JP2007262027A - At−iiiによる内因性igf−1の産生誘導剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】IGF-1産生促進剤、アポトーシス抑制剤及び臓器不全の予防・治療剤の提供。
【解決手段】ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とする、臓器不全の予防・治療剤、IGF-1産生促進剤及びアポトーシス抑制剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒト由来アンチトロンビン-III(以下「AT-III」と略称する)を有効成分とする、インスリン様成長因子−1(以下「IGF-1」と略称する)の産生促進剤、アポトーシス抑制剤及び臓器不全の予防・治療剤に関する。
臓器不全は、一般に、心臓、肺、肝臓、腎臓、中枢神経系ならびに凝固系などの臓器や系が機能不全に陥る状態をいい、その態様としては一臓器の急性又は慢性障害に起因する当該臓器の機能不全や、重症感染症、広範囲・重度の外傷又は熱傷、重傷膵炎、重症のショックなどによって誘引される多臓器不全症などがある。臓器不全の発生のメカニズムは未だ解明し切れていないが、臓器細胞のレベルの現象として、細胞のアポトーシスが深く関与していると考えられている。
細胞のアポトーシス抑制作用や分化増殖作用を有し、細胞の生存に不可欠な物質としてはIGF−1が知られている。IGF−1はインスリンとよく似た構造のペプチドホルモンであって、成長ホルモンの成長促進活性を仲介し、さらに、育毛作用、皮膚の老化抑制作用、抗うつ作用、及び降圧などの心血管系保護作用を有することが知られている。前記のとおりIGF−1はアポトーシスを抑制し、細胞の生存に不可欠な物質であることから、細胞のアポトーシスが関与する臓器不全の予防・治療に有用である。IGF-1は、成長ホルモンにより、肝でのその産生が促進されることが判明している(非特許文献1)が、他の臓器での産生機序については不明である。カルシトニン遺伝子関連ペプチドが造骨細胞のIGF-1産生を促進することが知られているが(非特許文献1)、他の細胞での作用は知られていない。
一方、AT-IIIは、血漿中に存在するα2 マクログロブリンに属する糖蛋白質の一種で、その分子量は、59, 000〜68, 000であり、血液凝固系のプロテアーゼ阻害活性を有し、トロンビンの凝固活性を強く阻害する。また、トロンビンに対する阻害作用のみならず、その他の凝固因子、例えば活性化X因子、活性化IX因子などに対する阻害作用があることも報告されている。これらの阻害作用は、一般にヘパリンの共存下でより速やかに進行することが知られている。このような薬理作用を有するAT-IIIは、凝固亢進の補正、具体的には汎発性血管内凝固症候群(DIC)の治療を目的として用いられている。
血液の凝固・線溶系の異常に起因する疾患以外の疾患におけるAT-IIIの効果については、例えば運動機能障害、組織障害、脊髄障害等に対する予防又は治療効果が確認されている(特許文献1)。また、組織障害又は運動機能障害(運動麻痺、完全麻痺、半側麻痺、対麻痺)は脊髄虚血により発生することも報告されている(特許文献1)。
AT-IIIの抗凝固作用以外の作用については、カプサイシン感受性知覚神経の活性化を介してPGI2産生を促進し、肝虚血再灌流障害を軽減することは知られている(非特許文献2)。しかしながらAT-IIIがIGF-1産生を促進し、臓器不全などに有効であることは知られていない。
特開平8−169845号公報 Circulation.110;2260−2265、2004 Thromb Haemost 93;48−56、2005
本発明が解決しようとする課題は、IGF-1産生促進剤の提供と、そのIGF-1産生促進作用に基づくアポトーシス抑制剤及び臓器不全の予防及び/又は治療に有用な薬剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、AT-IIIがカプサイシン感受性知覚神経を活性化し、これによりカプサイシン感受性知覚神経から放出されるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(以下、「CGRP」と略することもある)がIGF-1産生を促進すること、すなわちAT-IIIがIGF-1産生促進剤として有用であること、アポトーシス抑制剤及び臓器不全の予防及び/又は治療剤として有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とするIGF-1産生促進剤。
