JP4959877B2 - セラミックシンチレータ、およびそれを用いた放射線検出器と放射線検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線を可視光線に変換するセラミックシンチレータとその製造方法、およびそれを用いた放射線検出器と放射線検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療診断や工業用非破壊検査などの分野においては、X線断層写真撮影装置(以下、X線CT装置と記す)などの放射線検査装置を用いた検査が行われている。X線CT装置は、扇状のファンビームX線を照射するX線管(X線源)と、多数のX線検出素子を並列配置したX線検出器とを、被検査体の断層面が中央にくるように対向配置した構造を有している。X線CT装置においては、被検査体に対して、回転させながらX線管からファンビームX線を照射し、被検査体を透過したX線吸収データをX線検出器で収集する。この後、X線吸収データをコンピュータで解析することによって、被検査体の断層像が再生される。
【0003】
X線CT装置のX線検出器には、X線の刺激により可視光線などを放射する固体シンチレータを検出素子として用いた検出器が多用されるようになってきている。固体シンチレータを用いたX線検出器では、X線検出素子を小型化してチャンネル数を増やすことが容易であることから、X線CT装置の解像度をより一層高めることができる。固体シンチレータとしては種々の物質が知られているが、特にGd2O2S:Prのような希土類酸硫化物の焼結体からなるセラミックシンチレータ(特開昭58-204088号公報など参照)は、X線吸収係数が大きく、発光効率などに優れ、また発光の残光(アフターグロー)が短いことから、X線検出器用シンチレータ材料として好適である。
【0004】
この種のセラミックシンチレータには、高い検出感度を得るために透光性を有することが要求されることから、希土類酸硫化物粉末をホットプレス法やHIP(熱間静水圧プレス)法などを適用して焼結し、得られた高密度焼結体をブレードソーやワイヤーソーなどにより所望の形状および寸法に切り出すことによって、シンチレータチップとして使用している。
【0005】
ところで、希土類酸硫化物粉末を単に焼結しただけでは、焼結時の圧力により焼結体内部に歪が生じており、また焼結体の組成が化学量論比から僅かにずれることで黒っぽく着色されてしまう。さらに、希土類酸硫化物焼結体からシンチレータチップを切り出す際に、切断面の結晶が破砕されることによって、表面から3〜5μm程度の破砕層が生じ、また切断時の圧力により着色層が生じてしまう。このような焼結体の内部歪や組成変動に起因する内部着色、さらに切断時に生じる破砕層や着色層は、セラミックシンチレータの光出力や安定性などを低下させると共に、残光時間の増加要因となる。
【0006】
そこで、従来のセラミックシンチレータの製造工程においては、希土類酸硫化物焼結体からシンチレータチップなどを切り出した後に、種々の雰囲気中で熱処理を実施している(特開平6-201834号公報や特開2000-171563号公報など参照)。これらのうち、特開2000-171563号公報には、実質的に密閉された容器内に希土類酸硫化物焼結体と酸硫化物粉末とを収容し、これを通常の大気雰囲気焼成炉内に配置して900〜1200℃の範囲の温度で熱処理し、この熱処理時に酸硫化物粉末の分解により生じる硫黄および酸素(例えばSO2やSO3)と希土類酸硫化物焼結体とを反応させることによって、焼結体の着色や内部歪などを取り除く技術が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開2000-171563号公報記載のセラミックシンチレータの熱処理方法は、焼結体の内部着色や切断時に生じる着色層などの除去に対して、ある程度の効果が認められているものの、例えば出発原料である希土類酸硫化物蛍光体粉末の粒子径が大きいと、上記した900〜1200℃の温度では着色(特に内部着色)を完全に取り除くことができず、残光(アフターグロー)を十分に小さくすることができないため、X線CT装置などにより得られる画像にアーチファクト(擬似画像)が生じてしまうという問題がある。
【0008】
セラミックシンチレータの内部着色の除去に対しては、熱処理温度の高温化が有効であると考えられるものの、上記公報に記載された熱処理方法では炉内雰囲気が制御されておらず、通常は大気雰囲気とされた炉内で熱処理が行われることから、1200℃を超える温度では焼結体表面が白色化してしまい、セラミックシンチレータの光出力が低下してしまうという問題がある。
【0009】
なお、セラミックシンチレータの低残光化に対しては、酸硫化ガドリニウムなどの希土類酸化物にプラセオジム(Pr)と共に極微量のセリウム(Ce)を付活することが有効であることが知られている(特開昭56-151376号公報や特開平6-145655号公報参照)。しかし、Ceは少量の添加量で特性が大きく変化するため、均質な材料特性を得ることが難しいことから、Ceを添加することなく、希土類酸化物焼結体からなるセラミックシンチレータの残光時間を短くすることが望まれている。
【0010】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、出発原料である希土類酸硫化物蛍光体粉末の粒子径などにかかわらず、残光時間の増大要因となる焼結体の内部着色などを有効に取り除くことを可能にすると共に、光出力の低下原因となる焼結体表面の白色化を抑制したセラミックシンチレータの製造方法、およびそのような製造方法を適用することで、光出力に優れると共に、残光時間を低減したセラミックシンチレータ、特にCeなどを添加することなく短残光を実現したセラミックシンチレータを提供することを目的としている。さらに、そのようなセラミックシンチレータを使用することによって、解像度や画像精度を高め、これにより医療診断能や非破壊検査精度の向上を図った放射線検出器および放射線検査装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、希土類酸硫化物焼結体からなるセラミックシンチレータの内部着色などを取り除くために、硫黄および酸素を含む反応ガス(例えばSO2やSO3を含むガス)と焼結体とを反応させる際の問題点、すなわち高温で熱処理した場合に焼結体表面が白色化する点について確認したところ、従来の熱処理方法では例えば1200℃を超える温度で焼結体を熱処理すると、炉内の大気雰囲気中に相当量含まれる酸素と焼結体との反応が急激に活発化し、焼結体表面が酸化する結果として白色化することを突き止めた。
