの「×」判定のIjbk2よりも大きくなって、「△」判定になる場合がある。又、イオン電流波形TIIのイオン電流値のピーク値判定結果は、通常の燃料量である場合に比較して、図23と図24のイオン電流値ピーク判定ルーチンに於けるステップS201の「イオン電流値増減判定」のステップでのイオン電流値差分の大きさ判定値Ijp及びIjmよりも大きくなってピークがある判定となり、「○」判定となる場合がある。
このように、揮発性の低い(悪い)重質燃料を用いた運転であっても、通常の燃料量である場合にはイオン電流波形TIIの波形パターン認識結果が「△」判定である波形パターン認識結果が、燃料量が極端に多い運転条件である燃焼サイクルに於いては、イオン電流波形TIIの波形パターン認識結果が「○」判定である波形パターン認識結果となる場合がある。
又、揮発性が標準的である標準燃料を用いた運転であっても、燃料量が極端に少ない運転条件である燃焼サイクルに於いては、化学反応によるイオンの発生量が少なくなり、イオン電流値が小さくなる場合がある。そのような場合には、イオン電流波形CRIのイオン電流値の大きさは、通常の燃料量である場合に比較して、図19〜図22のフローチャートに於けるステップS105の「×判定」のステップの「×」判定のIjbk1よりも小さくなって、「×」判定になる場合がある。又、イオン電流波形CRIのイオン電流値のピーク値判定結果は、通常の燃料量である場合に比較して、図23と図24のイオン電流ピーク判定ルーチンに於けるステップS201の「イオン電流値増減判定」のステップでのイオン電流値差分の大きさ判定値Ijp及びIjmよりも小さくなってピークがない判定となり、「△」判定となる場合がある。
このように、揮発性が標準的である標準燃料を用いた運転であっても、通常の燃料量である場合にはイオン電流波形CRIの波形パターン認識結果が「○」判定である波形パターン認識結果が、燃料量が極端に少ない運転条件である燃焼サイクルに於いては、イオン電流波形CRIの波形パターン認識結果が「△」判定や「×」判定である波形パターン認識結果となる場合がある。
上述のように、燃焼サイクル、即ち点火回数毎の燃料量に依存して、イオン電流波形の波形パターン認識結果は影響を受ける。具体的には、燃料量が極端に多くなった場合には、イオン電流TIIの波形パターン認識結果が「○」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる場合がある。又、燃料量が極端に少なくなった場合には、イオン電流CRIの波形パターン認識結果が「△」や「×」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる場合がある。そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので同じ燃料性状の燃料であっても燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、イオン電流波形TIIの波形パターン認識結果が「○」である出現回数が増加したり、イオン電流CRIの波形パターン認識結果が「△」や「×」である出現回数が増加したりする場合がある。
このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる場合には、表17の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に示した出現回数を異なる運転条件に応じて変更することにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認
識結果を得ることができ、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
又、このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる点火サイクルの判定結果は、出現回数として計数しないようにすることにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
そこで、実施の形態5による内燃機関の制御装置では、上述した点火回数毎の燃料量に応じて、点火回数毎に、例えば図18の表17の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に示した出現回数を異なる運転条件に応じて変更するようにしている。又、上述した点火回数毎の燃料量に応じて、点火回数毎のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数しないようにしている。このように運転条件、即ち、例えば燃料量に応じて、内燃機関に用いた燃料の燃料性状判定条件を変更することにより、点火回数毎の燃料量が極端に多且つたり少な且つたりする影響を排除して、内燃機関に用いた燃料性状の検出精度を更に向上することができる。
尚、上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の燃料量に応じて内燃機関に用いた燃料の燃料性状判定条件を変更する具体例を説明したが、イオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火時期や内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度や燃料混合気の空燃比の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の燃料量と同様に、点火時期や内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度や燃料混合気の空燃比に応じて内燃機関に用いた燃料の燃料性状判定条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除して、内燃機関に用いた燃料性状の検出精度を向上することができる。
実施の形態6.
この発明に係る実施の形態6による内燃機関の制御装置は、実施の形態1による内燃機関の制御装置とECU21が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。この発明に係る実施の形態6による内燃機関の制御装置のECU21は、実施の形態1による内燃機関の制御装置のECU21と記憶されているプログラムが異なるので、プログラムの違いについてだけ説明する。以下、この発明に係る実施の形態6について、図面を参照して説明する。実施の形態6の構成は図1とほぼ同一であるので、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ説明する。
この発明に係る実施の形態6による内燃機関の制御装置では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数のイオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて内燃機関に用いた燃料の燃料性状を判定するのであるが、過去の燃料性状判定に於ける燃料性状判定結果に基づいて今回の燃料性状判定結果を変更することにより、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
実施の形態1では、冷間ファーストアイドル時にイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に基づいて内燃機関に用いた燃料性状を判定する制御装置に付いて述べた。その燃料性状判定は、今回始動した場合の冷間ファーストアイドル時に判定した燃料性状判定結果のみに従って決定していた。ところが、内燃機関に用いる燃料は、図示しない燃料タンクに貯蔵されているのであるが、その燃料タンクに新たな給油がなされない場合には、同じ燃料性状である燃料が内燃機関に用いられることになる。故に、燃料タンクに新たな給油がなされない場合には、冷間ファーストアイドル時である運
転条件が成立した場合に判定した燃料性状判定結果は、同じ判定結果になる。
故に、図示しない燃料タンクに新たな給油がなされない場合に判定した燃料性状判定結果が、過去に判定した燃料性状判定結果と異なる場合には、複数回同じ判定結果となった燃料性状判定結果が正確な判定結果である。即ち、燃料タンクに新たな給油がなされない場合に於ける今回の冷間ファーストアイドル時の燃料性状判定結果が、燃料タンクに新たな給油がなされない場合に於ける過去複数回の冷間ファーストアイドル時の燃料性状判定結果と異なる場合には、過去複数回の冷間ファーストアイドル時の燃料性状判定結果に変更することにより、より正確に燃料性状を判定することができる。即ち、過去の燃料性状判定に於ける燃料性状判定結果に基づいて今回の燃料性状判定結果を変更することにより、内燃機関に用いた燃料の燃料性状を精度良く判定することができる。
実施の形態6による内燃機関の制御装置の動作について具体的に説明する。図1には図示しない燃料タンクには燃料タンクの給油口の開閉の有無を検出するセンサや燃料タンク内の燃料量の増減を検出するセンサ等が装着されており、燃料タンクに新たに燃料が給油されたか否かを検出することができる。燃料タンクに新たに燃料が給油されたか否かを検出した結果は、ECU21に所定の電気信号により入力されている。
又、ECU21では、内燃機関が始動され、冷間ファーストアイドル時の内燃機関に用いられた燃料の燃料性状が、実施の形態1と同様の動作により判定される。そして、実施の形態6に於いては、燃料性状判定結果は、始動される毎に順次、ECU21に内蔵された記憶装置に記憶される。燃料タンクに新たに燃料が供給されていない場合に於ける所定回数の燃料性状判定結果が記憶されるまでは、燃料性状判定結果は、今回の始動時に判定された内燃機関に用いられた燃料の燃料性状判定結果であるとして、判定した燃料性状に応じて内燃機関を制御する。前述の燃料性状判定結果を記憶する所定回数は、例えば5回であり、5回連続して判定された以降の燃料性状判定結果は、燃料タンクに新たに燃料が供給されていない場合に於いては、燃料の燃料性状は変化していないので、過去に連続して5回判定された燃料性状判定結果と同一である。
しかしながら、イオン電流に予期しないノイズが重畳する等してイオン電流波形が過去に5回連続して判定された燃料性状判定結果とならないイオン電流波形になってしまった場合には、燃料タンクに新たに燃料が供給されていない場合にも関わらず、過去に5回連続して判定された燃料性状判定結果と同一にならない場合がある。このような燃料性状判定結果が得られた場合には、今回の始動時に判定された内燃機関に用いられた燃料の燃料性状判定結果ではなく、過去に5回又は5回以上連続して判定された燃料性状判定結果であるとして、判定した燃料性状に応じて内燃機関を制御する。このように、今回の燃料性状判定結果を、燃料タンクに新たに燃料が供給されていない場合に於ける所定回数の燃料性状判定結果に変更することにより、より正確な燃料性状判定を行うことができる。
又、燃料タンクに新たに燃料が供給されていない場合に、今回の燃料性状判定結果が、過去に5回又は5回以上連続して判定された燃料性状判定結果とは異なる判定結果であるが、今回までの所定回数、例えば5回連続して同一の燃料性状判定結果に判定された場合には、燃料性状判定結果は、今回の始動時に判定された内燃機関に用いられた燃料の燃料性状判定結果であるとして、判定した燃料性状に応じて内燃機関を制御するようにすることにより、より正確な燃料性状判定を行うこともできる。
次に、この発明に係る内燃機関の制御装置を、EGRを適用した内燃機関の制御に用いた場合の実施の形態7〜12について説明する。
実施の形態7.
先ず、この発明の実施の形態7に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して説明する。図39は、この発明の実施の形態7による内燃機関の制御装置を、自動車用内燃機関に適用した場合を示す構成図である。図39に於いて、EGR(排ガス再循環)は、排気管9と吸気管5との間をEGR管26a及び26bにより接続することにより行われる。EGR管26a及び26bの中間部分にはEGRバルブ25が装着されており、排気管9から吸気管5に流入する排ガスの流量が、EGRバルブ25のEGR開度Vegrに応じて調量される。
一方、自動車の車室内等に装着されたECU21は、燃料噴射制御、点火時期制御、EGR流量制御等を実行するマイクロコンピュータシステムであり、入出力インターフェース19、中央演算処理装置16、ROM17、RAM18、駆動回路20a及び20bから構成されている。ECU21の入力側には、各種センサやスイッチ類が接続されており、各種センサの出力は、インターフェースを介しA/D変換されてECU21へ取り込まれる。ECU21は、その入力信号に基づいて演算処理を実行し、その演算結果に基づいて各種アクチュエータ用制御信号を出力し、インジェクタ7や点火プラグ23等の各種アクチュエータを制御する。
次に、燃料噴射制御について説明する。ECU21は、エアフローセンサ2の出力をA/D変換して読み込み、クランク角センサ11からの信号区間に於ける吸気量を積算して一吸気行程当たりの吸入空気量A/N0を算出する。エアフローセンサ2により吸入空気量が検出された吸入空気は、サージタンク4に一旦充填されるために、シリンダ24に吸入される時には応答遅れが生じる。従って、その応答遅れを補正するために、吸入空気量A/N0に1次フィルターを施し、シリンダ24に吸入される吸入空気量A/Nを演算する。こうして演算した吸入空気量A/Nを用いて、車両の運転状態に応じて適切な空燃比となるように基本燃料噴射量TBを算出する。
そして、車両の運転状態等に応じて各種の燃料量補正を実施する。例えば、各種燃料量補正の一例として、空燃比フィードバック補正がある。この空燃比フィードバック補正は、車両の運転状態の変化、各種センサ及びアクチュエータの動作状態の変化等に起因して、車両の運転状態に応じた目標空燃比と実空燃比とに違いが発生するので、空燃比センサ10で検出した実空燃比が車両の運転状態に応じた目標空燃比に制御されるように、実空燃比を補正するものである。
前述の燃料量補正を用いて、基本燃料噴射量TBを補正して、有効燃料噴射量TAを算出する。更に、インジェクタ7の開弁遅れ時間を補正する無効燃料噴射量TDを加算し、実燃料噴射量TIを算出する。そして、実燃料噴射量TIに応じて、駆動回路20aを介してインジェクタ7を駆動する。
次に、EGR制御について説明する。EGR量は、内燃機関の運転状態に応じて、前述したEGRバルブ25のEGR開度Vegrによって制御される。EGR開度Vegrは、次式(1)によって決定される。
Vegr=Kegr(k)×Vegrb(Ne、A/N) 式(1)
ここで、Kegr(k)はEGR補正係数、Vegrb(Ne、A/N)は基準EGR開度である。
基準EGR開度Vegrb(Ne、A/N)は、内燃機関回転数Ne[r/min]と、内燃機関負荷、例えばシリンダ24に吸入される一吸気行程あたりの吸入空気量A/N[
g]とに応じて決定される。図2は、基準EGR開度Vegrb(Ne、A/N)を定め
るテーブルの概念を示す説明図である。図2に示すテーブルは、内燃機関回転数Ne[r
/min]の個々の値と、内燃機関負荷としての吸入空気量A/N[g]の個々の値との対
応(交点)毎に、それらの条件を満たすための基準EGR開度Vegrb(Ne、A/N)を定めたものである。即ち、例えば、内燃機関回転数6000[r/min]と吸入空気量5[g]との交点には、その条件下で要求される基本EGR開度Vegrb(Ne、A/N)が定められている。前述のように構成された図40に示すテーブルは、ECU21に内蔵されているROM17やRAM18に記憶されている。内燃機関負荷としての吸入空気量A/N[g]は、燃料噴射量制御に於いて算出したものと同じである。
式(1)に示すように、EGR開度Vegrは、EGR補正係数Kegr(k)により、内燃機関に適用されたEGRの燃焼状態に応じて基準EGR開度Vegrb(Ne、A/N)を補正した値である。
次に、EGR補正係数Kegr(k)を用いたEGR限界制御の方法について、図41のフローチャートに従って説明する。図41は、EGR限界制御の動作を説明するフローチャートである。ECU21では、各種センサの出力状態に応じてEGR制御を実行するか否かを決定する。EGR制御を実行しない場合は、EGRバルブ25は閉じられる。EGR制御を実行する場合には、前述の式(1)に従って、EGR開度Vegrが設定され、EGRバルブ25の開度が制御(開閉)される。EGR限界制御は、EGR制御中に実行するために、図41に於いて、ステップS3001では、EGR制御中か否かを判定する。EGR制御中でない場合には、Nへ進み、EGR限界制御は行われない。図41のEGR限界制御の処理は、所定時間毎、或いは所定燃焼サイクル毎に実行される。ステップS3001での判定の結果、EGR制御中である場合には、Yに進み、ステップS3002へ進む。
ステップS3002では、燃焼状態が良であるか否かを判定する。燃焼状態の判定方法については、イオン電流を用いた方法があり、この方法については後述する。ステップS3002で燃焼状態良と判定された場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「1」である場合[Stb=1]には、Yへ進み、ステップS3003へ進む。ステップS3002で燃焼状態「良」と判定されなかった場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「1」でない場合[
Stb≠1]には、Nへ進み、ステップS3004へ進む。
内燃機関にEGRを導入したときの燃焼状態が良であれば、EGR量を現状よりも増量することができる。そこで、ステップS3003では、現状、即ち[k−1]時点でのEGR補正係数Kegr(k−1)に増分Δkelを加算した値をEGR補正係数Kegr(k)としてEGR開度を大きくする方向へ操作する。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3004では、燃焼状態が最適であるか否かを判定する。ステップS3004で燃焼状態最適と判定された場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「2」である場合[Stb=2]には、Yへ進み、ステップS3009へ進む。ステップS3004で燃焼状態最適と判定されなかった場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「2」でない場合[Stb≠1]には、Nへ進み、ステップS3005へ進む。
ステップS3009では、内燃機関にEGRを導入したときの燃焼状態が最適であるので、EGR量を現状維持する。即ちk時点でのEGR補正係数Kegr(k)に[k−1]
時点でのEGR補正係数Kegr(k−1)を設定する。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3005では、燃焼状態が限界であるか否かを判定する。ステップS3005で燃焼状態限界と判定された場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「3」である場合[Stb=3]には、Yへ進み、ステップS3006へ進む。ステップS3005で燃焼状態限界と判定されなかった場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「3」でない場合[Stb≠3]には、Nへ進み、ステップS3004へ進む。
ステップS3006では、車両の運転状態の変化等を原因として、内燃機関にEGRを導入したときの燃焼状態がEGR燃焼限界であるので、EGR量を現状よりも減量して燃焼状態を良化する必要がある。そこで、現状、即ち[k−1]時点でのEGR補正係数Kegr(k−1)から減分Δke2を減算した値をEGR補正係数Kegr(k)として、EGR開度を閉じる方向へ操作する。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3007には遷移する運転状態が存在しないが、何らかの理由でエラーが生じた場合なので、EGR補正を停止するために、k時点でのEGR補正係数Kegr(k)を「1」に設定する[Kegr(k)=1]。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3008では、ECU21内のカウンタのカウント値kをインクリメント、即ち、(k=k+1)として、カウント値kの時点でのEGR限界制御の処理を終了する
。
以上、図41に基づいてEGR限界制御の動作を説明したが、次に、そのEGR限界制御の動作をより具体的に示す一例について、図42に基づいて説明する。図42は、EGR限界制御の動作の一例を示す説明図である。EGR制御が開始されると、前述の図41に基づく動作が開始される。即ち、図42に於いて、(A)に示すEGR制御中がNOからYESに変化するタイミングt1以降に於いて図41のステップS3001での判定がYESとなり、(D)に示すカウンタkのカウント値が増加し、EGR限界制御が開始される。尚、図42の(A)に示すEGR制御中がNOのときはEGRが導入されていない場合であり、図41のステップS3001での判定はNOとなる。
さて、図42の(A)に示す「EGR制御中」がYESと判定されたタイミングt1に於いて、図42の(B)に示す燃焼状態が良(Stb=1)であれば、図42の(C)に示すEGR補正係数Kegr(k)は、補正を停止していたときの値[Kegr(k)=
1]から増量を開始する。その増量される増分は、図4の(D)に示すカウンタkによる
kカウント当たりΔkelである。
次に、時点t2に於いて図42の(B)に示す燃焼状態が最適[Stb=2]となると、図41のステップ3004による判定がYESとなり、EGR補正係数Kegr(k)は増量が停止されてそのときの値が維持される。しかしながら、その後、運転状態の変化等を原因として、内燃機関にEGRを導入したときの燃焼状態がEGR燃焼限界になった場合、即ち、図42の(B)に示す燃焼状態が限界[Stb=3]となった場合、時点t3に於いて図41のステップS3005による判定がYESとなり、EGR補正係数Kegr(k)は減量される。その減分は、Δke2である。
図42に示す場合では、時点t3でのEGR量の減量により直ちに燃焼状態が燃焼状態「良」[Stb=1]になるので、再びその時点t3からEGR補正係数Kegr(k)が燃焼状態「最適」[Stb=2]となるまで増量を続ける。そして、燃焼状態が「最適」[
Stb=2]になると、その時点t4でEGR補正係数Kegr(k)の増量は停止され
てその値が保持され、燃焼状態最適である燃焼状態が維持される。
又、この実施の形態7に係る内燃機関の制御装置には、シリンダ24で混合気が燃焼する際に発生するイオンを検出する為のイオン電流検出回路22が設けられている。イオンは混合気の燃焼状態に応じて発生し、イオン電流検出回路22に設けられた図示していない電圧バイアス回路から点火プラグ23にバイアス電圧をかけることにより、シリンダ2
4内に発生したイオンが点火プラグ23とシリンダ24により捕捉され、イオン電流検出回路22にて図示しない検出用抵抗を介してイオン電流値を示す電圧として検出する。検出したイオン電流値を示す電圧は、ECU21の入出力インターフェース19を介してA/D変換され、イオン電流出力としてECU21に入力される。
以上の構成により、内燃機関の所定の運転状態に於いて、シリンダ24内の混合気が燃焼することにより発生するイオンは、イオン電流検出回路22によりイオン電流出力として検出されECU21に入力される。イオン電流出力が入力されたECU21は、そのイオン電流出力に基づいてクランク角センサ11の示すクランク角度毎のイオン電流波形を検出し、その検出したイオン電流波形により内燃機関に適用されたEGRによる燃焼状態を判定することが可能となるものである。尚、その他の構成は、実施の形態1に於ける図1の構成と同様である。
次に、検出したイオン電流波形に基づいて、内燃機関に適用されたEGRによる燃焼状態を判定する方法について説明する。シリンダ24内に発生した1点火サイクルのイオンを検出したイオン電流の波形の波形図は、前述の実施の形態1に於いて図4により説明した通りであり、点火毎に検出したイオン電流波形、即ち、イオン電流値の軌跡は、イオン電流を検出するための検出区間を、クランク角度0°CAまでの圧縮行程の区間1と、クランク角度0°CAから180°CAまでの燃焼行程の区間2と、クランク角度180°CAから360°CAまでの排気行程の区間3との、連続する3つの検出区間に分割すると、夫々の区間に於いて検出したイオン電流の波形は、前述したCRI波形と、TII波形と、ABI波形という3つのイオン電流波形(イオン電流値の軌跡)に分類されることになる。
そして、前述したとおり、夫々のイオン電流値の軌跡であるところのイオン電流波形は、夫々の区間の燃焼状態を表す。即ち、良い燃焼の場合には、イオン電流値が大きくなったり、イオン電流波形がピークを持ったりする特徴を持つ。又、悪い燃焼の場合には、イオン電流値が小さくなったり、イオン電流が検出できなくなったり、イオン電流波形がピークを持たなかったりする特徴を持つ。故に、夫々の検出区間に於けるイオン電流値の軌跡の特徴の有無に応じて分類することによるイオン電流波形の波形パターン認識により、夫々の検出区間の燃焼状態を分類することができる。
次に、点火毎に検出したイオン電流波形を、CRI波形と、TII波形と、ABI波形という3つのイオン電流波形に分類して検出し、それら3つのイオン電流波形の波形パターンを認識する方法について説明する。
内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態は、導入したEGR量に対応し分類することができる。図43、図44、及び図45は、EGR量を変更した燃焼状態時の点火毎のイオン電流波形の一例を示す波形図であり、図43は、内燃機関6の回転数と内燃機関6の負荷(吸入空気量)を固定した定常運転状態に於いて、EGRを導入しない運転条件に於ける12点火分の点火毎のイオン電流波形を示し、図44は、定常運転状態に於いて、EGRを導入して最適な運転条件に於ける12点火分の点火毎のイオン電流波形を示し、図45は、定常運転状態に於いて、EGRを多量に導入しEGR燃焼限界の運転条件に於ける12点火分の点火毎のイオン電流波形を示している。図43、図44及び図45に於いて、夫々の波形図に於ける検出区間は、図4に示した検出区間と同じもので、各点火毎のイオン電流波形に於いて左から区間1、区間2、区間3であり、夫々の検出区間にて検出されたイオン電流波形が、CRI波形と、TII波形と、ABI波形である。
即ち、図43〜図45に於いて、点火毎のイオン電流波形を、前述の3つの検出区間で分割した波形パターンとして認識すると、前述したように、CRI波形と、TII波形と
、ABI波形という3つのイオン電流波形に分類できることが判る。更に、3つのイオン電流波形は、夫々の検出区間に於いて、イオン電流波形が検出できる場合とイオン電流波形ができない場合に分類できることが判る。又、イオン電流波形が検出できる場合の波形パターンを分類すると、ピークがある場合とピークはない場合に分類できることが判る。
そこで、図43、図44及び図45に示されたCRI波形と、TII波形と、ABI波形とを、夫々「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果に分類するパターン認識を適用する。イオン電流波形を波形パターン「○」、「△」、「×」の3つの認識結果に分類する波形パターン認識条件を図46に示す。即ち、図46に於いて、「○」は、ピークを示すイオン電流が発生していることを示し、「△」は、イオン電流は発生しているが、ピーク電流を示す波形はないことを示し、「×」は、イオン電流は発生していないことを示す。尚、ここでは、検出方法の説明を簡単にするために波形パターン認識条件は、定性的な表現としている。
図47は、図46に示した波形パターン認識条件を適用して、EGRを導入しない運転条件時のイオン電流波形パターンと波形パターン認識結果を、1点火から12点火までの点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形との夫々について、「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を示す表であり、試行H1〜試行H6の欄のCRI、TII、ABIの列にその認識結果を示している。
同様に、図48は、図46に示した波形パターン認識条件を適用して、図44に示すEGRを導入して最適な運転条件時のイオン電流波形パターンと波形パターン認識結果を、1点火〜12点火までの点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形との夫々について、「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を示す表であり、試行H1〜試行H6の欄のCRI、TII、ABIの列にその認識結果を示している。
同様に、図49は、図46に示した波形パターン認識条件を適用して、図45に示すEGR燃焼限界の運転条件時のイオン電流波形パターンと波形パターン認識結果を、1点火〜12点火までの点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形との夫々について、「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を示す表であり、試行H1〜試行H6の欄のCRI、TII、ABIの列にその認識結果を示している。尚、図47〜図49の詳細については、後述する。
この結果から明らかなように、図43、図44、及び図45に示す夫々の運転条件に於ける点火毎のイオン電流波形は、CRI波形と、TII波形と、ABI波形とを「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果で分類できることが判る。
このように、点火毎の任意のイオン電流波形は、連続した3つの区間である区間1と区間2と区間3で分割したCRI波形と、TII波形と、ABI波形に分類できることは明らかである。又、図46の波形パターン認識条件も、任意のイオン電流波形が「○」、「△」、「×」の波形パターンに分類できることは明らかである。しかしながら、イオン電流波形の波形パターンには、図43、図44、及び図45に示した波形パターン以外にも比較的良く発生する波形パターンがいくつかあるので、その例を図50に示す。図50には、例1〜例11について、CRI波形、TII波形、ABI波形の順番にパターン認識した波形パターン認識結果を、「例1:○○×」のように記載して示している。
図50に示した波形パターン認識結果は、図46の波形パターン認識条件を適用すると図50に記載した通りであることは明らかであるが、ここで、2、3の例について説明を加える。図50に於ける例4、例5、例9に示すCRI波形は、区間1に於いて複数個の
ピークが現れているが、少なくとも1つ以上のピークが現れているので「○」とパターン認識できる。例5に於けるTII波形は、区間2に於いて複数個のピークが現れているが、少なくとも1つ以上のピークが現れているので「○」とパターン認識できる。
例9に於けるTII波形は、区間2に於いてイオン電流値が現れているが、その値は小さく、かつCRI波形を検出する区間1から値が減衰し、区間2では増加していないので、TII波形が現れたとは考えずに「×」とパターン認識している。又、例8、例10に於けるABI波形は、区間3に於いてピークを示すイオン電流が発生している例である。例11に於けるABI波形は、区間3に於いてイオン電流が発生しているがピークが現れていない一例ある。
上述の例では、任意のイオン電流波形を連続した3つの区間である区間1と区間2と区間3で分割したCRI波形と、TII波形と、ABI波形とに分類し、3つの夫々のイオン電流波形を「○」、「△」、「×」の波形パターンに分類し、CRI波形、TII波形、ABI波形の順番にパターン認識した「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果を組み合わせた、例えば、図50の「例1:○○×」というような波形パターン認識結果を得る方法について述べたが、検出した信号をコンピュータによって実現する、いわゆるパターン認識と称する認識処理を適用して、波形パターン認識結果を得る方法もある。次に、その方法の一例について説明する。
先ず、例えばクランク角度0.5°CA毎にサンプルした区間1から区間3までの夫々の区間で検出されたCRI波形と、TII波形と、ABI波形とのパターンをコンピュータに入力する。次に入力したパターン、即ちCRI波形、TII波形、ABI波形の夫々について、「ピークを持つ」「イオン電流値を持つ」「イオン電流値がない(所定値よりも値が小さい)」というイオン電流波形の標準パターンを定義しておき、夫々のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、標準パターンとの比較を行う。この比較結果が、波形パターン認識結果である。
このようなパターン認識結果を得る一つの方法は、パターン間の距離を定義し、その距離が最小となる標準パターンが入力したイオン電流波形のパターン認識結果とする方法である。波形パターン間の距離は、イオン電流波形、又はイオン電流の標準パターンをクランク角度0.5°CA毎のイオン電流値を並べたベクトルで表現すると、その2つのベクトルに対して、例えばユークリッド距離やハミング距離やレーベンシュタイン距離等を適用することができる。
このようなパターン認識結果は、CRI波形と、TII波形と、ABI波形とについて夫々の波形が、ピークを持つ即ち「○」、或いはイオン電流値を持つ即ち「△」、或いはイオン電流値がない(所定値よりも値が小さい)即ち「×」、であるという比較結果と夫々の距離が波形パターン認識結果となる。
上述の一例では、CRI波形と、TII波形と、ABI波形との夫々に対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得る方法について述べたが、連続した3つのCRI波形と、TII波形と、ABI波形との全体に対して、上述の定義の「○」「△」「×」を組み合わせたイオン電流波形の標準パターン(27種類となる)をあらかじめ定義しておき、それらの標準パターンに対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得ることもできる。
次に、点火毎に検出したCRI波形と、TII波形と、ABI波形との波形パターン認識結果より、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する方法について説明する。
図43、図44、図45、及び図50に示したように、点火毎に検出した任意のイオン電流波形は、区間1乃至区間3に於けるCRI波形と、TII波形と、ABI波形とに分類し、夫々について「○」、「△」、「×」による波形パターン認識結果により分類することができるので、図43に示した1点火乃至12点火に対する1回の試行についてイオン電流波形を分類し、その分類結果のみを図47の表に「試行H1」として示している。同様に図44に示した1点火乃至12点火に対する1回の試行についてイオン電流波形を分類し、その分類結果のみを図48の表に「試行R1」として示している。又、図45に示した1点火乃至12点火に対する1回の試行についてイオン電流波形を分類し、その分類結果のみを図49の表に「試行G1」として示している。
又、図43以外のEGRを導入しない運転条件時の場合の5回の試行については、図47の表に於いて試行H2〜試行H6として示しており、従って、図47は、図43に対応する試行H1を加えて、計6回の試行の結果を示している。図44以外のEGRを導入して最適な運転条件時の場合の5回の試行については、図48の表に於いて試行R2〜試行R6として示しており、従って、図48は、図44に対応する試行R1を加えて、計6回の試行の結果を示している。同様に、図45以外のEGR燃焼限界の運転条件時の場合の5回の試行については、図49の表に於いて試行G2〜試行G6として示しており、従って、図49は、図45に対応する試行G1を加えて、計6回の試行の結果を示している。
次に、図47、図48、及び図49に「点火サイクル」として示す1点火〜12点火に於けるCRI波形と、TII波形と、ABI波形との波形パターン認識結果「○」、「△」、「×」の組み合わせは、27通りの組み合わせを得ることができる。即ち、その組み合わせは、図51に示す表に於ける「CRIとTIIとABIの波形パターン認識結果の組み合わせ」の欄に、「○」、「△」、「×」の組み合わせで示す27通りである。
そこで、この27通りの組み合わせを、図51の表の組み合わせ名の欄に示す6つの組み合わせ、即ち、組み合わせ:A、B、C、D、E、Fに分類する。組み合わせ:Aは、CRI波形とTII波形との両方にピークを示すイオン電流が現れ、ABI波形が発生しない波形パターンであり、組み合わせ:Bは、CRI波形とTII波形とのいずれかにピークを示すイオン電流が現れ、ABI波形が発生しない波形パターンであり、組み合わせ:Cは、CRI波形とTII波形とのいずれかにイオン電流が発生する波形パターン、或いは、ABI波形が発生する波形パターンである。又、組み合わせ:Dは、CRI波形とTII波形とにピークを示すイオン電流が現れずに、ABI波形が発生する波形パターンであり、組み合わせ:Eは、CRI波形とTII波形とにピークを示すイオン電流が現れずに、ABI波形が発生する波形パターンであり、組み合わせ:Fは、組み合わせ:A、B、C、D、Eのいずれの組み合わせにも一致しない波形パターンである。
そして、図47に示す表に於いて、1点火〜12点火までの点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の3つの波形パターン認識結果の組み合わせに、図51の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果を、試行H1〜試行H6の欄の名の列に示している。同様に、図48に示す表に於いて、1点火〜12点火までの点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の3つの波形パターン認識結果の組み合わせに、図51の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果を、試行R1〜試行R6の欄の名の列に示している。更に、図49に示す表に於いて、1点火〜12点火までの点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の3つの波形パターン認識結果の組み合わせに、図51の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果を、試行G1〜試行G6の欄の名の列に示している。
そして、EGRを導入しない運転条件時の、1点火〜12点火までのイオン電流波形を、図51の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果に対して、夫々の試行の場合に、1点火〜12点火まで順番に組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fが現れた回数を、図47の試行H1〜試行H6の欄のA、B、C、D、E、Fの列に夫々記入している。
以上のように、EGRを導入しない運転条件時の各試行のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数が、図47の試行H1〜試行H6の欄のA、B、C、D、E、Fの列に夫々示されている。即ち、図47に於いて、各点火サイクルの1点火〜12点火の行に対応するA、B、C、D、E、Fの列に示された出現回数は、計測し始めた1点火から夫々の点火回数までにA、B、C、D、E、Fの組み合わせが出現した回数を示すものである。
次に、EGRを導入して最適な運転条件時の、1点火〜12点火までのイオン電流波形を、図51の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果に対して、夫々の試行の場合に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fが現れた回数を、図48の試行R1〜試行R6の欄のA、B、C、D、E、Fの列に夫々記入している。
以上のように、EGRを導入して最適な運転条件時の各試行のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数が、図48の試行R1〜試行R6の欄のA、B、C、D、E、Fの列に示されている。即ち、図48に於いて、各点火サイクルの1点火〜12点火の行に対応するA、B、C、D、E、Fの列に示された出現回数は、始動から夫々の点火回数までにA、B、C、D、E、Fの組み合わせが出現した回数を示すものである。
次に、EGR燃焼限界の運転条件時の、1点火〜12点火までのイオン電流波形を、図51の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果に対して、夫々の試行の場合に、1点火〜12点火まで順番に組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fが現れた回数を、図49の試行G1〜試行G6の欄のA、B、C、D、E、Fの列に夫々記入している。
以上のように、EGR燃焼限界の運転条件時の各試行のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数が、図49の試行G1〜試行G6の欄のA、B、C、D、E、Fの列に示されている。即ち、図49に於いて、各点火サイクルの1点火〜12点火の行に対応するA、B、C、D、E、Fの列に示された出現回数は、始動から夫々の点火回数までにA、B、C、D、E、Fの組み合わせが出現した回数を夫々示すものである。
次に、点火毎に検出した3つのイオン電流波形であるCRI波形と、TII波形と、ABI波形の波形パターン認識結果より、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する方法について具体的に説明する。即ち、図51に示すように、点火毎に検出したCRI波形と、TII波形と、ABI波形とのパターン認識結果の組み合わせがAの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が非常に良い燃焼状態であると判定することができる。又、それらの組み合わせがBの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が良い燃焼状態であると判定することができる。又、それらの組み合わせがCの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が、EGRの導入により最適な燃焼状態であると判定することができる。
又、点火毎に検出したCRI波形と、TII波形と、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせがDの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が、EGR燃焼限界の状態であると判定することができる。更に、それらの組み合わせがEの場合は、その点火サイクルに於いて燃焼が得られず失火状態であると判定することができる。又、それらの組み合わせが、万が一、組み合わせFの場合は、その点火サイクルに於ける検出結果は異常であり、正確に燃焼状態を検出できていないことがわかる。
このように、点火サイクル毎に3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせを判断することによって、点火サイクル毎の燃焼状態を検出することができる。
更に、ここで、図47、図48、及び図49の結果を用いて、点火毎に検出した3つの、CRI波形と、TII波形と、ABI波形との波形パターン認識結果より、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する方法について具体的に説明する。図47は、EGRを導入しない運転条件の場合の結果であり、図48は、EGRを導入して最適な運転条件の場合の結果であり、図49は、EGR燃焼限界の運転条件の場合の結果である。図47、図48、及び図49に於いて、点火毎のCRI波形と、TII波形と、ABI波形と、○、△、×の波形パターン認識結果の組み合わせについて、12点火分の出現回数の特徴を整理すると図52のようになる。
即ち、図52に於いて、特徴1Hは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形が、12点火中に7回以上出現する場合であり、特徴2Hは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形が、12回の点火中に5回以下出現する場合である。特徴1Rは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形が、12回の点火中に3回以下出現する場合であり、特徴2Rは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形が、12回の点火中に6回以上出現する場合であり、特徴3Rは、組み合わせ名:Cのイオン電流波形が、12回の点火中に3回以下出現する場合である。又、特徴1Gは、組み合わせ名:Cのイオン電流波形が、12回の点火中に4回以上出現する場合であり、特徴2Gは、組み合わせ名:Dのイオン電流波形が、12回の点火中に2回以上出現する場合である。
従って、検出した12回の点火分のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図52の特徴1Hを満足する、或いは特徴2Hを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態はEGRを導入しない運転条件であると判定できる。又、検出した12回の点火分のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図52の特徴1Rを満足する、或いは特徴2Rを満足する、或いは特徴3Rを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態はEGRを導入して最適な運転条件であると判定できる。又、検出した12回の点火分のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図52の特徴1Gを満足する、或いは特徴2Gを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態はEGR燃焼限界の運転条件であると判定できる。
更に、特徴1Hと特徴2Hの両者が成立した場合に、EGRを導入しない運転条件であると判定することもできる。この場合、判定精度は向上する。同様に、特徴1Rと特徴2Rと特徴3Rのすべての特徴が成立した場合に、EGRを導入して最適な運転条件であると判定することもできる。同様に、特徴1Gと特徴2Gの両者が成立した場合に、EGR燃焼限界の運転条件であると判定することもできる。これらの場合、判定精度は向上することは言うまでもない。
上述の例では、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する方法に用いた3つの、CRI波形と、TII波形と、ABI波形との夫々に「○」「△」「×」の波形パターン認識結果を組み合わせた波形パターン認識結果を用いているので、前述したような、検出した信号をコンピュータによって実現する、所謂、パターン認識と称する認識処理を適用して、波形パターン認識結果を得る方法で得られたCRI波形と、TII波形と、ABI波形との夫々に対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)に対しても、全く同様に適用して、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定することができる。
