JP4966257B2 - エナメル線の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ等に使用されるエナメル線の製造方法に関する。
モータを使用する機器は、エネルギー効率を高めるためにインバータによる可変速制御の採用が増えてきている。インバータは、2kHz程度から数10kHzの周波数で駆動され、例えば、PWMパルス毎にサージ電圧が発生する。サージ電圧とは、ケーブルの長さ、コンデンサの有無など周囲の電気系統の影響を受けてインバータの出力電圧よりも高い電圧が印加される現象である。
また、パルス波形は、急峻でモータ等の電気機器に使用されているエナメル線には部分放電が発生し易くなり、エナメル線の塗膜は部分放電による局部的な温度上昇や、発生したオゾンが複雑に作用して、エナメル塗膜の絶縁性を加速度的に劣化させて、機器の寿命を短くする。
このサージ電圧による耐久性を高めるには、エナメル塗膜を厚くしたり、モータのコイルにおける含浸樹脂を増量したりしてある程度の効果を挙げることができるが、占積率の増大によって効率が低下したり、経費が増大したりするというような問題があった。しかも希望する信頼性が得られない場合も多い。そのために、さらに、インバータのサージ電圧に対する特性の優れたエナメル線塗膜が必要とされている。
近年、このインバータサージに優れた特性を有するエナメル塗膜の開発が進められ、例えば、エセックス社の出願に係る特開平11-126517号公報には、微粒子のシリカや酸化クロムを塗膜層に10〜50重量%複合したエナメル線が開示されている。また、フィリップスダッジ社のカタログには、エナメル線を3層構造にして、中間層を、金属酸化物を混合したカンタムシールド層と称し、インバータサージに優れたエナメル線として紹介している。
さらに、日立電線株式会社の出願に係る特開2000-331539号公報及び特開2001-307557号公報、あるいは同社の発表による平成13年電気学会全国大会(5−004)の資料によれば、微粒子の金属酸化物やシリカを30〜100重量部、あるいはゾル化合物として3〜100重量部を複合したものが、インバータサージに優れたエナメル線として公表されている。
上述したように、インバータのサージ電圧に対して、その耐圧を向上させるために、無機質充填材料を複合したインバータサージに優れたエナメル線の開発が進められつつあり、無機質充填材料として、金属酸化物やシリカの微粒子を複合した二層構造、三層構造が提案されているが、これらいずれの提案においても、充填量としては樹脂100重量部に対して、30重量部以上でないと十分な特性が得られていないのが実情であった。
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、無機質充填材料の重量部を低く抑えて、インバータのサージ電圧に対する耐電圧寿命及び耐熱劣化寿命の向上を達成し得るエナメル線の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
攪拌容器および攪拌アームを有し、前記攪拌容器にエナメル樹脂と扁平で微細な無機質充填材料を入れて前記攪拌アームを回転させることにより予備混合されたエナメル塗膜材料を形成する工程と、
前記エナメル塗膜材料にボールを加え、前記撹拌アームの回転で衝突、せん断、圧縮、摩擦を含む複合作用で撹拌し、剪断力により均一混合する工程と、
前記エナメル塗膜材料が充填された樹脂槽を用意する工程と、
導線を前記樹脂槽に通して前記エナメル塗膜材料を付着させ、所定寸法のダイスを通し剪断力を与えて前記微細無機粒子に配向させつつ前記エナメル塗膜材料の付着量を調整した後、前記導線を加熱して前記エナメル塗膜材料を前記導線の表面に焼き付ける過程を複数回繰り返してなる塗膜形成工程と、
をそなえたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明方法により製造した、無機微粒子を複合したエナメル線においては、課電寿命及び熱劣化特性の大幅な向上が得られる。本発明方法に係るエナメル線の優れた特性は、特にインバータサージを受けるモータや電気部品に良好であり、工業上有用である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係るエナメル線の第1の構成例を示す縦断面図であり、全体が参照符号10で示されたエナメル線は、導電性の線材でなる導体11の周囲にエナメル塗膜12が塗着されている。このうち、エナメル塗膜12は、高分子化合物に扁平な無機質充填材料を均一に複合したものでなっている。このエナメル塗膜12について、さらに詳しく説明する。
エナメル線用樹脂に無機質充填材料を複合してなるエナメル線のV−t特性(耐電圧寿命特性)及び熱劣化寿命特性などを改善するには、無機質充填材料の形状やエナメル樹脂との濡れ性を良くしてボイドなどの欠陥を発生させることなく均一に複合することが重要である。
この第1の構成例では、充填材を積層構造とするために、樹脂との撹拌においてせん断力を加えて層剥離をさせる混合方法を採用している。この混合には,撹拌容器にエナメル樹脂と無機質充填材料に加えてメデイアと呼ばれるボールを入れ、撹拌アームの回転で衝突、せん断、圧縮、摩擦などの複合作用で撹拌するアトライタ(米国UNION PROCESS社)装置を主として使用した。一部、三本ロールも使用した。
一方、エナメル線の製造工程は、清浄された導体を最初に高分子化合物の樹脂槽を通して樹脂を付着させ、続いて、所定寸法のダイスで樹脂を絞って付着量を調整したのち、加熱炉に導いて付着した樹脂を硬化させる。以上の操作を複数回繰り返して、所定の塗膜厚さに調整してエナメル線として仕上げている。通常1回に塗布する厚さは、数ミクロン程度である。
従って、この第1の構成例によれば、導体表面に1回で塗布される樹脂の厚さは数ミクロンで、かつ無機質充填材料が扁平であることから、この無機質充填材料の大部分が導体表面に平行な向きに揃えられる。このため、インバータの急峻なサージ電圧によって発生する部分放電に対して、無機質充填材料の面方向で放電を受けるのでエナメル塗膜の劣化の進展が遅く耐電圧寿命を長くすることができる。
また、高分子化合物の熱劣化は、熱による分解と酸素の拡散による酸化劣化によって進展するが、上述したように、扁平な無機質充填材料の配向によって酸素の拡散を遅くするので酸化劣化を抑制し、熱劣化に対してその寿命を長くすることができる。
ここで、高分子化合物として、ポリビニールホルマールPVF、ポリエステルPE、ポリエステルイミドEI、ポリアミドイミドAI、ポリイミドPI等を用いる。これによって、エナメル線の耐部分放電性、耐熱性の向上が図られる。
また、無機質充填材料は層状粘土化合物であり、層状粘土化合物としては、スメクタイト群、マイカ群、バーミキュライト群からなる鉱物群から選択された少なくとも1種以上であれば良い。例えばスメクタイト群では、モンモリナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライト、ステブンサイト、ノントロナイト等が挙げられる。マイカ群としては、クロライト、フロゴバイト、レピドライト、マスコバイト、バイオタイト、パラゴナイト、マーガライト、テニオライト、テトラシリシックマイカ等が挙げられる。バーミキュライト群としては、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタヘドラツバーミキュライト等が上げられる。
これらの層状粘土化合物は、シリケート層が積層した構造をしており、エナメル線用高分子化合物との複合において、単なる撹拌ではシリケート層の剥離分散が難しく、ボールミル、アトライタ、ロールなどで撹拌分散することが望ましい。
