従来のGSM(Global System for Mobile Communications)やIMT−2000などの移動通信システムでは、SIM(Subscriber Identity Module)またはUSIM(Universal Subscriber Identity Module)と呼ばれるICカード(以下、SIMまたはUSIMを総称してUSIMカードと呼ぶ)を用いた利用者識別が行われている。ユーザが移動通信事業者の提供する移動通信サービスに加入すると、ユーザは移動通信事業者から購入するか、または支給されるUSIMカードを利用することによって、移動通信サービスを利用することが可能となる。
具体的には、ユーザはUSIMカードを通信端末に装着することにより、通信端末を自分の通信端末として利用して自分が加入する移動通信サービスへアクセスし、サービスを利用することができる。
USIMカードには、ユーザの加入者情報、識別情報(住所、氏名、加入契約内容等のユーザの属性情報、アドレス、電話番号等の通信端末の属性情報など)が格納される。通信端末は、USIMカードを装着することにより、当該USIMカードに格納されている識別情報(アドレス、電話番号等)を有しているように扱われる。
移動通信ネットワーク側において、ネットワークを制御するために設けられる通信制御装置は、USIMカードの情報を管理しておき、通信端末に装着されているUSIMカードに格納されているユーザの加入者情報、識別情報を移動通信ネットワークへ通知、登録することにより、当該通信端末を利用している加入者、即ち該通信端末に装着されたUSIMカードの所有者を識別している。ユーザに通信サービスを提供する際に、USIMカードのアドレス、電話番号に対する発呼、及びセッションの確立は、USIMカードを装着した通信端末に着呼、セッション確立するように、通信制御装置により処理される。
例えば、電話サービスの場合、ユーザに付与された電話番号は、移動通信ネットワークにおいては、通信端末ではなく、USIMカードに対応付けて管理されており、当該USIMカードをある通信端末に装着すると、当該通信端末がユーザの電話番号を有しているように扱われ、電話番号に対する発呼は通信端末に着呼するように処理される。このようなUSIMカードを用いた管理方法においては、ユーザが自分の好みや状況に応じて、適当な通信端末を柔軟に選択して、該通信端末を自分の所有する通信端末として利用できるという利点があった。
図12は、従来の移動通信ネットワークにおける加入者情報管理、呼制御・セッション制御を含むシステムの概略構成を示すブロック図で、移動通信ネットワークは、通信端末109、無線アクセスネットワーク106、コアネットワーク104、マルチメディア通信制御サブシステム100などから構成される。通信端末109には、利用中のユーザの加入者識別を行なうためのデバイスとしてUSIMカード110が装着されている。無線アクセスネットワーク106は、通信端末109が無線区間を介してコアネットワーク104にアクセスする手段を提供するアクセスネットワークであり、基地局107、基地局制御装置108などで構成される。コアネットワーク104は、通信端末間での情報の伝送、接続制御、通信管理などを行なうネットワーク及び制御システムであり、通信端末109の位置管理情報、通信端末109を利用しているユーザの加入者情報などを管理する位置管理サーバであるVLR/HLR(Visited Location Register/Home Location Register)105を備えている。
また、マルチメディア通信制御サブシステム100は、コアネットワーク104のパケット交換システム上で、IPベースのマルチメディア通信サービスを提供するための付加的な機能を実現することを目的としたサブシステムである。マルチメディア通信制御サブシステム100は、アプリケーションサーバであるAS(Application Server)101、通信端末間でのセッション制御機能を提供するCSCF(Call Session Control Function)102、加入者情報管理装置であるHSS(Home Subscriber Server)103などから構成される。
セッション制御プロトコルとしては、SIP(Session Initiation Protocol)が採用されている。CSCF102は、通信端末間での呼及びセッションの状態制御機能を提供しており、SIPにおけるユーザまたは通信端末109の登録サーバとして機能するHSS103とやりとりすることによって、サービスを利用/通信可能なユーザの状態や識別情報の登録処理を行なうとともに、セッションを制御するための情報を管理、伝送し、セッションの接続制御を行なう。
また、マルチメディア通信制御サブシステム100によって提供される基本的な機能を利用して、ユーザに対して更に高度なアプリケーションサービスを提供するAS101が設けられる。CSCF102は、AS101に対してセッションやユーザ/通信端末に関する情報を通知したり、AS101によるセッションの制御を受け付けたりするためのインターフェイス手段も有している。
従来の移動通信ネットワークにおいてHSS103などで管理される加入者情報の概略を、図13を参照して説明する。従来の移動通信ネットワークの加入者情報は、非公開識別子、公開識別子、サービスプロファイルなどから階層的に構成される。この非公開識別子は、通信サービス提供者が加入者管理(加入者及び利用可能なサービスの登録/管理、サービスへのアクセスの承認、課金など)を行なうために使用されるユニークな識別情報(ID)である。
図13において、非公開識別子1は、通信事業者が自己の加入者を管理するためにシステム内でのみ利用できれば良いという性質上、また加入者情報を保護するためのセキュリティのために、システム外部には非公開または独自の情報形式によって管理できれば充分であり、例えば、NAI(Network Access Identifier)と呼ばれる形式で管理される。この非公開識別子1には、マルチメディア通信制御サブシステム100に対する加入者識別番号も含まれる。これは、このシステム構成では、マルチメディア通信制御がサブシステム100として提供されるため、例えば、電話のような基本的な通信サービスへの加入者情報と、マルチメディアサービスへの加入者情報とを区別して管理する必要があるためである。この非公開識別子1は、1つのUSIMカード110に対して1つだけユニークに割り当てられる。
次に、公開識別子1〜3は、ユーザがサービスを受ける際、または、他のユーザと通信を行なうために公開して使用するIDであり、例えば、電話番号や、メールアドレス、SIP−URIなどが含まれる。1つのUSIMカード110は、少なくとも1つの公開識別子を持つ必要があるが、複数あってもよい。また、すべての公開識別子が、USIMカード110に格納されている必要はなく、ネットワークにおいて、当該USIMカードと対応付けて管理されていればよい。
また、サービスプロファイルは、ユーザが加入しており利用可能なサービスに関する情報の集合であり、ユーザや通信事業者における当該サービスに対する属性や提供条件などの情報を含んでいる。このサービスプロファイルは、該サービスを利用する際に使用される一つまたは複数の公開識別子と関連付けられて、管理、記憶されている。一方、それぞれの公開識別子は、一つだけのサービスプロファイルに関連付けられる。
以上説明したこれらの加入者情報は、通信端末109をマルチメディア通信制御サブシステム100へ登録する際に、HSS103からCSCF102へ転送され記憶される。また、HSS103からAS101に対しても提供される。尚、これらの加入者情報を管理するHSS103は、ユーザが所有するUSIMのホームドメイン(加入している通信事業者が提供する移動通信ネットワーク)内に設置されているHSSである。
次に、通信端末が別の通信端末とのセッションを確立する場合について説明する。まず、ある通信端末が相手通信端末との通信を開始する場合、通信端末は相手通信端末の公開識別子を指定した呼接続要求及びセッション接続要求を移動通信ネットワークへ送出することにより、CSCFに発呼、セッション確立を要求する。CSCFは発呼要求、セッション接続要求を受け付けると、これらに含まれている相手通信端末の公開識別子が有効であること、発呼元の通信端末及び利用者の認証、要求されたサービスが提供可能であることなどを、HSSが管理している加入者情報を参照することによって確認し、呼接続要求、セッション接続要求が正当でかつ処理可能であることを確認する。
その後、CSCFは、呼接続要求及びセッション接続要求を相手通信端末へ送出することにより、当該相手通信端末と発呼元の通信端末との呼接続、セッション接続を行なうように制御する。ここで、CSCFは、呼接続要求あるいはセッション接続要求で指定された相手通信端末の公開識別子に対しては、その参照と確認を行なっているのみであり、別の通信端末の公開識別子への書き換えなどの処理は行っていない。
さらに、CSCFは、セッション接続要求を受け付けた際には、その中で指定されている公開識別子に対応付けてHSSで管理されているサービスプロファイルを参照し、当該サービスプロファイルに記述されている発呼元通信端末並びに相手通信端末が利用可能、あるいはこれらの通信端末へ提供可能なサービスの内容、属性、条件などを参照して、セッション接続要求で要求されたセッションがこれらに合致する場合に、セッション接続を行なうように制御する。この時、CSCFは、サービスプロファイルの記述に従うように、セッションの内容、種別などを変更したセッション接続を行なうように制御することも可能である。
