JP4962350B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば車両(自動車)用の自動変速機、建設機械(建機)用の自動変速機、航空機(固定翼機、回転翼機、飛行船等)等で使用されるジェネレータ(発電機)用の自動変速機、ポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の自動変速機として利用する、トロイダル型無段変速機の改良に関する。具体的には、例えばパワーローラを回転自在に支持する部分に供給する潤滑油(トラクションオイル)が途中で漏洩する事を抑えられる(漏洩量を低減できる)構造を、簡素且つ低コストで実現するものである。
自動車用変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、例えば特許文献1、2等に記載され、且つ、一部で実施されて周知である。図8は、現在実施されているトロイダル型無段変速機の基本構成を示している。先ず、この従来構造の第1例に就いて、簡単に説明する。1対の入力側ディスク1a、1bを入力回転軸2に対し、それぞれがトロイド曲面(断面円弧形の凹面)であって特許請求の範囲に記載した軸方向片側面に相当する入力側内側面3、3同士を互いに対向させた状態で、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持している。
又、上記入力回転軸2の中間部周囲に、中間部外周面に出力歯車4を固設した出力筒5を、この入力回転軸2に対する回転を自在に支持している。又、この出力筒5の両端部に出力側ディスク6、6を、スプライン係合により、この出力筒5と同期した回転自在に支持している。この状態で、それぞれがトロイド曲面であって特許請求の範囲に記載した軸方向片側面に相当する、上記両出力側ディスク6、6の出力側内側面7、7が、上記両入力側内側面3、3に対向する。
又、上記入力回転軸2の周囲で上記入力側、出力側両内側面3、7同士の間部分(キャビティ)に、それぞれの周面を球状凸面としたパワーローラ8、8を、2個ずつ配置している。これら各パワーローラ8、8は、それぞれトラニオン9、9の内側面に、基半部と先半部とが偏心した支持軸10、10と複数の転がり軸受とを介して、これら各支持軸10、10の先半部回りの回転、及び、これら各支持軸10、10の基半部を中心とする若干の揺動変位自在に支持されている。
又、上記各トラニオン9、9は、それぞれの長さ方向(図8の表裏方向)両端部にこれら各トラニオン9、9毎に互いに同心に設けられた傾転軸11、11(例えば後述する図13参照)を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン9、9を揺動(傾斜)させる動作は、例えばこれら各トラニオン9、9毎に設けた油圧式のアクチュエータにより行う。即ち、変速時には、これら各アクチュエータへの圧油の給排により、上記各トラニオン9、9を上記各傾転軸11、11の軸方向に変位させる。この結果、上記各パワーローラ8、8の周面と上記入力側、出力側各内側面3、7との接触部(トラクション部)の接線方向に作用する力の方向が変化する(サイドスリップが発生する)ので、上記各トラニオン9、9が上記各傾転軸11、11を中心として揺動変位する。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、駆動軸12により一方(図8の左方)の入力側ディスク1aを、ローディングカム式の押圧装置13を介して回転駆動する。この結果、前記入力回転軸2の両端部に支持された1対の入力側ディスク1a、1bが、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ8、8を介して前記両出力側ディスク6、6に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
上記入力回転軸2と上記出力歯車4との回転速度の比を変える場合で、先ず入力回転軸2と出力歯車4との間で減速を行う場合には、上記各トラニオン9、9を図8に示す位置に揺動させ、上記各パワーローラ8、8の周面を、上記各入力側ディスク1a、1bの入力側内側面3、3の中心寄り部分と上記両出力側ディスク6、6の出力側内側面7、7の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行う場合には、上記各トラニオン9、9を図8と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ8、8の周面を、上記両入力側ディスク1a、1bの入力側内側面3、3の外周寄り部分と上記両出力側ディスク6、6の出力側内側面7、7の中心寄り部分とにそれぞれ当接させる。上記各トラニオン9、9の揺動角度を中間にすれば、上記入力回転軸2と出力歯車4との間で、中間の速度比(変速比)を得られる。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、動力の伝達に供される各部材、即ち、入力側、出力側各ディスク1a、1b、6と上記各パワーローラ8、8とが、前記押圧装置13が発生する押圧力(推力)に基づいて弾性変形する。そして、この弾性変形に伴って、上記各ディスク1a、1b、6が軸方向に変位する。又、上記押圧装置13が発生する押圧力は、上記トロイダル型無段変速機により伝達するトルクが大きくなる程大きくなり、それに伴って上記各部材の弾性変形量も多くなる。従って、上記トルクの変動に拘らず、上記入力側、出力側各側面3、7と上記各パワーローラ8、8の周面との接触状態を適正に維持する為に、これら各パワーローラ8、8を上記各トラニオン9、9に対し、上記各ディスク1a、1b、6の軸方向に変位させる機構が必要になる。
