JP4968441B2 - 微細な凹凸構造による隠し画像 - Google Patents

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本発明は、図柄の中に組み込まれた微細な凹凸構造による隠し画像に関する。
ホログラムや回折格子などの光回折構造は、特殊な装飾像や立体像を表現できることから、意匠性を高めた印刷物等に利用されている。また、製造のために高度な技術を要することから、偽造防止手段として利用されている。
意匠性を高める手段としては、高額な商品の包装材,パンフレット,POP,書籍の表紙等に、偽造防止手段としては、例えば、クレジットカード,IDカード等のカード類や、商品券,小切手,手形,株券,入場券等の金券類,各種証明書等に使用されている。
ホログラム画像を作成する方法として、通常、被写体にレーザ光と参照光を照射し、感光材に干渉縞を形成させる方法が用いられる。
一方、回折格子を形成させる方法として、電子線描画による方法がある。
また、ホログラムや回折格子などの光回折構造を媒体上に形成する方法として、熱転写によって形成する方法や、ラベルにして貼付する方法がある。
熱転写による方法は、平坦な貼付面を有する前述のカード類,金券類に多く利用され、ラベルによる方法は、貼付される対象物が平坦な面を持たない場合等に利用される。
一方、カラーホログラムや回折格子の技術を使用しない偽造防止技術「装飾ホイル」が提供されている(特許文献1参照)。
また、所定面に刻印されて回折光学的な作用を及ぼす巨視的な構造を有する「書類」が提供されている(特許文献2参照)。
特許文献1で開示されている「装飾ホイル」は、少なくとも2つの層からなる積層構造を有する。層は例えば、一方の面に反射層がコーティングされた透明な基層ホイルを含む。保護層が反射層を外部の影響から保護できる。基層ホイルの反射層側の造形面は、造形により得られた複数の幾何学的模様群からなる構造を有する。群に占められる領域の幅は30μmから300μmである。基層ホイルに造形された群の要素の断面は実質的に長方形であり、群が占める面は造形面に対して平行な平面にある要素面及び造形面の平面に残された残余面からなる。群が占める面は、造形面の平面にあるバックグラウンドエリア領域により互いに隔てられるというものである。
また、特許文献2で開示されている「書類」は、所定面に刻印されて回折光学的な作用を及ぼす巨視的な構造を有する書類であって、前記構造が10本/mm以上の空間周波数を有する回折光学的な作用を及ぼす所定の凹凸構造を備えた複数の部分面からなり、各部分面の凹凸構造がその隣接する部分面の凹凸構造と異なる書類において、前記部分面の内少なくとも一群の部分面によって書類の真贋情報が表され、前記一群の部分面は、それを包囲する隣接した部分面の凹凸構造と少なくとも色彩が異なる回折効果を発生させる凹凸構造を有し、前記真贋情報を表す各部分面の最大寸法が0.3mmより小さい寸法であるとしている。
特表2002−541001号公報 実開平9−66号公報
特許文献1に開示されている手法で形成される文字,記号,ロゴは微細であるが、顕微鏡等で拡大した際に一様な見え方で視認される。
また、特許文献2に開示されている手法で形成される文字,記号,ロゴは微細ではあるが、ルーペ等で拡大した際に単に回折するだけなために、一様なパターンとして視認される。
そこで本発明は、ルーペ等で拡大した場合は原画像の再生画像が視認され、顕微鏡で拡大した場合は微細パターンが確認できる微細な凹凸構造による隠し画像を提供することを目的とする。
前記課題の目的を達成するために、本発明の微細な凹凸構造による隠し画像の第一の態様は、図柄の中に組み込まれた微細な凹凸構造による隠し画像であって、前記隠し画像は、所定の深さまたは高さを有し原画像の微細化された部分の輝度または濃度に対応した長辺が5μmを超えない矩形に収まる大きさの微細パターンの集合により構成され、前記隠し画像は縦横2mm以下の領域内に形成されたことを特徴とするものである。
また、第二の態様は、第一の態様において、原画像の微細化された部分の輝度をパターンの大きさに変換する際に、輝度値を離散処理して変換したことを特徴とするものである。
