JP4965030B2 - 多部材を有する張り椅子家具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、張り椅子家具(upholstered furniture)に関し、底部フレームと少なくとも2つの隣接する坐部クッション体と背部クッション体とを有し、各背部クッション体は隣接する坐部クッション体の1つに配置されており、また複数の背部クッション体を有し、その1つがそれぞれ1つの坐部クッション体に配置され、少なくとも1つの坐部クッション体は移動可能に構成されている張り椅子家具に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種張り椅子家具、又はなが椅子ともいう,の使用者は、座部に然るべき姿勢で坐るが、その場合,使用者の下肢部分は多かれ少なかれ垂直方向に延び、またその足は床上に置かれる。しかしこのような坐り姿勢は或る時間経過すれば,快適さが感じられなくなる。
【0003】
より快適でくつろげるのは横たわりの姿勢であり、この姿勢では脚部を延ばし、また多かれ少なかれ水平方向に休ませることになるが、そのために足は屡々,なが椅子の前に置かれた小テーブルや足台の上に載せられる。しかしながら,これは、なが椅子に加えて,さらにもう一品の家具の提供を余儀なくされることになる。
【0004】
調整可能な張り椅子家具は、従来からも知られているが、この種家具において複数の座部を有するなが椅子は未だ提供されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、最小の仕事量と最小の要求スペースをもって,坐り形態から横たわり形態に変えることができる多部材を有する張り椅子家具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
底部フレームと少なくとも2つの隣接する坐部クッション体と背部クッション体とを有し、各背部クッション体は坐部クッション体の1つに配置される多部材を有する張り椅子家具において、上記底部フレームに対し、各坐部クッション体を案内する少なくとも1つの案内装置を備え、それによって各坐部クッション体は、底部フレームに対し水平面で回動可能であり、また同時に,上記底部フレームに対して直線的に移動可能であって、一方、各坐部クッション体及び全ての背部クッション体は静止して保留されることを特徴とする張り椅子家具である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、2形態(two−piece)の長椅子として構成されている多部材を有する張り椅子家具を示している。第1の座部クッション体2と上記第1の座部クッション体2に隣接する第2のクッション体3は、底部フレーム1上に配置されており、この底部フレームは図面において単に支持脚として示されている。第1の背部クッション体4は第1の座部クッション体2に配備され、第2の背部クッション体5は第2の座部クッション体3に配備されている。2つの背部クッション体4,5は底部フレーム1に対し静止して配置されている。
【0009】
図1において、第1の座部クッション体2は坐り形態、即ち第1の目的位置として図示されており、回動可能なアームレスト6が座部クッション体2に回動可能に設けられており、このアームレストは坐り形態においては上方回動位置をとる。
【0010】
この第1の座部クッション体2が、第2の目的位置である坐り形態をとるには、水平面内で90°回動することによってなされる。図1について言えば,第1の座部クッション体2の回動運動は時計方向に行われる。
【0011】
第2の座部クッション体は、横たわり形態に回動した位置として図示されており、これは第2の目的位置として確定されている。そのために,第2の座部クッション体は坐り形態位置から図示の位置まで時計方向に90°回動し、それによってアームレスト7は予め下方に回動或いは折曲げられており、フットレストとしての機能を果たしている。従って,第2の座部クッション体3は、図示の位置から後に回動することができ、また、そのアームレスト7は上方に回動することができ、それによって人が坐れるところの2座席のなが椅子が形成される。
【0012】
図1から明らかなように、2つの座部クッション体2,3を静止回動軸のまわりに単に回動させることは、それらが密接して並んでいるため不可能である。回動運動を行わせるために,回動可能な座部クッション体2,3は、それぞれ底部フレーム上に案内装置を介して取付けられており、その案内装置によって,水平面内で行われる回動運動は、その回動運動に重ねて直線的な移動運動に確実に変換される。
【0013】
これらの動きに対する説明は図3の(A)乃至(G)に示されている。
【0014】
図3Aは、図1における第1の座部クッション体2と同じ坐り形態をとる2つの座部クッション体2,3を示す。従って,両者は第1の目的位置をとり、アームレスト6,7は既に下方に折り返されている。
