JP5510482B2 - 移動局 - Google Patents

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Description

本発明は移動局に係り、特にシーケンス番号によりリオーダリングする移動局に関する。
携帯電話などの移動通信システムは、現在はCDMA方式による第三世代方式がサービスを開始しているが、より高速な通信が可能となる次世代移動通信システム(LTE:Long Term Evolution)の検討が3GPP(3rd Generation Partnership Project)で進められている(非特許文献1)。そこでは、伝送レートの高速化に加えて、伝送遅延の削減が大きな課題となっている。
伝送レートを高速化し、伝送遅延を削減するために、LTE通信システムではハンドオーバの方法が従来のシステムと比較して高度化する工夫がなされている。移動体通信において、移動局が通信中に移動する際、受信状態に応じて通信する基地局の切り替え(ハンドオーバ)が生じる。このため、ハンドオーバを高度化することは、高速/低遅延通信には必要不可欠である。LTE通信システムにおいて、パケット交換システムが基本となるため、ハンドオーバはハードハンドオーバとなる。ハードハンドオーバにおいては、移動局が移動前に通信を行なっていた基地局との回線接続が切れた後、移動局と移動先基地局との回線がつながる。ハードハンドオーバは、ハンドオーバを行なう直前に移動先基地局のシステム情報を入手することにより、短時間にハンドオーバを行なうことが可能であるが、ハンドオーバ中はユーザデータの伝送中断状態が生じる。
したがって、伝送遅延を減少させるためには、伝送中断状態を短縮することと、伝送中断中にパケットの欠落を防止することが重要である。もし、伝送中断中にパケットの欠落が生じた場合、欠落したパケットは、エンドツーエンドにおけるパケット再送によってリカバーされるため、伝送遅延が大きくなる。
そこでLTE通信システムにおけるハンドオーバでは、移動局宛の制御情報とパケットを含むデータのうち、移動元基地局から移動局に伝送してないパケットは該移動元基地局から移動先基地局に転送することによって引き継ぐ、という方法が仕様化されている(非特許文献2)。
・ハンドオーバ時の引継ぎ
図21はハンドオーバ時の引継ぎ説明図である。図21(A)において、2つの基地局1a,1bが上位局(例えばMME/SAEゲートウェイ)2に接続されている。移動局4は基地局1aのセル3a内に存在し、現在基地局1aと通信中である。かかる状態において、図21(B)に示すように移動局4が基地局1bの方向に移動してセル3b内に進入するとハンドオーバが実行され、移動局の通信基地局が基地局1aから基地局1bに切り替わる。なお、ハンドオーバ前に通信中の基地局を移動元基地局(ソース基地局)、ハンドオーバ後に通信する基地局を移動先基地局(ターゲット基地局)という。
移動元基地局1aは、上位局2より受信したパケットを内蔵のバッファに保存し、該バファーに保存されたパケットを順次移動局4へ送信する。このため、ハンドオーバ発生時、移動局へ送信されずにバッファに蓄積されるパケットが存在する。図21(B)では、ハンドオーバ前に受信して移動局へ送られずにバッファにパケットn-2〜nが蓄積されており、これらパケットをハンドオーバ後に移動先基地局1bから移動局4へ送信する必要がある。このため、ハンドオーバシーケンス実行時に、移動元基地局1aはパケットn-2〜nを移動先基地局1bに転送している(フォワーディング)。このフォワーディングの方法を用いることにより、ハンドオーバの直後に移動先基地局1bが該パケットを移動局4に送信するため、パケットの途切れは生じない。このため、エンドツーエンドでパケット再送は生じず、高速なハンドオーバを実行することが可能となる。なお、上記のn-2〜nはパケットの順番を示す番号(シーケンス番号)である。
・ハンドオーバ
図22はLTE通信システムのハンドオーバ説明図、図23はLTE通信システムにおいて現在想定されているハンドオーバ手順説明図である。
移動局4は移動元基地局1にMeasurement Report(基地局1及び周辺基地局からの受信状況の報告)によりハンドオーバHO(Hand Over)が必要であることを通知する (1.測定制御)。
移動元基地局1はMeasurement Reportの内容によりターゲット基地局1bを決定し(2.HO決定)、該移動先基地局1bにハンドオーバ要求を送信する(3.HO要求)。その際、移動元基地局1aは移動局の情報(移動局IDやQoS(Quality of Service)情報など)なども送信する。移動先基地局1bは、それらの情報を基に呼受付制御を行う(4.呼受付制御)。
移動先基地局1bが移動局の受け入れを許可すると、ハンドオーバ応答を移動元基地局に返信する(5.HO応答)。続いて. 移動元基地局1aは移動局4にハンドオーバ指示を行い(6.HO指示)、その前後でデータ(パケット)の引き継ぎを開始する(パケット転送:フォワーディング)。
ハンドオーバ指示を受信した移動局4は移動先基地局1bとL1/L2シグナリングにより同期を確保し(7.同期確保)、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局1aに送信する(8.HO完了)。
これにより、移動先基地局1bは、ハンドオーバ完了の報告を上位局2に送信する(9.HO完了)。上位局2は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局1aから移動先基地局1bに切り替え(10.経路切替)、HO完了応答を移動先基地局1bに返信する(11.HO完了応答)。移動先基地局1bはHO完了応答によりハンドオーバHOが完了したことを移動元基地局1a に通知する(12.リソース解放)。この後、移動元基地局1aと上位局2間のパスが削除される(13.リソース解放)。
・パケットの順序整合制御
上記のハンドオーバシーケンス実行中に、パケット転送(フォワーディング)が生じると、移動先基地局1bにおいて該転送されたパケットが上位局2から流入するパケットにより飛び越され、シーケンス番号が乱れる可能性がある。移動先基地局1bよりシーケンス番号が乱れたまま移動局4にパケットを転送すると、移動局では正しい順番でパケットが受信できないため、通信品質が劣化し、結果的にハンドオーバ前後で高品質な通信が実現できなくなる。
そこでLTE通信システムでは、基地局と移動局において、次のような方法でパケットの順序整合性を保つ。図24はかかるパケットの順序整合の説明図であり、移動先基地局1bは、移動元基地局1aより転送されてくるパケットを上位局より受信したパケットより優先的に伝送することにより、パケットの順序整合性を保つ。
図24において、ハンドオーバ前に移動元基地局1aにパケットn-5〜nが蓄積されており、これらパケットのうち、パケットn-5〜n-2は移動局4に送信されたが、パケットn-1、nは移動局4に送信されていないものとする。また、移動局へ送信されたパケットのうち、パケットn-5、n-3は移動局4により正しく受信されず(NACK)、パケットn-4、n-2は正常に受信されたものとする(ACK)。このため、移動局4はバッファBF1にパケットn-4、n-2を保存しており、パケットn-4、n-2を保存していない。
かかる状態において、ハンドオーバが生じると、移動元基地局1aは移動局4により正常受信されなかったパケットn-5、n-3と移動局4へ未だ送信されてないパケットn-1〜nを移動先基地局1bに転送(フォワーディング)し、移動先基地局1bは該パケットをバッファBFに格納する。また、上位局2はハンドオーバ後に移動局4宛の2つのパケットm〜m+1を移動先基地局1bに送信し、移動先基地局1bは該パケットをバッファBFに格納する。
移動先基地局1bは移動局4と通信可能になると、まず、移動元基地局1bより転送されてきているパケットn-5、n-3、n-1〜nを優先的に移動局4へ送信する。ついで、上位局2より受信しているパケットm〜m+1を送信する。移動局4は、図25に示すようにハンドオーバ前に受信した受信済みのパケットn-4、n-2とハンドオーバ後に受信したパケットn-5、n-3、n-1〜n、m〜m+1をシーケンス番号順に並べ替え、順番に上位層に渡す。