また、第の態様は、第一または第二の態様において、微細パターンは、文字,記号,図形の何れか、または、その組み合わせであることを特徴とするものである。
1)本発明の微細な凹凸構造による隠し画像は、第一の態様のように、図柄の中に組み込まれた微細な凹凸構造による隠し画像であって、前記隠し画像は、所定の深さまたは高さを有し原画像の微細化された部分の輝度または濃度に対応した長辺が5μmを超えない矩形に収まる大きさの微細パターンの集合により構成され、前記隠し画像は縦横2mm以下の領域内に形成されたことによって、微細な凹凸を形成するために特殊な装置が必要であり、その微細な凹凸の集合で形成された原画像を、階調を含め模倣することは極めて困難となる。また、隠し画像が目視では何かの集合にしか見えないが、ルーペ等で拡大した場合でも微細パターンの長辺が5μmを超えないために単なる諧調画像としか視認することができない。
2)また、第二の態様のように、第一の態様において、原画像の微細化された部分の輝度をパターンの大きさに変換する際に、輝度値を離散処理して変換したことによって、微細パターン数を減らすことができ、データ作成時の負荷を低減しつつ原画像を諧調画像として表現することができる。
)また、第の態様のように、第一または第二の態様において、微細パターンは、文字,記号,図形の何れか、または、その組み合わせであることによって、ルーペ等で拡大した場合は隠し画像が視認でき、顕微鏡等で拡大した場合は文字、記号、図形が見えるため、真偽の判定が明確化される。
以下、図面を参照して、本発明の微細な凹凸構造による隠し画像について説明する。
図1は、本発明の微細な凹凸構造による隠し画像の一例について説明するための図,図2は、図1の一部領域について説明するための拡大図,図3は、図1の一部領域について説明するための拡大図,図4は、微細パターンの一例について説明するための図,図5は、微細パターンの大きさを定めた一覧表の例,図6は、微細パターンの大きさを離散値によりを定めた一覧表の例,である。
本発明の微細な凹凸構造による隠し画像は、光回折構造の作成方法に準じて作成されるために、ここで、公知の光回折構造の作成方法について説明する。
前述のように光回折構造の使用形態として、基材上に転写された状態で使用される場合と、基材ごとラベル化されて使用される場合がある。
光回折構造を転写された状態で使用する場合は、耐熱性を有する基材フィルム上に剥離層を形成し、その上に、例えば、熱硬化性の樹脂層を形成し、熱硬化性の樹脂層に凹凸構造を形成し、反射層を形成し、その上に感熱接着剤層を形成して転写用フィルムと成し、熱せられた金属の型等によって、接着剤層を含めた極めて薄い光回折構造形成層を紙などの印刷物上に転写して使用する。
光回折構造をラベル状態で使用する場合は、基材フィルム上に熱硬化性の樹脂層を形成し、熱硬化性の樹脂層に凹凸構造を形成し、凹凸構造の上に反射層を形成し、その上に粘着剤層を形成し、粘着剤面を剥離紙で被覆して基材フィルムを剥離紙と一緒に所定の大きさに打ち抜いてラベルとし、剥離紙を剥がして対象物に貼付して使用する。
前記反射層は、前述の光回折構造形成層の凹凸面に反射性を与えるために設けられる。反射層には、不透明な反射層と、透明性を有する反射層とがあるが、意匠効果を高める手段として使用する場合は、アルミニウムや、ニッケルなどの金属による不透明な反射層を形成する。
反射層を形成する方法としては、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンブレーティング法等があり、目的によって使い分ける。
また、剥離層,熱硬化性樹脂層,接着剤層,粘着剤層等の形成手段として、グラビアコート,ダイコート,ナイフコート,ロールコート等の一般的なコーティング方法、および、シルクスクリーン等の印刷方法の中から選択して使用する。
光回折構造という表現は、ホログラムや回折格子の上位概念による表現であるるが、以下の、本発明の説明では電子線描画によって描画するモノクロ画像や、カラー画像による回折格子の例で説明する。
