JP4963302B2 - チェーン伝動装置 - Google Patents
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Description
JIS B1801−1997(伝動用ローラチェーン及びブシュチェーン)の付属書2(スプロケットの形状及び寸法)には、次式が記載されている。
なお、前述した式において、Paは、歯形ピッチ(S歯形のa−a、U歯形のe−e)であり、Pは、チェーンピッチであり、dsは、円弧状歯底部の直径であり、d1は、ローラの外径であり、dは、ピッチ円直径である(非特許文献1参照)。
JIS B1801−1997
そして、標準ローラチェーンは、均等なチェーンピッチP(各ローラの中心間の距離)を有している。
標準スプロケットは、スプロケットの回転中心oと円弧状歯底部の中心とを結ぶ円弧状歯底部の中心線(円弧状歯底部中心線)xに対して円弧状歯底部と円弧状歯底部に連続する歯面とが左右対称に形成されている。
そして、各円弧状歯底部中心線xとピッチ円Pcとの交点をaとすると、隣り合う円弧状歯底部中心線xがなす歯のピッチ角θは、ピッチ円Pc上の2つの交点a、aの中心角であるから、スプロケットの歯数zにより決まり、歯のピッチ角θ=360°/zである。
また、歯形ピッチPaは、各円弧状歯底部中心線xとピッチ円Pcとの交点a、a間の距離である。
したがって、歯形ピッチPaは、歯のピッチ角θに対応する弦の長さである。
標準スプロケットは、歯のピッチ角θが全て等しいから、均等な歯形ピッチPaがピッチ円Pcの円周方向に沿って配列されている。
また、歯形ピッチPaは、前記式Pa=P(1+(ds−d1)/d)が示すように、チェーンピッチPと一定の関係にある。
すなわち、ローラチェーンとこのローラチェーンと噛み合う歯形を有するスプロケットとからなるローラチェーン伝動装置において、スプロケットは、歯形の異なる第1の歯と第2の歯を少なくとも有し、第1の歯と第2の歯が不規則に、且つ、第1の歯が連続することなく配列していると共に、第2の歯の数が第1の歯の数の4倍を越えないものである、ローラチェーン伝動装置が提案されている(特許文献1参照)。
そして、標準ローラチェーン1は、均等なチェーンピッチP(各ローラ2の中心o1間の距離)を有している。
ただし、図4には、標準ローラチェーン1を構成する部品のうち、ローラ2のみを図示し、ブシュ、内プレート、内リンク、ピン、外プレート、外リンクは、図示を省略している。
そして、標準スプロケット3は、歯数18の駆動側スプロケットである。
歯のピッチ角θは、式θ=360°/zで決まるから、歯数18の駆動側スプロケット3における歯のピッチ角θは、20°である。
また、前述したように、歯形ピッチPaは、各円弧状歯底部中心線xとピッチ円Pcとの交点a、a間の距離であり、歯のピッチ角θに対応する弦の長さである。
したがって、標準スプロケット3は、歯のピッチ角θ(20°)が全て等しく、均等な歯形ピッチPaがピッチ円Pcの円周方向に沿って配列されている。
その際、後続するローラ2は、円弧状歯底部の中心近傍に略直角に衝突するので、後続するローラ2の噛み始め時において、後続するローラ2の運動エネルギーが緩衝されることなく円弧状歯底部に伝わる。
そのため、後続するローラ2の噛み始め時の振動騒音が大きくなる、という問題点がある。
したがって、それぞれの後続するローラ2の標準スプロケット3の歯と噛み始めるタイミングは、常に一致している。
そのため、回転数に応じた特定の噛み合い周波数の振動及び騒音が大きくなる、という問題点がある。
この従来のチェーン伝動装置における騒音測定は、歯数18の標準スプロケット3を駆動側スプロケットとし、歯数36の標準スプロケットを従動側スプロケットとして、駆動側標準スプロケット3と従動側標準スプロケットに標準ローラチェーン1を巻き掛けて駆動側標準スプロケット3の回転速度を500〜5、000r.p.mの間で変化させ、駆動側標準スプロケット3の騒音を測定した。