【0012】
焼結体表面の酸化に基づく白色化は、前述したようにセラミックシンチレータの光出力の低下原因となる。一方、酸素を全く含まない条件下(不活性ガスのみ)で希土類酸硫化物焼結体を高温熱処理しても、内部着色を十分に取り除くことはできず、セラミックシンチレータの残光時間を改善することはできない。
【0013】
上述した焼結体表面の白色化原因や内部着色の改善要因などを考慮して、シンチレータの光出力の低下原因となる焼結体表面の白色化を抑制し、その上で焼結体の内部着色などを有効に取り除くことが可能な熱処理条件について種々検討した結果、希土類酸硫化物焼結体と硫黄および酸素を含むガス(例えばSO2やSO3を含むガス)とを反応させる際の炉内雰囲気を不活性ガス雰囲気とすることによって、例えば高温熱処理を実施しても焼結体表面の酸化を防ぐことができ、これにより良好な光出力を維持した上で、残光時間の増大要因となる焼結体の内部着色などを有効に取り除くことが可能であることを見出した。
【0014】
そして、酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体においては、上述したような熱処理に基づいてある特定の体色を得ることによって、光出力に優れると共に、残光時間が短いセラミックシンチレータが実現可能であることを見出した。すなわち、セラミックシンチレータを構成する焼結体の体色は、残光時間の増大要因となる内部着色や光出力の低下原因となる表面の白色化を定量化する手段として有効であり、このような焼結体の体色をある特定の範囲に制御することによって、光出力に優れると共に、残光時間が短いセラミックシンチレータを再現性よく得ることが可能となる。
【0015】
本発明はこのような知見に基づくものである。すなわち、本発明のセラミックシンチレータは、主付活剤としてプラセオジムを含有する酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体を具備するセラミックシンチレータであって、前記酸硫化ガドリニウム蛍光体の組成が一般式:(Gd 1−a−b Pr a Ce b ) 2 O 2 S(式中、aは0.0001≦a≦0.01、bは0≦b≦0.005を満足する数である)で表され、且つ前記焼結体の体色を色度座標(x,y)で表したとき、前記焼結体は0.32≦x≦0.38および0.83x+0.075≦y≦0.83x+0.095を満足する体色を有することを特徴としている。
【0016】
本発明で規定するPr付活酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体を用いたセラミックシンチレータにおいては、焼結体の体色を色度座標(x,y)で表したときに、その体色が0.32≦x≦0.38および0.83x+0.075≦yの範囲の色度、さらには0.32≦x≦0.38および0.83x+0.075≦y≦0.83x+0.095の範囲の色度を有する場合に、優れた光出力を実現した上で、残光時間を短縮することが可能となる。
【0017】
言い換えると、上記したxy色度座標の範囲で示される体色(極薄い緑色ないしは黄緑色で、かつ透明性の高い体色)は、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の着色現象、特に残光時間の増大要因となる内部着色が十分に取り除かれていると共に、光出力の低下原因となる焼結体表面の白色化が生じていないことを意味する。従って、このような体色を有するPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体を用いることによって、光出力に優れると共に、残光時間が短いセラミックシンチレータを再現性よく提供することが可能となる。
【0018】
本発明のセラミックシンチレータの製造方法は、希土類酸硫化物蛍光体粉末を焼結させて、前記希土類酸硫化物蛍光体の焼結体を作製する焼結工程と、酸素および硫黄を含む反応ガスと前記焼結体とを密閉容器内で900〜1600℃の範囲の温度で反応させる熱処理工程とを具備し、前記熱処理工程は、前記密閉容器を不活性ガス雰囲気とされた炉内に配置して行うことができる。本発明のセラミックシンチレータの製造方法は、1200℃を超え1600℃以下の範囲の温度で実施することができる。
【0019】
上述したように、希土類酸硫化物焼結体と硫黄および酸素を含むガス(例えばSO2やSO3を含むガス)とを反応させる際の炉内雰囲気を不活性ガス雰囲気とすることによって、例えば高温熱処理を実施しても焼結体表面の酸化を防ぐことができる。従って、セラミックシンチレータの良好な光出力を維持した上で、残光時間の増大要因となる内部着色を有効に取り除くことが可能となる。
【0020】
本発明のセラミックシンチレータの製造方法において、硫黄および酸素を含むガスと希土類酸硫化物焼結体との反応(熱処理工程)は種々の方法で実施可能であるが、焼結体と酸硫化物粉末とを容器に入れた後密閉すると共に、この密閉容器を不活性ガス雰囲気とされた炉内に配置して、この密閉容器内に収容された焼結体と酸硫化物粉末とを上記した温度で熱処理することにより実施することが好ましい。この際、酸硫化物粉末は希土類酸硫化物蛍光体と同種または異種の希土類酸硫化物からなることが特に好ましい。
【0021】
本発明の放射線検出器は、上記した本発明のセラミックシンチレータを具備し、入射した放射線に応じてセラミックシンチレータを発光させる蛍光発生手段と、前記蛍光発生手段からの光を受けて、光出力を電気的出力に変換する光電変換手段とを具備することを特徴としている。
【0022】
本発明の放射線検査装置は、被検査体に向けて放射線を照射する放射線源と、前記被検査体を透過した放射線を検出する、上記した本発明の放射線検出器とを具備することを特徴としている。本発明の放射線検査装置は、例えばX線CT装置の高解像度化や高精度化などに対して有効であり、さらにマルチ断層像タイプのX線CT装置の実用化などに寄与する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