つづいて、図14を参照して、SIPによるセッション確立方法について説明する。図14は、通信端末Cから通信端末Aに対して、セッションの確立を要求する際の手順を示している。通信端末Cは、セッション制御装置に対し、通信端末Aを宛先とするリクエストを送信する(S201)。SIPにおいて、このリクエストメッセージは、INVITEメッセージと呼ばれる。セッション制御装置は、通信端末Cからリクエストを受信すると、通信端末Aを管理するセッション制御装置へリクエストを転送し、リクエストは一つ以上のセッション制御装置を中継され、通信端末Aへ伝送される(S202)。ここでは、リクエストを中継するセッション制御装置は1つの場合、即ち通信端末Cと通信端末Aが同一のセッション制御装置で管理される場合を示している。リクエストを受け取った通信端末Aは、着信があったことを知らせる呼び出しのベルを鳴らし(S203)、セッション制御装置は、呼び出し中であることを相手通信端末Cへ知らせるためのベル鳴動を返す(S204)。SIPにおいてこのベル鳴動は、180Ringingレスポンスと呼ばれる。
ユーザが、例えば電話の受信ボタンを押して応答すると、通信端末Aは、セッション制御装置に対し、通信端末Cを宛先とする応答メッセージを送信し(S205)、セッション制御装置は、通信端末Cに通信端末Aからの応答メッセージを送信する(S206)。SIPにおいてこの応答メッセージは、200OKレスポンスと呼ばれる。通信端末Cは、応答メッセージを受け取ると、セッション制御装置に対し、通信端末Aを宛先とする確認メッセージを送信し(S207)、セッション制御装置は、通信端末Aに通信端末Cからの確認メッセージを送信する(S208)。SIPにおいてこの確認メッセージは、ACKリクエストと呼ばれる。リクエストを受け取った通信端末あるいはセッション制御装置が、リクエストの送信側に対して暫定応答をする、例えば100Tryingなどのメッセージが伝送される場合もあるが、本明細書では図示していない。このように、リクエスト、応答、確認によって通信端末Cと通信端末Aの間のセッションが確立される。
この通信端末Aへのリクエストの際に、SDP(Session Description Protocol)を用いて、通信に使用するコーデックやIPアドレスなどを指定することが可能である。このSDPは、セッション名や識別子、目的などを示すセッション記述、セッションの開始時間、終了時間と繰り返し回数などを示す時間記述、IPアドレスやポート番号、メディアの種別やコーデックなどを示すメディア記述のようなセッションに関する情報を記述するためのプロトコルである。また、このSDPを使って、各通信端末が保有しサポートすることが可能な複数のメディアについての情報を記述し、さらにその優先度を記述することによって、通信端末間で共通に保有する機能を確認し、両通信端末で最適なセッションの種類を選択することが可能なネゴシエーションの仕組みが提供される。通信端末Aへのリクエストの際に、例えば、通信端末Aはビデオコーデックとして、H.263,H.261をサポートすることを示す情報をSDPに含めると、通信端末Cは、前記2種類のビデオコーデックの中から、通信端末CがサポートするH.261を選択し、応答メッセージのSDPにてH.261での通信を要求する情報を含めることにより、双方の通信端末が共通に保有するH.261のビデオコーデックを用いたセッションが確立される。
このような従来の通信制御の方式では、呼接続やセッション接続を要求する際に指定するアドレス情報からなる公開識別子は、HSS、CSCFなどで管理されているものの、発呼元の通信端末において相手先通信端末の公開識別子が既知であり、発呼元通信端末が呼接続要求及びセッション接続要求に当該公開識別子を含めることが必要であった。即ち、発呼元の通信端末は、予め相手先通信端末を特定して、呼接続要求、セッション接続要求を送出する必要があり、また、CSCFは指定された通信端末間での接続のみを対象とした管理、制御しか行なうことが出来ず、柔軟性に欠け、高度なサービスを提供できないという問題点があった。
今後の移動通信ネットワークにおいて、高品質なマルチメディアサービスや様々な機能を複雑に組み合わせた高度なサービスが提供されるようになると、ユーザはネットワークおよびそのサービスにアクセス可能な通信端末や機器を複数台所有し、これらの通信端末や機器を、ユーザの状況、サービスの内容、通信相手、所望の品質などに応じて使い分けたり、組み合わせて利用したりすることによって、充分なサービスの品質や性能を享受したいとの要求が生じてくる。その要求を満たすため、例えば、ユーザが複数の通信端末や機器を所有している場合に、ユーザの操作、または通信端末/機器の自律的な制御により小規模のネットワークグループ(Personal Area Network、以下PANと称す)を形成し、これらがお互いにPANを介して通信を行なうことにより、それぞれの特性に応じて機能を分担したり、能力や属性に応じてユーザの利用する通信端末を使い分けたいという要望に応じて、呼やセッションを転送したりすることが検討されている。
また、サービス提供者あるいは移動通信事業者としても、同一ユーザが所有し、PANを構成する通信端末/機器群をグループとしてまとめて管理、制御することで、ユーザの所有する複数の通信端末個々の属性や能力を考慮した高度なサービス提供が可能となり、上述のようなユーザの要望に応えるサービスを提供することによって、利便性の向上を図るとともに、移動通信ネットワークの特性やリソース割当てと整合した効率的なサービスの提供を行ないたいとの要求が生じる。
しかしながら、上述したように従来の通信制御方法では、USIMカードを装着した1台の通信端末と、当該USIMカードを所持し利用するユーザという1対1の対応付けを前提とした管理情報に基づいているため、ユーザが複数の通信端末を所有すること、逆に言うと、複数の通信端末が同一ユーザに帰属することを把握することが困難であり、ユーザが所有する複数の通信端末によってPANを構成していたとしても、移動通信ネットワークからはPANを構成する通信端末群をグループとして扱って通信制御を行なうことは困難であった。従来のシステムにおける問題点は、以下のようになる。
(1)一つの通信端末に特定した通信制御、あるいは、通信端末とユーザを一対一で対応付ける通信制御だけしか行なえない。
(2)PANを構成する通信端末をグループとして通信制御するために必要となるプロファイル情報、例えば、通信端末群によって構成されるPANのネットワーク構造や、複数の通信端末の組合せによって実現が可能なセッション能力、プリファレンスなどの情報が管理できない。
(3)同一ユーザの所有であっても、USIMを装着した通信端末以外でサービスにアクセスするための制御が行なえない。
(4)ユーザがサービスを利用する通信端末を、自由に選択できる制御が行なえない。
具体的には、ユーザ1が複数の通信端末を所有している、または、使用できる状態にあっても、他のユーザ2がユーザ1に対してセッションの確立を要求する際、ユーザ2は予めユーザ1が所有する通信端末の一つを特定して発呼する必要があり、ユーザ1が所有しており使用可能な通信端末のうち最適なものを利用することができないという問題点があった。また、ユーザ1が、サービスの種別やそのサービスに必要な処理能力に応じて、所有する通信端末から最適なものを選択して前記サービスを利用することができないという問題点があった。
また、従来の移動通信ネットワークでは、セッション制御プロトコルとして、SIPを使用しているが、SIPは、基本的に通信端末と通信端末が一対一でセッションを確立する際に使用されるプロトコルであり、PANを構成する通信端末群相互間でのセッションのように多対多でのセッションを確立することができないという問題があった。これに対し、複数の通信端末とセッションを確立する際の通信手順を図15に示す。
図15において、通信端末Aと通信端末Bを所有するユーザが、それぞれの通信端末から通信端末Cに対して、セッション制御装置を介して個別のセッション確立のリクエストを送信する(S211〜S214)。リクエストを受け取った通信端末Cは、着信があったことを知らせる呼び出しのベルを鳴らし、セッション制御装置は、呼び出し中であることを通信端末A、通信端末Bそれぞれへ知らせるためのベル鳴動を返す(S215〜S218)。ユーザが、例えば電話の受信ボタンを押して応答すると、通信端末Cは、セッション制御装置に対し、通信端末Aを宛先とする応答メッセージを送信し(S219)、セッション制御装置は、通信端末Aに通信端末Cからの応答メッセージを送信する(S220)。通信端末Aは、応答メッセージを受け取ると、セッション制御装置に対し、通信端末Cを宛先とする確認メッセージを送信し(S221)、セッション制御装置は、通信端末Cに通信端末Aからの確認メッセージを送信する(S222)。これにより、通信端末Aと通信端末Cとのセッションが確立される。
また、通信端末Cは、セッション制御装置に対し、通信端末Bを宛先とする応答メッセージを送信し(S223)、セッション制御装置は、通信端末Bに通信端末Cからの応答メッセージを送信する(S224)。通信端末Bは、応答メッセージを受け取ると、セッション制御装置に対し、通信端末Cを宛先とする確認メッセージを送信し(S225)、セッション制御装置は、通信端末Cに通信端末Bからの確認メッセージを送信する(S226)。これにより、通信端末Bと通信端末Cとのセッションが確立される。しかし、この手順は、前述の図14で説明したSIPの通信手順が、通信端末Cと通信端末A、通信端末Cと通信端末Bの間で制御されているだけである。
図1は、本発明の一実施形態である移動通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図で、図中、1はアプリケーションサーバ、2は移動通信ネットワーク、3はコアネットワーク、4は通信制御装置、5、6、7は無線アクセスネットワーク、8a,8b,8cは無線区間、9はPAN、10はUSIMカードを示す。通信端末#1〜#3はPAN9を構成し、通信端末#1にはUSIMカード10が装着され、移動通信ネットワーク2に接続可能とする。通信端末#4は、通信端末#1〜#3の通信相手となる通信端末である。
