JPH06213613A - 歪抵抗材料およびその製造方法および薄膜歪センサ - Google Patents

歪抵抗材料およびその製造方法および薄膜歪センサ

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JPH06213613A
JPH06213613A JP2196593A JP2196593A JPH06213613A JP H06213613 A JPH06213613 A JP H06213613A JP 2196593 A JP2196593 A JP 2196593A JP 2196593 A JP2196593 A JP 2196593A JP H06213613 A JPH06213613 A JP H06213613A
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JP
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chromium
thin film
strain
oxygen
resistance
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Application number
JP2196593A
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English (en)
Inventor
Shoji Nakagama
詳治 中釜
Soichiro Okubo
総一郎 大久保
Yoshiharu Uchiumi
慶春 内海
Akira Okamoto
曉 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロムと酸素を主体とする薄膜歪抵抗材料で
あって、高いゲ−ジ率を有し、低い抵抗温度係数(TC
R)、低い感度温度係数(TCS)を有するものを提供
すること。 【構成】 クロムと酸素を主体とし、bccCrと、三
方晶Cr23 よりなる薄膜歪抵抗材料を提供する。真
空蒸着またはスパッタリングにより基板温度を150℃
以上に保って薄膜形成する。さらに400℃以上の温度
でアニ−ルする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、圧力、力、歪み、加
速度、流量などを金属薄膜の歪みによる抵抗値の変化と
して測定するための、歪ゲ−ジ式の歪抵抗材料、その製
造方法、これを利用したセンサなどに関するものであ
る。歪抵抗材料というのは、歪むことによって抵抗値が
変化する材料の事をいう。ダイヤフラムに歪抵抗材料を
取り付けると、圧力によってダイヤフラムが変形するの
で歪抵抗材料の抵抗値が変化する。抵抗値の変化によっ
て圧力を測定できる。また金属の棒材に歪抵抗材料を貼
り付けておくと、棒に加えられた力に比例して棒が撓む
から、歪抵抗材料が伸び縮みする。これによって抵抗値
が変化するので、力の大きさを測定できる。
【0002】
【従来の技術】歪抵抗材料に要求される特性は、 歪みに対する抵抗値の変化が大きい。歪みεに対する
抵抗変化率∂R/Rの比をゲ−ジ率∂R/εRという。
これは歪抵抗材料を用いてセンサを作った時の感度を決
めるものである。高感度のセンサを作るためにはゲ−ジ
率の高い歪抵抗材料が必要である。感度が高いとノイズ
に対する余裕が大きくなるし、後段の増幅器の負担が軽
減されるからである。
【0003】抵抗の温度係数が小さい。つまり温度に
よって抵抗値が大きく変化しないということである。
(∂R/R∂T)が小さいというふうに表現できる。こ
の値を抵抗温度係数(TCR)という。これが大きい
と、温度変化による抵抗変化が、歪みによる抵抗変化よ
りも優越し歪みを正確に求めることができなくなるから
である。 感度の温度による変化が少ないこと。これが大きいと
温度によって感度が異なるということになり望ましくな
い。感度の温度係数をTCSという。 経時変化が少ない。耐熱性がある。信頼性が高い。 等である。
【0004】歪ゲ−ジ式の歪抵抗材料には従来から次の
ようなものが知られている。 (1)NiCrやCuNiのような金属系の歪抵抗材
料。 (2)Siなどの半導体。 NiCr(ニクロム)、CuNi(アドバンス)のよう
に金属の歪抵抗材料は抵抗温度係数が小さく特性が安定
しているため、広く利用されている。しかし歪みに対す
る抵抗変化、即ち感度が低い。ゲ−ジ率は2〜3であっ
て低感度である。感度が低いから後段に高い増幅率の増
幅器を必要とする。当然ノイズに対して余裕が少ない。
【0005】Siなどの半導体の歪抵抗材料はゲ−ジ率
が10〜100と高い。感度が良い。しかも集積回路化
することでSi基板上に増幅器と一体化できるという長
所があるために既に広く利用されている。しかし半導体
であるから、温度による抵抗変化が極めて大きい。つま
