JP4962562B2 - 基地局及び移動局 - Google Patents

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Description

本発明は基地局及び移動局に係わり、特に、順番を示す番号が付加されたパケットを基地局から移動局に送信し、移動局においてパケットを番号順に並べ直す基地局及び移動局に関する。
携帯電話などの移動通信システムは、現在はCDMA方式による第三世代方式がサービスを開始しているが、より高速な通信が可能となる次世代移動通信システム(LTE:Long Term
Evolution)の検討が3GPP(3rd Generation Partnership Project)で進められている(非特許文献1)。そこでは、伝送レートの高速化に加えて、伝送遅延の削減が大きな課題となっている。
伝送レートを高速化し、伝送遅延を削減するために、LTE通信システムではハンドオーバの方法が従来のシステムと比較して高度化する工夫がなされている。移動体通信において、移動局が通信中に移動する際、受信状態に応じて通信する基地局の切り替え(ハンドオーバ)が生じる。このため、ハンドオーバを高度化することは、高速/低遅延通信には必要不可欠である。LTE通信システムにおいて、パケット交換システムが基本となるため、ハンドオーバはハードハンドオーバとなる。ハードハンドオーバにおいては、移動局が移動前に通信を行なっていた基地局との回線接続が切れた後、移動局と移動先基地局との回線がつながる。ハードハンドオーバは、ハンドオーバを行なう直前に移動先基地局のシステム情報を入手することにより、短時間にハンドオーバを行なうことが可能であるが、ハンドオーバ中はユーザデータの伝送中断状態が生じ。
したがって、伝送遅延を減少させるためには、伝送中断状態を短縮することと、伝送中断中にパケットの欠落を防止することが重要である。もし、伝送中断中にパケットの欠落が生じた場合、欠落したパケットは、エンドツーエンドにおけるパケット再送によってリカバーされるため、伝送遅延が大きくなる。
そこでLTE通信システムにおけるハンドオーバでは、図2のように、移動元基地局から移動先基地局に、該移動局宛の制御情報とパケットを含むデータのうち、少なくともパケットは移動元基地局に転送することによって引き継ぐ、という方法が仕様化されている(非特許文献2)。ただし、実際にデータの引き継ぎを行うか否かは例えば実装依存である。
図19はハンドオーバ時の引継ぎ説明図である。図19(A)において、2つの基地局1a,1bが上位局(例えばアクセスゲートウェイ)2に接続されている。移動局4は基地局1aのセル3a内に存在し、現在基地局1aと通信中である。かかる状態において、図19(B)に示すように移動局4が基地局1bの方向に移動してセル3b内に進入するとハンドオーバが実行され、移動局の通信基地局が基地局1aから基地局1bに切り替わる。なお、ハンドオーバ前に通信中の基地局を移動元基地局(ソース基地局)、ハンドオーバ後に通信する基地局を移動先基地局(ターゲット基地局)という。
移動元基地局1aは、上位局2より受信したパケットを内蔵のバッファに保存し、該バファーに保存されたパケットを順次移動局4へ送信する。このため、ハンドオーバ発生時、移動局へ送信されずにバッファに蓄積されるパケットが存在する。図19(B)では、ハンドオーバ前に受信して移動局へ送られずにバッファにパケットn-2〜nが蓄積されており、これらパケットをハンドオーバ後に移動先基地局1bから移動局4へ送信する必要がある。このため、ハンドオーバシーケンス実行時に、移動元基地局1aはパケットn-2〜nを移動先基地局1bに転送している(フォワーディング)。このフォワーディングの方法
を用いることにより、ハンドオーバの直後に移動先基地局1bが該パケットを移動局4に送信するため、パケットの途切れは生じない。このため、エンドツーエンドでパケット再送は生じず、高速なハンドオーバを実行することが可能となる。なお、上記のn-2〜nはパケットの順番を示す番号(シーケンス番号)である。
図20はLTE通信システムのハンドオーバ説明図、図21はLTE通信システムにおいて現在想定されているハンドオーバ手順説明図である。
移動局4は移動元基地局1にMeasurement ReportによりハンドオーバHOが必要であることを通知する (1.測定制御)。
移動元基地局1はMeasurement Reportの内容によりターゲット基地局1bを決定し(2.HO決定)、該移動先基地局1bにハンドオーバ要求を送信する (3.HO要求)。HOはHandover(ハンドオーバ)を意味する。その際、移動元基地局1aは移動局の情報(移動局IDやQoS(Quality of Service)情報など)なども送信する。移動先基地局1bは、それらの情報を基に呼受付制御を行う(4.呼受付制御)。
移動先基地局1bが移動局の受け入れを許可すると、ハンドオーバ応答を移動元基地局に返信する(5.HO応答)。続いて6. 移動元基地局1aは移動局4にハンドオーバ指示を行い(6.HO指示)、その前後でデータ(パケット)の引き継ぎを開始する(パケット転送:フォワーディング)。
ハンドオーバ指示を受信した移動局4は移動先基地局1bとL1/2シグナリングにより同期を確保し(7.同期確保)、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局1aに送信する(8.HO完了)。
これにより、移動先基地局1bは、ハンドオーバ完了の報告を上位局2に送信する(9.HO完了)。上位局2は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局1aから移動先基地局1bに切り替え(10.経路切替)、HO完了応答を移動先基地局1bに返信する(11.HO完了応答)。移動先基地局1bはHO完了応答によりハンドオーバHOが完了したことを移動元基地局1a に通知する(12.リソース解放)。この後、移動元基地局1aと上位局2間のパスが削除される(13.リソース解放)。
上記のハンドオーバシーケンス実行中に、パケット転送(フォワーディング)が生じると、移動先基地局1bにおいて該転送されたパケットが上位局2から流入するパケットにより飛び越され、シーケンス番号が乱れる可能性がある。移動先基地局1bが、シーケンス番号が乱れたまま移動局4にパケットを転送すると、移動局では正しい順番でパケットが受信できないため、通信品質が劣化し、結果的にハンドオーバ前後で高品質な通信が実現できない。
そこでLTE通信システムでは、基地局と移動局において、次のような方法でパケットの順序整合性を保つ。図22はかかるパケットの順序整合の説明図であり、移動先基地局1bは、移動元基地局1aより転送されてくるパケットを上位局より受信したパケットより優先的に伝送することにより、パケットの順序整合性を保つ。すなわち、ハンドオーバ前に移動元基地局1aにパケットn-5〜nが蓄積されており、その後ハンドオーバが生じたため、パケットn-5〜n−3が移動先基地局1bに転送されてバッファBFに格納されている。また、移動先基地局1bのバッファBFには上位局から受信したパケットn+1、n+2が格納されている。