上述の図8に示した従来構造の場合は、上記各パワーローラ8、8を支持した前記各支持軸10、10の先半部を、同じく基半部を中心として揺動変位させる事により、上記各パワーローラ8、8を上記軸方向に変位させる様にしている。但し、この様な、偏心軸である支持軸10、10により、上記各パワーローラ8、8を揺動させる構造の場合、偏心量を回転半径とする円弧運動に基づいてこれら各パワーローラ8、8が、各傾転軸11、11の軸方向に、僅かとは言え変位する。一方、特許文献3、4には、この様な傾転軸の軸方向に関する変位を抑えつつ(この様な変位を伴う事なく)、各パワーローラを各トラニオンに対し、各ディスクの軸方向に変位させられる構造が記載されている。但し、上述の図8に示した構造に関しても、上記特許文献3、4に記載された構造に関しても、何れも、上記各パワーローラを各ディスクの軸方向に変位させる為の構造が複雑で、部品製作、部品管理、組立作業が何れも面倒になり、コストが嵩む事が避けられない。
この様な問題を解決する為の技術として、特許文献5に記載された構造が知られている。この特許文献5に記載された従来構造の第2例に就いて、図9〜14により説明する。
トラニオン9aは、両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸11、11と、これら両傾転軸11、11同士の間に存在し、少なくとも上記入力側、出力側両ディスク1a、1b、6の径方向(図10、12〜14の上下方向)に関する内側(図10、12〜14の上側)の側面を円筒状凸面14とした、支持梁部15とを備える。上記両傾転軸11、11は、それぞれラジアルニードル軸受16、16を介して、ヨーク(図示せず)或いは揺動フレーム(例えば特許文献3参照)に、揺動を可能に支持する。又、上記円筒状凸面14の中心軸イは、図10、13に示す様に、上記両傾転軸11、11の中心軸ロと平行で、この傾転軸11、11の中心軸ロよりも、上記各ディスク1a、1b、6の径方向に関して外側(図10、12〜14の下側)に存在する。
又、上記支持梁部15とパワーローラ8aの外側面との間に設けるスラスト玉軸受17を構成する外輪18の外側面に、部分円筒面状の凹部19を、この外側面を径方向に横切る状態で設けている。尚、上記スラスト玉軸受17が、特許請求の範囲に記載したスラスト転がり軸受に相当する。そして、上記凹部19と、上記支持梁部15の円筒状凸面14とを係合させ、上記トラニオン9aに対し上記外輪18を、上記各ディスク1a、1b、6の軸方向に関する揺動変位を可能に支持している。尚、図示の例の構造の場合には、この凹部19の断面形状の曲率半径r19とこの円筒状凸面14の断面形状の曲率半径r14(図14)とを一致させて、これら凹部19と円筒状凸面14とを、直接当接させている。尚、この凹部19側の曲率半径r19を、この円筒状凸面14側の曲率半径r14よりも大きく(r1 9 >r14)しても良い。
又、図示の例の構造の場合には、上記外輪18の内側面中央部に支持軸10aを、この外輪18と一体に固設して、上記パワーローラ8aをこの支持軸10aの周囲に、ラジアルニードル軸受20を介して、回転自在に支持している。又、上記外輪18及び上記支持軸10aの内部に、上記スラスト玉軸受17及び上記ラジアルニードル軸受20に潤滑油(トラクションオイル)を供給する為の下流側給油路21を、上記支持梁部15の内部に、この下流側給油路21に繋がる上流側給油路22を、それぞれ設けている。上記外輪18の外側面でこの下流側給油路21の上流端開口を囲む部分には、この外輪18の揺動方向に長い凹部23を形成して、この外輪18の揺動変位に拘らず、上記両通油路21、22同士が互いに連通する様にしている。更に、上記支持梁部15の外部に、この上流側給油路22に繋がる給油パイプ24を設けている。この給油パイプ24の上流側端部は、上記トラニオン9aの端部に設けた、同期ケーブルを架け渡す為のプーリ25の内径側に開口させ、このプーリ25の内径側を通じて、潤滑油の供給を可能にしている。尚、このプーリ25が、特許請求の範囲に記載した外嵌部材に相当する。
又、図示の例の構造の場合には、上記トラニオン9aの内側面のうち、上記支持梁部15の両端部と1対の傾転軸11、11との連続部に、互いに対向する1対の段差面26、26を設けている。これら両段差面26、26同士の間隔は、上記外輪18の外径よりも極く僅か(例えば数十μm程度)だけ大きい。従って、上記凹部19と上記円筒状凸面14とを当接させた状態で、上記外輪18の外周面が、上記両段差面26、26に当接若しくは近接対向する。即ち、上記外輪18をこれら両段差面26、26同士の間に、上記パワーローラ8aからこの外輪18に加わるトラクション力を何れかの段差面26、26で支承可能な状態に組み付けている。
上述の様な従来構造の第2例の場合には、上記パワーローラ8aを前記各ディスク1a、1b、6の軸方向に変位させて、構成各部材の弾性変形量の変化に拘らず、このパワーローラ8aの周面と上記各ディスク1a、1b、6との接触状態を適正に維持できる構造を、簡単で低コストに構成できる。即ち、トロイダル型無段変速機の運転時に、入力側、出力側各ディスク1a、1b、6、各パワーローラ8aの弾性変形に基づき、これら各パワーローラ8aをこれら各ディスク1a、1b、6の軸方向に変位させる必要が生じると、これら各パワーローラ8aを回転自在に支持している前記スラスト玉軸受17の外輪18が、外側面に設けた部分円筒面状の凹部19と支持梁部15の円筒状凸面14との当接面を滑らせつつ、この円筒状凸面14の中心軸イを中心として揺動変位する。この揺動変位に基づき、上記各パワーローラ8aの周面のうちで、上記各ディスク1a、1b、6の軸方向片側面と転がり接触する部分が、これら各ディスク1a、1b、6の軸方向に変位し、上記接触状態を適正に維持する。この場合に、上記円筒状凸面14の中心軸を中心とする揺動変位の揺動半径は、上記変速動作の際の揺動半径よりも大きく、上記入力側ディスク1a、1bと出力側ディスク6との間の変速比の変動に及ぼす影響は少ない(無視できるか、容易に修正できる範囲に留まる)。