り抵抗温度係数TCRが大きくそのままでは使えないの
で、温度補償回路を必要とする。また、熱に弱い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、金属系の歪抵抗
材料として、Crを主体とする薄膜歪抵抗材料が開発さ
れている。Crは一般の金属に比べて歪みに対する抵抗
変化率即ちゲ−ジ率が大きいからである。特開昭61−
256233号は、ダイヤフラムまたは絶縁膜の上に、
CrまたはCr合金をスパッタリングによって形成した
センサを提案している。Crを用いたものについて、
【0007】ゲ−ジ率=16〜17 TCR=−500〜600ppm/℃ TCS=−500〜−600ppm/℃ という性能を得たとある。またCrとMoの合金をスパ
ッタで薄膜として、 ゲ−ジ率=13〜15 TCR=−200〜0ppm/℃ TCS=−4000〜−3000ppm/℃ というような性能を得たと書いてある。
【0008】特開平2−76201号は、60〜98原
子%のCr、2〜30原子%の酸素、0〜10原子%の
Si、Ge、Bを含む薄膜歪抵抗材料を提案している。
これは、 ゲ−ジ率=5〜10 TCR=−73〜+75ppm/℃ の性能を持つと述べている。
【0009】特開平2−152201号は、60〜98
原子%のCr、2〜30原子%の酸素、0〜10原子%
のAl、Ti,Taを含む薄膜歪抵抗材料を提案してい
る。これも、 ゲ−ジ率=5〜10 TCR=−83〜+75ppm/℃ の特性を発揮したとある。
【0010】このようにCrを主体とした歪抵抗材料及
びCrと酸素を主体とした歪抵抗材料は、種々提案され
ているが、ゲ−ジ率、TCR、TCSの全てについての
要求を同時に満足していない。また耐熱性、歪み耐久性
等の信頼性に於いても十分でなかった。
【0011】本発明は、Crと酸素を主体とし、大きい
ゲ−ジ率と、低いTCR、TCSを持つ歪抵抗材料を提
供することを目的とする。バルクのCrは高いゲ−ジ率
を持つ(ゲ−ジ率≒30)。しかし反面TCRが極めて
大きい。TCR≒+3000ppm/℃である。高いゲ
−ジ率を維持し、TCRを下げるためにどうすればよい
のかこれが問題である。前述のようにCrに不純物を入
れるのは、不純物によって電子が散乱され平均自由行程
が短くなるので抵抗温度係数TCRが低下するという性
質を利用している。しかし同時にゲ−ジ率も一般に低下
する。従来のCrとOとを主体とする歪抵抗材料におい
ては、CrとOの化合物がアモルファス状態で存在して
いたものと推測される。その分だけ金属のCrが減少す
る。金属Crの減少がゲ−ジ率を低下させていると考え
られる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜歪抵抗材料
は、CrとOを主体とし、体心立方(bcc)のCr
と、三方晶Cr23 の結晶構造を有することを特徴と
する。これを製造するために、基板温度を150℃以上
として蒸着またはスパッタリングでCr、Oを主体とす
る膜を形成し、400℃以上の温度で熱処理する。こう
するとアモルファス状のCrの酸化物がCr23 に変
化し、結果的に三方晶Cr23 とbccCrの構造と
なる。bccCrが抵抗を低く抑えゲ−ジ率を高く維持
する。三方晶Cr23 が電子の平均自由行程を短く
し、抵抗温度係数TCRを下げる作用があるものと考え
ている。
【0013】
【作用】先ず薄膜Crを作る際どうして酸素との化合物
になるのかということを説明する。通常、Crの薄膜形
成には真空蒸着、スパッタリングが用いられる。これら
の薄膜形成装置では真空排気装置や、配管、チャンバ−
などの構造から、到達真空度には上限がある。大体10
-7〜10-5Torrが最高である。これ以上の真空度に
引くことができない。残存ガスには酸素、水蒸気等が多
く含まれる。真空蒸着でもスパッタリングでも、Crを
加熱して蒸発させ、あるいは小さい分子塊として飛ばす
のであるから、酸素がこの中に取り込まれてしまう。酸
素は特に活性の強い元素であるから上記の程度の真空度
では薄膜への酸素の混入を防ぐことができない。蒸着、
スパッタで作成した薄膜Crには必ず残存酸素が混入す
るのである。Cr中の酸素の量は、到達真空度、膜形成
時の圧力、膜堆積速度、蒸発源から基板までの距離等に
よって異なるが、通常5原子%〜20原子%である。こ
れは止むなく含まれるのである。酸素を含まない薄膜C
rを作るのが難しい。
【0014】さらに進んで積極的に酸素をより多く混入
させるということもできる。真空蒸着装置の雰囲気とし
て酸素を導入することによってなされる。またスパッタ
リング装置の中にアルゴン等の他に酸素を導入して酸素
のCrへの混入を促進するということもできる。
【0015】通常の状態では,Cr中のOはCrOx
アモルファス状態である。アモルファス状態のCrOx
は電子の散乱中心となり、電子の平均自由行程を短くす