移動先基地局1bは、転送されてきたパケットn-5〜n-3と、上位局から流入するパケットn+1〜n+2をバッファに格納しているが、まず、移動元基地局1aより転送されてきたパケットn-5〜n-3を先に移動局へ送信する。しかる後、移動元基地局1aよりのパケットn-2〜nの転送が遅れている場合には、パケットn+1〜n+2を移動局へ送信する。移動局4は、受信したパケットをシーケンス番号順に並べ替える処理(リオーダリング)を実行する。
図23は移動局のリオーダリング処理説明図である。移動局4は図22においてパケットn-5〜n-3をシーケンス番号順に受信したため、順番に上位層に渡す。しかし、パケット
n+1〜n+2を受信した時点では、まだパケットn-2〜パケットnが到着していない。このため、これら到着していないパケットを受信するまでパケットn+1〜n+2をバッファBF1に蓄積し、上位層には渡さない。そして、パケットn-2〜パケットnを受信すれば、これらのパケット、ついで、パケットn+1〜n+2を順番に上位層に渡す。なお、上記のパケットの待ち時間には通常上限を設置し、例えば、移動局のタイマで計時する方法などがある。
以上のように、LTE通信システムにおけるハンドオーバでは、パケット転送(フォワーディング)とパケットのリオーダリング処理が必須の技術となる。ここで、これらの機能の関係について、より詳細に説明する。
図24は、移動局とネットワーク間のプロトコル構成を示す説明図である。移動局とネットワーク間には、少なくともPDCP(Packet Data Convergence Layer)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、および下位レイヤ(MACレイヤ/物理レイヤMAC/PHY)が設置される。移動局にはこれらのレイヤは全て実装されるが、ネットワーク側では全レイヤが同じ局に実装されるとは限らない。図25では、上位局であるaGW 2にPDCPレイヤが実装され、基地局1にRLCレイヤと下位レイヤが実装された例が示されている。なお、基地局1にPDCPレイヤ、RLCレイヤ、下位レイヤを全て実装し、aGW 2にパケットルーチング機能やシーケンス番号付加機能など単純な機能だけを持たせるようにシステムを構成することもできる。
図25の例では、移動局4と上位局であるaGW 2間ではPDCP レイヤでのデータ送受が行なわれ、ユーザ端末4と基地局1 間ではRLCレイヤでのデータ送受が行なわれる。
すなわち、移動局宛のデータは、まずupper layer (例えばIPレイヤ)からPDCPレイヤに流入しPDCP SDU(Service Data Unit)となり、さらにヘッダ情報(PDCPレイヤのシーケンス番号など)が付加されてPDCP PDU(Protocol Data Unit)となる。
PDCP PDUはRLCレイヤに回送されRLC SDUとなり、さらにヘッダ情報(RLCレイヤのシーケンス番号など)が付加されてRLC PDUとなる。RLC PDUが下位レイヤの処理を経て移動局のRLCレイヤに到着する。このRLCレイヤにおいて、ヘッダが除去されRLC SDUが再構築され、さらにPDCPレイヤではPDCP PDUのヘッダが除去されてPDCP SDUとなり、上位層に回送される。
このようなプロトコル構成において、LTE通信システムでは、パケット転送はRLC SDU単位で、あるいはPDCP SDU単位で実施され、リオーダリングはPDCP PDU単位で実施される。なお、RLC SDUとPDCP PDUは実質的には同じデータであるため、本明細書では、特に断らない限りこれらは単にパケットと呼び、該パケットの番号を記述している場合、該番号はPDCP PDUのシーケンス番号を指すものとする。
図26はハンドオーバ時の移動元基地局装置の動作フローチャートである。
移動元基地局1aはユーザ端末4よりMeasurement Reportにより受信電界強度など受信すれば(ステップ101)、ハンドオーバHOが必要であるか否かを判断し(ステップ102)、ハンドオーバ不要であればはじめに戻る。
しかし、ハンドオーバが必要であると決定すれば、移動元基地局1a はMeasurement Reportの内容により移動先基地局1bを決定し、該移動先基地局1bにハンドオーバ要求を送信する (ステップ103)。
しかる後、移動先基地局1bより送信されるハンドオーバ応答を受信し(ステップ104)、データ引継ぎを実行するか判断する(ステップ105)。移動局に送信せずにバッファに残留したパケットの引継ぎを行わない場合には、移動局へHO指示すると共に、該パケットの消去を行う(ステップ106)。一方、移動局に送信せずにバッファに残留したパケットの引継ぎを行う場合には、移動局へHO指示すると共に、該パケットのフォワーディングを行う(ステップ107)。なお、VoIP呼のパケットのようにリアルタイム性の高いサービスのパケットは引継ぎせずに廃棄する。廃棄した方が、遅延なく音声を送信、受信できるためである。一方、QoSの高いサービスのパケットは引継ぎする。
以後、移動先基地局1bから送られてくるリソース解放メッセージを受信し(ステップ108)、リソース解放を実行する(ステップ109)。
図27はハンドオーバ時の移動先基地局のフローチャートである。
移動先基地局1bは移動元基地局1aよりHO要求(移動局IDやQoS情報などを含む)を受信すると(ステップ121)、それらの情報を基に呼受付制御を行い、移動局の受け入れを許可するか判断する(ステップ122)。許可しなければ後処理を行って(ステップ130)、ハンドオーバ制御を終了する。
一方、移動局の受け入れを許可する場合には、移動元基地局1aへHO応答を返信する(ステップ123)。続いて、移動先基地局1bは 移動元基地局1aから転送されてくるパケットをバッファに蓄積し(ステップ124)、また、移動局4からHO完了の報告を受信する(ステップ125)。HO完了の報告を受信すれば、移動先基地局1bは、HO完了の報告を上位局2に送信する(ステップ126)。上位局2は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局1aから移動先基地局1bに切り替え、HO完了応答を移動先基地局1bに返信する。移動先基地局1bは上位局2よりHO完了応答を受信すれば、移動先基地局1bからフォワーディングされているパケットから優先的に移動局へ送信を開始し、該パケットを送信後、上位局2より受信したパケットの移動局への送信を開始する(スケジューリング:ステップ127)。また、ステップ128と並行して移動先基地局1bはリソース解放を移動元基地局1a に送信し(ステップ129)、後処理を行って(ステップ130)、ハンドオーバ制御を終了する。
図28はハンドオーバ時の移動局のフローチャートである。
移動局4の測定部は受信電界強度などをMeasurement Reportにより移動元基地局に通知する(ステップ151)。以後、移動元基地局1a からHO指示を待ち、HO指示を受信すれば(ステップ152)、移動先基地局1bとL1/L2シグナリングにより同期を確保し(ステップ153)、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局11bに送信し(ステップ154)、以後、移動局は移動先基地局1bからパケットを受信すればリオーダリング処理を実行する(ステップ155〜160)。
