JP4962397B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気ガスに含まれる未燃アルコールや未燃アルデヒドなどを凝縮により凝縮液として捕集して、吸気系に再循環させる技術分野に関する。
この種の技術が、例えば特許文献1及び2に記載されている。特許文献1には、排気のアルデヒド成分を凝縮することで捕集し、機関の温度に応じて、アルデヒド水溶液を吸気通路へ還流させる制御を行う技術が記載されている。また、特許文献2には、低温始動時に、排気ガスをバイパス通路へ流して冷却器によって冷却し、排気ガス中の水分を凝縮除去して外部に排出する技術が記載されている。その他にも、本発明に関連のある技術が、特許文献3に記載されている。
実開昭61−76108号公報 実開平4−65915号公報 特開昭63−235617号公報
しかしながら、上記した特許文献1乃至3には、排気ガスを冷却して、排気ガス中の未燃成分を凝縮させて捕集すると共に、凝縮液を吸気系に再循環する構成において、排気ガスを効率的に冷却する制御方法や、凝縮液を効率的に再循環する制御方法などについては、具体的に記載されていない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、排気ガスを効率的に冷却すると共に、凝縮液を効率的に再循環する制御を行うことが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、内燃機関の排気浄化装置は、排気ガス中の燃料の未燃成分を凝縮させることにより、凝縮液として貯蔵タンクに捕集する捕集装置と、前記排気ガスを冷却する冷却装置と、エンジンが始動してから触媒が暖機されるまでの間に、前記冷却装置による前記排気ガスの冷却が実行されるように、前記冷却装置を作動させる制御を行う冷却制御手段と、を備え、前記冷却制御手段は、前記冷却装置の温度が所定温度未満である場合には、前記冷却装置を作動させる制御を行わない。
上記の内燃機関の排気浄化装置は、排気ガスに含まれる未燃アルコールや未燃アルデヒドなどを凝縮により凝縮液として捕集するために好適に利用される。具体的には、捕集装置は、未燃成分を凝縮させて、凝縮液として貯蔵タンクに捕集し、冷却装置は、排気ガスを冷却する。そして、冷却制御手段は、エンジンが始動してから触媒が暖機されるまでの間に、冷却装置による排気ガスの冷却が実行されるように、冷却装置を作動させる制御を行う。つまり、冷却制御手段は、捕集装置による凝縮期間を限定する。これにより、貯蔵タンクのサイズを小さく構成することができると共に、高濃度の有機成分を適切に捕集することができ、また燃費を向上させることができる。
また、冷却制御手段は、冷却装置の温度が所定温度未満である場合には、冷却装置を作動させる制御を行わない。つまり、冷却する必要のないときは、冷却装置の作動を停止する。これにより、燃費を向上させることができると共に、過冷却によるシステムの凍結を防止することができる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記冷却制御手段は、前記貯蔵タンクの凝縮液量が所定値以上である場合には、前記冷却装置を作動させる制御を行わない。これにより、貯蔵タンクから凝縮液があふれて、凝縮液が逆流してしまうことを防止することができる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記冷却制御手段は、前記燃料中の有機成分濃度が所定値未満である場合、又は前記排気ガス中の有機成分濃度が所定値未満である場合には、前記冷却装置を作動させる制御を行わない。この態様では、高有機成分濃度の時のみ、冷却装置を作動する。これにより、燃費を向上させることが可能となる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記捕集装置に捕集された未燃成分を、吸気系に再循環させる制御を行う再循環制御手段を更に備える。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記再循環制御手段は、前記エンジンが高負荷である場合に、前記吸気系に再循環させる量を増やす制御を行う。これにより、燃焼温度を効果的に低下させることができ、NOx発生を抑制することが可能となると共に、触媒への熱負荷を低減することが可能となる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記再循環制御手段は、前記エンジンが燃料カット中である場合に、前記吸気系に再循環させる量を増やす制御を行う。この態様によれば、燃焼に影響を与えずに、凝縮液を再循環させることができる。また、再循環により燃焼室温度を効果的に低下させることができ、NOx発生を抑制することが可能となると共に、触媒への酸化負荷及び熱負荷を低減することが可能となる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記再循環制御手段は、前記吸気系の負圧が所定値以上である場合に、前記吸気系に再循環させる量を増やす制御を行う。これにより、吸気系の負圧を効果的に低下させることができ、燃料を向上させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[装置構成]
