JP4968485B2 - フレキシブルプリント配線板の製造方法 - Google Patents

フレキシブルプリント配線板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4968485B2
JP4968485B2 JP2009296331A JP2009296331A JP4968485B2 JP 4968485 B2 JP4968485 B2 JP 4968485B2 JP 2009296331 A JP2009296331 A JP 2009296331A JP 2009296331 A JP2009296331 A JP 2009296331A JP 4968485 B2 JP4968485 B2 JP 4968485B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
resistant resin
wiring board
base substrate
printed wiring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2009296331A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010074190A (ja
Inventor
智晴 栗田
忠司 犬飼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2009296331A priority Critical patent/JP4968485B2/ja
Publication of JP2010074190A publication Critical patent/JP2010074190A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4968485B2 publication Critical patent/JP4968485B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)

Description

本発明は、配線板(導体回路が形成されたベース基材)上に耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥することにより、少なくとも部分的に導体回路が耐熱性樹脂層で被覆された、耐熱性、耐折性、寸法安定性等に優れる、反りのないフレキシブルプリント配線板とその製造方法に関する。
フレキシブルプリント配線板は、導体回路を汚れやキズ、湿気などから保護する目的で、回路表面を被覆剤で被覆している。この被覆方法としては、従来より2通りの方法が用いられている。一つには、ポリイミド等の耐熱性フィルムを接着剤を介して、配線板(導体回路が形成されたベース基材)に貼り合わせる方法がある。この方法は、一般に、
1)ポリイミド等の耐熱性フィルムに接着剤を塗布・乾燥する工程、
2)ブロッキングやごみ、ほこり等の異物付着防止の為、接着剤側に離型紙や離型フィルムを貼り合わせて積層フィルムを得る工程、
3)積層フィルムを目的とするパターンに金型で打ち抜く工程、
4)離型紙や離型フィルムを取り去り、配線板上の定められた位置に耐熱性フィルムを貼り合わせる工程からなり、「製造工程数の多さ」、「金型で打ち抜く際のロス」、「金型コストが高価」などに起因して、生産性が著しく低下するという問題がある。又、非耐熱性の接着剤を用いている為、得られたプリント配線板は耐熱性が不十分であり、更には、微細回路になると金型で打ち抜くことが困難となる。
もう一つの方法は、液状の被覆剤をスクリーン印刷法で配線板(導体回路が形成されたベース基材)に塗布する方法である。この方法は、あらかじめスクリーン板を製造しておくだけである為、製造工程も少なく、作業効率が上がり、生産性も著しく向上する。しかしながら、従来の液状の被覆剤はエポキシ化合物を主体としている為、耐熱性と可とう性をともに満足することは不可能であり、フレキシブルプリント配線板の場合、どちらか一方を犠牲にして使用しているのが現状である。又、皮膜を硬化する際に、皮膜の体積収縮や硬化収縮により、フレキシブルプリント配線板に反りが発生し、高密度な回路には適用できないという重大な欠点があった。
これらの問題を解決する為に、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を主成分とする樹脂溶液を、配線板(導体回路が形成されたベース基材)上に、塗布・乾燥し、回路上に直接、耐熱性樹脂層を形成する技術が検討されてきた。
例えば、特開平3−291986号公報には、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸系溶液を配線板(導体回路が形成されたベース基材)上に塗布・乾燥し、次いで、加熱脱水閉環することで、回路上に直接、ポリイミド樹脂層を形成する技術が検討されている。しかし、耐熱性と耐折性などの両立が困難であり、又、脱水反応が伴う為、様々な弊害を抱えているのが実状であった。即ち、300℃以上の高温で脱水閉環する為、導体回路が酸化したり、脱水反応により、導体回路との密着力が低下する等という欠点があった。又、脱水閉環や、溶剤乾燥に伴い体積が収縮する為、フレキシブルプリント配線板が大きく反るという重大な問題点も抱えていた。
フレキシブルプリント配線板の反りに関しては、被覆するポリイミド中にシリコーンユニットを導入し、弾性率を下げたり、溶剤可溶化し加工温度を下げる等の検討も行われてきた。(特開平9−118853号公報等、特許文献2)
しかし、この方法では、ガラス転移点が低下する為、手半田耐熱性が不十分であったり、弾性率が低くなる為、ハンドリング性等が悪くなり、生産性が低下する等という欠点があった。また、シリコーンユニットを導入している為、フレキシブルプリント配線板を多層化する際、複数の配線板を接着させる為に使用する接着シートとの接着性が不十分であり、更には、ハードディスクドライブなど、電子機器によっては、配線板として使用できないケースがあった。
特開平3−291986号公報 特開平9−118853号公報