この様に接触状態を適正に維持する為に必要とされる、上記凹部19と円筒状凸面14との加工は容易であり、又、別途特殊な部品が必要になる事もない。この為、簡単で低コストに構成できる。又、上記各パワーローラ8aを支持軸10aの周囲に支持しているので、これら各パワーローラ8aの径方向に関する位置決めを、容易且つ確実に行わせて、トロイダル型無段変速機の変速動作を安定させる事ができる。又、前記下流側、上流側両給油路21、22及び給油パイプ24を通じて、前記スラスト玉軸受17及びラジアルニードル軸受20への潤滑油の供給を効率良く行わせる事ができるので、これら各軸受17、20の信頼性及び耐久性を、十分に確保できる。更に、上記パワーローラ8aから外輪18に加わるトラクション力を何れかの段差面26、26で支承するので、このパワーローラ8aがトラニオン9aの内側面で、各傾転軸11、11の軸方向に変位する事を確実に防止して、トロイダル型無段変速機の変速動作の安定性を確保できる。
ところで、上述した従来構造の第2例の場合には、上述した様に、パワーローラ8aを回転自在に支持する為のスラスト玉軸受17及びラジアルニードル軸受20への潤滑油の供給を、プーリ25の内径側を通じて行っている。より具体的には、図15に示す様に、トラニオン9aの一端部(図15の右端部)に設けた、このトラニオン9aと一体のロッド27の外周面と、このトラニオン9aを傾転軸11、11の軸方向に変位させる為のアクチュエータを構成するピストン部材28の内周面との間に、上記潤滑油を流通させる為の第一隙間空間29を設けている。そして、図15、16に矢印α、βで示す様に、この第一隙間空間29を通じて上記潤滑油を、上記プーリ25の内径側に送り込んでいる。このプーリ25は、上記トラニオン9aの一端寄り部(図15、16の右端寄り部)で、上記ロッド27と傾転軸11との間に設けられた、この傾転軸11よりも小径の小径段部30に外嵌している。即ち、上記トラニオン9aの一端寄り部で、一端側(図15の右端側)の傾転軸11よりも上記パワーローラ8aと反対側に突出した部分に上記小径段部30を設け、この小径段部30に上記プーリ25を外嵌している。
上記第一隙間空間29を通じて送られた上記潤滑油は、図15、16に矢印βで示す様に、上記ピストン部材28と上記プーリ25との間で軸方向に挟持されたワッシャ31の内径側を通じて、このプーリ25の内周面と上記小径段部30の外周面との間に設けられた第二隙間空間32に送り込まれる。尚、図示の例の場合は、この第二隙間空間32が、特許請求の範囲に記載した隙間空間に相当する。そして、この第二隙間空間32に送り込まれた上記潤滑油は、上記プーリ25の内外両周面を貫通する状態で設けられた貫通孔33、並びに、この貫通孔33にその上流側端部を内嵌固定した給油パイプ24を通じて、上記潤滑油を導入すべき部分である、上記スラスト玉軸受17並びに上記ラジアルニードル軸受20に供給している。
ところが、上述の様にプーリ25とトラニオン9aとの間の第二隙間空間32を通じて潤滑油を流通させる構造の場合、このプーリ25の側面43とこの側面43に対向するトラニオン9aの側面36(傾転軸11の端面)との当接状態によっては、これら側面43、36同士の当接部の隙間を通じて潤滑油が漏洩する可能性がある。より具体的には、図16に示す様に、上記プーリ25の側面43とこの側面43に対向するトラニオン9aの側面36との間の隙間tを通じて、上記傾転軸11を揺動自在に支持する為のラジアルニードル軸受16内に、上記潤滑油が漏洩する可能性がある。この理由は、次の通りである。即ち、上記プーリ25は、上記トラニオン9aの小径段部30に、このトラニオン9aとの周方向に関する位置関係を規制(このトラニオン9aに対する相対回転を阻止)した状態で、外嵌支持する必要がある。この理由は、例えば上記給油パイプ24と貫通孔33との(周方向に関する)位置決めを図る必要がある他、上記プーリ25とこのプーリ25に巻回するワイヤーとの(周方向に関する)固定位置(組み付け位置)を規制し、更に、このワイヤーにより上記各トラニオン9aの揺動運動を確実に同期させる等の必要がある為である。
何れにしても、この様にプーリ25とトラニオン9aとの周方向に関する位置関係を規制する必要がある為、上記小径段部30の外周面の周方向の一部に、この外周面の残部と外径が異なる部分(異径部)、即ち、図17に示す様に、この小径段部30の外周面から径方向内側に凹入した(欠けた)1対の平坦部34、34を、互いに平行に設けている。そして、これら両平坦部34、34のうちの、入力側、出力側両ディスク1a、1b、6の径方向(図17の上下方向)に関する内側(図17の上側)の平坦部34と、上記プーリ25の内周面に設けたプーリ側平坦部35とを係合させた状態で、上記小径段部30に上記プーリ25を外嵌支持している。この様な平坦部34、34は、次の様に形成する。即ち、上記小径段部30にこれら両平坦部34、34を形成する以前の、この小径段部30が円筒状の状態から、この小径段部30の外周面を、ロッド27側から傾転軸11側に向けて切削していく事により、上記小径段部30に上記平坦部34、34を形成する。但し、この場合に、この平坦部34、34を形成する為の切削を、上記トラニオン9aの側面36(傾転軸11の端面)と完全に一致した状態で終了させる事が難しい。