る。平均自由行程が短くなるので、抵抗温度係数TCR
や、感度の温度係数TCSを下げる働きがある。しかし
アモルファスCrOx 及びCrOx を多く含むCr薄膜
の歪抵抗材料は一般にゲ−ジ率が低いものになってしま
う。またアモルファスCrOx は不安定な物質で、熱に
より組成や構造が変化しやすいために耐熱性、機械的強
度、歪み耐久性等の性質が低下する。このために歪みゲ
−ジとしての信頼性を大きく低下させてしまう。
【0016】そこで、本発明では不安定なアモルファス
CrOx を安定なCr23 に変化させて、金属Crと
Cr23 からなる微結晶構造とすることにより、ゲ−
ジ率は金属Crで確保し、TCRの低減は微結晶構造で
計ろうとするものである。また、CrとCr23 の微
結晶構造は安定であるために、同時に耐熱、歪み耐久性
等の信頼性向上も計れる。
【0017】ではどのようにして、アモルファスCrO
x をなくして、安定な多結晶のCr23 を生成できる
かというと、まず蒸着、スパッタに於いて基板の温度を
150℃以上に保持することである。そして薄膜ができ
たあと、400℃以上の温度で熱処理する。このように
すると、アモルファスCrOx がCr23 に変化す
る。基板の温度が低いと、Crの蒸気が基板で急冷され
るのでアモルファスになる。基板を高温に保てば基板に
おいてCrが徐冷されるので結晶化する。作製後の熱処
理は、残留アモルファスCrOx の多結晶化を更に促進
する意味で有効である。熱処理によりエネルギ−が与え
られるので、構造変化がおこりより自由エネルギ−の低
い多結晶状態への部分的な相転移が起こりうるのであ
る。このような薄膜形成時の加熱、生成後の加熱によっ
て、本発明のCr+O系は、三方晶Cr23 +金属C
rになる。
【0018】本発明の歪抵抗材料はこのような製法で作
られ、次のような優れた性質をもっている。 [本発明歪抵抗材料の特性] ゲ−ジ率>20 TCR<50ppm/℃ TCS<±500ppm/℃ さらに本発明のおいては、5原子%以下の他の金属を混
合しても差し支えない。しかし一般に、金属の添加はゲ
−ジ率を低下させる。それゆえ金属の添加が、5原子%
を越えるとゲ−ジ率が20以下になり望ましくない。
【0019】
【実施例】厚み0.2mmのステンレス鋼ダイヤフラム
基板上にスパッタリング法により、厚み6μmのSiO
2 絶縁膜を形成した。さらにその上に真空蒸着法および
スパッタリング法によって、CrとOを主体とする0.
2μm厚の歪抵抗膜を形成した。真空蒸着とスパッタリ
ングの条件は表1に示す通りである。
【0020】
【表1】
【0021】真空蒸着の場合は、初め10-5〜10-7
orrに引いておき、基板を200℃に加熱してから蒸
着を開始する。膜形成速度が5Å/sec である。膜形成
時の圧力は10-5〜10-6Torrであった。スパッタ
リングの場合は、初め10-6〜10-7Torrに引き、
アルゴンガスを高周波によるプラズマ中でイオン化し、
Crタ−ゲットをたたくRFスパッタリング法にて成膜
した。膜形成時の圧力は10-1〜10-2Torrであっ
た。基板温度が150℃または200℃である。基板温
度は重要である。本発明の方法では基板温度は150℃
以上でなければならない。ここでは真空蒸着では200
℃、スパッタリングでは150℃としているが、両者を
入れ替えてもよい。もっと高温でも良いのはもちろんで
ある。
【0022】表2に各試料毎の形成条件、形成後の熱処
理の条件、薄膜X線回折法によって解析した結晶構造を
示す。
【0023】
【表2】
【0024】本発明の効果を確かめるために、実施例の
他に形成、熱処理条件の異なる比較例も製作し検討して
いる。ここに上げた比較例は,前記の特開昭61−25
6233、特開平2−76201、特開平2−1522
01に開示された方法で歪抵抗膜を形成したものであ
る。1〜10が本発明の実施例である。11〜23が比
較例である。これらの歪抵抗膜を表2に示すように、大
気中または窒素雰囲気でアニ−ルした。実施例について
は400℃以上の温度でアニ−ルしている。比較例につ
いてはアニ−ルをしない場合、アニ−ルをするが400
℃以下の場合、400℃以上でアニ−ルをする場合など
種々試みた。
【0025】この後、薄膜X線回折法によって結晶構造
を解析し、さらにESCAによって組成分析した。実施
例にかかる歪抵抗膜は、bccCrと三方晶Cr23
の混合物であった。比較例は、Oの濃度の高い試料1
1、試料22、23ではCrとOよりなる完全なアモル
ファスになっている。それよりO濃度の低い比較例は、
bccCrとアモルファスCrOx の混合物であった。
比較例ではすべてアモルファスCrOx を含んでいるの
である。これがためにCrの高いゲ−ジ率を有効に生か
すことができず、低いゲ−ジ率になっている。
【0026】本発明の場合は歪抵抗膜の形成時に基板温