本発明の目的は上記の課題を解決する為になされたものである。即ち、配線板(導体回路が形成されたベース基材)上にシリコーンレスの比較的、弾性率の高い耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥することで、加工上、十分な機械的強度を示し、又、耐熱性、耐折性、寸法安定性等に優れる、反りのないフレキシブルプリント配線板を効率良く、安価に製造しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究した結果、配線板(導体回路が形成されたベース基材)上に、耐熱性や機械的強度に優れる樹脂溶液を塗布・乾燥してフレキシブルプリント配線板を製造するに際し、塗布・乾燥した後、一旦巻き取り、更に、巻物状で脱溶剤しながら熱処理することで達成できることを見出した。即ち、本発明は、耐熱性と耐折性等が両立し、又、配線板の導体回路が少なかったり、基材や導体回路が薄い場合でも反りが発生しない寸法安定性に優れるフレキシブルプリント配線板を安価に製造できることを見出しもので、以下の様な構成からなる。
ベース基材上に導体回路が形成されており、導体回路部分及び非導体回路部分が部分的または全面的に耐熱性樹脂層で被覆されたフレキシブルプリント配線板であり、非導体回路部分の150℃、30分熱処理前後の寸法変化率の絶対値が0.04%以下で、かつ、下記式を満足するフレキシブルプリント配線板。
(数2)
σ=(A×E)/6RS(1−ν)
(但し、式中
σは内部応力を表し、0〜4Kgf/mmの範囲であり、
Aはベース基材の厚みを表し、0.001〜0.1mmの範囲であり、
Eはベース基材の弾性率を表し、100〜1000Kgf/mmの範囲であり、
Rはベース基材上に耐熱樹性脂層を被覆した時の曲率半径を表し、30mm〜∞の範囲であり、
Sは耐熱性樹脂層の厚みを表し、0.001〜0.1mmの範囲であり、
νはポアソン比を表し、0.1〜0.6の範囲である。)
一つの実施態様では、JIS C5016規格に準拠した耐折性評価用配線パターンに回路加工されたベース基材に耐熱性樹脂層を被覆したときの反りから求めた曲率半径が、30mm〜∞であることを特徴とする。
一つの実施態様では、耐熱性樹脂層のガラス転移点が180℃以上で、手半田耐熱性が350℃以上であることを特徴とする。
一つの実施態様では、耐熱性樹脂層の弾性率が160Kg/mm以上であることを特徴とする。
一つの実施態様では、ベース基材と耐熱性樹脂層の熱膨張係数差が0〜6.0×10−5 /℃で、かつ、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が6.0×10−5 /℃以下であることを特徴とする。
一つの実施態様では、耐熱性樹脂層を被覆したベース基材の、屈曲径2mm、荷重500gのMIT法による折り曲げ回数が50000回以上であることを特徴とする。
一つの実施態様では、ベース基材が、ポリイミド、及び/又は、ポリアミドイミドフィルムからなり、ベース基材上に直接、導体回路が形成されてなる。
一つの実施態様では、ポリアミドイミドフィルムが下記一般式(1)、及び/又は下記一般式(2)を構成単位として含むことを特徴とする。
Figure 0004968485
(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004968485
又、本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、下記の工程1)〜3)を含む:
1)導体回路が形成されたベース基材の導体回路上、及び非導体回路上の一部分、又は全面に耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥する工程、
2)耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥したベース基材を巻き取り、巻物とする工程、3)前記巻物を熱処理して耐熱性樹脂層を形成する工程。
一つの実施態様では、前記熱処理を、減圧下及び/又は不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする。
一つの実施態様では、前記巻き取り時に、フレキシブルプリント配線板を、耐熱性樹脂溶液の塗布面を外側にしながら、長尺状の耐熱性シートに巻き込むことを特徴とする。
一つの実施態様では、前記耐熱性樹脂が有機溶剤に可溶なポリイミド及び/又はポリアミドイミドであることを特徴とする。
一つの実施態様では、前記耐熱性樹脂が下記一般式(1)、及び/又は下記一般式(2)を構成単位として含むことを特徴とする。
Figure 0004968485
(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004968485
上述したように、本発明のフレキシブルプリント配線板は、耐熱性、耐折性、寸法安定性、機械的強度等に優れ、しかも、ベース基材に依らず、フレキシブルプリント配線板の反りもまったくなく、安価に製造できる為、工業的に有用である。
本発明で耐熱性樹脂溶液に用いる、耐熱性樹脂としては、手半田耐熱性などフレキシブルプリント配線板としての耐熱性や難燃性に優れ、かつ、加工上、十分な機械的強度を示すフィルムを形成するものであれば、基本的にはどのような樹脂を用いてもよい。
好ましくは、耐熱性樹脂溶液から形成される耐熱性樹脂層の弾性率が160Kg/mm以上、ガラス転移点が180℃以上で、かつ、ベース基材との熱膨張係数差が0〜6.0×10−5 /℃、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が0〜6.00×10−5 /℃以下の比較的シリコーン量の少ない、或いはシリコーンを実質的に含まない芳香族ポリイミドや芳香族ポリアミドイミドである。
ベース基材との熱膨張係数差や、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が6.00×10−5 /℃より大きくなると、得られたフレキシブルプリント配線板の寸法変化率や反りが大きくなる為、好ましくない。又、耐熱性樹脂層の弾性率が160Kg/mmより小さくなると、各種製造工程でのロスが多くなり生産性が低下し、ガラス転移点が180℃より小さくなると、耐熱性樹脂層の半田耐熱性、特に、手半田耐熱性等が不十分となる。
逆にいえば、本発明の製造方法の場合、熱膨張係数、弾性率、ガラス転移点など、耐熱性樹脂層の特性値がかなり広い範囲でも、ベース基材の種類によらず、反りの発生しない、即ち、内部応力のないフレキシブルプリント配線板が成型可能になったということであり、その結果、フレキシブルプリント配線板の高性能化も達成できる。これは、従来の加工方法では不可能であったことである。