又、連続した3つの、CRI波形と、TII波形と、ABI波形との全体に対して、上述の定義の「○」「△」「×」を組み合わせたイオン電流波形の標準パターン(27種類となる)を予め定義しておき、それらの標準パターンに対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得る方法で得られた波形パターン認識結果に対しても、図15に示した判定条件を適用して、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定することができるのは言うまでもない。
ところで、内燃機関にEGRを導入しない運転条件である場合に、特徴1Hを満足するのは、以下のような理由がある。即ち、特徴1Hは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Aのイオン電流波形は、CRI波形と、TII波形とにピークが発生している燃焼状態であり、区間1と区間2のクランク角度に於いて混合気の燃焼状態が良いことを表している。EGRを導入しないと燃焼状態がよくなるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Aの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関にEGRを導入して最適な運転条件である場合に、特徴2Rを満足するのは、以下のような理由がある。即ち、特徴2Rは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Bのイオン電流波形は、CRI波形にのみにピークが発生している燃焼状態であり、区間2の混合気の燃焼状態が比較的悪いことを表している。EGRを最適な状態で導入すると、EGRを導入しない場合に比較すると燃焼状態が悪くなるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Bの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
更に、内燃機関にEGRを導入してEGR燃焼限界の運転条件である場合に、特徴2Gを満足するのは、以下のような理由がある。即ち、特徴2Gは、組み合わせ名:Dのイオン電流波形が出現するという事象であるが、組み合わせ名:Dのイオン電流波形は、ABI波形が発生する燃焼状態であり、従って、EGR燃焼限界である運転条件であることを表している。
以上の説明では、具体的な例としての説明のために、特定の数値の点火回数や出現回数としているが、図52に示したような特定の数値を用いるだけでなく、判定に用いる点火回数を変更(増加、又は減量)して判定に用いる点火回数に対する百分率で判定しても全く同じ判定結果が得られる。
次に、ECU21に記憶されたプログラムによって実施される上述した燃料性状判定の動作について、フローチャートを用いて詳細に説明する。図53、図54、及び図55は、イオン電流波形パターン判定ルーチンのフローチャートであり、図53と図54とはノード152にて接続され、図54と図55とはノード153により接続されている。図53〜図55によるイオン電流判定ルーチンでは、点火毎のイオン電流を、CRI波形、TII波形、ABI波形毎に「○」、「△」、「×」の波形パターン認識を行うものである。そして後述する図58に示す燃料状態判定ルーチンによってイオン電流波形の波形パターン認識結果から、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定を行う。
先ず、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行さ
れるイオン電流波形パターン判定ルーチンについて、図53のイオン電流波形パターン判定ルーチンを表したフローチャートを用いて説明する。図53に於いて、ステップS102で、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎のイオン電流Iion(i)を検出する。ここで、ion(i)は、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に順番に検出したイオン電流であることを表す。(i)は、現在波形パターンを判定しているイオン電流を検出している気筒の所定のクランク角度を0°CAとして、クランク角度0.5°CA毎に増加する内燃機関のクランク角度を表す。
イオン電流を検出している気筒に関しては、(i)はクランク角度720°CAまで増加
し、クランク角度720°CAになると(i)は再びクランク角度0°CAとなり、このよ
うな動作が内燃機関本体2の回転毎に繰り返される。又、前述の所定のクランク角度0°CAは、イオン電流を検出している気筒の点火時期のタイミングよりも手前のクランク角度である。点火時期はイオン電流を検出している気筒の点火毎に最適な運転状態となるようにECU21の機能によって変更されるので、前述の所定のクランク角度0°CAは、設定され得る最も早いタイミングの点火時期よりも充分早いタイミングに設定されている。
次に、ステップS103に進み、イオン電流差分dIion(i)を検出する。dIion(i)は、ステップS102で検出したイオン電流Iion(i)とクランク角度0.5°CA前に検出したイオン電流Iion(i)とIion(i−1)との差分を演算した値、即ち、
dIion(i)=Iion(i)−Iion(i−1)
を代入して得た値である。ただし、[i=1]の場合のみは[Iion(i−1)−Ii
on(i)]として演算することとする。このイオン電流差分dIion(i)は、後述
する図56,図57のイオン電流ピーク判定ルーチンで用いるもので、検出したイオン電流波形のピーク判定に使用するものである。
次に、ステップS104に進み、現在のクランク角度が区間1にあるか否かを判定する(区間1判定)。即ち、このステップS104は、イオン電流がCRI波形であるか否か
を判定するステップである。イオン電流は、点火終了後に検出ができるので、区間1は、点火毎に変化する点火時期より所定のクランク角度dCRK0を経過したクランク角度の位置から開始する。区間の開始を行うクランク角度は、以降の連続する区間2も区間3も同様に計測している燃焼の点火時期を基準として決まる。即ち、現在のクランク角度が区間1にあることは、現クランク角度(i)が[dCRK0+点火時期]以上で[dCRK1+点火時期]未満であることにより判定する。ここで、[dCRK1+点火時期]は区間2が開
始するクランク角度である。
ステップS104に於いて現在のクランク角度(i)が区間1にないと判定したときは、
Nに進みノード152を経て図54に示すステップS113の区間2の判定に進み、現在のクランク角度(i)が区間1にあると判定したときは、Yに進みステップSW105に進
む。
次にステップS105では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンが「×」であるか否かを判定する(×判定)。CRI波形の波形パターンが「×」であるとするには、図46に示すように「イオン電流が発生していない」ことが判定条件であるが、定常的なノイズが重畳する可能性を考慮してイオン電流Iion(i)が比較的小さく「0」に近い所定値Ijbk1未満の場合に「×」であると判定する。即ち、イオン電流Iion(i)がIjbk1未満の場合には、Nに進みステップS106に進む。イオン電流Iion(i)がIjbk1以上の場合には、Yに進みステップS108に進む。
次にステップS106では、区間1のクランク角度に入ってから一度も波形パターン認識の判定をしていないことをチェックする(未判定チェック)。区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターン認識結果(以下、CRI波形パターン認識結果と称する)はRjkl(ns)として記憶するが、イオン電流波形の波形パターン認識を行っている点火回数nsに於いてイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合は、CRI波形パターン認識結果を[Rjkl(ns)=0]としておく。
従がって、CRI波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=0]となっていることにより、点火回数nsに於いてはまだイオン電流波形の波形パターン認識を行っていないことをチェックすることができる。尚、点火回数nsは初期値1から始まり、後述するステッ
プS135に於いてイオン電流波形の波形パターン認識が完了する毎に更新していく。ステップS106では、CRI波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=0]でない場合は、Nに進みノード152を経て図54に示すステップS113へ進み、区間1での波形パターン認識処理を終了する。CRI波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=0]である場合は、Yに進みステップS107に進む。
次にステップS107では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンは「×」であり、かつ点火回数nsに於いて区間1のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合であるので、区間1のCRI波形パターン認識結果を[Rjkl(ns)=1]に設定し、Nに進みノード152を経て図54に示すステップS113へ進み、区間1でのCRI波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS105に於いて区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンが「×」でないと判定した場合は、YとなりステップS108に進んでおり、ステップS108では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定していないことをチェックする(○判定してないチェック)。区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定していないことの認識は、区間1のCRI波形パターン認識結果Rjk1(ns)に記録されており、Rjkl(ns)≠3であることにより判定することができる。
他方、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定していることの認識は、図9に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことにより判定することができる。この判定方法については、後述するステップS110、即ちそのステップS110の詳細を示す図56のイオン電流ピーク判定ルーチンで具体的に説明する。
ステップS108でCRI波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=3]であると判定した場合は、Nに進む。即ち、一度でも区間1のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定すれば、現在検出している点火回数nsのイオン電流波形は「○」判定であり、「△」判定や再び「○」判定をする必要はないので、Nに進みノード152を経て図54に示すステップS113に進む。ステップS108でCRI波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)≠3]であると判定した場合は、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形は「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、Yに進みステップS109へ進む。
ステップS109では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンは「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、区間1の判定
結果、即ちCRI波形パターン認識結果を[Rjkl(ns)=2]を設定してステップS110に進む。
ステップS110では、図56に示すイオン電流値判定ルーチンへ進み、現在のイオン電流Iion(i)に於いてイオン電流波形のピークの有無を判定し、そのイオン電流値判定ルーチンに於いてイオン電流波形にピークがあると判定した場合(以下、イオン電流波形ピーク認識結果と称する)には、Rjmk(i)に「1」を設定する。イオン電流波形にピークがないと判定した場合には、イオン電流波形ピーク認識結果Rjmk(i)に「0」を設定する。図56のイオン電流値判定ルーチンの動作については後述する。ステップS110の処理の後、ステップS111に進む。
次にステップS111では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンが「○」であるか否かを判定する(○判定)。波形パターン認識結果が「○」であると判定するのは、図46に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことであるので、ステップS110での判定結果は、イオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)=1]の場合である。故に、イオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)=1]である場合には、Yへ進みステップS112に進む。
ステップS111でイオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)≠1]と判定した場合は、イオン電流波形にピークが無かったことを示すので、Nへ進みノード152を経て図54に示すステップS113へ進み、区間1での波形パターン認識処理を終了する。即ち、ステップS111に於いてNへ進んだ場合は、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンは、「×」判定でなく、かつ「○」判定でないので、ステップS109で設定した区間1が「△」判定であるとしてCRI波形パターン認識結果[Rjkl(ns)=2]を保持し、確定する。そして、区間1でのCRI波形パターン認識処理を終了する。
ステップS112では、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちCRI波形の波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定でもなく、「○」判定であることが明らかになったので、区間1の判定結果であるCRI波形パターン認識結果を[Rjkl(
んs)=3]を設定して、ノード152を経て図54に示すステップS113に進み、区
間1での波形パターン認識処理を終了する。
次に、図54に於けるステップS113から始まる区間2のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理について説明する。CRI波形の波形パターン認識条件とTII波形の波形パターン認識条件は同一であるので、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理についての説明は、区間1のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理の説明とほぼ同じであるが、以下に詳細に説明する。
ステップS113では、現在のクランク角度が区間2にあることを判定する(区間2判定)。即ち、ステップS113は、イオン電流がTII波形であるか否かを判定するステップである。現在のクランク角度が区間2にあることは、現クランク角度(i)が[dCrkl+点火時期]以上で且つ[dCrk2+点火時期]未満であることにより判定する。ここで、[dCRK2+点火時期]は区間3が開始するクランク角度である。現在のクランク角度が
区間2にないと判定したときは、Nに進みノード153を経て図55に示すステップS122の区間3判定に進む。現在のクランク角度が区間2にあると判定したときは、Yに進みステップS114に進む。
次にステップS114では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターンが「×」であるか否かを判定する(×判定)。TII波形の波形パターンが「×」であるための判定条件は、図46示すようにイオン電流が発生していないということであるが、定常的なノイズが重畳する可能性を考慮して、イオン電流Iion(i)が比較的小さく「0」に近い所定値Ijbk2未満の場合に「×」であると判定する。即ち、イオン電流Iion(i)がIjbk2未満の場合には、Nに進みステップS115に進む。イオン電流Iion(i)がIjbk2以上の場合には、Yに進みステップS117に進む。
次にステップS115では、区間2のクランク角度に入ってから一度も波形パターン認識の判定をしていないことをチェックする(未判定チェック)。区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターン認識結果(以下、TII波形パターン認識結果と称する)はRjk2(ns)として記憶するが、イオン電流波形の波形パターン認識を行っている点火回数nsに於いてイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合は、TII波形パターン認識結果は[Rjk2(ns)=0]としておく。
TII波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=0]となっていることにより、点火回数nsに於いてはまだイオン電流波形の波形パターン認識を行っていないことがチェックできる。ステップS115では、TII波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=0]でない場合は、Nに進みノード153を経て図55のステップS122へ進み、区間2でのTII波形パターン認識処理を終了する。TII波形パターン認識結果が[Rjk2(
ns)=0]である場合は、Yに進みステップS116に進む。
次に、ステップS116では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターンは「×」であり、かつ点火回数nsに於いて区間2のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合であるので、区間2のTII波形パターン認識結果を[Rjk2(ns)=1]に設定し、Nに進みノード153を経てステップS122へ進み、区間2でのTII波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS114で区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターンが「×」でないと判定した場合はステップS117に進んでいるので、ステップS117では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定してないことをチェックする(○判定してないチェック)。区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定していないことは、区間2のTII波形パターン認識結果Rjk2(ns)に記録されており、TII波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)≠3]であることにより判定できる。区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」判定であることは、図46に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことである。この判定方法は後述するステップS119、即ち図56のイオン電流ピーク判定ルーチンで具体的に説明する。ステップS117でTII波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=0=3]であると判定した場合は、Nに進む。
即ち、一度でも区間2のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定すれば、現在検出している点火回数nsのイオン電流波形は「○」判定であり、「△」判定や再び「○」判定をする必要はないので、Nに進みノード153を経て図55に示すステップS122に進む。ステップS117でTII波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)
≠3]であると判定した場合は、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形は「×」判
定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、Yに進みステップS118へ進む。
ステップS118では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちイオン電流波形TIIの波形パターンは「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、区
間2の判定結果であるTII波形パターン認識結果を[Rjk2(ns)=2]を設定してステップS119に進む。
ステップS119では、図56のイオン電流値ピーク判定ルーチンへ進み、現在のイオン電流Iion(i)に於いてイオン電流波形のピークの有無を判定し、イオン電流波形にピークがあると判定した場合には、イオン電流波形ピーク認識結果Rjmk(i)に「1」を設定する。イオン電流波形にピークがないと判定した場合には、イオン電流波形ピーク認識結果Rjmk(i)に「0」を設定する。ステップS119の処理の後、ステップS120に進む。
次にステップS120では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターンが「○」であるか否かを判定する(○判定)。TII波形パターン認識結果が「○」であると判定するのは、図46に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことであるので、ステップS119でのイオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)=1]の場合である。故に、イオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)=1]である場合には、Yへ進みステップ121に進む。
ステップS120でイオン電流波形ピーク認識結果をRimk(i)≠1と判定した場合は、イオン電流波形にピークが無かったことになるので、Nへ進みノード153を経て図55に示すステップS122へ進み、区間2でのTII波形パターン認識処理を終了する。即ち、Nへ進んだ場合は、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターンは、「×」判定でなく、かつ「○」判定でないので、ステップS118で設定した区間2が「△」である判定結果、即ちTII波形パターン認識結果を[Rjmk2(ns)=2]として保持し、確定する。そして、区間2でのTII波形パターン認識処理を終了する。
ステップS121では、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちTII波形の波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定でもなく、「○」判定であることが明らかになったので、区間2の判定結果であるTII波形パターン認識結果を[Rjk2(
ns)=3]を設定して、ノード153を経て図55に示すステップS122に進み、区間2
でのTII波形パターン認識処理を終了する。
次に、図55に示すステップS122から始まる区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンの波形パターン認識処理について説明する。ABI波形の波形パターン認識条件もTII波形の波形パターン認識条件と同一であるので、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理についての説明は、区間2のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識処理の説明とほぼ同じであるが、以下に詳細に説明する。
図55に於いて、ステップS122では、現在のクランク角度が区間3にあることを判定する(区間3判定)。即ち、ステップS122は、イオン電流がABI波形であるか否かを判定するステップである。現在のクランク角度が区間3にあることは、現クランク角度(i)が[dCrk2+点火時期]以上で且つ[dCRK3+点火時期]未満であることによ
り判定する。ここで、[DcRK3+点火時期]は、区間3が終了するクランク角度である。現在のクランク角度(i)が区間3にないと判定したときは、Nに進みステップS132の区間3終了直後判定に進む。現在のクランク角度が区間3にあると判定したときは、Yに進みステップS124に進む。
次に、ステップS124では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンが「×」であるか否かを判定する(×判定)。ABI波形の波形パ
ターンが「×」であることは、図46に示すように「イオン電流が発生していない」ことが判定条件であるが、定常的なノイズが重畳する可能性を考慮して比較的小さく「0」に近い所定値Ijbk3未満の場合に「×」であると判定する。即ち、イオン電流Iion(i)がIjbk3未満の場合には、Nに進みステップS125に進む。イオン電流Iion(i)がIjbk3以上の場合には、Yに進みステップS127に進む。
次にステップS125では、区間3のクランク角度に入ってから一度も波形パターン認識の判定をしていないことをチェックする(未判定チェック)。区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターン認識結果(以下、ABI波形パターン認識結果と称する)としてRjk3(ns)に記憶するが、イオン電流波形の波形パターン認識を行っている点火回数nsに於いてイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合は、ABI波形パターン認識結果としての[Rjk3(ns)=0]としておく。ABI波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=0]となっていることにより、点火回数nsに於いてはまだイオン電流波形のABI波形パターン認識を行っていないことがチェックできる。ステップS125では、ABI波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=0]でない場合は、Nに進みステップS132へ進み、区間3でのABI波形パターン認識処理を終了する。ABI波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=0]である場合は、Yに進みステップS126に進む。
次に、ステップS126では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンは「×」であり、かつ点火回数nsに於いて区間3のクランク角度にあるイオン電流波形の波形パターン認識を行っていない場合であるので、区間3の判定結果であるABI波形パターン認識結果をRjk3(ns)=1に設定し、Nに進みステップS132へ進み、区間3でのABI波形パターン認識処理を終了する。
次に、ステップS124に於いて区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンが「×」でないと判定した場合はステップS127に進んでいるので、ステップS127では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定してないことをチェックする(○判定してないチェック)。区間3のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」と判定していないことは、区間3のABI波形パターン認識結果Rjk3(ns)に記録されており、ABI波形パターン認識結果が[Rjk3(ns
)≠3]であることにより判定できる。
区間3のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」判定であることは、図46に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことである。この判定方法は、後述するステップS129、即ち図56のイオン電流ピーク判定ルーチンで具体的に説明する。ステップS124でABI波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=3]であると判定した場合は、Nに進む。
即ち、一度でも区間3のクランク角度にあるイオン電流波形が「○」であると判定すれば、現在検出している点火回数nsのイオン電流波形は「○」判定であり、「△」判定や再び「○」判定をする必要はないので、Nに進みステップS132に進む。ステップS124でABI波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)≠3]であると判定した場合は、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形は「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、Yに進みステップS128へ進む。
ステップS128では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンは「×」判定ではなく、少なくとも「△」判定であるので、区間3の判定結果であるABI波形パターン認識結果を[Rjk3(ns)=2]を設定してステップS129に進む。
ステップS129では、図56のイオン電流値判定ルーチンへ進み、現在のイオン電流Iion(i)に於いてイオン電流波形のピークの有無を判定し、イオン電流波形にピークがあると判定した場合には、イオン電流波形ピーク認識結果Rjmk(i)に「1」を設定する。イオン電流波形にピークがないと判定した場合には、イオン電流波形ピーク認識結果Rjmk(i)に「0」を設定する。ステップS129の処理の後、ステップS130に進む。
次に、ステップS130では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンが「○」であるか否かを判定する(○判定)。波形パターン認識結果が「○」であると判定するのは、図46に示すように「イオン電流が発生し、波形にはっきりとしたピークが現れている」ことであるので、ステップS129での判定結果イオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)=1]の場合である。故に、イオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)=1]である場合には、Yへ進みステップS131に進む。ステップS130でイオン電流波形ピーク認識結果が[Rjmk(i)≠1]であると判定した場合は、イオン電流波形にピークが無かったので、Nへ進みステップS132へ進み、区間3でのABI波形パターン認識結果処理を終了する。
ステップS130に於いてNへ進んだ場合は、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンは、「×」判定でなく、かつ「○」判定でないので、ステップS128で設定した区間3が「△」であるとの判定結果、即ちABI波形パターン認識結果を[Rjmk3(ns)=2]に保持し、確定する。そして、区間3でのABI波形パターン認識処理を終了する。
ステップS131では、区間3のクランク角度にあるイオン電流波形、即ちABI波形の波形パターンは「×」判定ではなく、「△」判定でもなく、「○」判定であることが明らかになったので、区間3の判定結果であるABI波形パターン認識結果を[Rjmk3
(ns)=3]を設定して、ステップS132に進み、区間3でのABI波形パターン認
識処理を終了する。
ステップS132では、現クランク角度(i)が区間3の終了直後のクランク角度にある
否かを判定する(区間3終了直後判定)。現クランク角度(i)が[dCrk3+1+点火時期]に等しいと判定した時には、現クランク角度(i)は区間3の終了直後のクランク角度であると判定し、Yへ進みステップS134へ進む。現クランク角度(i)が[dCrk
3+1+点火時期]に等しくないと判定した時には、Nへ進みリターンへ進み処理を終了
する。
ステップS134では、点火回数nsに於いて、区間1から区間3までのイオン電流波形の波形パターン認識が完了したので、点火回数nsに於ける、CRI波形とTII波形とABI波形についての波形パターン認識結果「×」「△」「○」の組み合わせ名を判定する。その判定方法の詳細については後述るが、図59に示すイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンによる判定方法により、CRI波形とTII波形とABI波形についての波形パターン認識結果「×」「△」「○」の組み合わせ名が、「A」か「B」か「C」か「D」かについて判定した後、ステップS135へ進む。
最後に、ステップS135では、点火回数を更新するために、nsに[ns+1]を設定する。そして、リターンへと進み、点火回数nsでのイオン電流波形パターンの判定を終了する。即ち、ステップS135を経過した以降は、点火回数nsでのイオン電流波形パターン判定は完了していることとなる。
前述の図53〜図55に示すフローチャートに基づく説明では、イオン電流値ピーク判定ルーチンとイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンの処理についての説明を保留していたので、次にそれらについて説明する。先ず、図56及び図57に基づいてイオン電流値ピーク判定ルーチンの動作について説明する。
最初に、「イオン電流波形がピークを持つ状態」を定義する。今、イオン電流値は、内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に計測されている。イオン電流値の増減は、クランク角度(i)とクランク角度(i−1)の差分で判断するこ
とができる。イオン電流値の増減は、図53のステップS103にて演算されているイオン電流差分dIion(i)に記憶されている。そこで、イオン電流差分dIion(i)とその経緯を用いて「イオン電流波形がピークを持つ状態」を以下のように定義する。
先ず、「イオン電流波形がピークを持つ状態」とは、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合が「イオン電流波形がピークを持つ状態」と定義する。
次に、イオン電流差分dIion(i)は増加も減少もしない「増減なし」の場合も存在する。この状態が発生した場合でも、イオン電流差分dIion(i−2)が「増加」してイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合も「イオン電流波形がピークを持つ状態」と定義する。しかし、イオン電流dIion(i)がゆっくりと変化する場合には、クランク角度でいくつかの期間連続して「増減なし」となる場合もある。例えば、「増減なし」であるクランク角度が2回続いた場合には、イオン電流差分dIion(i−3)が「増加」してイオン電流差分dIion(i−2)が「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合がこれに該当する。
この場合も、「イオン電流波形がピークを持つ状態」であると言えるので、「イオン電流波形がピークを持つ状態」の定義に追加する。しかしながら、あまりにもイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」である状態が続くと「イオン電流波形がピークを持つ状態」とは言えないので、イオン電流差分dIion(i)が「増減なし」である状態が続く回数に制限を設けて判定する必要がある。その所定回数をKcjdim回とする。即ち、「イオン電流がピークを持つ状態」とは、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−(Kcjdim))からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合に、「イオン電流波形がピークを持つ状態」と定義する。
以上述べた「イオン電流波形がピークを持つ状態」の2種類の定義に基づき、
ピーク1:イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合。
ピーク2:イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−(Kcjdim))からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが「増減なし」となりイオン電流差分dIion(i)が「減少」した場合。
をクランク角度(i)に於いて「イオン電流波形がピークを持つ状態」があったと判定する。
上記の定義に従ったイオン電流値ピーク判定を、図56及び図57に示すフローチャートに従って具体的に説明する。尚、図56と図57に示すフローチャートは、夫々ノード
252、253により接続されている。
図56に於いて、先ず、ステップS201にて、イオン電流値の「増減なし」を判定する(イオン電流値増減判定)。イオン電流は増減していないにも関わらず、ノイズ等の影響により、イオン電流差分dIion(i)が増減、即ち「0」でなく正負の値を示す場合がある。そこで、イオン電流差分dIion(i)が、Ijm(<0)よりも大きく、Ijp(>0)よりも小さい場合は、イオン電流差分dIion(i)は「増減なし」として判定することにする。即ち、ステップS201に於いて、dIion(i)dIion(i)>Ijp、又はImj>dIion(i)であるかを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i)が、Ijm(<0)よりも大きく、Ijp(>0)よりも小さい場合には、Nへ進み、ステップS202へ進む。又、判定の結果、イオン電流差分dIion(i)が、Iip(>0)よりも大きく、又はIjm(<0)よりも小さい場合には、Yへ進み、ステップS203へ進む。
次に、ステップS202では、ステップS201にて、イオン電流差分dIion(i)は「増減なし」として判定されたので、イオン電流増減なしを[Rjdi(i)=0]として記憶する。そして、ステップS206へ進む。
次にステップS203にて、イオン電流値の「増加」を判定する(イオン電流値増加判定)。即ち、ステップS203に於いて、[dIion(i)>Ijp]であるか否かを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i)がIjp(>0)以上の場合には、Yへ進み、ステップS204へ進む。又、判定の結果、イオン電流差分dIion(i)が、Ijp(>0)よりも小さい場合には、Nへ進み、ステップS205へ進む。
次にステップS204では、ステップS203にて、イオン電流差分dIion(i)は「増加」したと判定されたので、イオン電流増加を[Rjdi(i)=1]として記憶する。そして、ステップS206へ進む。
次にステップS205では、ステップS203にて、イオン電流差分dIion(i)は「増加」しなかった」と判定された、即ち、イオン電流差分dIion(i)は「減少」したと判定されたので、イオン電流減少を[Rjdi(i)=−1]として記憶する。そして、ステップS206へ進む。
次に、ステップS206以降のステップでは、イオン電流の増減に応じて「イオン電流値がピークを持つ状態」を判定する。先ず上述した「ピーク1」の場合を判定する。即ち、ステップS206はイオン電流値ピーク判定1を行うもので(イオン電流値ピーク判定1)、[Rjdi(i−1)=1]で、且つ[Rjdi(i)=−1]であるか否かを判定する。判定の結果、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が減少した場合には、[Rjdi(i−1)=1]で、且つ[Rjdi(i
)=−1]が成立するので、Yへ進み、ステップS207へ進む。又、判定の結果、[Rjdi(i−1)=1]で、且つ[Rjdi(i)=−1]が成立しなかった場合には、Nへ
進み、ステップS209へ進む。
次に、ステップS207では、ステップS206にて、イオン電流差分dIion(i−1)が増加してイオン電流差分dIion(i)が減少し、イオン電流値がピークを持つ状態と判定したので、イオン電流ピーク有りという判定状態を[Rjmk(i)=1]として記憶する。そして、ステップS208へ進む。
次に、ステップs208では、上述した「ピーク2」の場合を判定するために、イオン電流差分dIion(i)が「増減なし」となった回数を計数するための増加中カウンタ
Cjdiをリセットする。即ち、イオン電流差分dIion(i−(X+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−X))からイオン電流差分dIion(i)までのX個が「増減なし」となっていないので、増加中カウンタを[Cjdi=0]に設定する。尚、この増加中カウンタCjdiの使い方については、後述する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定のルーチンを終了する。
次に、ステップS209以降のステップでは、上述したピーク2の場合を判定する。即ち、ステップS209はイオン電流値ピーク判定2を行うもので、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i)dIion(i-(Kcjdim))からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが増減なしとなりイオン電流差分dIion(i)が減少した場合か否かを判定する。先ず、ステップS209に於いては、[Rjdi(i−1)=0]で、且つ[Rjdi(i)=−1]であるか否かを判定する(イオン電流値ピーク判定2)。
これは、イオン電流差分dIion(i−1)が増減なしの状態からイオン電流差分dIion(i)が減少した状態であり、上述したピーク2の場合が完了する状態に該当している。判定の結果、イオン電流差分dIion(i−1)が増減なしとなった場合には、[Rjdi(i−1)=0]で、且つ[Rjdi(i)=−1]が成立するので、Yへ進み、ステップS210へ進む。又、判定の結果、[Rjdi(i−1)=0]で、且つ[Rjdi(i)=−1]が成立しなかった場合には、Nへ進み、ノード252を介して図57に示すステップS214へ進む。
次にステップS210では、イオン電流値ピーク判定3として、上述したピーク2の場合が完了する状態に該当しているか否かを判定する(イオン電流値ピーク判定3)。即ち、イオン電流差分dIion(i−(Kcjdim+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−(Kcjdim)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが増減なしとなりイオン電流差分dIion(i)が減少した場合に該当するイオン電流差分dIion(i−1)が「増減なし」の状態からイオン電流差分dIion(i)が減少した状態か否かを判定する。
後述する増加中カウンタCjdiには、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−(Cjdi))からイオン電流差分dIion(i−1)まで「増減なし」の状態が継続した回数が記憶されている。即ち、ステップS210では、[Kcjdim>Cjdi]で、且つ[Cjdi>0]であるか否かを判定する。判定の結果、[Kcjdim>Cjdi]で、且つ[Cjdi>0]が成立した場合には、Yへ進み、ステップS211へ進む。又、判定の結果、[Kcjdim>Cjdi]、又は[Cjdi>0]が成立しなかった場合には、Nへ進み、ステップS213へ進む。
次に、ステップS211では、ステップS210にて、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが増減なしとなりイオン電流差分dIion(i)が減少してイオン電流値がピークを持つ状態と判定したので、イオン電流ピーク有りという判定状態を[Rjmk(i)=1]として記憶する。そして、ステップS212へ進む。
次に、ステップS212では、上述したピーク2の場合を判定するために、イオン電流差分dIion(i)が増減なしとなった回数を計数するための増加中カウンタCjdi
をリセットする。即ち、イオン電流差分dIion(i−(X+1))が「増加」してイオン電流差分dIion(i−X)からイオン電流差分dIion(i)までのX個が増減なしという状態に該当していないので、増加中カウンタを[Cjdi=0]に設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、イオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次に、ステップS213では、ステップS210にて、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個より多く増減なしとなりイオン電流差分dIion(i)が減少した状態であるか、或いはイオン電流差分dIion(i−(X+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−X)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個以下までが増減なしとなった状態に該当せずにイオン電流差分dIion(i−1)が増減なしとなりイオン電流差分dIion(i−1)が減少した状態であるかのいずれかであるので、「イオン電流値がピークを持つ状態ではない」と判定したので、イオン電流ピークなしという判定状態を[Rjmk(i)=0]として記憶する。
以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、イオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定が終了したのでリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
前述のステップS206乃至ステップS213に示したイオン電流値ピーク判定1〜イオン電流値ピーク判定3に於いて、前述のピーク1かピーク2の状態に該当してイオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定は終了しているので、ノード252を介して連続する図57に示すステップS214以降のステップでは、上述したピーク2の場合が始まる状態であるイオン電流差分dIion(i−1)が増加してイオン電流差分dIion(i)が増減なしとなった状態であるか、イオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)が連続して増減なしとなった状態であるかを判定する。
即ち、図57に於いて、先ず、ステップS214では、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が増減なしとなった状態か否かを判定する(イオン電流値ピーク判定4)。判定の結果、イオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が増減なしとなった場合には、[R