(2)ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とするアポトーシス抑制剤。
(3)ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とする臓器不全の予防・治療剤。
(4)(3)記載の予防・治療剤、及び水性媒体を別々の容器に含んでなる、臓器不全の予防・治療用キット。
AT-IIIがカプサイシン感受性知覚神経を活性化し、これにより該知覚神経から放出されるカルシトニン遺伝子関連ペプチドがIGF-1産生を促進することから、ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とする本発明の薬剤は、臓器不全の予防及び/又は治療に寄与する。また本発明の薬剤は、IGF-1産生促進剤またはアポトーシス抑制剤として、細胞のアポトーシスと関連する各種の疾患に有用である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の予防・治療剤はAT-IIIを有効成分として含むものである。本発明のAT-IIIは、ヒト由来のもので、医薬として使用できる程度に精製されたものであれば特に制限されるものではなく、例えばヒトの全血、血漿、血清又は凝固した血液から圧搾された血清等から精製することができる。使用される血液としては、特にHBs抗原、抗HIV抗体に陰性であり、GTPが正常値の2倍以下であるものが好ましい。
AT-IIIを調製するための出発原料として、例えば血漿のコーン分画法における画分IV-1、画分IV、上清I 又は上清II+III(EP公開551084)等が使用される。AT-IIIの精製方法としては、例えば特開昭48-35017号公報、特公昭59-7693 号公報に開示の方法、疎水性クロマト(特開平1-275600号公報)、陰イオン交換体処理(特開平2-4717号公報)等が例示される。また、AT-IIIは細胞培養法(特表昭57-500768号公報)、遺伝子工学法(特開昭58-162529号公報)などにより調製されるものであってもよい。また、市販のAT-III製剤(例えば商品名:ノイアート(登録商標)、三菱ウェルファーマ(株)製等)を用いることもできる。
本発明において、IGF-1産生促進は、IGF-1を産生しうる臓器の組織であれば特に制限されない、体内の組織において認められる。好ましくは肝臓、腎臓もしくは中枢神経系(脳、脊髄)の組織において認められる。
本発明のIGF-1産生促進剤は、体内の組織において、IGF-1産生を促進し、細胞のアポトーシスを抑制し、臓器不全等の進行を阻止して治癒に寄与し得る。例えば、肝及び腎移植における移植後の拒絶反応における肝及び腎尿細管細胞のアポトーシスを抑制し、臓器機能の回復を促進すること、さらに脊髄損傷後の神経細胞のアポトーシスを抑制し、運動機能の回復を促進すること、また、敗血症における糖代謝改善や蛋白同化を促進することに寄与し得る。さらに、アンチトロンビンの重症敗血症、臓器移植、さらに脊髄損傷において代謝改善や臓器機能の回復に重要に寄与し得る。
本発明のアポトーシス抑制剤は、上記IGF-1産生を促進することにより、細胞のアポトーシスを抑制する。特に肝臓、腎臓、中枢神経系(脳、脊髄)等の細胞のアポトーシスを抑制する。
本発明の臓器不全の予防・治療剤において、治療とは、症状の改善、病状ないし症状の進展(悪化)防止をも含む概念である。
本発明における「臓器不全」とは、外的もしくは内的要因によりアポトーシスが誘導され、臓器又は系の一部の組織が死滅することで臓器又は系の機能が低下することをいう。具体的には、肝臓、腎臓、中枢神経系(脳、脊髄)、心臓、肺、消化管、凝固系などの機能の低下が挙げられる。好ましくは、肝臓、腎臓、中枢神経系(脳、脊髄)などの機能の低下が挙げられる。
本発明において、AT-IIIは、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)における、臓器不全の予防・治療、IGF-1産生促進又はアポトーシス抑制のために用いることができる。
本発明の予防・治療剤、IGF-1産生促進剤又はアポトーシス抑制剤(合わせて本発明の薬剤ということもある)は、有効成分としてAT-IIIを単独で含む態様で使用されることが望ましい。
