JP4964715B2 - トリム屑飛出し検出装置及びその検出方法 - Google Patents
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Description
このトリミング作業において、トリマーから順次送り出されるトリム屑は、処理ラインへと送られ、例えば、チョッパのような連続せん断機によって一定長さに切断され、又はボーラのような巻取機によって巻取られる。このように処理することで、トリム屑のハンドリング性を良好な状態にした後、これをコンベア等によって系外に搬出している。
このように、トリム屑が処理ラインから外れた場合には、直ちに鋼板の製造ラインを停止し、トリマー付近で発生した撓んだトリム屑を除去することが必要である。このとき、鋼板の製造ラインを停止してトリム屑を除去する作業を行わなければ、上流側から流れてくる鋼板のトリミング作業に支障が生じ、また、トリマー付近に存在するトリム屑のために、製品となる鋼板に疵が発生する等の問題が生じる。
しかし、このような作業員による監視は、多くの手間を要し、必ずしも確実な監視が行われているとは限らず、異常を発見してから製造ラインの停止操作を行うまでに時間を要するため、製造ラインの復旧作業を迅速に行うことができない等の問題があった。
そこで、トリミング作業の異常発生を自動的に検出する手段について、これまで種々の工夫が試みられ、以下に示す提案がなされていた。
また、特許文献2には、トリミング作業の際に異常が発生した場合に、トリム屑の巻取機又はせん断機の駆動系の運転状態が変化することを利用して、駆動系の負荷の変化を電気信号として取出し、トリム屑の異常の有無を判定する方法が開示されている。
そして、特許文献3、4には、回転刃の出側近傍における鋼板の搬送ラインの上方及び下方、あるいはトリム屑の処理ピット内に光学センサーを設置し、各光学センサーからの反射光を遮る異物(トリム屑)が検出された場合に、トリミング作業に異常が発生したと判定する装置と方法が開示されている。
特許文献1の装置では、信号の検出及び処理に複雑な回路構成を必要とし、また鋼帯の移送速度の検出値と回転刃の周速演算値との一致又は不一致の判定基準が明確でなく、トリミング作業の判定結果の信頼性に問題がある。
また、特許文献2の方法では、検出される電気信号にノイズが発生し易いため、異常信号を検出しても、それがトリミング作業による異常かノイズによる異常かの判別が困難な場合が多く、信頼性に問題がある。
そして、特許文献3、4の装置と方法では、光学センサーを使用しているため、光学センサーの受光素子の汚損による検出感度の劣化は避けられず、定期的なメンテナンスを要する。また、光学センサーの検出範囲により、設置箇所の制約を受け易い問題もある。特に、特許文献3の方法を、トリム屑を処理ピット内に落とす方式に適用した場合、トリム屑の落下の軌道が必ずしも一つに決まらないため、トリム屑の異常検出が困難な場合がある。
更に、特許文献1〜4においては、いずれも、トリム屑の異常発生を検出するだけのものであるため、トリム屑に異常が発生した後に、これが原因となる二次トラブルの発生を防止する対策についての検討がなされていない。
前記トリマーの直後から下流側へ1mの範囲内で、しかも前記薄鋼板の厚み方向両側に該薄鋼板とは間隔を有して配置された金属検出器を有し、
前記金属検出器は常時電流を流す金属製の棒部材であり、該棒部材に前記トリム屑が接触した場合に該トリム屑を検知する。
第1の発明に係るトリム屑飛出し検出装置において、更に、前記金属検出器が前記トリム屑を検知した場合に警報が鳴る警報出力手段が設けられていることが好ましい。
また、金属検出器の配置位置を、トリマーの直後から下流側へ1mの範囲内とするので、トリム屑に異常が発生した際に、その異常を確実に検知でき、しかもその後の作業を迅速に実施できる領域に、金属検出器を配置できる。これにより、トリム屑の異常を瞬時に確認でき、これに伴う製造ラインの復旧を従来よりも早期かつ容易にできる。
そして、金属検出器の配置位置を、薄鋼板の厚み方向両側とすることで、トリム屑の移動方向に影響されることなく、トリム屑の異常を容易に検知できる。これにより、トリム屑の異常発生に伴う二次トラブルについても、未然に防止できる。