図1は、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置が適用されたシステムの構成を示す概略図である。なお、図1では、実線矢印がガスの流れを示し、破線矢印が信号の入出力を示している。
吸気通路3には外部から導入された吸気が通過し、スロットルバルブ4は吸気通路3を通過する吸気の流量を調整する。エンジン(内燃機関)5は、吸気通路3より供給される空気と燃料との混合気を燃焼させることで、車両における動力を発生する。ここで、エンジン5に供給される燃料は、例えばガソリンその他のアルコール系燃料(アルデヒド、アルコールなど)である。エンジン5における燃焼によって発生した排気ガスは、排気通路6より排出される。
排気通路6には、上流側から順に、第1触媒7、第2触媒8、捕集装置9、マフラー12が設けられている。第1触媒7は、例えば酸化機能を有するNOx触媒や酸化触媒などから構成される。第2触媒8は、例えば酸化機能を有する酸化触媒から構成される。第2触媒8は、第1触媒7で浄化しきれなかった未燃成分を酸化させることで、燃料の未燃成分の大気中への放出を抑制する。また、第1触媒7には、第1触媒7の温度(床温)を検出可能に構成された温度センサ21が設けられている。更に、排気通路6には、排気ガス中の有機成分(例えばアルコール)の濃度を検出可能に構成された濃度センサ22が設けられている。
捕集装置9は、貯蔵タンク10を備えており、排気ガス中の燃料の未燃成分を凝縮させて、凝縮液として貯蔵タンク10に捕集する。具体的には、捕集装置9は、図示のように、排気ガスの流通方向を迂回屈曲させて気液分離が促されるように構成されていると共に、容積膨張によって未燃成分を冷却凝縮させるように構成されている。貯蔵タンク10には、凝縮液量を検出可能に構成された凝縮液量センサ23が設けられている。また、貯蔵タンク10の下方には排出口10aが形成されており、排出口10a付近にはフィルタ10bが設けられている。そして、貯蔵タンク10は、排出口10aに再循環通路14が接続されている。
再循環通路14は、一端が貯蔵タンク10に接続されており、他端が吸気通路3に接続されており、貯蔵タンク10内の凝縮液を吸気系に再循環可能に構成されている。なお、本明細書では、再循環される凝縮液には、液体だけでなく、気化された未燃成分(気体、蒸気)も含むものとする。また、再循環通路14には、吸気通路3に再循環させる凝縮液量を調整可能なバルブ15が設けられている。バルブ15は、後述するECU50によって、開閉や開度などが制御される。更に、再循環通路14には、未燃成分に含まれる有機成分(例えばアルコール)の濃度を検出可能に構成された濃度センサ24が設けられている。
更に、捕集装置9には、捕集装置9を通過する排気ガスを冷却する冷却装置11が設けられている。冷却装置11は、例えば、内部を流れる冷却水によって排気ガスを冷却可能に構成されている。一例としては、エンジン5の冷却などに用いられる冷却水(エンジン冷却水)が、冷却装置11に用いられる。冷却装置11は、ECU50によって、その作動が制御される。つまり、ECU50は、貯蔵タンク10の冷却に対する制御を行う。例えば、冷却装置11が冷却水を用いている場合には、ECU50は、冷却水を流すポンプ(電動ポンプ)に対する制御を行う。また、冷却装置11には、冷却装置11の温度(例えば冷却装置11内の冷却水の温度)を検出可能に構成された温度センサ25が設けられている。
ECU(Electronic Control Unit)50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備えて構成される。本実施形態では、ECU50は、冷却装置11によって排気ガスを冷却する制御や、捕集装置9に捕集された未燃成分を再循環させる制御などを実行する。具体的には、ECU50は、温度センサ21、25、濃度センサ22、24、及び凝縮液量センサ23の少なくともいずれかから供給される検出信号に基づいて、冷却装置11及びバルブ15に対して制御信号を供給することで、このような制御を実行する。以上のように、ECU50は、本発明における冷却制御手段及び再循環制御手段として機能する。
[制御方法]
以下で、ECU50が行う制御の実施例について説明する。
(第1実施例)
第1実施例に係る制御方法について説明する。第1実施例では、ECU50は、排気ガスが効率的に冷却されるように、冷却装置11に対する制御を行う。具体的には、ECU50は、エンジン5が始動してから触媒が暖機(具体的には第1触媒7の暖機)されるまでの間に、冷却装置11によって排気ガスの冷却が実施されるように、冷却装置11に対する制御を行う。つまり、ECU50は、捕集装置9による凝縮期間を限定する。これにより、貯蔵タンク10のサイズを小さく構成することができると共に、高濃度の有機成分を適切に捕集することができ、燃費を向上させることができる。