本発明のセラミックシンチレータは、主付活剤としてプラセオジム(Pr)を含有する酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体からなるものである。このような酸硫化ガドリニウム蛍光体としては、
一般式:(Gd1-a-bPraCeb)2O2S …(1)
(式中、aは0.0001≦a≦0.01、bは0≦b≦0.005を満足する数である)
で実質的に表される組成を有する蛍光体が挙げられる。なお、Gdの一部は他の希土類元素(Y、LaおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素など)で置換してもよく、この際の置換量は30mol%以下とすることが好ましい。
【0025】
Pr付活もしくはPrおよびCe付活酸硫化ガドリニウム蛍光体はX線吸収係数が大きく、優れた光出力が得られることから、放射線検出器の蛍光発生手段として特に有効である。主付活剤としてのPrの含有量は、上記した(1)式のaの値として0.0001〜0.01の範囲とすることが好ましい。Pr含有量を示すaの値が0.0001未満では主付活剤としての効果を十分に得ることができず、発光効率が低下する。一方、aの値が0.01を超えても発光効率が低下する。Pr含有量を示すaの値は0.0002〜0.005の範囲とすることがより好ましい。
【0026】
上記した酸硫化ガドリニウム蛍光体においては、主付活剤としてのPrに加えて、残光の抑制に効果を示すCeを共付活剤として微量含有させてもよい。共付活剤としてのCeの含有量は、上記した(1)式のbの値として0.005以下とすることが好ましい。Ce含有量を示すbの値が0.005を超えると、逆に光出力の低下を招くことになる。
【0027】
なお、後に詳述するように、本発明によればCeを含有させることなく、セラミックシンチレータの残光時間を十分に短くすることができ、さらに酸硫化ガドリニウム蛍光体に実質的にCeを添加しないことによって、均質な材料特性が得られやすくなると共に、光出力の向上を図ることができる。従って、本発明のセラミックシンチレータには、
一般式:(Gd1-aPra)2O2S …(2)
(式中、aは0.0001≦a≦0.01を満足する数である)
で実質的に表される組成を有する酸硫化ガドリニウム蛍光体を適用することがより好ましい。
【0028】
本発明のセラミックシンチレータにおいては、上述したPr付活もしくはPrおよびCe付活酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体(以下、総称してPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体と記す)の体色を、CIE色度値に基づく色度座標(x,y)で表したときに、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体は
0.32≦x≦0.38 …(3)
0.83x+0.075≦y …(4)
の色度座標を満足する体色を有するものである。
【0029】
図1は、後述する本発明の実施例および比較例のPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色を測定し、これら各体色のxy色度座標をプロットしたものである。本発明における酸硫化ガドリニウム焼結体の体色は10°視野のxy色度を示すものである。このxy色度の測定は、分光測色計CM-3500d(商品名、ミノルタ社製)を用い、照射光にD65光源を選び、正反射光込み方式、測定径8mmを採用して実施するものとする。測定試料は熱処理工程の前に表面を番手700番以上の研磨剤で研磨し、厚さを1.0mm±0.1mmとした。測定試料は分光器の窓に密着して設置し、測定試料の分光器の窓と反対側には零校正ボックスと呼ばれる内面黒色円筒状箱を設置した。本発明における酸硫化ガドリニウム焼結体の体色は、このようにして測定したxy色度値を示すものとする。
【0030】
上述したように、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体が上記した(3)式および(4)式で表される色度座標を満足する体色(極薄い緑色ないしは黄緑色で、かつ透明性の高い色調)を有するということは、残光時間の増大要因となるPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の内部着色が十分に取り除かれていると共に、光出力の低下原因となる焼結体表面の白色化が生じていないことを意味する。従って、このような体色を有するPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体を用いることによって、光出力に優れると共に、残光時間が短いセラミックシンチレータを再現性よく提供することが可能となる。
【0031】
すなわち、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色を示すxy色度座標のうち、x値が0.32未満であると不透明性(白色度合)が強まる。このような不透明なPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体を用いたセラミックシンチレータでは光の散乱が生じるため、X線などを照射した際の光出力が低下してしまう。焼結体の不透明化には種々の要因が考えられるが、特に焼結体表面の酸化に起因する白色化が挙げられる。本発明では、例えば後に詳述する製造方法に基づいて、焼結体表面の酸化を防止することによって、透明性の高いPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色を再現性よく得ることを可能にしている。
【0032】
一方、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色のx値が0.38を超えると、焼結体全体として黄色の色調が強まり、これによってもセラミックシンチレータの光出力が低下する。Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体に微量のCeを添加した場合に、体色を示すxy色度座標のx値は増加傾向を示すが、x値が0.38以下であればセラミックシンチレータの光出力を良好に保つことができる。