【0015】
第1の座部クッション体2は、図1からも分かるように、第1の目的位置にあり、第2座部クッション体3は、図3の(A)に示される第1の目的位置から図3Gにおける第2の目的位置に回動しようとしている。第1の座部クッション体2は、隣接する第2の座部クッション体3の側縁部分10に当接する側縁部分9を有する。第1の座部クッション体2の側縁部分9は、図示の坐り形態における前縁部分11と繋がっており、これら2つの縁部分9,11間にある偶部は、符号12で示されている。同様に,第2座部クッション体3の側縁部分10は、前縁部分13と繋がっており、これら2つの縁部分10,13間にある偶部は、符号14で示されている。
【0016】
第2の座部クッション体3が、図3の(A)における位置から図3の(B)における位置に回動する時、第2の座部クッション体3は、後述する案内装置8によって案内され、前記偶部14は、静止状態にある第1の座部クッション体2の側縁部分9に一致する直線ライン15に沿って移動し、それによって第2の座部クッション体3の回動時,上記偶部14は第1の座部クッション体2の側縁部分9に沿って通過摺動する。
【0017】
そして、第2の座部クッション体3が図3に示される第2の目的位置に到達すると、それは横たわり形態位置をとる。この状態において、上記座部クッション体3の(元の)前縁部分13は、回動していない第1の座部クッション体2、即ち,未だ,図3(A)における第1目的位置にある座部クッション体2の側縁部分9に当接する。
【0018】
なお、第1の座部クッション体2も又、回動できることが望ましく、それによってその偶部12も又,直線ライン15に沿って移動する。又、第1の座部クッション体2が第2の目的位置に位置すると、2つの座部クッション体2,3における2つの(元の)前縁部分11,13は互いに接触する。
【0019】
背部クッション体4,5は回動運動に参画しないことは注意すべきことである。これらは底部フレームに固設されている。
【0020】
既に述べた回動運動を実行するためには、各偶部12,14が、直線ライン15に沿って移動する間、各座部クッション体2,3は、図2に基き述べたように案内装置8によってガイドされる。
【0021】
この案内装置8は、各座部クッション体2,3に夫々接続される上部プレート16を具備し、又,案内装置8はさらに底部フレーム1に設けられた下部プレート17を具備する。
【0022】
上部プレート16は、概略正方形の外郭を有し、上記下部プレート17上に滑り部材によって支持されており、図2にはその3つの滑り部材18,19,20が示されている。透孔2が上部プレートのセンターに設けられている。さらに、2つのくぼみ23,24が上部プレートの一側に形成されている。
【0023】
上記下部プレート17はスロット25を備えており、このスロット25にはスライダがセットされている。スライダはその底部にディスク26を有し、上記ディスク上には、走行部材28を支持する離隔部材27が配置されており、走行部材はスロット25内を走行する。さらに、2つの締付けペグ29,30が上記離隔部材27に取り付けられている。
【0024】
上部プレート16の透孔21に貫挿されるねじ付きボルト31は、離隔部材27及びディスク26を通じて延出し、最終的にはロックナット32によって締め付け固定されている。
【0025】
かくして、上部プレート16は、スロット25に沿って直線的に移動可能になっており、また同時に下部プレート17に対し回動可能になっている。
【0026】
係合ピン33は、下部プレート17から突出し、上部プレート16の一側に設けられたくぼみ23,24と協同して上部プレート16の回動運動における目的位置を確定する。図面から明らかなように,上部プレート16における図示の位置において、上記係合ピン33は上記くぼみ24に係合し、又,他の目的位置において、係合ピン33はくぼみ23に係合する。
【0027】
コントロールアーム34は、その端部においてピン35を介して下部プレート17に回動自在に取り付けられており、その取付け位置は、スロット25における長手方向の中心線と一線に並ぶ位置にある。この位置、即ち,ホール43は、下部プレート17の側縁に隣接して設けられており、そのために,ベアリングブッシュ36及びロックナット37が図示されている。
【0028】
上記コントロールアーム34は、その対向する端部において,スライド部材19を介して上部プレート16に回動自在に取り付けられており、その取付け位置は、スロット25における長手方向の中心線から外れている。
【0029】
ボールピン38はコントロールアーム34の下方に突出し、弓状開口部39を貫通し、ガス圧スプリング40の一端に取付けられている。このガス圧スプリング40は、その対向する端部において、下部プレート17のホール42に嵌め込まれるピン41を介して回動自在に取り付けられている。上記ホール42は、スロット25の長手方向中心線と一線に並ぶ位置にあり、さらに、コントロールアーム34のピン35を受容するホール43も又、上記長手方向中心線と一線に並ぶ位置にある。