また、第1実施例では、ECU50は、冷却装置11の温度が所定温度未満である場合には、冷却装置11を作動しない。つまり、ECU50は、冷却する必要のないときは、冷却装置11の作動を停止する。これにより、燃費を向上させることができると共に、過冷却によるシステムの凍結を防止することができる。更に、第1実施例では、ECU50は、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値以上である場合には、冷却装置11を作動しない。これにより、貯蔵タンク10から凝縮液があふれて、凝縮液が逆流してしまうことを防止することができる。
図2は、第1実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。当該処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、当該処理は、イグニッションがオンにされた後に実行されるものとする。
まず、ステップS101では、ECU50は、触媒温度が所定温度未満であるか否かを判定する。具体的には、ECU50は、温度センサ21から供給される検出信号に基づき、第1触媒7の温度が所定温度未満であるか否かを判定する。この判定に用いる所定温度は、例えば、暖機している状態における第1触媒7の温度に設定される。つまり、ステップS101では、ECU50は、第1触媒7が暖機していないか否かの判定を行う。触媒温度が所定温度未満である場合(ステップS101;Yes)、処理はステップS102に進む。この場合には、第1触媒7が暖機していないと言えるため、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させるために冷却装置11を作動させるべく、ステップS102以降の処理を行う。これに対して、触媒温度が所定温度以上である場合(ステップS101;No)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、第1触媒7が暖機していると言えるため、未燃成分を第1触媒7及び第2触媒8によって適切に浄化できると考えられる。よって、冷却装置11を作動させる必要はないと言えるので、冷却装置11を作動させる処理を行わない。
ステップS102では、ECU50は、燃料の始動増量が有るか否かを判定する。始動増量が有る場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進む。この場合には、始動増量により未燃成分も増加することが考えられるため、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させるために冷却装置11を作動させるべく、ステップS103以降の処理を行う。これに対して、始動増量が無い場合(ステップS102;No)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、未燃成分は増加しないものと考えられるため、冷却装置11を作動させる必要はないと言えるので、冷却装置11を作動させる処理を行わない。
ステップS103では、ECU50は、凝縮液量センサ23から供給される検出信号に基づき、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値未満であるか否かを判定する。この判定に用いる所定値は、例えば、貯蔵タンク10から凝縮液があふれるおそれのある凝縮液量に設定される。凝縮液量が所定値未満である場合(ステップS103;Yes)、処理はステップS104に進む。この場合には、凝縮液があふれる可能性はかなり低いため、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させるために冷却装置11を作動させるべく、ステップS104以降の処理を行う。これに対して、凝縮液量が所定値以上である場合(ステップS103;No)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、貯蔵タンク10から凝縮液があふれて、凝縮液が逆流してしまうことを防止することを優先するため、冷却装置11を作動させる処理を行わない。
ステップS104では、ECU50は、温度センサ25から供給される検出信号に基づき、冷却装置11の温度が所定温度以上であるか否かを判定する。この判定に用いる所定温度は、例えば、冷却装置11によって排気ガスを冷却する必要がないような冷却装置11の温度(言い換えると、冷却装置11によって排気ガスを冷却した場合に、過冷却が生じる可能性があるような温度)に設定される。冷却装置11の温度が所定温度以上である場合(ステップS104;Yes)、処理はステップS105に進む。この場合には、過冷却によるシステムの凍結などの不具合が生じる可能性は低いため、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させるべく、ECU50は、冷却装置11の作動を開始する(ステップS105)。そして、処理はステップS106に進む。これに対して、冷却装置11の温度が所定温度未満である場合(ステップS104;No)、処理はステップS106に進む。この場合には、冷却装置11によって排気ガスを冷却する必要がないと言えるため、又は、過冷却によるシステムの凍結などを防止することを優先するため、冷却装置11を作動させる処理を行わない。