本発明において、耐熱性樹脂層の厚みは、0.001〜0.1mmが好ましい。0.001mmより小さいと回路の保護層としての機能が不十分であり、0.1mmを越えると、耐折性が低下し、又、フレキシブルプリント配線板の反りが大きくなり易い。
耐熱性樹脂として好ましく用いられる芳香族ポリイミドや芳香族ポリアミドイミドは、通常の方法で合成することができる。例えば、イソシアネート法、酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法などである。特に、本発明においては、各製造工程での成型加工性や製造コスト等の面から耐熱性樹脂として用いる芳香族ポリイミドや芳香族ポリアミドイミドは有機溶剤に可溶であることが好ましいが、この場合は、重合溶液を精製すること無しに直接使用できるイソシアネート法が好ましい。本発明でいう有機溶剤可溶性とは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどの単独、或いはこれらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、などのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどのケトン系有機溶剤等で置き換えた混合溶剤等、通常用いられる溶剤のいずれかに0.1重量%以上溶解するものをいう。
芳香族ポリイミドに用いる原料としては、以下に示す様なものがあげられる。酸成分としては、ピロメリット酸、ベンゾフェノン3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル3,3’,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルスルホン3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7ーテトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸などの一無水物、二無水物、エステル化物などが単独、或いは2種以上の混合物として用いることができる。
また、アミン成分としてはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,6−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、O−トリジン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、或いはこれらに対応するジイソシアネートなどの単独或いは2種以上の混合物を用いることができる。また、これら酸成分、アミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
芳香族ポリアミドイミドに用いる原料としては、酸成分としてトリメリット酸無水物、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸無水物、ベンゾフェノン3,3’,4’−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物などのトリカルボン酸無水物類が単独或いは混合物として、アミン成分としてはポリイミド同様のジアミン、或いはジイソシアネートの単独、或いは混合物があげられる。また、これら酸成分、アミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
フレキシブル配線板の耐熱性、耐折性、寸法変化率、反り、及び、各製造工程での成形加工性や製造コストなどの面から、好ましい耐熱性樹脂は芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドであり、より好ましくは下記一般式(1)、或いは(2)で示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドイミドである。
Figure 0004968485
(式中、R、Rは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004968485
本発明において、耐熱性樹脂溶液として用いる耐熱性樹脂の溶媒としては、N−メチル−2ーピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどであり、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンある。また、これらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、などのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどのケトン系有機溶剤等で置き換えることも可能である。
耐熱性樹脂溶液として用いる耐熱性樹脂の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃での対数粘度にして0.3から3.0dl/gにあるものが好ましい。対数粘度が0.3dl/g以下では耐折性などの機械的特性が不十分であり、また、3.0dl/g以上では、溶液粘度が高くなる為、塗布性が低下する。
また、上記の芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドにおいて、耐熱性や耐折性等、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸成分としてアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−4,4’−ジカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シロキサンジカルボン酸、シロキサンテトラカルボン酸などの脂肪族や脂環族のジカルボン酸、ポリカルボン酸、及びこれらの一無水物や二無水物、エステル化物などを、又、アミン成分として、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、ジアミノシロキサンなどの脂肪族や脂環族ジアミン或いはこれらに対応するジイソシアネートを単独あるいは2種以上の混合物として用いても良い。また、これら酸成分、アミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
