JP4961559B2 - インターロイキン18阻害剤を有効成分とする疾患の予防又は治療剤 - Google Patents

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本発明は、慢性閉塞性肺疾患の病因の一つと考えられるプロテアーゼの阻害剤,及び慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療剤に関し、詳しくは、インターロイキン18阻害剤を有効成分とする、プロテアーゼ阻害剤,及び慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療剤に関する。尚、本明細書に於いて、インターロイキン18阻害剤には、レドックス活性蛋白質は含まないものとする。
慢性閉塞性肺疾患Chronic Obstructive Pulmonary Disease: (以下、「COPD」と記載する。)とは、肺気腫、慢性気管支炎、あるいは両者の併存により、進行性の閉塞性換気障害を特徴とする疾患である。COPDにおける気流制限は、末梢気道病変における気道抵抗上昇と肺気腫による肺弾性収縮力低下に因り、2者の関与の程度は症例によって様々ではあるが、COPD患者の多くは肺気腫優位の傾向を示す。肺気腫の最大のリスクファクターが喫煙である事は多くの疫学的研究より明らかである。2001年に米国National Heart, Lung and Blood Institution (NHLBI)とWorld Health Organization (WHO)との共同で報告されたGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)にも述べてあるように、1990年の調査では世界でのCOPDの罹患率は、全人口に対し、男性で9.34/1000,また女性では7.33/1000となっており、罹患率が非常に高い疾患である。現時点でのCOPDによる呼吸不全が原因の死亡は、アメリカの死因の4位と推定されている。また、日本における厚生労働省の報告でもCOPDによる死亡率は、最近の30年間で約4倍に増加した。COPD治療薬として従来知られているのは、気管支拡張剤とステロイドもしくはこの組み合わせである。しかしながらあまり効果がなく、新規の治療薬が求められている。また、臭化チオトロピウム水和物も上市されているが、さらに有効な薬剤が求められている。
このため、COPDの根治的治療薬及び治療法はいまのところ確立されていない。
Pauwels, R. A., Buist, A. S., Calverley, P. M., Jenkins, C. R., and Hurd, S. S. "Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. NHLBI/WHO Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) Workshop summary." 「American journal of respiratory and critical care medicine」, vol.163: PP.1256-1276, 2001. Barnes, P. J. "Novel approaches and targets for treatment of chronic obstructive pulmonary disease." 「American journal of respiratory and critical care medicine」, vol.160: S72-79, 1999.
そして、COPDを含む慢性肺疾患による右心負荷が原因となって起こる肺性心等の心不全や、それに続く肝不全,肺高血圧症等の循環不全等が、COPDに関連する循環器疾患として知られている。
このため、COPDの根治的治療薬及び治療法が求められている。
また、1980年代,エイズ(免疫不全症候群)に感染した患者のほとんどは死を免れなかった。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)と呼ぶウイルスがCD4(抗原蛋白の一種で、分子量59kDaの単鎖膜貫通型d糖タンパク)陽性細胞に感染し体の免疫系が破壊され、体力が弱って消耗し,死に至る。
しかし、近年米国をはじめ先進各国では,HIV感染者の運命は劇的に様相が違ってきた。 1996年7月にカナダのバンクーバーで開かれた国際エイズ会議では,関係者に希望を抱かせる発表が相次いだ。例えばニューヨークにあるアーロン・ダイヤモンド・エイズ研究センターのホー(David Ho)は,プロテアーゼ阻害剤とすでに1991年以降に市場に出回るようになっていたAZT(ジドブジン,逆転写酵素阻害剤の一種)タイプの抗ウイルス剤とを組み合わせたカクテル療法(人体内でHIVが増えるのを邪魔する薬を複数使用して、AIDSの発症を抑える方法)によって,非常に優れた結果が得られたと報告した。また、カクテル療法の中でも、HAART療法(高活性抗レトロウイルス療法)等が注目されている。
このカクテル療法は、根本治療にはならないものの、エイズ患者の免疫細胞を増やすだけでなく、血液中のウイルス数を検出限界以下にまで減らしたことが報告された。
AZT、d4T(スタブジン,逆転写酵素阻害剤の一種)、ddI(ジダノシン,逆転写酵素阻害剤の一種)のような以前からの逆転写酵素阻害剤薬と一緒に服用すると、これらのプロテア−ゼ阻害剤は最も有効に働くことが知られている(いわゆる抗HIV療法(highly active antiretroviral therapy)HAART療法)。事実、1996年から1998年の間に、米国ではHIV感染に伴う死者が70%以上も減り,エイズは死因の上位10位から外れた。エイズの死亡率は統計がとられるようになった1987年以降、1998年に最低となり、更に低下する見通しである。