ステップS106では、ECU50は、捕集装置9に捕集された未燃成分が再循環されないように、バルブ15を閉に設定する。そして、処理はステップS107に進む。ステップS107では、ECU50は、エンジン5が始動したか否かを判定する。エンジン5が始動している場合(ステップS107;Yes)、処理はステップS108に進む。これに対して、エンジン5が始動していない場合(ステップS107;No)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、エンジン5が始動していないため、ECU50は、冷却装置11によって排気ガスの冷却を実施しない。
ステップS108では、ECU50は、前述したステップS103の処理と同様に、凝縮液量センサ23から供給される検出信号に基づき、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値未満であるか否かを判定する。つまり、ECU50は、貯蔵タンク10から凝縮液があふれてしまうような凝縮液量でないか否かを判定する。凝縮液量が所定値未満である場合(ステップS108;Yes)、処理はステップS109に進む。ステップS109では、温度センサ21から供給される検出信号に基づき、第1触媒7の暖機が完了しているか否かの判定を行う。第1触媒7の暖機が完了していない場合(ステップS109;No)、処理はステップS108に戻り再度判定を行う。このように、凝縮液量が所定値以上となるまで、若しくは第1触媒7の暖機が完了するまで、ステップS108、S109の判定を繰り返すことで、ECU50は、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させるべく、冷却装置11による排気ガスの冷却を継続する。
これに対して、凝縮液量が所定値以上となった場合(ステップS108;No)、若しくは第1触媒7の暖機が完了した場合(ステップS109;Yes)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、冷却装置11を作動させるべきではない状態であると言えるので、若しくは冷却装置11を作動させる必要はない状態であると言えるので、ECU50は、冷却装置11によって排気ガスの冷却を実施しない(冷却を実施している場合には、冷却を中止する)。
以上説明した第1実施例によれば、捕集装置9による凝縮期間を限定することで、貯蔵タンク10のサイズを小さく構成することができると共に、高濃度の有機成分を適切に捕集することができ、また、燃費を向上させることができる。また、冷却装置11の温度が所定温度未満である場合に冷却装置11を作動しないことで、燃費を向上させることができると共に、過冷却によるシステムの凍結を防止することができる。更に、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値以上である場合に冷却装置11を作動しないことで、貯蔵タンク10から凝縮液があふれて、凝縮液が逆流してしまうことを防止することができる。
(第2実施例)
次に、第2実施例に係る制御方法について説明する。第2実施例では、ECU50は、燃料中の有機成分濃度が所定値未満である場合、又は排気ガス中の有機成分濃度が所定値未満である場合に、冷却装置11を作動しない点で、第1実施例と異なる。つまり、第2実施例では、ECU50は、高有機成分濃度の時のみ、冷却装置11を作動する。これにより、燃費を向上させることが可能となる。
図3は、第2実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。当該処理も、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、当該処理は、イグニッションがオンにされた後に実行されるものとする。
ステップS201〜S207の処理は、前述したステップS101〜S107の処理と同様であり、ステップS209、S210の処理は、前述したステップS108、S109の処理と同様であるため、その説明を省略する(図2参照)。ここでは、ステップS208の処理のみ説明を行う。
