JP2012121177A - 識別情報付シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基底部と、上記基底部の表面に形成され、凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有し、上記識別部の各々の凸部または凹部は、拡大することにより観察可能であり、かつ形状に基づいて識別することが可能な識別情報を有することを特徴とする識別情報付シートを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1
Description
このような偽造防止技術の1つとして、タガントを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。ここで、タガントとは、例えば表面にμオーダーで表示された文字、記号、柄等を有する粒子状の構造物や、特異な形状を有する粒子状の構造物、紫外線等を照射することにより発色する粒子状の構造物等の識別情報を有する粒子状の構造物を指すものであり、タガントが有する識別情報をルーペ等で観察することにより真贋判定が行われるものである。また上述したタガントは、通常、液状の樹脂塗工液やインキ中に混在させ、上記樹脂塗工液やインキを物品に塗布したり、フィルム化することにより上述した物品に固着されるものである。
また、タガントは通常、液状の樹脂塗工液やインキ中ではあらゆる方向に分散するものであることから、例えばタガントの一部に文字等が表示されているものを用いた場合においては、必ずしもタガントの表示面が観察者側を向いて物品に固着されるとは限らず、タガントの表示面が観察者側とは反対側に配置されてしまう場合も考えられる。このように、タガントを用いる偽造防止技術においては、タガントが粒子状構造物であるため、その制御が難しいといった問題があった。
まず、本発明の識別情報付シートについて説明する。
本発明の識別情報付シートは、基底部と、上記基底部の表面に形成され、凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有し、上記識別部の各々の上記凸部または上記凹部は、拡大することにより観察可能であり、かつ形状に基づいて識別することが可能な識別情報を有することを特徴とするものである。
また、「複数の凹凸形状」とは、上記凸部が複数形成されてなる凹凸形状、上記凹部が複数形成されてなる凹凸形状、凸部および凹部が形成されてなる凹凸形状を指す。
また、本発明において「形状に基づいて識別することが可能な識別情報」とは、固有の形状を有する情報を指すものであり、例えば色彩等の無形の情報のみからなる情報を含まないものとする。
本発明における識別部は、基底部の表面に形成され、凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有し、各々の上記凸部または上記凹部は、拡大することにより観察可能であり、かつ形状に基づいて識別することが可能な識別情報を有するものである。
まず、本発明に用いられる識別情報について説明する。本発明における識別情報は、拡大することにより観察可能であり、かつ形状に基づいて識別することが可能な情報、すなわち拡大手段を用いて拡大した場合に観察することが可能であり、かつ固有の形状を有する情報である。
以下、それぞれについて説明する。
本発明における凸部または凹部の立体形状は、拡大して観察することで識別可能なものであり、基底部表面に形成可能な立体形状であれば特に限定されるものではない。ここで、本発明における各々の凸部または凹部は基底部表面に形成されるものであることから、凸部または凹部の立体形状は少なくとも基底部側の面(以下、基底部面と称して説明する場合がある。)に平面を有するものである。
なお、「基底部面に平面を有する」とは、図1(b)および図2(b)に示すように、凸部12aまたは凹部12bにおいて二点鎖線で示される部分が平面であることを指す。
図5(a)、(b)は凸部または凹部に用いられる曲面立体形状の一例を示す模式図であり、図5(a)は凸部上面または凹部底面側からみた図、図5(b)は図5(a)のC−C線断面図である。図5(a)、(b)に示す曲面立体形状s(ティーポット)は、凸部上面または凹部底面t1および基底部面t2を有し、凸部上面または凹部底面t1が曲面で構成されているものである。
また、具体的に曲面立体形状が曲面を有することは、破壊式または非破壊式の検査方法によって確認することができる。
上記破壊式の検査方法としては、例えばカッターやカミソリ、ミクロトーム等によりシートを切断し、ルーペや顕微鏡等により拡大して観察することにより確認する方法が挙げられる。