以上では、フォワーディングによりパケットn-5、n-3、n-1〜nを全て移動先基地局1bに転送(フォワーディング)された場合であるが、パケットn-5、n-3のみが転送され、n-1〜nの転送が遅れている場合がある。図26はかかる場合のパケット順序整合の説明図である。移動先基地局1bは、転送されてきたパケットn-5、n-3と、上位局から流入するパケットm〜m+1をバッファBFに格納しているが、まず、移動元基地局1aより転送されてきたパケットn-5、n-3を優先的に移動局へ送信する。しかる後、移動先基地局1bは、移動元基地局1aよりのパケットn-1、nの転送が遅れている場合、設定時間(Waiting Time)が経過したか監視し、Waiting Timeが経過しても移動元基地局1aよりパケットn-1、nが転送されてこなければ、フォワーディング終了とみなして、上位局より受信しているパケットm,m+1を送信する。なお、移動先基地局1bは、フォワーディング終了してから移動元基地局1aよりパケットn-1、nより受信しても該パケットを破棄する。
移動局4は、受信したパケットをシーケンス番号順に並べ替える処理(リオーダリング)を実行する。移動局4は図27に示すようにハンドオーバ前に受信した受信済みのパケットn-4、n-2とハンドオーバ後に受信したパケットトn-5、n-3、m,m+1をシーケンス番号順に並べ替え、順番に上位層に渡す。
・プロトコル構成
以上のように、LTE通信システムにおけるハンドオーバでは、パケット転送(フォワーディング)とパケットのリオーダリング処理が必須の技術となる。ここで、これらの機能の関係について、より詳細に説明する。
図28は、移動局とネットワーク間のプロトコル構成を示す説明図である。移動局と基地局間には、少なくともPDCP(Packet Data Convergence Layer)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、および下位レイヤ(MACレイヤ/物理レイヤMAC/PHY)が設置される。MME/S-GWには、パケットルーチング機能などが配備される。
各プロトコルの主な機能は以下の通りである。
(1) PDCP:PDCPレイヤにおいて、送信側は上位プロトコルのヘッダを圧縮し、また、シーケンス番号を付加して送信する。受信側は、シーケンス番号をチェックし、これにより重複受信の廃棄処理を行なう。PDCPレイヤでは再送は行なわれない。
(2)RLC:RLCレイヤは再送機能を持つレイヤであり、PDCPからのデータに付加されているシーケンス番号とは別にRLCレイヤでのシーケンス番号を新たに付加して送信する。例えば、PDCPからシーケンス番号nのデータを受信すれば、該データを複数に分割し、それぞれの分割データにRLCレイヤでのシーケンス番号I(1),I(2),I(3)….を付加して送信する。受信側は該シーケンス番号I(・)を用いてデータの正常受信/異常受信を示す送達確認信号(Ack/Nack信号)を送信側に通知する。送信側はAck 信号が返されれば保持しているデータを廃棄し、一方、Nack信号が返されれば保持している該当データを再送する。
(3) 下位レイヤ
・MAC:MACレイヤはRLCレイヤのデータを多重/分離するレイヤである。すなわち、送信側はRLCレイヤのデータを多重して送信データとし、受信側はMACレイヤの受信データをRLCレイヤのデータに分離する。
・PHY:PHYレイヤはユーザ端末4及び基地局1間において無線でデータを送受信するレイヤであり、MACレイヤデータを無線データに変換し、あるいは無線データをMACレイヤデータに変換する。
移動局宛のデータは、まずupper layer (例えばIPレイヤ)からPDCPレイヤに流入しPDCP SDU(Service Data Unit)となり、さらにヘッダ情報(PDCPレイヤのシーケンス番号など)が付加されてPDCP PDU(Protocol Data Unit)となる。
PDCP PDUはRLCレイヤに回送されRLC SDUとなり、さらにヘッダ情報(RLCレイヤのシーケンス番号など)が付加されてRLC PDUとなる。RLC PDUが下位レイヤの処理を経て移動局のRLCレイヤに到着する。このRLCレイヤにおいて、ヘッダが除去されRLC SDUが再構築され、さらにPDCPレイヤではPDCP PDUのヘッダが除去されてPDCP SDUとなり、上位層に回送される。
このようなプロトコル構成において、LTE通信システムでは、パケット転送はPDCP SDU単位で実施され、リオーダリングはPDCP PDU単位で実施される。また、PDCP SDU単位でフォワーディングを実施する場合、PDCP SDU単位のパケットにはシーケンス番号などのヘッダ情報が付加されていないので該シーケンス番号をフォワーディングすることはできない。そこで、PDCP SDU単位でフォワーディングを実施する場合、付加すべきシーケンス番号などのヘッダ情報もフォワーディングする。なお、RLC SDUとPDCP PDUは実質的には同じデータであるため、本明細書では、特に断らない限りこれらは単にパケットと呼び、該パケットの番号を記述している場合、該番号はPDCP PDUのシーケンス番号を指すものとする。
・移動元基地局装置の動作
図29はハンドオーバ時の移動元基地局装置の動作フローチャートである。
移動元基地局1aはユーザ端末4よりMeasurement Reportにより受信電界強度など受信すれば(ステップ101)、ハンドオーバHOが必要であるか否かを判断し(ステップ102)、ハンドオーバ不要であればはじめに戻る。
しかし、ハンドオーバが必要であると決定すれば、移動元基地局1a はMeasurement Reportの内容により移動先基地局1bを決定し、該移動先基地局1bにハンドオーバ要求を送信する (ステップ103)。
しかる後、移動先基地局1bより送信されるハンドオーバ応答を受信し(ステップ104)、残留しているパケットのフォワーディングを行う(ステップ107)。
以後、移動先基地局1bから送られてくるリソース解放メッセージを受信し(ステップ108)、リソース解放を実行する(ステップ109)。
・移動先基地局の動作
図30はハンドオーバ時の移動先基地局の動作フローチャートである。
移動先基地局1bは移動元基地局1aよりHO要求(移動局IDやQoS情報などを含む)を受信すると(ステップ121)、それらの情報を基に呼受付制御を行い、移動局の受け入れを許可するか判断する(ステップ122)。許可しなければ後処理を行って(ステップ130)、ハンドオーバ制御を終了する。
一方、移動局の受け入れを許可する場合には、移動元基地局1aへHO応答を返信する(ステップ123)。続いて、移動先基地局1bは 移動元基地局1aから転送されてくるパケットをバッファに蓄積し(ステップ124)、また、移動局4からHO完了の報告を受信する(ステップ125)。HO完了の報告を受信すれば、移動先基地局1bは、HO完了の報告を上位局2に送信する(ステップ126)。上位局2は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局1aから移動先基地局1bに切り替え、HO完了応答を移動先基地局1bに返信する。移動先基地局1bは上位局2よりHO完了応答を受信すれば(ステップ127)、移動先基地局1bからフォワーディングされているパケットから優先的に移動局へ送信を開始し、該パケットを送信後、上位局2より受信したパケットを移動局へ送信する(スケジューリング:ステップ128)。また、ステップ128と並行して移動先基地局1bはリソース解放を移動元基地局1a に送信し(ステップ129)、後処理を行って(ステップ130)、ハンドオーバ制御を終了する。なお、移動先基地局1bは、ステップ128のスケジューリング処理において、移動元基地局1aよりのパケットのフォワーディングが遅れている場合、設定時間(Waiting Time)が経過したか監視し、Waiting Timeが経過してもパケットが転送されてこなければ、フォワーディング終了とみなして、上位局より受信しているパケットを送信し、フォワーディング終了してから移動元基地局1aよりパケットを受信しても該パケットを破棄する。
・移動局の動作
図31はハンドオーバ時の移動局の動作フローチャートである。
移動局4の測定部は受信電界強度などをMeasurement Reportにより移動元基地局に通知する(ステップ151)。以後、移動元基地局1a からHO指示を待ち、HO指示を受信すれば(ステップ152)、移動先基地局1bとL1/L2シグナリングにより同期を確保し(ステップ153)、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局1bに送信し(ステップ154)、以後、移動局は移動先基地局1bからパケットを受信すればリオーダリング処理を実行する(ステップ155〜160)。
