JP4958102B2 - 触覚センサー及びその製造方法 - Google Patents

触覚センサー及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4958102B2
JP4958102B2 JP2006300965A JP2006300965A JP4958102B2 JP 4958102 B2 JP4958102 B2 JP 4958102B2 JP 2006300965 A JP2006300965 A JP 2006300965A JP 2006300965 A JP2006300965 A JP 2006300965A JP 4958102 B2 JP4958102 B2 JP 4958102B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strain
tactile sensor
strain gauge
generating portion
resin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006300965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008116371A (ja
Inventor
芳治 筧
昭夫 岡本
崇 松永
忠興 日下
正明 吉竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT
Original Assignee
OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT filed Critical OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT
Priority to JP2006300965A priority Critical patent/JP4958102B2/ja
Publication of JP2008116371A publication Critical patent/JP2008116371A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4958102B2 publication Critical patent/JP4958102B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、ストレインゲージを備える触覚センサー及びその製造方法に関する。
従来、バネ弾性等の弾性を有し凸形状をした起歪部にストレインゲージ(ひずみセンサー)が取り付けられ、該起歪部に外力が作用して歪みが生じると、その歪みをストレインゲージが検出することにより、力の3分力(X軸、Y軸、Z軸)を検出可能な触覚センサーが知られている(例えば、特許文献1,2)
これらの触覚センサーは、X,Y,Z方向の歪み成分を検出するため、内部空間を有する凸形状をした起歪部の内部上面及び内部側面にストレインゲージを設けていた。起歪部の外面でなく内面に配置しているのは、外面だと、特に上面のストレインゲージに直接、接触圧が掛かりストレインゲージにダメージを与えるからである。
特開2004−245717号 特開2005−257412号
しかしながら、凸形状をした起歪部の内部上面及び内部側面にストレインゲージを配置するには次のような問題があった。
上記凸形状を有する起歪部の内面にストレインゲージを配置するためには、すでに形成された起歪部の側面に手でストレインゲージを貼り付けるかあるいはストレインゲージを配置した後に該起歪部を曲げ加工等により形成する必要があった。前者は貼り付ける際の位置合わせが困難であると同時に作業性が悪く量産性に問題があった。また後者はストレインゲージの相対的な位置合わせは可能なものの、起歪部を曲げ加工等する際にストレインゲージにストレスがかかり、損傷あるいは特性変化を誘起するという問題があった。特に凸形状を有する起歪部をアレイ状に多数形成するためには、上記のいずれの方法も量産性、低価格化、特性の安定性等、製造上の大きな問題があった。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するために、一つあるいは複数個のアレイ状の上記凸形状を有する起歪部にかかる力の3成分(X軸、Y軸、Z軸)が検出可能で、安定性に優れた特性、及び量産性を向上し得る触覚センサー及びその製造方法を提供するものである。