本発明に使用される耐熱性樹脂溶液においては、配線板(回路形成されたベース基材)への塗布性や耐熱性樹脂層の特性を向上させる目的で、塗布する樹脂溶液として、上記のポリマーと溶剤に加え、無機、及び/又は有機充填剤(タルク、ホワイトカーボン、硫酸バリウム、石こうアルミナ白、クレー、シリカ、アスベスチン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、ポリスチレン共重合体、アクリル共重合体、フッ素系ポリマー微粒子、ソルビトール縮合体など)、消泡剤(シリコーン化合物、フッ素化合物、アクリル化合物など)、レベリング剤(シリコーン化合物、アクリル化合物など)、難燃剤(リン系化合物、トリアジン系化合物、水酸化アルミなど)、架橋剤(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エステル系エポキシ樹脂、エーテル系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ヒンダトイン系エポキシ樹脂、アミノ系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、イソシアネート樹脂など)とその硬化剤、カップリング剤(チタンカップリング剤、シランカップリング剤など)、その他、有機化合物(イソシアネート樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂など)、無機化合物(酸化チタン、ベリリア、マグネシアなど)などを本発明の目的を阻害しない範囲(特にシリコーン化合物量等)で配合、或いは反応させることが可能である。配合方法としては、通常の方法が適用出来、例えば、ボールミルや三本ロールなどである。
本発明に使用される耐熱性樹脂溶液の粘度は、10〜1000ポイズ、揺変度は1.0〜5.0であることが好ましい。揺変度とは、溶液のチキソトロピー性を示す1つの指標で、後述の数5式で表されるものである。粘度が10ポイズ未満では塗膜に「にじみ」や「はじき」が発生しやすくなり、又、粘度が1000ポイズを越えたり、揺変度が5.0を越えるとピンホール発生など、レベリング性が悪くなる。
塗布する耐熱性樹脂溶液の濃度は、1〜50重量%が好ましい。この範囲を越えると、本発明における目的とする特性値を維持する、ポリマー組成や分子量、或いは配合処方としたときに、上記の適正な粘度範囲におさめることが困難となり、塗布性が悪くなる。
本発明において、耐熱性樹脂層で被覆される配線板(導体回路が形成されたベース基材)としては、サブトラクティブ法やアディティブ法等、従来公知の方法で、その片面、或いは両面に導体回路を有する、各種構造のものが使用できる。耐熱性や耐折性、寸法安定性、フレキシブルプリント配線板の反り等を考慮すると、ポリイミドやポリアミドイミドなどの耐熱性樹脂層の片面、或いは両面に直接、導体回路が形成された配線板が好ましい。
ベース基材の絶縁材料に使用される耐熱性樹脂としては、耐熱性樹脂溶液に使用される耐熱性樹脂と同等のものが使用可能であるが、好ましくは、耐熱性樹脂から形成されるベース基材の弾性率が100〜1000Kg/mm、ベース基材と耐熱性樹脂層との熱膨張係数差が6.0×10−5 /℃以下、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が6.0×10−5 /℃以下となる耐熱性や難燃性に優れる樹脂である。弾性率が100Kg/mmより小さいと、加工上、十分な機械的強度が得られなかったり、フレキシブルプリント配線板の反りが大きくなる。又、耐熱性樹脂層との熱膨張係数差が6.0×10−5 /℃より大きいかったり、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が6.0×10−5 /℃より大きいと、フレキシブルプリント配線板の反りや寸法変化率が大きくなる。
フレキシブルプリント配線板の耐熱性、耐折性、寸法変化率、反り、及び、各製造工程での成形加工性や製造コストなどの面から、好ましい耐熱性樹脂は芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドで、より好ましくは下記の一般式(1)、或いは(2)で示される構造単位を含有する芳香族ポリアミドイミドである。
Figure 0004968485
(式中、R、Rは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004968485
また、上記の耐熱性樹脂に、フレキシブルプリント配線板の諸特性、たとえば、機械的特性、電気的特性、滑り性、難燃性などを改良する目的で他の樹脂や有機化合物、及び無機化合物を混合させたり、あるいは反応させて併用してもよい。たとえば、滑剤(シリカ、タルク、シリコーン等)、接着促進剤、難燃剤(リン系やトリアジン系、水酸化アルミ等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等)、メッキ活性化剤、有機や無機の充填剤(タルク、酸化チタン、フッ素系ポリマー微粒子、顔料、染料、炭化カルシウム等)、その他、シリコーン化合物、フッ素化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のような樹脂や有機化合物、或いはこれらの硬化剤、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機化合物を、特に、シリコーン量等この発明の目的を阻害しない範囲で併用することができる。
又、ベース基材の厚みも、耐熱性樹脂層同様に0.001〜0.1mmが好ましい。0.001mmより小さいと、ベース基材としての機械的特性が不十分であり、又、0.1mmを越えると耐折性が悪くなる。耐折性等の点から、より好ましくは、耐熱性樹脂層と同一の厚みである。
本発明のベース基材に形成される導体回路としては、銅、アルミニウム、スチール、及びニッケルなどを使用することができ、これらを複合した複合金属や亜鉛、クロム化合物など他の金属で処理した金属についても用いることができる。導体回路の厚みについては特に限定はないが、たとえば0.003〜0.05mmである。