一方、非破壊式の検査方法としては、接触式または非接触式の形状測定を行うことにより確認する方法が挙げられる。接触式の形状測定においては、例えば針をシートに接触させ、移動させることにより形状を計測する触針式の形状測定機を用いることができる。非接触式の形状測定においては、例えば可干渉性の少ない白色光を光源として、ミラウ型やマイケルソン型などの等光路干渉計を利用し、測定面に対応するCCD各画素の等光路位置(干渉強度が最大になる位置)を、干渉計対物レンズを垂直走査(スキャン)して見つける手法にて形状を計測する、走査型白色干渉計を用いることができる。
なお、上記曲面の割合は、上述の破壊式または非破壊式の検査方法にて測定することが可能である。
印は、凸部または凹部の一部に表示されるものである。
本発明においては、2種類以上の識別情報を組み合わせることによる組み合わせ情報を識別情報として用いることができる。組み合わせ情報としては、具体的には、図6に示すように2種類以上の凸部または凹部の立体形状(図6では凸部12aの立体形状が円柱s11と直方体s12)、図7に例示するような凸部12aと凹部12b、図8(a)に例示するような凸部または凹部の大小関係、図8(b)に例示するような2種類以上の印(図8(b)では「A」,「B」、および「C」)、図8(c)に例示するような印の大小関係、図8(d)に例示するような印の有無、さらに凸部または凹部の立体形状と付される印との組み合わせ等の異なる2種類以上の識別情報の組み合わせ等を挙げることができる。なお、図6、図7は本発明の識別情報付シートの他の例を示す概略図であり、説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。図8は本発明に用いられる識別情報の例の模式図である。また、凸部または凹部の立体形状については平面四角形状で示している。
次に本発明における識別部の表示形態について説明する。
本態様の識別部の形態は、識別部における各々の凸部または凹部のすべてが同一の識別情報のみを有するものである。
なお、識別部は凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を必須の構成として有することから、少なくとも任意の凸部または凹部の立体形状が識別情報として用いられるものである。
本態様の識別部の形態は、識別部における各々の凸部または凹部が2種類以上の異なる識別情報を有するものである。
なお、識別部は凸部または凹部を備える複数の凹凸形状を必須の構成として有することから、少なくとも任意の異なる2種類の凸部または凹部の立体形状、または凸部と凹部が識別情報として用いられるものである。
本態様の識別部の形態は、識別部における各々の凸部または凹部が共通識別情報と、非共通識別情報とを有するものである。
一方、非共通識別情報とは、異なる2種類以上の識別情報を組み合わせることにより識別することが可能となる識別情報であり、識別部における各々の凸部または凹部の全てが共通して有さない識別情報である。
共通識別情報としては、1つの識別情報のみを用いてもよく、複数の識別情報を用いてもよい。
また、非共通識別情報としては、上述した組み合わせ情報のうちいずれか1つの組み合わせ情報を用いてもよく、2つ以上の組み合わせ情報を用いることも可能である。
本発明における識別部は、上記基底部の表面に形成され、凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有するものである。
また、上記凹部の深さについては、凹部12bの形状が平坦な底面を有するものである場合は、図2(b)に示すように、識別情報付シートの凹部12bが形成されていない部分の表面から凹部12bの底面までの距離y1を指し、凹部12bの形状が平坦な底面を有さない場合は、図3(b)および図4(b)に示すように、識別情報付シートの凹部12bが形成されていない部分の表面から凹部12bの深さが最大となる部分までの距離y2を指すものとする。
なお、上記凸部または凹部の大きさ(u)は、凸部または凹部の平面視における最大距離とする。例えば平面視における形状が図5(a)に示す形状である場合は、距離L1を指す。
上記凸部または凹部の大きさ(u)および凸部の高さ(x1,x2)または凹部の深さ(y1,y2)は、上述した破壊式または非破壊式の検査方法にて測定することができる。
本発明における基底部は、その表面に上述した識別部を有するものである。
なお、本発明における基底部の厚みとは、図1(b)や図2(b)に示すように、識別情報付シート10の識別部が形成されていない部分zを指すものである。また、基底部の厚みについては、上述した破壊式または非破壊式の検査方法にて測定することができる。
なお、通常、識別情報付シートが凸部を備える凹凸形状を有するものである場合は、識別情報付シートの凸部の高さおよび基底部の厚みの総和である識別情報付シート全体の厚み、および凸部の高さをそれぞれ測定し、識別情報付シート全体の厚みと凸部の高さとの差を算出することにより、基底部の厚みが求められる。
本発明の識別情報付シートは、基底部の表面に識別部を有するものであれば特に限定されず、識別部が識別情報付シートの一部の面に形成されているものであってもよいし、識別情報付シートの全面に形成されているものであってもよい。