すなわち、移動局の制御部は移動先基地局1bから下位レイヤパケットを受信するとRLC SDUを構築し、該RLC SDUをリオーダ部に渡す(ステップ155)。リオーダ部はシーケンス番号の抜けがあるかチェックし(ステップ156)、抜けがなく、シーケンス番号が連続していれば、該RLC SDUをPDCP SDUとして上位層に渡す(ステップ160)。一方、シーケンス番号に抜けがあれば制御部はリオーダ部にPDCP PDUを保持するよう指示する。これにより、リオーダ部はPDCP PDUを保持すると共に(ステップ157)、シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信したかチェックする(ステップ158)。シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信すれば、該RLC SDUをPDCP SDUとして上位層に渡すと共に、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ160)。
また、ステップ158において、シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信しなければ、予め設定されている時間が経過したか監視し(ステップ159)、経過してなければステップ157以降の処理を繰り返し、経過すればシーケンス番号が不連続であっても、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ160)。
ところで、LTE通信システムにおいてハンドオーバに伴うパケット転送を実行する際には、次の課題がある。すなわち、ハンドオーバが実行されると、LTE通信システムでは前述のように、移動元基地局1aに残留する移動局のデータの引き継ぎを実行し、引き継ぎに伴いパケット転送(フォワーディング)が生じる。しかし、ハンドオーバ時にデータ引き継ぎを実行するか否かは、たとえば該フォワーディング機能が移動元基地局に実装されているかにより依存する。
したがって、例えば、移動元基地局1aはパケット転送(フォワーディング)を実行しなかったが、移動局4はそのことを通知されずにパケット転送が実行されたと間違って判断す
ることがあり、かかる場合、ハンドオーバ後に移動局のリオーダ管理部が、シーケンス番号が連続するパケットの到着を所定時間経過するまで無駄に待つことになる。したがって、通信遅延の増加やスループットの劣化が生じ、ハンドオーバ前後で高品質な通信品質を保てなくなる。
例えば、図29に例を示す。ハンドオーバの際、移動元基地局1aに残留するパケットはn-2〜nである。しかし、これらのパケットを移動先基地局1bにフォワーディングしなかった場合、移動局4は移動先基地局1bからパケットn+1を受信後、送られてくることがないパケットn-2〜nの到着を所定時間無駄に待つことになる。この結果、通信遅延が発生し、システム全体のスループットを低下する問題が生じる。
第1従来技術として、断片化されたパケットから断片化前のパケットを復元し、パケット到着順序の逆転を元に戻す、リアセンブルおよびリオーダリング装置がある(特許文献1)。しかし、この従来技術は、GPRS(General Packet Radio Service)のGTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネル内で断片化されたパケットから断片化前のパケットを復元し、断片化およびリアセンブルによって生じたパケット到着順序の逆転を元に戻すリアセンブルおよびリオーダリング装置に関するものである。
また、第2従来技術として、高速パケット通信中の基地局間ハンドオーバ時にデータロスのない高速パケットデータ転送を実現するために移動通信システムがある(特許文献2参照)。この移動通信システムおいて、基地局と移動局との間で高速パケット通信中に移動局による基地局間ハンドオーバの発生時にハンドオーバ元の基地局からハンドオーバ先の基地局へパケットデータを転送させる(フォワーディング)。
しかし、第1、第2従来技術は共に、移動先基地局から受信したパケットのリオーダリングによる通信遅延の増加やスループットの劣化を低減するものではない。
以上から本発明の目的は、ハンドオーバ制御実行時に移動元基地局に残留するパケットを移動先基地局にフォワーディングしない場合(引継不実行)、シーケンス番号が不連続であっても移動局がリオーダリングをしないようにすることである。
本発明の別の目的は、ハンドオーバ制御実行時に移動元基地局に残留するパケットを移動先基地局にフォワーディングした場合(引継実行)、移動局がリオーダリングをするようにすることである。
特開2004−135076号公報 特開2004−282652号公報 3GPP, "Requirements for Evolved UTRA(E-UTRA) and Evolved UTRAN(E-UTRAN)," TR25.913 V7.3.0, Release 7, March 2006. 3GPP, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN)," TS36.300, Release 8, V0.4.0, January 2007
・基地局
本発明の第1は、順番を示す番号が付加されたパケットを基地局から移動局に送信し、移動局においてパケットを番号順に並べ直すと共に、ハードハンドオーバを実行する通信システムにおける基地局であり、ハンドオーバシーケンス実行時に上位局より受信したパケットのうち移動局へ送信してないパケットを移動先基地局へ転送するか、転送しないかを設定し、該設定に応じてハンドオーバシーケンス実行時に該パケットの移動先基地局への転送を制御し、該パケットの転送の実行の有無を示す情報であって、移動局で移動先基地局より受信するパケットのリオーダリングを実行するか、しないかを決定するために用いられる情報を該移動局へ送信する制御部を備えている。
・移動局
本発明の第2は、順番を示す番号が付加されたパケットを基地局から移動局に送信し、移動局においてパケットを番号順に並べ直すと共に、ハードハンドオーバを実行する通信システムにおける移動局であり、ハンドオーバシーケンス実行時に移動元基地局から移動局へ送信していないパケットの、移動元基地局より移動先基地局への転送の実行の有無を示す情報であって、移動局で移動先基地局より受信するパケットのリオーダリングを実行するか、しないかを決定するために用いられる情報を移動元基地局より受信する受信部、ハンドオーバシーケンス実行時に、移動元基地局より受信した前記パケットの転送の実行の有無を示す情報に基づいて、移動先基地局より受信するパケットのリオーダリングを実行するか、しないかを決定する制御部を備えている。