本発明においては、耐熱性樹脂溶液(被覆剤)をベース基材へ塗布し、次いで、加熱により、溶剤乾燥を行う為、脱溶剤に伴う体積収縮や、ベース基材と耐熱性樹脂層との熱膨張差等により、内部応力が発生する。耐熱性樹脂層の厚みや弾性率、熱膨張係数が大きいと、これまでの加工方法では、ベース基材の厚み、弾性率、熱膨張係数、回路パターンに依っては、フレキシブルプリント配線板に反りが発生していた。
通常、回路パターンが少ない程、反りは大きくなるが、本発明においては、最も反りの発生しやすい、回路が無い状態(ベース基材のみの場合)でも、ベース基材の特性によらず(弾性率、熱膨張係数等)、発生する内部応力が緩和され、反りの無い積層体の成型が可能である。
具体的には、耐熱性樹脂溶液を配線板(導体回路が形成されたベース基材)へ塗布し、タックフリーな状態になるまで初期乾燥後、塗布面を外側にして巻き取り、次いで、巻物状で脱溶剤しながら熱処理することで、弾性率やガラス転移点、熱膨張係数等が高い耐熱性樹脂でも、脱溶剤に伴う体積収縮や樹脂の硬化収縮等に伴う内部応力が緩和され、反りのない、寸法変化率、或いは被覆前後の寸法変化率の小さいフレキシブルプリント配線板の成型が可能である。
被覆前後の寸法変化率とは、被覆前の配線板に一定間隔で穴あけしておき、この穴間隔の長さを被覆前後に測定したときの変化率をさし(後述の数3式で表されるものである。)、寸法変化率とは加熱前後の伸び率や収縮率のことである。又、反りが大きいとは、フレキシブルプリント配線板の凸面(反りと反対の面)を下にして、平面においたときの、平面からの最大高さが高い場合をさし、例えば、ベース基材上に耐熱性樹脂層を全面に被覆したときの、反りの高さをはかることで(或いは曲率半径を求めることで)、定量できる。又、内部応力は数2式により、曲率半径等、各種特性値を代入することで求められる。寸法変化率や被覆前後の寸法変化率が小さいほど、フレキシブルプリント配線板の反りは小さくなる。
本発明においては、通常、塗布される配線板(導体回路が形成されたベース基材)のワークサイズは300mm×300mm程度のシートで行い、塗布・乾燥後、複数枚のシートを塗布層を外側にして、重ねて巻き取り、巻物状で熱処理する。
塗布方法としては、従来から公知の方法を適用できる。例えば、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷法、ロールコート、ナイフコート、ドクターコート、ブレードコート、グラビアコート、ダイコート、リバースコート、スピンコート、カーテンコート、スプレーコートなどの塗工方法がある
初期乾燥方式に特に限定は無いが、乾燥温度は、50℃〜180℃が好ましい。180℃以上では、初期乾燥をした時点でのフレキシブルプリント配線板の反りが大きくなり、後の巻物状での成形加工性(ハンドリング性)が悪くなる。又、50℃以下では、乾燥時間が長くなり生産性が低下する。
本発明においては、ワークサイズが300mm×300mm程度のフレキシブルプリント配線板を溶剤を残した状態で複数枚、巻き取り、後に熱処理して完全に脱溶剤する為、巻き取り時には、耐熱性樹脂溶液の塗布面と非塗布面が接触しない様に巻き取る必要がある。接触しない様にするには、被覆面を外側にし、複数枚のフレキシブルプリント配線板の間に、テープ等のスペーサーを挟み込めば良いが、より多くのシート状のフレキシブルプリント配線板を一括して巻き取り、生産性を上げる為には、長尺状シートの間にシート状のフレキシブルプリント配線板を被覆面が外側になる様に挟み込みながら巻き取る必要がある。長尺状シートの素材は、脱溶剤を兼ねた熱処理温度で収縮や軟化、溶融などによって変形しないものを選択すればよいが、好ましくは、ガラス、金属、カーボン、アラミド、セルロースなどから作られる、織布、不織布、紙、フェルト、クロス、スクリーンなどのシートである。厚みは0.01mm以上が好ましく、0.02mm以下では塗布面と非塗布面が接触したり、脱溶剤の効率が悪くなる。
本発明において熱処理時の雰囲気は、減圧下、及び/又は不活性ガス雰囲気中で行う必要がある。空気中で行うと樹脂層が劣化、或いは過度に架橋し、フレキシブルプリント配線板の寸法変化率や被覆前後の寸法変化率が大きくなり、反りが大きくなる。又、耐折性も低化してくる。
熱処理の温度は、使用する耐熱性樹脂のガラス転移点や溶剤の種類に依存するが、およそ150℃〜350℃である。350℃以上では、樹脂層の劣化や架橋により、フレキシブルプリント配線板の耐折性が低下したり、寸法変化率や被覆前後の寸法変化率が大きくなり、反りが大きくなる。150℃以下では脱溶剤に長時間要する為、生産性が低下し、又、溶剤の体積収縮に伴う内部応力の緩和も不十分となり、フレキシブルプリント配線板の寸法変化率や反りが大きくなる。
フレキシブルプリント配線板の反りという観点からすると、ベース基材や導体層の厚みは厚いほうが、また、導体回路面積は広いほうが、有利になるが、本発明の加工方法ではあらゆる回路パターンや厚み構成のベース基材に適用可能である。
以下、実施例により、この発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は実施例により、特に制限されるものではない。又、各実施例における特性値の評価方法は以下の通りである。
被覆前後の寸法変化率
以下の操作により測定した。
1)JIS C 5016に準拠した耐折性評価用配線パターンが回路形成された226mm×340mm(長手方向をMD、他をTDとする)の配線板に、ドリル(直径2mm)でMD方向に約300mm、TD方向に約200mmの間隔で、穴をあけた。
2)上記配線板を25℃、65%で24時間調湿後、穴間隔をMD方向とTD方向に測長した。
3)耐熱性樹脂溶液を塗布し、乾燥、巻き取り、そして熱処理した。
4)耐熱性樹脂層が形成されたフレキシブルプリント配線板を25℃、65%で24時間、調湿した。
5)MD方向、TD方向に測長し、数3式により、寸法変化率を求めた。
Figure 0004968485
対数粘度
ポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、その溶液の溶液粘度及び溶媒粘度を30℃で、ウベローゼ型の粘度管により測定して、下記の式で計算した。
Figure 0004968485
溶液粘度
B型粘度計により、25℃の温度で10回転/分の条件で測定した。
揺変度
B型粘度計により、25℃の温度で、20回転/分と2回転/分の各条件で溶液粘度を測定し、下記の式で計算した。
Figure 0004968485