また、1つの識別情報付シートに1つの識別部が形成されているものであってもよく、複数の識別部が形成されているものであってもよい。
識別情報付シートの材料としては、上述した構成を有する識別情報付シートを製造できる材料であれば特に限定されるものではなく、通常、樹脂を含む材料が用いられる。
以下、各機能性材料に分けて説明する。
本発明に用いられる紫外線発光材料としては、紫外線の吸収により蛍光発光する材料を用いることができる。紫外線発光材料は、短波長域(約200nm〜300nm)の吸収により発光するもの、および、長波長域(約300nm〜400nm)の吸収により発光するもののいずれも使用することができる。この紫外線発光材料は、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発するスペクトルのピークが青、緑、赤等の波長域にあるものであり、目的に応じて適宜選択することができる。具体例としては、Ca2B5O9Cl:Eu2+、CaWO4、ZnO:Zn、Zn2SiO4:Mn、Y2O2S:Eu、ZnS:Ag、YVO4:Eu、Y2O3:Eu、Gd2O2S:Tb、La2O2S:Tb、Y3Al5O12:Ce、Sr5(PO4)3Cl:Eu、3(Ba,Mg)O・8Al2O3:Eu、Zn2GeO4:Mn、Y(P,V)O4:Eu、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn、ZnS:Cu、ZnS:Mn等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を用いてもよい。なお、上記紫外線発光材料は、その組成を、主成分と付活剤または発光中心とを「:」で繋いで表記している。
本発明に用いられる赤外線発光材料としては、赤外線の吸収により蛍光発光する材料を用いることができる。赤外線発光材料は、赤外線(約800nm〜1200nm)で励起され、可視光(約400nm〜800nm)を発光するものであり、目的に応じて適宜選択することができる。具体例としてはYF3:Yb+Er、YF3:Yb+Tm、BaFCl:Yb+Er等が挙げられる。なお、上記赤外線発光材料は、その組成を、主成分と付活剤または発光中心とを「:」で繋いで表記している。
本発明に用いられる赤外線反射材料としては、赤外線に対して波長選択反射性を有する材料を用いることができ、例えば、多層構造材料、赤外線反射顔料、コレステリック構造を有する液晶材料等を挙げることができる。赤外線反射材料が反射する赤外線の波長は特に限定されないが、通常、800nm〜2500nmである。
具体的には、コレステリック液晶の架橋体のような固定化されたコレステリック構造を有する多層液晶材料を用いて、赤外線反射層を形成することができる。
本発明に用いられる赤外線吸収材料としては、赤外線(800nm〜1100nm)を吸収できる材料であれば特に限定されるものではない。中でも、800nm〜1100nmの波長域を吸収し、かつ可視光域、すなわち380nm〜780nmの波長域では吸収が少なく十分な光線透過率を有する赤外線吸収材料が好ましい。
量子ドット(Quantum dot)材料は、半導体のナノメートルサイズの微粒子で、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的、電気的性質を示し、半導体ナノ粒子(Semiconductor Nanoparticle)とか、半導体ナノ結晶(Semiconductor Nanocrystal)とも呼ばれるものである。
本発明に用いられる量子ドット材料としては、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。例えば、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子と、ドーパントを有する半導体微粒子がある。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
本発明に用いられる磁性材料としては、核磁気共鳴(NMR)、核四極子共鳴(NQR)、電子スピン共鳴(ESR)、強磁性共鳴、反強磁性共鳴、フェリ磁性共鳴、磁壁共鳴、スピン波共鳴、スピンエコー共鳴等の磁気共鳴を示すものを用いることができる。
例えば、磁性材料を含有する識別情報付シートと、磁性材料を含有しない識別情報付シートとに、磁性材料が核磁気共鳴を示す周波数の電磁波を照射すると、磁性材料を含有する識別情報付シートでは共鳴吸収が起こり、磁性材料を含有しない識別情報付シートでは共鳴吸収が起こらないため、この共鳴吸収を観測することにより識別情報付シートの存在を認識することができ、真贋判定を行うことが可能となる。また、得られるNMRスペクトルでは、物質の構造やエネルギー状態等によりシグナルの位置、強度、半値幅、形状等が異なるため、使用する磁性材料の種類により識別することも可能である。