ステップS208では、ECU50は、濃度センサ22から供給される検出信号に基づき、排気ガス中の有機成分濃度(例えばアルコールの濃度)が所定値以上であるか否かを判定する。この判定に用いる所定値は、例えば、冷却装置11を作動させて、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させる必要があるような有機成分濃度に設定される。有機成分濃度が所定値以上である場合(ステップS208;Yes)、処理はステップS209に進む。ステップS209では、ECU50は、前述したステップS108と同様に、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値未満であるか否かを判定する。つまり、ECU50は、貯蔵タンク10から凝縮液があふれてしまうような凝縮液量でないか否かを判定する。凝縮液量が所定値未満である場合(ステップS209;Yes)、処理はステップS210に進む。ステップS210では、前述したステップS109と同様に、第1触媒7の暖機が完了しているか否かの判定を行う。第1触媒7の暖機が完了していない場合(ステップS210;No)、処理はステップS208に戻り再度判定を行う。このように、有機成分濃度が所定値以上未満となるまで、或いは凝縮液量が所定値以上となるまで、若しくは第1触媒7の暖機が完了するまで、ステップS208〜S210の判定を繰り返すことで、ECU50は、未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させるべく、冷却装置11による排気ガスの冷却を継続する。
これに対して、有機成分濃度が所定値以上未満である場合(ステップS208;No)、或いは凝縮液量が所定値以上である場合(ステップS209;No)、若しくは第1触媒7の暖機が完了している場合(ステップS210;Yes)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、冷却装置11を作動させる必要はない状態であると言えるので、若しくは冷却装置11を作動させるべきではない状態であると言えるので、ECU50は、冷却装置11によって排気ガスの冷却を実施しない(冷却を実施している場合には、冷却を中止する)。
以上説明した第2実施例によれば、高有機成分濃度の時のみ、冷却装置11を作動することで、燃費を向上させることが可能となる。
なお、上記したステップS208では、排気ガス中の有機成分濃度に基づいて判定を行う例を示したが、このような判定の代わりに、若しくはこのような判定と共に、燃料中の有機成分濃度(例えばアルコールの濃度)に基づいて判定を行っても良い。つまり、濃度センサ24から供給される検出信号に基づき、冷却装置11を作動させて未燃成分を捕集装置9によって効率的に捕集させる必要があるような有機成分濃度であるか否かの判定を行っても良い。
(第3実施例)
次に、第3実施例に係る制御方法について説明する。前述した第1及び第2実施例では、冷却装置11によって排気ガスを冷却する制御を示したが、第3実施例では、ECU50は、捕集装置9に捕集された未燃成分を再循環させる制御を行う。つまり、第3実施例では、凝縮液が効率的に再循環されるように、バルブ15に対する制御を行う点で、第1及び第2実施例と異なる。具体的には、第3実施例では、ECU50は、エンジン5が高負荷である場合に、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行う。これにより、燃焼温度を効果的に低下させることができ、NOx発生を抑制することが可能となると共に、第1触媒7及び第2触媒8への熱負荷を低減することが可能となる。
図4は、第3実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。当該処理も、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS301では、ECU50は、エンジン5の始動後であるか否かを判定する。エンジン5の始動後である場合(ステップS301;Yes)、処理はステップS302に進む。この場合には、凝縮液を再循環させるべく、ステップS302以降の処理を行う。これに対して、エンジン5の始動後でない場合(ステップS301;No)、凝縮液を再循環させる必要はないので、処理は当該フローを抜ける。
ステップS302では、ECU50は、凝縮液量センサ23から供給される検出信号に基づき、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値以上であるか否かを判定する。この判定に用いる所定値は、例えば、貯蔵タンク10に貯蔵された凝縮液を再循環させる必要があるような凝縮液量に設定される。凝縮液量が所定値以上である場合(ステップS302;Yes)、処理はステップS303に進む。この場合には、凝縮液を再循環させるべく、ステップS303以降の処理を行う。これに対して、凝縮液量が所定値未満である場合(ステップS302;No)、凝縮液を再循環させる必要はないので、処理は当該フローを抜ける。
ステップS303では、ECU50は、エンジン5の冷却水の温度(冷却水温)が所定温度以上であるか否かを判定する。この判定に用いる所定温度は、例えば、有機成分の臨界温度以上の冷却水温に設定される。冷却水温が所定温度以上である場合(ステップS303;Yes)、処理はステップS304に進む。この場合には、凝縮液を再循環させるべく、ステップS304以降の処理を行う。これに対して、冷却水温が所定温度未満である場合(ステップS303;No)、処理はステップS302に戻る。この場合には、冷却水温が低すぎるため、未燃成分を気化させるに至らないおそれがあるので、凝縮液を再循環させる処理を行わない。
