JP4816216B2 - 光回折構造 - Google Patents

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本発明は、光回折構造に関し、詳しくは、目視可能な回折格子領域と隠し情報を含む回折格子領域との境界を判り難くした光回折構造に関する。
近年、カラーコピー機の解像機能の向上、色再現機能の向上によって極めて精巧なコピーが得られるようになってきている。
そのために、高額紙幣や商品券等の金券類は、カラーコピー機による偽造を防止するために、デザインの一部にカラーコピー機のセンサーでは読み取ることができない小さな網点や細線を、同じ反射濃度でデザインされた絵柄の中に組み込んでいる。
その結果、これらの高額紙幣や商品券をカラーコピー機によって複写しようとすると、コピー機のスキャナーが小さな網点や細線を読み落とし、その部分が白く抜けることでコピー品であると判別している。
また、高度な複製技術を必要とするホログラムが、一部の高額紙幣や、その他の金券類に使用されている。
ホログラム,回折格子は、目視した際の視認性が特徴的で、かつその製造技術が高度なことから偽造防止分野で多く使用されてきた。
例えば、回折格子やホログラム等の偽造に対する安全性を高めるために、単色光が照射されたとき、その透過回折光又は反射回折光が真正商品であることを示す所定画像を投影するよう構成された第一及び第二のホログラムパターンがそれぞれCGH(Computer Generated Hologram)として記録されている真正商品表示像投映データ記録済光記録媒体を用いることにより、単色光の所定の波長の光を照射すると、所定の映像が投影されるか否かにより、容易に商品の真贋の判定を行なうことができるという「真正商品表示像投影データ記録済光記録媒体及び商品の真贋判定装置並びに光記録媒体読取り装置」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、単なるホログラムでは、偽造防止手段として不十分だとして、「立体マイクロパターン表示体」が提供されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載された技術は、ホログラムが多数の微小なマイクロ文字、あるいは、幾何学的なマイクロ図形の三次元集合体からなり、それら多数の微小マイクロ文字、あるいは、幾何学的なマイクロ図形が三次元的に集合して特定の立体形状体を構成するように配置された「立体マイクロパターン表示体」であるとしている。
特開2000−3124号公報 特開2004−138688号公報
特許文献1に記載された技術は、ホログラムが形成されている領域が広く、また、形成されている位置が明瞭で、ホログラムの解析が容易なため、安全性に対する配慮が万全とはいえない。
また、特許文献2に記載された技術は、微小マイクロ文字、あるいは、幾何学的なマイクロ図形が三次元的に集合して特定の立体形状体を構成するように配置されたものでり、微小マイクロ文字を隠し情報として使用するものではない。
そこで、本発明は、目視可能な回折格子領域と隠し情報を含む回折格子領域との境界を判り難くした光回折構造を提供することを目的とする。
前記課題の目的を達成するために、本発明の光回折構造の第一の発明は、背景図柄と該背景図柄に組み込まれた文字による図柄から構成された回折格子からなる光回折構造であって、前記文字による図柄の境界線を含む図柄の内側部分には、文字,数字,記号の単独、又は2以上の組み合わせからなる隠し情報が組み込まれており、前記文字による図柄の内側部分に形成された回折格子の画素の大きさAと、前記背景図柄の回折格子の画素の大きさBとは、B/A≧10となるように組み込まれ、AはBの約数であることを特徴とするものである。
また、第二の発明は、第一の発明において、隠し情報を構成する回折格子と、文字による図柄の内側部分の前記隠し情報周辺部を構成する回折格子は、格子ピッチ,格子角度,格子密度の何れかが異なった回折格子で構成されたことを特徴とするものである。
また、第の発明は、第一または第二の発明において、隠し情報の文字,数字,記号の大きさが最大50μmであることを特徴とするものである。
また、第の発明は、第一〜第の発明において、隠し情報の文字,数字,記号は、さらに、線分,図柄要素として組み込まれたことを特徴とするものである。