すなわち、移動局の制御部は移動先基地局1bから下位レイヤパケットを受信するとRLC SDUを構築し、該RLC SDU(PDCP PDU)をリオーダ部に渡す(ステップ155)。リオーダ部はシーケンス番号の抜けがあるかチェックし(ステップ156)、抜けがなく、シーケンス番号が連続していれば、該RLC SDU(PDCP PDU)をPDCP SDUとして上位層に渡す(ステップ160)。一方、シーケンス番号に抜けがあれば制御部はリオーダ部にPDCP PDUを保持するよう指示する。これにより、リオーダ部はPDCP PDUを保持すると共に(ステップ157)、シーケンス番号が連続するRLC SDU(PDCP PDU)を受信したかチェックする(ステップ158)。シーケンス番号が連続するRLC SDU(PDCP PDU)を受信すれば、該RLC SDU(PDCP PDU)をPDCP SDUとして上位層に渡すと共に、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ160)。
また、ステップ158において、シーケンス番号が連続するRLC SDU(PDCP PDU)を受信しなければ、予め設定されている時間が経過したか監視し(ステップ159)、経過してなければステップ157以降の処理を繰り返し、経過すればシーケンス番号が不連続であっても、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ160)。
・課題
ところで、LTE通信システムにおいてハンドオーバに伴うパケット転送を実行する際には、次の課題がある。すなわち、ハンドオーバが実行されると、LTE通信システムでは前述のように、移動元基地局1aに残留する移動局のデータの引き継ぎを実行し、引き継ぎに伴いパケット転送(フォワーディング)が生じる。しかし、上記ハンドオーバ制御では、移動先基地局1bのWaiting Timeの値が小さいと、全てのパケットがフォワーディングされていないにも関わらず移動先基地局1bは上位局から受信したパケットの伝送を開始し、フォワーディングされていないパケットを破棄する問題が発生する。一方、Waiting Timeの値が大きいと、全てのパケットがフォワーディングされたにも関わらず、移動先基地局1bはWaiting Timeが経過するまで上位局から受信したパケットの伝送をせず、伝送遅延が発生する問題がある。すなわち、従来のハンドオーバ制御では、通信遅延の増加やスループットの劣化が生じ、ハンドオーバ前後で高品質な通信品質を保てなくなる。
第1従来技術として、移動元基地局から移動先基地局に、フォワーディングする最後のパケット(Last Packet)を通知する方法がある(非特許文献3参照)。Last Packetを通知された移動先基地局は、フォワーディングが遅れた場合、上位局から受信したパケットのシーケンス番号をLast Packetのシーケンス番号+1として飛び越し伝送することができる。また、移動先基地局は、フォワーディングされてきたパケットのシーケンス番号と、Last Packetのシーケンス番号を比較することにより、Waiting Timerを強制的に終了させることができ、最適なタイミングでフォワーディングの終了を検出することができる。しかし、Last Packetがフォワーディング中に廃棄された場合、移動先基地局はLast Packetを確実に検出することができない。
また、第2従来技術として、高速パケット通信中の基地局間ハンドオーバ時にデータロスのない高速パケットデータ転送を実現するための移動通信システムがある(特許文献1参照)。この移動通信システムおいては、ハンドオーバの発生時、ハンドオーバ元の基地
局がハンドオーバ先の基地局へパケットデータを転送する(フォワーディング)。しかし、移動局におけるリオーダリングによる通信遅延の増加やスループットの劣化を改善するものではない。
さらに、第3従来技術として、移動先基地局において、フォワーディングされてきたパケットの到着を待たずに、上位局から伝送されてきたパケットを飛び越し伝送する方法がある(特許文献2参照)。この方法では、移動元基地局から受信したパケットと上位局から受信したパケットを区別することによって、パケットの飛び越し伝送が可能となる。しかし、移動局では順序制御の機能を二つ設置する必要があり、その制御が複雑となる。
特開2004−282652号公報 特願2006−086537号
以上から本発明の目的は、上位局(例えば、移動元基地局とは異なる装置であって、移動先基地局に対してデータ(パケット)を送信する装置)から移動先基地局に伝送されてくるパケットを速やかに移動局に伝送することである。
本発明の別の目的は、移動元基地局からフォワーディングされたパケットと上位局から伝送されたパケットが混在しても、該上位局から伝送されたパケットを順序制御の対象から除外することにより、順序制御の機能が一つであってもフォワーディングされたパケットを正しくリオーダリングすることである。
尚、実施例等に記載された事項であって、従来技術では開示されていない事項を提供することも本発明の別の目的の1つとして位置づけることができる。好ましくは、そのような事項は、従来技術では得られない効果を得るために必要なものである。
本発明の移動局は、移動元基地局から第1のPDCP PDUを受信する手段と、前記移動元基地局が移動先基地局に転送するシーケンス番号およびPDCP SDUを用いて生成される第2のPDCP PDUを前記移動先基地局から受信する受信手段と、前記第1のPDCP PDUに対応するPDCP SDUおよび前記第2のPDCP PDUに対応するPDCP SDUを格納する格納手段と、該シーケンス番号に基づいて、格納したPDCP SDUをシーケンス番号順に並べ替える処理を行うリオーダリング手段とを備えている。
前記シーケンス番号は、制御プレーンで前記移動元基地局から前記移動先基地局に転送される、あるいは、前記PDCP SDUと前記シーケンス番号は、ユーザープレーンで前記移動元基地局から前記移動先基地局に転送される。
以上本発明によれば、上位局から移動先基地局に伝送されてくるパケットを飛び越しパケットとして速やかに移動局に伝送でき、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。また、移動局は飛び越しパケットをリオーダリング制御(順序制御)の対象から除外し、飛び越しパケット以外のパケットの順序制御を行ってパケットをシーケンス番号順に上位装置に渡す。この結果、移動局は順序制御機能が一つであってもリオーダリング対象パケットの順序制御を正しく行うことができる。
また、本発明によれば、移動局は最後パケット識別符号を参照してフォワーディングが終了したことを検出し、即座にリオーダリングを停止できる。したがって、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。また、本発明によれば、フォワーディングに際して移動元基地局から移動先基地局へデータの順序情報(シーケンス番号)を送信することができる。また、移動局は該順序情報を用いて移動元基地局と移動先基地局から受信したデータのリオーダリングを行なうことができる。
第1実施例の説明図である。 PDCP PDUパケットのフォーマット例である。 ハンドオーバ前のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理の説明図である。 ハンドオーバ後のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理の説明図である。 基地局の構成図である。 移動局の構成図である。 第1実施例における移動先基地局の動作フローチャートである。 第1実施例における移動元基地局のフローチャートである。 第1実施例の移動局の動作フローチャートである。 移動局のリオーダリング処理フローである。 第2実施例の説明図である。 PDCP PDUパケットのフォーマット例である。 ハンドオーバ後のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理説明図(その1)である。 ハンドオーバ後のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理説明図(その2)である。 第2実施例における移動先基地局の動作フローチャートである。 第2実施例の移動局の動作フローチャートである。 PDCP PDUのシーケンス番号を、該当するPDCP SDUデータに付随させてデータプレーン(U-plane)を介して通知する例である。 PDCP PDUのシーケンス番号SNを該当するPDCP SDUデータに付随させてU-planeで通知すると共に、シーケンス番号をC-planeを介して通知する例である。 図18のハンドオーバシーケンス手順である。 フォワーディングするPDCP SDUデータが全く存在しない場合の例である。 ハンドオーバ時の引継ぎ説明図である。 LTE通信システムのハンドオーバ説明図である。 LTE通信システムにおいて現在想定されているハンドオーバ手順説明図である。 移動局のリオーダリング処理の第1の説明図である。 移動局のリオーダリング処理の第2の説明図である。 移動局のリオーダリング処理の第3の説明図である。 移動局のリオーダリング処理の第4の説明図である。 移動局とネットワーク間のプロトコル構成を示す説明図である。 ハンドオーバ時の移動元基地局装置の動作フローチャートである。 ハンドオーバ時の移動先基地局の動作フローチャートである。 ハンドオーバ時の移動局のフローチャートである。