ステップS304では、ECU50は、触媒温度が所定温度以上であるか否かを判定する。具体的には、ECU50は、温度センサ21から供給される検出信号に基づき、第1触媒7の温度が所定温度以上であるか否かを判定する。この判定に用いる所定温度は、例えば、暖機している状態における第1触媒7の温度に設定される。つまり、ステップS304では、ECU50は、第1触媒7が暖機しているか否かの判定を行う。触媒温度が所定温度以上である場合(ステップS304;Yes)、処理はステップS305に進む。この場合には、第1触媒7が暖機していると言えるため、再循環させた凝縮液を第1触媒7及び第2触媒8によって適切に浄化させることができると考えられるので、凝縮液を再循環させる処理を開始する。具体的には、ECU50は、バルブ15を開に制御する(ステップS305)。この場合、ECU50は、バルブ15の開度を小に設定する。なお、ステップS305においてバルブ15に対して設定する開度は、通常設定すべき開度として予め設定されている。以上の処理が終了すると、処理はステップS306に進む。
これに対して、触媒温度が所定温度未満である場合(ステップS304;No)、処理はステップS302に戻る。この場合には、再循環させた凝縮液を第1触媒7及び第2触媒8によって適切に浄化させることができない可能性があるため、凝縮液を再循環させる処理を行わない。以上説明したように、ステップS302〜S304の処理を繰り返すことで、凝縮液量が所定値以上であるという条件、冷却水温が所定温度以上であるという条件、及び触媒温度が所定温度以上であるという条件の全てが満たされた場合にのみ、凝縮液を再循環させる処理を行う。
次に、ステップS306では、ECU50は、前述したステップS302の処理と同様に、凝縮液量センサ23から供給される検出信号に基づき、貯蔵タンク10の凝縮液量が所定値以上であるか否かを判定する。ここでは、凝縮液を再循環させる処理を実行したことにより(即ちバルブ15を開に設定したことにより)、再循環させる必要がないような凝縮液量となっていないか否かを判定している。凝縮液量が所定値以上である場合(ステップS306;Yes)、処理はステップS307に進む。この場合には、再循環させる処理を継続すべく、ステップS307以降の処理を行う。これに対して、凝縮液量が所定値未満である場合(ステップS306;No)、処理はステップS309に進む。この場合には、凝縮液を再循環させる必要はないと言えるので、再循環させる処理を終了する。具体的には、ECU50は、バルブ15を開から閉に設定する(ステップS309)。そして、処理は当該フローを抜ける。
ステップS307では、ECU50は、エンジン5の運転状態が高負荷であるか否かを判定する。具体的には、ECU50は、エンジン5の負荷が、予め定めた所定値以上であるか否かを判定する。高負荷である場合(ステップS307;Yes)、処理はステップS308に進む。この場合には、ECU50は、再循環させた凝縮液によって燃焼温度を効率的に低下させることなどを図り、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行う。具体的には、ECU50は、バルブ15の開度を大に設定する(ステップS308)。つまり、ステップS305で設定したバルブ15の開度よりも大きな開度に設定する。そして、処理はステップS306に戻る。これに対して、高負荷でない場合(ステップS307;No)、処理はステップS305に戻る。この場合には、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行わない。つまり、ECU50は、ステップS305で設定されたバルブ15の開度を維持する。
以上説明した第3実施例によれば、高負荷である場合に再循環させる凝縮液の量を増やすことで、燃焼温度を適切に低下させることができ、NOx発生を抑制することが可能となると共に、第1触媒7及び第2触媒8への熱負荷を低減することが可能となる。
なお、第3実施例に係る制御方法と、前述した第1実施例及び/又は第2実施例に係る制御方法とを組み合わせて実行しても良い。具体的には、第1及び第2実施例で示したように、エンジン5が始動してから触媒が暖機されるまでの間に、排気ガスが効率的に冷却されるように制御を行い、触媒が暖機された後に、第3実施例で示したように、凝縮液が効率的に再循環されるように制御(具体的には、再循環させる凝縮液の量を増やす制御)を行うことができる。
(第4実施例)
次に、第4実施例に係る制御方法について説明する。第4実施例でも、前述した第3実施例と同様に、凝縮液が効率的に再循環されるようにバルブ15に対する制御を行う。しかしながら、第3実施例では、エンジン5が高負荷である場合に、再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行っていたが、第4実施例では、エンジン5が燃料カット(F/C)中である場合に、再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行う。このような第4実施例によれば、燃焼に影響を与えずに、凝縮液を再循環させることができる。また、再循環により燃焼室温度を効果的に低下させることができ、NOx発生を抑制することが可能となると共に、第1触媒7及び第2触媒8への酸化負荷及び熱負荷を低減することが可能となる。