1995年12月、米食品医薬品局(FDA)は最初のプロテアーゼ阻害剤「サキナビル」を認可した。1996年春までには、さらに2つの阻害剤「リトナビル」と「インジナビル」が認可された。しかしながら、HIVプロテアーゼ阻害剤は、阻害作用は優れているものの副作用が多いという欠点を有している。
エラスターゼは、肺を構成する弾性線維(elastic fiber)の主成分である不溶性タンパク質エラスチンを加水分解するプロテアーゼとして知られている。このエラスターゼは、気管内へ投与することによって、COPDの一種である肺気腫を誘導することが古くから知られており、エラスターゼ投与動物が、肺気腫の動物モデルとして用いられている。
我々は、上記の通り、エラスターゼが肺気腫を引き起こすことに鑑み、エラスターゼ等に代表されるプロテアーゼの阻害が、COPDの一種である肺気腫の治療に役立つのではないかという仮説に基づき、プロテアーゼ阻害剤を探索し、また得られたプロテアーゼ阻害剤が、IL−18阻害活性を有していることから、IL−18阻害剤のCOPD治療薬への可能性に思い至り、本発明を完成するに至ったものであって、その目的とするところは、エラスターゼを含むプロテアーゼの阻害剤,引いてはCOPD、免疫不全症候群の根治的治療薬及び治療法を提供するにある。
上述の目的は、[1]下記(1)乃至(4)から選択される、少なくとも一種以上を含むことを特徴とする、慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療剤によって達成される。
(1)レドックス活性タンパク質を除く、抗IL−18抗体
(2)(1)のうち、ポリペプチドであるもののアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつインターロイキン18阻害活性を有するタンパク質
(3)(1)のうち、ポリペプチドであるものをコードする遺伝子
(4)(2)をコードする遺伝子
本発明のIL−18阻害剤又はその遺伝子を含む疾患の予防又は治療剤は、COPDを、効果的に治療することができる。
〈プロテアーゼ〉
プロテアーゼとは、蛋白質分解酵素のことであるが、例えば、メタロプロテアーゼ,システインプロテアーゼ,セリンプロテアーゼ,アスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)等が挙げられる。
メタロプロテアーゼとは、亜鉛などの重金属を活性中心に持つタンパク質分解酵素であり、マトリックス・メタロプロテアーゼ(以下、「MMP」と記載する。)やサーモリシン等が挙げられる。
MMPとは、動物細胞の細胞間の接着性マトリックス・タンパク質を加水分解し、細胞分裂や形態形成、さらにはガン転移に関与している亜鉛含有プロテアーゼである。MMPとしては、MMP−1,2,・・・28等30種類近くが同定されている。
システインプロテアーゼとは、システイン残基を活性中心に持つプロテアーゼであり、カスパーゼ,パパイン(papain)等が挙げられる。カスパーゼとしては、カスパーゼ−1,2,3・・等20種類近くが挙げられるが、中でもカスパーゼ−1、−3や−9が、本発明のプロテアーゼ阻害剤のターゲットとして重要である。
カスパーゼは、アスパラギン酸のC末端側を切断するが、不活性型前駆体として存在し、アポトーシスのシグナルにより切断されて活性型になるものである。具体的には、カスパーゼ−1等が挙げられ、これはインターロイキン1β変換酵素とも呼ばれ、IL-18前駆体を切断し、活性型のIL-18とすることも知られている。
セリンプロテアーゼとしては、エラスターゼの他、キモトリプシン(chymotrypsin)やスブチリシン(subtilisin)等が挙げられる。
エラスターゼとは、肺を構成する弾性線維(elastic fiber)の主成分である不溶性タンパク質エラスチンを加水分解するプロテアーゼとして知られている。
アスパラギン酸プロテアーゼとしては、ペプシン(pepsin)やカテプシンD(cathepsin D)等が挙げられる。
〈本発明のプロテアーゼ阻害剤,及びCOPD,免疫不全症候群の予防又は治療剤〉
(IL−18阻害剤)
本発明のCOPDの予防又は治療剤の有効成分として用いられるものとしては、下記(1)乃至(4)単独の他、これらの組み合わせ等が挙げられる。
(1)インターロイキン18阻害剤(レドックス活性蛋白質を除く)
(2)インターロイキン18阻害剤(レドックス活性蛋白質を除く)のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつインターロイキン18阻害活性を有するタンパク質
(3)(1)をコードする遺伝子
(4)(2)をコードする遺伝子
尚、上記(1)および(2)に於けるインターロイキン18阻害剤のアミノ酸配列は、後述するIL−18阻害剤として、一般に知られるアミノ酸配列であれば、特に限定されるものではないが、レドックス活性蛋白質は除くものとする。
本発明のIL-18阻害剤としては、IL-1β変換酵素阻害剤を含むシステインプロテアーゼ阻害剤等の、IL-18前駆体から活性型IL-18への変換を阻害する物質,IL-18結合蛋白質(IL-18 binding protein (IL-18BP)グループ等)や抗IL-18抗体等の、IL-18の活性を中和する物質,リコンビナント型(The Combination of Soluble IL-18Rα and IL-18Rβ Chains Inhibits IL-18-Induced IFN-γ(Journal of Interferon and cytokine research 22:P.593-601,2002,Mary and Liebert,Inc.))又は天然型の可溶化IL-18レセプター(WO2005/12352)等のIL-18受容体へのIL-18の結合を阻害する物質,IL-18受容体結合後のシグナル伝達の阻害剤等,又はこれらをコードする遺伝子等が挙げられる。