本発明に係る触覚センサーの製造方法は、平坦面を有する支持部の該平坦面上の所定位置に、少なくとも1つの起歪部が突設された基体を準備する工程と、可撓性を有する樹脂フィルム上の所定位置に複数の感歪部を配置することにより複数のストレインゲージを作製する工程と、前記複数のストレインゲージの感歪部の各々に対応する所定パターンの切断部を形成し、該切断部によって形成される各々のストレインゲージを個別に折り曲げ可能にする工程と、前記切断部によって形成された各々のストレインゲージを前記基体上に重ね合わせることにより、前記起歪部の外側面に、接着剤の適用下に、前記各々のストレインゲージを接着させる工程と、を有することを特徴とする。
前記ストレインゲージの感歪部は、PVD法又はCVD法を用いて、前記樹脂フィルム上に複数の所定位置に薄膜形成されることが好ましい。
前記ストレインゲージの感歪部は、酸化クロムであることが好ましい。
前記ストレインゲージの感歪部を前記樹脂フィルム上に薄膜形成する前に、前記樹脂フィルム上に、酸窒化シリコン(SiO:1.0<x≦2.0,0≦y<1.0)からなるバッファ層を薄膜形成する工程を更に含むことが好ましい。
また、本発明に係る触覚センサーは、所望硬度の柔軟性を有する弾性樹脂材料で形成され、平坦面を有する支持部上に少なくとも1つの凸形状の起歪部が形成された基体と、前記起歪部の外側面のみに、所定の角度間隔、好ましくは90°の角度間隔で、少なくとも3箇所に配置されたストレインゲージとを有することを特徴とする。
本発明に係る前記触覚センサーにおいて、前記ストレインゲージは、前記起歪部の外側面に接着された樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に薄膜形成された酸窒化シリコン(SiO:1.0<x≦2.0,0≦y<1.0)からなるバッファ層と、前記バッファ層上に薄膜形成された酸化クロムからなる感歪部と、を含むことが好ましい。
本発明に係る触覚センサーの製造方法によれば、樹脂フィルムに所定の切断部を形成することにより、複数のストレインゲージを起歪部の外側の側面上に一括して取り付けることができ、取り付け時の位置合わせも容易となり、量産性が向上するとともに、ストレインゲージに無理な力をかけずに接着できるため、安定した特性を有する触覚センサーを製作することができる。また、本発明に係る触覚センサーによれば、起歪部の外側の側面にのみ、所定の角度間隔、好ましくは90°の角度間隔で設けられた少なくとも3個のストレインゲージにより、3次元方向(X,Y,Z方向)の歪みを精度良く検知可能である。
先ず、本発明に係る触覚センサーの好適な実施形態について、以下に図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る触覚センサーの斜視図である。
触覚センサー1は、平坦面を有する支持部2上に凸形状の起歪部3が形成された基体4と、樹脂フィルム5とその上の所定位置に形成された感歪部6とからなるストレインゲージ7とを備えていて、ストレインゲージ7を起歪部3の側面に接着剤で貼付された構造を有している。なお、図1では、支持部2上に起歪部3が1つだけ形成されている例を示しているが、起歪部3は支持部2上の所定位置に複数個形成されていても良い。
基体4は、用途に適した柔軟性を有する材料によって形成され、そのような材料として弾性樹脂材料を採用することができ、中でも、シリコーンゴムは、硬度の制御が比較的容易であるため好ましい。支持部2と起歪部3とは、異種の弾性樹脂材料によって形成し互いに接合することもできるが、同一材料で一体成形することが製造上好ましい。
起歪部3の形状は、図示のような切頭四角錐状に限らず、切頭三角錐、切頭六角錐等とすることもでき、切頭角錐の切頭部分の平坦な上底面に外力が作用することで側面(周面)に生じた歪みを検出する。なお、円柱状、円錐状、半球状等の形状を採用することもできる。
樹脂フィルム5は、可撓性及び電気絶縁性を有するものが使用され、例えば、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム等を使用できる。樹脂フィルム5を起歪部3に接着する接着剤は、樹脂フィルム5と起歪部3との接着を確保できるものであればよく、公知の樹脂系接着剤を使用することができる。樹脂フィルム5は、厚さが7.5〜100μm程度のものを使用できる。
ストレインゲージ7の感歪部6は、酸化クロム、ニッケルクロム等のストレインゲージ材料を公知の成膜法を用いることによって位置精度良く薄膜形成され、その膜厚は、例えば、0.1〜1μmとすることができる。なお、図1において、符号6aで示す部分は、リード線をハンダ付けするためのランドである。なお、後述するように電気配線をあらかじめ事前に作製しておく場合は、ランドは必ずしもこの位置に配置しておく必要はない。