第1実施例の説明図である。 通信状態情報を含むHO応答メッセージのフォーマット例である。 基地局の構成図である。 移動局の構成図である。 第1実施例における移動先基地局の動作フローチャートである。 HO指示メッセージのフォーマット例である。 第1実施例における移動元基地局のフローチャートである。 第1実施例の移動局の動作フローチャートである。 移動局のリオーダリング処理フローである。 第2実施例の説明図である。 第2実施例の移動元基地局の動作フローチャートである。 変形例の移動元基地局の動作フローチャートである。 変形例の移動局におけるリオーダリング処理フローである。 バッファ管理部がパケット転送機能を有しない簡易型構成になっている基地局の構成図である。 第3実施例の移動元基地局の動作フローチャートである。 零夜を意識したシステム構成図である。 第4実施例の説明図である。 第4実施例のハンドオーバ手順説明図である。 ハンドオーバ時の引継ぎ説明図である。 LTE通信システムのハンドオーバ説明図である。 LTE通信システムにおいて現在想定されているハンドオーバ手順説明図である。 パケットの順序整合の説明図である。 移動局のリオーダリング処理説明図である。 移動局とネットワーク間のプロトコル構成を示す説明図である。 上位局であるaGWにPDCPレイヤが実装され、基地局にRLCレイヤと下位レイヤが実装された場合の説明図である。 ハンドオーバ時の移動元基地局装置の動作フローチャートである。 ハンドオーバ時の移動先基地局のフローチャートである。 ハンドオーバ時の移動局のフローチャートである。 課題説明図である。
(A)本発明の原理
本発明では、以下2つの手続きを基地局および移動局が実行できるようにすることにより課題を解決する。
手続き1:ハンドオーバ時、移動元基地局または移動先基地局が、データ引き継ぎを実行したか否かという引き継ぎ実行情報を移動局に通知する。
手続き2:移動局は前記引き継ぎ実行情報を受信すると、データ引き継ぎが実行されたか否かを判断し、データ引き継ぎに伴うパケット転送が実行されなかった場合は、到着するパケットのリオーダは行わず、受信したパケットから即座に上位層に渡す。
従来方法では、基地局において、ハンドオーバの際の引き継ぎ実行情報を移動局に通知しなかった。このため、データ引き継ぎに伴うパケット転送(フォワーディング)が実行されなかった場合、移動局ではフォワーディングされなかったパケットについても、その到着を所定時間が経過するまで無駄に待つことにより、通信遅延の増加やスループットの劣化が発生するという課題があった。しかし、本発明方法における引き継ぎ実行情報を通知する手段を用いると、移動局は引き継ぎ実行情報を知ることができるため、引き継ぎされなかった場合はリオーダリングを停止することによって、無駄なパケットリオーダリングを行わなくてよい。よって、従来方法と比較して、ハンドオーバ前後の通信品質を高品質に保つことが可能となる。
(B)第1実施例
図1は第1実施例の説明図であり、移動元基地局11aは、ハンドオーバシーケンス実行時にパケット転送(フォワーディング)の可否を移動先基地局11bの通信状況によって判断し、フォワーディング実行情報(引き継ぎ実行情報)を移動局14に通知する。
図1では、ハンドオーバシーケンス開始時、移動元基地局11aのバッファに移動局宛のパケットパケットn-2〜nが送信されずに蓄積されている。パケットn-2は伝送中であり、最大再送回数もしくは所定時間に達していない。また、パケットn-1〜nはバッファ部BFに蓄積中である。ハンドオーバシーケンス実行時、移動先基地局11bは、移動先基地局の通信状態情報をHO応答メッセージとともに移動先基地局11aに通知する。移動元基地局11aは、該通信状態情報を受信すると、移動先基地局の通信状態に応じてデータ引継ぎの実行可否を決定し、移動局14へのHO指示に際してデータ引継ぎの実行の有無を示す引継ぎ実行情報を付加する。
図2は通信状態情報を含むHO応答メッセージのフォーマット例を示す。該メッセージに
は、図2(a)に示すように、少なくとも識別子IDと通信状態情報CSTを含んでいる。識別子としては、少なくとも移動局が移動先基地局で使用する新しい識別子が含まれてもよい。また、該メッセージの宛先アドレスとして移動元基地局11aのアドレスが、該メッセージの送信元アドレスとして移動先基地局11bのアドレスが含まれる場合もある。該通信状態情報をXビットで表現した場合、定義できる状態数は2Xとなる。
通信状態情報CSTは、図2(b)に示すように、移動先基地局11bの輻輳度合に応じて輻輳度合情報を載せる。例えば、輻輳度合情報を2ビットで表現した場合、4つの輻輳度合(深刻な輻輳、重度な輻輳、軽度な輻輳、輻輳していない)が表現できる。一方、図2(c)のように、移動先基地局のメモリ残量を通知するためのバッファ状態情報を載せることができる。例えば、バッファ状態情報を10ビットで表現した場合、1024個の状態が表現できる。この数値をKbyteで表現すると、最大1024 Kbyteのメモリが、該移動局のために確保できたことを意味する。さらに、図2(d)のように、移動先基地局でのパケット転送機能実装情報を載せることができる。該転送機能実装情報とは、そもそもパケット転送機能を実装しているか否か、という情報である。例えば、複数の移動局が同時にハンドオーバを実行する場合、各移動局宛のパケットは、スケジューラによって転送のスケジューリングが実行されながら転送される。また、移動元基地局11aから移動先基地局11bにパケットを転送するためには、パケット転送のプロトコルが必要である。このような機能の実装有無について、1ビットで表現した場合、該実装情報の有無を通知することができる。
このような輻輳状態情報メッセージを移動元基地局11aが受信した後、データ引き継ぎの可否について判断する。例えば、移動先基地局11bから「軽度な輻輳」を通知された場合、データ引き継ぎを実行する。また、移動先基地局11bから「重度な輻輳」を通知された場合、データ引き継ぎは実行しない。一方、移動先基地局11bのメモリ残量が、全パケットを転送しても十分に収容できるメモリ残量であれば、データ引き継ぎを実行する。一方、移動先基地局11bのメモリ残量が「0 Kbyte」と通知された場合、データ引き継ぎは実行しない。さらに、移動先基地局11bがパケット転送機能を「実装している」と通知された場合、データ引き継ぎを実効する。また、パケット転送機能を「実装してない」と通知された場合、データ引き継ぎは実効しない。
図3は基地局の構成図であり、バッファ部21、スケジューラ部22、送受信部23、制御部24が示されている。
バッファ部21は上位局から流入してくるパケットおよび、隣接基地局(移動元基地局)から転送されるパケットを蓄積するためのメモリである。本図では、物理的に2つのバッファを設置しているが、物理的に1つのメモリを設置して、ソフトウェア的に分割して利用するという装置構成をとることができる。スケジューラ部22は、通信している複数の移動局の中から、無線伝送を行う移動局を選択し、バッファ部に蓄積している該当移動局のパケットを取り出し、送受信部23に回送する。送受信部23はスケジューラから伝送されてくるパケットの符号化、変調処理を行い、無線上で実際のデータ伝送を行う。また、移動局から送信される制御信号や各種データを受信、復調する。
制御部24は、バッファ管理部24a、HO制御部24b、測定情報制御部24cを備えている。バッファ管理部24aはバッファ21に蓄積されている各種パケットの管理を行う。ハンドオーバ時にデータ引き継ぎが実行されると、バッファ部21に蓄積されている全てのパケットを移動先基地局に転送する。一方、ハンドオーバが生じてもデータ引き継ぎが実行されない場合、バッファ部21に蓄積されている全てのパケットを消去するよう制御する。HO制御部24bは図21で説明したハンドオーバ制御実行し、測定制御部24cは移動局から送信される様々な測定情報、例えば、移動局の無線品質CQI(Channel Quality