このように撹拌分散したエナメル線用高分子化合物をエナメル塗膜として構成することで、上述した部分放電性、耐熱性の向上が図られる。
この場合、高分子化合物に添加する無機質充填材料の大きさは、1μm以下が必要で、特に好ましいのは0.1μm以下である。大きい粒子は、表面平滑性やエナメル線としての伸びに劣る。添加量は、エナメル線高分子化合物100重量部に対して0.5〜15重量部である。扁平な粒子なので、少ない重量で大きな効果が得られ、特に好ましくは、1〜10重量部である。
なお、上述した層状粘土化合物は、シリケート層を積層した構造を有しており、層間が金属陽イオンで結合されている。この金属陽イオンを有機化合物で置換することにより、エナメル線用高分子化合物との親和性が向上され、攪拌時の層剥離性が向上して分散を良くすることができる。このイオン交換の有機化合物としては、各種の四級アンモニウム塩が望ましい。
また、エナメル線用高分子化合物に複合する無機質充填材料として窒化ホウ素を用いることもできる。これによって、エナメル塗膜を低誘電率化するので、電界を緩和して部分放電の発生電圧を高くできる。また、熱伝導率が良くなるので、部分放電で生じた熱を周囲に拡散させ部分放電個所の温度を低下する働きもできる。
かくして、第1の構成例によれば、無機質充填材料の重量部を低く抑えて、インバータのサージ電圧に対する耐電圧寿命及び耐熱劣化寿命の向上を達成することができる。
図2は、本発明に係るエナメル線の第2の構成例を示す縦断面図である。同図において、エナメル線20は導体21の周囲にエナメル塗膜22が塗着されている。このうち、エナメル塗膜22は、導体21の周囲に直接塗着される第1塗膜23と、その上に積層された第2塗膜24とで構成されている。ここで、第1塗膜23として、ポリエステルイミド(EI)樹脂溶液に扁平で微細な無機質充填材料を均一に複合したものを塗着し、その上層の第2塗膜24としてポリアミドイミド(AI)を塗膜したものである。
この第2の構成例によれば、第1塗膜23としてのポリエステルイミド層は耐部分放電性、耐熱性の向上に寄与し、第2塗膜24としてのポリアミドイミド層は塗膜の伸びや滑り性がよいので、巻線時の傷が付き難く加工性に優れたものにすることができるという効果も得られる。
また、第2塗膜24としてのポリアミドイミド層に、扁平で微細な無機質充填材料を均一に複合することもできる。この場合、第2塗膜24の無機質充填材料の添加量を第1塗膜23の無機質充填材料の添加量よりも少なくすることによって、塗膜の伸びや滑り性が劣化せず、巻線時に傷付き難く加工性に優れている。またエナメル塗膜22は、耐部分放電性、耐熱性の向上ができるという効果もある。
さらに、導体21の周囲に、ポリエステルイミド樹脂溶液塗料でなる第1塗膜23を設け、この第1塗膜23上にポリアミドイミド塗膜に、高分子化合物に扁平で微細な無機質充填材料を複合した第2塗膜24を設けることもできる。
この第2の構成例によれば、二層構造の内層ポリエステルイミドに無機質充填材料を添加しないで、外層のアミドイミド層に無機質充填材料を添加しているが、これによっても耐部分放電性、耐熱性を向上させることができる。
かくして、本発明に係る第2の構成例によれば、無機質充填材料の重量部を低く抑えて、インバータのサージ電圧に対する耐電圧寿命及び耐熱劣化寿命の向上を達成することができる。
なお、上記第1及び第2の構成例中、無機質充填材料は、平均粒径が1μm以下の粉末で、エナメル線用高分子化合物100重量部に対して、0.5〜15重量部複合することにより、表面の平滑性や伸びを増加させ、しかも重量の少ない扁平な粒子で上述した効果が得られる。
なおまた、高分子化合物に無機質充填材料を複合するときに常用するカップリング材や分散性の添加剤などを併用することもできる。また、エナメル線の最表面に表面潤滑性を付与するパラフィン、ナイロン等を塗布するようにしても良い。