(A)本発明の原理
本発明では、以下の2つの手続きを基地局および移動局が実行できるようにすることにより課題を解決する。
手続き1:ハンドオーバ後、移動元基地局からのデータ転送が遅れているため、該データの受信を待たずに上位局から受信済みのデータを伝送する(飛び越し伝送する)場合、移動局で該データが飛び越ししたデータであることを識別できるようにするとともに、飛び越し伝送を実行する。すなわち、飛び越しデータであることを識別するための識別情報を該データに含め、又は該データに付加し又は該データに対応させて、例えば、制御チャネルを利用して送信する。
手続き2:移動局は、飛び越し伝送が生じたことを検出した場合、該飛び越しデータはリオーダリングの対象とはせずにバッファに保持し、移動元基地局から転送されたデータの到着を待つ。即ち、識別情報を用いて移動元基地局から転送されたデータと、移動元基地局を介さずに送信されたデータを区別してリオーダリングを行う。
従来方法では、移動元基地局から移動先基地局へのデータ転送(フォワーディング)が遅れている場合、上位局から移動先基地局に伝送されているデータの移動局への送信が待たされていた。このため、その到着を所定時間(Waiting Time)が経過するまで待つことにより、通信遅延の増加やスループットの劣化が発生するという課題があった。しかし、上記のように、データの飛び越し伝送を行うと、データ転送(フォワーディング)が遅れている場合でも上位局から受信したデータを移動局に速やかに伝送することができ、これによって、通信遅延が減少する。よって、従来方法と比較して、ハンドオーバ前後の通信品質を高品質に保つこともできる。
(B)第1実施例
図1は第1実施例の説明図であり、順序情報がパケット単位に付加されているとして説明しているが所定サイズのデータであっても良い。
ハンドオーバ前に移動元基地局11aにパケットn-5〜nが蓄積されており、これらパケットのうち、パケットn-5〜n-2は移動局14に送信されたが、パケットn-1、nは移動局14に送信されていないものとする。たとえば、パケットn-1、nは移動元基地局11aと移動局14の無線回線が切断された後に到着したため、これらパケットn-1、nは移動局14に送信されていない。また、移動局へ送信されたパケットのうち、パケットn-5、n-3は移動局14により正しく受信されず(NACK)、パケットn-4、n-2は正常に受信されたものとする(ACK)。このため、移動局14は、パケットn-4、n-2を保存しており、パケットn-5、n-3を保存していない。
かかる状態において、ハンドオーバが生じると、移動元基地局11aは移動局14により正常受信されなかったパケットn-5、n-3と未送信のパケットn-1、nを移動先基地局11bに転送(フォワーディング)する。以下、パケットを転送することとして説明するが、そのように例に限定されない。
また、上位局2はハンドオーバ後に移動先基地局11bに2つの移動局宛のパケットm〜m+1を送信する。なお、パケットn-5〜nの転送(フォワーディング)は遅れているものとする。
移動先基地局11bは、移動元基地局11aからパケットn-5、n-3、n-1〜nがフォワーディングされてくる前に、上位局2からパケットm,m+1を受信したとすれば、該上位局から受信したパケットm,m+1に飛び越し識別符号Fを付加して移動局14へ先に伝送(飛び越し伝送)する。
移動局14は基地局より受信した飛び越し識別符号Fが付加されているパケットをバッファBF2に保存してリオーダリング処理の対象から除外する。図1の(A)は移動局14がバッファBF2にパケットm,m+1を保存し、バッファBF1にハンドオーバ前に受信したパケットn-4,n-2を保存している状態を示している。
ついで、移動先基地局11bは、移動元基地局11aからフォワーディングされてきたパケットn-5、n-3、n-1〜nを移動局に送信する。移動局14は、移動先基地局11bから受信したこれらパケットn-5、n-3、n-1〜nをバッファBF1に保存し、これらハンドオーバ後に受信したパケットとハンドオーバ前に受信しているパケットn-4、n-2とのリオーダリング処理を実行し(図1(B)参照)、パケットを連続番号順に上位レイヤに渡す。なお、所定時間経過しても連続する番号のパケットを受信しない場合には、リオーダリング処理を終了し、それまで受信して並べ直したパケットを上位レイヤに渡す。ついで、移動局14は、飛び越し識別符号Fが付加されているパケットを順番に上位レイヤに渡す。
なお、フォワーディングに際して、移動元基地局から移動先基地局へパケット全体を転送することもできるし、また、パケットに含まれる一部のデータ(ユーザデータ部分)だけ転送することもできる。好ましくは、転送データには、順序情報を付加する。
また、図1では、飛び越し伝送を行ったパケットにはシーケンス番号(順序情報)m、m+1を割り当てているが、移動先基地局11bが任意のシーケンス番号を割り振ることができ、フォワーディングされるパケットに付加されているシーケンス番号と重複する番号を付加することもでき、また、重複しない番号とすることもできる。
・飛び越し識別符号
飛び越し識別符号Fをパケットに付加する例として、PDCP PDUのヘッダに含まれる3ビットの「type」フィールドを使用する。すなわち、該「type」フィールドにおいて新しいtype番号を飛び越し識別符号Fとして定義し、該type番号を飛び越し伝送するパケットに付加する。図2は、PDCP PDUのフォーマット例であり、(A)はヘッダがないフォーマット例、(B)はPDCP PDUのシーケンス番号が付加されていないフォーマット例、(C)、(D)はPDCP PDUのシーケンス番号が付加されるフォーマット例である。(C),(D)のフォーマットにおいて、ヘッダHDにはtypeフィールドとPIDフィールドが定義されており、typeフィールドでPDCP PDUの種類を示す。PIDフィールドはData部に含まれるデータに対するヘッダ圧縮の種類を示すフィールドである。typeフィールドにおいて「type=000」と「type=001」は既に規定されているが、「type=010〜111」は規定されておらず未使用である。そこで、例えば、「type=010」を、飛び越し伝送を行ったPDCP PDUを識別するためのtype番号(飛び越し識別符号)として利用する。
・ハンドオーバ制御前後のPDCPレイヤとRLCレイヤの処理
図3はハンドオーバ前のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理の説明図である。移動元基地局11bはPDCPレイヤのパケットn-5〜n-2をバッファに蓄積しており(図3の(A))、RLCレイヤでは(B)に示すようにパケットを複数に分割し、それぞれの分割データにRLCレイヤのシーケンス番号I,I+1,I+2、….、I+6を付加して移動局14に送信する。移動局14は、ハンドオーバ前、RLCレイヤでPDCPレイヤに対する順序制御を行う。図3において、移動局14は分割データI,I+4.I+5、すなわち、パケットn-5,n-3を正常に受信しなかったが、パケットn-4,n-2を正常に受信したものとしている。
図4はハンドオーバ後のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理の説明図であり、PDCPレイヤとRLCレイヤの処理の様子を具体的に示している。なお、移動局14は、ハンドオーバ前、RLCレイヤでPDCPレイヤに対する順序制御を行うが、ハンドオーバ後、RLCレイヤは初期化されることが規定されている。このため、順序制御の処理はPDCPレイヤに移行し、移動局14は、PDCPレイヤでハンドオーバシーケンスを実行する。
移動局14はリオーダリング時、リオーダリングの終了を判定するためにタイマーを始動する。
移動先基地局11bは、上位局2から受信したパケットm,m+1の到着が早かったため、該パケットm,m+1に飛び越し識別符号Fを付加して移動局14へ先に伝送(飛び越し伝送)する。移動局14は基地局より受信した飛び越し識別符号Fが付加されているパケットをバッファBF2に保存してリオーダリング処理の対象から除外する。以後、移動局14は、移動先基地局11bから受信したパケットn-5、n-3、n-1〜nとハンドオーバ前に受信しているパケットn-4、n-2とのリオーダリング処理を実行して上位レイヤに渡す。