また、このトリム屑飛出し検出装置は、トリム屑を直接接触させて検知する金属製の棒部材を金属検出器として使用するので、従来の光学式のような間接的な方法とは異なり、トリム屑の飛出しを直接検知でき、その検知精度を高めることができる。なお、従来の光学式の検出方法では、検出器の汚損により検出感度の劣化が発生するが、直接接触式の金属検出器を使用することにより、日常のメンテナンスも不要であり、作業性が良好である。
請求項4記載のトリム屑飛出し検出装置は、トリム屑の異常を検知する金属検出器と、トリマー周辺の各種処理装置及び搬送ラインとを連動させることにより、トリム屑の異常発生時の二次トラブルと、復旧のための手間を最小限に抑えることができる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るトリム屑飛出し検出装置の説明図、図2は同トリム屑飛出し検出装置の回路構成の説明図である。
この薄鋼板12は、多数のローラ(図示しない)を備える搬送ライン11に沿って搬送されながら、各種処理装置により、所定の処理が施された後、ロール状に巻かれ製品として出荷される。
この各種処理装置とは、従来公知のものであり、例えば、シャー、溶接機、ルーパー、加熱炉、均熱炉、過時効室(以上、図示しない)、トリマー13、ブライドルロール18、及びコイルカー(図示しない)である。これらの各種処理装置が、薄鋼板12の通板方向に渡って、搬送ライン11の上流側から下流側へかけて順次配置されている。
また、トリマー13が配置された搬送ライン11の下方には、発生したトリム屑を回収するシューター14が配置され、自重で下方へ垂れ下がろうとするトリム屑を、シューター14内に回収している。更に、シューター14に回収されたトリム屑は、その下端部に配置されたプレス機(スクラップベーラーともいう)25により、例えば、直方体形状に押し潰されている。これにより、トリム屑のかさばりをなくし、その後に行う搬送の際の作業性を良好にできる。
これら金属検出器15〜17のうち、トリマー13に最も近い位置に配置された金属検出器15は、シューター14に落ち込まなかったトリム屑を検知するものである。
また、ブライドルロール18側に設けられ、薄鋼板12の厚み方向両側に配置された他の金属検出器16、17は、薄鋼板12の上方又は下方へ移動しようとするトリム屑を検知するものである。これにより、トリム屑がブライドルロール18を構成する隣り合うロール19〜23間に噛み込まれること、及びトリム屑がロール19とドクターブレード24との間に噛み込まれドクターブレード24が破損することを、防止できる。
直流電源(低電圧)26には、リセットスイッチ27と、リレー28と、自己保持用の接点29とが、直列に接続されている。このリセットスイッチ27とリレー28には、警報を鳴らす警報器(警報出力手段の一例)30が並列に接続されている。
また、接点29には、金属検出器15と薄鋼板12を搬送する搬送ライン11(金属製)とが並列に接続されており、通常は、金属検出器15と搬送ライン11上の薄鋼板12のトリム屑とが接触しないため、開状態となっている。
これにより、トリム屑の異常を容易に検知できる。
これにより、各種処理装置の破損を防止でき、しかも異常を解消した後は、即座に薄鋼板12の処理を引き続き実施できる。
ここで、金属検出器を、1mを超える範囲に配置する場合、トリマーと金属検出器との間隔が広くなり過ぎ、トリム屑の挙動によっては検知できなくなり、また検知できたとしても、検知までに時間を要し、その後に行うトリム屑の除去作業に手間取ったり、作業が複雑になる問題がある。
このため、金属検出器の配置位置を、トリマーの直後から下流側へ1mの範囲内の所定位置としたが、下限をトリマーの直後を基準として下流側へ20cmの位置とし、上限を下流側へ80cmの位置とすることが好ましい。
ここで、金属検出器の配置位置が搬送ラインから200mmを超える場合、搬送ラインから離れ過ぎ、例えば、発生する撓みが小さなトリム屑については、検知できなくなる恐れがある。
このため、金属検出器を、搬送ライン11を中心として±200mmの範囲内の所定位置に配置したが、±170mmの範囲内の所定位置とすることが好ましく、更には±150mmの範囲内の所定位置とすることが好ましい。
また、薄鋼板の表面と金属検出器との間隔、及び薄鋼板の裏面と金属検出器との間隔は、同一でもよく、また異なってもよい。