以下、本発明の実施例について説明する。この実施例は、エナメル塗膜12として、図3の図表に示すように、塗膜の種類、充填材の種類、平均粒径、添加量及び混合方法を種々に変えて15種類のエナメル線を作成し、これを構成例1〜15とすると共に、これらの構成例と比較するために、塗膜の種類の異なる4種類の従来のエナメル線を比較例1〜4として準備し、これらをJIS規格に従って試験を行った。以下、これらの構成例及び比較例のそれぞれについて詳しく説明することとする。
先ず、従来技術として説明したような、エナメル線用樹脂に無機質充填材料を複合してなるエナメル線のV−t特性(耐電圧寿命特性)及び熱劣化寿命特性などを改善するためには、無機質充填材料の形状やエナメル樹脂との濡れ性を良くしてボイドなどの欠陥を発生させることなく均一に複合することが重要である。
この構成例では、充填材が積層形態であるために、樹脂との撹拌においてせん断力を加えて層剥離をさせる混合方法が重要である。この混合には,撹拌容器にエナメル樹脂と無機質充填材料に加えメデイアと呼ばれるボールを入れ、撹拌アームの回転で衝突、せん断、圧縮、摩擦などの複合作用で撹拌するアトライタ(米国 UNION PROCESS社)装置を主として使用した。一部、三本ロールも使用した。
このように、エナメル線用塗料に所定量の無機質充填材料を秤量して、充分に撹拌して均一に複合した塗料をエナメル線の焼き付け炉で塗布焼付けを行った。ここで、実施例及び比較例はどちらも導体として、直径φが1.0mmの銅線を使用している。そして、この導体に塗着する皮膜厚を種々に変えて、その可とう性、密着性、V−t特性、熱劣化特性を試験し、その評価結果を図4の図表で示す。この場合の試験法は、基本的にはJIS C3003に準じた。
試験法のうち、可とう性は、自己径巻付け及び10%伸張後の自己径巻付けで◎はキレツの発生が無く、〇は10%伸張後の自己径巻付けでキレツ5個以内、△は10%伸張後の自己径巻付けでキレツが入っているが自己径巻付けではキレツが無い、×は自己径巻付けでキレツが入っているレベルを表している。密着性は20%急激伸張によって生じるキレツで、◎は無し、〇は3個以内、△は10個以内、×は10個以上である。
V−t特性は、撚線に2kV、10kHzの高周波電圧を課電して破壊するまでの時間を「分」で表している。また熱劣化特性は、所定温度に調整した恒温槽で熱劣化をして、室温にて短時間破壊電圧を測定した結果を初期値と比較した残存率で表している。エナメル線の材料によって耐熱性が異なるため、熱劣化温度が異なっている。
以下、図4の図表に従って考察してみる。
(比較例1)
比較例1は、通常のホルマール線で膜厚が34μmで、課電寿命は38分、200℃168時間の熱劣化の残率は5%であった。
(比較例2)
比較例2は、ポリアミドイミド線で膜厚が33μmで、課電寿命は68分、300℃168時間の熱劣化の残率は53%であった。
(比較例3)
比較例3は、ポリエステルイミド線で膜厚が36μmで、課電寿命は412分、
280℃168時間の熱劣化の残率は47%であった。
(比較例4)
比較例4は、内層にポリエステルイミド、外層にポリアミドイミドの二重被覆線で前者が30μm、後者が5μmで、課電寿命は365分、300℃48時間の熱劣化の残率は7%であった。
以上の比較例は、可とう性や密着性については総て良好であった。
(構成例1)
構成例1は、ホルマール樹脂溶液に無機質充填材料としてコープケミカル(株)の合成スメクタイトSTN、平均粒子径50ナノメータ(nm)を0.5重量部加えて、前述したアトライタ撹拌機で1分間に300回転の速度で6時間撹拌した。この複合樹脂溶液を、直径1mmの導線に塗布焼き付けて膜厚33μmに調整した。可とう性、密着性は良好で、課電寿命は50分と比較例1と比べ30%向上している。
(構成例2)
構成例2は、構成例1と同様に、充填量を2重量部添加して膜厚33μmに調整した。可とう性、密着性は良好で、課電寿命は120分で比較例1と比べ3倍に向上している。