本発明の移動通信ネットワーク2は、無線アクセスネットワーク5、6、7、コアネットワーク3などから構成されている。無線アクセスネットワーク5、6、7は、通信端末#1〜#3が無線区間8a,8b,8cを介してコアネットワーク3にアクセスする手段を提供するアクセスネットワークであり、従来技術と同様、無線基地局、基地局管理システムなどで構成される。コアネットワーク3は、通信相手の通信端末#4と通信端末#1〜#3間での情報の伝送、接続制御、通信管理などを行なうネットワーク及び制御システムであり、通信制御装置4を有し、通信制御装置4は、通信相手の通信端末#4と通信端末#1〜#3間での接続制御、セッションの管理などを行なうセッション制御手段4aと、通信端末#1〜#3の位置管理情報や通信端末#1〜#3を利用しているユーザの加入者情報などを管理する加入者情報管理手段4bと、各加入者の加入者情報を記憶する加入者情報データベース4cと、通信相手の通信端末#4と通信端末#1〜#3の間でセッション接続中にアプリケーションデータの変換を行うメディアゲートウェイ4dと、を備えている。
また、本発明の移動通信ネットワーク2では、コアネットワーク3においてマルチメディア通信サービスの制御機能が提供されるため、従来の技術でのマルチメディア通信制御サブシステムが備えていた機能は、コアネットワーク3の機能の一部として包含される。より具体的には、従来の技術におけるCSCF、HSSなどの機能は、通信制御装置4のセッション制御手段4a、加入者情報管理手段4bにそれぞれ含まれている。
通信端末#1には、USIMカード9が装着されており、USIMカード9に格納されている加入者識別子が、通信制御装置4の加入者情報管理手段4bに登録されている。また、通信端末#1は、通信端末#2、通信端末#3と共に小規模のネットワークグループであるPAN9を構成している。通信端末#1は、無線区間8a,8b,8cを介して無線アクセスネットワーク5、更にはその先のコアネットワーク3に接続されており、PAN9から移動通信ネットワーク2への接続手段を有している。通信端末#2は、USIMカード10が装着されていないが、移動通信ネットワーク2への接続手段を有する通信端末である。通信端末#3は、USIMカード10が装着されておらず、また移動通信ネットワーク2への接続手段を持たないが、PAN9を構成する通信端末の一つである。なお、通信端末#3は、移動通信ネットワーク2への接続する際は、接続手段を有する通信端末#1もしくは通信端末#2を介して接続する。
加入者情報管理手段4bでは、通信端末#1、前記通信端末#2、通信端末#3が構成するPAN9の情報、並びに、これら通信端末の識別情報、属性情報などが登録、管理されている。加入者情報管理手段4bは、加入者識別子に対応する加入者情報を管理している。個別の通信端末の加入者情報である非公開識別子、公開識別子、サービスプロファイルなどとこれらの関連付けは従来の技術と同様である。加えて、加入者情報管理手段4bでは、PAN9に対する公開識別子及び、これと対応付けられたPAN9のプロファイル情報として、PAN9を構成する通信端末の識別情報、PAN9を管理、制御、利用するための情報などが含まれる。これらの加入者情報、PAN9の情報などは、加入者情報管理手段4bに接続された加入者情報データベース4cに格納、記憶されており、加入者情報管理手段4bから随時読み出し、書き換え、削除などのアクセスが可能となっている。
また、セッション制御手段4aは、あるユーザ(通信端末)から他のユーザ(通信端末)へのセッション接続要求を処理して、接続先のユーザの加入者情報を加入者情報管理手段4bより取得、参照し、接続先の通信端末とのセッションの接続制御を行なう。また、セッション制御手段4aは、加入者情報からアプリケーションサーバ1での処理が必要かどうか判断し、必要に応じてアプリケーションサーバ1からの指示や情報を得て、適切なセッションを接続する制御、セッションの転送の制御などを行なう。アプリケーションサーバ1は、従来の技術と同様、確立が要求されたセッション上で、高度なマルチメディア通信サービスなどのアプリケーションサービスを提供する。また、複雑なセッション制御を行なう必要がある場合に、セッション制御手段4aへの指示、制御などセッションを接続する機能のサポートを行なう。
また、セッション制御手段4aは、加入者情報並びに要求されたセッションの種別、属性などからメディアゲートウェイ4dでの処理が必要か判断し、必要に応じてメディアゲートウェイ4dへの適切なセッションの接続、セッションの転送の制御などを行なう。メディアゲートウェイ4dは、接続元の通信端末と接続先の通信端末との間でのセッションを中継すると共に、当該セッションを用いて伝送されるアプリケーションデータの中継及び必要に応じた変換を行なう。たとえば、接続元からのアプリケーションデータを音声や動画といったメディアの種別により複数に分割して、分割したメディアに応じた複数の通信端末へそれぞれセッションを接続する。
また、これとは逆方向の処理として、前記複数の通信端末とのそれぞれのセッションを用いて送信されてきたアプリケーションデータを、一つのアプリケーションデータとして多重化し、接続元の通信端末と接続されたセッションを用いて該通信端末へ送信する。メディアゲートウェイ4dとセッション制御手段4aとの間で行なわれる制御は、上で述べたアプリケーションサーバ1とセッション制御手段4aとの間の制御と統合して実現することが可能であり、従って、システム構成として、メディアゲートウェイ4dの機能をアプリケーションサーバ1に統合することが可能であり、この場合にはアプリケーションサーバ1がメディアゲートウェイ4dのサービスも提供することとなる。メディアゲートウェイ4dに対する制御プロトコルとしては、例えばH.248(Megaco)などが使用される。
上述した移動通信ネットワークシステムにおいて、PANを構成する通信端末群をグループとして管理する方法の例について説明する。
図2は、本発明におけるPANを管理するための情報を含む加入者情報の構成概略例を示す図である。図中、加入者情報データベース4cには、当該移動通信サービスへの各加入者の加入者情報が格納、記憶されている。本発明では、従来の加入者情報に加え、PAN9の情報としてPAN用の公開識別子が記憶、管理されている。公開識別子は、従来の技術と同様、通信端末が呼接続、セッション接続などの通信制御を行なう際に、当該通信端末を識別し特定するための電話番号、メールアドレス、SIP−URIなどの情報、いわゆる通信端末アドレスであるが、PAN用の公開識別子は、PAN9を構成する通信端末の一つを特定して呼接続あるいはセッション接続を要求するのではなく、これらの通信端末のグループを集合的に指定するために利用される。
図2に示した例では、PAN用の公開識別子として、公開識別子1、公開識別子2の二つが管理されている。同一のPAN9に対して、これら複数の公開識別子が割り当てられている理由は、サービスの種別や属性によって識別情報/アドレスの体系、記述方法などが異なるためである。例えば、電話サービスでは識別情報として電話番号を、電子メールではメールアドレスを用いるなどである。図2の例では、公開識別子1には電話番号、公開識別子2にはSIP−URIが割り当てられている。また、これら複数の公開識別子は、例えば、同一のサービス種別に対する別名アドレス(エイリアス)として利用することも可能である。
PAN9を管理するために必要な情報であるPANプロファイルは、PAN用の公開識別子に関連付けて管理される。PANプロファイルには、PAN9として利用可能なサービスの属性、種別、条件等を示す従来と同様なサービスプロファイルに加え、通信端末#1、通信端末#2、通信端末#3の通信端末情報1〜3や、それぞれの通信端末が処理、利用可能なセッションの内容、種別を示すセッション確立条件テーブルが管理される。
PAN用の公開識別子及びそれに関連付けられるPANプロファイルは、USIMカードが装着された通信端末の加入者情報とは異なり、それ自体は非公開識別子、即ちUSIMカードのユニークな識別情報は持たない。そこで、加入者情報データベース4cにおいては、これらのPAN9の情報は、USIMカード及び通信端末の加入者情報とは独立に管理することもできるし、当該PAN9を構成する通信端末の一つ、例えば、通信端末#1の非公開識別子に対応付けて管理することもできる。いずれにしろ、PAN9を構成した状態においても、PAN9を構成する前の通信端末#1の公開識別子、及びサービスプロファイルは影響を受けない。従って、PAN用の公開識別子を指定した呼接続要求およびセッション接続要求に対しては、PANプロファイルが参照され、通信端末#1の公開識別子を指定した接続要求に対しては、従来通り通信端末#1のサービスプロファイルが参照される。
なお、これらの情報は、PAN9の中でUSIMカード10が装着されているのは通信端末#1が唯一であるため、当該USIMカード10のホームドメイン(加入している通信事業者が提供する移動通信ネットワーク)内に設置されている加入者情報管理手段4bで管理される。
図3は、複数の通信端末とセッションを分割して確立する通信手順の一例を説明するための図である。尚、本例では、図1に示したシステム構成に基づいて説明するが、PAN9を構成する通信端末#1、#2、#3を通信端末A、B、Dとし、相手通信端末#4を通信端末Cとして説明する。
ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Dを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求し、そのセッションをどの通信端末で分担するかを決定する。通信端末Aと通信端末Bを選択する場合、通信端末Dは、PAN9を構成する通信端末間での通信手段を利用して、通信端末Aと通信端末Bに対し、相手ユーザもしくは通信端末Cを宛先とするセッション確立のリクエストを送信するように要求する発呼指示情報を送信する(S1〜S6)。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子からなる宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストである。即ち、PAN9と通信端末Cとが確立するセッションの種別、属性を通信端末Aと通信端末Bでどのように分割するかを示す情報である。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、発呼端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えて、それぞれの通信端末で受信したい前記セッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
通信端末A、通信端末Bは、それぞれ通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を終えると、通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S7〜S10)。その後、従来例と同様に、リクエストを受け取った通信端末Cは、着信があったことを知らせる呼び出しのベルを鳴らし、通信制御装置4は、呼び出し中であることを通信端末A、通信端末Bそれぞれへ知らせるためのベル鳴動を返す(S11〜S14)。ユーザが、例えば電話の受信ボタンを押して応答すると、通信端末Cは、通信制御装置4に対し、通信端末Aを宛先とする応答メッセージを送信し(S15)、通信制御装置4は、通信端末Aに通信端末Cからの応答メッセージを送信する(S16)。通信端末Aは、応答メッセージを受け取ると、通信制御装置4に対し、通信端末Cを宛先とする確認メッセージを送信し(S17)、通信制御装置4は、通信端末Cに通信端末Aからの確認メッセージを送信する(S18)。これにより、通信端末Aと通信端末Cとのセッションが確立される。
また、同様に、通信端末Cは、通信制御装置4に対し、通信端末Bを宛先とする応答メッセージを送信し(S19)、通信制御装置4は、通信端末Bに通信端末Cからの応答メッセージを送信する(S20)。通信端末Bは、応答メッセージを受け取ると、通信制御装置4に対し、通信端末Cを宛先とする確認メッセージを送信し(S21)、通信制御装置4は、通信端末Cに通信端末Bからの確認メッセージを送信する(S22)。これにより、通信端末Bと通信端末Cとのセッションが確立される。
このように、通信端末Aと通信端末C、通信端末Bと通信端末Cの間でセッションが確立され、これらのセッションをまとめて用いることにより、ユーザが要求したアプリケーションサービスが、それぞれのユーザ間で提供される。
図4は、複数の通信端末のセッションを分割して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Dを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求するかを決定し、セッション制御手段4aに対して発呼指示情報を送信する(S31)。セッション制御手段4aは、通信端末Dから発呼指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と(S32)、通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なう(S33)。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子からなる宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストである。この例では、宛先端末リストには、相手ユーザもしくは通信端末Cを特定する公開識別子が指定される。また、発呼端末リストが指定する情報によって、セッション制御手段4aの制御が異なる。
発呼端末リストに、PAN9を指定する公開識別子が指定されている場合、通信制御装置4は、予め指定された制御論理に従い、どの通信端末へ発呼指示情報を送信するかを選択し(この場合、通信端末Aと通信端末B)、通信端末Dから受信した発呼指示情報を分割し、通信端末Aと通信端末Bに対し、それぞれの通信端末が確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する(S34、S37)。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Dから受信した発呼指示情報を分割し、通信端末Aと通信端末Bへ転送する制御を行なう。
発呼端末リストに、PAN9を構成する複数の通信端末が指定されている場合、通信制御装置4は、発呼端末リストに含まれる通信端末のそれぞれに、確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する。発呼端末リストには、各通信端末の公開識別子とそれぞれの通信端末に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)を含む。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Dから受信した発呼指示情報を分割し、発呼端末リストに含まれる通信端末Aと通信端末Bへ転送する制御を行なう。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、発呼端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えてそれぞれの通信端末で受信したい前記セッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
通信端末A、通信端末Bは、それぞれセッション制御手段4aに対しての応答メッセージの送信と確認メッセージの受信を終えると(S35、S36、S38、S39)、発呼指示情報に従って、相手ユーザもしくは通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S40〜S43)。その後、S44〜S55において、従来例と同様に、通信端末Aと通信端末C、通信端末Bと通信端末Cの間でセッションが確立され、それらのセッションをまとめて一つのアプリケーションサービスが、それぞれのユーザ間で提供される。
本実施例では、セッション制御手段4aは、通信端末Dから発呼指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なっているが、通信端末Aと通信端末Bそれぞれへの発呼指示情報の転送、応答メッセージの受信、確認メッセージの送信の後、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なってもよい。
図5は、複数の通信端末とセッションを分割して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Aを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求し、そのセッションをどの通信端末で分担するかを決定し、セッション制御手段4aに対して、発呼指示情報と、通信端末Aから相手ユーザもしくは通信端末Cに対するセッション確立のリクエストとを含んだメッセージを送信する(S61)。図4で説明した実施例では、セッション制御手段4aは、発呼指示情報を受信し、選択された通信端末に対して、発呼指示情報を分割転送したが、本実施例では、通信端末Aは発呼指示情報とともにセッション確立のリクエストを送信しているため、セッション制御手段4aは、通信端末Aからのセッション確立のリクエストを通信端末Cへ転送するとともに、発呼指示情報の分割転送を行なう(S62)。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子からなる宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストである。この例では、宛先端末リストには、相手ユーザもしくは通信端末Cを特定する公開識別子が指定される。また、発呼端末リストが指定する情報によって、セッション制御手段4aの制御が異なる。
発呼端末リストに、PAN9を指定する公開識別子が指定されている場合、通信制御装置4は、予め指定された制御論理に従い、どの通信端末へ発呼指示情報を送信するかを選択し(この場合、通信端末B)、通信端末Aから受信した発呼指示情報から、通信端末Bに対し、それぞれの通信端末が確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する(S63)。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Aから受信した発呼指示情報を分割(本実施例の場合、転送先が通信端末Bのみのため、分割は行なわれない。)し、PAN9を構成する通信端末に対し転送する制御を行なう。