図5は、第4実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。当該処理も、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、ステップS401〜S406の処理、及びステップS408、S409の処理は、それぞれ、前述したステップS301〜S306の処理、及びステップS308、S309の処理と同様であるため、その説明を省略する(図4参照)。ここでは、ステップS407の処理のみ説明を行う。
ステップS407では、ECU50は、エンジン5が燃料カットの制御を実行中であるか否かを判定する。燃料カット中である場合(ステップS407;Yes)、処理はステップS408に進む。この場合には、ECU50は、再循環させた凝縮液によって燃料室温度を効果的に低下させることや第1触媒7などへの酸化負荷を効果的に低下させることなどを図り、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行う。具体的には、ECU50は、バルブ15の開度を大に設定する(ステップS408)。つまり、ステップS405で設定したバルブ15の開度よりも大きな開度に設定する。そして、処理はステップS406に戻る。これに対して、燃料カット中でない場合(ステップS407;No)、処理はステップS405に戻る。この場合には、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行わない。つまり、ECU50は、ステップS405で設定されたバルブ15の開度を維持する。
以上説明した第4実施例によれば、燃料カット中に再循環させる凝縮液の量を増やすことで、燃焼に影響を与えずに再循環させることができる。また、再循環により燃焼室温度を効果的に低下させることができ、NOx発生を抑制することが可能となると共に、第1触媒7及び第2触媒8への酸化負荷及び熱負荷を低減することが可能となる。
なお、第4実施例に係る制御方法と、前述した第3実施例に係る制御方法とを組み合わせて実行しても良い。具体的には、高負荷、及び燃料カット中のうちの少なくともいずれかの条件が成立した場合に、再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行うことができる。つまり、燃料カット中だけでなく、高負荷である場合にも、再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行うことができる。
また、第4実施例に係る制御方法と、前述した第1実施例及び/又は第2実施例に係る制御方法とを組み合わせて実行しても良い。具体的には、第1及び第2実施例で示したように、エンジン5が始動してから触媒が暖機されるまでの間に、排気ガスが効率的に冷却されるように制御を行い、触媒が暖機された後に、第4実施例で示したように、凝縮液が効率的に再循環されるように制御(具体的には、再循環させる凝縮液の量を増やす制御)を行うことができる。
(第5実施例)
次に、第5実施例に係る制御方法について説明する。第5実施例でも、前述した第3及び第4実施例と同様に、凝縮液が効率的に再循環されるようにバルブ15に対する制御を行う。しかしながら、第5実施例では、エンジン5の吸気系の負圧(ピストンの負圧)が高い場合に、再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行う点で、第3及び第4実施例と異なる。このような第5実施例によれば、吸気系の負圧を効果的に低下させることができ、燃料を向上させることが可能となる。
図6は、第5実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。当該処理も、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、ステップS501〜S506の処理、及びステップS508、S509の処理は、それぞれ、前述したステップS301〜S306の処理、及びステップS308、S309の処理と同様であるため、その説明を省略する(図4参照)。ここでは、ステップS507の処理のみ説明を行う。