jdi(i−1)=1]で、且つ[Rjdi(i)=0]が成立するので、Yへ進み、ステ
ップS215へ進む。又、判定の結果、[Rjdi(i−1)=1]で、且つ[Rjdi(
i)=0]が成立しなかった場合には、Nへ進み、ステップS217へ進む。
次に、ステップS215では、上述したピーク2の場合を判定するために、イオン電流差分dIion(i)が増減なしとなった回数を計数するための増加中カウンタCjdiをセットする。即ち、上述したピーク2の場合が始まる状態であるイオン電流差分dIion(i−1)が「増加」してイオン電流差分dIion(i)が増減なしとなった状態であるので、[Cjdi=1]を設定する。そして、ステップS216へ進む。
ステップS209までのステップで上述したピーク1かピーク2の状態に該当してイオン電流値がピークを持つ状態である場合の判定は終了しているので、イオン電流値がピークを持つ状態ではない。故にステップS216では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピーク無しという判定状態を[Rjmk(i)=0]として記憶する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、イオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定が終了したので、ノード253を介して図56
に示すリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次にステップS217では、イオン電流値ピーク判定5として、イオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)が連続して増減なしとなった状態であるかを判定する(イオン電流値ピーク判定5)。判定の結果、[Rjdi(i−1)=0]で、且つ[Rjdi(i)=0]が成立した場合には、Yへ進み、ステップS218へ進む。又、判定の結果、[Rjdi(i−1)=0]で、且つ[Rjdi(i)=0]が成立しなかった場合には、Nへ進み、ステップS225へ進む。
増加中カウンタCjdiには、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi))からイオン電流差分dIion(i−1))まで増減なしの状態が継続した回数が記憶されているので、増加中カウンタが[Cjdi=0]であれば、上述したピーク2の場合に該当するイオン電流差分dIion(i−1))とdIion(i)が連続して増減なしの状態でないことが判る。ステップS222にて後述するが、増加中カウンタCjdiは、イオン電流差分dIion(i−Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi))からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個よりも大きくなった場合にも増加中カウンタが[Cjdi=0]となるように設定されているので、上述したピーク2の場合に該当するイオン電流差分dIion(i−1)とdIion(i)が連続して増減なしの状態でないことになる。
故にステップS218では、イオン電流値ピーク判定6として、上述したピーク2の場合に該当してイオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)が連続して「増減なし」となった状態であるか否かを判定するために、増加中カウンタが[
Cjdi=0]であるか否かを判定する(イオン電流値ピーク判定6)。即ち、判定の結
果、[Cjdi=0]が成立した場合には、Yへ進み、ステップS219へ進む。又、判定の結果、[Cjdi=0]が成立しなかった場合には、Nへ進み、ステップS220へ進む。
ステップS209までのステップで上述したピーク1かピーク2の状態に該当して「イオン電流値がピークを持つ状態である」場合の判定は終了しているので、イオン電流値がピークを持つ状態ではない。故にステップS219では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態を[Rjmk(i)=
0]として記憶する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて
、「イオン電流値がピークを持つ状態」か否かの判定が終了したので、ノード253を介して図19に示すリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
次にステップS220では、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i)まで増減なしの状態が継続した回数がKcjim回よりも多くなったか否かを判定する(イオン電流値ピーク判定7)。即ち、その判定の結果、[Cjdi>Kcjim]が成立した場合には、Yへ進み、ステップS221へ進む。又、判定の結果、[Cjidi>Kcjim]が成立しなかった場合には、Nへ進み、ステップS223へ進む。
ステップS209までのステップで上述したピーク1かピーク2の状態に該当してイオン電流値がピークを持つ状態である場合の判定は終了しているので、イオン電流値がピークを持つ状態ではない。故にステップS221では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態を[Rjmk(i)=0]として記憶する。そして、ステップS222へ進む。
増加中カウンタCjdiは、イオン電流差分dIion(i−Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)までのKcjdim個よりも大きくなった場合にも増加中カウンタ[Cjdi=0]となるように設定してイオン電流値がピークを持つ状態ではないという判定結果を表すようにしている。故に、ステップS222では、増減中カウンタを[Cjdi=0]に設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、イオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定が終了したので、ノード253を介して図56に示すリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
ステップS209までのステップで上述したピーク1かピーク2の状態に該当してイオン電流値がピークを持つ状態である場合の判定は終了しているので、イオン電流値がピークを持つ状態ではない。故にステップS223では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態を[Rjmk(i)=0]として記憶する。そして、ステップS224へ進む。
増加中カウンタCjdiは、イオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)まで増減なしの状態が継続した回数が記憶されているので、今回のイオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてイオン電流差分dIion(i−1)とdIion(i)が連続して増減なしの状態なった結果を加算して次回のイオン電流Iion(i+1)を計測したタイミングに於いて増加中カウンタCjdiがイオン電流差分dIion(i−(Cjdi+1))が増加してイオン電流差分dIion(i−Cjdi)からイオン電流差分dIion(i−1)まで増減なしの状態が継続した回数を表すように設定する必要がある。
故に、ステップS224では、増加中カウンタCjdiをインクリメントするために、増減中カウンタを[Cjdi=Cjdi+1]に設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、イオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定が終了したので、ノード253を介して図56に示すリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
ステップS209までのステップで上述したピーク1かピーク2の状態に該当してイオン電流値がピークを持つ状態である場合の判定は終了しているので、イオン電流値がピークを持つ状態ではない。故にステップS225では、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いてはイオン電流ピークなしという判定状態を[Rjmk(i)=0]として記憶する。そして、ステップS226へ進む。
ステップS217までのステップに於いて、イオン電流差分dIion(i)までの経緯が、上述したピーク1かピーク2の状態に該当する一部であるイオン電流差分dIion(i−1)とイオン電流差分dIion(i)の経緯にあてはまらないことが判る。故にステップS226では、イオン電流Iion(i+1)を計測したタイミングに於いてイオン電流差分dIion(i)とdIion(i+1)が連続して増減なしの状態になったとしても「イオン電流値がピークを持つ状態」ではないので、増減中カウンタを[Cjdi=0]に設定する。以上で、イオン電流Iion(i)を計測したタイミングに於いて、イオン電流値がピークを持つ状態か否かの判定が終了したので、ノード253を介して図19に示すリターンへ進み、イオン電流値ピーク判定ルーチンを終了する。
以上、図56及び図57に基づいて、イオン電流値ピーク判定ルーチンの動作について説明した。次に、図59〜図67に基づいて、前述の図53のフローチャートに基づく説明では説明を保留したイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンの処理について説明す
る。尚、図22乃至図30に示すフローチャートは、夫々、ノード191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202に於いて相互に接続されているものである。
図59乃至図67に示すイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンでは、図53のイオン電流波形パターン判定ルーチンに於いて点火回数ns毎に判定したCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果「○」「△」「×」の組み合わせが、図51に定義した組み合わせ名A、B、C、D、E、Fのいずれの組み合わせ条件に一致するかを判定する。
先ず、図59に於いて、先ずステップS501では、CRI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(CRI判定1)。即ち、CRI波形の波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS502へ進む。CRI波形の波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ノード191を経て図60に示すフローチャートのステップS518へ進む。
ステップS502では、TII波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(TII判定11)。即ち、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(n
s)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS
503へ進む。TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ノード192を経て図61に示すフローチャートのステップS508へ進む。
ステップS503では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定111)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップ
S504へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS505へ進む。
ステップS504では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「×」×」であるので、図51に示す組み合わせ:Eと判定し、[Rjpr(ns)=5]を設定し、リターンへと進み処理を終わる。
ステップS505では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定112)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S506へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS507へ進む。
ステップS506では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「×」「△」であるので、図51に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=
4]を設定し、リターンへと進み処理を終わる。
ステップS507では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「×」「○」であるので、図51に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=
4]を設定し、ノード193を経て図59のリターンへと進み処理を終わる。
次に、前述のステップS502での判定の結果、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=1]ではなく波形パターン認識結果は「×」ではないとして、Nへ進
み、ノード192を経て図61に示すフローチャートのステップS508へ進むと、ステップS508では、TII波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(TII判定12)。即ち、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップS509へ進む。TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ノード197を経て図62に示すフローチャートのステップS514へ進む。
図61に示すステップS509では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定121)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS510へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS511へ進む。
ステップS510では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「△」×」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS511では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定122)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S512へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS513へ進む。
ステップS512では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「△」「△」であるので、図51に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=
4]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS513では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「△」「○」であるので、図51に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=
4]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
図61に示す前述のステップS508の判定の結果、Nに進み、ノード197を経て図62に示すフローチャートのステップS514へ進むと、ステップS514では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定131)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS515へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS516へ進む。
ステップS515では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「○」×」であるので、図51に示す組み合わせ:Bと判定し、[Rjpr(ns)=2]を設定し、ノード193を経て図22に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS516では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定132)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S517へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS551へ進む。
ステップS517では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「○」「△」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=
3]を設定し、ノード198、及び193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終
わる。
ステップS551では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「×」「○」「○」であるので、図51に示す組み合わせ:Fと判定し、[Rjpr(ns)=
6]を設定し、ノード198、及び193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終
わる。
次に、図59に示す前述のステップS501での判定の結果、Nに進み、ノード191を経て図60に示すフローチャートのステップS518に進むと、ステップS518では、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(CRI判定2)。即ち、CRI波形の波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップS519へ進む。CRI波形の波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ノード194を経て図63に示すフローチャートのステップS535へ進む。
ステップS519では、TII波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(TII判定21)。即ち、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(n
s)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS
520へ進む。TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ノード195を経て図64に示すフローチャートのステップS524へ進む。
ステップS520では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定211)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップ
S521へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS522へ進む。
ステップS521では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△」「×」×」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS522では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定212)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S523へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS552へ進む。
ステップS523では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△」「×」「△」であるので、図51に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=
4]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS552では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△」「×」「○」であるので、図51に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=
4]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
前述のステップS519に於いて、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(
ns)=1]ではなく波形パターン認識結果は「×」ではないと判定してNへ進み、ノー
ド195を経て図64に示すフローチャートのステップS524へ進むと、ステップS524では、TII波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(TII判定22)。即ち、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップS525へ進む。TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ノード199を介して図65に示すフローチャートのステップS530へ進む。
ステップS525では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定221)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップ
S526へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS527へ進む。
ステップS526では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△△×」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS527では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定222)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S528へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS529へ進む。
ステップS528では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△△△」であるので、図14に示す組み合わせ:Dと判定し、[Rjpr(ns)=4]を設定し、ノード193を経て図59のリターンへと進み処理を終わる。
ステップS529では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△△○」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
次に、前述のステップS525に於いて、TII波形の波形パターン認識結果が[Rj
k2(ns)=2]ではなく波形パターン認識結果は「△」ではないと判定して、Nへ進
み、ノード199を介して図65に示すフローチャートのステップS530へ進むと、ステップS530では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定231)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns
)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS5
31へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS532へ進む。
ステップS531では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△○×」であるので、図51に示す組み合わせ:Bと判定し、[Rjpr(ns)=2]を設定し、ノード200、及び193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS532では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定232)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S533へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS534へ進む。
ステップS533では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△○△」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード200、及び193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS534では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「△○○」であるので、図51に示す組み合わせ:Fと判定し、[Rjpr(ns)=6]を設定し、ノード200、及び193を経てリターンへと進み処理を終わる。
次に、前述の図60に示すステップS518にて、CRI波形の波形パターン認識結果が[Rjkl(ns)=2]でなく、波形パターン認識結果は「△」ではないと判定して、Nへ進み、ノード194を経て図63に示すフローチャートのステップS535へ進むと、ステップS535では、TII波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(TII判定31)。即ち、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS536へ進む。TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ノード196を経て図66に示すフローチャートのステップS540へ進む。
ステップS536では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定311)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップ
S537へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS538へ進む。
ステップS537では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○××」であるので、図51に示す組み合わせ:Bと判定し、[Rjpr(ns)=2]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS538では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定312)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S553へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS539へ進む。
ステップS553では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○×△」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS539では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○×○」であるので、図51に示す組み合わせ:Fと判定し、[Rjpr(ns)=6]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
次に、前述のステップS535にて、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2
(ns)=1]でなく、波形パターン認識結果は「×」ではないと判定して、Nへ進み、
ノード196を経て図66に示すフローチャートのステップS540へ進むと、ステップS540では、TII波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(T
II判定32)。即ち、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップS541へ進む。TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ノード201を介して図67に示すフローチャートのステップS546へ進む。
ステップS541では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定321)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップ
S542へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果がRjk3(ns)=1]でない場
合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS543へ進む。
ステップS542では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○△×」であるので、図51に示す組み合わせ:Bと判定し、[Rjpr(ns)=2]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS543では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定322)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(
ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み、ステップ
S544へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS545へ進む。
ステップS544では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○△△」であるので、図51に示す組み合わせ:Cと判定し、[Rjpr(ns)=3]を設定し、ノード193を経て図56に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS545では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○△○」であるので、図51に示す組み合わせ:Fと判定し、[Rjpr(ns)=6]を設定し、ノード193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
次に、前述のステップS540にて、TII波形の波形パターン認識結果が[Rjk2
(ns)=2]でなく、波形パターン認識結果は「△」ではないと判定して、Nへ進み、
ノード201を介して図67に示すフローチャートのステップS546へ進むと、ステップS546では、ABI波形の波形パターン認識結果が「×」であるか否かを判定する(ABI判定331)。即ち、ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]である場合には波形パターン認識結果は「×」であり、Yへ進み、ステップS547へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=1]でない場合には波形パターン認識結果は「×」ではなく、Nへ進み、ステップS548へ進む。
ステップS547では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○○×」であるので、図51に示す組み合わせ:Aと判定し、[Rjpr(ns)=1]を設定し、ノード200、及び193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
ステップS548では、ABI波形の波形パターン認識結果が「△」であるか否かを判定する(ABI判定332)。即ち、イオン電流波形ABIの波形パターン認識結果が[
Rjk3(ns)=2]である場合には波形パターン認識結果は「△」であり、Yへ進み
、ステップS549へ進む。ABI波形の波形パターン認識結果が[Rjk3(ns)=
2]でない場合には波形パターン認識結果は「△」ではなく、Nへ進み、ステップS55
0へ進む。
ステップS549では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○○△」であるので、図51に示す組み合わせ:Fと判定し、[Rjpr(ns)=6]を設定し、ノード193を経てリターンへと進み処理を終わる。
ステップS55では、CRI波形とTII波形とABI波形の組み合わせが、「○○○」であるので、図51に示す組み合わせ:Fと判定し、[Rjpr(ns)=6]を設定し、ノード202、及び193を経て図59に示すリターンへと進み処理を終わる。
以上で、前述の図53〜図55に示すイオン電流波形パターン判定ルーチン、及び図56〜図57に示すイオン電流値ピーク判定ルーチン、並びに図59〜図67に示すイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンによって、点火毎のイオン電流をCRI波形、TII波形、ABI波形毎に「○」、「△」、「×」の波形パターンを認識する方法についての説明が終了した。
次に、図58に示す燃焼状態判定ルーチンによってイオン電流波形の波形パターン認識結果から、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態判定の説明を行う。図58のフローチャートに示す燃焼状態判定ルーチンは、点火回数毎に実行される。図58に於いて、ステップS302にて、前述の図52によるイオン電流波形の波形パターン認識結果出現回数を判定することができる点火回数Kjfpn回であるか否かを判定する。Kjfpn回は、図52に示すような出現回数を計数できる点火回数であるので、例えば12点火回数である。このように、Kjfpn回は、燃焼状態を判定する特徴に応じて決定する。そして、点火回数nsがKjfpn回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。点火回数nsがKjfpn回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS303の出現回数計数ルーチンに進む。
ステップS303では、点火回数Kfjpn回までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、組み合わせ名:B、組み合わせ名:C、組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。計数方法は、図68及び図69に示す出現回数計数ルーチンのフローチャートに従って、詳細に後述する。図58に於いて、ステップS303にて出現回数を計数した後、ステップS304へ進む。
ステップS304では、点火回数Kjfpn回までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、組み合わせ名:B、組み合わせ名:C、組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの、夫々の出現回数から、図52に述べた内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の特徴に一致するか否かにより燃焼状態を判定する。燃焼状態の判定方法は、図70に示す燃焼状態特徴判定ルーチンのフローチャートに従って、詳細に後述する。図58のステップS304にて、燃焼状態を判定を完了することにより、ECU21に記憶されたプログラムによって実施された内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態判定の動作が全て完了する。即ち、リターンへ進み、燃焼状態判定の動作が終了する。
さて、前述の図58に示すフローチャートの説明では、図68及び図69に示すイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチンと、図70及び図71に示す燃焼状態特徴判定ルーチンの処理について説明を保留していたので、以下にこれらについて説明する。先ず、図68及び図69に従って、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチンの動作について説明する。尚、図68と図69に示すフローチャートは、ノード451、452により相互に接続されている。
イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチンを示す図68及び図69に於いて、ステップS401では、出現回数Kjfpn回までの点火回数
を計数するための点火回数カウンタCrpをリセットする。即ち、点火回数カウンタCrpを、「1」に設定する。そして、ステップS402へ進む。
次に、ステップS402からステップS410では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(Crp)の出現回数を計数する。先ず、ステップS402では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが図51に示す組み合わせ名:Aであるか否かを確認する(組み合せ名:Aの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(Crp)=1]であれば、Yへ進み、ステップS403で組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメントする。[Ripr(Crp)=1]でなければ、Nへ進み、ステップS404以降に於いて他の組み合わせ名:B、組み合わせ名:C、組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次にステップS403では、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraを[Cj
pra+1]として、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメント
する。そして、ステップS413へ進む。
次にステップS404では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、組み合わせ名:Bであるか否かを確認する(組合せ:Bの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(Crp)=2]であれば、Yへ進み、ステップS405で組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメントする。[Rjpr(Crp)=2]でなければ、Nへ進み、ノード451を介して図69に示すフローチャートに続くステップS406以降に於いて、他の組み合わせ名:C、組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
図68のステップS405では、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbを[
Cjprb+1]として、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメ
ントする。そして、ステップS413へ進む。
次に、図69に示すステップS406では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが図51に示す組み合わせ名:Cであるか否かを確認する(組合せ:Cの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(Crp)
=3]であれば、Yへ進み、ステップS407で組み合わせ名:Cの出現回数カウンタC
jprcをインクリメントする。[Rjpr(Crp)=3]でなければ、Nへ進み、ステップS406以降に於いて他の組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次に、ステップS407では、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcを[C
jprc+1]として、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメン
トする。そして、ノード452を介して図68のステップS413へ進む。
次にステップS408では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが図51に示す組み合わせ名:Dであるか否かを確認する(組合せ:Dの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(Cjrp)=4]であれば、Yへ進み、ステップS409で「組み合わせ名:D」の出現回数カウンタCjprdをインクリメントする。[Rjpr(Crp)=4]でなければ、Nへ進み、ステップS410以降に於いて他の組み合わせ名:E、Fの出現回数を計数する。
次にステップS409では、図51に示す組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdを[Cjprd+1]として、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをイ
ンクリメントする。そして、ノード452を介して図68に示すステップS413へ進む。
次にステップS410では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが図51に示す組み合わせ名:Eであるか否かを確認する(組合せ:Eの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(Crp)=5]であれば、Yへ進み、ステップS411で組み合わせ名:Eの出現回数カウンタCjpreをインクリメントする。[Rjpr(Crp)=5]でなければ[Rjpr(Crp)=6]であるので、Nへ進み、ステップS412に於いて組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次に、ステップS411では、組み合わせ名:Eの出現回数カウンタCjpreを[C
jpre+1]として、組み合わせ名:Eの出現回数カウンタCjpreをインクリメン
トする。そして、ノード452を経て図31に示すステップS413へ進む。
次に、ステップS412では、組み合わせ名:Fの出現回数カウンタCjprfを[C
jprf+1]として、組み合わせ名:Fの出現回数カウンタCjprfをインクリメン
トする。そして、ノード452を経て図31に示すステップS413へ進む。
次に、図68にッ示すステップS413では、前述したステップS402からステップS412で、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(Crp)の出現回数を計数し終えているので、点火回数カウンタCrpをインクリメントする。即ち、点火回数カウンタCrpを[Crp+1]とする。
次に、ステップS414では、出現回数の計数が終了したか否かを判定する(出現回数の計数)。即ち、出現回数を計数する点火回数は、Kjfpn回であるので、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多いか否かを判定する。点火回数カウンタCrpがKjfpn回以下の場合は、まだ出現回数の計数が終了していないのでNへ進み、ステップS402へ戻り、出現回数の計数を繰り返す。又、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多い場合は、出現回数の計数が終了しているのでYへ進み、ステップS415へ進む。
ステップS415では、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数を記憶する。即ち、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Aである出現回数を[Rnjpra=Cjpra]とする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Bである出現回数を[Rnjprb=Cjprb]とする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Cである出現回数を[Rnjprc=Cjprc]とする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Dである出現回数を[Rnjprd=Cjprd]とする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Eである出現回数を[Rnjpre=Cjpre]とする。又、CRI波形、TII波形、ABI波形イオン電流波形CRI、イオン電流波形TII、イオン電流波形ABIの波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Fである出現回数を[Rnjprf=Cjprf]とする。そして、ステップS416へ進む。
次に、ステップS416では、この図68及び図69に示す出現回数計数ルーチンを再び実行する際に、出現回数が「0」から計数されるようにリセットしておく。即ち、出現回数カウンタ[Cjpra=0]、[Cjprb=0]、[Cjprc=0]、[Cjprd=
0]、[Cjpre=0]、[Cjprf=0]としておく。そして、リターンに進み、出現
回数計数ルーチンを終了する。以上の動作によりCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数の計数を完了する。