そして、この様な平坦部34、34を形成する為の切削が、このトラニオン9aの側面36(傾転軸11の端面)よりも行き過ぎた(削り過ぎた)場合には、上記トラニオン9aの側面36(傾転軸11の端面)のうちで、図19の(a)に斜格子で示す部分が、他の部分よりもプーリ25の側面43側に突出する事になる。一方、このトラニオン9aの側面36(傾転軸11の端面)に一致する以前に上記切削を終了させた場合には、図19の(b)に斜格子で示す部分が、上記トラニオン9aの側面36(傾転軸11の端面)よりも上記プーリ25の側面43側に突出したままとなる。
何れの場合にも、上記小径段部30に上記プーリ25を組み付けた(外嵌支持した)状態でこのプーリ25の側面43は、上記突出した部分に当接する(突出した部分によりプーリ25の軸方向の位置決めが図られる)。この様な突出した部分は、加工時間や加工の手間、加工コスト等を無視すれば、なくす事は可能ではあるが、上記トラニオン9aを量産する事を考慮した場合には、現実的ではない。そして、この様な突出した部分が上記トラニオン9aの側面36に残る結果、上述の様にこの側面36とプーリ25の側面43との間に隙間tができ、この隙間tを通じて上記ラジアルニードル軸受16内に、図16に矢印γで示す様に、上記潤滑油が漏洩する可能性がある。
又、この様にラジアルニードル軸受16内に漏洩した潤滑油は、図15に矢印δで示す様に、このラジアルニードル軸受16と上記トラニオン9aとの間に挟持された別のワッシャ38の軸方向両側面と、これら両側面とそれぞれ対向する上記ラジアルニードル軸受16の外輪並びにトラニオン9aの側面との当接(摺接)部分の隙間を通じて外部空間(ケーシング内ではあるが潤滑油の給油路から外れた広い空間)に漏れ出る可能性がある。この様な潤滑油の漏洩は、上記パワーローラ8aを回転自在に支持する為のスラスト玉軸受17及びラジアルニードル軸受20への潤滑油の供給量を低減させる為、好ましくない。この様な潤滑油の低減を防止する為に、ポンプの容量を大きくし、上記漏洩に拘らず、上記スラスト玉軸受17やラジアルニードル軸受20に十分量の潤滑油を供給できる様にする事も考えられる。但し、この場合には、容量を大きくする分、ポンプロスの増大に伴う、トロイダル型無段変速機全体としての効率の低下に繋がり、好ましくない。又、上記隙間tは、上記プーリ25を径方向及び軸方向にがたつかせる原因となる可能性もあり、この面からも好ましくない。
特開平3−74667号公報 特開2001−165262号公報 独国特許出願公開第10246432号明細書(DE10246432A1) 特開2003−294099号公報 特開2008−25821号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、トラニオンとは別体の外嵌部材(例えばプーリ)をこのトラニオンに外嵌支持すると共に、これら外嵌部材とトラニオンとの間に設けた隙間空間を通じて潤滑油を流通させても、この潤滑油が途中で漏洩する事を抑えられる(漏洩量を低減できる)構造を実現すべく発明したものである。
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、少なくとも1対のディスクと、複数のトラニオンと、複数のパワーローラとを備える。
このうちの各ディスク(例えば入力側ディスク、出力側ディスク)は、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面(例えば入力側内側面、出力側内側面)同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を自在に支持されている。
又、上記各トラニオンは、軸方向に関してこれら各ディスクの軸方向片側面同士の間位置の円周方向に関して複数個所に、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
更に、上記各パワーローラは、上記各トラニオンの内側面に、それぞれスラスト転がり軸受(例えばスラスト玉軸受)を介して回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記両ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接(転がり接触)させている。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記トラニオンの一部で、上記傾転軸よりも上記パワーローラと反対側に突出した部分に、この傾転軸よりも小径の小径段部を設けている。そして、この小径段部に、上記トラニオンとは別体の外嵌部材を、これら小径段部と外嵌部材との周方向に関する位置関係を規制(相対回転を阻止)した状態で外嵌支持している。
尚、上記外嵌部材としては、例えば請求項3に記載した発明の様に、上記各トラニオンの揺動を互いに同期させる為の同期機構を構成するプーリ或はピニオン等が挙げられる。