ストレインゲージ7は、1つの起歪部3の外側面に対して、所定の角度間隔、好ましくは90°の角度間隔で、少なくとも3箇所に形成されておれば良いが、数量は限定されない。即ち、後述するように、起歪部3の外側面のみに設けたストレインゲージにより3次元方向を検知するためには、起歪部3の中心軸線A(Z軸)回りに、所定の角度間隔、好ましくは90°の角度間隔で配置する必要があり、図1に例示された起歪部3の形状が切頭四角錘状の場合には、90°間隔で配置されることが好ましい。
樹脂フィルム5とストレインゲージの感歪部6との間に、両者の密着力を高める目的で、酸窒化シリコン(SiO:1.0<x≦2.0,0≦y<1.0)の薄膜によって形成されるバッファ層(図2の符号12参照。)を介在させておくことが好ましい。樹脂フィルム5が薄くて柔らかいため、バッファ層は、樹脂フィルムにできるだけ応力を及ぼさないようにできるだけ薄くすることが好ましく、例えば、100nm程度以下の厚みとすることが好ましい。
次に、図1を参照して説明した触覚センサーの製造に適した製造方法であって、本発明に係る触覚センサーの製造方法について、以下、図2〜5を参照して説明する。なお、以下に説明する触覚センサーの製造方法は、図1を参照して説明した触覚センサーの製造に適した製造方法であり、図1を参照して説明した上記の触覚センサー以外の触覚センサーにも適用可能である。
図2は、触覚センサーの製造工程を模式的に示す説明図であり、左に中央縦断面図、右に平面図を示している。なお、図2の左側に示す中央縦断面図は、説明の都合上、誇張して図示されており、右側に示された平面図とは一致していない。
まず、図2(a)に示すように、平坦面を有する支持部2と、その平坦面上の所定位置に突設された起歪部3とを備える基体4を用意しておく。図2では、起歪部3は1つだけ図示しているが、2つ以上あっても良い。
次に、樹脂フィルム上の所定位置に複数のストレインゲージを配置する工程を説明する。樹脂フィルム上に複数のストレインゲージを配置するには、次のような工程を採用することができる。
先ず、樹脂フィルム5上にフォトレジスト層を形成しておき、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィーを用いてフォトレジスト層を部分的に除去し、後述のストレインゲージの感歪部6を形成するための所定のレジストパターン8を形成する。
次に、図2(c)に示すように、レジストパターン8が形成された樹脂フィルム5上に、酸窒化シリコン(SiO:1.0<x≦2.0,0≦y<1.0)によって形成されるバッファ層12をPVD(Physical Vapor Deposition;物理蒸着)法又はCVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)法によって薄膜形成した後、PVD法又はCVD法を用いて、酸化クロム等のストレインゲージの感歪部6を形成する。バッファ層12は、樹脂フィルム5へのストレインゲージの感歪部6の密着力を高めるためのものである。
ストレインゲージの感歪部6は、酸化クロムにより形成することが好ましいが、ニッケルクロムその他の公知の感歪材料を使用することもできる。ストレインゲージの感歪部6を形成する酸化クロム薄膜は、薄膜中のクロムに対する酸素のモル比Xが0≦X<1.5が感度の観点から好ましく、より好ましくは0.6であり、PVD法又はCVD法による薄膜作製の工程中において、Cr/Oの組成を制御する。
次に、上記のようにしてパターン形成されたフォトレジスト層8とともにそのフォトレジスト層8上のストレインゲージの感歪部6を、定法に従って除去する。
このようにして、図2(d)に示すように、複数(図では4つ)のストレインゲージの感歪部6が、樹脂フィルム5上に形成される。
次に、図2(e)に示すように、複数のストレインゲージの感歪部6が配置された樹脂フィルム5に、それらのストレインゲージの感歪部6の各々に対応する所定パターンの切断部10を形成する。この切断部10によって、各々のストレインゲージ7が、互いに独立して折り曲げ可能になる。
切断部10は、図示例のような切り抜きに限らず、切断線によって形成することもできる。切断部10のパターンは、起歪部3の形状、起歪部3に取り付けるべきストレインゲージ7の数、ストレインゲージ7を取り付けるべき部位の形状等に応じて種々のパターンを採用することができ、起歪部3が図示例のような切頭角錐形状(角錐台形状)である場合は、起歪部3の下底平面形状(多角形:図示例は四角形)の中心を通る対角線上を切り抜くようなパターンとすることが好ましい。切断部のパターンは、後述するように切断部10により形成されたストレインゲージ7を基体4上に押し付けるようにして重ね合わせる際に、ストレインゲージ7が、起歪部3によって持ち上げられるとともに、起歪部3の底部平面形状の輪郭線のところで曲がることによって起歪部3の側面に沿って起立できるように形成される。