以上で、図68及び図69に示すフローチャートに従ったイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の計数動作について説明した。次に、図70及び図71に基づいて、図58に示したフローチャートの説明で説明を保留した燃焼状態特徴判定ルーチンの処理について説明する。
内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の特徴による燃焼状態判定は、図52に示す3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定できる。ここでは、図52に記載している特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例1と、図52に記載している特徴の全てを用いて判定する例2とを、夫々図70に示すフローチャートと図71に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、図52に記載している特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例1を、図70の燃焼状態判定ルーチン(例1)に従って説明する。図52の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gは、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、組み合わせ名:B、組み合わせ名:Cの夫々の出現回数のみの特徴に着目した燃焼状態判定方法である。
図70に於いて、先ず、ステップS601では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が7回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定1
)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS602へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS603へ進む。
次にステップS602では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上であり、図52の特徴1Hを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGRを導入していいない運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
ステップS603では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定4)。即ち、イオン電流波
形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS604へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS605へ進む。
次に、ステップS604では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、図52の特徴2Rを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGRを導入して最適な運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
ステップS605では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が2回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定7)。即ち、イオン電流波
形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS606へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS607へ進む。
次に、ステップS606では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが2回以上であり、図52の特徴2Gを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGR燃焼限界である運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
次に、ステップS607では、図52に示す特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
引き続き、図52に記載の全ての特徴を用いて判定する例2を、図71の燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)に従って説明する。先ずステップS701では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が7回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定1)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:
Aの出現回数Rnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS702へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS704へ進む。
次に、ステップS702では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定2)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS703へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次に、ステップS703では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせである組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下であり、図52に示す特徴1Hと特徴2Hの両方を満足しているので、内燃機関にEGRを導入していない運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
ステップS704では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が3回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定3)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS705へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果による「組み合わせ名:A」の出現回数Rnjpraが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次にステップS705では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定4)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS706へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次に、ステップS706では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が3回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定5)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS707へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次に、ステップS707では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが3回以下であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下であり、図52に示す特徴1Rと特徴2Rと特徴3Rの全てを満足しているので、内燃機関にEGRを導入して最適な運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
ステップS708では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が4回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定6)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが4回以上ならば、Yへ進み、ステップS709へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが4回以上でないならば、Nへ進み、ステップS711へ進む。
次に、ステップS709では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数が2回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定7)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS710へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS711へ進む。
次に、ステップS710では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが4回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが2回以上であり、図52に示す特徴1Gと特徴2Gの両方を満足しているので、内燃機関のEGR燃焼限界である運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
次に、ステップS711では、図52に示す全ての特徴を満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
以上述べたように、この発明の実施の形態1に於ける内燃機関の制御装置によれば、内燃機関にEGRを適用した場合に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、EGRの量に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、点火毎の前記イオン電流波形パターン認識結果、即ち図51に示す組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの判定結果に基づいて、夫々の組み合わせ名に対応した燃焼状態であることを判定することができる。
更に、この発明の実施の形態7に於ける内燃機関の制御装置によれば、所定のイオン電
流検出区間に於いて前記イオン電流値の軌跡の特徴を、例えば、図46に示すように抽出し、その特徴の有無に応じて、例えば、図51に示すような組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fのように波形パターンとして認識し、分類することにより、精度よくイオン電流波形を波形パターン認識することができる。
更に、この発明の実施の形態7に於ける内燃機関の制御装置によれば、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態をより精度良く判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上、排ガス悪化抑制を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態8.
次に、この発明の実施の形態8に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して説明する。実施の形態8に係る内燃機関の制御装置の構成自体は、図39に示す実施の形態7に係る内燃機関の制御装置と同一であるので、ここでは実施の形態1と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いを主体にして説明する。
この発明の実施の形態8では、所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果に於いて発生した所定のイオン電流波形パターンの出現回数の計数を複数回計測して、その複数回の出現回数計数の計測結果に基づいて内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定するものであるが、所定の運転条件を満足している連続した点火回数nsに於いて点火回数Kjfpn回毎にイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数する必要がある。そこで、その点火回数Kjfpn回毎の出現回数計数を複数回計測し、夫々の出現回数の計数計測で得られた、同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を出現回数の複数回の計数計測結果に関して平均化してイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を求める。このようにして、複数回の出現回数計数の計測結果に基づいて内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する。
上述の点火回数Kjfpn回の夫々の出現回数の計数計測で得られた同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果とは、例えば図51に示したイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数であり、夫々の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数を複数回の計数計測結果を平均化することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、D、E、Fの出現回数を得ることができる。上述の平均化するための計数計測の回数をKjfpn回とする。以下に、フローチャートに基づいて上述の動作を具体的に説明する。
実施の形態8に於いて実施の形態7と比較して具体的に異なる部分は、ECU21に記憶され、実行されるプログラムによって実施される燃焼状態判定の動作である。前述の、実施の形態7の場合で説明した図53に示すフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンは、実施の形態8の場合も全く同じであるので説明は省略する。そして実施の形態7と異なるのは、実施の形態7に於いて点火回数毎に実行される図58の燃焼状態判定ルーチンの動作であるので、図72に示す実施の形態2の燃焼状態判定ルーチン2に基づいて説明する。
さて、図72に於いて、その燃焼状態判定ルーチン2は、点火回数毎に実行される。先ず、ステップS802にて、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数ntを[nt=(ns÷Kjfpnの商の整数部)]として求める。この計数計測回
数ntは、上述したイオン電流波形の波形パターン認識結果の図51に示す組み合わせ:A、B、C、D、E、Fの出現回数の計数計測が、点火回数ns回数に於いて計数計測が完了している計数計測回数である。
即ち、Knjfpnt回のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測したとすると、点火回数nsは、[ns=Kjfpnt×Kjfpn]であり、よって、[ns=nt×Kjpn]であり、故に、[nt=(ns÷Kjfpnの商の整数部)]である。即ち、点火回数nsの場合に計測が完了している計測回数ntは、[nt=(ns÷
Kjfpnの商の整数部)]で求めることができる。そして、ステップS803へ進む。
次に、ステップS803では、点火回数NSから点火回数Kjfpn毎に、図52に示すイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数するための燃焼状態判定用点火回数nsjを、[nsj=(ns÷Kjfpnの剰余数)+1]として求める。Kjfpn回は、図52に示すような出現回数を計数できる点火回数なので、例えば12点火回数である。この場合、燃焼状態判定用点火回数nsjは、「1」から「12」までとなり、nsjが「12」になる毎、即ち、点火回数がKjfpn回毎に、燃焼状態を判定するためにイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数することができる。そして次にステップS804に進む。
ステップS804では、燃料性状判定用点火回数nsjが、燃焼状態を判定するためにイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数するKjfpn回に達したか否かを判定する(点火回数条件判定)。即ち、燃焼状態判定用点火回数nsjがKjfpn回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。燃焼状態判定用点火回数nsjが、Kjfpn回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS805の出現回数計数ルーチン2に進む。
ステップS805では、点火回数Kjfpn回までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの出現回数を計数する。計数方法については、図74及び図75に示す出現回数計数ルーチン2のフローチャートに従って、詳細に後述する。出現回数を計数した後、ステップS806へ進む。
ステップS806では、イオン電流波形の波形パターン認識結果による出現回数の計数計測回数ntが、夫々の波形パターン認識結果の出現回数を平均化するための出現回数の計数計測回数Kjfpnt回に達したか否かを判定する(計測回数条件判定)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数ntがKjfpnt回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数ntが、Kjfpnt回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS807の出現回数平均化ルーチンに進む。
ステップS807では、点火回数Kjfpn回毎のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測をKjfpnt回計測し、夫々の出現回数の計数計測で得られ
た、同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を出現回数のKjfpnt回の計数計測結果に関して平均化したイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を求める。即ち、Kjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの平均出現回数を算出する。算出方法は、図73の出現回数平均化ルーチンのフローチャート従って、詳細に説明する。平均出現回数を算出した後、ステップS808へ進む。
ステップS808では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測をKjfpnt回を実施した結果に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み
合わせ名:A、B、C、D、E、Fの平均出現回数から、図52に述べた内燃機関にEGRを適用した場合の燃焼状態の特徴に一致するか否かにより燃焼状態を判定する。燃焼状態の判定方法は、図76、図77に示す燃焼状態特徴判定ルーチン2のフローチャートに従って、詳細に説明する。ステップS808にて、燃焼状態を判定を完了することにより、ECU21に記憶されたプログラムによって実施された燃焼状態判定の動作が全て完了する。即ち、リターンへ進み、燃焼状態判定の動作が終了する。
さて、図72のフローチャートの説明では、図74及び図75に示すイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチン2と、図73に示すイオン電流波形の波形パターン認識結果の平均出現回数を算出する出現回数平均化ルーチンと、図76及び図77に示す燃焼状態特徴判定ルーチン2の処理について説明を保留していたので、それらについて以下に説明する。
先ず、図74、図75に従って、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチン2の動作について説明する。図74と図75とは、ノード951、952により接続されている。図74のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチン2に於けるステップS901では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数nt回に於いて、燃焼状態判定用点火回数nsjが1回からKjfpn回までの点火回数を計数するための点火回数カウンタCrpをリセットする。即ち、点火回数カウンタCrpに「1」を設定する。そして、ステップS902へ進む。
図74と図75に於いて、ステップS902からステップS910では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数nt回に於ける点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせRjpr(nt×Kjfpn+Crp)の出現回数を計数する。これまでのRjpr(x)の定義により、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数nt回に於ける点火回数Crp回目は[nt×Kjfpn+Crp]であるので、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ結果は、[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)]に格納されている。
先ず、ステップS902では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが「組み合わせ名:A」であるか否かを確認する(組合せ:Aの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=
1]であれば、Yへ進み、ステップS903で組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCj
praをインクリメントする。[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=1]でなければ、Nへ進み、ステップS904以降に於いて他の組み合わせ名:B、組み合わせ名:C、組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次にステップS903では、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraを[Cjpra+1]として、組み合わせ名:Aの出現回数カウンタCjpraをインクリメントする。そして、ステップS913へ進む。
次にステップS904では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Bであるか否かを確認する(組合せ:Bの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=2]であれば、Yへ進み、ステップS905で組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメントする。[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=2]でなければ、Nへ進み、ステップS906以降に於いて他の組み合わせ名:C、組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次にステップS905では、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbを[Cj
prb+1]として、組み合わせ名:Bの出現回数カウンタCjprbをインクリメント
する。そして、ステップS913へ進む。
次に、図74からノード951を介して図75に示すステップS906では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Cであるか否かを確認する(組合せ:Cの出現回数の計数)。即ち、[
Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=3]であれば、Yへ進み、ステップS907で
組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメントする。[Rjpr(n
t×Kjfpn+Crp)=3]でなければ、Nへ進み、ステップS908以降に於いて
他の組み合わせ名:D、組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次にステップS907では、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcを[Cj
prc+1]として、組み合わせ名:Cの出現回数カウンタCjprcをインクリメント
する。そして、ノード952を経て図74のステップS913へ進む。
次にステップS908では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Dであるか否かを確認する(組合せ:Dの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=4]であれば、Yへ進み、ステップS909で組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをインクリメントする。[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=4]でなければ、Nへ進み、ステップS910以降に於いて他の組み合わせ名:E、組み合わせ名:Fの出現回数を計数する。
次にステップS909では、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdを[Cj
prd+1]として、組み合わせ名:Dの出現回数カウンタCjprdをインクリメント
する。そして、ノード952を経て図74のステップS913へ進む。
次にステップS910では、点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせが組み合わせ名:Eであるか否かを確認する(組合せ:Eの出現回数の計数)。即ち、[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=5]であれば、Yへ進み、ステップS911で組み合わせ名:Eの出現回数カウンタCjpreをインクリメントする。[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)=5]でなければ[Rjp
r(Crp)=6]であるので、Nへ進み、ステップS912に於いて組み合わせ名:F
の出現回数を計数する。
次にステップS911では、組み合わせ名:Eの出現回数カウンタCjpreを[Cj
pre+1]として、組み合わせ名:Eの出現回数カウンタCjpreをインクリメント
する。そして、ノード952を経て図74のステップS913へ進む。
次にステップS912では、組み合わせ名:Fの出現回数カウンタCjprfを[Cj
prf+1]として、組み合わせ名:Fの出現回数カウンタCjprfをインクリメント
する。そして、ノード952を経て図74のステップS913へ進む。
次に、図74に示すステップS913では、ステップS902からステップS912で、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数nt回に於ける点火回数Crp回目のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ[Rjpr(nt×Kjfpn+Crp)]の出現回数を計数し終えているので、点火回数カウンタCrpをインクリメントする。即ち、点火回数カウンタCrpを[Crp+1]とする。
次に、ステップS914では、出現回数の計数が終了したか否かを判定する(出現回数の計数)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数nt回に於ける出現回数を計数する点火回数は、Kjfpn回であるので、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多いか否かを判定する。点火回数カウンタCrpがKjfpn回以下の場合は、まだ出現回数の計数が終了していないのでNへ進み、ステップS902へ戻り、出現回数の計数を繰り返す。又、点火回数カウンタCrpがKjfpn回よりも多い場合は、出現回数の計数が終了しているのでYへ進み、ステップS915へ進む。
ステップS915では、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数を記憶する。即ち、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数RnjpraをCjpraとする。又、組み合わせ名:Bの出現回数RnjprbをCjprbとする。又、組み合わせ名:Cの出現回数RnjprcをCjprcとする。又、組み合わせ名:Dの出現回数RnjprdをCjprdとする。又、組み合わせ名:Eの出現回数RnjpreをCjpreとする。又、組み合わせ名:Fの出現回数RnjprfをCjprfとする。そして、ステップS916へ進む。
次にステップS916では、この図74の出現回数計数ルーチンを再び実行する際に、出現回数が「0」から計数されるようにリセットしておく。即ち、出現回数カウンタCjpra、Cjprb、Cjprc、Cjprd、Cjpre、Cjprfを「0」としておく。そして、リターンに進み、出現回数計数ルーチンを終了する。以上の動作によりイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数の計数計測回数ct回に於けるCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数の計数を完了する。
以上で、図74及び図75に従ったイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の計数動作について説明した。次に、図73に従って、図72のフローチャートの説明で説明を保留した出現回数平均化ルーチンの処理について説明する。
図73のKjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの平均出現回数を算出する出現回数平均化ルーチンのステップS1001では、出現回数の計数計測回数カウンタCntをリセットする。即ち、計数回数カウンタCntを「1」とする。そして、ステップS1002へ進む。
ステップS1002では、Kjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数を積算する積算値をリセットする。夫々の出現回数の積算値を積算回数、即ち出現回数の計数計測回数Kjfpnt回で除することにより、夫々の組み合わせ名の出現回数を平均化することができる。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの出現回数を積算する積算値SRnjpra、SRnjprb、SRnjprc、SRnjprd、SRnjpre、SRnjprfを夫々「0」とする。そして、ステップS1003へ進む。
ステップS1003では、Kjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数を積算する。即ち出現回数の計数計測回数Cnt回目の夫々の出現回数を夫々の積算値に積算する。即ち、計数計測回数Cnt回目のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み
合わせ名:A、B、C、D、E、Fの出現回数Rnjpra(Cnt)、Rnjprb(Cnt)、Rnjprc(Cnt)、Rnjprd(Cnt)、Rnjpre(Cnt)、Rnjprf(Cnt)を、積算値にするために、[SRnjpra+Rnjpra(Cnt)]、[SRnjprb+Rnjprb(Cnt)]、[SRnjprc+Rnjprc(Cnt)]、[SRnjprd+Rnjprd(Cnt)]、[SRnjpre+Rnjpre(Cnt)]、[SRnjprf+Rnjprf(Cnt)]とする。そして、ステップS1004へ進む。
ステップS1004では、積算値を積算するためのカウンタとして用いる計測回数カウンタCntをインクリメントする。即ち、計測回数カウンタCntを[Cnt+1]とする。そして、ステップS1005に進む。
ステップS1005では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、の出現回数の積算が終了したか否かを判定する(計測回数の計測)。計数回数カウンタCntが出現回数の計数計測回数Kjfpntよりか大きい場合には、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの出現回数の積算が終了しているので、Yへ進み、ステップS1006へ進み平均化処理を行う。計数回数カウンタCntが出現回数の計数計測回数Kjfpntよりか小さい場合には、出現回数の積算を継続するために、Nへ進み、ステップS1003へ進み、出現回数の積算を継続する。
ステップS1006では、Kjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の出現回数の積算値を、出現回数の計数計測回数Kjfpnt回で除することにより平均化する。即ち、Kjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の平均出現回数AVRnjpra、AVRnjprb、AVRnjprc、AVRnjprd、AVRnjpre、AVRnjprfを、夫々、[SRnjpra÷Kjfpnt]、[SRnjprb÷Kjfpnt]、[SRnjprc÷Kjfpnt]、[SRnjprd÷Kjfpnt]、[SRnjpre÷Kjfpnt]、[SRnjprf÷Kjfpnt]として算出する。そして、ステップS1007へ進む。
ステップS1007では、Kjfpnt回の出現回数の計数計測に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の:A、B、C、D、E、Fの夫々の平均出現回数を整数化する。例えば、図52に示す波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴は整数であるので、判定を簡易化するために、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの夫々の平均出現回数を整数化する。そして、リターンへ進み、本ルーチンの処理を終了する。
以上で、図73に従ったイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの平均出現回数の算出する出現回数平均化ルーチンについて説明を終了した。次に、図76、図77に従って、図72のフローチャートの説明で説明を保留した燃焼状態特徴判定ルーチン2の処理について説明する。
内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の特徴による燃焼状態判定は、図52に示す3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定できる。ここでは、図52に記載の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例3と、図52に記載の特徴のすべてを用いて判定する例4を、夫々図76のフローチャートと図77のフローチャートに従って説明する。
先ず、図52に記載の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例3を図76の燃焼状態判定ルーチン2(例3)に従って説明する。図52の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gは、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、Cの夫々の平均出現回数のみの特徴に着目した燃焼状態判定方法である。
先ずステップS1101では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が7回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定1)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS1102へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1103へ進む。
次にステップS1102では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上であり、図52の特徴1Hを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGRを導入していない運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。
ステップS1103では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定4)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数あVRnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1104へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1105へ進む。
次にステップS1104では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上であり、図52の特徴2Rを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGRを導入して最適な運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。
ステップS1105では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数が2回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定7)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRjnprcが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS1106へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1107へ進む。
次にステップS1106では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが2回以上であり、図52の特徴2Gを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGR燃焼限界である運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。
次にステップS1107では、図52の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
引き続き、図52に記載のすべての特徴を用いて判定する例4を図77の燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)に従って説明する。先ずステップS1201では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が7回以上出現するか否か
を判定する(燃焼状態判定1)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合
わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS1202へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1204へ進む。
次にステップS1202では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が5回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定2)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS1203へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1203では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下であり、図52に示す特徴1Hと特徴2Hの両方を満足しているので、内燃機関にEGRを導入していない運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。
ステップS1204では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が3回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定3)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS1205へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1205では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定4)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1206へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1206では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数が3回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定5)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS1207へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の「組み合わせ名:C」の平均出現回数AVRnjprcが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1207では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが3回以下であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが3回以下であり、図15に示す特徴1Rと特徴2Rと特徴3Rの全てを満足しているので、内燃機関にEGRを導入して最適な運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。
ステップS1208では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数が4回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定6)。即ち、イオン
電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが4回以上ならば、Yへ進み、ステップS1209へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが4回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1211へ進む。
次にステップS1209では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数が2回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定7)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnjprdが2回以上ならば、Yへ進み、ステップ1210へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnjprdが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1211へ進む。
次にステップS1210では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが4回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnjprdが2回以上であり、図52に示す特徴1Gと特徴2Gの両方を満足しているので、内燃機関のEGR燃焼限界である運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。
次にステップS1211では、図52の全ての特徴を満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
以上のように、この発明の実施の形態8に係る内燃機関の制御装置では、内燃機関にEGRを適用した場合に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、EGRの量に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、更に所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果を複数回計測し、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を平均化して出現回数の計数結果の計測精度が更に向上している。そしてその所定のイオン電流波形パターン認識結果の平均出現回数に基づいて前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態をより精度良く判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上、排ガス悪化抑制を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態9.