ステップS507では、ECU50は、吸気系の負圧(ピストンの負圧)が所定値以上であるか否かを判定する。この判定に用いる所定値は、例えば、再循環させる凝縮液の量を増やすことで、ピストンの負圧を低下させることが望ましい負圧に設定される。負圧が所定値以上である場合(ステップS507;Yes)、処理はステップS508に進む。この場合には、ECU50は、再循環させた凝縮液によって吸気系の負圧を効率的に低下させることを図り、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行う。具体的には、ECU50は、バルブ15の開度を大に設定する(ステップS508)。つまり、ステップS505で設定したバルブ15の開度よりも大きな開度に設定する。そして、処理はステップS506に戻る。これに対して、負圧が所定値未満である場合(ステップS507;No)、処理はステップS505に戻る。この場合には、吸気系に再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行わない。つまり、ECU50は、ステップS505で設定されたバルブ15の開度を維持する。
以上説明した第5実施例によれば、吸気系の負圧が高い場合に再循環させる凝縮液の量を増やすことで、吸気系の負圧を効果的に低下させることができ、燃料を向上させることが可能となる。
なお、第5実施例に係る制御方法と、前述した第3実施例及び/又は第4実施例に係る制御方法とを組み合わせて実行しても良い。具体的には、高負荷、燃料カット中、及び吸気系の負圧が所定値以上のうちの少なくともいずれかの条件が成立した場合に、再循環させる凝縮液の量を増やす制御を行うことができる。
また、第5実施例に係る制御方法と、前述した第1実施例及び/又は第2実施例に係る制御方法とを組み合わせて実行しても良い。具体的には、第1及び第2実施例で示したように、エンジン5が始動してから触媒が暖機されるまでの間に、排気ガスが効率的に冷却されるように制御を行い、触媒が暖機された後に、第5実施例で示したように、凝縮液が効率的に再循環されるように制御(具体的には、再循環させる凝縮液の量を増やす制御)を行うことができる。
本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置が適用されたシステムの概略構成図を示す。 第1実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。 第2実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。 第3実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。 第4実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。 第5実施例に係る制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
3 吸気通路
5 エンジン
6 排気通路
7 第1触媒
8 第2触媒
9 捕集装置
10 貯蔵タンク
11 冷却装置
14 再循環通路
15 バルブ
21、25 温度センサ
22、24 濃度センサ
23 凝縮液量センサ
50 ECU

Claims (7)

  1. 排気ガス中の燃料の未燃成分を凝縮させることにより、凝縮液として貯蔵タンクに捕集する捕集装置と、
    前記排気ガスを冷却する冷却装置と、
    エンジンが始動してから触媒が暖機されるまでの間に、前記冷却装置による前記排気ガスの冷却が実行されるように、前記冷却装置を作動させる制御を行う冷却制御手段と、を備え
    前記冷却制御手段は、前記冷却装置の温度が所定温度未満である場合には、前記冷却装置を作動させる制御を行わないことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記冷却制御手段は、前記貯蔵タンクの凝縮液量が所定値以上である場合には、前記冷却装置を作動させる制御を行わない請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記冷却制御手段は、前記燃料中の有機成分濃度が所定値未満である場合、又は前記排気ガス中の有機成分濃度が所定値未満である場合には、前記冷却装置を作動させる制御を行わない請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記捕集装置に捕集された未燃成分を、吸気系に再循環させる制御を行う再循環制御手段を更に備える請求項1乃至のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記再循環制御手段は、前記エンジンが高負荷である場合に、前記吸気系に再循環させる量を増やす制御を行う請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記再循環制御手段は、前記エンジンが燃料カット中である場合に、前記吸気系に再循環させる量を増やす制御を行う請求項4又は5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記再循環制御手段は、前記吸気系の負圧が所定値以上である場合に、前記吸気系に再循環させる量を増やす制御を行う請求項4乃至6のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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