本発明の薬剤は、本発明の目的に反しない限り、通常医薬品に用いられる薬理学的に許容される添加剤(例えば、担体、安定化剤、賦形剤、希釈剤、等張化剤、緩衝剤、pH調整剤等)又は製薬上必要な成分を配合しても良い。安定化剤としては、マンニトール、ソルビトール、サッカロースなどの糖類、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸又はその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)、アスパラギン酸又はグリシン等のアミノ酸などが挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の薬剤の投与形態には特に制限は無く、経口投与、又は点滴投与、注射投与(経静脈投与)等の非経口投与(摂取)でも良く、特に限定しないが、非経口投与が好ましく、特に静脈内投与が好ましい。経口投与剤としては、顆粒剤、細粒剤、粉剤、被覆錠剤、錠剤、(マイクロ)カプセル剤など、また注射剤としては静脈直接注入用、点滴投与用、活性物質の放出を延長する製剤等などの医薬製剤一般の剤型を採用することができる。
本発明の薬剤は、特にAT-IIIを薬理的に許容される添加剤とともに凍結乾燥品として調製しておき、用時溶解して使用する態様の製剤とすることが好ましい。かかる製剤は、使用時に注射用蒸留水等によって約1〜100単位/ml溶液として、より好ましくは生理的に等張な塩濃度及び生理的に好ましいpH値(pH6-8)に調製される。一態様として、本発明の予防・治療剤、及び水性媒体を別々の容器に含む臓器不全予防・治療用キットも本発明に含まれる。
投与量は症状、年齢、体重、性別、投与対象、投与方法等によって適宜選択すればよく、一般的にヒトの成人に対しては、AT-IIIとして通常1〜1000単位/kg体重/日、好ましくは10〜500単位/kg体重/日を1日1〜数回に分けて投与する。例えば、静脈内投与の場合の投与量は、通常、10〜100単位/kg体重/日であり、好ましくは、20〜60単位/kg体重/日である。なお本明細書において、AT-IIIの力価は、1単位が正常人血漿1ml中に含まれるAT-III量に相当する。
本発明の製剤中の、AT-IIIの含有量は、通常100〜3000単位であり、好ましくは500〜1500単位である。
以下、本発明を具体的に説明するため実施例及び参考例を示すが、本発明はこれら実施例等によって何ら制限されるものではない。
(実施例1)
(AT-III遺伝子ノックアウトマウスの作製)
AT-III遺伝子ノックアウトマウスの作製は、文献(J. Clin. Invest. 106: 873-878、2000)に記載の方法に従って行った。
マウスの尾部を一部(1cm程度)切断し、既知の方法(J. Clin. Invest. 106: 873-878、2000)により、DNAを抽出し、PCR解析を行った。野生型対立遺伝子および変異型対立遺伝子は異なったバンドを示した。完全なAT-III欠損マウスは出生前に死亡したので、ヘテロ型AT-III欠損(AT+/−)マウスを用いた。
(AT-IIIの調製)
AT-III凍結乾燥製剤(商品名ノイアート(登録商標):三菱ウェルファーマ株式会社製)は、添付の注射用水に溶解して、500単位/kg体重になるように調製した。AT-IIIは、静脈内投与により、再灌流30分前に1回投与した。コントロールとして生理食塩水を同様に投与した。
AT-III非投与野生型群(N=5)、AT-III非投与AT-IIIノックアウトマウス群(AT+/−)(N=5)及びAT-III投与AT-IIIノックアウトマウス群(AT+/−+AT-III)(N=5)の3群についてそれぞれ検討した。
(マウス肝虚血/再灌流障害モデルの作製)
雄野生型CL57BL/6マウス及びAT-IIIノックアウト(+/−)マウス(8週齢、16〜23g)を用いた。動物の取り扱いは、National Institute of Health guidelinesに従って行った。後述する全ての実験方法は、Kumamoto University Animal Care and Use Committeeに承認を得ている。
肝虚血/再灌流の手順は既知の方法(Microvasc.Res.65:71-77,2003、J.Surg.Res.40:167-175,1986)に従って行った。