以下、この発明の実施の形態3に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して説明する。実施の形態3に係る内燃機関の制御装置の構成は、図39と同一であるので、ここでは実施の形態7と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いを中心にして説明する。
この発明の実施の形態9では、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於ける前記イオン電流波形パターン認識結果中の所定のイオン電流波形パターンの出現回数を計数し、その計数結果から前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段を有する。ここで言う運転状態とは、内燃機関が搭載された自動車等の速度が加速している運転状態や速度が減速している運転状態等である。又、自動車等の内燃機関が走行等のためにその出力を用いていない運転状態、所謂、アイドル運転状態や内燃機関が始動する運転状態や所定の冷却水温となるまでの運転状態、所謂、暖機運転状態等である。この発明の実施の形態3では、内燃機関が前述のような所定の運転状態である場合に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、イオン電流波形パターン認識結果から内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する。
上述の内燃機関の運転状態は、図39に示された各種センサの出力値、及び出力値変化により検出することができる。内燃機関の運転状態を表す代表的な状態量は、内燃機関本体回転数や内燃機関本体負荷であり、内燃機関本体回転数はクランク角センサ11やカム角センサ12等信号から検出でき、内燃機関本体負荷は図示しないエアフローセンサにより検出した吸入空気量A/N等から検出できる。そして例えば、加速している運転状態は、内燃機関本体回転数や内燃機関本体負荷が所定の変化をしている場合(例えば、単位時間当たりの変化量が所定値よりも大きい場合)を検出することにより判定できる。減速している運転状態も加速している場合と同様に、内燃機関本体回転数や内燃機関本体負荷の変化により判定することができる。又、アイドル運転状態は、アイドルスイッチ14の出力と内燃機関本体回転数の状態から判定することができる。
又、始動する運転状態は、内燃機関が停止状態から内燃機関本体回転数が所定の内燃機関本体回転数より大きくなる状態を検出することにより判定することができる。又、暖気運転状態は、アイドル運転状態の判定と水温センサ15の出力値により判定することができる。上述のように判定した運転状態が成立してい場合にのみ、イオン電流波形パターンを認識し、又イオン電流波形パターンを分類し、所定の運転状態を満足している所定の点火回数における前記イオン電流波形パターン認識結果中の所定のイオン電流波形パターンの出現回数を計数し、その計数結果から前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定することが実現できる。
上述のような所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果による燃焼状態の判定は、加速している運転状態を満足している場合は、図78と図42のフローチャートに基づいて説明する。
さて、実施の形態9に於いて実施の形態7と比較して具体的に異なる部分は、ECU21に記憶され、実行されるプログラムによって実施される燃焼状態判定の動作である。そこで、以下の説明では、実施の形態7と比較して異なる部分についてのみ説明する。図78の燃焼状態判定ルーチン3は、点火回数毎に実行される。ここでは、所定の運転状態として加速している運転状態の例を示している。このフローチャートでは、所定時間当たりの内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が、加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きい場合に加速している運転状態と判定している。
ステップS301では、所定時間当たりの内燃機関本体回転数変化量Δne[r/mi
n]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きいか否か
を確認する(加速状態判定)。ステップS301で、内燃機関本体回転数変化量Δne[
r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大き
いと判定した時は、加速している運転状態にあると判定し、Yへ進み、ステップS302へ進む。内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きくないと判定した時は、加速している運転状態にはないと判定し、Nへ進み、リターンに進み、本ルーチンを終了する。
ステップS301によって、加速している運転状態であると判定した場合のみ、ステップS302以降の動作が実行される。ステップS301及びステップS304以外のステップの名称と動作は、前述の図58と全く同じであるので、ここでは、詳細な説明を省略する。所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果より燃焼状態を判定する具体例は、ステップS304の動作により説明できる。ステップS304の燃焼状態特徴判定ルーチン3の動作についての説明は後述する。
次に、ECU21に記憶され、実行されるプログラムによって実施され、実施の形態7と比較して異なる部分であるイオン電流波形パターン判定ルーチン3について説明する。この処理は、内燃機関のクランク角度0.5CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるもので、図79に示すイオン電流波形パターン判定ルーチン3で示される。図79では、所定の運転状態の例として加速している運転状態を示している。このフローチャートでは、所定時間当たりの内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きい場合に加速している運転状態と判定する。
図79に於いて、ステップS101では、所定時間当たりの内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きいか否かを確認する(加速状態判定)。ステップS101で、内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きいと判定した時は加速している運転状態にあると判定し、Yへ進み、ステップS102へ進む。内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きくないと判定した時は加速している運転状態にはないと判定し、Nへ進み、ノード151を経て図81に示すリターンに進み、本ルーチンを終了する。ステップS1011によって、加速している運転状態であると判定
した場合のみ、ステップS102以降の動作が実行される。図79に於いてステップS101以外のステップの名称と動作は、図53と全く同じであるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
さて、図78に示す燃焼状態判定ルーチン3と図79のイオン電流波形パターン判定ルーチン3により、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果を得ることができる。所定の点火回数を12点火とした場合の一例を、図82、図83、及び図84に示し、点火毎に検出したCRI波形とTII波形とABI波形との3つの波形パターン認識結果より、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する方法について具体的に説明する。
図82は、加速している運転状態を満足している1点火目〜12点火目までのEGRを導入しない運転条件時のイオン電流波形パターンと波形パターン認識結果を示す表である。図83は、加速している運転状態を満足しているEGRを導入して最適な運転条件時のイオン電流波形パターンと波形パターン認識結果を示す表である。図84は、加速している運転状態を満足しているEGR燃焼限界の運転条件時のイオン電流波形パターンと波形パターン認識結果を示す表である。
図82、図83、及び図84に於ける1点火目〜12点火目毎の、CRI波形、TII波形、ABI波形と、波形パターン認識結果「○」、「△」、「×」の組み合わせについて、加速している運転状態を満足している場合の1点火目〜12点火目までの出現回数の特徴を整理すると、図85の表に示すようになる。
即ち、検出した1点火目〜12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、85の表に示す特徴1HAを満足する、或いは特徴2HAを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態はEGRを導入しない運転条件であると判定することができる。
又、検出した1点火目〜12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組
み合わせが、図85の表に示す特徴1RAを満足する、或いは特徴2RAを満足する、或いは特徴3RAを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態はEGRを導入して最適な運転条件であると判定することができる。
又、検出した1点火目〜12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図85の表に示す特徴1GAを満足する、或いは特徴2GAを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態はEGR燃焼限界の運転条件であると判定することができる。
更に、特徴1HAと特徴2HAの両者が成立した場合に、EGRを導入しない運転条件であると判定することもできる。この場合、判定精度は向上する。同様に、特徴1RAと特徴2RAと特徴3RAのすべての特徴が成立した場合に、EGRを導入して最適な運転条件であると判定することもできる。同様に、特徴1GAと特徴2GAの両者が成立した場合にEGR燃焼限界の運転条件であると判定することもできる。これらの場合、判定精度は向上することは言うまでもない。
ところで、内燃機関にEGRを導入しない運転条件である場合に特徴1HAを満足するのは、以下のような理由がある。特徴1HAは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Aのイオン電流波形は、CRIとTIIにピークが発生している燃焼状態であり、区間1と区間2のクランク角度に於いてのみ混合気が燃焼し、燃焼状態が良いことを表している。EGRを導入していない場合、加速時もEGRの流入がなく、安定した燃焼状態が得られるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Aの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関にEGRを導入して最適な運転条件である場合に図85に示す特徴2RAを満足するのは、以下のような理由がある。特徴2RAは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Bのイオン電流波形は、CRI波形のみにピークが発生している燃焼状態であり、区間2の混合気の燃焼状態は組み合わせ名:Aが多く発生する場合に比較して燃焼状態が悪いことを表している。EGRを導入すると燃焼温度が下がったり、不活性ガスが増加し、EGRを導入しない場合に比較すると燃焼状態が悪くなる。更に、加速している運転状態では点火毎のEGRの量がばらつく場合があり、加速している状態の経過時間に依存して燃焼状態が悪くなることがあるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Bの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関にEGRを導入してEGR燃焼限界の運転条件である場合に図85に示す特徴2GAを満足するのは、以下のような理由がある。定常運転状態に於いても、EGR燃焼限界の運転条件である場合は、ABI波形が発生するような比較的悪い燃焼状態が発生する点火サイクルが存在するが、加速している運転状態では加速している運転状態では点火毎のEGR量がばらつく場合があり、加速している状態の経過時間に依存してEGR量が異なり、ABI波形が発生するような燃焼状態、即ち組み合わせ名:Dのイオン電流波形が増加する。更に、点火サイクルによってはEGR量が過剰になる場合もあり、最悪の燃焼状態になってしまった場合は、失火が発生することもある。失火が発生した場合のイオン電流が発生せず、組み合わせ名:Eが出現すのである。
以上の説明では、内燃機関の燃焼状態を判定する特徴を、特定の数値である点火回数や出現回数としているが、図85に示したような特定の数値を用いるだけでなく、判定に用いる点火回数を変更(増加、又は減量)して判定に用いる点火回数に対する百分率で判定しても全く同じ判定結果が得られる。
次に、図87、図88に従って、前述の図78のフローチャートの説明で説明を保留した燃焼状態特徴判定ルーチン3の処理について説明する。内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の特徴による燃焼状態判定は、図85の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定することができる。ここでは、図85に記載の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAを用いて判定する例5と、図85に記載の特徴のすべてを用いて判定する例6とを、夫々図87、図88に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、図85に記載の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAを用いて判定する例5を、図87に示す燃焼状態判定ルーチン3(例5)に従って説明する。図85の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAは、所定の運転状態を満足している場合のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、Eの夫々の出現回数のみの特徴に着目した燃焼状態判定方法である。
図87に於いて、先ずステップS1501では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定1)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1502へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1503へ進む。
次にステップS1502では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上であり、図85の特徴1HAを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGRを導入していない運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。
ステップS1503では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定2)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1504へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1505へ進む。
次にステップS1504では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、図85の特徴2RAを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGRを導入して最適な運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。
ステップS1505では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数が1回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定3)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上ならば、Yへ進み、ステップS1506へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1507へ進む。
次にステップS1506では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上であり、図85の特徴2GAを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、EGR燃焼限界である運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。
次にステップS1507では、図85の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAを満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
引き続き、図85に記載のすべての特徴を用いて判定する例6を、図88の燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)に従って説明する。先ずステップS1601では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定1)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1602へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1604へ進む。
次にステップS1602では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定2)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS1603へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1603では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下であり、図85の特徴1HAと特徴2HAの両方を満足しているので、内燃機関にEGRを導入していない運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。
ステップS1604では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が2回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定3)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが2回以下ならば、Yへ進み、ステップS1605へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが2回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1605では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定4)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1606へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1606では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が3回以下出現するか否かを判定する(燃焼状態判定5)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS1607へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1607では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名
:Aの出現回数Rnjpraが2回以下であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下であり、図85に示す特徴1RAと特徴2RAと特徴3RAの全てを満足しているので、内燃機関にEGRを導入して最適な運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。
ステップS1608では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数が4回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定6)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが4回以上ならば、Yへ進み、ステップS1609へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが4回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1611へ進む。
次にステップS1609では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数が1回以上出現するか否かを判定する(燃焼状態判定7)。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上ならば、Yへ進み、ステップS1610へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1611へ進む。
次にステップS1610では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが4回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上であり、図85の特徴1GAと特徴2GAの両方を満足しているので、内燃機関のEGR燃焼限界である運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。
次にステップS1611では、図48に示す全ての特徴を満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
以上のように、この発明の実施の形態9に係る内燃機関の制御装置によれば、内燃機関にEGRを適用した場合に於いて、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、所定の運転状態に於けるEGRの量に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の運転状態に於ける所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、所定の運転状態に於ける所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態をより精度良く判定することができる。更に、燃焼状態判定に用いる特徴によっては、より少ない点火回数のイオン電流波形の波形パターン認識結果によりEGRによる燃焼状態を判定することができ、より早いタイミングでの燃焼状態を判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上、排ガス悪化抑制を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態10.
次に、この発明の実施の形態10に係る内燃機関の制御装置ついて、図面を参照して説
明する。この実施の形態10の構成は、前述の図39と同一であるので、ここでは実施の形態7及び実施の形態10と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いを主体として説明する。
この発明の実施の形態10では、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果に於いて発生した特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果に基づいて内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定する。上述の特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果とは、例えば図86に示すイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現順序の特徴であり、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、D、E、Fが特定の点火順序に発生した結果に基づいてより正確に内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定することができる。以下に、フローチャートに基づいて上述の動作を具体的に説明する。
さて、実施の形態10に於いて実施の形態7及び実施の形態9と比較して具体的に異なる部分は、ECU21に記憶され、実行されるプログラムによって実施される燃焼状態判定の動作である。先ず、図53に示すフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンは、実施の形態10に於いても全く同じであるので、その説明は省略する。そして異なるのは、実施の形態9に於いて点火回数毎に実行される図78の燃焼状態判定ルーチン3の動作であるので、これに対応する実施の形態10に於ける図89の燃焼状態判定ルーチン4について説明する。
図89に示す燃焼状態判定ルーチン4は、点火回数毎に実行される。この図89の例に於ける所定の運転条件説明では、加速している運転状態を一例として説明しているので、このフローチャートでは、所定時間当たりの内燃機関本体回転数変化量Δne[r/mi
n]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きい場合に
加速している運転状態と判定している。
図89に於いて、ステップS1301では、所定時間当たりの内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きいか否かを確認する(加速状態判定)。ステップS1301で、内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/
min]よりも大きいと判定した時は加速している運転状態にあると判定し、Yへ進み、
ステップS1302へ進む。内燃機関本体回転数変化量Δne[r/min]が加速判定内燃機関本体回転数変化量Δnemax[r/min]よりも大きくないと判定した時は、加速している運転状態にはないと判定し、Nへ進み、リターンに進み、本ルーチンを終了する。ステップS1301によって、加速している運転状態であると判定した場合は、Yへ進み、ステップS1302へ進む。
ステップS1301で加速している運転状態であると判定した場合には、ステップS1302で、図86で述べたイオン電流波形の波形パターン認識結果出現順序を判定することができる点火回数Kjfpne回であるか否かを判定する(点火回数条件判定)。点火回数Kjfpne回は、図86に示すような出現順序を判定できる点火回数であるので、例えば12点火回数である。点火回数Kjfpne回は、EGRによる燃焼状態を判定する特徴に応じて決定する。そして、点火回数nsがKjfpne回に満たない場合には、Nへ進み、リターンへ進み、本ルーチンを終了する。点火回数nsがKjfpne回に一致した場合には、Yへ進み、ステップS1303の燃焼状態特徴判定ルーチン4に進む。図89に於けるステップS1303にて、内燃機関に適用したEGRよる燃焼状態の判定を完了することにより、ECU21に記憶されたプログラムによって実施された燃焼状態判定の動作が全て完了する。即ち、リターンへ進み、燃焼状態判定動作が終了する。
ステップS1303では、点火回数Kjfpne回までの各点火回数に於けるイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの出現結果から、図86に述べた内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の特徴に一致するか否かにより燃焼状態を判定する。
ステップS1303に於ける燃焼状態の判定の方法については、図90〜図92に示す燃焼状態特徴判定ルーチン4のフローチャートに従って、詳細に説明する。図90〜図92に示すフローチャートは、ノード1451、及びノード1452を介して相互に接続されている。
さて、図89のフローチャートの説明では、図90〜図92に示す燃焼状態特徴判定ルーチン4の処理について説明を保留していたので、以下に説明する。図90に示す燃料性状特徴判定ルーチン4に進んだ時には、点火回数Kjfpne点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果がRjpr(ns)に格納されている。そこで、図86に示した特徴に一致するか否かを判定して、内燃機関に適用したEGRよる燃焼状態を判定する。
先ず、ステップS1401からステップS1403では、イオン電流波形の波形パターン認識結果が図86に示す特徴1HCと一致するか否かを判定する(燃焼状態特徴判定ルーチン4)。ステップS1401では、点火回数nsが6点火目以下であるか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1402へ進む。点火回数nsが6点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ステップS1404へ進む。
次に、ステップS1402では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであるか否かを判定する(特徴1HCの判定2)。即ち、点火回数ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=1]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aであったので、Yへ進み、ステップS1403へ進む。点火回数ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(
ns)=1]でなかった場合には、特徴1HCとは一致していないので、Nに進み、ステ
ップS1404へ進む。
次に、ステップS1403では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであったので特徴1HCに一致しており、内燃機関にEGRを導入していない運転状態であると判定する。そして、その結果を[Fl
gEGRH=1]として記憶し、ステップS1404へ進む。
次に、ステップS1404からステップS1410では、イオン電流波形の波形パターン認識結果が図86に示す特徴1RCと一致するか否かを判定する。先ず、ステップS1404では、点火回数nsが6点火目以下であるか否かを判定する(特徴1RCの判定1)。即ち、点火回数nsが6点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1405へ進む。点火回数nsが6点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ノード1451を経て図91に示すステップS1411へ進む。
次に、ステップS1405では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであるか否かを判定する(特徴1RCの判定2)。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=2]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、Yへ進み、ステップS
1406へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=2]でなかった場合には、特徴1RCとは一致していないので、Nに進み、ステップS1407へ進む。
次に、ステップS1406では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであったので、その結果を[FlgB=1]として記憶し、ステップS1407へ進む。
ステップS1407では、点火回数nsが6点火目であり、特徴1RCの判定条件を満足しているか否かを判定することができる点火回数[ns=6]に達しているか否かを判定する(特徴1RCの判定3)。即ち、点火回数nsが6点火目であった場合には、Yへ進み、ステップS1408へ進む。点火回nsが6点火目ではなかった場合には、Nに進み、ノード1451を経て図91に示すステップS1411へ進む。
ステップS1408では、特徴1RCの一つ目の判定条件が満足しているか否かを判定する(特徴1RCの判定4)。即ち、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであったことがあったか否かを判定する。即ち、組み合わせ名:B判定用のフラグが[FlgB=1]であった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:BであったことがあったのでYへ進み、ステップS1409へ進む。組み合わせ名:B判定用のフラグが[FlgB=1]でなかった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:BであったことがなかったのでNに進み、ノード1451を経て図91に示すステップS1411へ進む。
ステップS1409では、特徴1RCの二つ目の判定条件を満足しているか否かを判定する(特徴1RCの判定5)。即ち、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aでなかったか否かを判定する。即ち、EGRを導入していない運転状態であると判定した結果が[FlgEGRH=0]であった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであったことがなかったので、特徴1RCの二つ目の判定条件を満足しているのでYへ進み、ステップS1410へ進む。
EGRを導入していない運転状態であると判定した結果が[FlgEGRH=0]でなかった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであったことがあったので、特徴1RCの二つ目の判定条件が満足されていないのでNに進み、ノード1451を経て図91に示すステップS1411へ進む。
次に、ステップS1410では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aではなく、且つ、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであったことがあったので特徴1RCに一致しており、内燃機関にEGRを導入して最適な運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRH=1]として記憶し、ノード1451を経て図91に示すステップS1411へ進む。
次に、図91に示すステップS1411〜ステップS1416では、図86に示す特徴2RCと一致するか否かを判定する。先ず、ステップS1411では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下であるか否かを判定する(特徴2RCの判定1)。即ち、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1412へ進む。点火回数nsが7点火目以上12点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1412では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであるか否かを判定する(特徴2RCの判定2)。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)
=3]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであったので、Yへ
進み、ステップS1413へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(
ns)=3]でなかった場合には、特徴2RCとは一致していないので、Nに進み、ステ
ップS1414へ進む。
次に、ステップS1413では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったので、その結果を[
FlgC=1]として記憶し、ステップS1414へ進む。
次に、ステップS1414では、点火回数nsが12点火目であり、特徴2RCの判定条件が満足しているか否かを判定することができる点火回数[ns=12]と達しているか否かを判定する(特徴2RCの判定3)。即ち、点火回数nsが12点火目であった場合には、Yへ進み、ステップS1415へ進む。点火回数nsが12点火目ではなかった場合には、Nに進み、ステップS1417へ進む。
ステップS1415では、特徴2RCの判定条件が満足しているか否かを判定する(特徴2RCの判定4)。即ち、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったことがあったか否かを判定する。即ち、「組み合わせ名:C」判定用のフラグが[FlgC≠1]であった場合には、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったことがなかったので、特徴2RCの判定条件を満足しているのでYへ進み、ステップS1416へ進む。組み合わせ名:C判定用のフラグが[F
lgC=1]であった場合には、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイ
オン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:CであったことがあったのでNに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1416では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったことはなかったので特徴2RCに一致しており、内燃機関にEGRを導入して最適な運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRR=1]として記憶し、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1417〜ステップS1419では、図86に示す特徴1GCと一致するか否かを判定する。先ず、ステップS1418では、点火回数nsが6点火目以下であるか否かを判定する(特徴1GCの判定1)。即ち、点火回数nsが6点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1418へ進む。点火回数nsが6点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ノード1452を経て図92に示すステップS1420へ進む。
次に、ステップS1418では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Dであるか否かを判定する(特徴1GCの判定2)。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=4]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dであったので、Yへ進み、ステップS1419へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=4]でなかった場合には、「特徴1GC」とは一致していないので、Nに進み、ノード1452を経て図92に示すステップS1420へ進む。
次に、ステップS1419では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Dであったので特徴1GCに一致しており、内燃機関にEGRを導入してEGR燃焼限界の運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRG=1]として記憶し、ノード1452を経て図92に示すステップS1420へ進む。
次に、ノード1452を経て接続された図92に示すステップS1420〜ステップS
1422では、図86に示す特徴2GCと一致するか否かを判定する。先ず、ステップS1420では、点火回数nsが9点火目以下であるか否かを判定する(特徴2GCの判定1)。即ち、点火回数nsが9点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1421へ進む。点火回数nsが9点火目以下でなかった場合には、Nに進み、リターンへ進み燃焼状態特徴判定ルーチン4を終了する。
次に、ステップS1421では、点火回数nsが9点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Eであるか否かを判定する(特徴2GCの判定2)。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=5]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eであったので、Yへ進み、ステップS1422へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=5]でなかった場合には、特徴2GCとは一致していないので、Nに進み、リターンへ進み燃焼状態特徴判定ルーチン4を終了する。
次に、ステップS1422では、点火回数nsが9点火目以下に於いてイオン電流波形
の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Eであったので特徴2GCに一致しており、内燃機関にEGRを導入してEGR燃焼限界の運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRG=1]として記憶し、リターンへ進み燃焼状態特徴判定ルーチン4を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の判定が完了する。
以上のように、この発明の実施の形態10に係る内燃機関の制御装置によれば、内燃機関にEGRを適用した場合に於いて、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、所定の運転状態に於けるEGRの量に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の運転状態に於ける所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現順序に基づいて前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態をより精度良く判定することができる。更に、燃焼状態判定に用いる特徴によっては、より少ない点火回数のイオン電流波形の波形パターン認識結果によりEGRによる燃焼状態を判定することができ、より早いタイミングでの燃焼状態を判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上、排ガス悪化抑制を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態11.