なお、移動局14はタイマーが所定時間TMを経過すると、リオーダリング処理を終了し、パケットの抜けがあっても受信しているパケットを上位レイヤに回送する。
・ウィンドウ制御
移動局14は許容できるデータ量以上のデータが到着した場合に備えて、バッファサイズのウィンドウを内部的に生成し、リオーダリング処理時に以下のウィンドウ制御を行う。図4の例において、ウィンドウの左端は、初期時、到着が期待される番号であるn-5、ウィンドウの右端は許容できるデータ量(ウィンドウバッファサイズ)により決まる番号となり、n-2としている。移動局は飛び越し識別符号Fが付加されたパケットに対しては、ウィンドウ処理は適用しない。
初期状態(ウィンドウ状態(0))において、移動局14は期待するパケット(n-5)を受信してリオーダリング処理すれば、ウィンドウ状態は(1)に示すようになる。このため、移動局は期待するパケット(n-5)とそれに連続するパケット(n-4)を上位レイヤに転送する。ついで、ウィンドウ状態は(2)に示すようになり、移動局14はこの状態で期待するパケット(n-3)を受信してリオーダリング処理すれば、ウィンドウ状態は(3)に示すようになる。このため、移動局は期待するパケット(n-3)とそれに連続するパケット(n-2)を上位レイヤに転送する。ついで、ウィンドウ状態は(4)に示すようになり、移動局14はこの状態でパケット(n-1),nの受信を待ち、設定時間TMの期間内に受信すれば上位レイヤに転送する。しかし、設定時間TMの期間内にパケット(n-1),nを受信しなければ、移動局14はバッファBF2に保存されているパケットm以降のパケットを上位層に転送し、通常のハンドオーバ前の制御に移行する。以上のように、飛び越しパケットを除外して上記のウィンドウ制御をすることにより、パケットn-5〜パケットnに対するリオーダリングを実行することができる。
なお、ウィンドウ制御において、移動局14は、ウィンドウ左端のシーケンス番号より小さいシーケンス番号のパケットを受信した場合、該パケットを破棄する。また、移動局14は、ウィンドウ右端のシーケンス番号より大きいシーケンス番号のパケットを受信すると、該ウィンドウ右端のシーケンス番号を該パケットのシーケンス番号とし、ウィンドウ左端のシーケンス番号をウィンドウバッファサイズにより決まる番号に変更し、同時に、ウィンドウ範囲からはじき出された受信済みパケットを上位レイヤに渡す。
もし、飛び越しパケットに対してもウィンドウ処理を適用すると、パケットmを受信した時点で、ウィンドウ状態は例えばウィンドウの左端がn-2、ウィンドウの右端がmとなる。この場合、移動局は未だ受信していないパケットn-5、n-3の受信を諦め、受信済みパケットn-4、n-2を上位層に転送する。そして、ウィンドウ右端のシーケンス番号をmに設定し、ウィンドウの左端のシーケンス番号をウィンドウサイズにより決まる番号n-1に設定し、以後、パケットn-1、パケットn、パケットn+1、・・・、パケットm-1の到着を待つ。しかし、このうち、パケットn+1〜パケットm−1は実際には存在しないパケットであるため、無駄にこれらのパケットの受信を待つことになってしまい、パケット処理に不具合が生じる。
・基地局の構成
図5は基地局の構成図であり、バッファ部、スケジューラ部、送受信部、制御部が示されている。
バッファ部21は上位局から流入してくるパケットおよび、隣接基地局(移動元基地局)から転送されるパケットを蓄積するためのメモリである。本図では、物理的に2つのバッファ21a,21bを設置しているが、物理的に1つのメモリを設置して、ソフトウェア的に分割して利用するという装置構成をとることができる。
スケジューラ部22は、通信している複数の移動局の中から、無線伝送を行う移動局を選択し、バッファ部に蓄積している該当移動局のパケットを取り出し、送受信部に回送する。送受信部23はスケジューラから伝送されてくるパケットの符号化、変調処理を行い、無線上で実際のデータ伝送を行う。また、移動局から送信される制御信号や各種データを受信、復調する。
制御部24は、バッファ管理部24a、HO制御部24b、測定情報制御部24cを備えている。バッファ管理部24aはバッファ21に蓄積されている各種パケットの管理を行う。ハンドオーバ時にデータ引き継ぎが実行されると、少なくとも正常受信の確認(ACK)が得られていないバッファ部21bに蓄積されているパケットを移動先基地局11bに転送する。一方、データ引き継ぎにより、移動元基地局11aからフォワーディングされてくるパケットの到着が遅れ、上位局12から受信したパケットの飛び越し伝送を行う場合、該飛び越しパケットのヘッダのtypeフィールドに「type=010」を記入する。
HO制御部24bは図23で説明したハンドオーバ制御を実行し、測定制御部24cは移動局から送信される様々な測定情報、例えば、移動局の無線品質CQI(Channel Quality Information)などを収集する。
・移動局の構成
図6は移動局の構成図であり、送受信部31、バッファ部32、スケジューラ部32、リオーダ部33、制御部34が示されている。送受信部31は基地局の送受信部とパケットや制御情報の送受信をおこなう。バッファ部32は受信した下位層パケットからRLC PDUが構築できなかった場合、該RLC PDUが構築できるまで保持し、RLC PDUが構築できた場合、ヘッダを除去し、RLC SDU (PDCP PDU)としてリオーダ部33に渡す。リオーダ部33はPDCP PDUをシーケンス番号順に並べ替えて上位層に渡すための機能を有している。リオーダ部33はPDCP PDUのシーケンス番号の抜けを検出した場合、シーケンス番号が連続するPDCP PDUを受信するまで、以降のPDCP PDUを内蔵のメモリに保持する。ただし、リオーダ部は該PDCP PDUが所定時間経過しても到着しない場合はリオーダリング処理を停止し、蓄積している全てのPDCP PDUを上位層に渡す。また、リオーダ部33はリオーダリングにおいて、処理するデータ量が許容量を超えないようにウィンドウ制御を行う。
制御部34は測定制御部34a、リオーダ管理部34b、再送管理部34cを備えている。測定制御部34aは、基地局に送信する様々な測定情報を測定する。例えば、移動局の無線品質CQI(Channel Quality Information)を計測する。リオーダ管理部34bはリオーダ部33を制御し、リオーダ部33が保持しているPDCP PDUについて番号が抜けた場合、番号が連続するPDCP PDUの到着待ちをするよう指示する。また、該パケットの到着待ち時間が所定時間を経過すると、リオーダリングの停止をリオーダ部33に指示すると共に、保持している全てのPDCP PDUのヘッダを除去し、PDCP SDUとして上位層に渡すよう指示し、新規PDCP PDUの受信ができる状態にする。さらに、リオーダ管理部34bはこれまで受信した最大のシーケンス番号をウィンドウ右端のシーケンス番号として設定し、また、ウィンドウサイズを考慮してウィンドウ左端のシーケンス番号を決定して設定する。ここで、ウィンドウ左端のシーケンス番号よりも小さいシーケンス番号の受信済みパケットがあれば該パケットを直に上位レイヤに転送する。再送管理部34cは再送制御時、点線で示すルートで再送要求信号が送受信部を介して基地局に送信される。
・移動先基地局の動作
図7は第1実施例の移動先基地局の動作フローチャートである。
移動先基地局11bのハンドオーバ制御部24bは移動元基地局11aよりHO要求(移動局IDやQoS情報などを含む)を受信すると(ステップ201)、それらの情報を基に呼受付制御を行い、移動局の受け入れを許可するか判断する(ステップ202)。許可しなければ後処理を行って(ステップ213)、ハンドオーバ制御を終了する。
一方、ハンドオーバ制御部24bは移動局の受け入れを許可する場合、HO要求応答メッセージを移動元基地局11aへ返信する(ステップ203)。続いて、移動先基地局11bは 移動元基地局11aから転送されてくるパケットを待ち、以後、バッファ部21は移動元基地局11aからフォワーディングされてくるパケットを受信すれば蓄積する(ステップ204)。
かかる状態において、ハンドオーバ制御部24bは、移動局14からHO完了の報告を受信すると(ステップ205)、HO完了の報告を上位局12に送信する(ステップ206)。上位局は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局11aから移動先基地局11bに切り替え、HO完了応答を移動先基地局11bに返信する。移動先基地局11bのハンドオーバ制御部24bは上位局12よりHO完了応答を受信すれば(ステップ207)、スケジューラ部22にパケットの送信開始を指示する(ステップ208)。