【0033】
また、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色を示すxy色度座標のうち、y値が上記した(4)式の値より小さい(0.83x+0.075>y:図1のy=0.83x+0.075の直線より下方の色度)ということは、焼結体全体としての色調が暗色となっていることを意味する。これは、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の焼結時や加工時に生じた着色、特に内部着色が十分に取り除かれていないことを意味するため、それを用いたセラミックシンチレータでは残光時間の増加を招くことになる。
【0034】
言い換えると、y値が上記した(4)式を満足するPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体(図1のy=0.83x+0.075の直線より上方の色度を有する焼結体)は、内部着色が十分に取り除かれているため、そのようなPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体を用いたセラミックシンチレータの残光時間を十分に短くすることが可能となる。なお、Prに加えてCeを付活した酸硫化ガドリニウム蛍光体(焼結体)においても、その体色のy値が上記した(4)式を満足することによって、残光時間が十分に短いセラミックシンチレータを得ることができる。
【0035】
また、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色を示すxy色度座標のy値の上限は必ずしも限定されるものではない。すなわち、xy色度座標のx値が上記した(3)式の範囲内において、y値が大きくなるということは緑色の色調が強くなることを意味する。これに対し、Pr付活酸硫化ガドリニウム蛍光体は同色の発光スペクトルを有するため、体色の緑色色調が強くなってもセラミックシンチレータの光出力があまり低下することはない。
【0036】
Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色において、上記した緑色の色調は主としてPr濃度に左右される。従って、実用的なPr濃度を考慮すると共に、より高出力のシンチレータを得る上で、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色のy値はy≧0.83x+0.095の範囲であることが好ましい。すなわち、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体は、上記した(3)式のx値を満足すると共に、
0.83x+0.075≦y≦0.83x+0.095 …(5)
の範囲を満足する体色を有することが好ましい。
【0037】
ここで、本発明のセラミックシンチレータにおいては、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の内部着色を十分に取り除くことによって、Ceを実質的に添加することなく、残光時間を十分に短くすることができる。さらに、酸硫化ガドリニウム蛍光体に実質的にCeを添加しないことによって、均質な材料特性が得られやすくなると共に、光出力の向上を図ることができる。従って、本発明のセラミックシンチレータには、上述した(2)式で表される組成を有する酸硫化ガドリニウム蛍光体を適用することがより好ましい。
【0038】
この際のPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色は、Ceを添加した場合に比べてxy色度座標のx値が低下するため、
0.32≦x≦0.35 …(6)
の範囲のx値を有することが好ましい。Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の体色を示すxy色度座標のx値が上記した(6)式を満足する場合に、特に大きな光出力を再現性よく得ることができる。すなわち、本発明のセラミックシンチレータにおいては、Ceを実質的に添加していないPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体を用いると共に、このようなPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体が上記した(6)式のx値と(5)式のy値を満足する体色を有することが望ましい。
【0039】
本発明のセラミックシンチレータを構成するPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体において、上記した体色以外の他の特性については、通常のセラミックシンチレータと同等もしくはそれ以上とすることが好ましい。例えば、光透過率に影響を及ぼす焼結体密度に関しては、真密度に対する相対密度で99.5%以上とすることが好ましい。Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体の相対密度が99.5%未満の場合には光の散乱が生じやすいことから、セラミックシンチレータの光透過率や光出力が低下するおそれが大きい。
【0040】
次に、本発明のセラミックシンチレータの製造方法の詳細について述べる。本発明の製造方法は、上述したPr付活酸硫化ガドリニウム焼結体からなるセラミックシンチレータの製造に好適であるものの、必ずしもこれに限定されるものではなく、各種の希土類酸硫化物蛍光体の焼結体からなるセラミックシンチレータの製造に適用することができる。
【0041】
すなわち、本発明のセラミックシンチレータの製造方法は、Pr付活酸硫化ガドリニウム焼結体に限らず、プラセオジム(Pr)、テルビウム(Tb)、ユーロピウム(Eu)などを主付活剤として含有する希土類酸硫化物蛍光体の焼結体からなるセラミックシンチレータを製造する際に適用可能である。
【0042】
このような希土類酸硫化物蛍光体としては、
一般式:(M1-zRz)2O2S …(7)