次に、この発明の実施の形態11に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して説明する。実施の形態11に係る内燃機関の制御装置の構成も図39と同一であるので、以下の説明では、実施の形態7及び実施の形態9と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いを主体として説明する。
この発明の実施の形態11では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定するのであるが、所定の運転条件に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を精度良く判定することができる。ECU21で実行される実施の形態5の動作は、上述のイオン電流波形の波形パターン認識条件が、ECU21に於いて検出された運転条件に応じて変更される動作以外は、実施の形態1及び実施の形態3と同様であるので、以下には、実施の形態1及び実施の形態3と比較して異なる動作を主体にして具体的に説明する。
先ず、イオン電流波形の波形パターン認識条件を変更するため用いる運転条件、及びその検出について説明する。イオンの発生量に応じてイオン電流値が決まり、イオンの発生の仕方によりイオン電流波形が決まるので、イオンの発生量やイオンの発生の仕方に影響を与える運転条件を考慮することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができる。イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の燃料量であり、イオンの発生の仕方に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の点火時期である。そこで、点火毎の燃料量や点火毎の点火時期等の制御パラメータは、ECU21にて演算され、燃料制御や点火時期制御に用いられているので、イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば前述の図78に示す燃焼状態判定ルーチン3と同じタイミングに検出することができる。即ち、イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば前述の図78のルーチンが実行される点火回数毎に検出される。
そして、実施の形態7及び実施の形態9で説明したように、イオン電流波形の波形パターン認識は、前述の図79に示したフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンに於いて行われている。図79に示すイオン電流波形パターン判定ルーチン3では、波形パターン認識を「○」「△」「×」に分類している。具体的には、図79〜図81のフローチャートに於いて、CRI波形の波形パターンが「×」であると認識するのは、ステップS105の「×判定」のステップである。同様に、TII波形の波形パターンが「×」であると認識するのは、に示すステップS114の「×判定」のステップである。同様に、ABI波形の波形パターンが「×」であると認識するのは、に示すステップS124の「×判定」のステップである。
これらのステップに於いて、イオン電流波形の波形パターン認識結果が「×」と決定されるのは、検出したイオン電流値の大きさに依存している。即ち、ステップS105の「×」判定のステップでは、イオン電流値Iion(i)が判定値Ijbk1よりも小さいことにより「×」と認識される。又、ステップS114の「×」判定のステップでは、イオン電流値Iion(i)が判定値Ijbk2よりも小さいことにより「×」と認識される。又、ステップS124の「×」判定のステップでは、イオン電流値Iion(i)が判定値Ijbk3よりも小さいことにより「×」と認識される。更に、ステップS110やステップS119やステップS129で実行される図56及び図57に示すイオン電流ピーク判定ルーチンでは、ステップS201のイオン電流値増減判定のステップでのイオン電流値差分の大きさを判定値Ijp及び判定値Ijmと比較してイオン電流値の増減を判定している。
以上述べたイオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさに依存して、イオン電流波形の波形パターン認識結果は影響を受ける。具体的には、イオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3が大きくなると「×」と判定する波形パターン認識結果が
比較的多くなる。又、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmが大きくなると「増減なし」と判定するイオン電流値差分が比較的多くなる。又、更に、イオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3と、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさは同じだがイオン電流値が大きくなると、「△」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる。更に、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさは同じだがイオン電流値が大きくなると、増加或いは減少と判定するイオン電流値差分が比較的多くなる。そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、イオン電流値は極端に大きくなったり、極端に小さくなったりする場合がある。
このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる場合には、上述のイオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、及びイオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさを異なる運転条件に応じて変更することにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を精度良く判定することができる。
そこで、この発明の実施の形態11に於いては、上述した点火回数毎の燃料量に応じて、点火回数毎に、例えば図79〜図81に示すフローチャートで用いられる上述のイオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、及びイオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさを変更するようにしている。このように運転条件、即ち、例えば燃料量の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の検出精度を向上することができる効果がある。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の燃料量に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更する具体例を説明したが、イオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火時期や内燃機関本体回転数や内燃機関本体冷却水温度や内燃機関本体潤滑油温度や燃料混合気の空燃比の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の燃料量と同様に、点火時期や内燃機関本体回転数や内燃機関本体冷却水温度や内燃機関本体潤滑油温度や燃料混合気の空燃比に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の検出精度を向上することができる。
又、実施の形態7及び実施の形態9で説明したように、イオン電流波形の波形パターン認識を行う区間1、区間2、区間3は、図79〜図81に示すフローチャートで説明したように点火時期を基準に分割している。これは点火時期がイオン電流の発生するタイミングに影響を与えるからであるが、点火時期は、イオンの発生の仕方にも影響を与える。故に、点火回数毎の点火時期に応じて区間1、区間2、区間3を分割するクランク角度を変更することにより、イオン電流の発生するタイミングやイオン電流の発生の仕方に与える影響を排除することができる。
具体的には、図79〜図81のフローチャートに於いて、CRI波形の波形パターン認識を行う区間1は、ステップS104で点火時期を基準にdCrk0とdCRK1をオフセット加算することにより決まる。又、TII波形の波形パターン認識を行う区間2は、ステップS113で点火時期を基準にdCrk1とdCrk2をオフセット加算することにより決まる。又、ABI波形の波形パターン認識を行う区間3は、ステップS122で点火時期を基準にdCrk1とdCrk3をオフセット加算することにより決まる。
上述したように、TII波形は、混合気の爆発的な燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇による熱電離反応により発生するイオンであるので、点火時期が変化すると、点
火時期に応じて変化する燃焼による圧力上昇と内燃機関本体のピストン上昇による圧力変化の組み合わせにより、混合気の燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇のタイミングが点火時期に応じて変化する。その結果、熱電離反応により発生するイオンの発生の仕方が異なり、例えば、TII波形Iのピークが発生するタイミングが点火時期の影響を受
ける場合がある。
更に、図50に示した種々のイオン電流波形の例4、例5、例9のようにCRI波形やTII波形のピークが複数個発生する場合には、TII波形のピークの有無、即ち、波形パターン認識結果が「△」であるか「○」であるかという判定結果に影響を与える場合がある。故に、点火時期に応じてイオン電流波形のピークの有無の判定結果が異なる場合には、dCrk0、dCrk1、dCrk2、dCrk3の値を点火時期に応じて変更することにより、点火時期、即ち運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を精度良く判定することができる。
そこで、この発明の実施の形態11に於いては、上述した点火回数毎の点火時期に応じて、点火回数毎に、例えば図79〜図81のフローチャートで用いられる上述のdCrk0、dCrk1、dCrk2、dCrk3の値を変更するようにしている。このように運転条件、即ち、例えば点火時期の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の検出精度を向上することができる効果がある。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の点火時期に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更する具体例を説明したが、区間1や区間2や区間3の分割するクランク角度の違いによるイオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火毎の燃料量や内燃機関本体回転数や内燃機関本体冷却水温度や内燃機関本体潤滑油温度や燃料混合気の空燃比の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の点火時期と同様に、内燃機関本体回転数や内燃機関本体冷却水温度や内燃機関本体潤滑油温度や燃料混合気の空燃比に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の検出精度を向上することができる。
実施の形態12.
以下、この発明の実施の形態12に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して説明する。実施の形態6に係る内燃機関の制御装置の構成も図39と同一であるので、ここでは実施の形態7及び実施の形態9と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いを主体に説明する。
この発明の実施の形態12では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を判定するのであるが、所定の運転条件に応じて内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態判定条件を変更することにより、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を精度良く判定することができる。ECU21で実行される実施の形態6による内燃機関の制御装置の動作は、上述の燃焼状態判定条件が、ECU21に於いて検出された運転条件に応じて変更される動作以外は、実施の形態71及び実施の形態9の場合と同様であるので、以下には、実施の形態1及び実施の形態3と比較して異なる動作を主体に具体的に説明する。
先ず、イオン電流波形の波形パターン認識条件を変更するため用いる運転条件、及びそ
の検出について説明する。イオンの発生量に応じてイオン電流値が決まり、イオンの発生の仕方によりイオン電流波形が決まるので、イオンの発生量に影響を与える運転条件を考慮することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができる。イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の燃料量である。そこで、点火毎の燃料量等の制御パラメータはECU21にて演算され、燃料制御に用いられているので、例えば前述の図41に示す燃焼状態判定ルーチンと同じタイミングに検出することができる。即ち、点火毎の燃料量等の制御パラメータは、例えば上述の図78のルーチンが実行される点火回数毎に検出する。
そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、イオン電流値は極端に大きくなったり、極端に小さくなったりする場合がある。例えば、EGR量が多い運転であっても、燃料量が極端に多い運転条件である燃焼サイクルに於いては、熱電離反応によるイオンの発生量が多くなり、イオン電流値が大きくなる場合がある。
このような場合には、TII波形のイオン電流値の大きさは、通常の燃料量である場合に比較して、図79〜図81に示すフローチャートに於けるステップS114の「×判定」のステップでの「×」判定の判定値Ijbk2よりも大きくなって、「△」判定になる場合がある。又、TII波形のイオン電流値のピーク値判定結果は、通常の燃料量である場合に比較して、図56、及び図57に示すイオン電流ピーク判定ルーチンに於けるステップS201のイオン電流値増減判定のステップでのイオン電流値差分の大きさの判定値Ijp及びIjmよりも大きくなってピークがある判定となり、「○」判定となる場合がある。
このように、EGR量が多い運転であっても、通常の燃料量である場合にはTII波形の波形パターン認識結果が「△」判定である波形パターン認識結果が、燃料量が極端に多い運転条件である燃焼サイクルに於いては、TII波形の波形パターン認識結果が「○」判定である波形パターン認識結果となる場合がある。
又、EGRを導入しない運転であっても、燃料量が極端に少ない運転条件である燃焼サイクルに於いては、化学反応によるイオンの発生量が少なくなり、イオン電流値が小さくなる場合がある。そのような場合には、CRI波形のイオン電流値の大きさは、通常の燃料量である場合に比較して、図79〜図81のフローチャートに於けるステップS105の「×判定」のステップの「×」判定の判定値Ijbk1よりも小さくなって、「×」判定になる場合がある。又、CRI波形のイオン電流値のピーク値判定結果は、通常の燃料量である場合に比較して、図56、図57のイオン電流ピーク判定ルーチンに於けるステップS201のイオン電流値増減判定のステップでのイオン電流値差分の大きさの判定値Ijp及びIjmよりも小さくなってピークがない判定となり、「△」判定となる場合がある。
このように、EGRを導入しない運転であっても、通常の燃料量である場合にはイオン電流波形CRIの波形パターン認識結果が「○」判定である波形パターン認識結果が、燃料
量が極端に少ない運転条件である燃焼サイクルに於いては、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」判定や「×」判定である波形パターン認識結果となる場合がある。
以上述べたように、燃焼サイクル、即ち点火回数毎の燃料量に依存して、イオン電流波形の波形パターン認識結果は影響を受ける。具体的には、燃料量が極端に多くなった場合には、TII波形の波形パターン認識結果が「○」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる場合がある。又、燃料量が極端に少なくなった場合には、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」や「×」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる場
合がある。そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので同じEGR量であっても燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、TII波形の波形パターン認識結果が「○」である出現回数が増加したり、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」や「×」である出現回数が増加したりする場合がある。
このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる場合には、図52や図85の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に示した出現回数を異なる運転条件に応じて変更することにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を精度良く判定することができる。或いは、このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる点火サイクルの判定結果は、出現回数として計数しないようにすることにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態を精度良く判定することができる。
そこで、この発明の実施の形態12に係る内燃機関の制御装置に於いては、上述した点火回数毎の燃料量に応じて、点火回数毎に、例えば図52や図85に示す波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に示した出現回数を、異なる運転条件に応じて変更するようにしている。又、上述した点火回数毎の燃料量に応じて、点火回数毎のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を、計数しないようにしている。このように運転条件、即ち、例えば燃料量に応じて、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態判定条件を変更することにより、点火回数毎の燃料量が極端に多かったり少なかったりする影響を排除して、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の検出精度を更に向上することができる効果がある。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の燃料量に応じて内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態判定条件を変更する具体例を説明したが、イオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火時期や内燃機関本体回転数や内燃機関本体冷却水温度や内燃機関本体潤滑油温度や燃料混合気の空燃比の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の燃料量と同様に、点火時期や内燃機関本体回転数や内燃機関本体冷却水温度や内燃機関本体潤滑油温度や燃料混合気の空燃比に応じて内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態判定条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除して、内燃機関に適用したEGRによる燃焼状態の検出精度を向上することができる。
次に、この発明に係る内燃機関の制御装置を、空燃比制御を適用した内燃機関の制御に用いた場合の実施の形態13〜18について説明する。
実施の形態13.
この発明の実施の形態13に係る内燃機関の制御装置を自動車用内燃機関に適用した場合の全体の構成図としては図1に示す前述の実施の形態1の場合と同様であり、点火時期制御、燃料噴射制御等については、前述の実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
ここで内燃機関の空燃比制御について説明する。空燃比制御は、空燃比センサ10で検出した実空燃比A/Frと目標空燃比A/Fdの偏差に応じて、例えば比例積分制御器(所謂、目標値偏差に対するPIフィードバックコントローラ)により、燃料量補正値Kabyfを算出する。この比例積分器、即ち空燃比フィードバック制御器は、前述のECU21に格納されている。燃料補正値Kabyfは、実空燃比が目標空燃比よりもリッチ(空燃比がストイキ(理論空燃比)よりも濃厚)であるときには、燃料量が過剰であるので、燃料補正量Kabyfは燃料量が減量するように設定される。
即ち、空燃比偏差がリッチである場合には、燃料補正量Kabyfは小さくなるように設定される。又、実空燃比が目標空燃比よりもリーン(空燃比がストイキ(理論空燃比)よりも希薄)であるときには、燃料量が不足であるので、燃料補正量Kabyfは燃料量が増量するように設定される。即ち、空燃比偏差がリーンである場合には、燃料補正量Kabyfは大きくなるように設定される。そして、燃料補正量Kabyfは、前述の各種燃料補正量と同様に基本燃料噴射量TBに、例えば乗算して補正する。そして、上述の燃料噴射制御と同様に、有効燃料噴射量TAを算出し、インジェクタ7の開弁遅れ時間を補正する無効燃料噴射量TDを加算し、実燃料噴射量TIを算出する。そして、インジェクタ7を駆動して燃料噴射を行い、目標空燃比フィードバック制御が行われる。
空燃比制御に於いて、燃料噴射量操作が上述のようにして行われ、目標空燃比となるように内燃機関が制御されるのであるが、次に、内燃機関の燃焼状態をリーン燃焼限界空燃比やリッチ燃焼限界空燃比に制御するための具体的な方法について説明する。例えば、リーン燃焼限界空燃比に制御するために、目標空燃比:A/Fdは、次式(2)によって決定される。
A/Fd=Kafd(k)×A/Fb(Ne、A/N) 式(2)
ここで、Kafd(k)は目標空燃比補正係数、A/Fb(Ne、A/N)は基準目標空燃比である。
基準目標空燃比A/Fb(Ne、A/N)は、図93の説明図に示すように、内燃機関回転数Ne[r/min]と内燃機関負荷に応じて決める。図93は、基準目標空燃比A/Fb(Ne、A/N)を定めるテーブルの概念を示す説明図である。図93に示すテーブルは、内燃機関回転数Ne[r/min]の個々の値と、内燃機関負荷としての吸入空気量A/N[g]の個々の値との対応(交点)毎に、それらの条件を満たすための基準目標空燃
比A/Fb(Ne、A/N)を定めたものである。即ち、例えば、内燃機関回転数6000[r/min]と吸入空気量5[g]との交点には、その条件下で要求される基準目標空燃比A/Fb(Ne、A/N)が定められている。前述のように構成された図93に示すテーブルは、ECU21に内蔵されているROM17やRAM18に記憶されている。内燃機関負荷としての吸入空気量A/N[g]は、燃料噴射量制御に於いて算出したものと同じである。式(2)には、目標空燃比補正係数Kafd(k)があり、内燃機関に適用された空燃比制御による燃焼状態に応じて目標空燃比を補正している。
目標空燃比補正係数Kafd(k)を用いたリーン燃焼限界空燃比制御の方法について、図94のフローチャートに従って説明する。ECU21では、各種センサの出力状態に応じてリーン燃焼限界空燃比制御を実行するか否かを決定する。リーン燃焼限界空燃比制御を実行しない場合は、目標空燃比補正係数Kafd(k)は「1」に設定される。リーン燃焼限界空燃比制御を実行する場合には、式(2)に従って、目標空燃比A/Fdが設定され、目標空燃比A/Fdが運転状態、及び内燃機関の燃焼状態に応じて制御される。
リーン燃焼限界空燃比制御は、目標空燃比制御実施中に実行するために、ステップS3001では、目標空燃比制御中か否かを判定する。目標空燃比制御中でない場合には、Nへ進み、リーン燃焼限界空燃比制御は行わない。図94のリーン燃焼限界空燃比制御の処理は、所定時間毎、或いは所定燃焼サイクル毎に実行される。リーン燃焼限界空燃比制御中である場合には、Yに進み、ステップS3002へ進む。
ステップS3002では、燃焼状態良であるか否かを判定する。燃焼状態の判定方法については、イオン電流を用いた方法について後述する。ステップS3002で燃焼状態良と判定された場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「Stb=1」である場合には、Yへ進み、ステップS3003へ進む。ステップS3002で燃焼状態良と判定されなかった場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「1」でない場合[Stb≠1]には、Nへ進み、
ステップS3004へ進む。
ステップS3003では、リーン空燃比に制御したときの燃焼状態が良好であるので、目標空燃比を現状よりもリーンにすることができる。そこで、現状、即ち[k−1]時点での目標空燃比補正係数Kafd(k−1)に増分Δkelを加算した値を目標空燃比補正係数Kafd(k)として目標空燃比をリーンにするように設定する。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3004では、燃焼状態が最適であるか否かを判定する。ステップS3004で燃焼状態最適と判定された場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「2」である場合[Stb=2]には、Yへ進み、ステップS3009へ進む。ステップS3004で燃焼状態最適と判定されなかった場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「2」でない場合[Stb≠2]には、Nへ進み、ステップS3005へ進む。
ステップS3009では、リーン空燃比に制御したときの燃焼状態が最適であるので、目標空燃比を現状維持する。即ちk時点での目標空燃比補正係数A/Fd(k)に[k−1]時点での目標空燃比補正係数A/Fd(k−1)を設定する。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3005では、燃焼限界であるか否かを判定する。ステップS3005で燃焼限界であると判定された場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「3」である場合には、Yへ進み、ステップS3006へ進む。ステップS3005で燃焼状態良と判定されなかった場合、即ち、燃焼状態フラグStbが「3」でない場合[Stb≠3]には、Nへ進み、ステップS3004へ進む。
ステップS3006では、目標空燃比をリーン、即ち希薄にしすぎて燃焼状態がリーン空燃比燃焼限界であるので、目標空燃比を現状よりも減算して内燃機関の空燃比をリッチ側に設定して燃焼状態を良化する必要がある。そこで、現状、即ち[k−1]時点での目標空燃比補正係数Kafd(k−1)から減分Δke2を減算した値を目標空燃比補正係数Kafd(k)として内燃機関の空燃比をリッチとなる方向、即ち空燃比が濃厚となる方向へ操作する。そして、ステップS3008へ進む。
ステップS3007には遷移する運転状態が存在しないが、何らかの理由でエラー生じた場合なので、リーン燃焼限界空燃比制御を停止するために、k時点での目標空燃比補正係数Kafd(k)を「1」に設定する。そして、ステップS3008へ進む。ステップS3008では、カウンタkをインクリメント、即ち、[k=k+1]としてリーン燃焼限界空燃比制御のk時点の処理を終了する。
以上、図94に従った処理でリーン燃焼限界空燃比制御の動作の説明が終了したが、動作の一例について、図95に従って、説明する。図94の動作は、リーン燃焼限界空燃比制御が開始されると、開始する。即ち、図95に於いて、(A)に示すリーン燃焼限界空燃比制御中がNOからYESに変化するタイミングt1以降に於いて図94のステップS3001での判定がYESとなり、(D)に示すカウンタkのカウント値が増加し、リー
ン燃焼限界空燃比制御が開始される。尚、図95の(A)に示すリーン燃焼限界空燃比制御中がNOのときは空燃比制御が導入されていない場合であり、図94のステップS3001での判定はNOとなる。
さて、図95の(A)に示す「リーン燃焼限界空燃比制御中」がYESと判定されたタイミングt1に於いて、図4の(B)に示す燃焼状態が「良」[stb=1]であれば、図95の(C)に示す「目標空燃比補正係数」Kafd(k)は、補正を停止していたと
きの値[Kafd(k)=1]から増量を開始する。その増量される増分は、図95の(D)に示す「カウンタk」によるkカウント当たりΔKelである。
次に、時点t2に於いて図95の(B)に示す燃焼状態が「最適」[Stb=2]となると、図94のステップ3004による判定がYESとなり、目標空燃比補正係数Kafd(k)は増量が停止されてそのときの値が維持される。しかしながら、目標空燃比をリーン、即ち希薄にしすぎて燃焼状態がリーン空燃比燃焼限界になった場合、即ち、図95の(B)に示す燃焼状態が「限界」[Stb=3]となった場合、時点t3に於いて図94のステップS3005による判定がYESとなり、目標空燃比補正係数Kafd(k)は減量される。その減分は、ΔKe2である。
図95に示す場合では、時点t3での目標空燃比補正係数Kafd(k)の減量により燃焼状態が良化し、[Stb=1]になるので、再びその時点t3から目標空燃比補正係数Kafd(k)が燃焼状態「最適」[Stb=2]となるまで増量続ける。そして、燃焼状態が「最適」になると、その時点t4で目標空燃比補正係数Kafd(k)の増量は停止されてその値が保持され、燃焼状態「最適」である燃焼状態が維持される。
又、この内燃機関には、シリンダ24で混合気が燃焼する際に発生するイオンを検出する為のイオン電流検出回路22が設けられている。イオンは混合気の燃焼状態に応じて発生し、イオン電流検出回路22に設けられた図示していない電圧バイアス回路から点火プラグ23にバイアス電圧をかけることによりシリンダ24内に発生したイオンが点火プラグ23とシリンダ24により捕捉され、イオン電流検出回路22にて図示しない検出用抵抗を介してイオン電流値を示す電圧として検出できる。検出したイオン電流値を示す電圧は、ECU21の入出力インターフェース19を介してA/D変換され、イオン電流としてECU21に検出される。
以上のような構成によれば、内燃機関の所定の運転状態に於いて、シリンダ24内の混合気が燃焼することにより発生するイオンをイオン電流出力として検出できる。前記ECU21では、クランク角センサ11の示すクランク角度毎のイオン電流波形として検出でき、検出したイオン電流波形により、内燃機関に適用された空燃比制御による燃焼状態を判定することが可能となる。
シリンダ24内に発生したイオンを点火毎に検出したイオン電流波形は、点火毎の混合気の燃焼状態を表しており、連続する3つの検出区間である区間1、区間2、区間3により、CRIとTIIとABIという3つのイオン電流波形に分類して検出し、それら3つのイオン電流波形の波形パターンを認識することにより、パターン認識した認識結果に従って点火毎の燃焼状態を分類することができる。このことについては、前述の実施の形態1に於いて図4により説明した通りである。
次に、点火毎に検出したイオン電流波形を、CRI波形、TII波形、ABI波形に分類して検出し、それら3つのイオン電流波形の波形パターンを認識する方法について説明する。
内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態は、設定した目標空燃比に対応し分類することができるが、目標空燃比の設定を変更した燃焼状態時の点火毎のイオン電流波形の一例を図96、図97、及び図98に示す。内燃機関回転数と内燃機関負荷(吸入空気量)を固定した定常運転状態に於いて、目標空燃比をリーンにしない運転条件に於ける12点火分の点火毎のイオン電流波形を示したのが図96である。定常運転状態に於いて、目標空燃比をリーンにして最適な運転条件に於ける12点火分の点火毎のイオン電流波形を示したのが図97である。そして、定常運転状態に於いて、空燃比を希薄にしリーン空燃比燃焼限界の運転条件に於ける12点火分の点火毎のイオン電流波形を示したのが図98である。
図96、図97及び図98の点火毎のイオン電流波形を前述の3つの検出区間で分割した波形パターンとして認識すると、前述したように、CRI波形、TII波形、ABI波形という3つのイオン電流波形に分類できる。更に、これらの3つのイオン電流波形は、それぞれの検出区間に於いて、イオン電流波形が検出できる場合とイオン電流波形ができない場合に分類できることが判る。ここで図に関して補足説明すると、それぞれの検出区間は、前述の図4に示した検出区間と同じもので、各点火毎のイオン電流波形に於いて左から区間1、区間2、区間3であり、それぞれの検出区間にて検出されたイオン電流波形が、CRI波形、TII波形、ABI波形である。更に、イオン電流波形が検出できる場合の波形パターンを分類すると、ピークがある場合とピークはない場合に分類できることが判る。
そこで、図96、図97及び図98に示されたCRI波形、TII波形、ABI波形を「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果に分類するパターン認識を適用する。イオン電流波形を波形パターン「○」、「△」、「×」の3つの認識結果に分類する波形パターン認識条件は、前述の実施の形態7に於ける図46にて示したものと同一である。
図46の波形パターン認識条件を適用して、図96の1点火から12点火までの点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形を「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を図99の「試行H1」の欄のCRI、TII、ABIの列に示す。同様に、図97の1点火から12点火までの点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形を「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を図100の「試行R1」の欄のCRI、TII、ABIの列に示す。同様に、図98の1点火から12点火までの点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形を「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果で分類した結果を図101の「試行G1」の欄のCRI、TII、ABIの列に示す。この結果から明らかなように、図96、図97、及び図98のような点火毎のイオン電流波形は、CRI波形、TII波形、ABI波形を「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果で分類できることが判る。
イオン電流波形の波形パターンには、図96、図97、及び図98に示した波形パターン以外にも比較的良く発生する波形パターンがいくつかあるので、その例を図102に示す。図102には、CRI波形、TII波形、ABI波形の順番にパターン認識した波形パターン認識結果が、例えば「例1:○○×」というように記載してある。尚、図102に於ける、例4、例5、例9のイオン電流波形の説明は、前述の実施の形態7の図50の説明と同様であるので省略する。
上述の例では、任意のイオン電流波形を連続した3つの区間である区間1と区間2と区間3で分割したCRI波形、TII波形、ABI波形に分類し、3つのそれぞれのイオン電流波形を「○」、「△」、「×」の波形パターンに分類し、CRI波形、TII波形、ABI波形の順番にパターン認識した○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果を組み合わせた、例えば、図102の「例1:○○×」というような波形パターン認識結果を得る方法について述べたが、検出した信号をコンピュータによって実現する、いわゆるパターン認識と言う認識処理を適用して、波形パターン認識結果を得る方法もある。その方法の一例については、前述の実施の形態7に於いて説明したものと同様であるので説明を省略する。
次に、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形の3つのイオン電流波形
の波形パターン認識結果より、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する方法について説明する。
図96、図97、図98、及び図102に示したように、点火毎に検出した任意のイオン電流波形は、CRI波形、TII波形、ABI波形を「○」、「△」、「×」による波形パターン認識結果により分類できるので、図96、図97、及び図98に示したそれぞれ1回の試行以外の夫々5試行、計15試行についての1点火から12点火までの点火毎のイオン電流波形を分類した。ここでは、夫々追加した5試行の点火毎のイオン電流波形は、図96、図97、及び図98と同様であるので、分類結果のみを図99、図100、及び図101に示す。
図96以外の目標空燃比をリーンにしない運転条件時の場合の5試行は、試行H2〜試行H6までであり、図96に対応する試行H1を加えて、計6試行の結果が図99に記載してある。図97以外の空燃比をリーンにして最適な運転条件時の場合の5試行は、試行R2から試行R6までであり、図97に対応する試行R1を加えて、計6試行の結果が図100に記載してある。図98以外の空燃比を希薄にしリーン空燃比燃焼限界の運転条件時の場合の5試行は、試行G2から試行G6までであり、図98に対応する試行G1を加えて、計6試行の結果が図101に記載してある。
次に、図99、図100、及び図101の各点火毎(図99、図100、及び図101では「点火サイクル」と表記、「点火毎」と「点火サイクル」は同義を表す)の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果を図102に示す6つの組み合わせに分類する。CRI波形、TII波形、ABI波形の3つのイオン電流波形と波形パターン認識結果「○」、「△」、「×」の組み合わせは、27通りの組み合わせがあるが、図103に示した組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの6つの分類は、27通りの任意の組み合わせが分類できることは明らかである。
そして、図99の1点火から12点火までの点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形と「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果の組み合わせに、図102の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名A、B、C、D、E、Fで分類した結果を図99の「試行H1」から「試行H6」の欄の「名」の列に示す。同様に、図100の1点火から12点火までの点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形と「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果の組み合わせに、図102の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果を図100の「試行R1」から「試行R6」の欄の「名」の列に示す。同様に、図101の1点火から12点火までの点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形と「○」、「△」、「×」の3つの波形パターン認識結果の組み合わせに、図102の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果を図12の「試行G1」から「試行G6」の欄の「名」の列に示す。
そして、1点火から12点火までのイオン電流波形を図103の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果に対して、夫々の試行の場合に於いて、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Aが現れた回数を図99の「試行H1」から「試行H6」の欄の「A」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Bが現れた回数を「B」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Cが現れた回数を「C」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Dが現れた回数を「D」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Eが現れた回数を「E」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Fが現れた回数を「F」の列に記入した。
以上、各試行のCRI波形、TII波形、ABI波形Iと「○」、「△」、「×」の波
形パターン認識結果の組み合わせの出現回数が、図99の「試行H1」から「試行H6」の欄の「A」、「B」、「C」、「D」「E」「F」の列に示された。各点火サイクルの1点火から12点火の行に対応する「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の列に示された出現回数は、計測し始めた1点火からそれぞれの点火回数までに「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の組み合わせが出現した回数が示されている。
図100の場合も図99と同様である。1点火から12点火までのイオン電流波形を図14の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果に対して、それぞれの試行の場合に於いて、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Aが現れた回数を図11の「試行R1」から「試行R6」の欄の「A」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Bが現れた回数を「B」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Cが現れた回数を「C」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Dが現れた回数を「D」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Eが現れた回数を「E」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Fが現れた回数を「F」の列に記入した。
以上、各試行のCRI波形、TII波形、ABI波形と「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数が、図100の「試行R1」から「試行R6」の欄の「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の列に示された。各点火サイクルの1点火から12点火の行に対応する「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の列に示された出現回数は、始動からそれぞれの点火回数までに「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の組み合わせが出現した回数が示されている。
図101の場合も図99と同様である。1点火から12点火までのイオン電流波形を図14の組み合わせ条件を適用して6つの組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fで分類した結果に対して、それぞれの試行の場合に於いて、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Aが現れた回数を図12の「試行G1」から「試行G6」の欄の「A」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Bが現れた回数を「B」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Cが現れた回数を「C」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Dが現れた回数を「D」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Eが現れた回数を「E」の列に記入した。同様に、1点火から12点火まで順番に組み合わせ名:Fが現れた回数を「F」の列に記入した。
以上、各試行のCRI波形、TII波形、ABI波形と「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数が、図101の「試行G1」から「試行G6」の欄の「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の列に示された。各点火サイクルの1点火から12点火の行に対応する「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の列に示された出現回数は、始動からそれぞれの点火回数までに「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」の組み合わせが出現した回数が示されている。
ここで、点火毎に検出した3つのイオン電流波形であるCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果より、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する方法について具体的に説明する。図103に記載しているように、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせが、組み合わせ:Aの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が、非常に良い燃焼状態であると判定することができる。又、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせが、組み合わせ:Bの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が、良い燃焼状態であると判定することができる。
又、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせが、組み合わせ:Cの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が、目標空燃比をリーンにして最適な燃焼状態であると判定することができる。又、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせが、組み合わせ:Dの場合は、その点火サイクルに於ける燃焼状態が、リーン空燃比燃焼限界の状態であると判定することができる。又、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせが、組み合わせ:Eの場合は、その点火サイクルに於いて燃焼が得られず失火状態であると判定することができる。又、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形のパターン認識結果の組み合わせが、万が一、組み合わせ:Fの場合は、その点火サイクルに於ける検出結果は異常であり、正確に燃焼状態を検出できていないことがわかる。
このように、点火サイクル毎に3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせを判断することによって、点火サイクル毎の燃焼状態を検出することができる。
次に、図99、図100、及び図101の結果を用いて、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果より、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する方法について具体的に説明する。図99は、目標空燃比をリーンにしない運転条件の場合の結果であり、図100は、目標空燃比をリーンにして最適な運転条件の場合の結果であり、図101は、リーン空燃比燃焼限界の運転条件の場合の結果である。図99、図100、及び図101に於いて、点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形と「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果の組み合わせについて、12点火分の出現回数の特徴を整理すると図104のようになる。
即ち、検出した12点火分のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図104の特徴1Hを満足する、或いは特徴2Hを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態は目標空燃比をリーンにしない運転条件であると判定できる。又、検出した12点火分のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図104の特徴1Rを満足する、或いは特徴2Rを満足する、或いは特徴3Rを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態は目標空燃比をリーンにして最適な運転条件であると判定できる。又、検出した12点火分のイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図104の特徴1Gを満足する、或いは特徴2Gを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態はリーン空燃比燃焼限界の運転条件であると判定できる。
更に、特徴1Hと特徴2Hの両者が成立した場合に目標空燃比をリーンにしない運転条件であると判定することもできる。この場合、判定精度は向上する。同様に、特徴1Rと特徴2Rと特徴3Rのすべての特徴が成立した場合に目標空燃比をリーンにして最適な運転条件であると判定することもできる。同様に、特徴1Gと特徴2Gの両者が成立した場合にリーン空燃比燃焼限界の運転条件であると判定することもできる。これらの場合、判定精度は向上することは言うまでもない。