1)第一の発明のように、背景図柄と該背景図柄に組み込まれた文字による図柄から構成された回折格子からなる光回折構造であって、前記文字による図柄の境界線を含む図柄の内側部分には、文字,数字,記号の単独、又は2以上の組み合わせからなる隠し情報が組み込まれており、前記文字による図柄の内側部分に形成された回折格子の画素の大きさAと、前記背景図柄の回折格子の画素の大きさBとは、B/A≧10となるように組み込まれ、AはBの約数であることによって、ホログラム絵柄を作成する際に必要以上に画素が細かくなりすぎず、その結果、データの軽量化が可能になり、取り扱いが容易となる。また、隠し情報である文字,記号をより細かく設定することができ、かつ、全体の画素を必要以上に細かくする必要がなくなる。また、隠し情報の周辺部とそれ以外の領域の間に隙間のない絵柄を形成することができるため隠し情報の存在を知られることなく、配置することができる
2)また、第二の発明のように、第一の発明において、隠し情報を構成する回折格子と、文字による図柄の内側部分の前記隠し情報周辺部を構成する回折格子は、格子ピッチ,格子角度,格子密度の何れかが異なった回折格子で構成されたことによって、隠し情報である文字,数字,記号の内部と周辺部の回折条件が異なるため、隠し情報の判別が可能となる。
)また、第の発明のように、第一または第二の発明において、隠し情報の文字,数字,記号の大きさが最大50μmであることによって、偽造を試みる者に対し、文字,数字,記号の存在に気付く機会を与えず、偽造を防止することができる。また、発行者や、管理者など、その存在を知っている者は、ルーペなどでその存在を確認することにより、物品の真偽を容易に確認することができる。
)また、第の発明のように、第一〜第の発明において、隠し情報の文字,数字,記号は、さらに、線分,図柄要素として組み込まれたことによって、隠し情報は、その存在を気付かれる危険性が少なくなる。
以下、図面を参照して、本発明の光回折構造について説明する。
図1は、本発明の光回折構造の一例について説明するための図,図2と図3は、図1の図柄の一部を拡大した図の一例,図4は、図3の一部の拡大図,図5は、隠し情報の内部と隠し情報周辺部の画素構成の一例について説明するための図,である。
図1を参照して、本発明の光回折構造の一例について説明する。
図1に示す例で、光回折構造1は、回折格子による画素で構成された認証ラベルである。
認証ラベルは、偽造されては困るブランド品などの保証書やブランド品そのものの一部に貼付して使用する。
また、偽造されては困る紙幣,商品券,入場券,ギフト券,手形,小切手,カード,証明書,保証書等のシート状の対象物には、光回折構造が剥ぎ取られないように光回折構造を有する極めて薄い樹脂だけを転写して使用する。
これらラベル、または、転写物による光回折構造1には、偽造されたものか、本物かを判別するために、文字による図柄11、または、文字による図柄の背景図柄12の、少なくとも一部に、前記文字,数字,記号による隠し情報が組み込まれる。
そして、前記隠し情報として文字,数字,記号が単独、または、2以上の組み合わせで組み込まれる。
図2を参照して、図1の図柄の一部110について説明する。
図柄の一部110aは、文字による図柄11と文字による図柄の背景図柄12で構成されている。
さらに、文字による図柄11は、文字による図柄の境界線部分(以下、単に境界線ともいう。)111と文字による図柄の内側部分112で構成され、文字による図柄の内側部分112には隠し情報1111が組み込まれている。
前記隠し情報1111は、文字,数字,記号の何れか、または、組み合わせで構成される。
そして、隠し情報「genuine」は、目視では視認することができないように、文字の高さを50μm以下の大きさとして組み込む。
隠し情報1111は、図示したノーマルな状態以外に、文字による図柄の境界線111の内側に縦,横,斜め,自由に組み込むことができ、組み込む方法も自由に選択することができる。例えば、「genuine」の文字を繰り返し表示し、特定の「genuine」を、「geunine」のように、「u」と「n」をわざと入れ替えたりすることもできる。
隠し情報1111と、隠し情報の周辺部とは、格子ピッチ,格子角度,格子密度の何れかが異なった回折格子となるように組み込まれる。
例えば、隠し情報1111と、その周辺部は、同一の格子ピッチ,同一の格子密度の回折格子で構成された場合は、格子角度を変化させ、格子角度が同一であった場合は、格子ピッチ,格子密度の何れか、もしくは、その双方を変えて形成する。