そのため、図4に示すような従来のチェーン伝動装置は、それぞれの回転次数音が目立ち、耳につく、という問題点がある。
なお、オーバオール(OA)音とは、チェーン伝動装置の全体の騒音のことである。
また、ローラまたはブシュのスプロケットへ噛み合い時に、ローラまたはブシュの衝突あるいは当接のタイミングがずれるので、歯数によって決まる次数の振動及び騒音が低減される。
また、オーバオール(OA)音とそれぞれの回転次数音との騒音レベルの開きが大きく、耳につく騒音が低減される。
さらに、スプロケットは、標準スプロケットと比較して歯のピッチ角が相違するだけ、すなわち、同一の歯形で歯のピッチ角のみが相違しているので、焼結により容易に製作することができ、製造コストを低減できる。
また、ローラまたはブシュのスプロケットへ噛み合い時に、ローラまたはブシュの衝突あるいは当接のタイミングがずれるので、歯数によって決まる次数の振動及び騒音が低減される。
また、オーバオール(OA)音とそれぞれの回転次数音との騒音レベルの開きが大きく、耳につく騒音が低減される。
さらに、スプロケットは、標準スプロケットと比較して歯のピッチ角が相違するだけ、すなわち、同一の歯形で歯のピッチ角のみが相違しているので、焼結により容易に製作することができ、製造コストを低減できる。
そして、スプロケットにおけるそれぞれ同一の歯形を有する歯が大きさの異なる複数の歯形ピッチを一組としてピッチ円の円周方向に沿って規則的に一定順序で配列されていることにより、複数の歯形ピッチにそれぞれ対応するピッチ角の相違が円周方向に規則的に設定することが可能になるため、さらに容易に製作することができ、製造コストを低減することができる。
そして、複数の歯形ピッチにそれぞれ対応するピッチ角が複数の歯形ピッチにそれぞれ対応するピッチ角が標準スプロケットのピッチ角θよりΔθだけ大きいピッチ角θ+Δθと標準スプロケットのピッチ角θと同一のピッチ角θと標準スプロケットのピッチ角θよりΔθだけ小さいピッチ角θ−Δθであることにより、歯形ピッチ角の相違する角度がプラスマイナスで同じであるため、さらに容易に製作することができ、製造コストを低減できる。
すなわち、標準ローラチェーン1のローラ2がスプロケット31の歯と噛み合うチェーン伝動装置において、標準ローラチェーン1は均等なチェーンピッチPを有し、スプロケット31は同一の歯形で2種類の歯形ピッチPa1、Pa2を有し、かつ、これらの歯形ピッチPa1、Pa2は、2個の歯形ピッチPa1と1個の歯形ピッチPa2を一組として順次時計回り方向にピッチ円Pcの円周方向に沿って規則的に一定順序で配列されているものである。
その各実施例を以下に説明する。
図1は本発明の実施例1に係るチェーン伝動装置の標準ローラチェーンとスプロケットの噛み合い状態を示す図である。図2は本発明の実施例1に係るチェーン伝動装置の騒音測定結果を示すグラフである。
ただし、図1には、標準ローラチェーン1を構成する部品のうちローラ2のみを図示し、ブシュ、内プレート、内リンク、ピン、外プレート、外リンクは図示を省略している。
そして、標準ローラチェーン1は、均等なチェーンピッチP(各ローラ2の中心o1間の距離)を有している。
スプロケット31は、歯数18の駆動側スプロケットである。
そして、前述した図4に示す標準スプロケット3が歯のピッチ角θ(20°)が全て等しいのに対して、スプロケット31は、以下に述べるように、同一の歯形で、2種類の歯のピッチ角を有する点で相違している。
以下の説明の便宜上、式θ=360°/zで決まる歯のピッチ角θを標準スプロケットのピッチ角θという。
すなわち、歯のピッチ角θ−Δθは、標準スプロケットのピッチ角θより角度Δθだけ小さいものであり、歯のピッチ角θ+2Δθは、標準スプロケットのピッチ角θより2倍の角度Δθだけ大きいものである。