更に、金属検出器を薄鋼板の厚み方向同一側に複数配置する場合は、各金属検出器と薄鋼板との間隔を全て同一としてもよいが、異なる間隔としてもよい。
搬送ライン11を流れる薄鋼板12は、搬送ライン11に設けられたトリマー13を含む各種処理装置によって所定の処理が施されながら、最終的に製品として出荷される。
このトリマー13では、薄鋼板12の幅方向両側が連続的にせん断(切断)除去され、発生したトリム屑は自重によりシューター14内へ落ち込み、またトリム屑が除去された薄鋼板12は、トリマー13の下流側へ搬送ライン11に沿って搬送されていく。
この場合、トリム屑がシューター14の上方で溜まり、金属検出器15に直接接触すれば、リレー28が働き、開状態であった接点29が閉状態となって、警報器30の警報が鳴り響く。また、トリマー13の下流側のブライドルロール18を含む処理装置の停止、搬送ライン11の停止、及びドクターブレード24がロール19から離れることも、制御手段によって行われる。
これにより、作業者が、トリム屑を取り除き、リセットスイッチ27により接点29を開状態として、再び搬送ライン11等を稼働させる。
これにより、トリマー13の下流側に配置される例えばブライドルロール18の損傷を防止できる。
以上のことから、本発明を適用することで、トリム屑の異常発生に伴って停止した搬送ラインの迅速な復旧が可能になり、更にはトリム屑の異常発生に伴う二次トラブルも未然に防止できる。
また、前記実施の形態においては、金属検出器として、棒部材がトリム屑に直接接触する方式のものについて示したが、例えば、誘導電流に検知できる非接触の方式のものを使用することもできる。この場合、金属検出器の感度を調整することで、トリマーによる処理がなされた薄鋼板については、検知されないようにする必要がある。
そして、前記実施の形態においては、薄鋼板の幅以上の長さを有する金属検出器を、搬送ラインの幅方向全体に渡って配置した場合について説明したが、搬送ラインの幅方向全体に配置することなく、部分的に分断されたものを配置してもよい。
更に、前記実施の形態においては、金属検出器が断面円形の棒部材を使用した場合について説明したが、この形状に限定されるものではなく、他の形状、例えば、断面楕円形、断面卵形、又は断面角形でもよい。
Claims (5)
- 搬送ライン上を連続的に搬送される薄鋼板の幅方向両側部を、トリマーにより搬送方向に渡ってせん断除去する際に、所定の廃棄箇所とは異なる方向へ移動しようとするトリム屑を検知するトリム屑飛出し検出装置であって、
前記トリマーの直後から下流側へ1mの範囲内で、しかも前記薄鋼板の厚み方向両側に該薄鋼板とは間隔を有して配置された金属検出器を有し、
前記金属検出器は常時電流を流す金属製の棒部材であり、該棒部材に前記トリム屑が接触した場合に該トリム屑を検知することを特徴とするトリム屑飛出し検出装置。 - 請求項1記載のトリム屑飛出し検出装置において、前記薄鋼板の厚み方向両側に配置される前記金属検出器は、前記搬送ラインを中心として±200mmの範囲内の所定位置に設置されていることを特徴とするトリム屑飛出し検出装置。
- 請求項1又は2記載のトリム屑飛出し検出装置において、更に、前記金属検出器が前記トリム屑を検知した場合に警報が鳴る警報出力手段が設けられていることを特徴とするトリム屑飛出し検出装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のトリム屑飛出し検出装置において、前記金属検出器の下流側の前記搬送ラインには、前記薄鋼板に張力を付与するブライドルロールと、該ブライドルロールの表面に接触して平滑処理を行うドクターブレードが設けられ、前記金属検出器が前記トリム屑を検知した場合に、前記ブライドルロールの表面に接触した前記ドクターブレードを該ブライドルロールの表面から離す操作と、前記トリマーの下流側に配置され前記ブライドルロールを含む前記薄鋼板の処理装置及び前記搬送ラインを停止する操作とを行う制御手段が設けられていることを特徴とするトリム屑飛出し検出装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のトリム屑飛出し検出装置を使用し、前記廃棄箇所とは異なる方向へ移動しようとするトリム屑を検知することを特徴とするトリム屑飛出し検出方法。
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