【0030】
上記案内装置の作動は以下の通りである。
【0031】
上部プレート16(座部クッション体に取付けられている)が、図2に基づき,反時計方向に回動すると、この動きはコントロールアーム34を枢動させて、上記プレート16をスロット25沿いに押しやる。そして、この上部プレート16の回動運動は、コントロールアーム34を介して,上記プレート16を確実に直線的に移動させ、この動きは上記回動運動に重ねてなされる。これは図3の(A)−(G)に示すように、坐部クッション体が前記直線ライン15から離れて移動する、しかしてコントロール装置の各部の大きさが一致するようにある程度正確に選択することが重要であることを意味する。坐部クッション体3の隅部14は、上記坐部クッション体の如何なる回動位置においても前記直線ライン15に保持される。
【0032】
上部プレート16の回動運動の第一段階において、ガス圧スプリング40はその弾性復元力に抗して付勢される。
【0033】
ガス圧スプリング40は、上部プレート16が45°回動した時、最大の緊張状態,即ち圧縮状態となる。この位置は回動運動の死点位置に相当する。さらに45°の位置を超えて回動すると、坐部クッション体とともに上部プレート16は、ガス圧スプリング40によって他の目的位置へと押しやられ、その位置に保持される。このことは使用者にとって極めて有利であり、なぜならば使用者は45°よりも少ない角度だけ坐部クッション体を回動させればよく、又その後のさらなる回動運動はそれ自身によって行われるからである。
【0034】
案内装置における作動状態は図3の(A)−(G)によって明確に示されている。
【0035】
図3の(A)は目的位置、即ち坐り形態をとる座部クッション体3の初期の位置を示している。座部クッション体3が上記図3の(A)の位置から(B)の位置に回動すると、上部プレート16がコントロールアーム34によってスロット25内を移動するが、偶部14は座部クッション体3の回動にも拘わらず直線ライン上を維持する。ガス圧スプリング40は緊張状態,即ちその弾性復元力に抗して圧縮される。図3の(B)の位置から図3の(C)の位置に引き続き回動すると、上記プレート16はさらにスロット25内を移動し、ガス圧スプリング40はさらになお圧縮される。
【0036】
そして、上記位置が図3の(D)の位置、即ち45°の位置に達する。この位置において,スロット25、コントロールアーム34及びガス圧スプリング40は、互いに一直線に整列し、またガス圧スプリングは最大の緊張状態にある。
【0037】
座部クッション体3が、図3の(E)に示される方向にさらに回動すると、上部プレート16は、今度は,コントロールアーム34によってスロット25沿いに引き下げされるが、偶部14は、なお直線ライン15に沿って移動する。しかしながら,この移動には、ガス圧スプリング40の弾性復元力がコントロールアーム34に作用するので、さらに手動による力は要しない。従って、座部クッション体3は、図3の(F)に示される位置から図3の(G)に示される位置まで移動し、そして座部クッション体3は横たわり形態となる。上部プレート16におけるくぼみ23は、ガス圧スプリングにより係合ピン33に押圧されて,その状態に保持され、座部クッション体3は上記位置に拘束される。
【0038】
座部クッション体3が図3の(G)に示される横たわり形態の位置から図3の(A)に示される坐り形態の位置に回動する際には、案内装置8における各部の動作は、前の回動時になされたと同じ動作を持って作動する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である2形態の張り椅子家具の斜視図。
【図2】張り椅子家具の座部クッション体における案内装置の構成を示す分解組立図。
【図3】案内装置の作動状態をA〜Gに亘って概略的に示す説明図。
【符号の説明】
1…底部フレーム、2,3…座部クッション体、4,5…背部クッション体、8…案内装置、9,10…側縁部分、11…前縁部分、12…隅部、13…前縁部分、14…隅部、15…直線ライン、16…上部プレート、17…下部プレート、21…透孔、23,24…くぼみ、25…スロット、33…係合ピン、34…コントロールアーム、40…ガス圧スプリング。

Claims (9)

  1. 底部フレーム(1)と少なくとも2つの隣接する坐部クッション体(2,3)と背部クッション体(4,5)とを有し、各背部クッション体(4,5)は上記坐部クッション体(2,3)の1つに配置され、上記底部フレーム(1)に対し、各坐部クッション体(2,3)を案内する少なくとも1つの案内装置(8)を備え、それによって各坐部クッション体(2,3)は、底部フレーム(1)に対し水平面で回動可能であり、また同時に,上記底部フレーム(1)に対して直線的に移動可能であって、一方,各坐部クッション体(3,2)及び全ての背部クッション体(4,5)は静止して保持される多部材を有する張り椅子家具であって、