本発明に用いられる着色材料としては、顔料、染料を挙げることができる。
着色材料は、識別情報付シートに含有させることができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な顔料、染料を用いることができる。
本発明の識別情報付シートは、上記基底部および識別部を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要な構成を適宜選択して用いることが可能である。
なお、以下の説明において「識別情報付シートの表面に形成される」とは、直接形成される場合だけではなく、他の層を介して形成される場合を含む概念である。
本発明の識別情報付シートは、識別情報付シートの識別部側の面に金属層が形成されていることが好ましい。識別部側の面に金属層が形成されていることにより、光の反射により識別情報を視認しやすく、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることができるからである。特に、後述するハードコート層を形成する場合、ハードコート層も樹脂を用いて形成されるものであることから、識別情報付シートおよびハードコート層の屈折率の差が小さいために、識別情報付シートとハードコート層との界面が見えにくくなり、各々の凸部または凹部が有する識別情報を視認するのが困難になることが懸念されるが、識別部側の面に金属層が形成されていることで、識別情報の視認性を高めることが可能となる。
金属層の厚みとしては、識別部における各々の識別情報の視認性を向上させることができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば1nm〜250nm程度とすることができ、10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。金属層が厚すぎると、識別情報が損なわれてしまうおそれがあり、金属層が薄すぎると、金属層の形成が困難であったり、識別情報の視認性を高める効果が十分に得られなかったりする可能性があるからである。
本発明の識別情報付シートは上記識別情報付シートの少なくとも一方の表面に粘着層が形成されていることが好ましい。上記粘着層を有することにより、本発明の識別情報付シートを所望の物品に容易に貼付することが可能となる。
本発明における識別情報付シートが、上述した粘着層を有する場合、粘着層上に剥離層が配置されていてもよい。粘着層および剥離層が積層されていることにより、本発明の識別情報付シートの取り扱いが容易になるからである。
本発明の識別情報付シートは、偽造防止媒体に適用される際には、剥離層を剥がして用いられる。
本発明の識別情報付シートは識別情報付シートの識別部側とは反対側の基底部表面に識別情報付シート用基材が配置されていることが好ましい。識別情報付シート用基材を有することにより、識別情報付シートの強度を高めることが可能となる。
中でも、プライマー剤を用いた化学的処理であることが好ましい。プライマー剤は、透明基材製造時に処理されるものと、製造後の透明基材表面に処理されるものと、いずれの場合も好適である。プライマー剤で処理した透明基材としては、市販されているものを用いることができる。また、製造後の透明基材表面を処理するプライマー剤としては、上記偽造防止用インクと密着するものであればよい。
本発明においては、識別情報付シートの識別部側の面上にハードコート層が形成されていてもよい。これにより、識別部が有する凹凸形状を保護することが可能となり、各々の凸部または凹部が損傷することにより識別情報が消失してしまうことを防止することができる。
ハードコート層の形成方法は、公知の方法を用いることができる。
本発明においては、識別情報付シートの識別部側と反対側の表面にホログラム層が積層されていてもよい。ホログラム層により偽造防止効果を高めることができるからである。
ホログラム層としては公知のものを使用することができる。
本発明の識別情報付シートの製造方法としては、上述した構成を有する識別情報付シートを製造することができる方法であれば特に限定されず、例えば、後述する「B.識別情報付シートの製造方法」の項で説明する製造方法や、以下の製造方法を用いることができる。
識別情報付シートの製造方法としては、例えば上述した識別情報付シートの材料を含む樹脂層の表面に切削加工を施すことにより、上述した識別部における凹凸形状を形成して識別情報付シートを製造する方法を用いることができる。
また例えば上述した識別情報付シートの材料として感光性樹脂を用いた場合は、感光性樹脂層を形成し、感光性樹脂層の表面に階調露光を施し、現像することにより凹凸形状を有する識別部を形成して識別情報付シートを製造することができる。なお、階調露光および現像に関する条件等については、後述する「B.識別情報付シートの製造方法」の項で説明するのでここでの説明は省略する。