IL-1β変換酵素阻害剤(ICE)としては、種々の化合物が知られている。IL-1β前駆体中の、ICEと親和性を有する部位に類似するペプチド類等が挙げられ、例えば、IL-1β前駆体切断部位のAsp116からN末端側へかけての4アミノ酸からなるペプチド(Tyr−Val−Ala−Asp)配列を有するペプチド類が、ICEのIL-1β前駆体への結合を阻害するとして知られている(特開平11−147895号公報,[0002]の[従来の技術]参照)。また、具体例として、例えば、特開平5−255218号公報に記載のペプチド誘導体、特開平11−147873号公報に記載のスルホンアミド誘導体、特表平10−504285号公報に記載のペプチド誘導体、特開平11−147895号公報に記載のグリシン誘導体および国際出願WO97/24339号公報に記載のテトラゾ−ル誘導体等が挙げられる。
IL-18結合蛋白質(IL-18BP)とは、[Immunity,10,127-136(1999) ]に記載された蛋白質及びそのサブクラス,すなわち当該文献のP.136末尾に記載されたGenBank accession number AF110798で表される遺伝子がコードするIL-18結合蛋白質またはそのサブクラスを意味する。サブクラスとしては、例えば当該文献記載のGenBank accession number AF110799,AF110800,AF110801,AF110802,AF110803,AF110460等で表される遺伝子がコードする蛋白質が挙げられる。これらは、文献[Immunity,10,127-136(1999)]に記載の方法に準じて調製することができる。
IL-18に特異的なモノクロ−ナル抗体は、文献[J.Immunol.Methods,217,97-102(1998)]に記載の方法に準じて調製することができる。
IL-18受容体へのIL-18の結合を阻害する物質の具体例としては、例えば、IL-18受容体蛋白質およびIL-18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体等を挙げることができる。IL-18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体としては、Kitasato, Y., Hoshino, T., Okamoto, M., Kato, S., Koda, Y., Nagata, N., Kinoshita, M., Koga, H., Yoon, D. Y., Asao, H., Ohmoto, H., Koga, T., Rikimaru, T., and Aizawa, H. Enhanced expression of interleukin-18 and its receptor in idiopathic pulmonary fibrosis. Am J Respir Cell Mol Biol, 31: 619-625, 2004.に報告してあるようにH44モノクロ−ナル抗体(Human IL-18R(α chain)に対する抗体)等が挙げられる。
上記IL-18の受容体に特異的なモノクローナル抗体は、哺乳動物由来の抗体、キメラ抗体又は擬人化抗体のいずれであっても良い。
本発明に用いられるIL-18受容体蛋白質およびIL-18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体は、例えば、特開平11−100400号公報に記載の方法に準じて調製することができる。
IL-18受容体結合後のシグナル伝達の阻害剤としては、Myd88,IRAK(IL-1receptor-associated kinase),TRAF6(TNF receptor-associated Factor),TAK-1(TGF-βactivated kinase),MAPKK3,4,6(MAP kinase kinase),JNK(c-Jun N-terminal kinase),p38,NIK(NF-κB-inducing kinase),IKK(IκB-kinase),等のIL-18のシグナル伝達分子を、阻害する物質が挙げられ、例えばp38MAPキナーゼ阻害剤であるSB203580,SB220025,RWJ 67657(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine vol.160 pp S72-S79, 1999),NF−κB
阻害剤である、I-κBinhibitor,I-κBαgene transfer(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine vol.160 pp S72-S79, 1999)やPS-341(Proc.Natl.Acad.Sci.USA vol.95 PP.15671-15676, December 1998 Medical Sciences)等が挙げられる。
尚、本発明で用いられるIL-18阻害剤としては、上記のIL-18阻害剤そのものの他、IL-18阻害剤がポリペプチドの場合には、それをコードする遺伝子の他,IL-18阻害剤のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつIL-18阻害活性を有するタンパク質,あるいは、これらをコードする遺伝子も含まれる。