このことによって、「認証ラベル」の偽物が出現したときに、ルーペなどで拡大することによって真偽を判別できるようにしている。
また、文字による図柄の背景図柄12は、文字による図柄11の内側部分112に形成された文字,数字,記号による隠し情報や、隠し情報の周辺部を構成する回折格子の画素より大きな画素で構成される。
図3を参照して、図1の図柄の一部110について説明する。
図2で説明したと同様、図柄の一部110bは、文字による図柄11と文字による図柄の背景12で構成されている。
さらに、文字による図柄11は、文字による図柄の境界線部分111と文字による図柄の内側部分112で構成され、文字による図柄の境界線部分111には隠し情報1111が組み込まれている。
前記隠し情報1111は、文字,数字,記号の何れか、または、組み合わせで構成される。
図3に示す例では、隠し情報「genuine」は、目視では視認することができない50μm以下の大きさで組み込まれる。
文字による図柄の境界線部分111が狭い場合は、図のように、隠し情報1111は、一段組み構成で組み込まれ、図2で説明したと同様、「genuine」の文字を繰り返し表示し、その際に、特定の「genuine」を、「geunine」のように、「u」と「n」をわざと入れ替えたりすることもできる。
図2の場合と同様、隠し情報1111と、隠し情報の周辺部とは、格子ピッチ,格子角度,格子密度の何れかが異なった回折格子となるように組み込まれる。
例えば、隠し情報1111と、その周辺部は、同一の格子ピッチ,同一の格子密度の回折格子で構成された場合は、格子角度を変化させ、格子角度が同一であった場合は、格子ピッチ,格子密度の何れか、もしくは、その双方を変えて形成する。
そのことによって、「認証ラベル」の偽物が出現したときに、ルーペなどで拡大することによって真偽を判別できるようにしている。
また、文字による図柄の背景図柄12は、文字による図柄の境界線部分111に形成された文字,数字,記号による隠し情報や、隠し情報の周辺部を構成する回折格子の画素より大きな画素で構成される。
図4を参照して、光回折構造の文字による図柄の内側に組み込まれる文字,数字,記号などによる隠し情報とその周辺部を構成する回折格子、および、文字による図柄の背景図柄を構成する回折格子について更に詳しく説明する。
図4は、図3の文字による図柄の境界線部分111とその周辺部の一部を拡大したものである。
図4の文字による図柄の境界線部分111には、文字による隠し情報1111が、文字による図柄の境界線の幅と略同じ高さ形成されている。前述のように、隠し情報1111は、目視では視認することができない50μm以下の大きさで組み込まれる。
文字による図柄の境界線111の外側には、文字による図柄の背景図柄12が、やはり、回折格子で形成されている。文字による図柄の境界線111と、文字による図柄の背景図柄12の間には隙間が生じないように形成される。
図柄の境界線部分111の、文字による隠し情報1111は、一辺が「A」の正方形の画素11110で構成され、隠し情報周辺部1112も同様、一辺が「A」の正方形の画素11120で構成される。
文字による図柄の境界線111の外側の文字による図柄の背景図柄12は、一辺が「B」の画素120で構成される。
画素の形状は、正方形に拘るものではなく、文字による隠し情報1111と、隠し情報周辺部1112の境界部分に隙間が生じない、例えば、正三角形や正六角形、円ような形状を選択することができる。
そして、「隠し情報」と「隠し情報の周辺部」の画素の大きさAと、「隠し情報と隠し情報の周辺部」以外の部分の画素の大きさBを、B/A≧10となるように設定し、Aは、Bの約数となるように設定する。
例えば、「A」を5μmとし、「B」を50μmとすることによって、「<隠し情報>と<隠し情報の周辺部>」、「<隠し情報の周辺部>と<それ以外の部分>」の境界に隙間を生じさせず、文字,数字,記号の存在を知られることなく形成することができる。
ここまでの説明では、文字,数字,記号などによる隠し情報を、文字による図柄の中に組み込む例で説明してきたが、文字による図柄が含まれてる光回折構造でも文字による図柄以外の図柄に組み込まれて使用されてもかまわない。
ましてや、文字による図柄が含まれていない光回折構造の場合は当然所定の図柄の中、または、境界線などに組み込んで使用することができる。
図5は、隠し情報の内部と、隠し情報の周辺部の回折格子による画素の組み合わせの一例を示している。さらに、表2に示す例は、隠し情報が、隠し情報の周辺部に囲まれており、隠し情報の内部と隠し情報の周辺部との間には、隙間がない構成になっている。