ガラス転移点と熱膨張係数
TMA(熱機械分析/理学(株)製)引張荷重法により、以下の条件で測定した。サンプルフィルムは、窒素中、昇温速度10℃/分で、一旦、変曲点まで昇温し、その後室温まで冷却したフィルムについて測定を行った。
荷重:1g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
尚、サンプルは以下により作成した。
ベース基材:使用した金属積層体の金属をそのままエッチング除去して作成した。
耐熱性樹脂層の樹脂フィルム:耐熱性樹脂溶液を0.1mmのPETフィルムに、乾燥後の厚みが0.02mmになる様に塗布し、100℃で10分加熱する。次いで、PETフィルムを除去し、金枠に固定後、更に、真空中、200℃で20時間加熱して作成した。
残存溶剤率
JIS K5400により、250℃×1hrの乾燥条件で以下の式より計算した。
Figure 0004968485
手半田耐熱
40℃、85%(湿度)で5hr調湿し、フラックス洗浄した後、350℃で半田付けを行い、顕微鏡で剥がれや膨れの有無を観察した。
半田耐熱(ディップ法)
40℃、85%(湿度)で5hr調湿し、フラックス洗浄した後、280℃の噴流半田浴に浸漬し、顕微鏡で剥がれや膨れの有無を観察した。
耐折性
JIS C5016により、屈曲径2mm、荷重500gで測定した。
密着性
JIS C5016により、セロテープ(登録商標)剥離した。
フレキシブルプリント配線板の反り
以下の操作により測定した。
1)各実施例、比較例で使用する金属積層体をJIS C5016規格に準拠した耐折性評価用配線パターンに回路加工、或いは、全ての金属をエッチング除去しベース基材を作成した。
2)得られたベース基材上に、各実施例、比較例に示す加工条件により耐熱性樹脂層を形成した。
3)耐折性評価用配線パターン上に耐熱性樹脂層が形成されたフレキシブルプリント配線板は、その配線にあわせて、又、全ての金属をエッチング除去したベース基材上に耐熱性樹脂層が形成されたものは、10cm角の正方形に金型を用いて打ち抜いた。
4)打ち抜いたサンプルを40℃、85%(湿度)で5hr調湿した。
5)調湿後、サンプルの凸面を下にして、平面上におき、反った部分の最大高さを計った。
又、この高さから、曲率半径を求めた。
内部応力の測定
以下の操作により測定した。
1)各実施例、比較例で使用する金属積層体の金属をエッチング除去したベース基材上に、乾燥後の厚みが0.01mmになる様、耐熱性樹脂溶液を塗布した。2)各実施例、比較例に示す加工条件で脱溶剤、或いは応力緩和を行った。
3)得られたベース基材の曲率半径を求め、数2式により内部応力を求めた。
数2式中、ベース基材の弾性率、耐熱性樹脂層のポアソン比は、次項の「樹脂フィルムの強度、伸度、弾性率」の測定方法に準じた。
寸法変化率
金属層が除去されたベース基材上に、耐熱性樹脂層を各加工条件で形成し、そのベース基材を、IPC−FC241B規格のIPC−TM−650(2.2.4)に準拠した測定法(150℃×30分)で測定した。
樹脂フィルムの強度、伸度、弾性率
ガラス転移点の測定と同様にして作成したフィルムについて、テンシロン引張試験機により、以下の条件で測定した。
サンプルサイズ:幅10mm、長さ100mm
サンプル調湿:40℃、85%(湿度)
引張速度:20mm/分
チャック間距離:40mm
合成例1 耐熱性樹脂溶液Aの合成
反応容器に無水トリメリット酸192g、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート211g、2,4−トリレンジイソシアネート35g、ナトリウムメチラート0.5g、及びN−メチル−2−ピロリドン2.5Kgを加え、140℃まで1hrで昇温し、さらに140℃で3hr反応させた。得られたポリマー特性は以下の通りであった。
対数粘度:1.5
ガラス転移点:320℃
熱膨張係数:2.30×10−5 /℃
引張強度:34Kg/mm
引張伸度:43%
引張弾性率:680Kg/mm
合成例2 耐熱性樹脂溶液Bの合成
反応容器に無水トリメリット酸192g、1,5−ナフタレンジイソシアネート157g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート31g、ジアザビシクロウンデセン1g、及びN−メチル−2−ピロリドン2Kgを加え、170℃まで1hrで昇温し、さらに170℃で5hr反応させた。得られたポリマーの特性は、以下の通りであった。
対数粘度:1.4
ガラス転移点:356℃
熱膨張係数:2.45×10−5 /℃
引張強度:41Kg/mm
引張伸度:53%
引張弾性率:610Kg/mm
配合例1 耐熱性樹脂溶液Cの調整
合成例1で得られた耐熱性樹脂溶液A1Kgに、シリコーン化合物(信越化学(株)製KS603)を4g(耐熱性樹脂溶液の固形分に対して3%)、アクリル化合物(共栄社油脂(株)製フローレンAC300)を1g(耐熱性樹脂溶液の固形分に対して1%)添加した。次いで、ホモジナイザーで1時間撹拌し、固形分濃度が13%、溶液粘度が300ポイズの性熱性樹脂溶液Cを得た。皮膜の特性値は以下の通りであった。
Tg:308℃
熱膨張係数:2.45×10−5 /℃
引張強度:24Kg/mm
引張伸度:46%
弾性率:600Kg/mm
配合例2 耐熱性樹脂溶液Dの調整
合成例1で得られた耐熱性樹脂溶液A1Kgに、シリカ(日本アエロジェル(株)製アエロジェル#300)を10.3g、シリコーン化合物(信越化学(株)製KS603)を4g(耐熱性樹脂溶液の固形分に対して3%)、アクリル化合物(共栄社油脂(株)製フローレンAC300)を1g(耐熱性樹脂溶液の固形分に対して1%)添加した。ホモジナイザーで1時間撹拌後、三本ロールにて分散し、固形分濃度が13%、溶液粘度が300ポイズ、揺変度が1.4の耐熱性樹脂溶液Dを得た。皮膜の特性は以下の通りであった。
Tg:325℃
熱膨張係数:2.29×10−5 /℃
引張強度:32Kg/mm
引張伸度:47%
弾性率:689Kg/mm
実施例1〜2
配合例で得られた耐熱性樹脂溶液C或いはDを、表−1に示す東洋紡(株)製銅張積層板「バイロフレックスTM」(基材フィルムの熱膨張係数が2.2×10−5 /℃、引張強度が43Kg/mm、引張伸度が60%、弾性率が640Kg/mm)をJIS C5016規格に準拠し、耐折性評価用配線パターンに回路加工した被印刷基板に、ステンレススクリーン板を介して、厚みが0.01mmになる様、全面に印刷した。次いで、100℃で5分間乾燥した。