本発明の識別情報付シートは、偽造防止用途に好適に用いられ、そのままラベルとして使用することもでき、偽造防止媒体に適用することもできる。
本発明の識別情報付シートは、カードの偽造防止に好適に用いることができる。
このようなカードとしては、上記識別情報付シートが固定されているものであれば特に限定されるものではなく、カード表面に識別情報付シートが固定されていてもよいし、カードの内部に埋め込まれていてもよいが、カードの内部に埋め込まれていることが好ましい。カードを構成する層により識別情報付シートを保護することができ、識別情報付シートが有する識別情報を長期間にわたり良好な状態で保持することができるからである。以下、識別情報付シートが埋め込まれたカード(以下、埋め込みカードと称して説明する場合がある。)について説明する。
図11(a)、(b)に示すように、埋め込みカード100は、カード基材101と、カード基材101上に形成された第1樹脂層102と、第1樹脂層102上に配置された識別情報付シート10と、識別情報付シート10上に形成された第2樹脂層103とを有するものである。
一方、第2樹脂層は、光透過性を有するものである。第2樹脂層の光透過性としては、上述した識別情報付シート用基材が透明基材である場合の光透過性と同様とすることができる。第2樹脂層としては、例えば一般的な樹脂基材を用いることができる。
カード基材と第1樹脂層と識別情報付シートと第2樹脂層との積層方法としては、例えば、各層を接着層を介して積層する方法、各層を熱圧着により積層する方法等を挙げることができる。
次に、本発明の識別情報付シートの製造方法について説明する。
本発明の識別情報付シートの製造方法は、上述した「A.識別情報付シート」の項で説明した識別情報付シートを製造する製造方法であり、基体表面に、上記識別部の上記凸形状の反転形状を有する転写部を形成して原版を形成する原版形成工程と、樹脂を含む識別情報付シート形成用層を準備する識別情報付シート形成用層準備工程と、上記識別情報付シート形成用層表面と上記原版の上記転写部とを密着させることにより、上記識別情報付シート形成用層表面に上記識別部の上記凹凸形状を賦型する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記識別情報付シート形成用層を固化する工程、および、上記識別情報付シート形成用層から上記原版を剥離する工程を順不同に行い識別情報付シートを形成する固化・剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
本発明の識別情報付シートの製造方法は、上述した各工程を経ることにより識別情報付シート10を製造することができる。なお、識別情報付シートの各構成については図1(b)で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
以下、本発明の識別情報付シートの各工程について説明する。
本発明における原版形成工程は、基体の表面に、上記識別部の凹凸形状の反転形状を有する転写部を形成して原版を形成する工程である。
なお、識別部および識別情報については、上述した「A.識別情報付シート」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
エッチング法による原版の形成方法について説明する。この方法は、基体としてガラス基板を用い、ガラス基板の表面をエッチングして所望の反転形状のパターンを形成することにより、転写部を形成する方法である。
ガラス基板の表面をエッチングする方法については、一般的な方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
次に、フォトリソグラフィー法による原版の形成方法について説明する。この方法は、ガラス基板等の基材表面に、感光性樹脂層を形成し、露光を行った後、現像することにより、転写部を形成する方法である。
感光性樹脂層に階調露光を施す方法としては、感光性樹脂層に階調露光を施し、現像処理を行うことで、所定の立体形状を形成可能であれば特に限定されるものではないが、感光性樹脂層に描画装置により直接描画を行う方法、および、階調マスクを用いる方法が好ましい。複雑な立体形状も形成可能となるからである。
本発明において、所定の立体形状の他に所定の印を有する凸部または凹部を製造する場合にも、1回の直接描画を行うことで、立体形状および印を形成することができる。
ドットパターンのフォトマスクについては、特開2004−296590号公報を参照することができる。また、グレイマスクについては、特開2002−6473号公報を参照することができる。
本発明において、所定の立体形状の他に所定の印を各々の凸部または凹部に賦型する場合には、2種類の階調マスクを準備し、階調マスクを変えて2回露光することで、立体形状および印を形成することができる。