(構成例3)
構成例3は、構成例1と同様に、充填量を5重量部添加して膜厚33μmに調整した。可とう性、密着性は良好で、課電寿命は661分で比較例1と比べ約17倍に向上している。熱劣化は200℃168時間において破壊電圧の残率が54%と高く、比較例1と比べて耐熱性が大幅に向上している。
(構成例4)
構成例4は、構成例1と同様に、充填量を5重量部添加して撹拌し、ロール径20cmの3本ロールで5回混練して、塗布焼き付け膜厚33μmに調整してエナメル線とした。可とう性、密着性は良好で、課電寿命は4885分で比較例1と比べ約128倍に向上、熱劣化は200℃168時間において破壊電圧の残率が43%と高く耐熱性が大幅に向上している。構成例3と同一の添加量で混練方式だけが変わっているが、ロールの場合せん断力が強く働くので層状の無機質充填材料が充分に層剥離した結果、構成例3に比べても課電寿命が約7倍も向上している。
(構成例5)
構成例5は、構成例1と同様に、充填量を10重量部添加して膜厚35μmに調整した。可とう性、密着性はキレツが入り明らかに特性低下をきたしている。但し、課電寿命は5600分で比較例1と比べ約147倍に向上している。
(構成例6)
構成例6は、構成例1と同様に、充填量を10重量部添加、ロールで混練して膜厚33μmに調整した。可とう性、密着性とも僅かにキレツが入った。課電寿命は28350分で比較例1と比べ約746倍に、同一添加量の構成例5に比べても約5倍向上している。熱劣化は200℃168時間において破壊電圧の残率が42%と高く耐熱性が大幅に向上している。
(構成例7)
構成例7は、構成例1と同様に、充填量を20重量部添加して膜厚35μmに調整した。エナメル線の外観もつやが無く劣り、可とう性、密着性ともにキレツ多数で大幅に劣っている。
(構成例8)
構成例8は、ホルマール樹脂に充填材としてスメクタイトSWN、粒径1.8μmを5重量部添加して、アトライタで6時間撹拌混合して、膜厚35μmに調整した。可とう性、密着性は、キレツが入り明らかに特性低下をきたしている。課電寿命は、365分で添加5重量部の内では最も劣る特性であった。粒径が大きいと、5μm程度の塗膜を塗り重ねるエナメル線においては良い特性が得られない。
(構成例9)
構成例9は、ホルマール樹脂に充填材としてスメクタイトSWN、粒径5μmを5重量部添加して、アトライタで6時間撹拌混合して、膜厚34μmに調整した。可とう性、密着性は、キレツが入り明らかに特性低下をきたしている。
(構成例10)
構成例10では、ポリアミドイミド樹脂溶液にスメクタイトSTNを5重量部添加し、アトライタで6時間撹拌混合して、膜厚33μmに調整した。可とう性、密着性は良好で、課電寿命は854分で比較例2と比べ約12倍に向上している。熱劣化は、300℃168時間において破壊電圧の残率が68%と高く、比較例2と比べて耐熱性が大幅に向上している。
(構成例11)
構成例11では、ポリエステルイミド樹脂溶液にスメクタイトSTNを5重量部添加し、アトライタで6時間撹拌混合して、膜厚36μmに調整した。可とう性、密着性は、僅かにキレ、280℃240時間において破壊電圧の残率が64%と高く、比較例3と比べて耐熱性が大幅に向上している。
(構成例12)
構成例12では、ポリエステルイミド樹脂溶液にスメクタイトSTNを5重量部添加し、アトライタで6時間撹拌混合して、膜厚30μmに調整した。その上層に、無添加のポリアミドイミドを5μm塗布して二重被覆エナメル線に仕上げた。可とう性、密着性は、良好である。ポリアミドイミド層が、キレツの発生を抑制している。課電寿命は、60000分以上で非常に優れている。
(構成例13)
構成例13では、ポリエステルイミド樹脂溶液にスメクタイトSTNを5重量部添加し、アトライタで6時間撹拌混合して、膜厚30μmに調整した。その上層に、スメクタイトSTNを3重量部添加したポリアミドイミドを5μm塗布して、二重被覆エナメル線に仕上げた。可とう性は良好であるが、密着性は若干低下している。課電寿命は、60000分以上で非常に優れている。