そして、Δθは、標準スプロケットのピッチ角θの1/4以下(すなわち、Δθ≦θ/4)であることが必要である。
これは、ローラ2との噛合いが許容できるのに必要な範囲である。
具体的には、スプロケット31は、歯数zが18であるから、標準スプロケットのピッチ角θは、式θ=360°/zにより20°であり、Δθは、Δθ≦θ/4によりΔθ≦5°である。
また、2種類の歯のピッチ角θ−Δθ及びθ+2Δθの全ての合計は、2π、すなわち、360°である。
また、歯形ピッチPa1は、歯のピッチ角θ−Δθに対応する弦の長さであり、歯形ピッチPa2は、歯のピッチ角θ+2Δθに対応する弦の長さである。
したがって、スプロケット31は、同一の歯形で2種類の歯形ピッチPa1、Pa2を有し、かつ、これらの歯形ピッチPa1、Pa2は、2個の歯形ピッチPa1と1個の歯形ピッチPa2を一組として順次時計回り方向にピッチ円Pcの円周方向に沿って配列されている。
そして、歯面に当接する場合は、後続するローラ2は、歯面のほぼ接線方向から当接するため、後続するローラ2の運動エネルギーが緩衝され、当接による衝撃が少なくなる。
したがって、その分、後続するローラ2の噛み合い衝撃音が低減されることになる。
したがって、それぞれの後続するローラ2の衝突あるいは当接のタイミングがずれる。
その結果、歯数によって決まる次数の振動及び騒音が低減される。
このような本発明の実施例1に係るチェーン伝動装置の騒音測定は、歯数18のスプロケット31を駆動側スプロケットとし、歯数36の標準スプロケットを従動側スプロケットとして、駆動側スプロケット31と従動側スプロケットに標準ローラチェーン1を巻き掛けて駆動側スプロケット31の回転速度を500〜5、000r.p.mの間で変化させ、駆動側スプロケット31の騒音を測定した。
そのため、本発明の実施例1に係るチェーン伝動装置は、図4に示す従来のチェーン伝動装置が有する各回転次数音が耳につくという問題点が改善されている。
標準ローラチェーン1は、均等なチェーンピッチPを有しており、さらに、スプロケット31は、同一の歯形で2種類の歯形ピッチPa1、Pa2を有し、かつ、これらの歯形ピッチPa1、Pa2は、2個の歯形ピッチPa1と1個の歯形ピッチPa2を一組として順次時計回り方向にピッチ円Pcの円周方向に沿って規則的に一定順序で配列されているので、ローラ2のスプロケット31への噛み合い時にローラ2の運動エネルギーが緩衝され、当接による衝撃が少なく、ローラ2の噛み合い衝撃音が低減される。
また、ローラ2のスプロケット31への噛み合い時に、ローラ2の衝突あるいは当接のタイミングがずれるので、歯数によって決まる次数の振動及び騒音が低減される。
また、オーバオール(OA)音と各回転次数音との騒音レベルの開きが大きく、耳につく騒音が低減される。
さらに、スプロケット31は、標準スプロケット3と比較して歯のピッチ角が相違するだけであるので、焼結により容易に製作することができ、製造コストを低減できる。
図3は、本発明の実施例2に係るチェーン伝動装置の標準ローラチェーンとスプロケットの噛み合い状態を示す図である。
前述したように、以下の説明の便宜上、式θ=360°/zで決まる歯のピッチ角θを標準スプロケットのピッチ角θという。
ピッチ角θ)、θ+Δθ、θ−Δθを有している。
すなわち、歯のピッチ角θ+Δθは、標準スプロケットのピッチ角θより角度Δθだけ大きいものであり、歯のピッチ角θ−Δθは、標準スプロケットのピッチ角θより角度Δθだけ小さいものである。
そして、前述したように、Δθは、標準スプロケットのピッチ角θの1/4以下(すなわち、Δθ≦θ/4)であることが必要である。
これは、ローラ2との噛合いが許容できるのに必要な範囲である。
具体的には、スプロケット41は、前述した実施例1のスプロケット31と同様に歯数18の駆動側スプロケットであるから、標準スプロケットのピッチ角θは、式θ=360°/zにより20°であり、Δθは、Δθ≦θ/4によりΔθ≦5°である。