発呼端末リストに、PAN9を構成する複数の通信端末が指定されている場合、通信制御装置4は、発呼端末リストに含まれる通信端末のそれぞれに、確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する。発呼端末リストには、各通信端末の公開識別子とそれぞれの通信端末に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)を含む。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Aから受信した発呼指示情報を分割(本実施例の場合、転送先が通信端末Bのみのため、分割は行なわれない。)し、発呼端末リストに含まれる通信端末Bへ転送する制御を行なう。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、発呼端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えてそれぞれの通信端末で受信したい前記セッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
通信端末Bは、セッション制御手段4aに対しての応答メッセージの送信と確認メッセージの受信を終えると(S64、S65)、発呼指示情報に従って、相手ユーザもしくは通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S66、S67)。その後、S68〜S79において、従来例と同様に、通信端末Aと通信端末C、通信端末Bと通信端末Cの間でセッションが確立され、それらのセッションをまとめて一つのアプリケーションサービスが、それぞれのユーザ間で提供される。
図6は、複数の通信端末のセッションを多重して確立する通信手順の一例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Aと通信端末Bを選択し、相手ユーザもしくは通信端末Cを宛先とするセッション確立のリクエストを通信端末Aと通信端末Bから同時に送信することを示すセッション結合指示情報を含んだセッション確立のリクエストを、通信端末Aと通信端末Bそれぞれから送信する(S81、S82)。
前記セッション結合指示情報は、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストと、発呼端末リストで指定された複数の通信端末からセッション確立のリクエストが同時に送信されることを示す情報である。このセッション結合指示情報は、通信端末Aもしくは通信端末Bのどちらのリクエストにも含まれる。これは、セッション制御手段4aが分割されたセッション確立のリクエストであるか判断する際に、セッション結合指示情報の含まれていないリクエストをそのまま通常のリクエストとして処理してしまうからである。
セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bのそれぞれとのセッション確立の処理手順の状態を示す状態情報を管理する。セッション制御手段4aは、通信端末Aもしくは通信端末Bからセッション結合指示情報を含むセッション確立のリクエストを受信すると、前記状態情報を参照して、発呼端末リストに含まれる通信端末のすべてからセッション確立のリクエストを受信するまで待機する。セッション制御手段4aは、セッション結合指示情報で指定されたすべてのセッション確立のリクエストを受信すると、通信端末Aと通信端末Bから受信したセッション確立のリクエストに含まれるセッションの種別や属性を結合して、一つのリクエストとして通信端末Cへ送信する(S83)。このリクエストの送信元は、PAN9を指定する公開識別子が指定される。
セッション制御手段4aは、通信端末Cから応答メッセージを受信すると(S84)、前記状態情報を参照して、通信端末Aと通信端末Bへの応答メッセージを生成し、それぞれの通信端末へ送信する(S85、S86)。通信端末Cからの応答メッセージが、セッションの種別や属性を変更する情報またはセッションの種別や属性の候補から選択した情報を含んでいる場合、セッション制御手段4aは、予め定められた制御論理に従って、通信端末Aと通信端末Bに対する応答メッセージを生成する。セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bそれぞれの通信端末から確認メッセージを受信すると(S87、S88)、通信端末Cへの確認メッセージを生成し、通信端末Cへ送信する(S89)。
ここで、通信端末Cとのセッション上を伝送されるアプリケーションデータを、通信端末Aとのセッション、通信端末Bとのセッションのそれぞれで伝送されるアプリケーションデータへの分割(逆方向に伝送されるデータに対しては多重)が必要とされる場合、あるいは通信端末Cとのセッションを分割する際に一旦セッションを終端または中継する必要がある場合には、セッション制御手段4aは、これらのセッションがメディアゲートウェイ4dを中継するように制御すると共に、メディアゲートウェイ4dにて必要な分割/多重処理を行なうように制御、指示する。
ここで示した手順例によれば、通信端末Cは、PAN9の中のどの通信端末とどのようなセッションが確立されているかを意識することなく、PAN9との間で確立されたセッションとして、当該セッションを用いて通信を行なうことができる。
図7は、複数の通信端末のセッションを多重して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Dを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求し、そのセッションをどの通信端末で分担するかを決定し、セッション制御手段4aに対してセッション結合指示情報を送信する(S91)。
通信端末Aと通信端末Bを選択する場合、通信端末Dは、セッション結合指示情報を生成するために、予めPAN9を構成する通信端末間での通信手段を利用して、通信端末Aと通信端末Bに対して、情報のやり取りによる交渉を行い、セッションを分割すること、及びぞれぞれのセッションに割り当てる種別や属性などの分担を決定した後、通信端末Dは、セッション結合指示情報を送信することもできる。その際、前述した相手ユーザもしくは通信端末Cを宛先とするセッション確立のリクエストを送信するように要求する発呼指示情報を利用することも可能である。
前記セッション結合指示情報は、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストと、発呼端末リストで指定された複数の通信端末からセッション確立のリクエストが同時に送信されることを示す情報である。セッション制御手段4aは、通信端末Dからセッション結合指示情報を受信すると、応答メッセージの送信と(S92)、確認メッセージの受信を行なう(S93)。ユーザは、通信端末Dからのセッション結合指示情報が許可されたことを確認すると、通信端末Aと通信端末Bから相手ユーザもしくは通信端末Cを宛先とするセッション確立のリクエストを送信する(S94、S95)。
セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bのそれぞれとのセッション確立の処理手順の状態を示す状態情報を管理する。セッション制御手段4aは、通信端末Dから確認メッセージを受信すると、前記状態情報を参照して、発呼端末リストに含まれる通信端末のすべてからセッション確立のリクエストを受信するまで待機する。セッション制御手段4aは、セッション結合指示情報で指定されたすべてのセッション確立のリクエストを受信すると、通信端末Aと通信端末Bから受信したセッション確立のリクエストに含まれるセッション種別、属性を結合して、一つのリクエストとして通信端末Cへ送信する(S96)。このリクエストの送信元は、PAN9を指定する公開識別子が指定される。
セッション制御手段4aは、通信端末Cから応答メッセージを受信すると(S97)、前記状態情報を参照して、通信端末Aと通信端末Bへの応答メッセージを生成し、それぞれの通信端末へ送信する(S98、S99)。通信端末Cからの応答メッセージが、セッションの種別や属性を変更する情報またはセッションの種別や属性の候補から選択した情報を含んでいる場合、セッション制御手段4aは、予め定められた制御論理に従って、通信端末Aと通信端末Bに対する応答メッセージを生成する。セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bそれぞれの通信端末から確認メッセージを受信すると(S100、S101)、通信端末Cへの確認メッセージを生成し、通信端末Cへ送信する(S102)。
ここで、通信端末Cとのセッション上を伝送されるアプリケーションデータを、通信端末Aとのセッション、通信端末Bとのセッションのそれぞれで伝送されるアプリケーションデータへの分割(逆方向に伝送されるデータに対しては多重)が必要とされる場合、あるいは通信端末Cとのセッションを分割する際に一旦セッションを終端または中継する必要がある場合には、セッション制御手段4aは、これらのセッションがメディアゲートウェイ4dを中継するように制御すると共に、メディアゲートウェイ4dにて必要な分割/多重処理を行なうように制御、指示する。
ここで示した手順例によれば、通信端末Cは、PAN9の中のどの通信端末とどのようなセッションが確立されているかを意識することなく、PAN9との間で確立されたセッションとして、当該セッションを用いて通信を行なうことができる。
本実施例では、セッション制御手段4aは、通信端末Dからセッション結合指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なっているが、セッション結合指示情報で指定されたすべてのセッション確立のリクエストを受信した後、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なってもよい。