次に、基体4の起歪部3の側面に接着剤を塗布しておいてから、図2(f)及び図3に示すように、切断部10により形成されたストレインゲージ7を基体4上に押し付けるようにして重ね合わせることにより、起歪部3の側面に、ストレインゲージ7を貼着させる。なお、接着剤は、樹脂フィルムの裏面(ストレインゲージが形成されていない側の面)に塗布しておいてもよい。基体4は、上記のように所望硬度の柔軟性を有する弾性樹脂材料、好ましくはシリコーンゴムによって、支持部と起歪部とが一体的に形成されているものを使用することができるが、用途に適した柔軟性を有するものであれば、金属板をプレスして成形したものを本発明方法に使用することもできる。
その後、ストレインゲージ7の基材である樹脂フィルム5の不要部分を切り取る等により除去し、図1に示すような触覚センサーを製作する。なお、この工程は実際の製造には必ずしも必要とは限らない。
なお、上記の例では、フォトリソグラフィーを用いた例を示したが、ストレインゲージの感歪部は、メタルマスクやスクリーン印刷等のパターニング技術を用いて作製することもできる。
また、ストレインゲージには、図4に示すように、予め配線パターン20を形成しておいても良く、これにより複数のストレインゲージ間の配線や起歪部をマトリックス状のアレイにした触覚センサー間の電気的接続が容易になる。
図5は、1つの支持部2aに複数の起歪部3がマトリックス状に整列配置された基体4aを示している。このような基体4aに対応して、図5に示すように、樹脂フィルム5aに基歪部3の各々に対応してストレインゲージの感歪部6が形成され、切断部10により折り曲げ可能なストレインゲージ7が形成されており、基体4aの上から重ね合わせることにより、複数の起歪部3の外側面の各々に一括してストレインゲージ7を設けることができる。また、複数のストレインゲージ7を基体の起歪部3に貼り付ける際に、各々のストレインゲージ7は、切断部10によって独立して曲げられるので、ストレインゲージ自身あるいは他のストレインゲージとの間に過大な力が作用せず、正しいセンサー特性を維持することができる。
またこのように起歪部3がマトリックス上に整列配置されている場合は、樹脂フィルム5上の切断部10を除く位置に、それぞれのストレインゲージを必要に応じて電気的に接続するため、あるいは外部からの電源供給や信号処理のための電気配線を予め作製しておくことができ、センサー作製のための作業性が飛躍的に向上し量産性が確保できる。
図2を参照して説明した製造方法により、触覚センサーを試作した。基体には人間の皮膚と同程度の硬度を有するシリコーンゴムを使用し、可撓性を有する樹脂フィルムとして厚み25μmのポリイミドフィルムを使用した。フォトリソグラフィーによりポリイミドフィルム上に所定のレジストパターンを形成後、マグネトロンスパッタリング法を用いて、バッファ層となる酸化シリコン薄膜を膜厚10nmでポリイミドフィルム上に成膜し、そのバッファ層の上に感歪部となる酸化クロム薄膜を膜厚200nmで成膜して、ポリイミドフィルム全面に無加熱状態で連続製膜を行った。製膜後、ポリイミドフィルムをアセトン中に浸漬することにより、フォトレジストが溶解し、フォトレジスト上の酸化シリコン薄膜及び酸化クロム薄膜を除去することで所望のストレインゲージをポリイミドフィルム上に製作した。切断部の加工を施した後、凸形状の起歪部(正方形下底面の1辺の長さ10mm、高さ5mm、テーパー角75°の切頭四角錐形)の側面に接着剤を塗布し、起歪部の上方からポリイミドフィルムを起歪部に位置合わせして押し付けた。ポリイミドフィルムが起歪部の側面に接着したことを確認した後、ポリイミドフィルムの不要部分を切り取り、図1に示すような触覚センサーを製作した。
インジウムハンダを用いてストレインゲージの電極部(ランド)から引き出したリード線を測定装置に接続し、起歪部の上面(平坦面)に対して平行な力を作用させた場合について、センサー特性を評価した。測定に使用した装置は、電流源(ADVANTEST: R6142 PROGRAMMABLE DC VOLTAGE/CURRENT GENERATOR)、多チャンネル電圧計(KEITHLEY: 2000 MULTIMETER)、ノート型パソコン(DELL: INSPIRON 2200)から構成され、各々の装置はGPIBを用いて接続され、ノート型パソコンにより計測器の制御およびデータの取得を行った。
触覚センサーを構成する酸化クロム薄膜を感歪部として用いたストレインゲージの1つに対して、引っ張り応力および圧縮応力を印加した場合のストレインゲージの電気抵抗変化を図6に示す。図6から、引っ張り応力が作用した場合、ストレインゲージは伸びるため電気抵抗は増加し、圧縮応力が印加された場合、ストレインゲージは縮むため電気抵抗が減少しており、何れの場合も印加する力が増加するにつれて電気抵抗の変化量も増加していることがわかる。