(構成例14)
構成例14では、無添加のポリエステルイミドを内層に膜厚25μm塗布、その上層にスメクタイトSTNを5重量部添加したポリアミドイミドを10μm塗布して、二重被覆エナメル線に仕上げた。可とう性、密着性は良好で、課電寿命は、6500分で比較例4と比べ約18倍に向上している。耐熱性は、300℃48時間で残率27%であり、比較例4と比べ優れている。
(構成例15)
構成例15では、ポリエステルイミド樹脂溶液に水島合金鉄(株)製のチッ化ホウ素FSを5重量部複合して、アトライタで1分間に250回転の速度で6時間撹拌してエナメル線用塗料として仕上げ、直径1mmの導線に塗布焼き付けてエナメル線とした。撚線での部分放電開始電圧は、周波数50Hzで650V、比較例3は600V、消滅電圧は520V、比較例3は430Vで僅かに優れている。課電寿命時間は、約1.5倍に延びている。
上記実施形態では、エナメル線用高分子化合物に扁平で微細な無機質充填材料として、チッ化ホウ素や層状粘土化合物を複合することによって、V−t特性(課電寿命時間)が大幅に向上している。特に、ポリエステルイミドに複合したときに顕著な特性を得ている。絶縁破壊電圧の残率で求めた熱劣化特性においても、扁平な無機質充填材料がエナメル塗膜内への酸素の拡散を抑制するので大幅な向上を図ることができる。
なお、上記構成例のスメクタイトの代わりに、マイカやバーミキュライト等の鉱物群を使用した場合にも略同程度の耐部分放電性、耐熱性が得られる。
本発明に係るエナメル線の第1の構成例を示す縦断面図。 本発明に係るエナメル線の第2の構成例を示す縦断面図。 本発明に係るエナメル線の各種の構成例と比較例の素成、混合方法等を示した図表。 図3に示した構成例と比較例の特性試験に基づく評価結果を示した図表。
符号の説明
10,20 エナメル線
11,21 導体
12,22 エナメル塗膜
23 第1塗膜
24 第2塗膜

Claims (6)

  1. 攪拌容器および攪拌アームを有し、前記攪拌容器にエナメル樹脂と扁平で微細な無機質充填材料を入れて前記攪拌アームを回転させることにより予備混合されたエナメル塗膜材料を形成する工程と、
    前記エナメル塗膜材料にボールを加え、前記撹拌アームの回転で衝突、せん断、圧縮、摩擦を含む複合作用で撹拌し、剪断力により均一混合する工程と、
    前記エナメル塗膜材料が充填された樹脂槽を用意する工程と、
    導線を前記樹脂槽に通して前記エナメル塗膜材料を付着させ、所定寸法のダイスを通し剪断力を与えて前記微細無機粒子に配向させつつ前記エナメル塗膜材料の付着量を調整した後、前記導線を加熱して前記エナメル塗膜材料を前記導線の表面に焼き付ける過程を複数回繰り返してなる塗膜形成工程と、
    をそなえたエナメル線の製造方法。
  2. 請求項1記載のエナメル線の製造方法において、
    前記無機質充填材料は、層状粘土化合物であるエナメル線の製造方法。
  3. 請求項2記載のエナメル線の製造方法において、
    前記無機質充填材料は、大きさが0.1μ以下であるエナメル線の製造方法。
  4. 請求項2記載のエナメル線の製造方法において、
    前記無機質充填材料の添加量は、1ないし10重量部であるエナメル線の製造方法。
  5. 請求項2記載のエナメル線の製造方法において、
    前記層状粘土化合物は、層間を結合する金属陽イオンを有機化合物で置換したものであるエナメル線の製造方法。
  6. 請求項1記載のエナメル線の製造方法において、
    前記塗膜形成工程は、前記エナメル塗膜材料として、材料、性質の異なる複数種類のものを用いるエナメル線の製造方法。
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