Information)などを収集するための制御部である。
図4は移動局の構成図であり、送受信部31、バッファ部32、スケジューラ部32、リオーダ部33、制御部34が示されている。送受信部31は基地局の送受信部とパケットや制御情報の送受信をおこなう。バッファ部32は受信した下位層パケットからRLC PD
Uが構築できなかった場合、該RLC PDUが構築できるまで保持し、RLC PDUが構築できた場合、ヘッダを除去し、RLC SDUとしてリオーダ部33に渡す。リオーダ部33はPDCP PDUをシーケンス番号順に並べ替えて上位層に渡すための機能を有している。リオーダ部33はPDCP PDUのシーケンス番号の抜けを検出した場合、シーケンス番号が連続するPDCP PDUを受信するまで、以降のPDCP PCUを内蔵のメモリに保持する。ただし、リオーダ部は該PDCP PDUが所定時間経過しても到着しない場合はリオーダリング処理を停止し、蓄積している全てのPDCP PDUを上位層に渡す。
制御部34は測定制御部34a、リオーダ管理部34b、再送管理部34cを備えている。測定制御部34aは、基地局に送信する様々な測定情報を測定する。例えば、移動局の無線品質CQI(Channel Quality Information)を計測する。リオーダ管理部34bはリオーダ部33を制御し、リオーダ部33が保持しているPDCP PDUについて番号が抜けた場合、番号が連続するPDCP PDUの到着待ちをするよう指示する。また、該パケットの到着待ち時間が所定時間を経過すると、リオーダリングの停止をリオーダ部33に指示すると共に、保持している全てのPDCP PDUのヘッダを除去し、PDCP SDUとして上位層に渡すよう指示し、新規PDCP PDUの受信ができる状態にする。再送管理部34cは再送制御時、点線で示すルートで再送要求信号を送受信部31を介して基地局に送信する。
図1においてフォワーディングを実施する場合、パケットn-2の伝送を中止し、パケットn-2〜nを移動先基地局11bに転送する。一方、パケットのフォワーディングを実行しない場合、パケットn-2の伝送を中止し、パケットn-2〜nをバッファ部から消去する。移動元基地局11aは、移動局14へのHO指示メッセージにデータ引継ぎ(フォワーディング)の実行の有無を示す引継ぎ実行情報を付加して送信する。
図5はかかる一連の動作を実行するための、移動先基地局11bの動作フローチャートである。
図5において、移動先基地局11bのハンドオーバ制御部24bは移動元基地局11aよりHO要求(移動局IDやQoS情報などを含む)を受信すると(ステップ201)、それらの情報を基に呼受付制御を行い、移動局の受け入れを許可するか判断する(ステップ202)。許可しなければ後処理を行って(ステップ211)、ハンドオーバ制御を終了する。
一方、ハンドオーバ制御部24bは移動局の受け入れを許可する場合には、移動先基地局11bの通信状態(輻輳状態あるいはバッファ使用状態あるいは機能実装状態)を判断し(ステップ203)、通信状態情報を含む図2で説明したHO要求応答メッセージを移動元基地局1aへ返信する(ステップ204)。続いて、移動先基地局1bは 移動元基地局1aから転送されてくるパケットをバッファに蓄積し(ステップ124)、以後、バッファ部21は移動元基地局11aからフォワーディングされてくるパケットを格納する。
かかる状態において、ハンドオーバ制御部24bは、移動局4からHO完了の報告を受信すると(ステップ206)、HO完了の報告を上位局12に送信する(ステップ207)。上位局2は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局11aから移動先基地局11bに切り替え、HO完了応答を移動先基地局11bに返信する(ステップ208)。移動先基地局11bのハンドオーバ制御部24bは上位局12よりHO完了応答を受信すれば、スケジュー22にパケットの送信開始を指示する。これにより、スケジューラ22は、フォワーディングされているパケットから優先的に移動局14へ送信を開始し、該パケットを送信後、上位局12より受信したパケットを移動局へ送信を開始する(スケジューリング:ステップ209)。また、ステップ209と並行してハンドオーバ制御部24bはリソース解放を移動元基地局11a に送信し(ステップ210)、後処理を行って(ステップ211)、ハンドオーバ制御を終了する。
移動元基地局11aは、前述のようにフォワーディングを実行したか否かについてHO指示メッセージで移動局14に通知する。図6は HO指示メッセージのフォーマット例であり、該メッセージには、少なくとも識別子IDと引き継ぎ実行情報PHOが含まれる。識別子としては、少なくとも移動局が移動先基地局で使用する新しい識別子が含まれている。また、
該メッセージの宛先アドレスとして移動局14のアドレスが、該メッセージの送信元アドレスとして移動元基地局11aのアドレスが含まれてもよい。さらに、引き継ぎ実行情報を通知するために、少なくとも1ビットの情報を載せる。例えば、該情報の値が0であればデータ引き継ぎ(フォワーディング)が実行されていることを示し、一方、該情報の値が1であればデータ引き継ぎが実行されなかったことを示す。逆に、該情報の値が0であればデータ引き継ぎが実行されなかったことを示し、一方、該情報の値が1であればデータ引き継ぎが実行されたことを示すこともできる。
図7はかかる一連の動作を実行するための、移動元基地局の装置動作フローチャートである。
図7において、移動元基地局11aのユーザの測定制御部24aは移動局14よりMeasurement Reportにより受信状態情報を受信すれば(ステップ251)、該受信状態情報に基づいてハンドオーバHOが必要であるか否かを判断し(ステップ252)、ハンドオーバ不要であれば始めに戻る。
しかし、ハンドオーバHOが必要であると決定すれば、ハンドオーバ制御部24bはMeasurement Reportの内容により移動先基地局11bを決定し、該移動先基地局11bにハンドオーバ要求を送信する (ステップ253)。
しかる後、移動先基地局11bより送信されるHO応答メッセージを受信し(ステップ254)、該HO応答メッセージに含まれる通信状態情報CSTに基づいてパケットの引き継ぎ(フォワーディング)を実行するか決定し(ステップ255)、パケットの引き継ぎを実行しないと決定すれば、HO制御部24bはHO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”1”:引継ぎ不実行)を記入して移動局へ送信し(ステップ256)、バッファ管理部24aにバッファ21に残存するパケットの消去を指示する(ステップ257)。