回折格子によるカラー画像は、三原色の色成分ごとに画素値をもった画素の集合として定義される。そして、原画の各部分領域の画素を三原色(R,G,B)の各色成分に分解し、8ビットで表現できる画素値(0〜255種)を適用させ、回折格子によるカラー画像として再現する。
例えば、画素パターンRは波長600nm用、画素パターンGは波長500nm用、画素パターンBは波長400nm用として設定し、再生光を所定の位置に設置してそれぞれの画素パターンを観察したときに、これらの再生画像はカラー画像として視認される。
モノクロで表現する場合は、前述の波長の一つを適用すればよい。
本発明の微細な凹凸構造による隠し画像は、ホログラムや回折格子等による絵柄の中に所定の深さまたは高さを有する微細パターンの集合によって組み込まれて形成される。
そして、微細パターンは、原画像の微細化された部分の輝度または反射濃度(以下、単に輝度、または、輝度値という)に対応した大きさのパターンで表示される。
例えば、原画像をスキャナのような装置によって電気的に走査し、CCDセンサなどによって輝度値を電気信号に変換して前述の微細パターンに変換する。
即ち、原画像の微細部分の輝度値を8ビットで表現する画素値に変換し、更に最大5μmの微細パターンに変換させる。
以下の説明における隠し画像の大きさ、微細パターンの大きさは、隠し画像や微細パターンの長い方のサイズをいうものとする。
図5を参照して、本発明の微細な凹凸構造による隠し画像を構成する微細パターンの大きさの一例について説明する。
表1の1行目には、三原色「R,G,B」の「R」の輝度値が表示され、8ビットで表現できる256通りの数値となっている。
2行目には、微細パターンの縦の長さ(μm)が表示され、3行目には、微細パターンの横の長さ(μm)が表示されている。
本実施の形態では、微細パターンは、縦横の長さが同一の正方形パターンの例で表示している。
表1の第1列目には、最小の輝度値「R255/RGB」の微細パターンの縦横サイズが表示されている。何れも、最大値の「5μm」となっている。
第2列目には、次に小さい輝度値「R254/RGB」の微細パターンの縦横サイズが表示されている。縦横サイズは、何れも、「5μm×254/255」となっている。
第255列目には、最大の輝度値「R1/RGB」の微細パターンの縦横サイズが表示されている。縦横サイズは、何れも、最小に近い「5μm×1/255」となっている。
このように、原画像の輝度値に対応して、微細パターンの縦横サイズが定義付けされている。
図6を参照して、本発明の微細な凹凸構造による隠し画像を構成する微細パターンの大きさを、離散値によりを定めた一例について説明する。
表2の1行目には、表1で説明した三原色「R,G,B」の「R」の輝度値が表示され、8ビットで表現できる256通りの数値を8分の1に圧縮した数値となっている。
2行目には1行目の離散値を表示している。
3行目には、2行目の離散値に対する微細パターンの縦の長さ(μm)が表示され、4行目には、微細パターンの横の長さ(μm)が表示されている。
本実施の形態では、微細パターンは、縦横の長さが同一の正方形パターンの例が表示されている。
表2の第1列目には、1行目に輝度「R255〜R224/RGB」の範囲が表示され、2行目にはその離散値が「239」と表示されている。
3,4行目には、2行目の離散値「239」に対する微細パターンの縦,横サイズが表示され、何れも、「5μm×239/255」となっている。
第2列目には、1行目に輝度「R223〜R192/RGB」の範囲が表示され、2行目にはその離散値が「207」と表示されている。
3,4行目には、2行目の離散値「207」に対する微細パターンの縦,横サイズが表示され、何れも、「5μm×207/255」となっている。
第8列目には、1行目に輝度「R31〜R0/RGB」の範囲が示され、2行目にはその離散値が「15」と表示されている。
3,4行目には、2行目の離散値「15」に対する微細パターンの縦横サイズが表示され、何れも、「5μm×15/255」となっている。
前記表1,2の場合は、原画像の微細部分の輝度値を8ビットで表現しているが、8ビット表現に拘るものではなく、7ビット表現でも、5ビット表現でもよい。
7ビット表現の場合は、129通り、5ビット表現の場合は、33通りの面積に置き換えて表現できる。