本工程で用いられる原版としては、上述した形成方法により形成された原版をそのまま用いてもよく、上記原版をマスター版とし、マスター版から複製された複製版を用いてもよい。なお、複製版の形成方法については公知の方法を用いることができる。
本発明における識別情報付シート形成用層形成工程は、樹脂を含む識別情報付シート形成用層を準備する工程である。
上記識別情報付シート形成用層表面と上記原版の上記転写部とを密着させることにより、上記識別情報付シート形成用層表面に上記識別部の凹凸形状を賦型する工程である。
本発明における固化・剥離工程は、上記賦型工程後に、上記識別情報付シート形成用層を固化する工程、および、上記識別情報付シート形成用層から上記原版を剥離する工程を順不同に行い識別情報付シートを形成する工程である。
本発明の識別情報付シートの製造方法は、上述した原版形成工程、識別情報付シート形成用層形成工程、賦型工程、固化・剥離工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜選択して追加することが可能である。
また、このような工程としては、識別情報付シートにおける識別部の各々の凹部または凸部に印を印刷する工程、識別情報付シートの識別部側表面に金属層を形成する工程、識別情報付シートの一方の表面に粘着層を形成する工程等を挙げることができる。
厚さ0.7mmのガラス基板上にポジ型レジスト(東京応化工業製LA900)をスピンコーターを用いて塗布し、130℃で10分間加熱することにより、塗膜を形成した。なお、塗膜の厚さについては、現像硬化後の最大膜厚が2μmとなるように調整した。
次に、厚さ0.7mmのガラス基板に、スペーサとして厚さ110μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り付けた。なお、PETフィルムはガラス基板を底面とし、PETフィルムが側面とする空間が形成されるように配置した。上記空間内にUV硬化性樹脂を充填して識別情報付シート形成用層を形成し、識別情報付シート形成用層と原版の転写部とが密着し、上述した空間を塞ぐようにして、原版を配置した。
10’ … 識別情報付シート形成用層
11 … 基底部
12 … 識別部
12a … 凸部
12b … 凹部
S … 識別情報
20 … 原版
21 … 基体
22 … 転写部
Claims (6)
- 基底部と、
前記基底部の表面に形成され、凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有し、
前記識別部の各々の前記凸部または前記凹部は、拡大することにより観察可能であり、かつ形状に基づいて識別することが可能な識別情報を有することを特徴とする識別情報付シート。 - 前記識別部が複数の前記凹凸形状を有することを特徴とする請求項1に記載の識別情報付シート。
- 前記識別情報付シートの前記識別部側に金属層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の識別情報付シート。
- 前記識別情報付シートの少なくとも一方の表面に粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の識別情報付シート。
- 基底部と、前記基底部の表面に形成され、拡大することにより観察可能な凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有し、前記識別部の各々の前記凸部または前記凹部は、形状に基づいて識別することが可能な識別情報を有する識別情報付シートを製造する識別情報付シートの製造方法であって、
基体表面に、前記識別部の前記凹凸形状の反転形状を有する転写部を形成して原版を形成する原版形成工程と、
樹脂を含む識別情報付シート形成用層を準備する識別情報付シート形成用層準備工程と、
前記識別情報付シート形成用層表面と前記原版の前記転写部とを密着させることにより、前記識別情報付シート形成用層表面に前記識別部の前記凹凸形状を賦型する賦型工程と、
前記賦型工程後に、前記識別情報付シート形成用層を固化する工程、および、前記識別情報付シート形成用層から前記原版を剥離する工程を順不同に行い識別情報付シートを形成する固化・剥離工程と
を有することを特徴とする識別情報付シートの製造方法。 - 前記識別情報付シート形成用層は紫外線硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項5に記載の識別情報付シートの製造方法。
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2010
- 2010-12-06 JP JP2010271914A patent/JP2012121177A/ja active Pending
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