JP4882475B2 - 光回折構造 - Google Patents
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Description
そのために、高額紙幣や商品券等の金券類は、デザインの一部にカラーコピー機のセンサーでは読み取ることができない小さな網点や細線を、同じ反射濃度でデザインされた絵柄の中に組み込んでいる。その結果、これらの高額紙幣や商品券をカラーコピー機によって複写しようとすると、コピー機のスキャナーが小さな網点や細線を読み落とし、その部分が白く抜けることでコピー品であると判別している。
ホログラム,回折格子の技術は、目視した際の視認性が特徴的で、かつその製造が困難なことから偽造防止分野で多く使用されてきた。
しかし、ホログラム分野にも模造品が出回るようになってきており、模造品に対抗するために、さまざまな提案がなされている。
例えば、回折格子やホログラム等の偽造に対する安全性を高めるために、単色光が照射されたとき、その透過回折光又は反射回折光が真正商品であることを示す所定画像を投影するよう構成された第1及び第2のホログラムパターンがそれぞれCGH(Computer Generated Hologram)として記録されている真正商品表示像投映データ記録済光記録媒体を用いることにより、単色光の所定の波長の光を照射すると、所定の映像が投影されるか否かにより、容易に商品の真贋の判定を行なうことができるという、「真正商品表示像投影データ記録済光記録媒体及び商品の真贋判定装置並びに光記録媒体読取り装置」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これらのレーザー光再生型ホログラムでは、例えば、絵柄全体が回折格子からなる画素の集合で形成され、特定の部分がレーザー光再生型ホログラムで構成するような使い方が多い。
さらに、レーザー光再生ホログラムとして、原画像をフーリエ変換し、その位相を深さ情報とするレーザー光再生ホログラムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2に開示されている技術は、レーザー光再生型ホログラムの一つの要素の大きさが、原画像の大きさに依存するため、レーザー光再生ホログラムを、回折格子からなる画素の集合に組み込もうとした時に、回折格子の集合との間に隙間を生じ、組み込まれているレーザー光再生ホログラムが発見されやすいという課題がある。
そこで、本発明は、目視可能な回折格子領域と、隠し情報を含むホログラム領域との境界を判り難くした光回折構造を提供することを目的とする。
2)また、第二の発明のように、回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域と、前記回折格子画像領域に組み込まれた状態で形成され原画像をフーリエ変換してその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域と、を有する光回折構造であって、前記回折格子画像領域の画素の大きさをA,前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさをBとしたときに、B/A=2 n-1 (nは2以上の自然数)となるように形成され、前記レーザー光再生型のホログラム領域は、複数のnに対応した複数の異なる大きさの要素の集合で構成された光回折構造であり、回折格子画像領域とレーザー光再生型のホログラム領域の境界部には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域が形成され、前記レーザー光再生型のホログラム境界領域は、前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさをα、前記境界部の原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域の要素の大きさをβとしたときに、α/β=2n-1(nは2以上の自然数)となるように形成され、前記レーザー光再生型のホログラム境界領域は、少なくとも1つ以上のnに対応して少なくとも1つ以上の異なる大きさの要素の集合で構成されたことによって、回折格子からなる領域と、ホログラム領域との境界周辺をより滑らかに描画することができる。
3)また、第三の発明のように、第二の発明において、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域は複数形成され、回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域,原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域,原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域は、同一基板上に形成されたことによって、回折格子からなる領域とホログラム領域との境界周辺をより自然に描画することができる。
4)また、第四の発明のように、第三の発明において、回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域と、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域の境界には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域が隙間が生じないように配置されていることによって、回折格子からなる領域とホログラム領域との境界周辺をより自然に描画することができ、偽造をより困難にすることができる。
図1は、本発明の光回折構造の一例について説明するための図,図2は、回折格子画像の画素の大きさと、レーザー光再生型のホログラムの一つの要素の大きさについて説明するための図,図3は、図1の一部を拡大した図,である。
本来、ホログラムとはレーザーのように干渉性のある光線(コヒーレントな光波)で撮影した立体写真のことである。普通の写真では、レンズを使って外界の明暗をフィルムに投影することで、光の強弱のみを記録しているが、ホログラムでは、2つの光の干渉によって、ホログラム用のフィルムに光の強弱のみでなく、光の来る方向も記録することで、奥行きを出すことが出来るようにしたものである。通常、立体像に照射したレーザー光は二つの分けられ、一方の光は、物体に当てられ、当たった物体からの反射光(物体光)が、フィルムに焼き付けられる。もう一方の光(参照光)は、物体に当たらずにフィルムに焼き付けられる。その結果、フィルムには物体光と参照光の干渉により、物体の明るさの情報である光波の振幅と、光がやって来た方向の情報である位相を含んだ干渉縞が記録される。つまり、ホログラムでは、参照光を導入することにより、物体からやって来る光そのものを干渉縞の形で凍結して記録したものである。
そこで、この凍結した光を解凍させるために、参照光と同じ光を再生光としてホログラムに当て、元の物体像を三次元で再生する。このような光の干渉と回折を利用して物体の全ての情報を記録し、再生する技術がホログムである。
原画像をフーリエ変換し、その位相情報を多値化して、深さ情報として形成する手順について以下に説明する。
まず、原画像(文字,数字,記号,図柄を含む図形等)を作成する(ステップ1:以下S1と記載する)。
次に、コンピュータによって原画像をフーリエ変換して、原画像のフーリエ変換像を作成する(S2)。