(式中、MはGd、Y、LaおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素、RはPr、TbおよびEuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、zは0.0001≦z≦0.1を満足する数である)
で実質的に表される組成を有する蛍光体材料が挙げられる。なお、この希土類酸硫化物蛍光体はR元素に加えて、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)などを共付活剤として含有していてもよい。
【0043】
本発明の製造方法においては、まずPr付活(もしくはPrおよびCe付活)酸硫化ガドリニウム蛍光体などの希土類酸硫化物蛍光体の原料粉末を作製する。すなわち、GdやPrなどの各希土類元素を所定量秤量し、これらを十分に混合する。この際、各出発原料には例えば酸化ガドリニウムや酸化プラセオジムなどの酸化物が用いられる。これら各出発原料の混合物としては、シュウ酸共沈塩などを焼成することにより得られる均一な混合酸化物を用いることが好ましい。
【0044】
次いで、上記したような希土類元素の混合酸化物粉末に、硫黄(S)粉末などの硫化剤と、A3PO4やA2CO3(AはLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種の元素)などのフラックスとを配合して十分に混合する。このような混合粉末を1100〜1300℃の温度で5〜10時間焼成した後、酸および水で洗浄することによって、希土類酸硫化物蛍光体粉末を得る。
【0045】
このようにして得た希土類酸硫化物蛍光体粉末を、セラミックシンチレータの構成材料となる焼結体の原料として用いる。本発明においては、希土類酸硫化物蛍光体粉末の平均粒子径は特に限定されるものではないが、平均粒子径があまり小さいと大型形状の焼結体の作製が困難となり、一方あまり大きいと焼結時により高温にする必要が生じることから、例えば1〜50μmの範囲の平均粒子径を有する希土類酸硫化物蛍光体粉末を使用することが好ましい。希土類酸硫化物蛍光体粉末の平均粒子径は5〜20μmの範囲であることがより好ましい。
【0046】
さらに、本発明では平均粒子径が20μm以上というような希土類酸硫化物蛍光体粉末を用いた場合においても、後述する熱処理により焼結体の内部着色を良好に取り除くことができる。言い換えると、比較的平均粒子径が大きい希土類酸硫化物蛍光体粉末を用いて、光出力の向上などを図った場合においても、内部着色などに起因する残光時間を十分に小さくすることができる。
【0047】
次に、上記した希土類酸硫化物蛍光体粉末を焼結して、セラミックシンチレータの構成材料となる希土類酸硫化物蛍光体の焼結体(希土類酸硫化物焼結体)を作製する。希土類酸硫化物蛍光体粉末を焼結するにあたっては、ホットプレスやHIPなどの公知の焼結法を適用することができるが、特に高密度の希土類酸硫化物焼結体を容易に得ることが可能であることから、HIP法を適用して焼結工程を実施することが好ましい。
【0048】
HIP法を適用した焼結工程は、まず希土類酸硫化物蛍光体粉末をラバープレスで適当な形に成形した後、金属容器などに充填封入してHIP処理を施すことにより実施する。この際のHIP条件は、HIP温度を1400〜1600℃とし、HIP圧力は98MPa以上、HIP時間は1〜10時間とすることが好ましい。このような条件下でHIP処理を行うことによって、例えば相対密度(真密度に対する密度比)が99.5%以上の希土類酸硫化物焼結体が再現性よく得られる。焼結体の相対密度が99.5%未満であると、セラミックシンチレータに求められる光透過性や光出力などの特性を満足させることができない。
【0049】
次に、得られた高密度の希土類酸硫化物焼結体をブレードソーやワイヤーソーなどにより所望の形状および寸法に切り出してシンチレータチップなどとする。ここで、希土類酸硫化物焼結体においては、焼結時の圧力で内部に歪が生じたり、また焼結体組成が化学量論比から僅かにずれることによって、内部着色が発生する。さらに、焼結体からチップなどを切り出す際に、切断時の圧力などで表面に着色層が生じる。これら着色現象はセラミックシンチレータの光出力や安定性などを低下させると共に、残光時間の増加要因となる。
【0050】
そこで、希土類酸硫化物焼結体から所望形状に切り出した後に、光出力の回復や着色の除去などを目的とした熱処理を施す。この熱処理工程は、例えば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気とされた炉内にて、酸素および硫黄を含む反応ガスと例えば切断加工後の希土類酸硫化物焼結体とを900〜1600℃の範囲の温度で反応させる工程である。具体的には、不活性ガス雰囲気とされた炉内に実質的に密閉し得る容器を配置し、この容器内で酸素および硫黄を含む反応ガスと切断加工後の希土類酸硫化物焼結体とを反応させる。
【0051】
このように、酸素および硫黄を含む反応ガスと切断加工後の希土類酸硫化物焼結体とを900〜1600℃の範囲の温度で反応させることによって、焼結時に生じた焼結体の内部歪が緩和されると共に、酸素欠損や硫黄欠損を埋めることができるため、希土類酸硫化物焼結体の内部着色を取り除くことができる。さらに、切断時に生じた着色層なども同時に除去される。
【0052】
そして、本発明の製造方法においては、酸素および硫黄を含む反応ガスと希土類酸硫化物焼結体との反応を、不活性ガス雰囲気とされた炉内で行っているため、反応温度(熱処理温度)を例えば1200℃を超えるような高温とした場合においても、焼結体表面が酸化されることがなく、これによって光出力の低下要因となる焼結体表面の白色化を防ぐことができる。従って、光出力や安定性などに優れると共に、残光時間が短いセラミックシンチレータを再現性よく提供することが可能となる。
【0053】
上記した反応のための熱処理は900〜1600℃の範囲の温度で実施する。熱処理温度が900℃未満だと、酸素や硫黄が希土類酸硫化物焼結体中に十分に拡散されず、内部着色の除去効果を十分に得ることができない。一方、熱処理温度が1600℃を超えると、希土類酸硫化物焼結体の結晶粒が粗大化し、加工形状を保つことができない。特に、本発明の製造方法では1200℃を超えて1600℃以下の高温域で熱処理を実施することが好ましい。
【0054】