    各案内装置(8)は、移動可能な座部クッション体(2,3)に固設された上部プレート(16)と前記底部フレーム(1)に固設された下部プレート(17)とを備え、下部プレート(17)はスロット(25)を有し、上記スロット(25)内で,上記上部プレート(16)が水平方向に移動運動し、かつ回動運動するように支持されたスライダ(27,28)によって案内され、
    前記案内装置(8)は、第1の回動ポイントである第1の端部において前記上部プレート(16)に回動自在に設けられ、上記第1の端部に対向し、前記スライダ(27,28)から離れた位置にあり、そして第2回動ポイントである第2の端部において前記下部プレート(17)に回動自在に設けられているコントロールアーム(34)を備えている多部材を有する張り椅子家具。
  2. それぞれ移動可能に支持される坐部クッション体(2,3)は、案内装置(8)によって底部フレーム(1)上に接続され、案内装置(8)は、各坐部クッション体(2,3)の水平面における回動運動を、同時に重ねて直線的移動運動に変換するように構成されている請求項1に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  3. それぞれ移動可能な坐部クッション体(2,3)は、2つの目的位置間を90°の角度で回動するように支持されており、第1の目的位置において,側縁部分に対し横方向に延びる前縁部分(11,13)に隣接する側縁部分(9,10)を有し、上記側縁部分(9,10)と前縁部分(11,13)はその間に隅部(12,14)を特定し、さらに案内装置(8)は、各坐部クッション体(2,3)の移動時、上記隅部(12,14)を直線ライン(15)に沿って案内するように構成されている請求項2に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  4. 2つの隣接する坐部クッション体(2,3)を有し、前記坐部クッション体(2,3)は、第1の目的位置において,それらの側縁部分(9,10)に沿って互いに接触し、第2の目的位置に位置する坐部クッション体(3)は、第1の目的位置に位置する坐部クッション体(2)の側縁部分(9)と、その前縁部分(13)とが接触する請求項3に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  5. 前記2つの坐部クッション体(2,3)は、それらの第2の目的位置において,それらの前縁部分(11,13)に沿って互いに接触する請求項4に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  6. 2つの隣接する移動可能な坐部クッション体(2,3)を有し、前記坐部クッション体(2,3)の各外側壁部分は、折曲げ可能なアームレスト(6,7)を備え、各坐部クッション体の第1の目的位置において,それぞれ上方に折曲げられ、第2の目的位置においては,下方に折曲げられてフットレストを形成する請求項4に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  7. 一端部においてコントロールアーム(34)に回動自在に設けられ、第1のその端部に対向する第2の端部において前記下部プレート(17)に回動自在に設けられている押圧スプリング装置(40)をさらに備え、各座部クッション体(2,3)を有する前記上部プレート(16)が各目的位置において付勢され、その目的位置に弾性的に拘束するばね力を保持する請求項1に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  8. 前記第2回動ポイントが、下部プレートの縁部にあって,前記スロット(25)の中心線と一線に並ぶ位置にあり、前記押圧スプリング装置(40)が一端部において前記コントロールアーム(34)に回動自在に設けられ、上記一端部に対向する端部において前記下部プレート(17)に回動自在に設けられており、上記一端部に対向する端部は前記スロット(25)の中心線と一線に並ぶ位置にある請求項7に記載の多部材を有する張り椅子家具。
  9. 前記上部プレート(16)は略正方形の外郭を有し、その4つの隅部に、前記下部プレ−ト(17)に支持されるように滑り部材(18,19,20)を備え、さらに上部プレート(16)の一側(22)には2つのくぼみ(23,24)が形成され、下部プレート(17)は係合ピン(33)を備えており、上記くぼみ(23,24)が、上記係合ピン(33)と協同し、座部クッション体(2,3)を有する上部プレート(16)の運動の各目的位置を設定する請求項8に記載の多部材を有する張り椅子家具。
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