ケタミン(100mg/kg)とキシラジン(10mg/kg)をマウスに腹腔内投与して麻酔を行った。肝左及び中葉の完全な虚血は、開腹して門脈左枝と肝動脈を60分クランプして作製した。再灌流後に右葉にシャントするのを防ぐために門脈右枝及び肝動脈を結紮した(J.Surg.Res.40:167-175,1986)。再灌流後60分後に肝臓をとりだして、以下の方法により肝IGF-1濃度を測定した。
(肝IGF-1濃度の測定)
肝IGF-1値は、文献(J.Reprod.Dev.49:141-149,2003)に記載されている方法を改良して測定した。IGF-1の濃度は特異的酵素イムノアッセイキット(Diagnostic Systems Laboratories Inc. Webster, TX)を用いて、測定した。
全ての値は平均値±SEMで表した。結果はANOVAとScheffe’s post hocテストによって評価した。P<0.05を有意差ありとした。
結果は図1に示した。
マウス肝虚血/再灌流障害モデルにおいて、AT-III非投与AT-IIIノックアウトマウス群の肝IGF-1濃度は、野生型マウス群に比べて減少していることが認められた。AT-III投与AT-IIIノックアウトマウス群では、野生型マウス及びAT-III非投与ノックアウトマウス群に比べて肝IGF-1濃度は上昇していることが認められた。このことから、AT-IIIは、肝IGF-1濃度を増加させ肝虚血/再灌流の障害を軽減させる効果があることが認められた。
(実施例2)
(αCGRP遺伝子ノックアウトマウスの作製)
αCGRP遺伝子ノックアウトマウスは、既知の方法(Circ.Res.89:983-990,2001)により作製した。
マウスの尾部を一部(1cm程度)切断し、既知の方法(Circ.Res.89:983-990、2001)により、DNAを抽出し、PCR解析を行った。野生型対立遺伝子(+/+)および変異型対立遺伝子(−/−)は異なったバンドを示した。
(AT-IIIの調製)
AT-III凍結乾燥製剤(商品名ノイアート(登録商標):三菱ウェルファーマ株式会社製)は、添付の注射用水に溶解して、250単位/kg体重になるように調製した。AT-IIIは、静脈内投与により、再灌流30分前に1回投与した。コントロールとして生理食塩水を同様に投与した。
AT-III無投与(生理食塩水投与)の野生型群(CGRP+/+)(N=5)及びCGRPノックアウトマウス群(CGRP−/−)(N=3)、及びAT-IIIを投与した野生型群(野生型+AT-III)(N=5)及びCGRPノックアウトマウス群(CGRP−/−+AT-III)(N=3)の4群についてそれぞれ検討した。
(マウス肝虚血/再灌流障害モデルの作製)
雄野生型CL57BL/6マウス及びCGRPノックアウト(−/−)マウス(7〜10週齢、16〜23g)を用いた。実施例1と同じ方法で肝虚血/再灌流障害モデルを作製し、肝IGF-1濃度を測定した。
結果は図2に示した。
マウス肝虚血/再灌流障害モデルにおいて、肝IGF-1濃度の上昇は、野生型群では認められたが、CGRPノックアウトマウス群においては認められなかった。AT-IIIは、野生型群においては、肝虚血/再灌流障害による肝IGF-1濃度を増加させたが、CGRPノックアウトマウス群では、このような効果を示さなかった。このことよりAT-IIIはカプサイシン感受性知覚神経を活性化し、該知覚神経からカルシトニン遺伝子関連ペプチドを放出することによりIGF-1産生を促進することが明らかとなった。
(実施例3)
本実施例では、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者における、AT-IIIのIGF-1に対する効果を評価することを目的とする試験を以下に述べる方法により行った。
試験対象は、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者で、以下の条件を満たす患者を対象とした。20人の対象患者について試験を行った。:
・ 年齢が75歳以下
・ 発症時ないし入院時WFNSgrading scale:IV〜V、
・ 脳動脈瘤破裂日を第0病日とし、第3病日目までに直達手術が行われた患者、
・ 手術前のCTでくも膜下出血が証明された症例(Fisher分類:group2以上)及び、
・ 手術当日より投与開始可能な患者。
ただし下記に該当する患者は投与除外とする。
・ 年齢20才未満の患者、76才以上の高齢者、
・ 重篤な肝、心、腎疾患などの合併症を有する患者、