一方、ステップ255において、パケットの引き継ぎを実行すると決定すれば、HO制御部24bはHO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”0”:引継ぎ実行)を記入して移動局14へ送信し(ステップ258)、バッファ管理部24aにバッファ21に残存するパケットの移動先基地局11bへのフォワーディング(パケット転送)を指示する(ステップ259)。これにより、バッファ管理部24aは点線のルートでバッファ21に存在する移動局14へ送信されなかったパケットを移動先基地局11bへフォワーディングする。以後、移動先基地局11bから送られてくるリソース解放メッセージを受信し(ステップ260)、リソース解放を実行する(ステップ261)。
移動局14は、図1において、HO指示メッセージに含まれる引き継ぎ実行情報PHOを受信し、引き継ぎが実行されていればリオーダリングを開始する。具体的には、移動局14はパケットn-2〜nよりも早くパケットn+1以降を受信した場合、パケットn+1を上位層に渡さず、所定時間経過するまでパケットn-2〜nパケットの到着を待つ。一方、引き継ぎが実行されていなければ、移動局14はパケットn-2〜nの到着を待たずに、パケットn+1以降を、即座に上位層に渡して次のパケットの受信準備を行う。
図8は移動局の動作フローチャートである。
移動局14の測定部34aは受信状態などをMeasurement Reportにより移動元基地局11aに通知する(ステップ271)。以後、制御部34は移動元基地局11a から送られてくるHO指示メッセージを待ち、HO指示メッセージを受信すれば(ステップ272)、移動先基地局11bとL1/L2シグナリングにより同期を確保し(ステップ273)、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局11bに送信する(ステップ274)。しかる後、制御部34は、ステップ272で受信しているHO指示メッセージの引継ぎ実行情報PHOを参照してデータ引継ぎ(フォワーディング)が実行されたかチェックし(ステップ275)、データ引継ぎが行われていなければリオーダリング処理を実行することなく、移動先基地局11bより受信しているパケットを用いてPDCP SDUを生成して上位層に渡す(ステップ276)。一方、ステップ275において、データ引継ぎを行っていることが判明すれば、リオーダ管理部34bはリオーダ部33を制御してリオーダリング処理を実行す
る(ステップ277)。
図9は移動局のリオーダリング処理フローである。
送受信部31が移動先基地局11bから下位レイヤパケットを受信すると、リオーダ管理部34bはRLC PDUを構築できるかチェックし(ステップ302)、構築できなければ設定時間経過したかチェックし(ステップ303)、設定時間経過してなければ該下位レイヤパケットをバッファ32に保存し(ステップ304)、ステップ302以降の処理を行う。下位レイヤパケットを受信してから設定時間経過してもRLC PDUを構築できなければ、下位レイヤパケットをバッファから消去する(ステップ305)。
一方、ステップ302において受信した下位レイヤパケットを用いてRLC PDUを構築できれば、該RLC PDUをRLC SDUとしてリオーダ部33に渡す(ステップ306)。リオーダ部33はRLC SDUを受信すれば、シーケンス番号の抜けがあるかチェックし(ステップ307)、抜けがなく、シーケンス番号が連続していれば、該RLC SDUをPDCP SDUとして上位層に渡す(ステップ311)。しかし、シーケンス番号に抜けがあればリオーダ管理部34bはリオーダ部33にPDCP PDUを保持するよう指示する(ステップ308)。これにより、リオーダ部33はPDCP PDUを保持すると共に、シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信したかチェックする(ステップ309)。シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信すれば、該RLC SDUをPDCP SDUとして上位層に渡すと共に、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ311)。
また、ステップ309において、シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信しなければ、予め設定されている時間が経過したか監視し(ステップ310)、経過してなければステップ308以降の処理を繰り返し、設定時間が経過すればシーケンス番号が不連続であっても、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ311)。
以上のように第1実施例によれば、ハンドオーバ制御実行時に移動元基地局に残留するパケットを移動先基地局にフォワーディングしない場合(引継不実行)、シーケンス番号が不連続であっても移動局はリオーダリングする必要が無いため、無駄な待ち時間をなくし、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。
(C)第2実施例
図10は第2実施例の説明図であり、移動元基地局11aは、ハンドオーバシーケンス実行時にパケット転送(フォワーディング)の可否を通信サービスの種類によって判断し、フォワーディング実行情報(引き継ぎ実行情報)を移動局14に通知する。
移動元基地局11aは、FTP(File Transfer Protocol)やWeb通信に代表される非リアルタイムトラヒック(NRTトラヒック)のパケットと、VoIPやストリーミングに代表されるリアルタイムトラヒック(RTトラフィック)のパケットを、図10に示すように別々のシーケンス番号を付して別々のバッファBF11,BF12に収容しスケジューリングしているものとする。また、NRTトラヒックを構成するパケットm-2〜m、RTトラヒックを構成するパケットn-2〜nが伝送中あるいはバッファに格納されて移動局14に伝送されなかったものとする。このとき、NRT通信サービスのパケットは引き継ぎを実行し、RT通信サービスのパケットは引き継ぎを実行しない、というポリシーでデータ引き継ぎを運用するものとする。これは、VoIP呼のパケットのようにリアルタイム性の高い通信サービスのパケットは引継ぎせずに廃棄した方が、遅延なく音声を送信、受信できるためである。一方、リアルタイム性の低いQoSの高いサービスのパケットは引継ぎした方が、高品質のデータを受信できるためである。
ハンドオーバを行う移動局14がRT通信を行っているものとすれば、上記のパケット転送のポリシーにより、移動元基地局11aのHO制御部24bは、ハンドオーバシーケンス実行時に、現在伝送中のパケットn-2および蓄積中のパケットn-1〜nを移動先基地局11bにフォワーディングしないと決定する。そして、フォワーディングを行わなかったという引継ぎ情報PPOを、HO指示メッセージに載せて移動局14に通知する。このときのメッセージフォーマットは図6と同様である。引継ぎ情報PHOを受信した移動局14では、第1
実施例で示したように、図8、図9と同様な動作を行い、リオーダリング処理を行わない。