本発明のプロテアーゼ阻害剤や疾患の予防又は治療剤中の、有効成分の含有量は、剤形によって様々であり、一概に限定できず、各種剤形化が可能な範囲で、投与量との関係で適宜選択すれば良いが、例えば液剤の場合、0.0001〜10(w/v%),好ましくは0.001〜5(w/v%),特に注射剤の場合、0.0002〜0.2(w/v%),好ましくは0.001〜0.1(w/v%),固形剤の場合、0.01〜50(w/w%),好ましくは0.02〜20(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。
本発明のプロテアーゼ阻害剤や疾患の予防又は治療剤の投与量は、投与経路,症状,年齢,体重,予防又は治療剤の形態等によって異なるが、例えば、プロテアーゼ阻害剤や疾患の予防又は治療剤中の有効成分の量が、処置を必要としている対象体重1kg当たり0.005〜500mg,好ましくは、0.1〜100mg,但し、成人に対して1日あたり、下限として0.01mg(好ましくは0.1mg),上限として、20g(好ましくは2000mg,より好ましくは500mg,更に好ましくは100mg)となるように、1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
本発明のプロテアーゼ阻害剤や疾患の予防又は治療剤は、従来知られている本発明の目的とする疾患の予防又は治療成分との合剤としても良い。その予防又は治療成分としては、以下の1.−5.等が挙げられる。
1.メディエーターアンタゴニスト:
例えば、LTB4 antagonists (例えばLY29311, SC-53228, CP-105,696, SB201146, BIIL284)、5'-Lipxygenase inhibitors (例えばzileutin, Bayx1005)、Chemokine inhibitors、IL-8 antagonists (例えばSB225002; CXCR2 antagonists)、TNF inhibitors (例えばmonoclonal Ab, soluble receptors, MMP inhibitors)、Antioxydants (例えばNAC, NAL, グルタチオン,スーパーオキシドジスムターゼ等)、Prostanoid inhibitors (例えばCOX-2 inhibitors, thromboxane antagonists、isoprostane receptor antagonists)、iNOS inhibitor 等
2.抗炎症剤:
例えば、Phosphodiesterase 4 inhibitors (例えばSB207499, CP80633, CDP-840)、Adhesion inhibitors (例えばanti-CD11/CD18, anti-ICAM1, E-selectin inhibitors)、Prostaglandin E analogs (例えばmisoprostil, butaprost)、サイトカイン(例えばIL-10)、Colchicine、Macrolide antibiotics (例えばerythromycin, clarithromycin, roxithromycin)等
3.プロテアーゼインヒビター:
例えば、Neutrophil elastase inhibitors (例えばICI200355, ONO-5046, MR-889, L658,758)、Cathepsin inhibitors (例えばsuramin)、Matrix metalloprotease inhibitors (例えばbatimastat, marimastat、KBR7785)、alpha1-antitrypsin (例えばpurified, human recombinant, gene transfer)、Secretory leukoprotease inhibitor、Elafin等
4.Immunoregulators:
例えば免疫抑制剤FK506等
5.呼吸器炎症疾患又は呼吸器過敏症治療剤:
テオフィリン等のキサンチン誘導体,β2受容体刺激剤,抗コリン剤,抗アレルギー用剤,副腎皮質ホルモン剤及び吸入ステロイド等のステロイド剤等。
また、本発明のプロテアーゼ阻害剤や疾患の予防又は治療剤には、その阻害効果や予防又は治療効果を阻害しない範囲で、他の成分を含有させることができ、例えば薬学的に許容される担体として、賦形剤,滑沢剤,結合剤,崩壊剤,安定剤,矯味矯臭剤,希釈剤,界面活性剤,乳化剤,可溶化剤,吸収促進剤,保湿剤,吸着剤,充填剤,増量剤,付湿剤,防腐剤等の添加剤を用いて周知の方法で製剤化することができる。
ここに、賦形剤としては、有機系賦形剤及び無機系賦形剤等が挙げられる。
本発明のプロテアーゼ阻害剤や疾患の予防又は治療剤は、主に経口投与するためのものであるが、具体的には、例えば錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,丸剤,トローチ,もしくはシロップ剤等の形態で、経口投与される。
投与形態としては、経口投与のほか、静注等の静脈投与,筋肉内投与、経皮投与,皮内投与,皮下投与,腹腔内投与,直腸内投与,粘膜投与、吸入等が挙げられるが、静注等の静脈投与が安全かつ血中濃度を一定に保つという点で好ましい。
また、IL−18阻害剤がポリペプチドの場合には、IL−18阻害剤をコードする遺伝子を、遺伝子療法における、COPDの予防・治療剤として用いることもできる。
その際の遺伝子形態としては、DNAの他、RNA,プラスミド,ウイルスベクター等が使用可能であり、一本鎖であっても二本鎖であっても良い。