又、上記小径段部と上記外嵌部材との周方向に関する位置関係を規制する為には、例えば請求項4に記載した発明の様に、上記小径段部の外周面の円周方向の一部に、この外周面の残部と外径が異なる異径部、例えば、この小径段部の外周面から径方向内側に凹入した(欠けた)平坦部を設ける(小径段部の外周面を欠円筒状とする)。そして、これに合わせて、上記外嵌部材の内周面にも、この内周面の円周方向の一部に、この内周面の残部と内径が異なる、外嵌部材側の異径部、例えば、この外嵌部材の内周面から径方向内側に突出した外嵌部材側平坦部を、上記平坦部と整合する位置に設ける(外嵌部材の内周面を小径段部と同様の欠円筒状とする)。そして、この様な外嵌部材側の異径部と上記小径段部側の異径部とを係合させた状態で、上記小径段部に上記外嵌部材を外嵌支持する。
何れにしても、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上記外嵌部材(の内周面)と上記トラニオン(の外周面)との間に設けた隙間空間を通じて潤滑油を流通させる。更に、このトラニオンの一部で上記外嵌部材の側面と対向する部分に、この外嵌部材の側面のうちで上記隙間空間よりも径方向外側に位置する部分のうちの少なくとも一部を、全周に亙って、実質的に潤滑油の漏洩をなくせる程度に、隙間なく当接させる。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、この様にトラニオンの一部で外嵌部材の側面と対向する部分に、この外嵌部材の側面の少なくとも一部を全周に亙って、実質的に隙間なく当接させる為に、上記傾転軸の外周面と上記小径段部の外周面とを、少なくとも、それぞれがこの傾転軸の中心軸と直交する仮想平面に平行な第一、第二各側面により連続させる。そして、このうちの内径側に存在する第一側面を、上記小径段部の軸方向端部から径方向外側に連続する状態で設ける。又、上記第二側面を、この第一側面よりも外径側で、且つ、この第一側面よりも上記傾転軸の軸方向に関してパワーローラ側に、全周に亙り設ける。そして、上記第二側面に上記外嵌部材の側面の一部を、全周に亙って、油の漏洩を実質的に阻止できる程度に、隙間なく当接させる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記外嵌部材の側面に、この側面から凹入する状態で、その開口周縁が、上記第一側面の外周縁よりも大きく(略同じかそれ以上で)、且つ、その深さ寸法が、上記傾転軸の軸方向に関し、この第一側面と上記第二側面との軸方向距離よりも大きい(略同じかそれ以上の)凹部を設ける。そして、上記外嵌部材の側面のうちでこの凹部よりも外径側部分を、上記第二側面に全周に亙って当接させる。
又、上述の様な本発明のトロイダル型無段変速機を実施する場合により好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、上記各トラニオンを、両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸と、これら両傾転軸同士の間に存在し、少なくとも前記両ディスクの径方向に関する内側の側面を、上記両傾転軸の中心軸と平行でこの傾転軸の中心軸よりも上記両ディスクの径方向に関して外側に存在する中心軸を有する、円筒状凸面とした支持梁部とを備えたものとする。又、前記各スラスト転がり軸受は、この支持梁部と各パワーローラの外側面との間に設けられたもので、この支持梁部側に設けられた外輪と、この外輪の内側面に設けられた外輪軌道と上記パワーローラの外側面に設けられた内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたものとする。そして、上記外輪は、外側面に設けられた部分円筒面状の凹部と上記支持梁部の円筒状凸面とを係合させる事により、上記各トラニオンに対し、上記両ディスクの軸方向に関する揺動変位を可能に支持する。
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、トラニオンとは別体の外嵌部材(例えばプーリ)をこのトラニオンに外嵌支持すると共に、これら外嵌部材(の内周面)とトラニオン(の外周面)との間に設けた隙間空間を通じて潤滑油を流通させても、この潤滑油が途中で漏洩する事を抑えられる(漏洩量を低減できる)。即ち、上記トラニオンの一部で上記外嵌部材の側面と対向する部分に、この外嵌部材の側面の少なくとも一部を全周に亙って、油の漏洩を実質的に阻止できる程度に、隙間なく当接させる為、これらトラニオンと外側部材との当接部を通じて潤滑油が漏洩する事を抑えられる。しかも、上記外嵌部材とトラニオンとの間に設けた隙間空間を通じて潤滑油を流通させる為、例えばこのトラニオンの内部に穿孔により給油路を設ける場合に比べ、この給油路を設ける為に必要なコストの低減並びに上記トラニオンの強度確保を図れる。
又、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、小径段部の軸方向端部から径方向外側に連続する第一側面よりも外径側で、且つ、この第一側面よりも傾転軸の軸方向に関してパワーローラ側に第二側面を設け、この第二側面に上記外嵌部材の側面の一部を全周に亙って当接させている為、上記小径段部の外周面の形状に拘わらず、これら第二側面と外嵌部材の側面との当接に基づいて、上記潤滑油が漏洩する事を抑えられる。この場合に、請求項2に記載した発明の様に、上記外嵌部材の側面のうちで凹部よりも外径側部分を、上記第二側面に全周に亙って当接させれば、簡素且つ低コストに、上記潤滑油の漏洩を防止できる構造を実現できる。又、請求項5に記載した発明の様に、前述した特許文献5に記載された構造に、上述の様な本発明の構成を採用した場合には、上述の様な本発明の効果、即ち、潤滑油の漏洩を抑えられ、しかも、給油路を設ける為に必要なコストの低減並びにトラニオンの強度確保を図れると言った効果を、より有効に得られる。