一方、ハンドオーバを行う移動局14がNRT通信を行っているものとすれば、上記のパケット転送のポリシーにより、移動元基地局11aのHO制御部24bは, ハンドオーバシーケンス実行時に、現在伝送中のパケットm-2および蓄積中のパケットm-1〜mを移動先基地局11bにフォワーディングすると決定する。そして、フォワーディングを行ったという引継ぎ情報PHOを HO指示メッセージに載せて移動局14に通知する。このときのメッセージフォーマットは図6と同様である。引継ぎ情報PHOを受信した移動局14では、第1実施例で示したように、図8、図9と同様な動作を行い、リオーダリング処理を行う。
図11は以上のような一連の動作を実行するための移動元基地局の動作フローチャートであリ、第1実施例の図7のフローと同一ステップには同一番号を付している。異なる点は、ステップ255′において、通信サービスがNRT通信サービスであるか、RT通信サービスであるかによりパケットの引き継ぎ(フォワーディング)を実行するか否かを決定する点である。HO制御部24bは通信サービスがRT通信サービスであれば、フォワーディングをしないと決定し、HO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”1”:引継ぎ不実行)を記入して移動局へ送信し(ステップ256)、バッファ管理部24bにバッファ21に残存するパケットの消去を指示する(ステップ257)。
一方、ステップ255′において、パケットの引き継ぎを実行すると決定すれば、HO制御部24bはHO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”0”:引継ぎ実行)を記入して移動局14へ送信し(ステップ258)、バッファ管理部24aにバッファ21に残存するパケットの移動先基地局11bへのフォワーディング(パケット転送)を指示する(ステップ259)。
・変形例
第2実施例では、通信サービスがRT通信サービスであれば、引継ぎを実行しなかったが、RT通信サービスであっても(例えばVoIP呼)設定により引き継いだり、引き継がなかったりする場合がある。変形例はかかる場合に対応するものであリ、図12は変形例の移動元基地局11aの動作フローチャートであリ、第1実施例の図11のフローと同一ステップには同一番号を付している。異なる点は、通信サービスがRT通信サービスの場合、引き継ぐ設定になっているかチェックするステップ265が存在する点であり、引き継ぐ設定になっていなければ、フォワーディングをしないと決定し、HO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”1”:引継ぎ不実行)を記入して移動局へ送信し(ステップ256)、バッファ管理部24bにバッファ21に残存するパケットの消去を指示する(ステップ257)。
一方、ステップ265において、引き継ぐ設定になっていれば、HO制御部24bはHO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”0”:引継ぎ実行)を記入して移動局14へ送信し(ステップ258)、バッファ管理部24aにバッファ21に残存するパケットの移動先基地局11bへのフォワーディング(パケット転送)を指示する(ステップ259)。
図13は変形例の移動局におけるリオーダリング処理フローであり、第1実施例の図9の処理フローと同一部分には同一符号を付している異なる点は、VoIP呼であるか否かによりリオーダリング処理を継続する時間を切り替えている点である。すなわち、ステップ309において、シーケンス番号が連続するRLC SDUを受信しなければ、呼種はVoIP呼であるか調べ(ステップ312)、VoIP呼でなければ、予め設定されている第1の設定時間TS1が経過したか監視し(ステップ310)、経過してなければステップ308以降の処理を繰り返し、設定時間が経過すればシーケンス番号が不連続であっても、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ311)。また、ステップ312において、呼種がVoIP呼であれば、第2の設定時間TS2(<TS1)が経過したか監視し(ステップ313)、経過し
てなければステップ308以降の処理を繰り返し、設定時間が経過すればシーケンス番号が不連続であっても、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ311)。
以上のように変形例によれば、VoIP呼の場合でも、パケットを引き継ぐことによりVoIPの品質を向上でき、しかも設定時間TS2を小さくすることによりリオーダリング処理による遅延時間を小さくすることができる。
(D)第3実施例
第3実施例は、移動元基地局のパケット転送機能の有無でパケット転送(フォワーディング)の可否を決定し、その実行情報を移動局に通知する実施例である。図14はバッファ管理部がパケット転送機能を有しない簡易型構成になっている基地局の構成図であり、第1実施例の図3の基地局と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、バッファ管理部24a′が簡易構成になっており、パケットを移動先基地局11bにフォワーディングする機能やパケット転送のスケジューラ機能が実装されていない点である
図15は移動元基地局の動作フローチャートであリ、第1実施例の図7のフローと同一ステップには同一番号を付している。異なる点は、ステップ255″において、移動元基地局11aにフォワーディング機能やパケット転送のスケジューラ機能が実装されているかによりパケットの引き継ぎ(フォワーディング)を実行するか否かを決定する点である。HO制御部24bは上記機能が実装されていなければ、フォワーディングをしないと決定し、HO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”1”:引継ぎ不実行)を記入して移動局へ送信し(ステップ256)、バッファ管理部24bにバッファ21に残存するパケットの消去を指示する(ステップ257)。
一方、ステップ255″において、フォワーディング機能やパケット転送のスケジューラ機能が実装されていればパケットの引き継ぎを実行すると決定し、HO制御部24bはHO指示メッセージに引継ぎ実行情報PHO(=”0”:引継ぎ実行)を記入して移動局14へ送信し(ステップ258)、バッファ管理部24aにバッファ21に残存するパケットの移動先基地局11bへのフォワーディング(パケット転送)を指示する(ステップ259)。
(E)第4実施例
以上の実施例では、図16(A)に示すように、上位局であるaGW 12にPDCPレイヤが実装され、基地局11にRLCレイヤと下位レイヤが実装された例であるが、図16(B)に示すように、基地局11にPDCPレイヤ、RLCレイヤ、下位レイヤを全て実装し、aGW 12にパケットルーチング機能など単純な機能だけを持たせるようにシステムを構成することもできる。そして、図16(B)のシステム構成において、シーケンス番号付加機能を基地局にもたせることができる。図17はかかるシステムにおいて、ハンドオーバが発生した場合におけるフォワーディング説明図である。