すなわち、本発明の製造方法においては、上記したように従来の高温熱処理に伴う問題点(焼結体表面の酸化およびそれに伴う白色化)を、炉内雰囲気を不活性ガス雰囲気とすることで防止しているため、内部着色の除去に有効な1200℃を超えて1600℃以下の高温域で熱処理を実施することができる。言い換えると、本発明の製造方法によれば、反応温度(熱処理温度)を1200℃を超えて1600℃以下とすることにより、焼結体表面の白色化を防止した上で内部着色をより完全に除去することができるため、セラミックシンチレータの残光時間のより一層の短縮を図った上で、良好な光出力を維持することが可能となる。
【0055】
熱処理時間は、熱処理温度、処理対象の焼結体の状態、反応ガスの濃度や種類などに応じて適宜に設定するものとするが、実用的には2〜50時間の範囲とすることが好ましい。熱処理時間が2時間未満であると、場合によっては内部着色を十分に除去できないおそれがある。一方、熱処理時間を50時間を超えて設定しても、それ以上の効果が得られず、製造コストの上昇を招くことになる。
【0056】
上述したように、本発明の熱処理工程においては酸素と硫黄を含む反応ガスが用いられる。このようなガスの生成方法は特に限定されるものではないが、酸素と硫黄の適度な濃度状態のガスを得る上で、酸硫化物粉末を反応ガスの発生源として用いることが好ましい。すなわち、希土類酸硫化物焼結体と酸硫化物粉末とを実質的に密閉し得る容器内に収容し、この容器を不活性ガス雰囲気とされた炉内に配置して熱処理を施す。これによって、酸硫化物粉末は熱処理温度近くまたは熱処理温度で分解し、例えばSO2やSO3のようなSOxガス、あるいは酸素と硫黄の混合ガスなどが発生する。本発明ではこのようにして得られる反応ガスと希土類酸硫化物焼結体とを上記した温度下で反応させることが好ましい。
【0057】
ここで、反応ガスの発生源としては、酸化物粉末と硫化物粉末とを所定の組成割合で混合した混合粉末を用いてもよい。さらに、酸素と硫黄を希土類酸硫化物蛍光体の組成割合で発生させるという点から、反応ガスの発生源には希土類酸硫化物粉末を使用することが望ましい。この際、希土類酸硫化物粉末は希土類酸硫化物蛍光体と同種および同組成の化合物であってもよいし、また異種または異組成の化合物であってもよい。さらに、希土類酸硫化物粉末は純粋化合物であってもよいし、付活剤を含む蛍光体組成の化合物であってもよい。
【0058】
希土類酸硫化物焼結体と反応ガスの発生源となる酸硫化物粉末(特に蛍光体と同種または異種の希土類酸硫化物粉末)とは、これらが直接接しないようにして同一容器内に収容してもよいが、例えば図2に示すような二重構造の容器を使用することによって、反応制御が容易になると共に、希土類酸硫化物焼結体の内部着色を再現性よく取り除くことができる。
【0059】
図2は本発明の製造方法の一実施形態による二重構造容器を用いた熱処理状態を示す図である。同図において、1は第1の容器としての小るつぼであり、この小るつぼ1内に例えば加工後の希土類酸硫化物焼結体2を収容すると共に、小蓋3で密閉する。このような小るつぼ1を第2の容器としての大るつぼ4内に配置し、小るつぼ1の周囲に希土類酸硫化物粉末のような酸硫化物粉末5を隙間なく充填する。言い換えると、希土類酸硫化物焼結体2を収容した小るつぼ1を酸硫化物粉末5内に埋設する。この後、酸硫化物粉末5を充填した大るつぼ4を大蓋6で密閉する。
【0060】
そして、上記した希土類酸硫化物焼結体2を収容した二重構造るつぼを加熱炉7内に配置すると共に、加熱炉7内の雰囲気ガス8を不活性ガス雰囲気とした後に、900〜1600℃の範囲の温度、特に1200℃を超えて1600℃以下の温度で熱処理を実施する。このような熱処理によって、希土類酸硫化物焼結体2と酸硫化物粉末5の分解により生じたガス、すなわち例えばSOxとして酸素と硫黄を含むガスとが反応し、希土類酸硫化物焼結体2の内部着色などが取り除かれて、残光時間が短いセラミックシンチレータが得られる。また、熱処理の際に希土類酸硫化物焼結体2の表面が白色化することもないため、セラミックシンチレータの優れた光出力を維持することができる。
【0061】
上述したように、本発明のセラミックシンチレータの製造方法によれば、光出力に優れ、かつ残光時間を短縮したセラミックシンチレータを再現性よく得ることができる。特に、セラミックシンチレータの構成材料としてPr付活酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体を用いた場合には、その体色を再現性よく前述したxy色度座標で表される色調とすることができるため、優れた光出力や残光時間をより確実に得ることが可能となる。
【0062】
本発明のセラミックシンチレータ、もしくは本発明の製造方法により得られるセラミックシンチレータは、上述したように光出力に優れ、さらに残光時間も短いことから、そのようなセラミックシンチレータを放射線検出器の蛍光発生手段として使用することによって、放射線の検出感度の向上、アーチファクトの抑制などを実現することができる。これは放射線検出器の小型・高解像度化などに大きく寄与する。
【0063】
次に、本発明の放射線検出器および放射線検査装置の実施形態について、図3および図4を参照して説明する。
【0064】
図3は本発明の放射線検出器の一実施形態によるX線検出器の概略構成を示す図である。同図に示すX線検出器11は、蛍光発生手段としてセラミックシンチレータ12を有している。セラミックシンチレータ12は、例えば上述した希土類酸硫化物焼結体から所望形状に切り出したシンチレータチップ、もしくはそれからさらに切り出した複数のセグメントを縦横方向に多数集積したシンチレータブロックからなるものである。
【0065】
矩形棒状のセラミックシンチレータ12は、一面を除いて反射膜13で覆われており、この反射膜13で覆われていない面に接着層14を介してシリコンフォトダイオード15などが光電変換素子として取り付けられている。なお、セラミックシンチレータ12として、複数のセグメントを多数集積したシンチレータブロックを用いる場合には、各セグメントに対応させてシリコンフォトダイオード15を配置する。
【0066】