図1〜7は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、トラニオン9bの小径段部30に外嵌した、特許請求の範囲に記載した外嵌部材に相当するプーリ25aの側面43aと、このプーリ25aの側面43aと対向する、上記トラニオン9bの側面36aとの当接部を通じて潤滑油が漏洩する事を防止すべく、これら両側面36a、43a同士の当接部の構造を工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図8〜14に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
尚、図1、7の構造と、図2、5の構造とでは、トラニオン9bの円筒状凸面14の軸方向中間部に、この円筒状凸面14から突出する状態で突条部39を設けている(図1、7の構造)か否(図2、5の構造)かの点(突条部39に上流側給油路22の下流側開口縁を開口させているか、この突条部39を設けずに円筒状凸面14に開口させているかの点)で異なる。又、図1の構造と図2の構造とでは、トラニオン9bの支持梁部15を跨ぐ状態で設けた分離防止用ブラケット40の形状が、給油パイプ24のどの位置で跨ぐかの点(給油パイプ24の折れ曲がり部で跨ぐか、この折れ曲がり部の手前の直線部で跨ぐかの点)で異なる。但し、本例の特徴となる部分を含む、その他の部分の構成に関しては、互いに共通している為、以下の説明は、これらの構造を区別せずに行う。
本例の場合は、上記トラニオン9bの一端寄り部(図1〜3、5、6の右端寄り部、図7の上端寄り部)で、一端側(図1〜3、5、6の右端側、図7の上端側)の傾転軸11よりも上記パワーローラ8aと反対側に突出した部分に、この傾転軸11よりも小径の小径段部30を設けている。そして、この小径段部30に、上記トラニオン9bとは別体の上記プーリ25aを、これら小径段部30とプーリ25aとの周方向に関する位置関係を規制(相対回転を阻止)した状態で、外嵌支持している。尚、この様に小径段部30とプーリ25aとの周方向に関する位置関係を規制する理由は、例えばこのプーリ25aに設けた貫通孔33と給油パイプ24との(周方向に関する)位置決めを図る必要がある他、上記プーリ25aとこのプーリ25aに巻回するワイヤーとの(周方向に関する)固定位置(組み付け位置)を規制し、更に、このワイヤーにより上記トラニオン9bと他のトラニオンとの間で、揺動運動を確実に同期させる等の必要がある為である。
そして、この様に小径段部30とプーリ25aとの周方向に関する位置関係を規制する為に、本例の場合には、上記小径段部30の外周面の周方向の一部に、この外周面の残部と外径が異なる異径部、即ち、図4に示す様に、この小径段部30の外周面から径方向内側に凹入した(欠けた)1対の平坦部34、34を、互いに平行に設けている。又、これに合わせて、上記プーリ25aの内周面の一部にも、この内周面の残部と内径が異なる異径部、即ち、同じく図4に示すように、このプーリ25aの内周面から径方向内側に突出した、プーリ側平坦部35を、上記平坦部34と整合する位置に設けている。そして、これらプーリ側平坦部35と平坦部34とを係合させた状態で、上記小径段部30に上記プーリ25aを、周方向に関する位置を規制(この小径段部30に対する相対回転を阻止)した状態で外嵌支持している。
又、本例の場合には、上記プーリ25aの内周面と上記トラニオン9bの外周面との間に設けた、特許請求の範囲に記載した隙間空間に相当する、第二隙間空間32を通じて、潤滑油を流通させている。即ち、本例の場合には、上記トラニオン9bの一端部(図1〜3、5、6の右端部、図7の上端部)に設けた、このトラニオン9bと一体のロッド27の外周面と、このトラニオン9bを傾転軸11、11の軸方向に変位させる為のアクチュエータを構成するピストン部材28の内周面との間に、上記潤滑油を流通させる為の第一隙間空間29を設けている。そして、この様な第一隙間空間29を通じて送られた上記潤滑油を、上記ピストン部材28と上記プーリ25aとの間で軸方向に挟持されたワッシャ31の内径側を通じて、このプーリ25aの内周面と上記小径段部30の外周面との間に設けられた、上記第二隙間空間32に送り込んでいる。又、この様に第二隙間空間32に送り込まれた上記潤滑油を、上記プーリ25aの内外両周面を貫通する状態で設けられた貫通孔33、並びに、この貫通孔33にその上流側端部を内嵌固定した給油パイプ24を通じて、上記潤滑油を導入すべき部分(パワーローラ8aを回転自在に支持する為のスラスト玉軸受17並びにラジアルニードル軸受20)に供給している。
更に、本例の場合には、上記トラニオン9bの一部で、上記プーリ25aの側面43aと対向する側面36aに、このプーリ25aの側面43aの少なくとも一部を、全周に亙って、油の漏洩を実質的に阻止できる様に(実質的に油密に)当接させている。この為に、本例の場合は、上記傾転軸11の外周面と上記小径段部30の外周面とを、図3、6に詳示する様に、少なくとも、それぞれがこの傾転軸11の中心軸と直交する仮想平面に平行な第一、第二各側面41、42により連続させている。このうち、内径側の第一側面41は、上記小径段部30の軸方向端部から径方向外方に連続する状態で設けている。又、上記第二側面42は、この第一側面41よりも外径側で、且つ、この第一側面41よりも上記傾転軸11の軸方向に関して上記パワーローラ8a側(図1〜3、5、6の左側)に設けている。言い換えれば、図6に示す様に、上記傾転軸11を回転自在に支持するラジアルニードル軸受16並びにワッシャ38を外嵌する部分の軸方向長さAよりも、このラジアルニードル軸受16並びにワッシャ38を外嵌する部分の基端部から平坦部34、34の基端部までの軸方向長さBを大きくしている(A<B)。