同様の操作を複数回繰り返し、得られた複数枚のフレキシブルプリント配線板を、ステンレス製スクリーンからなる長尺状シートに、塗布面が外側になる様に、挟み込みながら、直径3インチのアルミニウム管に巻き取った。
巻き取った、ロールをイナートオーブンに入れ、150℃で30分、280℃で10分間熱処理した。得られたフレキシブルプリント配線板の、塗膜中の溶剤は完全に除去されており、特性は表−1、表−2に示すごときものであった。
実施例3〜4
合成例1、2で得られた耐熱性樹脂溶液A、Bを、実施例1と同じ被印刷基板に、厚みが0.01mmになる様、全面に塗布した。次いで、100℃で5分間初期乾燥した。
同様の操作を複数回繰り返し、得られた複数枚のフレキシブルプリント配線板を、ステンレス製スクリーンからなる長尺状シートに、塗布面が外側になる様に、挟み込みながら、直径3インチのアルミニウム管に巻き取った。
巻き取った、ロールをイナートオーブンに入れ、150℃で30分、280℃で10分間熱処理した。得られたフレキシブルプリント配線板の、塗膜中の溶剤は完全に除去されており、特性は表−1、表−2に示すごときものであった。
比較例1〜2
配合例1、2で得られた耐熱性樹脂溶液C或いはDを、実施例1と同じ被印刷基板に、ステンレススクリーン板を介して、厚みが0.01mmになる様、全面に塗布した。次いで、100℃で5分間乾燥した後、巻物にすることなく、平面に近い状態で放置し、150℃で30分、280℃で10分間、熱処理した。得られたフレキシブルプリント配線板の、塗膜中の溶剤は完全に除去されており、特性は表−1、表−2に示すごときものであった。
比較例3
ポリイミドフィルムを接着剤で張り合わせたフレキシブル銅張積層板(ニッカン工業(株)製ニカフレックスF−30VC112RC11/2)に、実施例と同一の配線回路を、同一の加工条件で回路加工し、ベース基材を得た。
これに、ポリイミドの接着剤付きカバーフィルム(ニッカン工業(株)製CISV−1215)を所定の形状に切り出し、そのまま、プレス圧50Kg/cm、温度150℃、時間30分の条件で熱プレスした。
この様にして得られた、フレキシブルプリント配線板の半田耐熱、手半田耐熱を評価したところ、膨れや剥がれが観察された。
Figure 0004968485
Figure 0004968485

Claims (5)

  1. 下記工程(1)〜(3)を含むフレキシブルプリント配線板の製造方法:
    (1)導体回路が形成されたベース基材の導体回路上、及び非導体回路上の一部分、又は全面に耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥する工程、
    (2)該耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥したベース基材を、耐熱性樹脂溶液の塗布面を外側にしながら巻き取り、巻物とする工程、
    (3)該巻物を熱処理して耐熱性樹脂層を形成する工程、
    ここで、該耐熱性樹脂が有機溶剤に可溶なポリイミド及び/又はポリアミドイミドであり、かつ該耐熱性樹脂溶液から形成される耐熱性樹脂層と該ベース基材との熱膨張係数差が0〜6.0×10 -5 /℃であり、かつ、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が6.0×10 −5 /℃以下である、
    フレキシブルプリント配線板の製造方法。
  2. 前記熱処理を、減圧下及び/又は不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
  3. 前記巻き取り時に、前記耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥したベース基材を、耐熱性樹脂溶液の塗布面を外側にしながら、長尺状の耐熱性シートに巻き込むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
  4. 前記耐熱性樹脂が下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)を構成単位として含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
    Figure 0004968485
    (式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    Figure 0004968485
  5. 下記工程(1)〜(3)を含むフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
    工程(1)における耐熱性樹脂が有機溶剤に可溶なポリイミド及び/又はポリアミドイミドであり、
    工程(2)における巻き取り時に、耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥したベース基材を、耐熱性樹脂溶液の塗布面を外側にしながら、長尺状の耐熱性シートに巻き込み、
    工程(3)における熱処理を、熱処理温度150−350℃にて、減圧下及び/又は不活性ガス雰囲気中で行い、かつ該耐熱性樹脂溶液から形成される耐熱性樹脂層と該ベース基材との熱膨張係数差が0〜6.0×10 -5 /℃であり、かつ、耐熱性樹脂層が形成されたベース基材の熱膨張係数が6.0×10 −5 /℃以下である、ことを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法:
    (1)導体回路が形成されたベース基材の導体回路上、及び非導体回路上の一部分、又は全面に耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥する工程、
    (2)該耐熱性樹脂溶液を塗布・乾燥したベース基材を巻き取り、巻物とする工程、
    (3)該巻物を熱処理して耐熱性樹脂層を形成する工程。