例えば、構成例「a」のように、隠し情報の内部の回折格子による画素が「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=−45°,格子密度=100%」のときに、隠し情報の周辺部の回折格子による画素は、「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=+45°,格子密度=100%」とし、画素の要素の一つである「格子角度」が異なるように形成する。
また、例えば、構成例「b」のように、隠し情報の内部の回折格子による画素が「格子ピッチ=0.6μm,格子角度=−45°,格子密度=100%」のときに、隠し情報の周辺部の回折格子による画素は、「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=−45°,格子密度=100%」とし、画素の要素の一つである「格子ピッチ」が異なるように形成する。
また、例えば、構成例「c」のように、隠し情報の内部の回折格子による画素が「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=−45°,格子密度=100%」のときに、隠し情報の周辺部の回折格子による画素は、「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=−45°,格子密度=50%」とし、画素の要素の一つである「格子密度」が異なるように形成する。
上記、構成例「a」〜「c」の場合は、格子ピッチ,格子角度,格子密度何れかの要素が異なっているために、隠し情報をその周辺部と切り離して判別することができるが、構成例「d」の場合は、隠し情報の内部の回折格子による画素と隠し情報の周辺部の回折格子による画素が、「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=−45°,格子密度=100%」と同一なために、隠し情報を判別することはできない。
また、表には例示しないが、隠し情報の内部の回折格子による画素「格子ピッチ=1.0μm,格子角度=−45°,格子密度=100%」のときに、隠し情報の周辺部の回折格子による画素を「格子密度=0」とする構成例も有効である。
紙幣,商品券,入場券,ギフト券,手形,小切手,カード,証明書,保証書等に利用することができる。
本発明の光回折構造の一例について説明するための図である。 図1図柄の一部を拡大した図の一例である。 図1図柄の一部を拡大した図の一例である。 図3の一部の拡大図である。 隠し情報の内部と、隠し情報周辺部の画素構成の一例について説明するための図である。
符号の説明
1 光回折構造
2 表
11 文字による図柄
12 文字による図柄の背景図柄
110,110a,110b 図柄の一部
111 文字による図柄の境界線部分
112 文字による図柄の内側部分
120 文字による図柄の背景図柄を構成する画素
1111 隠し情報
1112 隠し情報周辺部
11110 隠し情報を構成する画素
11120 隠し情報周辺部を構成する画素

Claims (4)

  1. 背景図柄と該背景図柄に組み込まれた文字による図柄から構成された回折格子からなる光回折構造であって、
    前記文字による図柄の境界線を含む図柄の内側部分には、文字,数字,記号の単独、又は2以上の組み合わせからなる隠し情報が組み込まれており、
    前記文字による図柄の内側部分に形成された回折格子の画素の大きさAと、前記背景図柄の回折格子の画素の大きさBとは、B/A≧10となるように組み込まれ、AはBの約数であることを特徴とする光回折構造。
  2. 請求項1に記載の光回折構造において、
    隠し情報を構成する回折格子と、文字による図柄の内側部分の前記隠し情報周辺部を構成する回折格子は、格子ピッチ,格子角度,格子密度の何れかが異なった回折格子で構成されたことを特徴とする光回折構造。
  3. 請求項1または2に記載の光回折構造において、
    隠し情報の文字,数字,記号の大きさが最大50μmであることを特徴とする光回折構造。
  4. 請求項1〜に記載の光回折構造において、
    隠し情報の文字,数字,記号は、さらに、線分,図柄要素として組み込まれたことを特徴とする光回折構造。
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