これにより、スケジューラ部22は、パケットの飛び越し伝送をする必要があるかチェックし(ステップ209)、必要が無ければ移動元基地局11aからフォワーディングされているパケットを優先的に移動局14へ送信する(ステップ210)。しかし、移動元基地局11aからのパケットのフォワーディングが遅れており、パケット飛び越し伝送をする必要があれば、スケジューラ部22は、上位局12から受信したパケットの飛び越し伝送を実行する。
飛び越し伝送を実行するには、飛び越し伝送するパケットのtypeフィールドのタイプ番号を010(type=010)に設定し、飛び越しパケットであることを移動局14が識別できるようにし(ステップ211)、しかる後、該パケットを移動局14へ伝送する(ステップ210)。
以上と並行して、ハンドオーバ制御部24bはリソース解放を移動元基地局11aに送信し(ステップ212)、後処理を行って(ステップ213)、ハンドオーバ制御を終了する。
・移動元基地局の動作
図8は第1実施例の移動元基地局の装置動作フローチャートである。
図8において、移動元基地局11aの測定制御部24aは移動局14よりMeasurement Reportにより受信状態情報を受信すれば(ステップ251)、該受信状態情報に基づいてハンドオーバ(Hand Over:HO)が必要であるか否かを判断し(ステップ252)、ハンドオーバ不要であれば始めに戻る。
しかし、ハンドオーバHOが必要であると決定すれば、ハンドオーバ制御部24bはMeasurement Reportの内容により移動先基地局11bを決定し、該移動先基地局11bにハンドオーバ要求を送信する (ステップ253)。
しかる後、移動先基地局11bより送信されるHO応答メッセージを受信すれば(ステップ254)、HO制御部24bはHO指示メッセージを移動局14へ送信し(ステップ255)、バッファ管理部24aにバッファ21に残存するパケットの移動先基地局11bへのフォワーディング(パケット転送)を指示する。これにより、バッファ管理部24aは点線のルートでバッファ21bに存在する移動局14へ送信されなかったパケットあるいは正常に受信されなかったパケット(NACKパケット)を移動先基地局11bへフォワーディングする(ステップ256)。以後、移動先基地局11bから送られてくるリソース解放メッセージを受信し(ステップ257)、リソース解放を実行する(ステップ258)。
・移動局の動作
図8は移動局の動作フローチャートである。
移動局14の測定部34aは受信状態などをMeasurement Reportにより移動元基地局11aに通知する(ステップ271)。以後、制御部34は移動元基地局11aから送られてくるHO指示メッセージを待ち、HO指示メッセージを受信すれば(ステップ272)、移動先基地局11bとL1/L2シグナリングにより同期を確保し(ステップ273)、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局11bに送信する(ステップ274)。しかる後、制御部34は、受信したパケットが飛び越しパケットであるか、換言すればtype=010のパケットであるかチェックし(ステップ275)、飛び越しパケットであれば、リオーダリングの対象から除外してバッファ32に保存し、設定時間経過後にヘッダを除去してPDCP SDUパケットにして上位レイヤに渡す(ステップ276)。一方、飛び越しパケットでなければ、リオーダリングを実行し、順番通りに並び替え、PDCP SDUパケットとして上位層に渡す(ステップ277)。
図10は移動局のリオーダリング処理フローである。
移動局の送受信部31が移動先基地局11bから下位レイヤパケットを受信すると(ステップ301)、リオーダ管理部34bはRLC PDUを構築できるかチェックし(ステップ302)、構築できなければ設定時間経過したかチェックし(ステップ303)、設定時間経過してなければ該下位レイヤパケットをバッファ32に保存し(ステップ304)、ステップ301以降の処理を行う。下位レイヤパケットを受信してから設定時間経過してもRLC PDUを構築できなければ、下位レイヤパケットをバッファから消去する(ステップ305)。
一方、ステップ302において受信した下位レイヤパケットを用いてRLC PDUを構築できれば、該RLC PDUをRLC SDU(PDCP PDU)としてリオーダ部33に渡す(ステップ306)。リオーダ部33はRLC SDU(PDCP PDU)を受信すれば、シーケンス番号の抜けがあるかチェックし(ステップ307)、抜けがなく、シーケンス番号が連続していれば、該RLC SDU(PDCP PDU)のヘッダを削除してPDCP SDUにして上位層に渡す(ステップ311)。しかし、シーケンス番号に抜けがあればリオーダ管理部34bはリオーダ部33にPDCP PDUを保持するよう指示する(ステップ308)。これにより、リオーダ部33はPDCP PDUを保持すると共に、シーケンス番号が連続するRLC SDU(PDCP PDU)を受信したかチェックする(ステップ309)。シーケンス番号が連続するRLC SDU(PDCP PDU)を受信すれば、該RLC SDU(PDCP PDU)をPDCP SDUとして上位層に渡すと共に、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ311)。
また、ステップ309において、シーケンス番号が連続するRLC SDU(PDCP PDU)を受信しなければ、予め設定されている時間TMが経過したか監視し(ステップ310)、経過してなければステップ308以降の処理を繰り返し、設定時間TMが経過すればシーケンス番号が不連続であっても、保持しているPDCP PDUを上位層に渡す(ステップ311)。
以上のように第1実施例によれば、上位局12から移動先基地局11bに伝送されてくるパケットを飛び越しパケットとして待たされることなく移動局14に伝送でき、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。また、移動局14は飛び越しパケットをリオーダリング制御(順序制御)の対象から除外し、飛び越しパケット以外のパケットの順序制御を行ってパケットをシーケンス番号順に上位装置に渡す。この結果、移動局は順序制御機能が一つであってもパケットの順序制御できるようになる。
(C)第2実施例
第1実施例において、移動局14は設定時間TMの期間リオーダリング処理を行い、設定時間TMが経過したときにリオーダリング処理を終了する(図10のステップ310)。このため、移動局14は、移動元基地局11aから移動先基地局11bへフォワーディングされたパケットを全て受信した後も設定時間TMが経過してなければ、リオーダリング処理を継続する。そこで、第2実施例では、移動局14がリオーダリング処理対象の最後のパケットを識別できるように、移動先基地局11bは所定のパケット(Lastパケット)に識別子を付加して移動局に伝送し、移動局14は該Lastパケットを受信すれば設定時間TMが経過してなくても直ちにリオーダリング処理を終了する。
図11は第2実施例の説明図であり、ハンドオーバ前に移動元基地局11aにパケットn-5〜nが蓄積されており、これらパケットのうち、パケットn-5〜n-2は移動局14に送信されたが、パケットn-1、nは移動局14に送信されていないものとする。たとえば、パケットn-1、nは移動元基地局11aと移動局14の無線回線が切断された後に到着したため、これらパケットn-1、nは移動局14に送信されていない。また、移動局へ送信されたパケットのうち、パケットn-5、n-3は移動局14により正しく受信されず(NACK)、パケットn-4、n-2は正常に受信されたものとする(ACK)。このため、移動局14は、パケットn-4、n-2を保存しており、パケットn-5、n-3を保存していない。
かかる状態において、ハンドオーバが生じると、移動元基地局11aは移動局14により正常受信されなかったパケットn-5、n-3と未送信のパケットn-1、nを移動先基地局11bに転送(フォワーディング)する。また、上位局12はハンドオーバ後に移動先基地局11bに2つのパケットm〜m+1を送信する。なお、パケットn-5〜nの転送(フォワーディング)は遅れているものとする。
移動先基地局11bは、移動元基地局11aからパケットn-5、n-3、n-1〜nがフォワーディングされてくる前に、上位局2からパケットm,m+1を受信したとすれば、該上位局から受信したパケットm,m+1に飛び越し識別符号Fを付加して移動局14へ先に伝送(飛び越し伝送)する。移動局14は基地局より受信した飛び越し識別符号Fが付加されているパケットをバッファBF2に保存してリオーダリング処理の対象から除外する。図11の(A)は移動局14がバッファBF2にパケットm,m+1を保存し、バッファBF1にハンドオーバ前に受信したパケットn-4,n-2を保存している状態を示している。