次に、振幅を1として、フーリエ逆変換を行なう(S3)。
次いで、位相はそのままとして振幅を元の振幅とする(S4)。
以後、S2〜S4を繰り返し、所定のフーリエ変換像を作成する(S5)。なお、S5に関しては、特開平10−153943号公報に記載されているので、詳細の説明を省略する。
次に、S5で作成した位相データを抽出する(S6)。
最後に、位相情報の多値化を行い、所定の深さ情報とする(S7)。
S7では、位相の深さ情報化は、2〜16値化の範囲内で行われ、実用されているものは4値化,8値化が多い。
前記回折格子画像領域2の画素の大きさをA,前記レーザー光再生型のホログラム領域1の一つの要素の大きさをBとしたときに、B/A=2n-1 (nは2以上の自然数)となるように形成されている。
回折格子画像領域の画素21の大きさをA,前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさをBとしたときに、B/A=2n-1(nは2以上の自然数)となるように、また、前記レーザー光再生型のホログラム領域の周辺には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域が形成され、前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさαと、前記レーザー光再生型のホログラム境界領域の要素の大きさβとは、α/β=2n-1(nは2以上の自然数)となるように形成されている。nが2の時のレーザー光再生型のホログラムは要素12,nが3の時のレーザー光再生型のホログラムは、要素11となってレーザー光再生型のホログラムの周辺に配置される。その結果、回折格子画像領域と、レーザー光再生型のホログラム領域の境界部分を隙間が生じないように構成することができる。
因みに、回折格子画像の画素21と、レーザー光再生型のホログラムの要素13は、同じ大きさで、例えば、1辺が25μmの画素および要素として光回折構造の中に組み込まれる。
図3は、図1の光回折構造の一部領域101の片側部分を拡大したものである。
境界線3は、回折格子画像領域2と、レーザー光再生型のホログラム領域1の境界部分である。
境界線3の右側には、光回折構造2の画素21が形成されており、境界線3の左側には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域が形成されている。
レーザー光再生型のホログラム領域には、さまざまな大きさのレーザー光再生型のホログラム要素11,12,13が形成されている。
図2で説明したように、回折格子画像領域の画素の大きさをA,前記レーザー光再生型ホログラム領域の一つの要素の大きさをBとしたときに、B/A=2n-1 (nは2以上の自然数)となるように、また、前記レーザー光再生型のホログラム領域の周辺には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域が形成され、前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさαと、前記レーザー光再生型のホログラム境界領域の要素の大きさβとは、α/β=2n-1(nは2以上の自然数)となるように形成されている。
図において、nの値が2以上となっていることによって、回折格子画像領域と、レーザー光再生型のホログラム領域の境界部3には隙間が生じないようになっている。
このように、回折格子画像領域との境界に、回折格子画像領域と同等の画素のホログラムの要素を配置することによって、回折格子画像領域とレーザー光再生型のホログラムとの境界を曖昧にし、光回折構造の偽造を困難にしているのである。
2 回折格子画像領域
3 境界部
11,12,13 原画像をフーリエ変換し、その位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラムの要素
21 回折格子による画素
100 光回折構造
101 光回折構造の境界領域
Claims (4)
- 回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域と、前記回折格子画像領域に組み込まれた状態で形成され原画像をフーリエ変換してその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域と、を有する光回折構造であって、
前記回折格子画像領域の画素の大きさをA,前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさをBとしたときに、B/A=2n-1(nは1以上の自然数)となるように形成され、前記レーザー光再生型のホログラム領域は、複数のnに対応した複数の異なる大きさの要素の集合で構成されたことを特徴とする光回折構造。 - 回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域と、前記回折格子画像領域に組み込まれた状態で形成され原画像をフーリエ変換してその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域と、を有する光回折構造であって、
前記回折格子画像領域の画素の大きさをA,前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさをBとしたときに、B/A=2 n-1 (nは2以上の自然数)となるように形成され、前記レーザー光再生型のホログラム領域は、複数のnに対応した複数の異なる大きさの要素の集合で構成された光回折構造であり、
回折格子画像領域とレーザー光再生型のホログラム領域の境界部には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域が形成され、前記レーザー光再生型のホログラム境界領域は、前記レーザー光再生型のホログラム領域の要素の大きさをα、前記境界部の原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域の要素の大きさをβとしたときに、α/β=2n-1(nは2以上の自然数)となるように形成され、前記レーザー光再生型のホログラム境界領域は、少なくとも1つ以上のnに対応して少なくとも1つ以上の異なる大きさの要素の集合で構成されたことを特徴とする光回折構造。 - 請求項2に記載の光回折構造において、
原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域は複数形成され、回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域,原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域,原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域は、同一基板上に形成されたことを特徴とする光回折構造。 - 請求項3に記載の光回折構造において、
回折格子による画素の集合によって形成された回折格子画像領域と、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム領域の境界には、原画像をフーリエ変換しその位相を深さ情報としたレーザー光再生型のホログラム境界領域が隙間が生じないように配置されていることを特徴とする光回折構造。
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