図8は、複数の通信端末のセッションを多重して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Aを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求し、そのセッションをどの通信端末で分担するかを決定し、セッション制御手段4aに対して発呼指示情報と通信端末Aから相手ユーザもしくは通信端末Cに対するセッション確立のリクエストを含んだメッセージを送信する(S111)。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子からなる宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストである。この例では、宛先端末リストには、相手ユーザもしくは通信端末Cを特定する公開識別子が指定される。また、発呼端末リストが指定する情報によって、セッション制御手段4aの制御が異なる。
発呼端末リストに、PAN9を指定する公開識別子が指定されている場合、通信制御装置4は、予め指定された制御論理に従い、どの通信端末へ発呼指示情報を送信するかを選択し(この場合、通信端末B)、通信端末Aから受信した発呼指示情報から、通信端末Bに対し、それぞれの通信端末が確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する(S112)。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Aから受信した発呼指示情報を分割(本実施例の場合、転送先が通信端末Bのみのため、分割は行なわれない。)し、PAN9を構成する通信端末に対し転送する制御を行なう。
発呼端末リストに、PAN9を構成する複数の通信端末が指定されている場合、通信制御装置4は、発呼端末リストに含まれる通信端末のそれぞれに、確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する。発呼端末リストには、各通信端末の公開識別子とそれぞれの通信端末に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)を含む。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Aから受信した発呼指示情報を分割(本実施例の場合、転送先が通信端末Bのみのため、分割は行なわれない。)し、発呼端末リストに含まれる通信端末Bへ転送する制御を行なう。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、発呼端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えてそれぞれの通信端末で受信したい前記セッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
通信端末Bは、セッション制御手段4aに対しての応答メッセージの送信と(S113)、確認メッセージの受信を終えると(S114)、発呼指示情報に従って、相手ユーザもしくは通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S115)。
セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bのそれぞれとのセッション確立の処理手順の状態を示す状態情報を管理する。セッション制御手段4aは、通信端末Aもしくは通信端末Bからセッション結合指示情報を含むセッション確立のリクエストを受信すると、前記状態情報を参照して、発呼端末リストに含まれる通信端末のすべてからセッション確立のリクエストを受信するまで待機する。セッション制御手段4aは、セッション結合指示情報で指定されたすべてのセッション確立のリクエストを受信すると、通信端末Aと通信端末Bから受信したセッション確立のリクエストに含まれるセッションの種別や属性を結合して、一つのリクエストとして通信端末Cへ送信する(S116)。このリクエストの送信元は、PAN9を指定する公開識別子が指定される。
セッション制御手段4aは、通信端末Cから応答メッセージを受信すると(S117)、前記状態情報を参照して、通信端末Aと通信端末Bへの応答メッセージを生成し、それぞれの通信端末へ送信する(S118、S119)。通信端末Cからの応答メッセージが、セッションの種別や属性を変更する情報またはセッションの種別や属性の候補から選択した情報を含んでいる場合、セッション制御手段4aは、予め定められた制御論理に従って、通信端末Aと通信端末Bに対する応答メッセージを生成する。セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bそれぞれの通信端末から確認メッセージを受信すると(S120、S121)、通信端末Cへの確認メッセージを生成し、通信端末Cへ送信する(S122)。
ここで、通信端末Cとのセッション上を伝送されるアプリケーションデータを、通信端末Aとのセッション、通信端末Bとのセッションのそれぞれで伝送されるアプリケーションデータへの分割(逆方向に伝送されるデータに対しては多重)が必要とされる場合、あるいは通信端末Cとのセッションを分割する際に一旦セッションを終端または中継する必要がある場合には、セッション制御手段4aは、これらのセッションがメディアゲートウェイ4dを中継するように制御すると共に、メディアゲートウェイ4dにて必要な分割/多重処理を行なうように制御、指示する。
ここで示した手順例によれば、通信端末Cは、PAN9の中のどの通信端末とどのようなセッションが確立されているかを意識することなく、PAN9との間で確立されたセッションとして、当該セッションを用いて通信を行なうことができる。
図9は、複数の通信端末のセッションを多重して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Dを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求するかを決定し、セッション制御手段4aに対して発呼指示情報を送信する(S131)。セッション制御手段4aは、発呼指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と(S132)、通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なう(S133)。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子からなる宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む発呼端末リストである。この例では、宛先端末リストには、相手ユーザもしくは通信端末Cを特定する公開識別子が指定される。また、発呼端末リストが指定する情報によって、セッション制御手段4aの制御が異なる。
発呼端末リストに、PAN9を指定する公開識別子が指定されている場合、通信制御装置4は、予め指定された制御論理に従い、どの通信端末へ発呼指示情報を送信するかを選択し(この場合、通信端末Aと通信端末B)、通信端末Dから受信した発呼指示情報を分割し、通信端末Aと通信端末Bに対し、それぞれの通信端末が確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する(S134、S137)。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Dから受信した発呼指示情報を分割し、通信端末Aと通信端末Bへ転送する制御を行なう。
発呼端末リストに、PAN9を構成する複数の通信端末が指定されている場合、通信制御装置4は、発呼端末リストに含まれる通信端末のそれぞれに、確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだ発呼指示情報を送信する。発呼端末リストには、各通信端末の公開識別子とそれぞれの通信端末に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)を含む。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Dから受信した発呼指示情報を分割し、発呼端末リストに含まれる通信端末Aと通信端末Bへ転送する制御を行なう。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、発呼端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えてそれぞれの通信端末で受信したいセッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
通信端末A、通信端末Bは、それぞれセッション制御手段4aに対しての応答メッセージの送信と(S135、S138)、確認メッセージの受信を終えると(S136、S139)、発呼指示情報に従って、相手ユーザもしくは通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S140、S141)。
セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bのそれぞれとのセッション確立の処理手順の状態を示す状態情報を管理する。セッション制御手段4aは、通信端末Aもしくは通信端末Bからセッション結合指示情報を含むセッション確立のリクエストを受信すると、前記状態情報を参照して、発呼端末リストに含まれる通信端末のすべてからセッション確立のリクエストを受信するまで待機する。セッション制御手段4aは、セッション結合指示情報で指定されたすべてのセッション確立のリクエストを受信すると、通信端末Aと通信端末Bから受信したセッション確立のリクエストに含まれるセッションの種別や属性を結合して、一つのリクエストとして通信端末Cへ送信する(S142)。このリクエストの送信元は、PAN9を指定する公開識別子が指定される。