プラスミドを用いる場合、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポソーム法が好ましい。
ウイルスベクターを用いる場合、(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994)、およびこれらの引用文献等)等に記載されているように、ウイルスに、目的とする遺伝子を組み込むことによって行うことができる。
ウイルスベクターに用いるウイルスとしては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス等のDNAウイルス又はRNAウイルスが挙げられる。
ウイルスの中では、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス等が好ましく、特にアデノウイルスが好ましい。
遺伝子を実際に医薬として作用させるには、当該遺伝子を直接体内に導入する「in vivo法」の他、ヒトかから採集した細胞に当該遺伝子を導入し、その後、遺伝子導入細胞を体内に戻すという、「ex vivo法」等がある[日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994)、およびこれらの引用文献等]が、in vivo法がより好ましい。
「in vivo法」により投与する場合は、治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路を選択することができる。投与経路としては、例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内等が挙げられる。
「in vivo法」によって投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとりうるが、一般的には有効成分である遺伝子を含有する注射剤等の形態が好ましく、必要に応じて、慣用の担体を加えてもよい。
また、遺伝子を含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態として用いることができる。
〈本発明の阻害剤や予防又は治療剤を用いた、プロテアーゼ阻害方法,及びCOPD、免疫不全症候群の予防又は治療方法〉
本発明のプロテアーゼ阻害剤やCOPD又は免疫不全症候群の予防又は治療剤を、上記のような様々な形態で投与すること、あるいは、本発明のプロテアーゼ阻害剤やCOPD、免疫不全症候群の予防又は治療剤である遺伝子を、遺伝子治療によって用いることによって、予防又は治療することができる。
〈本発明の効果確認に用いる疾患動物モデルの作製方法〉
[伝統的COPD動物モデル]
本発明において、COPD抑制効果の確認のために用いる肺気腫動物モデルは、文献記載の方法を用いることができるが(Shapiro, S. D. Animal models for COPD. Chest, 117: 223S-227S, 2000)、具体的には、例えば清潔PBSに懸濁した豚エラスターゼを、シリンジで気管内投与すること等によって作製することができる。
[新規疾患動物モデル]
本発明において、COPD抑制効果の確認のために用いる疾患動物モデルとしては、本発明者(星野,特願2004−069835)によって開発された、新たなCOPD動物モデルも用いることができる。この動物モデルは、COPDの他、肺胞蛋白症や循環器疾患の動物モデルとしても使用可能であるが、下記の説明におていは、便宜上、COPD動物モデルと記載することがある。その作製方法を以下に記載する。
ここで用いられるCOPD動物モデルとは、肺特異的に発現するプロモーターの制御下にある下記(X1)乃至(Y2)のいずれかの遺伝子を含むことを特徴とする組換遺伝子を導入した動物モデルである。
(X1)インターロイキン−18遺伝子
(X2)インターロイキン−18のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつインターロイキン18と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(Y1)カスパーゼ−1遺伝子
(Y2)カスパーゼ−1のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつカスパーゼ−1と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
この動物モデルを用いることによって、生後約5から8週間という短期間で、COPDや肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患,肺胞蛋白症等の肺疾患,循環不全(肝不全,肺性心等の心不全,肺高血圧症)等の循環器疾患等の循環器疾患を発症することが確認されている。これによって、従来、起炎物となるタバコの繰り返し投与のために6ヶ月に亘る長期間を要していた動物モデル作製期間が短縮され、しかもブタエラスターゼやパパイン等も含めて起炎物の投与を一切行わないで簡便に行うことができる。
〈組換遺伝子〉
この動物モデルに導入する組換遺伝子は、下記(X1)又は(X2)遺伝子(以下、併せて「IL-18遺伝子類」と記載することがある。),あるいは下記(Y1)又は(Y2)遺伝子(以下、併せて「カスパーゼ1遺伝子類」と記載することがある。)を、肺特異的に発現するプロモーターの制御下に置くことによって、得ることができる。肺特異的に発現するプロモーターとしては、肺構成細胞由来プロモーター等が挙げられ、例えば肺サーファクタントプロモーター又はクララ細胞プロモーター等が挙げられる。