次に、図7(a)に示すように起歪部の凸形状の上面に対して平行に一定の力(F)を一定方向(0°方向)に作用させた状態で、触覚センサーを水平面内で中心軸線の回りに時計方向に回転させ、外側面Dに貼付されたストレインゲージの電気抵抗変化について、有限要素解析により求められた起歪部の外側面Dに生じる弾性歪み(図7(b))と、実際に測定したストレインゲージの電気抵抗変化(図7(c))を比較した。有限要素解析により求められた弾性歪みは、力の印加方向と外側面との相対角度が変化するにつれ、その大きさが減少または増加し、正弦波のような変化が生じることがわかる。一方、測定されたストレインゲージの電気抵抗変化は、力の印加方向とストレインゲージを貼り付けた外側面との角度に依存し、図7(b)に示される弾性歪みの場合と同様な挙動が見られた。このことから起歪部3の外側面に取り付けられたストレインゲージにより、起歪部に加わる力の水平方向成分の変化を計測できることがわかる。
次に、起歪部の4つの外側面A,B,C,Dに生じる弾性歪みについて、図7と同様に起歪部の凸形状の上面に対して平行に一定の力(F)を一定方向(0°方向)に作用させた状態で、起歪部を水平面内で中心軸線の回りに時計方向に回転させた場合の有限要素法により求められた各外側面の弾性歪みの計算結果を図8(a)に示す。起歪部の4つの外側面に生じる弾性歪みの大きさはいずれも力の方向との相対角度に依存して正弦波的な変化を示し、隣接する外側面では、位相がすべて90°ずれていることがわかる。このシミュレーション結果から、起歪部の4つの外側面にストレインゲージを貼り付ければ、図7の結果からも明らかなように、図8(b)に示すようなストレインゲージの電気抵抗変化が発生することが予想され、A,B,C,Dそれぞれの位置に貼り付けられたストレインゲージの電気抵抗変化の組み合わせによって、水平方向の力の印加方向(X軸、Y軸)が推定できる。また、Z方向に作用する力は、触覚センサーに設けられた全てのストレインゲージの電気抵抗が同じような出力変化を生じるため、その変化を計測することにより、大きさを測定できる。例えば、起歪部の凸形状の上面に対して上から下へ向かって垂直に力を印加した場合、起歪部の全ての外側面が伸びるため、全てのストレインゲージの電気抵抗が増加する。
上記の結果から、製作された触覚センサーにより、起歪部外側面の少なくとも3箇所に、所定の角度間隔、好ましくは90°間隔で配置されたストレインゲージの電気抵抗変化を測定及び解析することにより、起歪部にかかる力の3成分(X軸、Y軸、Z軸)の向き及び大きさを測定することが可能になる。なお、起歪部外側面の少なくとも3箇所に配置されるストレインゲージの角度間隔は、90°とすることが測定の精度等の観点で好ましいが、90°以外の間隔であっても3成分の測定が可能である。例えば、起歪部が切頭三角錐あるいは切頭六角錘の場合、起歪部外側面にストレインゲージを90°の角度間隔で貼付することは困難であるが、貼付位置の角度間隔がわかっておれば、図8(a)に示すように、その角度間隔に応じて位相がずれる。従って、あらかじめストレインゲージの貼付位置を所定の角度間隔にしておけば、計算により力の3成分(X軸、Y軸、Z軸)の向き及び大きさを測定することが可能になる。
本発明に係る触覚センサーの一実施形態を示す斜視図である。 本発明に係る触覚センサーの製造方法の一実施形態を、左側に中央縦断面図、右側に平面図を並列して示す、工程図である。 図2(f)の平面図を拡大して示す平面図である。 本発明に係る触覚センサーの製造工程にある中間体の変更態様を示す平面図である。 本発明に係る触覚センサーの製造方法における他の実施形態を平面図で示す工程図である。 本発明に係る触覚センサーのストレインゲージの電気抵抗変化を示すグラフである。 本発明に係る触覚センサーの起歪部の外側面の位置Dに生じる弾性歪みの回転角度依存性を有限要素解析により求めたグラフと、位置Dに貼付されたストレインゲージの電気抵抗の回転角度依存性を測定した実験結果を対比して示すグラフである。 本発明に係る触覚センサーの起歪部の外側面に生じる弾性歪みの回転角度依存性を有限要素解析により求めたグラフと、予想される各外側面に貼付されたストレインゲージの電気抵抗変化を示す表である。
符号の説明
1 触覚センサー
2、2a 支持部
3 起歪部
4、4a 基体
5、5a 樹脂フィルム
6 ストレインゲージの感歪部
7 ストレインゲージ
8 レジストパターン
10 所定パターンの切断部
12 バッファ層

Claims (5)

  1. 平坦面を有する支持部の該平坦面上の所定位置に、少なくとも1つの起歪部が突設された基体を準備する工程と、
    可撓性を有する樹脂フィルム上の所定位置に複数の感歪部を配置することにより、複数のストレインゲージを作製する工程と、