上述の例では、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する方法に用いたCRI波形、TII波形、ABI波形の3つのイオン電流波形のそれぞれに「○」「△」「×」の波形パターン認識結果を組み合わせた波形パターン認識結果を用いているので、前述したような、検出した信号をコンピュータによって実現する、所謂、パターン認識という認識処理を適用して、波形パターン認識結果を得る方法で得られたCRI波形、TI
I波形、ABI波形のそれぞれに対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)に対しても、全く同様に適用して、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定することができる。
又、連続した3つのCRI波形、TII波形、ABI波形の全体に対して、上述の定義の「○」「△」「×」を組み合わせたイオン電流波形の標準パターン(27種類となる)を予め定義しておき、それらの標準パターンに対して波形パターン認識結果(標準パターンとの比較結果と距離)を得る方法で得られた波形パターン認識結果に対しても、図104に示した判定条件を適用して、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定することができるのは言うまでもない。
ところで、目標空燃比をリーンにしない運転条件である場合に特徴1Hを満足するのは、以下のような理由がある。特徴1Hは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Aのイオン電流波形は、CRI波形、TII波形、ABI波形にピークが発生している燃焼状態であり、区間1と区間2のクランク角度に於いて混合気の燃焼状態が良いことを表している。目標空燃比をリーンにしないと燃焼状態がよくなるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Aの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関の目標空燃比をリーンにして最適な運転条件である場合に特徴2Rを満足するのは、以下のような理由がある。特徴2Rは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Bのイオン電流波形は、CRI波形のみにピークが発生している燃焼状態であり、区間2の混合気の燃焼状態が比較的悪いことを表している。空燃比がリーンの状態で燃焼すると空燃比をリーンにしない運転条件の場合に比較すると燃焼状態が悪くなるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Bの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関のリーン空燃比燃焼限界の運転条件である場合に特徴2Gを満足するのは、以下のような理由がある。特徴2Gは、組み合わせ名:Dのイオン電流波形が出現するという事象であるが、組み合わせ名:Dのイオン電流波形は、ABI波形が発生する燃焼状態であり、リーン空燃比燃焼限界である運転条件であることを表している。
以上の説明では、具体的な例としての説明のために、特定の数値の点火回数や出現回数としているが、図104に示したような特定の数値を用いるだけでなく、判定に用いる点火回数を変更(増加、又は減量)して判定に用いる点火回数に対する百分率で判定しても全く同じ判定結果が得られる。
以下、ECU21に記憶されたプログラムによって実施される上述した内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態判定の動作について、フローチャートを用いて詳細に説明する。イオン電流波形パターン判定ルーチンによって点火毎のCRI波形、TII波形、ABI波形毎に、「○」、「△」、「×」の波形パターン認識を行うルーチンについては、前述の実施の形態7に於ける図53〜図55のフローチャートにより説明したルーチンと同一である。そして、前述の実施の形態7に於ける図58の燃焼状態判定ルーチンと同一の判定ルーチンによる燃焼状態の認識結果から、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定を行う。
イオン電流値ピークの判定については、前述の実施の形態7に於ける図56及び図57のイオン電流値ピーク判定ルーチンと同一のルーチンにより行われ、又、イオン電流波形の波形パターンの認識については、前述の実施の形態7に於ける図59〜図67のイオン電流波形の波形パターン認識ルーチンと同一のルーチンにより行われる。更に、イオン電
流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の計数については、前述の実施の形態7に於ける図68〜図69の出現回数計数ルーチンと同一のルーチンにより行われる。
次に、燃焼状態特徴判定ルーチンの処理について説明する。内燃機関にに適用した空燃比制御による燃焼状態の特徴による燃焼状態判定は、図104の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定できる。ここでは、図104に記載の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例1と、図104に記載の特徴の全てを用いて判定する例2を、夫々図105のフローチャートと図106のフローチャートに従って説明する。
先ず、図104に記載の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例1を図105の燃焼状態判定ルーチン(例1)に従って説明する。図104の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gは、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、Cのそれぞれの出現回数のみの特徴に着目した燃焼状態判定方法である。
図105に於いて、ステップS601では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が7回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS602へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS603へ進む。
次にステップS602では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上であり、図104の特徴1Hを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、目標空燃比をリーンにしない運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
ステップS603では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS604へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS605へ進む。
次にステップS604では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、図15の特徴2Rを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、目標空燃比をリーンにして最適な運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
ステップS605では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が2回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS606へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS607へ進む。
次にステップS606では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが2回以上であり、図104の特徴2Gを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、リーン空燃比燃焼限界である運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。
次にステップS607では、図104の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例1)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
次に、図104に記載の全ての特徴を用いて判定する例2を図106の燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)に従って説明する。まずステップS701では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が7回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS702へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS704へ進む。
次にステップS702では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS703へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次にステップS703では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが7回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下であり、図104の特徴1Hと特徴2Hの両方を満足しているので、目標空燃比をリーンにしていない運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
ステップS704では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が3回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS705へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次にステップS705では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS706へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次にステップS706では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が3回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS707へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS708へ進む。
次にステップS707では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが3回以下であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下であり、図104の特徴1Rと特徴2Rと特徴3Rの全てを満足しているので、目標空燃比をリーン
にして最適な運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
ステップS708では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が4回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが4回以上ならば、Yへ進み、ステップS709へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが4回以上でないならば、Nへ進み、ステップS711へ進む。
次にステップS709では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数が2回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS710へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS711へ進む。
次にステップS710では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが4回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが2回以上であり、図104の特徴1Gと特徴2Gの両方を満足しているので、リーン空燃比燃焼限界である運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。
次にステップS711では、図104の全ての特徴を満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン(例2)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
上述の実施の形態13では、目標空燃比を希薄にする、即ちリーン空燃比燃焼限界制御の例について詳細に説明したが、目標空燃比を濃厚にする、即ちリッチ空燃比燃焼限界制御を行った場合にもイオン電流波形パターンの認識結果を用いて全く同様に内燃機関に適用した空燃比による燃焼状態を判定することができる。即ち、空燃比を希薄にする操作を空燃比を濃厚にする操作に置き換えることにより、全く同様にリッチ空燃比燃焼限界制御を行うことができる。
以上のように、この発明の実施の形態13による内燃機関の制御装置では、内燃機関にリーン空燃比制御、或いはリッチ空燃比制御を適用した場合に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、混合気の空燃比に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、点火毎の前記イオン電流波形パターン認識結果、即ち図103の組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fの判定結果に基づいてそれぞれの組み合わせ名に対応した燃焼状態であることを判定することができる。
更に、この発明の実施の形態13による内燃機関の制御装置では、所定のイオン電流検出区間に於いて前記イオン電流値の軌跡の特徴を、例えば、図46に述べたように抽出し、その特徴の有無に応じて、例えば、図103に示すような組み合わせ名:A、B、C、D、E、Fのように波形パターンとして認識し、分類することにより、精度よくイオン電流波形を波形パターン認識することができる。
更に、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前述のイオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結
果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態をより精度良く判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を空燃比制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態14.
以下、この発明の実施の形態14について、図面を参照して説明する。ここでは実施の形態13と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いに付いてのみ説明する。
本発明の実施の形態14では、所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果に於いて発生した所定のイオン電流波形パターンの出現回数の計数を複数回計測して、その複数回の出現回数計数の計測結果に基づいて内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定するので、所定の運転条件を満足している連続した点火回数nsに於いて点火回数Kjfpn回毎にイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数する必要がある。その点火回数Kjfpn回毎の出現回数計数を複数回計測し、それぞれの出現回数の計数計測で得られた、同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を出現回数の複数回の計数計測結果に関して平均化してイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を求める。
このようにして、複数回の出現回数計数の計測結果に基づいて内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する。上述の点火回数Kjfpn回のそれぞれの出現回数の計数計測で得られた同一種類のイオン電流波形の波形パターン認識結果とは、例えば図103に示したイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、D、E、Fのそれぞれの出現回数であり、それぞれの波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数を複数回の計数計測結果を平均化することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、D、E、Fの出現回数を得ることができる。上述の平均化するための計数計測の回数をKjfpnt回とする。以下に、フローチャートに基づいて上述の動作を具体的に説明する。
さて、実施の形態14に於いて実施の形態13と比較して具体的に異なる部分は、ECU21に記憶され、実行されるプログラムによって実施される燃焼状態判定の動作である。先ず、実施の形態7及び実施の形態13で説明した図53〜図55のフローチャートで説明される前述の内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンは全く同じであるので説明は省略する。
実施の形態13と異なるのは点火回数毎に実行される図58の燃焼状態判定ルーチンの動作であるが、その燃焼状態判定ルーチン2は、前述の実施の形態8に於いて述べた図72の燃焼状態判定ルーチン2と同一であるので説明を省略する。又、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数計数ルーチン2は、実施の形態8に於いて説明した図74及び図75の出現回数計数ルーチン2と同一であり、更に、イオン電流波形の波形パターン認識結果の平均出現回数を算出する出現回数平均化ルーチンは、前述の実施の形態8に於いて説明した図73の出現回数平均化ルーチンと同一である。
次に、図107及び図108に従って、燃焼状態特徴判定ルーチン2の処理について説明する。内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の特徴による燃焼状態判定は、図1104の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定できる。ここでは、図104に記載の特徴1Hと特徴2Rと特徴
2Gを用いて判定する例3と図104に記載の特徴のすべてを用いて判定する例4をそれぞれ図107のフローチャートと図108のフローチャートに従って説明する。
先ず、図104に記載の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを用いて判定する例3を図107の燃焼状態判定ルーチン2(例3)に従って説明する。図104の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gは、CRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、Cのそれぞれの平均出現回数のみの特徴に着目した燃焼状態判定方法である。
図107に於いて、ステップS1101では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が7回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS1102へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1103へ進む。
次にステップS1102では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上であり、図104の特徴1Hを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、目標空燃比をリーンにしていない運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。
ステップS1103では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1104へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1105へ進む。
次にステップS1104では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上であり、図104の特徴2Rを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、目標空燃比をリーンにして最適な運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。
ステップS1105では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数が2回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS1106へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1107へ進む。
次にステップS1106では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが2回以上であり、図104の特徴2Gを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、リーン空燃比燃焼限界である運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。
次にステップS1107では、図104の特徴1Hと特徴2Rと特徴2Gを満足しなか
ったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例3)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
引き続き、図104に記載のすべての特徴を用いて判定する例4を図108の燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)に従って説明する。先ず、ステップS1201では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が7回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上ならば、Yへ進み、ステップS1202へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnnjpraが7回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1204へ進む。
次にステップS1202では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS1203へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1203では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが7回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下であり、図104の特徴1Hと特徴2Hの両方を満足しているので、目標空燃比をリーンにしていない運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。
ステップS1204では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数が3回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS1205へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1205では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1206へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1206では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数が3回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS1207へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1208へ進む。
次にステップS1207では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの平均出現回数AVRnjpraが3回以下であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが3回以下であり、図15の特徴1Rと特徴2Rと特徴3Rの全てを満足しているので、目標空燃比をリーンにして最適な運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。
ステップS1208では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数が4回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが4回以上ならば、Yへ進み、ステップS1209へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが4回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1211へ進む。
次にステップS1209では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数が2回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnjprdが2回以上ならば、Yへ進み、ステップS1210へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnjprdが2回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1211へ進む。
次にステップS1210では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの平均出現回数AVRnjprcが4回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの平均出現回数AVRnjprdが2回以上であり、図15の特徴1Gと特徴2Gの両方を満足しているので、リーン空燃比燃焼限界である運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。
次にステップS1211では、図104の全ての特徴を満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン2(例4)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
以上述べた実施の形態14では、目標空燃比を希薄にする、即ちリーン空燃比燃焼限界制御の例について詳細に説明したが、目標空燃比を濃厚にする、即ちリッチ空燃比燃焼限界制御を行った場合にもイオン電流波形パターンの認識結果を用いてまったく同様に内燃機関に適用した空燃比による燃焼状態を判定することができる。即ち、空燃比を希薄にする操作を空燃比を濃厚にする操作に置き換えることにより、まったく同様にリッチ空燃比燃焼限界制御を行うことができる。
以上のように、この発明の実施の形態14に係る内燃機関の制御装置では、内燃機関にリーン空燃比制御、或いはリッチ空燃比制御を適用した場合に於いて、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、混合気の空燃比に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、更に所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果を複数回計測し、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を平均化して出現回数の計数結果の計測精度が更に向上している。そしてその所定のイオン電流波形パターン認識結果の平均出現回数に基づいて前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態をより精度良く判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を空燃比制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態15.
以下、この発明の実施の形態15に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して
説明する。この実施の形態15の構成は、図1と同一であり、ここでは実施の形態13と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いに付いてのみ説明する。
この実施の形態15では、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、所定の運転状態を満足している所定の点火回数における前記イオン電流波形パターン認識結果中の所定のイオン電流波形パターンの出現回数を計数し、その計数結果から前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段を有する。ここで言う運転状態とは、内燃機関が搭載された自動車などの速度が加速している運転状態や速度が減速している運転状態などである。又、自動車などの内燃機関が走行などのためにその出力を用いていない運転状態、所謂、アイドル運転状態や内燃機関が始動する運転状態や所定の冷却水温となるまでの運転状態、いわゆる暖機運転状態等である。
この実施の形態15では、内燃機関が前述のような所定の運転状態である場合に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、イオン電流波形パターン認識結果から内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する。上述の内燃機関の運転状態は、図1に示された各種センサの出力値、及び出力値変化により検出することができる。内燃機関の運転状態を表す代表的な状態量は、内燃機関回転数や内燃機関負荷であり、内燃機関回転数はクランク角センサ11やカム角センサ12など信号から検出でき、内燃機関負荷は図示しないエアフローセンサにより検出した吸入空気量A/Nなどから検出できる。そして例えば、加速している運転状態は、内燃機関回転数や内燃機関負荷が所定の変化をしている場合(例えば、単位時間当たりの変化量が所定値よりも大きい場合)を検出することにより判定できる。
減速している運転状態も加速している場合と同様に、内燃機関回転数や内燃機関負荷の変化により判定することができる。又、アイドル運転状態は、アイドルスイッチ14の出力と内燃機関回転数の状態から判定することができる。又、始動する運転状態は、内燃機関が停止状態から内燃機関回転数が所定の内燃機関回転数より大きくなる状態を検出することにより判定することができる。又、暖気運転状態は、アイドル運転状態の判定と水温センサ15の出力値により判定することができる。上述のように判定した運転状態が成立してい場合にのみ、イオン電流波形パターンを認識し、又イオン電流波形パターンを分類し、所定の運転状態を満足している所定の点火回数における前記イオン電流波形パターン認識結果中の所定のイオン電流波形パターンの出現回数を計数し、その計数結果から前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定することが実現できる。
上述のような所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果による燃焼状態の判定は、加速している運転状態を満足している場合は、前述の図78の燃焼状態判定ルーチン3と図79〜図81のイオン電流波形パターン判定ルーチン3と同一のルーチンにより、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果を得ることができる。
次に、所定の点火回数を12点火とした場合の一例を、図109、図110、及び図111に示し、点火毎に検出したCRI波形、TII波形、ABI波形の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果より、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する方法について具体的に説明する。図109は、加速している運転状態を満足している1点火目から12点火目までの目標空燃比をリーンにしない運転条件の場合の結果であり、図110は、加速している運転状態を満足している目標空燃比をリーンにして最適な運転条件の場合の結果であり、図111は、加速している運転状態を満足しているリーン空燃比燃焼限界の運転条件の場合の結果である。
図109、図110、及び図111に於いて、点火毎のイオン電流波形CRI、TII、ABI
と「○」、「△」、「×」の波形パターン認識結果の組み合わせについて、加速している運転状態を満足している場合の1点火目から12点火目までの出現回数の特徴を整理すると図112のようになる。即ち、検出した1点火目から12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図112の特徴1HAを満足する、或いは特徴2HAを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態は目標空燃比をリーンにしない運転条件であると判定できる。
又、検出した1点火目から12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図112の特徴1RAを満足する、或いは特徴2RAを満足する、或いは特徴3RAを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態は目標空燃比をリーンにして最適な運転条件であると判定できる。又、検出した1点火目から12点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせが、図112の特徴1GAを満足する、或いは特徴2GAを満足すると判定した場合に、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態はリーン空燃比燃焼限界の運転条件であると判定できる。
更に、特徴1HAと特徴2HAの両者が成立した場合に目標空燃比をリーンにしない運転条件であると判定することもできる。この場合、判定精度は向上する。同様に、特徴1RAと特徴2RAと特徴3RAのすべての特徴が成立した場合に目標空燃比をリーンにして最適な運転条件であると判定することもできる。同様に、特徴1GAと特徴2GAの両者が成立した場合にリーン空燃比燃焼限界の運転条件であると判定することもできる。これらの場合、判定精度は向上することは言うまでもない。
ところで、内燃機関に目標空燃比をリーンにしない運転条件である場合に特徴1HAを満足するのは、以下のような理由がある。特徴1HAは、組み合わせ名:Aのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Aのイオン電流波形は、CRI波形とTII波形にピークが発生している燃焼状態であり、区間1と区間2のクランク角度に於いてのみ混合気が燃焼し、燃焼状態が良いことを表している。目標空燃比をリーンにしていない場合、加速時も混合気の着火状態も良く、安定した燃焼状態が得られるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Aの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関に目標空燃比をリーンにして最適な運転条件である場合に特徴2RAを満足するのは、以下のような理由がある。特徴2RAは、組み合わせ名:Bのイオン電流波形の出現回数が多いという事象であるが、組み合わせ名:Bのイオン電流波形は、CRI波形のみにピークが発生している燃焼状態であり、区間2の混合気の燃焼状態は組み合わせ名:Aが多く発生する場合に比較して燃焼状態が悪いことを表している。空燃比をリーンに設定すると燃焼温度が下がり、目標空燃比をリーンにしない場合に比較すると燃焼状態が悪くなる。更に、加速している運転状態では点火毎の空燃比がばらつく場合があり、加速している状態の経過時間に依存して燃焼状態が悪くなることがあるので、必然的にイオン電流は組み合わせ名:Bの波形パターンの出現回数が多くなるのである。
又、内燃機関がリーン空燃比燃焼限界の運転条件である場合に特徴2GAを満足するのは、以下のような理由がある。定常運転状態に於いても、リーン空燃比燃焼限界の運転条件である場合は、ABI波形が発生するような比較的悪い燃焼状態が発生する点火サイクルが存在するが、加速している運転状態では加速している運転状態では点火毎に混合気に空燃比がばらつく場合があり、加速している状態の経過時間に依存して混合気の空燃比が異なり、ABI波形が発生するような燃焼状態、即ち組み合わせ名:Dのイオン電流波形が増加する。更に、点火サイクルによっては空気量が過剰になって過剰にリーンである空燃比になる場合もあり、最悪の燃焼状態になってしまった場合は、失火が発生することも
ある。失火が発生した場合のイオン電流が発生せず、組み合わせ名:Eが出現すのである。
以上の説明では、内燃機関の燃焼状態を判定する特徴を特定の数値である点火回数や出現回数としているが、図112に示したような特定の数値を用いるだけでなく、判定に用いる点火回数を変更(増加、又は減量)して判定に用いる点火回数に対する百分率で判定しても全く同じ判定結果が得られる。
次に、図114及び図115に従って、燃焼状態特徴判定ルーチン3の処理について説明する。内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の特徴による燃焼状態判定は、図112の3つのイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴と一致するか否かで判定できる。ここでは、図112に記載の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAを用いて判定する例5と図112に記載の特徴のすべてを用いて判定する例6を夫々図114のフローチャートと図115のフローチャートに従って説明する。
先ず、図112に記載の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAを用いて判定する例5を図114の燃焼状態判定ルーチン3(例5)に従って説明する。図112の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAは、所定の運転状態を満足している場合のCRI波形、TII波形、ABI波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:A、B、Eのそれぞれの出現回数のみの特徴に着目した燃焼状態判定方法である。
図114に於いて、ステップS1501では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1502へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1503へ進む。
次にステップS1502では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上であり、図112の特徴1HAを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、目標空燃比をリーンにしていない運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。
ステップS1503では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1504へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1505へ進む。
次にステップS1504では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、図112の特徴2RAを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、目標空燃比をリーンにして最適な運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。
ステップS1505では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数が1回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上ならば、Yへ進み、ステップS1506へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1507へ進む。
次にステップS1506では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上であり、図112の特徴2GAを満足しているので、内燃機関の燃焼状態は、リーン空燃比燃焼限界である運転条件と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。
次にステップS1507では、図112の特徴1HAと特徴2RAと特徴2GAを満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例5)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
引き続き、図112に記載の全ての特徴を用いて判定する例6を図115の燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)に従って説明する。先ずステップS1601では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上ならば、Yへ進み、ステップ1602へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1604へ進む。
次にステップS1602では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が5回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下ならば、Yへ進み、ステップS1603へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの平均出現回数AVRnjprbが5回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1603では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが5回以下であり、図33の特徴1HAと特徴2HAの両方を満足しているので、内燃機関の目標空燃比をリーンにしていない運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。
ステップS1604では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数が2回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが2回以下ならば、Yへ進み、ステップS1605へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが2回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1605では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数が6回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上ならば、Yへ進み、ステップS1606へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1606では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数が3回以下出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下ならば、Yへ進み、ステップS1607へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjpracが3回以下でないならば、Nへ進み、ステップS1608へ進む。
次にステップS1607では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Aの出現回数Rnjpraが2回以下であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bの出現回数Rnjprbが6回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cの出現回数Rnjprcが3回以下であり、図112の特徴1RAと特徴2RAと特徴3RAの全てを満足しているので、内燃機関の目標空燃比をリーンにして最適な運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。
ステップS1608では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数が4回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが4回以上ならば、Yへ進み、ステップS1609へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが4回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1611へ進む。
次にステップS1609では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数が1回以上出現するか否かを判定する。即ち、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上ならば、Yへ進み、ステップS1610へ進む。イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上でないならば、Nへ進み、ステップS1611へ進む。
次にステップS1610では、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dの出現回数Rnjprdが4回以上であり、且つイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eの出現回数Rnjpreが1回以上であり、図33の特徴1GAと特徴2GAの両方を満足しているので、内燃機関のリーン空燃比燃焼限界である運転条件である燃焼状態と判定する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。
次にステップS1611では、図112の全ての特徴を満足しなかったので、この点火サイクルでは、燃焼状態は変化していないと判定し、現在の燃焼状態判定結果を維持する。そして、リターンへ進み、燃焼状態特徴判定ルーチン3(例6)を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
以上述べた実施の形態15では、目標空燃比を希薄にする、即ちリーン空燃比燃焼限界制御の例について詳細に説明したが、目標空燃比を濃厚にする、即ちリッチ空燃比燃焼限界制御を行った場合にもイオン電流波形パターンの認識結果を用いてまったく同様に内燃機関に適用した空燃比による燃焼状態を判定することができる。即ち、空燃比を希薄にする操作を空燃比を濃厚にする操作に置き換えることにより、全く同様にリッチ空燃比燃焼限界制御を行うことができる。
以上のように、実施の形態15では、内燃機関にリーン空燃比制御、或いはリッチ空燃比制御を適用した場合に於いて、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じるイオンは、所定の運転状態に於ける混合気の空燃比に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の運転状態に於ける所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、所定の運転状態に於ける所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態をより精度良く判定することができる。
更に、燃焼状態判定に用いる特徴によっては、より少ない点火回数のイオン電流波形の波形パターン認識結果により空燃比制御による燃焼状態を判定することができ、より早いタイミングでの燃焼状態を判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を空燃比制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態16.