また、前記それぞれのビット表現で表示された数値を離散化して使用してもよい。
図1を参照して、本発明の微細な凹凸構造による隠し画像の一例について説明する。
微細な凹凸構造による隠し画像1は、図柄(図示せず)の中に組み込まれており、隠し画像は所定の深さ(または、高さ)を有する微細パターン(図示せず)の集合で構成されている。
また、前記微細パターンは、原画像の微細化された部分の輝度に対応した大きさのパターンで表示されている。前述、表1のように、原画像の微細化された部分が多すぎる場合は、原画像の微細化された部分の輝度値を離散処理して変換する。
また、図に示すように微細な凹凸構造による隠し画像は、2mm以下の領域内に形成され、そのときに隠し画像を構成する微細パターン(図示せず)は5μm以下となる構成とする。
図2を参照して、図1の一部領域10について説明する。
図1の一部領域10を拡大すると図2のようになっている。図1の中央の「星形画像」の輝度が低い部分は、一辺が5μmに近い微細パターン100の集合で構成されている。
本実施の形態では、それぞれの微細パターン100は、正方形で形成され、正方形の内側が凹んだ形状になっている。
凹部の深さは0.05〜0.30μmで形成される。
それぞれの微細パターン100は正方形の内側が凸状になっていてもよい。
その場合、凸部の高さは0.05〜0.30μmとなるように形成される。
図3を参照して、図1の一部領域11について説明する。
図1の一部領域11を拡大すると図3のようになっている。図1の中央の「星形画像」の輝度が高い部分は、一辺が1μmに近い微細パターン110の集合で構成されている。
本実施の形態では、それぞれの微細パターン110は正方形で形成され、正方形の内側が凹んだ形状になっている。
凹部の深さは0.05〜0.30μmで形成される。
それぞれの微細パターン110は正方形の内側が凸状になっていてもよい。
その場合、凸部の高さは0.05〜0.30μmとなるように形成される。
図4を参照して、微細パターンの一例について説明する。
微細パターンは、図2,図3では正方形の図形の例で説明したが、微細パターンの形状は、図4に示すように、文字「M」120でも、記号「@」130でも、図形「☆」140でもよい。
上記いずれの場合も、長辺が5μmを超えない矩形に収まる大きさで形成される。
クレジットカードやIDカード等のカード類,商品券や小切手、手形や株券、入場券等の金券類,各種証明書,高額商品の下げ札等に貼付または添付され、偽造防止手段として利用される。
本発明の微細な凹凸構造による隠し画像の一例について説明するための図である。 図1の一部領域について説明するための拡大図である。 図1の一部領域について説明するための拡大図である。 微細パターンの一例について説明するための図である。 微細パターンの大きさを定めた一覧表の例である。 微細パターンの大きさを離散値によりを定めた一覧表の例である。
符号の説明
1 微細凹凸構造による隠し画像
10,11 一部領域
100,110 微細パターン
120 文字による微細パターン
130 記号による微細パターン
140 図形による微細パターン

Claims (3)

  1. 図柄の中に組み込まれた微細な凹凸構造による隠し画像であって、
    前記隠し画像は、
    所定の深さまたは高さを有し原画像の微細化された部分の輝度または濃度に対応した長辺が5μmを超えない矩形に収まる大きさの微細パターンの集合により構成され、
    前記隠し画像は縦横2mm以下の領域内に形成されたことを特徴とする微細な凹凸構造による隠し画像。
  2. 請求項1に記載の微細な凹凸構造による隠し画像において、
    原画像の微細化された部分の輝度または濃度をパターンの大きさに変換する際に、輝度値または濃度を離散処理して変換したことを特徴とする微細な凹凸構造による隠し画像。
  3. 請求項1または2に記載の微細な凹凸構造による隠し画像において、
    微細パターンは、文字,記号,図形の何れか、または、その組み合わせであることを特徴とする微細な凹凸構造による隠し画像。
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