移動先基地局11bは予め設定されている時間TW(Waiting Timeという)が経過するまでフォワーディングされてきたパケットを移動局に送信するが、Waiting Timeが経過すればフォワーディングされてきたパケットを受信しても破棄する。したがって、移動先基地局11bは、Waiting Timeが経過前に移動元基地局11aからフォワーディングされてきたパケットn-5、n-3、n-1を受信してバッファBFに保存して1個ずつ移動局に伝送する。そして、移動元基地局11aからパケットnを受信し、移動局にはまだ伝送していない段階でWaiting Timeが満了したとする。かかる場合、移動先基地局11bは、パケットnにフォワーディングされた最後のパケットであるという識別子(L)を付加して移動局14に伝送する。
移動局14は、移動先基地局11bから受信したパケットn-5、n-3、n-1、nをバッファBF1に保存し、図1の(B)に示すように、これらパケットとハンドオーバ前に受信しているパケットn-4、n-2とのリオーダリング処理を実行して並び替える。また、パケットnに付加されている識別子(L)を検出すればフォワーディングが終了したと判断し、リオーダリングの設定時間TMが満了していなくても、リオーダリング済みのパケットを上位レイヤに渡し、リオーダリング処理を終了する。
以上では、パケットnを送信する前にWaiting Timeが満了した場合であるが、パケットnを移動局に伝送した段階でWaiting Timeが満了する場合もある。かかる場合、移動先基地局11bは、上位局12から受信したパケットm+2に最後のパケットであるという識別子(L)を付加して移動局14に伝送する。該識別子が付加されたLastパケットを受信した移動局14は、フォワーディングが終了したと判断し、リオーダリングの設定時間TMが満了していなくても、直ちにリオーダリングを終了する。
また、パケットn-3をフォワーディングにより受信したが、パケットn-1、nを受信していない段階でWaiting Timerが満了する場合もある。かかる場合、移動先基地局11bは、パケットn-3に最後のパケットであるという識別子(L)を付加して移動局14に伝送する。移動局14は該識別子(L)を付加されたLastパケットを検出してリオーダリング処理を終了する。
・最後パケット識別符号L
Lastパケットであることを示す識別子(最後パケット識別符号)Lをパケットに付加するには、PDCP PDUのヘッダに含まれる3ビットの「type」フィールドを使用する。すなわち、該「type」フィールドにおいて新しいtype番号を最後パケット識別符号Lとして定義し、Waiting Timeが満了して最初に送信するパケットに該type番号を割り当てる。図12は、PDCP PDUのフォーマット例であり、(A)はヘッダがないフォーマット例、(B)はPDCP PDUのシーケンス番号が付加されていないフォーマット例、(C)、(D)はPDCP PDUのシーケンス番号が付加されるフォーマット例である。(C),(D)のフォーマットにおいて、ヘッダHDにはtypeフィールドとPIDフィールドが定義されており、typeフィールドでPDCP PDUの種類を示す。typeフィールドにおいて「type=000」と「type=001」は既に規定されているが、「type=010〜111」は規定されておらず未使用である。そこで、例えば、「type=011」を、Waiting Timeが満了した後、最初に伝送するPDCP PDUパケット(Lastパケット)を識別するためのtype番号として利用する。
・PDCPレイヤとRLCレイヤの処理
図13、図14はハンドオーバ後のPDCPレイヤとRLCレイヤのパケット処理説明図である。
図13は移動局へ伝送されたパケットnに最後パケット識別符号Lが付加されている場合である。移動局14はリオーダリング時、リオーダリングの終了を判定するためにタイマーを始動する。ここで、設定時間TMが大きな値に設定されている場合、パケットnがフォワーディングされた最後のパケットであるにも関わらず、リオーダリング処理を継続し、設定時間TMが満了するまでパケットを上位層に回送することができない。しかし、第2実施例において、移動局14は最後パケット識別符号Lが付加されているパケットn(Lastパケット)を受信すると、直ちにリオーダリングを終了し、全てのPDCP PDUパケットを上位層に回送する。
また、移動局14は許容できるデータ量以上のデータが到着した場合に備えて、リオーダリング時にウィンドウ制御を行う。ウィンドウの左端は、到着が期待される番号であるn-5、ウィンドウの右端は、許容できるデータ量の上限である値となる(図では、nとしている)。ただし、実施例1のように、「type=010」のパケットに対しては、ウィンドウ処理は適用しない。このように処理することで、パケットn-5〜パケットnに対するリオーダリングを実行することができる。
図14は、パケットm+2に最後パケット識別符号Lが付加された場合である。移動局14は、パケットm+2(Lastパケット)を受信した時点で設定時間TMが満了していなくても、直ちにリオーダリングを終了し、受信済みの全てのPDCP PDUパケットを上位層に回送する。また、ウィンドウ制御については、図13と同様に実行している。
・移動先基地局の動作
図15は第2実施例の移動先基地局の動作フローチャートであり、第1実施例の図7のステップと同一ステップには同一の番号を付している。第2実施例の基地局、移動局は図5、図6に示す構成を有している。
移動先基地局11bのハンドオーバ制御部24bは移動元基地局11aよりHO要求(移動局IDやQoS情報などを含む)を受信すると、それらの情報を基に呼受付制御を行い、移動局の受け入れを許可するか判断する。許可しなければ後処理を行って、ハンドオーバ制御を終了する(ステップ201〜202,213)。
一方、ハンドオーバ制御部24bは移動局14の受け入れを許可する場合、HO要求応答メッセージを移動元基地局11aへ返信すると共に経過時間の計時を開始する。以後、移動先基地局11bは移動元基地局11aから転送されてくるパケットを待ち、該パケットをバッファ部21に蓄積する(ステップ203〜204)。
かかる状態において、ハンドオーバ制御部24bは、移動局14からHO完了の報告を受信すると、HO完了の報告を上位局12に送信する(ステップ205〜206)。上位局12は、ハンドオーバ完了の報告を受信すると、パケットの伝送経路を移動元基地局11aから移動先基地局11bに切り替え、HO完了応答を移動先基地局に返信する。移動先基地局11bのハンドオーバ制御部24bは上位局よりHO完了応答を受信すれば、スケジューラ部22にパケットの送信開始を指示する(ステップ207〜208)。
ついで、スケジューラ部22は、経過時間が設定時間TWを越えたか、すなわち、Waiting Timeが満了したか監視し(ステップ501)、Waiting Timeが満了してなければ、パケットの飛び越し伝送をする必要があるかチェックし(ステップ209)、必要が無ければ移動元基地局11aからフォワーディングされているパケットから優先的に移動局14へ送信を開始する(ステップ210)。しかし、フォワーディングが遅れており、パケットの飛び越し伝送をする必要があれば、スケジューラ部22は、上位局12から受信したパケットの飛び越し伝送を実行する。飛び越し伝送を実行するには、飛び越し伝送するパケットヘッダのtypeフィールドのタイプ番号010(type=010)に設定し、飛び越しパケットであることを移動局14が識別できるようにし(ステップ211)、しかる後、該パケットを移動局へ伝送する(ステップ210)。
以上と並行して、ハンドオーバ制御部24bはリソース解放を移動元基地局11aに送信し(ステップ212)、ステップ501に戻り、Waiting Timeが満了したかチェックし、満了してなければステップ209以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ501においてWaiting Timeが満了すれば、Waiting Time満了直後に伝送するパケットのtype番号を“011”にする。すなわち、満了直後に伝送するパケットに最後パケット識別符号Lを付加し、該パケット(Lastパケット)を移動局へ伝送し(ステップ502〜503)、以後、後処理を行って、ハンドオーバ制御を終了する(212〜213)。
なお、ステップ502において、最後パケット識別符号Lを付加されたLastパケットが移動元基地局11aからフォワーディングされてきたパケットであるか、上位局12から受信したパケットであるかを識別できるように、前者のパケットであればtype番号を“011”にし、後者のパケットであればtype番号を“100”をにする。このようにすれば、後述する移動局14のリオーダリング処理が容易になる。