JP2009296331A 2009-12-25 2009-12-25 フレキシブルプリント配線板の製造方法 Expired - Lifetime JP4968485B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009296331A JP4968485B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 フレキシブルプリント配線板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009296331A JP4968485B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 フレキシブルプリント配線板の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36001399A Division JP4507137B2 (ja) 1999-12-17 1999-12-17 フレキシブルプリント配線板及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010074190A JP2010074190A (ja) 2010-04-02
JP4968485B2 true JP4968485B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=42205627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009296331A Expired - Lifetime JP4968485B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 フレキシブルプリント配線板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4968485B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03120787A (ja) * 1989-10-03 1991-05-22 Nippon Steel Chem Co Ltd フレキシブルプリント配線板の製造方法
JP3118033B2 (ja) * 1990-08-23 2000-12-18 三井化学株式会社 ポリアミドイミド樹脂及びその製造方法
JPH05267397A (ja) * 1992-01-22 1993-10-15 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 保護被覆付きテープキャリアおよびその製造方法
JPH0741559A (ja) * 1993-07-29 1995-02-10 Toray Ind Inc ポリアミドイミドフィルム
JPH07302968A (ja) * 1994-04-28 1995-11-14 Ube Ind Ltd 基板上金属配線の被覆法
JPH07302969A (ja) * 1994-04-28 1995-11-14 Ube Ind Ltd 基板上金属配線の被覆方法
JPH0964112A (ja) * 1995-08-29 1997-03-07 Hitachi Cable Ltd Tab用テープキャリア

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010074190A (ja) 2010-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8222365B2 (en) Polyamideimide resin, as well as a colorless and transparent flexible metal-clad laminate and circuit board obtained therefrom
US7468197B2 (en) Flexible metal-clad laminate and method for producing the same
KR100914602B1 (ko) 폴리아미드이미드 수지, 가요성 금속피복 적층체 및가요성 프린트기판
US7459047B2 (en) Preparation of flexible copper foil/polyimide laminate
JP5251897B2 (ja) ポリアミドイミド樹脂を用いたフィルム、フレキシブル金属張積層体及びフレキシブルプリント基板
JP4507137B2 (ja) フレキシブルプリント配線板及びその製造方法
JP5532069B2 (ja) フレキシブル金属積層体の製造方法
JP4560697B2 (ja) フレキシブル金属積層体及びその製造方法
JP6589887B2 (ja) ポリマーブレンド組成物、フレキシブル金属積層体およびフレキシブルプリント基板
JP4640409B2 (ja) 金属張積層体
JP5339038B2 (ja) 長尺物の処理方法
JP2005244139A (ja) フレキシブルプリント配線基板
JPH03164241A (ja) 金属箔積層長尺体の製造方法
JP5240204B2 (ja) 金属積層体
JP4968485B2 (ja) フレキシブルプリント配線板の製造方法
JP5354443B2 (ja) ポリイミドインク組成物、保護膜、及びフレキシブルプリント配線板
JP5251921B2 (ja) フレキシブル金属積層体
JP5152028B2 (ja) ポリマーブレンド組成物、フィルム、及び金属積層体
JP3781381B2 (ja) 積層体及びこれを用いた配線板
JP2006116738A (ja) 接着性積層フィルム
JP2005244138A (ja) フレキシブルプリント配線基板
JP2005244136A (ja) フレキシブルプリント配線基板
JP2005238798A (ja) フレキシブルプリント配線基板
JP2005244134A (ja) フレキシブルプリント配線基板
JP2005244135A (ja) フレキシブルプリント配線基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120307

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120320

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4968485

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

EXPY Cancellation because of completion of term