そして、上記プーリ25aの側面43aの一部を、上記第二側面42に全周に亙って、油を漏洩の原因となる様な隙間なく当接させている。より具体的には、上記プーリ25aの側面43aに、この側面43aから凹入する状態で、その開口周縁が、上記第一側面41の外周縁よりも大きく(略同じかそれ以上で)、且つ、その深さ寸法Hが、上記傾転軸11の軸方向に関し、この第一側面41と上記第二側面42との距離hよりも大きい(略同じかそれ以上の)凹部44を設けている。そして、上記プーリ25aの側面43aのうちでこの凹部44よりも外径側部分を、上記第二側面42に全周に亙り当接させている。尚、上述の様な第一、第二両側面41、42は、上記小径段部30に上記平坦部34、34を形成する以前の、この小径段部30が円筒状の状態から、この小径段部30の外周面をロッド27側から傾転軸11側に向けて切削していく際に、この傾転軸11の端面に達する以前に切削を終了させる事により形成できる。
上述の様に構成する本例の場合には、トラニオン9bとは別体のプーリ25aをこのトラニオン9bに外嵌支持すると共に、これらプーリ25aの内周面とトラニオン9bの外周面との間に設けた第二隙間空間32を通じて潤滑油を流通させても、この潤滑油が途中で漏洩する事を抑えられる(漏洩量を低減できる)。即ち、上記トラニオン9bの側面36aのうちの第二側面42に、上記プーリ25aの側面43aのうちの少なくとも凹部44よりも外径側部分を全周に亙り実質的油密に当接させる為、これらトラニオン9bとプーリ25aとの当接部を通じて潤滑油が漏洩する事を抑えられる。しかも、これらプーリ25aとトラニオン9bとの間に設けた第二隙間空間32を通じて潤滑油を流通させる為、例えばこのトラニオン9bの内部に穿孔により給油路を設ける場合に比べ、この給油路を設ける為に必要なコストの低減並びに上記トラニオン9bの強度確保を図れる。
しかも、本例の場合には、小径段部30と連続する第一側面41よりも外径側で、且つ、この第一側面41よりも傾転軸11の軸方向に関してパワーローラ8側に第二側面42を設け、この第二側面42に上記プーリ25aの側面43aの一部を全周に亙って当接させている為、上記小径段部30の外周面の形状に拘わらず、これら第二側面42とプーリ25aの側面43aとの当接に基づいて、上記潤滑油が漏洩する事を抑えられる。しかも、上記プーリ25aの側面43aのうちで凹部44よりも外径側部分を、上記第二側面42に全周に亙って当接させる為、簡素且つ低コストに、上記潤滑油の漏洩を防止できる構造を実現できる。即ち、上記小径段部30に平坦部34、34等の異径部を形成する場合に、これら平坦部34、34の切削を傾転軸11の端面に達する以前に切削を終了させても、上記プーリ25aの側面43aに突出する部分がこのプーリ25aの側面43aに当接しない。言い換えれば、上記トラニオン9bの側面36aのうちの第二側面42と、上記プーリ25aの側面43aの凹部44とにより、上記潤滑油の漏洩を防止できる為、この様な漏洩を防止できる構造を、加工が面倒になる事なく、簡素且つ低コストで実現できる。又、上記プーリ25aの側面のうちの凹部44よりも外径側部分を上記第二側面42に当接させる事により、このプーリ25aの凹部44を、上記トラニオン9bの側面36aのうちの上記第二側面42よりも内径側部分、即ち、上記第一の側面41を形成した部分(小径段部30のうちで平坦部34、34を形成する際に切削されずに残った部分)に嵌合(外嵌)させられる為、上記プーリ25が径方向にがたつく事も防止できる。
上述した実施の形態の1例では、本発明を、前述の図9〜14に示した様な構造に適用した場合に就いて説明した。但し、この様な構造だけでなく、前述の図8に示した構造の様な、各パワーローラ8を各トラニオン9に対し、入力側、出力側各ディスク1a、1b、6の軸方向に変位させる機構として、偏心軸(支持軸10)を使用する構造の場合にも、本発明を適用する事ができる。この様な偏心軸(支持軸10)を使用する構造の場合でも、小径段部と外嵌部材(例えばプーリ)との間の隙間空間(例えば第二隙間空間32)を通じて潤滑油を流通させると言った構成を採用する場合には、本発明の構成を適用する事で、上述した本発明の効果を得られる。
又、傾転軸11を回転自在に支持するラジアルニードル軸受16の外輪の側面(ワッシャ38を設ける場合にはこのワッシャ38の両側面)を、この側面と対向するトラニオンの側面(並びに外輪の側面)に全周に亙り油密に当接させれば、プーリの側面とこの側面と対向するトラニオンの側面との当接部を通じて上記ラジアルニードル軸受16内に潤滑油が漏洩する場合でも、それ以上(ラジアルニードル軸受16内から外部に)この潤滑油が漏洩する事を抑えられる。この様な構成を採用する場合には、上述した本発明の構成(プーリの側面をこの側面と対向するトラニオンの側面に当接させると言った構成)を採用しなくても、潤滑油の漏洩を抑えられる(ラジアルニードル軸受16内には漏洩しても、このラジアルニードル軸受16外に漏洩する事を抑えられる)。
本発明の実施の形態の1例を示す、図15と同様の断面図。 別例を示す、図13と同様の断面図。 図2のA部拡大図。 図1のB−B断面図。 図2の構造で、トラニオンのみを取り出して示す側面図。 図5のC部拡大図。 図1の構造で、トラニオンにプーリを組み付ける状態を示す斜視図。 従来構造の第1例を示す断面図。 従来構造の第2例を示す、要部斜視図。 同正面図。 図10の上方から見た平面図。 図10の右方から見た側面図。 図11のD−D断面図。 図10のE−E断面図。 従来構造の第2例に関連する構造を示す、図13と同方向から見た断面図。 図15のF部拡大図。 図15のG―G断面図。 トラニオンにプーリを組み付ける状態を示す斜視図。 プーリの側面とトラニオンの側面との間に隙間ができる理由を説明する為の図で、図17と同方向から、プーリを取り外した状態で、傾転軸の端面を見た図。