    前記複数のストレインゲージの感歪部各々に対応する所定パターンの切断部を形成し、前記切断部によって形成される各々のストレインゲージを個別に折り曲げ可能にする工程と、
    前記切断部によって形成された各々のストレインゲージを前記基体上に重ね合わせることにより、前記起歪部の外側面に、接着剤の適用下に、前記各々のストレインゲージを接着させる工程と、を有することを特徴とする触覚センサーの製造方法。
  2. 前記ストレインゲージの感歪部は、PVD法又はCVD法を用いて、前記樹脂フィルム上に複数の所定位置に薄膜形成されることを特徴とする請求項1に記載の触覚センサーの製造方法。
  3. 前記ストレインゲージの感歪部は、酸化クロムであることを特徴とする請求項2に記載の触覚センサーの製造方法。
  4. 前記ストレインゲージの感歪部を前記樹脂フィルム上に薄膜形成する前に、前記樹脂フィルム上に、酸窒化シリコン(SiOxNy)からなるバッファ層を薄膜形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の触覚センサーの製造方法。
  5. 所望硬度の柔軟性を有する弾性樹脂材料で形成され、平坦面を有する支持部上に少なくとも1つの凸形状の起歪部が形成された基体と、
    前記起歪部の外側面のみに、所定の角度間隔で、少なくとも3箇所に配置されたストレインゲージと、を有し、
    前記ストレインゲージは、前記起歪部の外側面に接着された樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に薄膜形成された酸窒化シリコン(SiOxNy)からなるバッファ層と、前記バッファ層上に薄膜形成された酸化クロムからなる感歪部と、を含むことを特徴とする触覚センサー。
JP2006300965A 2006-11-06 2006-11-06 触覚センサー及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4958102B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006300965A JP4958102B2 (ja) 2006-11-06 2006-11-06 触覚センサー及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006300965A JP4958102B2 (ja) 2006-11-06 2006-11-06 触覚センサー及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008116371A JP2008116371A (ja) 2008-05-22
JP4958102B2 true JP4958102B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=39502412

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006300965A Expired - Fee Related JP4958102B2 (ja) 2006-11-06 2006-11-06 触覚センサー及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4958102B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101109193B1 (ko) * 2009-03-06 2012-01-30 삼성전기주식회사 촉각 센서 어레이 및 그 제조방법
JP5777448B2 (ja) * 2010-12-07 2015-09-09 住友ゴム工業株式会社 物体の動的変形を考慮した電気伝導解析方法
JP2012181189A (ja) * 2011-02-08 2012-09-20 Nok Corp センサモジュール
KR101381653B1 (ko) * 2012-06-22 2014-04-04 전자부품연구원 압력 및 전단력 측정이 가능한 변형 측정 센서 및 그 구조물
JP6330595B2 (ja) 2014-09-15 2018-05-30 株式会社デンソー 荷重センサ
KR101787235B1 (ko) * 2016-01-21 2017-10-19 한국표준과학연구원 이황화몰리브덴을 이용한 촉각센서의 제조방법

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5010773A (en) * 1990-01-24 1991-04-30 Wisconsin Alumni Research Foundation Sensor tip for a robotic gripper and method of manufacture