(X1)IL-18遺伝子
(X2)IL-18のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつIL-18と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(Y1)カスパーゼ−1遺伝子
(Y2)カスパーゼ−1のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつカスパーゼ−1と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
IL-18と同等の活性とは、IL-18レセプターを通じたシグナル伝達等を意味し、例えばインタ−フェロンγ(IFN−γ)を誘導する活性等を意味する。また、カスパーゼ−1と同等の活性とは、IL-18前駆体(プロIL-18,proIL-18)を切断して、活性型(成熟型IL-18,matureIL-18)とする活性を意味する。
肺サーファクタントプロモーターとしては、ヒト肺サーファクタントプロモーター(surfactant protein-C遺伝子プロモーター。以下、「SPCプロモーター」と記載する。)等が挙げられる。SPCプロモーターは、例えばEarly restriction of peripheral and proximal cell lineages during formation of the lung. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10482-7.に記載された手法に準じて得ることができる。
クララ細胞プロモーターとしては、CC10プロモーター(CCSPと言うことがある。)等が挙げられる。CC10プロモーターは、例えばcis-acting elements that confer lung epithelial cell expression of the CC10 gene. J Biol Chem. 1992 Jul 25;267(21):14703-12.に記載された手法に準じて得ることができる。
これらのプロモーターを用いることで、本発明の疾患動物モデルを効率良く作成することができる。
組換遺伝子は、このほか、導入遺伝子の細胞外への放出を促進するためのシグナルペプチド(SP)遺伝子や、コザック配列等のタンパク発現を最適化する作用を持つ配列,発現遺伝子の釣り出し等に有用なポリA配列等を含んでいることが好ましい。
シグナルペプチドとは、タンパク質が細胞外に分泌される際、その疎水性により脂質で出来た細胞膜を通過するのに役立つアミノ酸配列であり、膜を通過した後、シグナルペプチダーゼと言う酵素で切断されるものである。
シグナルペプチドとしては、例えばマウスの免疫グロブリン(以下「Ig」と記載する。)κ−チェーン・シグナルペプチド等が挙げられる。
マウスのIgκ−チェーン・シグナルペプチドは、例えば、Carroll, W. L., E. Mendel, S. Levy. 1985. Hybridoma fusion cell lines contain an aberrant kappa transcript. Mol. Immunol. 25:991.等に記載されている。
コザック配列とは、遺伝子のATG開始コドンの周辺で見つかった、細菌由来の、グアニン-シトシンを多く含むDNA配列で、タンパク発現を最適化する作用をもち、クローニングの際に用いられている配列である。
例えば、Nucleic Acids Res. 1984 Jan 25;12(2):857-72. Compilation and analysis of sequences upstream from the translational start site in eukaryotic mRNAs. に記載されている。
ポリA配列とは、遺伝子中のヌクレオチド配列で、アデニル酸(A)が連続している部分を言う。
ポリA配列としては、牛由来のポリA配列等が挙げられる。例えば、Goldman, L. A., E. C. Cutrone, S. V. Kotenko, C. D. Krause, J. A. Langer. 1996. Modifications of vectors pEF-BOS, pcDNA1 and pcDNA3 result in improved convenience and expression. BioTechniques 21:1013.等に記載されている。
また、組換遺伝子が(X1)又は(X2)等のIL-18遺伝子類を用いたものである場合には、導入遺伝子の細胞外への放出を促進するためには、シグナルペプチド遺伝子の導入のほか、proIL-18を活性型IL-18に変換するIL-1β変換酵素(カスパーゼ-1)遺伝子を、IL-18遺伝子類とともに動物モデルに導入し、共に発現させる方法等、他の公知の技術を用いることもできる。
〈疾患動物モデル〉
疾患動物モデルは、例えば次のような方法で、作成することができる。
本発明に使用される動物としては、げっ歯類動物、イヌ、ネコ、サル、ウマ、ブタ等が挙げられ、このうち、げっ歯類動物としてはマウス、ラット等が挙げられるが、マウスが好ましく、マウスは、例えば、C57BL/6Nマウス(B6マウスとも言う)、Balb/cマウス等が好ましく用いられ、中でも、B6マウスが好ましい。
以下本発明の説明においては、おもに、導入動物がマウスの場合を例に挙げて説明することがあるが、本発明は、マウスに関するものに限定されるものではない。
上記を含む組換遺伝子の作出方法としては、遺伝子組み換えの公知の方法を用いることができるが、例示すると、以下の通りである。尚、以下では主にIL-18遺伝子によって説明するが、上記(X2)のIL-18関連遺伝子や、上記(Y1),(Y2)のカスパーゼ1遺伝子類の場合も同様に行うことができる。
マウスIgκ−チェーンの、V-J2-C領域から取り出したシグナルペプチド(文献(1)Hoshino T, Kawase Y, Okamoto M, Yokota K, Yoshino K, Yamamura K, Miyazaki J, Young HA, Oizumi K. Cutting edge: IL-18-transgenic mice: in vivo evidence of a broad role for IL-18 in modulating immune function. J Immunol 2001;166:7014-7018/文献(2)Kawase Y, Hoshino T, Yokota K, Kuzuhara A, Kirii Y, Nishiwaki E, Maeda Y, Takeda J, Okamoto M, Kato S, Imaizumi T, Aizawa H, Yoshino K. Exacerbated and Prolonged Allergic and Non-Allergic Inflammatory Cutaneous Reaction in Mice with Targeted Interleukin-18 Expression in the Skin. J Invest Dermatol 2003;121:502-509)と、マウスのpro-IL-18cDNA(上記文献(1)参照)を用い、シグナルペプチドを持つ成熟IL-18cDNAを、PCR法によって取得する(上記文献(1),(2)参照)。pro-IL-18cDNAは、活性型(mature IL−18)になった際に、上記(X)又は(Y)遺伝子となるものであれば良い。
シークエンス(DNA配列)を図4及び配列1に例示する。図4(配列1)の配列中、7〜9番目にある開始コドン「ATG」の直後の、10番目の配列Gから、69番目の配列Cまでが、マウスIgκ鎖のV-J2-C領域由来シグナルペプチド遺伝子,その直後の「AAC」コドンから541〜543番目の「TAG」STOPコドンの直前の「AGT」コドンまでが、マウスの成熟IL-18cDNAである。
尚、開始コドンの前の、「GGA ACA」は、元々マウスのpro-IL-18cDNAのゲノムにあった、コザック配列を含む、タンパク発現を最適化する配列領域である。
また、STOPコドンの後の「GTG」は、元々マウスのpro-IL-18cDNAのゲノムにあった配列であるが、特に必要ではないと考えられる。
次に、pCR2.1ベクター(Invitrogen製)を用いてPCR産物をクローニングし、シークエンスする(上記文献(1),(2)参照)。続いてヒトサーファクタントのプロモーターSPC(Early restriction of peripheral and proximal cell lineages during formation of the lung. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10482-7.)、SV40 small T intron(Early restriction of peripheral and proximal cell lineages during formation of the lung. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10482-7.)と牛由来ポリA(Goldman, L. A., E. C. Cutrone, S. V. Kotenko, C. D. Krause, J. A. Langer. 1996. Modifications of vectors pEF-BOS, pcDNA1 and pcDNA3 result in improved convenience and expression. BioTechniques 21:1013.)を含む3.7SPC/SV40ベクター(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, August 6, 2002 vol. 99 no. 16 10482-10487)で、EcoRI[New England Biolabs (MA, USA)]で切り出してEcoRIサイトに組み込む方法によってサブクローニングし、SPC-IL-18SPとする(図5)。
SPC-IL-18SPをNdeI[New England Biolabs (MA, USA)]とNotI[New England Biolabs (MA, USA)]の制限酵素部位で37℃、2時間以上で(New England Biolabs (MA, USA)のプロトコールに準ずる)切断することによって、直鎖状DNAフラグメントを得ることができる。
組換遺伝子をマウスに導入する方法としては、公知の遺伝子導入方法を用いることができるが、例えば、マウスの受精卵に上述のようにして得られた組換遺伝子(上述の直鎖状DNAフラグメント)をマイクロインジェクション法(注入時期:前核期受精卵,注入箇所:雄生前核)にて注入し、代理母マウスの卵管に挿入して作製したSPC-IL-18TGマウス(founder)を得る。組換遺伝子注入の確認は、生まれたマウス(ファウウンダー)の尾部等の組織からDNAesay kit [Qiagen, Germany]等を用いて、DNAを抽出し、PCRで確認できる。雄性の野生型のマウス(代理母と同系で無いもの)と掛け合わせ、その子孫(雌雄どちらでも可。F2,F3,・・・・を含む)のうち、IL-18を発現しているものを選別することで、組換遺伝子導入の作製を行うことができる。選別する方法としては、尾部等の組織のゲノムDNAを用いたPCR分析,血清中の成熟IL-18のELISA分析,肺や心臓,肝臓等における、成熟IL-18のウェスタンブロッティング分析等が挙げられる(上記文献(1),(2)参照)。
肺特異的に発現するプロモーターの制御下にあるIL-18遺伝子)の導入量は、マウスの種類や発症させたいタイミング,発症させたい程度等にて合わせて、適宜調節することができ、特に限定されるものではないが、一般的には、マウスの肺で1 ng/lung以上(50 ng/kg 体重),10 ng/lung以下(500ng/kg体重)が適当と考えられる。
動物モデルにおけるIL-18発現が、例えばマウス血清中の成熟IL-18のELISA分析で1 ng/mL以上、10ng/mL以下となる程度に導入することが好ましい。導入量が多いほど、上記の標的とする肺疾患や循環器疾患の殆どが発症する傾向にある。本モデル動物においては、同時に様々な疾患が発症し得るが、例えば肺疾患と心疾患では、病巣が異なるので、スクリーニングに当たって、いずれの部位に効く薬かは、区別可能である。また、疾患部位が同じ病気の場合でも、それぞれ特徴となる病態が異なるため、いずれの疾患の薬剤候補となり得るかは個々の臓器を解析することで判断可能である。
SPC-IL-18導入から発症までの時期は、特に限定されるものではないが、早ければ4週齢前後から発症し始め、5週齢前後で殆どが発症し、高齢になるほど強い症状が現れる傾向にある。早い段階では、発症する疾患の種類やその出方に差があるが、5から8週齢前後で、上記の肺疾患や循環器疾患の殆どが発症する傾向にある。
上記のようにして得られた疾患動物モデルは、慢性閉塞性肺疾患,肺胞蛋白症等の肺疾患や、肺性心等の心不全,肝不全、肺高血症等の循環不全を含む、循環器疾患動物モデルとして有用であり、この動物モデルを用いることによって、これら疾患の予防又は治療剤のスクリーニングが可能となる。
[COPD患者の病変局所におけるIL-18の強発現]
COPD患者10人の外科手術で得た組織及び交通事故等で亡くなった人等の6人の肺組織をホルマリン固定し、パラフィン切片を作製した。抗ヒトIL-18抗体(clone8)で免疫組織染色を行った。
結果を、図1〜3に示す。
「Kitasato, Y., Hoshino, T., Okamoto, M., Kato, S., Koda, Y., Nagata, N., Kinoshita, M., Koga, H., Yoon, D. Y., Asao, H., Ohmoto, H., Koga, T., Rikimaru, T., and Aizawa, H. Enhanced expression of interleukin-18 and its receptor in idiopathic pulmonary fibrosis. Am J Respir Cell Mol Biol, 31: 619-625, 2004.」に報告してあるように、健常人の肺にはほとんど発現していない(図1)。
その一方、COPD患者の肺病変部には、IL-18が強く発現していた。特に浸潤炎症細胞、肺胞上皮に強く発現していることが確認された(図2,3)。
このことは、肺でのIL-18の過剰発現が、COPDの病因であることを裏付けるものである。
上記参考例の結果からも、COPDで過剰に発現するIL-18を抑制するために、上述のIL-18阻害剤がCOPDの予防又は治療剤で有用であることが裏付けられた。
本発明のレドックス活性蛋白質又はその遺伝子を含むプロテアーゼ阻害剤,及びCOPDの予防又は治療剤は、COPDを強力に抑制すること,及び免疫不全症候群の治療の為に、単独であるいはHAART療法等のカクテル療法に用いられるプロテアーゼとして使用可能である。また本発明のIL-18阻害剤又はその遺伝子を含む疾患の予防又は治療剤は、COPD、肺胞蛋白症、心不全や肝不全又は肺高血圧症等を伴う循環不全等の循環器疾患を効果的に治療することができる。
参考例の、健常人肺の肺組織における、IL-18の発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫染色,×400倍)。 参考例の、COPD患者の肺組織における、IL-18の発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫組織染色,×40倍)。 参考例の、COPD患者の肺組織における、IL-18の発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫組織染色,×200倍)。 シグナルペプチドを持つ成熟IL-18cDNAのシークエンス(DNA配列)である。 本発明で用いられる組換遺伝子SPC-IL-18SPである。

Claims (1)

  1. 下記(1)乃至(4)から選択される、少なくとも一種以上を含むことを特徴とする、慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療剤。
    (1)レドックス活性タンパク質を除く、抗IL−18抗体
    (2)(1)のうち、ポリペプチドであるもののアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつインターロイキン18阻害活性を有するタンパク質
    (3)(1)のうち、ポリペプチドであるものをコードする遺伝子
    (4)(2)をコードする遺伝子
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