・ 妊婦又は妊娠している可能性のある患者、
・ 悪性腫瘍の治療を行っている患者、
・ 出血性素因や凝固系障害を有する患者、
・ アンチトロンビンIII製剤に対しアナフィラキシー様ショック又は過敏症の既往歴のある患者及び
・ その他試験責任者又は試験分担医師が本試験の対象として不適当と判断した患者。
臨床試験開始に先立ち、担当医は、患者あるいは患者本人が責任能力を欠く場合は、家族又はそれに代わる者に、本試験の内容についてわかりやすく説明し、文書による同意を得た。
(試験方法)
同意を得られた患者を対象とし、次の要領で実施した。
(試験薬剤)
ノイアート(登録商標)(乾燥濃縮アンチトロンビンIII;三菱ウェルファーマ株式会社製)
(用法、用量及び投与期間)
ノイアート1日1500単位(又は30単位/kg)を直達手術終了直後より5日間、緩徐に静注もしくは点滴静注で投与した。
(併用禁止薬)
上記患者においては、トロンボキサンA2阻害薬:オザグレルナトリウム(キサンボン注、注射用カタクロット)、フマル酸ニフェルノン(エコナール注)、塩酸ファスジル(エリル注)及びその他の開発中の治験薬の併用を禁止した。
全試験期間は14日間である。採血は以下の4つの時期に行った。
(1)入院直後、(2)AT-III投与直前又は手術後、(3)手術後5日目、(4)手術後7日目。
血液サンプルは、1例につき各時期(l)〜(4)に対して、各2本の計8本を準備した。患者から採血した血液はクエン酸ナトリウム入りの真空の採血管に入れ、1回の採血で2本用意した。この採血管を遠心分離にかけて、血漿を分離する。該血漿は−40℃で保管して熊本大学において、血漿IGF-1濃度を測定した。
血漿IGF-1濃度は、ヒトIGF-1イムノアッセイキット(Quantikine(登録商標);R&D Systems,Inc.)を用いて測定を行った。
結果は、図3に示した。AT-III投与後から投与5日目まで血漿IGF-1濃度は上昇した。投与終了後、7日目には、血漿IGF-1濃度は減少した。このことより、AT-IIIは、くも膜下出血患者において、血漿IGF-1濃度を上昇させ、くも膜下出血の予後改善作用があることが示唆された。
本発明者は、実施例に示すように、AT-IIIが肝臓の肝虚血再灌流障害モデルにおいて、IGF-1の産生を促進することを確認した。また、AT-IIIがカプサイシン感受性知覚神経を活性化し、これにより該知覚神経から放出されるカルシトニン遺伝子関連ペプチドがIGF-1産生を促進する作用を見出した。またくも膜下出血患者においてAT-IIIがIGF-1濃度を上昇させることを確認した。以上のことから個々の器官において虚血状態の持続は細胞死を意味し、再度血流を回復しても種々の障害を残したり、障害を引き起こすことになることから、虚血再灌流障害モデルやくも膜下出血患者の病態は、臓器不全の病態に対応し、AT-IIIは臓器不全に対して有効であることは明らかである。
AT-IIIノックアウトマウスにおけるAT-III投与によるIGF-1上昇作用を示す図である。 CGRPノックアウトマウスにおけるAT-III投与によるIGF-1上昇作用を示す図である。 くも膜下出血例におけるAT-III投与による血漿IGF-1上昇作用を示す図である。横軸は、1:入院直後、2:AT-III投与直前又は手術後、3:手術後5日目、4:手術後7日目を表している。

Claims (4)

  1. ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とするIGF-1産生促進剤。
  2. ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とするアポトーシス抑制剤。
  3. ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成分とする臓器不全の予防・治療剤。
  4. 請求項3記載の予防・治療剤、及び水性媒体を別々の容器に含んでなる、臓器不全の予防・治療用キット。
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JP2009112804A (ja) * 2007-10-18 2009-05-28 Minato Ikagaku Kk Igf−1の体内産生を促進する青色光刺激装置及びその方法

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