セッション制御手段4aは、通信端末Cから応答メッセージを受信すると(S143)、前記状態情報を参照して、通信端末Aと通信端末Bへの応答メッセージを生成し、それぞれの通信端末へ送信する(S144、S145)。通信端末Cからの応答メッセージが、セッションの種別や属性を変更する情報またはセッションの種別や属性の候補から選択した情報を含んでいる場合、セッション制御手段4aは、予め定められた制御論理に従って、通信端末Aと通信端末Bに対する応答メッセージを生成する。セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bそれぞれの通信端末から確認メッセージを受信すると(S146、S147)、通信端末Cへの確認メッセージを生成し、通信端末Cへ送信する(S148)。
ここで、通信端末Cとのセッション上を伝送されるアプリケーションデータを、通信端末Aとのセッション、通信端末Bとのセッションのそれぞれで伝送されるアプリケーションデータへの分割(逆方向に伝送されるデータに対しては多重)が必要とされる場合、あるいは通信端末Cとのセッションを分割する際に一旦セッションを終端または中継する必要がある場合には、セッション制御手段4aは、これらのセッションがメディアゲートウェイ4dを中継するように制御すると共に、メディアゲートウェイ4dにて必要な分割/多重処理を行なうように制御、指示する。
ここで示した手順例によれば、通信端末Cは、PAN9の中のどの通信端末とどのようなセッションが確立されているかを意識することなく、PAN9との間で確立されたセッションとして、当該セッションを用いて通信を行なうことができる。
本実施例では、セッション制御手段4aは、通信端末Dから発呼指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なっているが、通信端末Aと通信端末Bそれぞれへの発呼指示情報の転送、応答メッセージの受信、確認メッセージの送信の後、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なってもよい。
図10は、複数の通信端末のセッションを多重して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Dを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求し、そのセッションをどの通信端末で分担するかを決定し、セッション制御手段4aに対して発呼指示情報を送信する(S151)。セッション制御手段4aは、発呼指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と(S152)、通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なう(S153)。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子からなる発呼端末リストである。この例では、発呼端末リストには、セッション制御手段4aを特定する公開識別子が指定される。また、宛先端末リストに含まれる情報によって、セッション制御手段4aの制御が異なる。
宛先端末リストに、PAN9を指定する公開識別子と相手ユーザもしくは通信端末Cを指定する公開識別子とが指定されている場合、通信制御装置4は、予め指定された制御論理に従い、どの通信端末へセッション確立のリクエストを送信するかを選択し(この場合、通信端末Aと通信端末B)、通信端末Aと通信端末Bに対し、それぞれの通信端末が確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだセッション確立のリクエストを送信する(S154、S156)。セッション制御手段4aは、PAN9を構成する通信端末を指定する公開識別子と、相手ユーザもしくは通信端末Cを指定する公開識別子に、セッション確立のリクエストを送信するが、発呼側と着呼側の区別をする必要があるため、宛先端末リストに明示的に発呼側と着呼側の指定がされる。宛先端末リストでは、相手ユーザもしくは相手通信端末を指定する公開識別子とPANを指定する公開識別子とを明示的に区別される。また、PAN9と相手ユーザもしくは通信端末Cのそれぞれに対するセッションの割り当てを示す情報は、同じである。セッション制御手段4aは、先に、制御論理に従い選択した通信端末それぞれへセッション確立のリクエストを送信する。
宛先端末リストに、PAN9を構成する複数の通信端末と相手ユーザもしくは通信端末Cが指定されている場合、通信制御装置4は、宛先端末リストに含まれる通信端末のそれぞれに、確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだセッション確立のリクエストを送信する。宛先端末リストは、PAN9を構成する通信端末の公開識別子には、それぞれの通信端末に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)が対応付けされ、相手ユーザもしくは通信端末Cの公開識別子には、PAN9を構成するそれぞれの通信端末に割り当てられたセッションの種別、属性を統合した情報が対応付けされる。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、宛先端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えて、それぞれの通信端末で受信したい前記セッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bと相手ユーザもしくは通信端末Cのそれぞれとのセッション確立の処理手順の状態を示す状態情報を管理する。セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bそれぞれへセッション確立のリクエストを送信すると、前記状態情報を参照して、PAN9を構成する通信端末のすべてから応答メッセージを受信するまで待機する。セッション制御手段4aは、すべての応答メッセージを受信すると(S155、S157)、通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S158)。この際、PAN9を構成する通信端末から受信した応答メッセージで指定されたセッションの種別、属性を結合して、一つのリクエストとして通信端末Cへ送信する。
セッション制御手段4aは、通信端末Cから応答メッセージを受信すると(S159)、前記状態情報を参照して、通信端末Aと通信端末Bと通信端末Cへの確認メッセージを生成し、それぞれの通信端末へ送信する(S160、S161、S162)。通信端末Cからの応答メッセージでセッション種別、属性の変更があった場合には、通信端末Aと通信端末Bに対して、セッションの確立を再構成する。
ここで、通信端末Cとのセッション上を伝送されるアプリケーションデータを、通信端末Aとのセッション、通信端末Bとのセッションのそれぞれで伝送されるアプリケーションデータへの分割(逆方向に伝送されるデータに対しては多重)が必要とされる場合、あるいは通信端末Cとのセッションを分割する際に一旦セッションを終端または中継する必要がある場合には、セッション制御手段4aは、これらのセッションがメディアゲートウェイ4dを中継するように制御すると共に、メディアゲートウェイ4dにて必要な分割/多重処理を行なうように制御、指示する。
ここで示した手順例によれば、通信端末Cは、PAN9の中のどの通信端末とどのようなセッションが確立されているかを意識することなく、PAN9との間で確立されたセッションとして、当該セッションを用いて通信を行なうことができる。
本実施例では、セッション制御手段4aは、通信端末Dから発呼指示情報を受信すると、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なっているが、通信端末Aと通信端末Bそれぞれへの発呼指示情報の転送、応答メッセージの受信、確認メッセージの送信の後、通信端末Dへの応答メッセージの送信と通信端末Dからの確認メッセージの受信を行なってもよい。
図11は、複数の通信端末のセッションを多重して確立する通信手順の他の例を説明するための図である。ユーザは、PAN9を構成する通信端末群の中から、通信端末Aを利用して、相手ユーザもしくは通信端末Cに対し、どのようなセッション確立を要求し、そのセッションをどの通信端末で分担するかを決定し、セッション制御手段4aに対して発呼指示情報と、通信端末Aから相手ユーザもしくは通信端末Cに対するセッション確立のリクエストを含んだメッセージを送信する(S171)。図10で説明した実施例では、セッション制御手段4aは、発呼指示情報を受信し、選択された通信端末に対して、セッション確立のリクエストを送信したが、本実施例では、通信端末Aは、発呼指示情報とともに、セッション確立のリクエストを送信しているため、セッション制御手段4aは、通信端末Aからのセッション確立のリクエストを通信端末Cへ転送するとともに、発呼指示情報に基づき、セッション確立のリクエストを送信する。