上述したX線検出器11においては、セラミックシンチレータ12にX線が入射し、この入射したX線量に応じてセラミックシンチレータ12が発光する。セラミックシンチレータ12から放射された光はフォトダイオード15で検出される。すなわち、入射したX線量に基づいて発光する光の出力は、フォトダイオード15により電気的出力に変換された後、出力端子16から例えばX線CT装置のコンピュータに送られる。
【0067】
図4は本発明の放射線検査装置の一実施形態によるX線CT装置の概略構成を示す図である。同図に示すX線CT装置20は、上述した実施形態のX線検出器11を有している。X線検出器11は、被験者21の撮像部位を安置する円筒の内壁に張り付けられている。X線検出器11が張り付けられた円弧の略中心には、X線を出射するX線管22が配置されている。
【0068】
X線検出器11とX線管22との間には、固定された被験者21が配置される。X線検出器11とX線管22は、固定された被験者21を中心にして、X線による撮影を行いながら回転するように構成されている。このようにして、被験者12の画像情報が異なる角度から立体的に集められる。
【0069】
X線撮影により得られた信号(フォトダイオード15により変換された変換された電気信号)はコンピュータ23で処理され、ディスプレイ24上に被験者画像25として表示される。被験者画像25は、例えば被験者21の断層像である。この際、セラミックシンチレータ12として、複数のセグメントを多数集積したシンチレータブロックを用いることによって、マルチ断層像タイプのX線CT装置が構成され、これによれば被験者12の断層像を複数同時に撮影することができる。このようなマルチ断層像タイプのX線CT装置によれば、撮影結果を立体的に描写することもできる。
【0070】
上述したようなX線CT装置20においては、残光時間が短いセラミックシンチレータを用いているため、アーチファクト(疑似画像)の出現などを有効に防ぐことができる。さらに、各セラミックシンチレータからの出力も高いため、解像度の向上などを図ることができる。これらによって、X線CT装置20による医療診断能を大幅に高めることが可能となる。
【0071】
なお、本発明の放射線検査装置は、医療診断用のX線検査装置に限らず、工業用途のX線非破壊検査装置などに対しても適用可能である。本発明はX線非破壊検査装置による検査精度の向上などに対しても寄与するものである。
【0072】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
【0073】
実施例1
まず、平均粒子径が10μmで、かつ(Gd0.999,Pr0.001)2O2S組成の酸硫化ガドリニウム蛍光体粉末を用意し、この蛍光体粉末をラバープレスにより成形した。この成形体をTa製カプセル中に密封した後、これをHIP処理装置にセットした。HIP処理装置にアルゴンガスを加圧媒体として封入し、圧力148MPa、温度1500℃の条件で3時間処理した。冷却後、Pr含有の酸硫化ガドリニウム焼結体を取り出し、この焼結体からブレードソーにより1×2×30mmの棒状試料を切り出して、多数のシンチレータ片を作製した。
【0074】
次に、図2に示したように、100本程度のシンチレータ片2を高純度アルミナ製の第1の容器(小るつぼ:容量500cc)1に収容して蓋3をかぶせた。さらに、第1の容器1より一回り大きい高純度アルミナ製の第2の容器(大るつぼ)4を用意し、この第2の容器内にシンチレータ片2を収容した第1の容器1を配置すると共に、第1の容器1の周囲に酸硫化物粉末5としてGd2O2S粉末を隙間なく充填した。
【0075】
次いで、上記した二重構造の容器を加熱炉7内に配置し、この炉7内に窒素ガスを6m3/hの流量でフローしながら1300℃×24hの条件で熱処理を行った。この熱処理工程において、第1の容器1の周囲を覆うように、第2の容器4内に充填されたGd2O2S粉末5は、上記した熱処理温度付近で一部が分解し、例えばSOxガスのような酸素と硫黄を含むガスを生じさせるものである。そして、この反応ガスとシンチレータ片とを上記した熱処理温度で反応させることによって、目的とするセラミックシンチレータが得られる。得られたセラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0076】
実施例2〜10
上記した実施例1において、希土類酸硫化物蛍光体粉末の組成や粒子径、熱処理時の温度や充填する酸硫化物粉末の組成などを表1に示した条件に変更する以外は、実施例1と同様にしてセラミックシンチレータを作製した。すなわち、各希土類酸硫化物焼結体から切り出したシンチレータ片に対して、実施例1と同様にして熱処理を施すことによって、それぞれセラミックシンチレータを得た。得られた各セラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0077】
比較例1
上記した実施例1において、酸硫化ガドリニウム焼結体を切断加工した後に熱処理を施さない以外は、実施例1と同様にしてセラミックシンチレータを作製した。このようにして得たセラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0078】
比較例2
上記した実施例1において、切断加工後の酸硫化ガドリニウム焼結体(シンチレータ片)の熱処理を大気雰囲気とした加熱炉(熱処理温度900℃)内で実施する以外は、実施例1と同様にしてセラミックシンチレータを作製した。得られたセラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0079】
比較例3
上記した実施例1において、切断加工後の酸硫化ガドリニウム焼結体(シンチレータ片)の熱処理を大気雰囲気とした加熱炉(熱処理温度1300℃)内で実施する以外は、実施例1と同様にしてセラミックシンチレータを作製した。得られたセラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0080】
比較例4
上記した実施例1において、切断加工後の酸硫化ガドリニウム焼結体(シンチレータ片)を単に窒素ガスを6m3/hの流量でフローした加熱炉内で実施する以外は、実施例1と同様にしてセラミックシンチレータを作製した。すなわち、シンチレータ片を収容したるつぼの周囲に酸硫化物粉末を充填することなく、窒素ガス雰囲気とした加熱炉内で熱処理を行った。得られたセラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0081】