以下、この発明の実施の形態16に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照して説明する。実施の形態16の構成は、図1と同一であるので、ここでは実施の形態13及び実施の形態15と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いに付いてのみ説明する。
この実施の形態16では、所定の運転状態を満足している所定の点火回数に於けるイオン電流波形パターン認識結果に於いて発生した特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果に基づいて内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する。上述の特定の点火順序に発生した特定のイオン電流波形パターン認識結果とは、例えば図34に示したイオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせの出現順序の特徴であり、イオン電流波形の波形パターン認識結果の組み合わせ:A、B、C、E、Fが特定の点火順序に発生した結果に基づいてより正確に内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定することができる。以下に、フローチャートに基づいて上述の動作を具体的に説明する。
さて、実施の形態16に於いて実施の形態13及び実施の形態15と比較して具体的に異なる部分は、ECU21に記憶され、実行されるプログラムによって実施される燃焼状態判定の動作である。先ず、前述の図53〜図55のフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンは全く同じであるので説明は省略する。そして異なるのは、実施の形態15に於いて点火回数毎に実行される前述の図78の燃焼状態判定ルーチン3の動作であるので、これに対応する実施の形態16に於ける燃焼状態判定ルーチン4については、前述の実施の形態10にて説明した燃焼状態判定ルーチン4と同一であるのでその説明を省略する。
次に、燃焼状態特徴判定ルーチン4の処理について図116から図118により説明する。図116に於いて、燃焼状態特徴判定ルーチン4に進んだ時には、Kjfpne点火目までのイオン電流波形の波形パターン認識結果がRjpr(ns)に格納されている。そこで、図113に示した特徴に一致するか否かを判定して、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定する。
先ず、ステップS1401からステップS1403では、図113の特徴1HCと一致するか否かを判定する。ステップS1401では、点火回数nsが6点火目以下であるか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1402へ進む。点火回数nsが6点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ステップS1404へ進む。
次に、ステップS1402では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであるか否かを判定する。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=1]であった場合には、波形パターン
認識結果の組み合わせ名:Aであったので、Yへ進み、ステップS1403へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=1]でなかった場合には、特徴1HCとは一致していないので、Nに進み、ステップS1404へ進む。
次に、ステップS1403では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであったので特徴1HCに一致しており、内燃機関の目標空燃比をリーンにしていない運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRH=1]として記憶し、ステップS1404へ進む。
次に、ステップS1404からステップS1410では、図113の特徴1RCと一致するか否かを判定する。ステップS1404では、点火回数nsが6点火目以下であるか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1405へ進む。点火回数nsが6点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ステップS1411へ進む。
次に、ステップS1405では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであるか否かを判定する。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=2]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Bであったので、Yへ進み、ステップS1406へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=2]でなかった場合には、特徴1RCとは一致していないので、Nに進み、ステップS1407へ進む。
次に、ステップS1406では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであったので、その結果を[FlgB=1]として記憶し、ステップS1407へ進む。
ステップS1407では、点火回数nsが6点火目であり、特徴1RCの判定条件が満足しているか否かを判定することができる点火回数[ns=6]と達しているか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目であった場合には、Yへ進み、ステップS1408へ進む。点火回数nsが6点火目ではなかった場合には、Nに進み、ノード1451を経て図117のステップS1411へ進む。
ステップS1408では、特徴1RCの一つ目の判定条件が満足しているか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであったことがあったか否かを判定する。即ち、組み合わせ名:B判定用フラグ[Flg=1]であった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:BであったことがあったのでYへ進み、ステップS1409へ進む。組み合わせ名:B判定用フラグ[Flg=1]でなかった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:BであったことがなかったのでNに進み、ノード1451を経て図117のステップS1411へ進む。
ステップS1409では、特徴1RCの二つ目の判定条件が満足しているか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aでなかったか否かを判定する。即ち、「目標空燃比をリーンにしていない運転状態であると判定した結果」が[FlgEGRH=0]であった場合には、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであったことがなかったので、特徴1RCの二つ目の判定条件が満足しているのでYへ進み、ステップS1410へ進む。「目標空燃比をリーンにしていない運転状態であると判定した結果」が[FlgEGRH=0]でなかった場合には、点火回数nsが6点
火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aであったことがあったので、特徴1RCの二つ目の判定条件が満足されていないのでNに進み、ノード1451を経て図117のステップS1411へ進む。
次に、ステップS1410では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Aではなく、且つ、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Bであったことがあったので特徴1RCに一致しており、内燃機関の目標空燃比をリーンにして最適な運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRR=1]として記憶し、ノード1451を経て図117のステップS1411へ進む。
次に、図117のステップS1411からステップS1416では、図113の特徴2RCと一致するか否かを判定する。ステップS1411では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下であるか否かを判定する。即ち、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1412へ進む。点火回数nsが7点火目以上12点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1412では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであるか否かを判定する。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=3]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Cであったので、Yへ進み、ステップS1413へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=3]でなかった場合には、特徴2RCとは一致していないので、Nに進み、ステップS1414へ進む。
次に、ステップS1413では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったので、その結果を[FlgC=1]として記憶し、ステップS1414へ進む。
ステップS1414では、点火回数nsが12点火目であり、特徴2RCの判定条件が満足しているか否かを判定することができる点火回数[ns=12と達しているか否かを判定する。即ち、点火回数nsが12点火目であった場合には、Yへ進み、ステップS1415へ進む。点火回数nsが12点火目ではなかった場合には、Nに進み、ステップS1417へ進む。
ステップS1415では、特徴2RCの判定条件が満足しているか否かを判定する。即ち、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったことがあったか否かを判定する。即ち、組み合わせ名:C判定用フラグ[FlgC≠1]であった場合には、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったことがなかったので特徴2RCの判定条件を満足しているのでYへ進み、ステップS1416へ進む。組み合わせ名:C判定用フラグ[FlgC=1]であった場合には、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:CであったことがあったのでNに進み、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1416では、点火回数nsが7点火目以上12点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Cであったことはなかったので特徴2RCに一致しており、内燃機関の目標空燃比をリーンにして最適な運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRR=1]として記憶し、ステップS1417へ進む。
次に、ステップS1417からステップS1419では、図113の特徴1GCと一致するか否かを判定する。ステップS1418では、点火回数nsが6点火目以下であるか否かを判定する。即ち、点火回数nsが6点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1418へ進む。点火回数nsが6点火目以下でなかった場合には、Nに進み、ノード1452を経て図118のステップS1420へ進む。
次に、ステップS1418では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Dであるか否かを判定する。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果がRjpr(ns)=4であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Dであったので、Yへ進み、ステップS1419へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=4]でなかった場合には、特徴1GCとは一致していないので、Nに進み、ノード1452を経て図118のステップS1420へ進む。
次に、ステップS1419では、点火回数nsが6点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Dであったので特徴1GCに一致しており、内燃機関のリーン空燃比燃焼限界の運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRG=1]として記憶し、ノード1452を経て図118のステップS1420へ進む。
次に、ステップS1420からステップS1422では、図113の特徴2GCと一致するか否かを判定する。ステップS1420では、点火回数nsが9点火目以下であるか否かを判定する。即ち、点火回数nsが9点火目以下であった場合には、Yへ進み、ステップS1421へ進む。点火回数nsが9点火目以下でなかった場合には、Nに進み、リターンへ進み燃焼状態特徴判定ルーチン4を終了する。
次に、ステップS1421では、点火回数nsが9点火目以下に於いてイオン電流波形の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Eであるか否かを判定する。即ち、ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=5]であった場合には、波形パターン認識結果の組み合わせ名:Eであったので、Yへ進み、ステップS1422へ進む。ns点火目の波形パターンの認識結果が[Rjpr(ns)=5]でなかった場合には、特徴2GCとは一致していないので、Nに進み、リターンへ進み燃焼状態特徴判定ルーチン4を終了する。
次に、ステップS1422では、点火回数nsが9点火目以下に於いてイオン電流波形
の波形パターン認識結果が組み合わせ名:Eであったので特徴2GCに一致しており、内燃機関のリーン空燃比燃焼限界の運転状態であると判定する。そして、その結果を[FlgEGRG=1]として記憶し、リターンへ進み燃焼状態特徴判定ルーチン4を終了する。以上の動作により、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の判定が完了した。
上述の実施の形態16では、目標空燃比を希薄にする、即ちリーン空燃比燃焼限界制御の例について詳細に説明したが、目標空燃比を濃厚にする、即ちリッチ空燃比燃焼限界制御を行った場合にもイオン電流波形パターンの認識結果を用いてまったく同様に内燃機関に適用した空燃比による燃焼状態を判定することができる。即ち、空燃比を希薄にする操作を空燃比を濃厚にする操作に置き換えることにより、まったく同様にリッチ空燃比燃焼限界制御を行うことができる。
以上のように、この発明の実施の形態16による内燃機関の制御装置によれば、内燃機関にリーン空燃比制御、或いはリッチ空燃比制御を適用した場合に於いて、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、そのシリンダ内の混合気が燃焼により生じる
イオンは、所定の運転状態に於ける混合気の空燃比に依存してイオン発生量に特徴があり、イオン発生量に応じたイオン電流を検出し、検出したイオン電流出力を点火毎の波形パターンとして認識し、所定の運転状態に於ける所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現順序に基づいて前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態をより精度良く判定することができる。更に、燃焼状態判定に用いる特徴によっては、より少ない点火回数のイオン電流波形の波形パターン認識結果により空燃比制御による燃焼状態を判定することができ、より早いタイミングでの燃焼状態を判定することができる。そして判定した燃焼状態に応じて前記内燃機関を空燃比制御することにより、従来の技術よりも精度よく内燃機関の燃費向上を実現する内燃機関の制御装置が得られる効果がある。
実施の形態17.
以下、この発明の実施の形態17に係る内燃機関の制御装置について説明する。実施の形態16の構成も図1と同一であるので、ここでは実施の形態13及び実施の形態15と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いについてのみ説明する。
実施の形態17では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定するのであるが、所定の運転条件に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を精度良く判定することができる。ECU21で実行される実施の形態17の動作は、上述のイオン電流波形の波形パターン認識条件が、ECU21に於いて検出された運転条件に応じて変更される動作以外は、実施の形態13及び実施の形態15と同様であるので、以下には、実施の形態13及び実施の形態15と比較して異なる動作を具体的に説明する。
先ず、イオン電流波形の波形パターン認識条件を変更するため用いる運転条件、及びその検出について説明する。イオンの発生量に応じてイオン電流値が決まり、イオンの発生の仕方によりイオン電流波形が決まるので、イオンの発生量やイオンの発生の仕方に影響を与える運転条件を考慮することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができる。イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば、点火毎の点火時期である。そこで、点火毎の点火時期などの制御パラメータはECU21にて演算され、点火時期制御に用いられているので、例えば上述の図78の燃焼状態判定ルーチン3と同じタイミングに検出することができる。即ち、例えば上述の図78が実行される点火回数毎に検出する。
そして、実施の形態13及び実施の形態15で説明したように、イオン電流波形の波形パターン認識は、図79〜図81のフローチャートで説明される内燃機関のクランク角度0.5°CA毎、或いはそれ相当の所定時間毎に実行されるイオン電流波形パターン判定ルーチンに於いて行われている。図79〜図81のイオン電流波形パターン判定ルーチンについては既に説明しているのでその説明を省略する。
以上述べたイオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさに依存して、の大きさに依存して、イオン電流波形の波形パターン認識結果は影響を受ける。具体的には、イオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3が大きくなると「×」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる。又、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmが大きくなると「増減なし」と判定するイオン電流値差分が比較的多くなる。又、更に、イオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3と、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさは同じだがイオン電流値が大きくなると、「△」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる。更に、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさは同じだがイオン電流値が大きくなると、「増加」或いは「減少」と判定するイオン電流値差分が比較的多くなる。そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので燃料量が極端に多い場合や極端に少ない場合には、イオン電流値は極端に大きくなったり、極端に小さくなったりする場合がある。
このように燃料量が極端に異なるというように運転条件が異なる場合には、上述のイオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3及びイオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさを異なる運転条件に応じて変更することにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を精度良く判定することができる。
そこで、この発明の実施の形態17に於いては、上述した点火回数毎の点火時期に応じて、点火回数毎に、例えば図79〜図81のフローチャートで用いられる上述のイオン電流値の大きさの判定値Ijbk1、Ijbk2、Ijbk3、イオン電流値差分の大きさの判定値Ijp、Ijmの大きさを変更するようにしている。このように運転条件、即ち、例えば点火時期の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の検出精度を向上することができる効果がある。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の点火時期に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更する具体例を説明したが、イオン電流波形の波形パターン認識結果は、内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の点火時期と同様に、内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の検出精度を向上することができる。
又、実施の形態13及び実施の形態15で説明したように、イオン電流波形の波形パターン認識を行う区間1、区間2、区間3は、図79〜図81のフローチャートで説明したように点火時期を基準に分割している。これは点火時期がイオン電流の発生するタイミングに影響を与えるからであるが、点火時期は、イオンの発生の仕方にも影響を与える。ゆえに、点火回数毎の点火時期に応じて区間1、区間2、区間3を分割するクランク角度を変更することにより、イオン電流の発生するタイミングやイオン電流の発生の仕方に与える影響を排除することができる。
具体的には、図79〜図81のフローチャートに於いて、ICR波形の波形パターン認識を行う区間1は、ステップS104で点火時期を基準にdCrk0とdCrk1をオフセット加算することにより決まる。又、TII波形の波形パターン認識を行う区間2は、ステップS113で点火時期を基準にdCrk1dCrk2をオフセット加算することにより決まる。又、ABI波形の波形パターン認識を行う区間3は、ステップS122で点火時期を基準にdCrk2とdCrk3をオフセット加算することにより決まる。
上述したように、TII波形は、混合気の爆発的な燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇による熱電離反応により発生するイオンであるので、点火時期が変化すると、点火時期に応じて変化する燃焼による圧力上昇と内燃機関のピストン上昇による圧力変化の組み合わせにより、混合気の燃焼による温度上昇とシリンダ内の圧力上昇のタイミングが点火時期に応じて変化する。その結果、熱電離反応により発生するイオンの発生の仕方が異なり、例えば、TII波形のピークが発生するタイミングが点火時期の影響を受ける場合がある。
更に、図102に示した種々のイオン電流波形の例4、例5、例9のようにCRI波形やTII波形のピークが複数個発生する場合には、TII波形のピークの有無、即ち、波形パターン認識結果が「△」であるか「○」であるかという判定結果に影響を与える場合がある。ゆえに、点火時期に応じてイオン電流波形のピークの有無の判定結果が異なる場合には、dCrk0、dCrk1、dCrk2、dCrk3の値を点火時期に応じて変更することにより、点火時期、即ち運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を精度良く判定することができる。
そこで、実施の形態17に於いては、上述した点火回数毎の点火時期に応じて、点火回数毎に、例えば図29のフローチャートで用いられる上述のdCrk0、dCrk1、dCrk2、dCrk3の値を変更するようにしている。このように運転条件、即ち、例えば点火時期の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の検出精度を向上することができる効果がある。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の点火時期に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更する具体例を説明したが、区間1や区間2や区間3の分割するクランク角度の違いによるイオン電流波形の波形パターン認識結果は、点火毎の内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の点火時期と同様に、内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度に応じてイオン電流波形の波形パターン認識条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除したイオン電流波形の波形パターン認識結果を得て、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の検出精度を向上することができる。
実施の形態18.
以下、この発明の実施の形態18にかから内燃機関の制御装置について説明する。この実施の形態18に係る装置の構成も図1と同一であるので、ここでは実施の形態13及び実施の形態15と異なる部分であるECU21に記憶されているプログラムの違いについてのみ説明する。
実施の形態18による内燃機関の制御装置では、所定の運転状態に於ける点火毎のイオン電流出力を波形パターンとして認識し、所定の点火回数の前記イオン電流波形パターン認識結果の中で、所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数を計数し、その所定のイオン電流波形パターン認識結果の出現回数に基づいて前記内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を判定するのであるが、所定の運転条件に応じて内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態判定条件を変更することにより、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を精度良く判定することができる。ECU21で実行される実施の形態18の動作は、上述の燃焼状態判定条件が、ECU21に於いて検出された運転条件に応じて変更される動作以外は、実施の形態1及び実施の形態3と同様であるので、以下には、実施の形態13及び実施の形態15と比較して異なる動作を具体的に説明する。
先ず、イオン電流波形の波形パターン認識条件を変更するため用いる運転条件、及びその検出について説明する。イオンの発生量に応じてイオン電流値が決まり、イオンの発生の仕方によりイオン電流波形が決まるので、イオンの発生量に影響を与える運転条件を考慮することにより、より正確なイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができる。イオンの発生量に影響を与える運転条件は、例えば、点火時期である。そこで、点火時期などの制御パラメータはECU21にて演算され、点火時期制御に用いられているので、例えば上述の図28の燃焼状態判定ルーチンと同じタイミングに検出することができる。即ち、点火時期などの制御パラメータは、例えば上述の図78の燃焼体判定ルーチン
3が実行される点火回数毎に検出する。
そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので点火時期が極端に進角している場合や極端に遅角している場合には、イオン電流値は極端に大きくなったり、極端に小さくなったりする場合がある。例えば、混合気の空燃比がリーンである運転状態であっても、点火時期が極端に進角している運転条件である燃焼サイクルに於いては、熱電離反応によるイオンの発生量が多くなり、イオン電流値が大きくなる場合がある。
このような場合には、TII波形のイオン電流値の大きさは、通常の点火時期である場合に比較して、図79〜図81のフローチャートに於けるステップS114の「×判定」のステップの「×」判定のIjbk2よりも大きくなって、「△」判定になる場合がある。又、TII波形のイオン電流値のピーク値判定結果は、通常の点火時期である場合に比較して、図56、図57のイオン電流ピーク判定ルーチンに於けるステップS201の「イオン電流値増減判定」のステップでのイオン電流値差分の大きさ判定値Ijp及びIjmよりも大きくなってピークがある判定となり、「○」判定となる場合がある。
このように、混合気の空燃比がリーンである運転状態であっても、通常の点火時期である場合にはTII波形の波形パターン認識結果が「△」判定である波形パターン認識結果が、空燃比が極端に進角している運転条件である燃焼サイクルに於いては、TII波形の波形パターン認識結果が「○」判定である波形パターン認識結果となる場合がある。
又、目標空燃比をリーンにしない運転であっても、点火時期が極端に遅角している運転条件である燃焼サイクルに於いては、化学反応によるイオンの発生量が少なくなり、イオン電流値が小さくなる場合がある。そのような場合には、CRI波形のイオン電流値の大きさは、通常の点火時期である場合に比較して、図79〜図81のフローチャートに於けるステップS105の「×判定」のステップの「×」判定のIjbk1よりも小さくなって、「×」判定になる場合がある。又、CRI波形のイオン電流値のピーク値判定結果は、通常の点火時期である場合に比較して、図56、図57のイオン電流ピーク判定ルーチンに於けるステップS201の「イオン電流値増減判定」のステップでのイオン電流値差分の大きさ判定値Ijp及びIjmよりも小さくなってピークがない判定となり、「△」判定となる場合がある。
このように、目標空燃比をリーンにしない運転であっても、通常の点火時期である場合にはCRI波形の波形パターン認識結果が「○」判定である波形パターン認識結果が、点火時期が極端に遅角である運転条件である燃焼サイクルに於いては、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」判定や「×」判定である波形パターン認識結果となる場合がある。
以上述べたように、燃焼サイクル、即ち点火回数毎の点火時期に依存して、イオン電流波形の波形パターン認識結果は影響を受ける。具体的には、点火時期が極端に進角である場合には、TII波形の波形パターン認識結果が「○」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる場合がある。又、点火時期が極端に遅角になった場合には、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」や「×」と判定する波形パターン認識結果が比較的多くなる場合がある。そして、イオン電流値はイオンの発生量に依存するので同じ空燃比であっても点火時期が極端に進角である場合や極端に遅角である場合には、TII波形の波形パターン認識結果が「○」である出現回数が増加したり、CRI波形の波形パターン認識結果が「△」や「×」である出現回数が増加したりする場合がある。
このように点火時期が極端に異なるというように運転条件が異なる場合には、図52や図112の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に示した出現回数を異な
る運転条件に応じて変更することにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を精度良く判定することができる。或いは、このように点火時期が極端に異なるというように運転条件が異なる点火サイクルの判定結果は、出現回数として計数しないようにすることにより、運転条件の影響を受けないイオン電流波形の波形パターン認識結果を得ることができ、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態を精度良く判定することができる。
そこで、実施の形態18に於いては、上述した点火回数毎の点火時期に応じて、点火回数毎に、例えば図52や図112の波形パターン認識結果の組み合わせの出現回数の特徴に示した出現回数を異なる運転条件に応じて変更するようにしている。又、上述した点火回数毎の点火時期に応じて、点火回数毎のイオン電流波形の波形パターン認識結果の出現回数を計数しないようにしている。このように運転条件、即ち、例えば点火時期に応じて、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態判定条件を変更することにより、点火回数毎の点火時期が極端に進角であったり遅角であったりする影響を排除して、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の検出精度を更に向上することができる効果がある。
上述の説明では、運転条件として、点火回数毎の点火時期に応じて内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態判定条件を変更する具体例を説明したが、イオン電流波形の波形パターン認識結果は、内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度の影響を受ける場合もあるので、点火回数毎の点火時期と同様に、内燃機関回転数や内燃機関冷却水温度や内燃機関潤滑油温度に応じて内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態判定条件を変更することにより、上述のような運転条件の影響を排除して、内燃機関に適用した空燃比制御による燃焼状態の検出精度を向上することができる。