前記発呼指示情報は、セッション確立のリクエストの宛先である相手ユーザもしくは相手通信端末を接続先として特定するための情報である公開識別子とそれぞれの通信端末にどのような種別、属性のセッションを割り当てるかを示す情報を含む宛先端末リストと、セッション確立のリクエストを送信する通信端末を特定するための情報である公開識別子からなる発呼端末リストである。この例では、発呼端末リストには、セッション制御手段4aを特定する公開識別子が指定される。また、宛先端末リストに含まれる情報によって、セッション制御手段4aの制御が異なる。
宛先端末リストに、PAN9を指定する公開識別子と相手ユーザもしくは通信端末Cを指定する公開識別子とが指定されている場合、通信制御装置4は、予め指定された制御論理に従い、どの通信端末へセッション確立のリクエストを送信するかを選択し(この場合、通信端末B)、通信端末Bに対し、それぞれの通信端末が確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだセッション確立のリクエストを送信する(S172)。セッション制御手段4aは、PAN9を構成する通信端末を指定する公開識別子と、相手ユーザもしくは通信端末Cを指定する公開識別子に、セッション確立のリクエストを送信するが、発呼側と着呼側の区別をする必要があるため、宛先端末リストに発呼側と着呼側の指定がされる。宛先端末リストでは、PAN9を指定する公開識別子と通信端末Aを指定する公開識別子に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)を統合した情報が、相手ユーザもしくは相手通信端末を指定する公開識別子に対応付けされる。セッション制御手段4aは、先に、制御論理に従い選択した通信端末それぞれへセッション確立リクエスト送信する。
宛先端末リストに、PAN9を構成する複数の通信端末と相手ユーザもしくは通信端末Cが指定されている場合、通信制御装置4は、宛先端末リストに含まれる通信端末のそれぞれに、確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別などを含んだセッション確立のリクエストを送信する。宛先端末リストは、PAN9を構成する通信端末の公開識別子には、それぞれの通信端末に対するセッションの割り当て情報(確立すべきセッション種別、メディア種別、コーデック種別など)が対応付けされ、相手ユーザもしくは通信端末Cの公開識別子には、PAN9を構成するそれぞれの通信端末に割り当てられたセッションの種別、属性を統合した情報が対応付けされる。
また、着呼側にセッションの割り当ての自由度を持たせるために、宛先端末リストには、それぞれの通信端末が受信することの可能なセッション種別、メディア種別、コーデック種別などと、加えてそれぞれの通信端末で受信したい前記セッション種別、メディア種別、コーデック種別などの優先度を示す情報を含んでいてもよい。
セッション制御手段4aは、通信端末Aと通信端末Bと相手ユーザもしくは通信端末Cのそれぞれとのセッション確立の処理手順の状態を示す状態情報を管理する。セッション制御手段4aは、通信端末Bへセッション確立のリクエストを送信すると、通信端末Bから応答メッセージを受信するまで待機する。セッション制御手段4aは、通信端末Bから応答メッセージを受信すると(S173)、通信端末Cへセッション確立のリクエストを送信する(S174)。この際、PAN9を構成する通信端末から受信した応答メッセージで指定されたセッションの種別、属性と通信端末Aからのセッション確立のリクエストで指定されたセッションの種別、属性とを結合して、一つのリクエストとして通信端末Cへ送信する。
セッション制御手段4aは、通信端末Cから応答メッセージを受信すると(S175)、前記状態情報を参照して、通信端末Aへの応答メッセージと、通信端末Bと通信端末Cへの確認メッセージを生成し、それぞれの通信端末へ送信する(S176〜S179)。通信端末Cからの応答メッセージでセッション種別、属性の変更があった場合には、通信端末Aと通信端末Bに対して、セッションの確立を再構成する。
ここで、通信端末Cとのセッション上を伝送されるアプリケーションデータを、通信端末Aとのセッション、通信端末Bとのセッションのそれぞれで伝送されるアプリケーションデータへの分割(逆方向に伝送されるデータに対しては多重)が必要とされる場合、あるいは通信端末Cとのセッションを分割する際に一旦セッションを終端または中継する必要がある場合には、セッション制御手段4aは、これらのセッションがメディアゲートウェイ4dを中継するように制御すると共に、メディアゲートウェイ4dにて必要な分割/多重処理を行なうように制御、指示する。
ここで示した手順例によれば、通信端末Cは、PAN9の中のどの通信端末とどのようなセッションが確立されているかを意識することなく、PAN9との間で確立されたセッションとして、当該セッションを用いて通信を行なうことができる。
ここまで説明してきた図6から図11に示す実施例では、一つのセッションを、PAN9を構成する複数の通信端末とのセッションに分割すること、その際の通信端末の選択、それぞれのセッションの種別、属性などの割当て、などの判断、判定はセッション制御手段4aが行なう場合について説明してきた。しかしながら、これらのセッションの内容に関るような高度な処理を、アプリケーションサーバ1にて行なうように構成することもできる。
この場合、セッション制御手段4aは、セッションの確立、分割などの基本的な処理、制御を行なう機能を実現し、セッションの種別や属性、メディアやコーデックの種別や属性など、セッション上を伝送されるアプリケーションデータに関係する処理は、アプリケーションサーバ1が実行する。つまり、セッション制御手段4aは、通信端末Cからのセッション確立のリクエストを受信すると、該リクエストで要求されたセッションの属性、種別などを、接続先であるPAN9を構成する通信端末の能力、属性などの情報と共に、アプリケーションサーバ1に通知する。アプリケーションサーバ1は、加入者情報管理手段4bからPAN9に関連する加入者の情報を取得するとともに、セッション制御手段4aからの情報と加入者情報管理手段4bから情報に基づいて、セッションを分割することの判定、通信端末の選択と該通信端末へ割り当てるセッションの種別、属性、さらにはメディアゲートウェイ4dでの中継の要否などを判断、決定してセッション制御手段4aへ指示する。
セッション制御手段4aは、この指示を参照してセッションの分割、セッションの確立などの手順を実行する。このような構成とすることにより、将来、セッション制御手段4aを変更することなく、アプリケーションサーバ1を設けるだけで、新規あるいは高度なサービスに対応できる柔軟で自由度の高い構成とすることができる。
なお、ここまで説明してきた図3、図4、図7、図9、図10では、通信端末Aおよび通信端末Bと、通信端末Dは、別の通信端末として説明したが、通信端末Dと、通信端末Aまたは通信端末Bは同じ端末であってもよい。
以上説明したそれぞれの実施例では、セッションを二つの通信端末との間での二つのセッションに分割する例について説明してきたが、三つ以上の通信端末とのそれぞれのセッションに分割する場合にも同様に適用できる。
また、それぞれの実施例では、セッション制御手段を一つのブロックとして説明したが、それぞれの通信端末とセッション制御手段は、複数のセッション制御手段(例えばSIPプロキシ)を介して接続されてもよい。その場合、PAN及びPANを構成する通信端末に対するセッションの制御は、PANが接続されたドメインを管理するセッション制御手段で行なわれる。
以上説明したように、本発明によれば、PANからのセッション確立のリクエストにおいて、PANを構成する複数の通信端末との間でのそれぞれのセッションに分割して確立することが可能となる。
また、セッション確立のリクエストを、複数の通信端末から同時に送信する際に、それぞれの通信端末との間でセッションの分割の交渉や発呼の指示が可能となる。
また、セッションを分割する際に、ユーザが通信端末の指定、セッションの分割の指定を行なうことが可能となり、PANとして通信サービスを受ける際、ユーザの自由度が高い。
また、通信制御装置による管理により、通信端末への処理負荷、実装負担が軽減される。
また、課金の計算の複雑さを軽減するため、また、セッション制御手段の処理が、発呼側に対する処理と着呼側に対する処理とに明確に分割できるようになっているため、処理手順の途中で発呼側と着呼側が交代するようなメッセージのやり取りは行なわないように考慮されている。つまり、リクエストメッセージは、常に発呼側からもしくは発呼側のセッション制御手段から送信されることとなる。また、発呼側を管理するセッション制御手段がセッションの多重、PAN内の通信端末への制御方法の決定などを行なえるようになる。
また、発呼指示を通信制御装置が転送し、PAN内の通信端末に発呼させるため、PANを構成する通信端末間での交渉やメッセージの送受信回数を軽減することができる。
また、第1の通信端末でセッションを管理することができ、通信制御装置からの応答(キャンセルや一部の通信端末がアクセス不能等)に応じた処理が第1の通信端末で可能となる。
また、複雑な応答メッセージや確認メッセージのやり取りが通信制御装置で行なわれるため、通信端末に対する負担が軽減される。また、通信制御装置が、相手通信端末とPANを構成する通信端末との間でのセッションの交渉のサポートをすることが可能となる。
また、メッセージの送受信回数を軽減することができる。
また、ユーザが、PANを構成する通信端末から同時発呼するだけで、自動的に相手ユーザもしくは相手通信端末へ1つに多重したメッセージを送信することができる。
また、通信制御装置からPANを構成する通信端末のそれぞれに対し、発呼指示情報ではなく、セッション確立の要求が直接送信されるため、PANを構成する通信端末の実装が容易となる。
また、セッションの分割を行なう際に、通信端末間のエンド・エンド間のみの制御で実現することが可能となり、特別な通信制御装置を必要としない。