・移動局の動作
図16は移動局の動作フローチャートであり、図8の動作フローと同一ステップには同一番号を付している。移動局の測定部34aは受信状態などをMeasurement Reportにより移動元基地局11aに通知する。以後、制御部34は移動元基地局から送られてくるHO指示メッセージを待ち、HO指示メッセージを受信すれば、移動先基地局11bとL1/L2シグナリングにより同期を確保し、同期を確保するとハンドオーバ完了の報告を移動先基地局に送信する(以上ステップ271〜274)。
しかる後、制御部34は、受信したパケットが飛び越しパケットであるか、換言すればtype=010のパケットであるかチェックし(ステップ600)、飛び越しパケットであれば、リオーダリングの対象から除外してバッファ32に保存する(ステップ601)。
一方、飛び越しパケットでなければ、受信したパケットがLastパケットであるか、換言すれば、type=011のパケットであるかチェックする(ステップ602)。Lastパケットでなければリオーダリングを開始し、順番通りにPDCP PDUパケットを並び替え、PDCP SDUを生成して上位レイヤに渡す(ステップ603)。
以後、予め設定した時間TMが満了したかチェックし(ステップ604)、設定時間TMが満了してなければステップ600以降の処理を繰り返し、設定時間TMが満了していれば、リオーダリング処理を終了し、しかる後、未だ上位レイヤに渡してないPDCP PDUパケットよりヘッダを削除してPDCP SDUを生成して上位レイヤに渡す(ステップ605)。ついで、リオーダリング対象外のパケットを上位レイヤに渡して処理を終了する(ステップ606)。
一方、ステップ602において、受信したパケットがLastパケットであれば、リオーダリング処理を直ちに停止する(ステップ607)。このとき、Lastパケットがフォワーディングされたパケットであれば、該LastパケットよりPDCP SDUパケットを生成して上位レイヤに渡し、リオーダリングを停止する。また、Lastパケットが上位局12より受信したパケットであれば、リオーダリングを直ちに停止し、該Lastパケットをリオーダリング対象外のパケットの最後に接続する。以後、リオーダリング対象外のパケットを上位レイヤに渡して処理を終了する(ステップ606)。
以上のように第2実施例によれば、移動局は最後パケット識別符号を参照してフォワーディングが終了したことを検出し、即座にリオーダリングを停止できる。したがって、データの遅延時間をなくせ、システム全体のスループットを向上することができる。
(D)第3実施例
これまで示してきた順序情報(シーケンス番号n,m)は、説明の簡単化のための便宜的な番号であり、実際には基地局で付加されるものである。
前述したようにLTE通信システムにおいて、フォワーディングはPDCP SDUのデータ単位で実施される。このため、フォワーディングが生じた場合、Sequence Numberフィールドを移動元基地局11aから移動先基地局11bに送信することができず、何らかの方法でシーケンス番号(Sequence Number)を通知する必要がある。
本実施例では、移動元基地局11aが移動先基地局11bにPDCP SDUデータと共にシーケンス番号を通知し、かつ、移動先基地局が該シーケンス番号に基づいてフォワーディングされてきたPDCP SDUデータ(パケット)に該シーケンス番号を付加する。
図17は、PDCP PDUのシーケンス番号を、該当するPDCP SDUのデータ(パケット)に付随させて(in bandで)、データプレーン(U-plane)を介して通知する例である。図17においてPDCP SDUデータと該データに付随するシーケンス番号SNのみを示しているが、該PDCP SDUデータをひとかたまりのパケットとみなすためには制御情報(ヘッダー情報)を付加する必要がある。移動元基地局11aは、PDCP SDUデータをフォワーディングする毎に、図17のフォーマットで該PDCP SDUデータに付随するシーケンス番号SNを通知し、移動先基地局11bは該シーケンス番号に基づいてフォワーディングされてきたPDCP SDUデータ(パケット)に該シーケンス番号を付加する。
つまり、図17の状況において、移動元基地局11aは、まずシーケンス番号n-5と最初のPDCP SDUデータをデータプレーンU-planeを介してフォワーディングする。続いて、シーケンス番号n-3と次のPDCP SDUデータをU-planeを介してフォワーディングする。以降、上位局12から受信したPDCP SDUデータn-1、nをフォワーディングする際、同様にPDCP SDUデータとそのシーケンス番号をU-planeを介して移動先基地局11bにフォワーディングする。移動先基地局11bでは、U-planeにより通知されたシーケンス番号n-5、n-3、n-1、nを受信することにより、フォワーディングされてきたデータのシーケンス番号を認識することができる。
図18は、PDCP PDUのシーケンス番号SNを該当するPDCP SDUデータに付随させて(in bandで)U-planeで通知すると共に、移動元基地局11aが移動局より正常受信を確認できなかったPDCP SDUデータのシーケンス番号をNext SNとして制御プレーン(C-plane)を介して通知する例である。このC-planeを介したシーケンス番号(Next SN)の通知は、図19のハンドオーバシーケンス図において“SN引き継ぎ”として示されている。SN引き継ぎは移動元基地局11aが移動先基地局11bに対してHO要求する際に、同時に行うこともできる。
図18の状況において、移動元基地局11aは、まずシーケンス番号n-5と最初のPDCP SDUデータをU-planeを介してフォワーディングする。続いて、シーケンス番号n-3と次のPDCP SDUデータをU-planeを介してフォワーディングする。また、移動元基地局11aは、同時に移動局により正常受信を確認できなかったPDCP SDUのシーケンス番号n-5のみをNext SNとして移動先基地局11bにC-planeを介して通知する(SN引き継ぎ)。以降、移動元基地局11aは、上位局12から受信したPDCP SDUデータn-1、nをフォワーディングする際、同様にPDCP SDUデータとそのシーケンス番号をU-planeを介して移動先基地局11bにフォワーディングする。移動先基地局11bは、C-planeにより通知されたシーケンス番号n-5と、U-planeにより通知されたシーケンス番号n-5、n-3、n-1、nを受信するが、U-planeにより通知されたシーケンス番号がC-planeにより通知されたシーケンス番号より大きいから、該U-planeにより通知されたシーケンス番号に基づいて以後PDCP SDUデータにシーケンス番号を付加して移動局に伝送する。すなわち、移動先基地局11bは、C-planeにより通知されたシーケンス番号n-5を無視する。
図20はフォワーディングするPDCP SDUデータが全く存在しない場合の例である。
移動元基地局11aは、Next SNとして移動先基地局11bにC-planeを介して、移動局により正常受信を確認できなかったシーケンス番号n+1を通知する。移動先基地局11bは移動元基地局11aよりPDCP SDU データを受信することなくWaiting Timeが満了すると、C-planeで通知されたシーケンス番号に基づいて以後PDCP SDUデータにシーケンス番号を付加して移動局に伝送する。すなわち、移動先基地局11bは上位局12から受信したパケットmのシーケンス番号をn+1として移動局に伝送する。
11a 移動元基地局
11b 移動先基地局
12 上位局
14 移動局

Claims (3)

  1. 移動元基地局から第1のPDCP PDUを受信する手段と、
    前記移動元基地局が移動先基地局に転送するシーケンス番号およびPDCP SDUを用いて生成される第2のPDCP PDUを前記移動先基地局から受信する受信手段と、
    前記第1のPDCP PDUに対応するPDCP SDUおよび前記第2のPDCP PDUに対応するPDCP SDUを格納する格納手段と、
    該シーケンス番号に基づいて、格納したPDCP SDUをシーケンス番号順に並べ替える処理を行うリオーダリング手段と、
    を備えた特徴とする移動局。
  2. 前記シーケンス番号は、制御プレーンで前記移動元基地局から前記移動先基地局に転送される、
    ことを特徴請求項1記載の移動局。
  3. 前記PDCP SDUと前記シーケンス番号は、ユーザープレーンで前記移動元基地局から前記移動先基地局に転送される
    ことを特徴とする請求項1に記載の移動局。
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