JPH06213613A (ja) * 1993-01-14 1994-08-05 Sumitomo Electric Ind Ltd 歪抵抗材料およびその製造方法および薄膜歪センサ
JP3391115B2 (ja) * 1994-09-27 2003-03-31 エヌオーケー株式会社 クロム−酸素合金薄膜の製造法
JPH09230999A (ja) * 1996-02-26 1997-09-05 Oki Inf Syst ポインティングデバイス
JP3292099B2 (ja) * 1997-07-31 2002-06-17 松下電工株式会社 薄膜素子及びその製造方法
JP3144420B1 (ja) * 1999-10-21 2001-03-12 オムロン株式会社 人工触覚器およびこの触覚器を用いた人工皮膚ならびにロボット
JP3876309B2 (ja) * 2002-07-24 2007-01-31 独立行政法人産業技術総合研究所 コンピュータ入力装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008116371A (ja) 2008-05-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4958102B2 (ja) 触覚センサー及びその製造方法
JP5198608B2 (ja) 半導体ストレインゲージを用いたフレキシブルな力または圧力センサアレイ、そのフレキシブルな力または圧力センサアレイの製造方法、及びそのフレキシブルな力または圧力センサアレイを用いた力または圧力測定方法
KR101169943B1 (ko) 반도체 스트레인 게이지를 이용한 힘 또는 압력 센서 어레이, 힘 또는 압력센서 어레이의 제조방법 및 힘 또는 압력 센서 어레이를 이용한 힘 또는 압력 측정방법
JP2007517216A (ja) センサ
JP2006020823A (ja) アレイ型静電容量式圧脈波センサおよびこれを備えた脈波測定装置
JP2008533481A (ja) ダブルホイートストンブリッジによる抵抗検知によって力を測定するためのデバイス
JP2006208248A (ja) 触覚センサ及びその製造方法
JPH095014A (ja) 曲げセンサ
US8440089B2 (en) Three-dimensional structure and its manufacturing method
CN110352337A (zh) 应变体及具备该应变体的力传感器
JP2007315875A (ja) 感圧センサ
WO2019009368A1 (ja) ひずみゲージ及び多軸力センサ
KR100812318B1 (ko) 곡면 부착형 촉각 센서 및 그 제조 방법
KR20090081195A (ko) 금속 압력다이어프램이 구비된 압력측정센서 및 상기압력측정센서의 제조방법
JP2003042861A (ja) 立体型歪みセンサ
JP6776151B2 (ja) 起歪体およびその起歪体を備えた力覚センサ
KR20080023398A (ko) 실리콘 나노와이어를 이용한 힘 센서 및 그의 제조방법
KR100735295B1 (ko) 폴리머 필름을 이용한 플렉서블 촉각센서 제조방법
JP7067011B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP6794293B2 (ja) 起歪体およびその起歪体を備えた力覚センサ
CN113432773A (zh) 适用于柔性物体表面冲击波压力测量传感器及制作方法
Chen et al. Bioinspired liquid metal based sensing system for compliance detection
JP3920689B2 (ja) 測定用ゲージおよびその使用方法
TWI396835B (zh) Piezoelectric tactile sensor and its manufacturing method
JP2004163373A (ja) 半導体物理量センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111115

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120221

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120313

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees