JP4968453B2 - スレッド入り印刷物の作製方法 - Google Patents
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近年では、高度な技術によって作製されたホログラムがプラスチックフィルム上に形成され、スレッド状にして用紙の間に抄き込んで偽造防止用紙として使用されている。
前記スレッド入り用紙に関しては、偽造防止効果をより高めるために、スレッドの幅を広くしてスレッドを見やすくしたり、スレッドを複数にする試みが行われている。
しかし、スレッドの幅を広くすると、スレッドの価格が高くなりコストアップとなる。
また、商品券などにおいて、スレッドが見えている面の裏面の偽造防止を強化するとなると、さらにホログラムの箔を設けるなどをしなければならず、やはりコストアップとなる。
そこで、偽造防止用紙に窓を設け、スレッドを表裏両方の面から見えるようにした「スレッド入り偽造防止用紙」が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
この「スレッド入り偽造防止用紙」は、スレッド紙に、表裏を貫通する開口部を設け、表裏からスレッドを確認できるようにしたものである。また、窓の部分を独特な形状にすることで、意匠性を高めることにより偽造・改竄を一層困難にすることができるとしている。
そこで本発明では、スレッド入り印刷物をさらに偽造困難とするために、スレッドに固有情報を形成したスレッド入り印刷物の作製方法を提供することを目的とするものである。
2)また、本発明のスレッド入り印刷物の作製方法によれば、スレッドが表出する基紙面の固有情報が印刷によって形成された時は、スレッドの金属層に形成された固有情報の一部または固有情報に関連する情報は、スレッドが表出する基紙面に印刷された光学読取り情報を読み取って形成されたことによって、印刷、または、印字とは別ラインでスレッド上に固有情報を形成することができる。
図1は、スレッド入り印刷物の一例について説明するための図,図2は、図1のa図のB−B線断面について説明するための図,図3は、図1のb図のC−C線断面について説明するための図,図4は、本発明のスレッド入り印刷物の作製方法の一例について説明するための図,図5は、スレッド入り印刷用紙の製造方法一例について説明するための図,である。
スレッド2は、抄紙段階で上層紙11と下層紙12の間に形成され、上層紙に部分的に形成された複数の開口部(図でAが指し示す部分)で表出している。
開口部は、商品券の短辺側に5〜10個形成され、スレッドが抄き込みの段階で左右にぶれるために開口部の幅はスレッド2より多少広めに設定される。
また、開口部の数及びピッチなどは、商品券の仕上げ寸法を考慮して抄紙段階で設定される。
その結果、開口部は、紙が印刷を終えて商品券として裁断されたときに、どの商品券に対しても凡そ同じ位置に配置される。
商品券には、その商品券が「いくらの商品券」であるかを示す「金種」3が固有情報として印刷される。
図1に示す商品券は、10,000円の商品券で、商品券の表示の下側に金種3が漢字で「壱万円」と印刷される。
商品券の左下(場所は、左下に限定されない)には、光学読取り情報31がバーコードで印刷されている。光学読取り情報31は、二次元コードでも、OCR(光学読取り文字)でもよい。
この光学読取り情報31は、前述の固有情報「壱万円」を表すコードになっているか、または、「壱万円に関連する情報」を表すコードになっている。
前述の「商品券」,「壱万円」,「光学読取り情報」などは、上層紙側に印刷され、開口部と同一面に印刷される。
スレッドへの固有情報の形成は、印刷機とは異なる装置で行われる。
印刷機とは異なる装置、例えば、レーザー装置で、スレッドへの前記固有情報の一部または固有情報に関連した情報の形成を行う際に、レーザー装置は前述の商品券に印刷された光学読取り情報31を読み取ってどのような情報を形成するか決定する。
そのために、「壱万円」と印刷された金種3と、バーコードで示した光学読取り情報31は完全に一致していることが必要で、同一の版に焼き付けるなどの配慮が行われる。
斜線で示した開口部Aは上層紙11に形成され、開口部からは下層紙12が表出している。
図bに示す例では、開口部Aは、スレッド2の幅の2〜5倍の幅を有している。
開口部に表出しているスレッド2には、スレッド入り印刷物に印刷された金種情報「壱万円」の一部情報である「壱」がレーザー装置によって形成されている。
「壱」の部分は、スレッドの表出部に形成されている薄い金属層が破壊され、薄い金属層の下側に形成された層が表出している部分である。
スレッド入り印刷物1には、上層紙11と下層紙12の間にスレッド2が抄き込まれている。
スレッド2は、プラスチックフィルム24の片側に色彩可変層23,金属層21,接着剤層または保護層22が順次形成された積層体になっている。
金属層21は接着剤層または保護層22に被覆された状態で形成されており、破壊によって金種情報が形成された部分からは、色彩可変層23が表出している。
図2でも説明したように、スレッド2は、上層紙11と下層紙12の間に抄き込まれていて、プラスチックフィルムの片側に色彩可変層23,金属層21,接着剤層または保護層22が順次形成された積層体になっている。
金属層21は、接着剤層または保護層22に被覆された状態で形成されており、破壊によって金種情報が形成された部分からは色彩可変層23が表出している。
スレッド2は、上層紙11に形成されたトンネルを埋める状態で形成されており、接着剤層または保護層22は、スレッド2を上層紙11に接着する役割と金属層を保護する役割を担う。
図示しないが、スレッド2のプラスチックフィルム24の裏側に接着剤層を設け、下層紙12と接着させても良い。その場合は、接着剤層または保護層22は保護層だけの役割を担う。
先ず、スレッド2のベースフィルムであるプラスチックフィルム24について説明する。
プラスチックフィルム24として、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリビニルアルコール,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,トリアセチルセルロース,塩化ビニル,生分解性プラスチックス,合成紙などで、これらの中から選択されて使用される。
上記プラスチックフィルム24には、基紙に抄き込まれて使用されるために柔らかくて薄い材料が使用される。通常、12〜25μmの厚みのものが使用される。
また、スレッドの幅は、スレッドに使用される材料によって異なるが、多くは、0.2mm〜5mm程度で使用される。
本実施の形態では、色彩可変層23について、光回折構造の例で説明する。
光回折構造は、プラスチックのベースフィルムの片側に、多くは、熱硬化性の樹脂層が形成され、熱硬化性の樹脂層に凹凸構造が形成され、凹凸構造の上に、多くは、金属による反射層が形成され、その上に粘着剤層または保護層が形成される。
凹凸構造を形成する材料として、不飽和ポリエステル,メラミン,エポキシ,ウレタン,エポキシ,アクリルなどの前記熱硬化性樹脂の他に、ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物やラジカル重合性不飽和基を有する樹脂を使用することもできる。また、耐光性及び耐候性などの耐久性に優れた電離放射線硬化樹脂を選択する場合は、エポキシ変性アクリレート樹脂,ウレタン変性アクリレート樹脂,アクリル変性ポリエステルなどの電離放射線硬化性樹脂を硬化させたものを使用する。
色彩可変層が前述のように光回折構造の場合は、この金属層21は本発明の固有情報を形成する役割の他に、光回折構造形成層の凹凸面に反射性を与える役割を担う。
金属層21として、例えば、アルミニウム,ニッケル,クロム,チタン,テルル,インジウム,錫,亜鉛,胴,鉄などの金属または、これらの合金,酸化物,硫化物,窒化物などが使用される。
金属層21は、印字装置のパワーと金属の種類によって厚さが設定される。
また、金属層の厚さは、0.01〜1μmの範囲で設定される。
金属層を形成する方法としては、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンブレーティング法などがあり、目的によって使い分ける。
接着剤層に使用する接着剤は、公知の水溶性,熱可塑性接着剤から選択して使用する。
水溶性接着剤としては、例えば、澱粉,カゼイン,カルボキシメチルセルローズ,カルボキシエチルセルローズなどから、熱可塑性接着剤としては公知のビニル系,ワックス系接着剤から選択して使用する。
保護層形成樹脂として、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能樹脂を使用する。
保護層は、0.5〜5μm程度の厚さで使用する。
また、接着剤層または保護層の形成方法として、グラビアコート,ダイコート,ナイフコート,ロールコートなどの一般的なコーティング方法、および、シルクスクリーンなどの印刷方法から選択して使用する。
図4は、レーザー印字装置について説明するための図である。
一般的なレーザーは、光共振器の中に入れたレーザー媒質を励起して反転分布状態にして動作させる。
レーザーには、媒質の種類により固体レーザー,気体レーザー,半導体レーザー,色素レーザー,エキシマーレーザーなどがある。
レーザー光は、完全に位相が揃ったコヒーレント光で、スペクトル幅が極めて狭く、更に干渉性が著しく、指向性の鋭い細いビームの光線である。
レーザー光の連続発振出力は、10μWから100kWまで、ピーク出力は1Wから100TWである。
また、パルス幅は通常1μsから1psである。広く利用されている産業用レーザーとして、気体レーザーではCO2レーザー、固体レーザーではNd:YAGレーザー,Nd:YVO4レーザーなどがある。
まず、レーザー印字装置の搬送部によって、スレッド入り印刷物を矢印方向(スレッド2に平行な方向)に移動する。
レーザー印字装置は、図1で説明したスレッド入り印刷物に印刷された光学読み取り部(図示せず)を読み取って、スレッドに印字する情報種を決定する。
レーザー印字装置の印字ヘッド4の位置検知部42で開口部の始まりを検知し、印字部42によって印字情報を印字する。
金属層21の金属はレーザーの熱によって融解し微細な球となり、接着層または保護層22と色彩可変層23の間にとどまる。
破壊された金属層21の間から固有情報の一部が色彩可変層23面として表出する。
下層紙用の紙料懸濁液が入った糟510の下層紙形成ユニット51で下層紙11の紙料を吸い上げ、毛布54上に転移させる。
上層紙形成ユニット52には上層紙11の開口部を形成するための型が、金属,樹脂,紙などで作製されて取り付けられている。
開口部の型は、長方形,正方形,円など任意の形状とすることができる。
上層紙形成ユニット52で吸い上げられた上層紙11用の紙料が、移動してきた下層紙12上に重ねられ、スレッド2が下層紙12と上層紙11が積層される直前で挿入されて抄紙される。
積層された下層紙12と上層紙11は、毛布54に転移された状態で抄紙機の乾燥装置53の中に移動する。
乾燥装置53の中で、スレッド2に形成された水溶性接着剤が乾燥されて(接着剤が熱可塑性の接着剤であれば、熱で活性化されて)スレッド2と上層紙11が接着、固定される。
2 スレッド
3 金種
4 印字ヘッド
11 上層紙
12 下層紙
21 金属層
22 接着剤層または保護層
23 色彩可変層
24 プラスチックフィルム
31 光学読取り情報
41 印字部
42 位置検知部
51 下層紙形成ユニット
52 上層紙形成ユニット
53 乾燥装置
54 毛布
510,520 槽
A 開口部
Claims (4)
- プラスチックフィルムをベースとし、少なくとも薄い金属層が形成されたスレッドが基紙の一部に表出するように抄きこまれたスレッド入り印刷物の作製方法であって、スレッドが表出する基紙面に、固有情報及び光学読取り情報を印刷によって形成した後、基紙の一部に表出したスレッドの前記金属層に、前記光学読取り情報を読み取って、前記固有情報の一部、または、前記固有情報に関連する情報をレーザーによって形成することを特徴とするスレッド入り印刷物の作製方法。
- 前記スレッド入り印刷物において、前記金属層は、保護層または接着剤層に被覆されて表出していることを特徴とする請求項1に記載のスレッド入り印刷物の作製方法。
- 前記スレッド入り印刷物において、前記金属層の基紙側には、更に、色彩可変層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスレッド入り印刷物の作製方法。
- 前記スレッド入り印刷物において、前記光学読取り情報は、前記固有情報を表すコード、または、前記固有情報に関連する情報を表すコード、であることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のスレッド入り印刷物の作製方法。
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