符号の説明
1a、1b 入力側ディスク
2 入力回転軸
3 入力側内側面
4 出力歯車
5 出力筒
6 出力側ディスク
7 出力側内側面
8、8a パワーローラ
9、9a、9b トラニオン
10、10a 支持軸
11 傾転軸
12 駆動軸
13 押圧装置
14 円筒状凸面
15 支持梁部
16 ラジアルニードル軸受
17 スラスト玉軸受
18 外輪
19 凹部
20 ラジアルニードル軸受
21 下流側給油路
22 上流側給油路
23 凹部
24 給油パイプ
25、25a プーリ
26 段差面
27 ロッド
28 ピストン部材
29 第一隙間空間
30 小径段部
31 ワッシャ
32 第二隙間空間
33 貫通孔
34 平坦部
35 プーリ側平坦部
36、36a 側面
38 ワッシャ
39 突条部
40 分離防止用ブラケット
41 第一側面
42 第二側面
43、43a 側面
44 凹部

Claims (5)

  1. それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を自在に支持された少なくとも1対のディスクと、軸方向に関してこれら各ディスクの軸方向片側面同士の間位置の円周方向に関して複数個所に、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた複数のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面に、それぞれスラスト転がり軸受を介して回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記両ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させた複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、上記トラニオンの一部で、上記傾転軸よりも上記パワーローラと反対側に突出した部分に、この傾転軸よりも小径の小径段部を設け、この小径段部に、上記トラニオンとは別体の外嵌部材を、これら小径段部と外嵌部材との周方向に関する位置関係を規制した状態で外嵌支持すると共に、この外嵌部材と上記トラニオンとの間に設けた隙間空間を通じて潤滑油を流通させ、更に、このトラニオンの一部で上記外嵌部材の側面と対向する部分に、この外嵌部材の側面のうちで上記隙間空間よりも径方向外側に位置する部分のうちの少なくとも一部を、全周に亙って当接させるべく、上記傾転軸の外周面と上記小径段部の外周面とを、少なくとも、それぞれがこの傾転軸の中心軸と直交する仮想平面に平行な第一、第二各側面により連続させており、このうちの第一側面は、上記小径段部の軸方向端部から径方向外側に連続する状態で設け、上記第二側面は、上記第一側面よりも外径側で、且つ、この第一側面よりも上記傾転軸の軸方向に関してパワーローラ側に、全周に亙り設け、上記第二側面に上記外嵌部材の側面の一部を、全周に亙って当接させた事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 外嵌部材の側面に、この側面から凹入する状態で、その開口周縁が、第一側面の外周縁よりも大きく、且つ、その深さ寸法が、傾転軸の軸方向に関し、この第一側面と第二側面との距離よりも大きい凹部を設け、上記外嵌部材の側面のうちでこの凹部よりも外径側部分を、上記第二側面に全周に亙って当接させた、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. 外嵌部材が、各トラニオンの揺動を互いに同期させる為の同期機構を構成するプーリである、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機。
  4. 小径段部と外嵌部材との周方向に関する位置関係を規制する為に、このうちの小径段部の外周面の円周方向の一部に、この外周面の残部と外径が異なる異径部が設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機。
  5. 各トラニオンは、両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸と、これら両傾転軸同士の間に存在し、少なくとも両ディスクの径方向に関する内側の側面を、上記両傾転軸の中心軸と平行でこの傾転軸の中心軸よりも上記両ディスクの径方向に関して外側に存在する中心軸を有する、円筒状凸面とした支持梁部とを備えたものであり、各スラスト転がり軸受は、この支持梁部と各パワーローラの外側面との間に設けられたもので、この支持梁部側に設けられた外輪と、この外輪の内側面に設けられた外輪軌道と上記パワーローラの外側面に設けられた内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたものであって、上記外輪は、外側面に設けられた部分円筒面状の凹部と上記支持梁部の円筒状凸面とを係合させる事により上記各トラニオンに対し、上記両ディスクの軸方向に関する揺動変位を可能に支持されている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機。
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