また、3種類の歯のピッチ角θ(標準スプロケットのピッチ角θ)、θ+Δθ、θ−Δθの全ての合計は、2πすなわち360°である。
また、歯形ピッチPaは、歯のピッチ角θ(標準スプロケットのピッチ角θ)に対応する弦の長さであり、歯形ピッチPa3は、歯のピッチ角θ+Δθに対応する弦の長さであり、歯形ピッチPa1は、歯のピッチ角θ−Δθに対応する弦の長さである。
したがって、スプロケット41は、同一の歯形で3種類の歯形ピッチPa、Pa3、Pa1を有し、かつ、これらの歯形ピッチPa、Pa3、Pa1は、1個の歯形ピッチPaと1個の歯形ピッチPa3と1個の歯形ピッチPa1を一組として順次時計回り方向にピッチ円Pcの円周方向に沿って規則的に一定順序で配列されている。
そして、歯面に当接する場合は、後続するローラ2は、歯面のほぼ接線方向から当接するため、後続するローラ2の運動エネルギーが緩衝され、当接による衝撃が少なくなる。
したがって、その分、後続するローラの噛み合い衝撃音が低減されることになる。
したがって、それぞれの後続するローラ2の衝突あるいは当接のタイミングがずれる。
その結果、歯数によって決まる次数の振動及び騒音が低減される。
また、前述した本発明の実施例2においては、スプロケット41は、同一の歯形で3種類の歯形ピッチPa、Pa3、Pa1を有し、かつ、これらの歯形ピッチPa、Pa3、Pa1は、1個の歯形ピッチPaと1個の歯形ピッチPa3と1個の歯形ピッチPa1を一組として順次時計回り方向にピッチ円Pcの円周方向に沿って配列されている。
2 ・・・ローラ
d1 ・・・ローラ外径
P ・・・チェーンピッチ
o1 ・・・ローラの中心
3 ・・・標準スプロケット
θ ・・・歯のピッチ角(標準スプロケットのピッチ角)
Pa ・・・歯形ピッチ
31 ・・・スプロケット
θ−Δθ、θ+2Δθ ・・・歯のピッチ角
Pa1、 Pa2 ・・・歯形ピッチ
41 ・・・スプロケット
θ+Δθ ・・・歯のピッチ角
Pa3 ・・・歯形ピッチ
z ・・・スプロケットの歯数
o ・・・スプロケットの回転中心
d ・・・ピッチ円直径
Pc ・・・ピッチ円
x ・・・円弧状歯底部中心線
a ・・・ピッチ円と円弧状歯底部中心線との交点
t ・・・当接位置
Claims (2)
- ローラチェーンまたはブシュチェーンがスプロケットの歯と噛み合うチェーン伝動装置において、
前記ローラチェーンのローラまたはブシュチェーンのブシュが均等なチェーンピッチで配列され、
前記スプロケットのそれぞれ同一の歯形を有する歯が該歯のピッチ角の大きさを異ならしめた複数の歯形ピッチを一組としてピッチ円の円周方向に沿って規則的に一定順序で配列されているとともに、
前記複数の歯形ピッチにそれぞれ対応するピッチ角が標準スプロケットのピッチ角θより2Δθだけ大きい1つのピッチ角θ+2Δθと標準スプロケットのピッチ角θよりΔθだけ小さい2つのピッチ角θ−Δθであることを特徴とするチェーン伝動装置。 - ローラチェーンまたはブシュチェーンがスプロケットの歯と噛み合うチェーン伝動装置において、
前記ローラチェーンのローラまたはブシュチェーンのブシュが均等なチェーンピッチで配列され、
前記スプロケットのそれぞれ同一の歯形を有する歯が該歯のピッチ角の大きさを異ならしめた複数の歯形ピッチを一組としてピッチ円の円周方向に沿って規則的に一定順序で配列されているとともに、
前記複数の歯形ピッチにそれぞれ対応するピッチ角が標準スプロケットのピッチ角θよりΔθだけ大きいピッチ角θ+Δθと標準スプロケットのピッチ角θと同一のピッチ角θと標準スプロケットのピッチ角θよりΔθだけ小さいピッチ角θ−Δθであることを特徴とするチェーン伝動装置。
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