比較例5
上記した実施例1において、切断加工後の酸硫化ガドリニウム焼結体(シンチレータ片)の熱処理温度を800℃とする以外は、実施例1と同様にしてセラミックシンチレータを作製した。得られたセラミックシンチレータは後述する特性評価に供した。
【0082】
上記した実施例1〜10および比較例1〜5による各セラミックシンチレータの体色を、前述した方法に基づいてそれぞれ測定した。その測定結果としての色度値(xy色度座標)を表1に示す。なお、図1は各セラミックシンチレータの体色を示すxy色度座標をプロットしたものであり、○は実施例の結果、●は比較例の結果である。
【0083】
次に、各セラミックシンチレータを用いて図3に示したX線検出器11を構成し、120kVP,200mAのX線を照射した際にシリコンフォトダイオードに流れる電流値を光出力として求めた。なお、光出力はタングステン酸カドミウム(CdWO4)の単結晶体からなるシンチレータを用いた際の光出力を100とした場合の相対値で示す。さらに、各セラミックシンチレータの残光時間は、X線照射を停止してから100ms経過後の発光強度を、X線照射中の発光強度に対する割合(%)として求めた。これらの測定結果を表1に併せて示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1および図1から明らかなように、各実施例によるセラミックシンチレータは、それぞれxy色度座標で0.32≦x≦0.38および0.83x+0.075≦y≦0.83x+0.095を満足する体色を有しており、さらにCeを実質的に添加していないセラミックシンチレータ(実施例1〜8)は0.32≦x≦0.35を満足する体色を有していることが分かる。
【0086】
そして、これら各実施例によるセラミックシンチレータは、上述した体色に基づいて光出力に優れると共に、残光時間が短いことが明らかである。特に、実施例1〜8によれば、本発明ではCeを実質的に添加することなく残光時間を短縮することができる。
【0087】
また、熱処理温度を1200℃を超える温度に設定することによって、セラミックシンチレータの残光時間がより一層短くなることが分かる。さらに、このような場合においても、セラミックシンチレータの光出力は低下しておらず、焼結体表面の白色化が生じていないことが明らかである。
【0088】
一方、各比較例によるセラミックシンチレータは、いずれも体色を示すxy色度座標のy値が本発明の範囲外となっていることが分かる。特に、炉内雰囲気を大気とすると共に、熱処理温度を1300℃とした比較例3のセラミックシンチレータは、その体色を示すxy色度座標のx値が0.32未満であり、焼結体表面の白色化が生じていることが明らかである。これによって、比較例3のセラミックシンチレータでは、光出力が実用上問題となる値しか得られていない。
【0089】
さらに、大気雰囲気とした炉内にて900℃で熱処理を行った比較例2からは、残光時間の低減が不十分であることが分かる。また、シンチレータ片を収容したるつぼの周囲に酸硫化物粉末を充填せずに熱処理を行った比較例4や、熱処理温度を900℃未満とした比較例5は残光時間が長く、焼結体の内部着色が十分に取り除かれていないことが分かる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のセラミックシンチレータによれば、優れた光出力(感度特性)に加えて、残光(アフターグロー)を十分に低減することができる。従って、このようなセラミックシンチレータを用いた本発明の放射線検出器および放射線検出装置によれば、例えば解像度や画像精度などを高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例および比較例によるセラミックシンチレータ(熱処理後の希土類酸硫化物焼結体)の体色をxy色度座標にプロットした図である。
【図2】 本発明のセラミックシンチレータの製造方法の一実施形態による二重構造容器を用いた熱処理状態を示す図である。
【図3】 本発明の放射線検出器の一実施形態としてのX線検出器の概略構成を示す図である。
【図4】 本発明の放射線検査装置の一実施形態としてのX線CT装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1……第1の容器,2……加工後の希土類酸硫化物焼結体,4……第2の容器,5……酸硫化物粉末,7……加熱炉,8……炉内雰囲気,11……X線検出器,12……セラミックシンチレータ,15……フォトダイオード,20……X線CT装置,22……X線管
Claims (4)
- 主付活剤としてプラセオジムを含有する酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体を具備するセラミックシンチレータであって、前記酸硫化ガドリニウム蛍光体の組成が
一般式:(Gd 1−a−b Pr a Ce b ) 2 O 2 S
(式中、aは0.0001≦a≦0.01、bは0≦b≦0.005を満足する数である)で表され、且つ前記焼結体の体色を色度座標(x,y)で表したとき、前記焼結体は0.32≦x≦0.38および0.83x+0.075≦y≦0.83x+0.095を満足する体色を有することを特徴とするセラミックシンチレータ。 - 請求項1記載のセラミックシンチレータにおいて、前記酸硫化ガドリニウム蛍光体は、 一般式:(Gd1−aPra)2O2S
(式中、a、bは0.0001≦a≦0.01を満足する数である)
で表される組成を有し、かつ前記焼結体の体色を表す色度座標のx値が0.32≦x≦0.35の範囲であることを特徴とするセラミックシンチレータ。 - 請求項1又は請求項2記載のセラミックシンチレータを具備し、入射した放射線に応じて前記セラミックシンチレータを発光させる蛍光発生手段と、前記蛍光発生手段からの光を受けて、前記光の出力を電気的出力に変換する光電変換手段とを具備することを特徴とする放射線検出器。
- 被検査体に向けて放射線を照射する放射線源と、前記被検査体を透過した放射線を検出する、請求項3記載の放射線検出器とを具備することを特徴とする放射線検査装置。
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