移動元基地局11aに上位局12より3つのパケットが送信され、該基地局でパケット番号n-2,n-1,nが付加される。これら、パケットn-2,n-1,nが移動局へ送信されずにバッファに残存している状態においてハンドオーバが開始されたとする。そして、ハンドオーバシーケンス実行時に、これらパケットn-2,n-1,nをフォワーディングするものとすれば、図に示すように移動元基地局11aから移動先基地局11bに転送される。このフォワーディング中に、上位局12より移動先基地局11bにパケットが送信される場合がある。かかる場合、移動先基地局11bは上位局12より受信したパケットに正しいシーケンス番号を付加することができない。そこで、移動元基地局11aは移動局へ送信してない前記パケットn-2,n-1,nを移動先基地局11bへ引継ぎする際、シーケンス番号も該移動先基地局へ引き継ぎする。すなわち、上位局12より移動先基地局11bに送信されるパケットに付加するシーケンス番号n+1の引継ぎを行う。このようにすれば、上記フォワーディング中に、上位局12より移動先基地局11bにパケットが送信されても、移動先基地局11bの制御部24は該パケットにシーケンス番号n+1を付加することができる。
なお、第4実施例の場合にも、フォワーディングを実行したか、しないかを示す引き継
ぎ情報PHOをHO指示メッセージに含ませて移動局に送信することにより、フォワーディングしない場合にはリオーダリング処理を省略することができる。
図18は第4実施例のハンドオーバ手順説明図であり、図21のハンドオーバ手順説明図と同一手順に同一番号を付している。異なる点は、パケット転送(フォワーディング)に先立って、移動元基地局11aから移動先基地局11bにシーケンス番号SNの引継ぎを行っている点である。
第4実施例によれば、基地局においてシーケンス番号をパケットに付加する場合であっても、ハンドオーバ時にシーケンス番号の引継ぎを行うため、移動先基地局において正しいシーケンス番号をパケットに付加することができ、しかも、フォワーディングしない場合には、移動局においてリオーダリング処理を省略することができる。
・発明の効果
以上本発明によれば、ハンドオーバ制御実行時に移動元基地局に残留するパケットを移動先基地局にフォワーディングしない場合(引継不実行)、シーケンス番号が不連続であっても移動局はリオーダリングする必要が無いため、無駄な待ち時間をなくし、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。
また、本発明によれば、移動先基地局の通信状態(輻輳状態、バッファの空き状態、機能実装状態)や通信サービスの種類により、フォワーディングを実行しない場合であっても、移動局はリオーダリングする必要が無いため、無駄な待ち時間をなくし、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。
また、本発明によれば、VoIP呼の場合でも、ハンドオーバ時にパケットの引き継ぐを行うことによりVoIPの品質を向上でき、しかも、リオーダリング処理の継続時間を短くすることにより移動局におけるリオーダリング処理による遅延時間を小さくすることができる。
また、本発明によれば、基地局においてシーケンス番号をパケットに付加する場合であっても、ハンドオーバ時にシーケンス番号の引継ぎを行うため、移動先基地局において正しいシーケンス番号をパケットに付加することができ、しかも、フォワーディングしない場合には、移動局においてリオーダリング処理を省略することができる。

Claims (9)

  1. 順番を示す番号が付加されたパケットを基地局から移動局に送信し、移動局においてパケットを番号順に並べ直すと共に、ハードハンドオーバを実行する通信システムにおける基地局において、
    ハンドオーバシーケンス実行時に上位局より受信したパケットのうち移動局へ送信してないパケットを移動先基地局へ転送するか、転送しないかを設定し、該設定に応じてハンドオーバシーケンス実行時に該パケットの移動先基地局への転送を制御し、該パケットの転送の実行の有無を示す情報であって、移動局で移動先基地局より受信するパケットのリオーダリングを実行するか、しないかを決定するために用いられる情報移動局へ送信する制御部
    を備えたことを特徴とする基地局。
  2. 前記制御部は、ハンドオーバシーケンス実行時に移動局へ送信してないパケットを移動先基地局へ転送する場合、該パケットを移動先基地局へ転送すると共に該パケットの転送の実行を示す情報を移動局へ送信し、転送しない場合、該パケットの転送を実行しないことを示す情報を移動局へ送信する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
  3. 前記制御部は、通信の呼に応じて、ハンドオーバシーケンス実行時に移動局へ送信してないパケットを移動先基地局へ転送するか、転送しないかを設定する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の基地局。
  4. 上位局より受信したパケットおよびハンドオーバシーケンス実行時に移動元基地局より受信したパケットを格納する格納部、
    該格納部に格納されたパケットを移動局へ送信するパケット送信部、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに記載の基地局。
  5. ハンドオーバシーケンス実行時に移動元基地局より受信したパケットを上位局より受信したパケットより優先的に移動局へ送信する送信制御部、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれかに記載の基地局。
  6. 順番を示す番号が付加されたパケットを基地局から移動局に送信し、移動局においてパケットを番号順に並べ直すと共に、ハードハンドオーバを実行する通信システムにおける移動局において、
    ハンドオーバシーケンス実行時に移動元基地局から移動局へ送信していないパケットの、移動元基地局より移動先基地局への転送の実行の有無を示す情報であって、移動局で移動先基地局より受信するパケットのリオーダリングを実行するか、しないかを決定するために用いられる情報を移動元基地局より受信する受信部、
    ハンドオーバシーケンス実行時に、移動元基地局より受信した前記パケットの転送の実行の有無を示す情報に基づいて、移動先基地局より受信するパケットのリオーダリングを実行するか、しないかを決定する制御部
    を備えたことを特徴とする移動局。
  7. 前記制御部は、通信の呼に応じて設定される、前記パケットの転送の実行の有無を示す情報に基づいて、移動先基地局より受信するパケットのリオーダリング処理を制御する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の移動局。
  8. 基地局より受信したパケットを格納する格納部、
    を備え、
    前記制御部は、前記格納部に格納されたパケットのリオーダリング処理を制御する、
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の移動局。
  9. 前記制御部は、所定時間、パケットのリオーダリング処理を実行しても連続する番号のパケットを受信しない場合には、リオーダリング処理を終了する、
    ことを特徴とする請求項6〜8のうちいずれかに記載の移動局。
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