度を150℃以上にし、形成後400℃以上でアニ−ル
するということが条件となる。実施例1は主体であるC
rの他に、7%のOを含む。これは基板温度200℃で
真空蒸着で形成されたものである。大気中で200℃で
アニ−ルしている。これはbccCrと三方晶Cr2
3 の混合物であった。
【0027】実施例2は13%のOを含む。これは基板
温度が150℃でスパッタリングによって形成されたも
のである。その後大気中で450℃でアニ−ルしてい
る。これもbccCrと三方晶Cr23 の混合物であ
る。実施例3は15%のOを含む。基板温度200℃で
スパッタリングしたものである。その後500℃の窒素
雰囲気でアニ−ルしている。bccCrと三方晶Cr2
3 よりなる。
【0028】実施例4は17%のOを含む。基板温度1
50℃でスパッタリングしている。450℃で窒素雰囲
気中でアニ−ルした。これもbccCrと三方晶Cr2
3よりなるものである。実施例5は12%のOの他に
第3の元素としてMo3%を含む。基板温度150℃で
スパッタリングされたものである。大気中500℃でア
ニ−ルした。これもbccCrと三方晶Cr23 より
なる。
【0029】実施例6は7%のO、1%のMoを含む。
基板温度200℃で真空蒸着されたものである。その後
大気中500℃でアニ−ルした。これもbccCrと三
方晶Cr23 よりなる。
【0030】実施例7は5%のOと、2%のSiを含
む.基板温度200℃で真空蒸着したものである。大気
中500℃でアニ−ルした。bccCr+三方晶Cr2
3 である。実施例8は12%のOと1%のSiを含
む。基板温度150℃でスパッタリングしたものであ
る。後に大気中450℃でアニ−ルした。bccCr+
三方晶Cr23 である。
【0031】実施例9は15%のOと4%のAlとを含
む。基板温度150℃でスパッタリングしたものであ
る。大気中400℃でアニ−ルした。bccCr+三方
晶Cr23 である。実施例10は9%のOと1%のA
lとを含む。基板温度200℃で真空蒸着したものであ
る。大気中450℃でアニ−ルした。bccCr+三方
晶Cr23である。
【0032】比較例11は、常温でスパッタリングして
おりまたアニ−ルをしていない。このためbccCrが
生成されず構造の定まらないアモルファスCrOx のみ
となっている。比較例12は常温でスパッタリングして
いる。形成後300℃でアニ−ルしている。bccCr
は形成されるが、残りはアモルファスCrOx になって
いる。比較例13も常温でスパッタリングしている。そ
の後500℃でアニ−ルしているが、bccCrとアモ
ルファスCrOx の混合体になっている。
【0033】比較例14は基板温度を200℃にしてス
パッタリングしている。しかしこれはアニ−ルしていな
い。やはりアモルファスCrOx が残留している。比較
例15〜23は酸素とCr以外の元素が含まれているも
のである。比較例15、20、22はMoを第3の元素
として含んでいる。比較例16、17、21、23はS
iを含む。比較例18、19はAlを含む。これらの第
3の金属を含むとゲ−ジ率が下がるが、金属を含むと直
ちにいけないというのではない。本発明の実施例5、6
はMoを含む。実施例7、8はSiを含む。実施例9、
10はAlを含む。このような条件は同一である。しか
し比較例15〜19はその他の条件が本発明と異なる。
【0034】比較例15〜19は基板温度が常温である
から、本発明の150℃以上という条件にはあてはまら
ない。これらは300〜500℃の温度でアニ−ルをす
るのであるが、bccCrの他にはアモルファスCrO
x が存在するだけである。三方晶Cr23 が形成され
ない。形成時の基板温度が低かったためである。比較例
20は10%のMoを含む。これは基板温度200℃で
スパッタリングしている。しかしアニ−ルをしていな
い。やはりアモルファスCrOx とbccCrの混合物
になっている。
【0035】比較例21は10%のSiを含む。基板温
度200℃でスパッタリングして形成している。アニ−
ルをしていない。これもbccCrとアモルファスCr
xの混合物である。比較例22は10%のMoを含
む。基板は加熱しないでスパッタリングしている。また
アニ−ルをしない。Crが基板で急冷されるので全体が
アモルファスCrOx になる。
【0036】比較例23は10%のSiを含む。基板は
加熱していない。形成後のアニ−ルもしていない。これ
もアモルファスCrOx になっている。これらの比較例
から基板を加熱しないでCrをスパッタリングすると、
基板上にはアモルファスCrOx が形成され、後にアニ
−ルをするのでbccCrがアモルファスCrOx の中
に形成され成長して行くということが分かる。しかし形
成後にアニ−ルをしてもアモルファスCrOx を完全に
排除し、Crと酸素の多結晶にすることができないとい
うことが分かる。
【0037】これらの歪抵抗膜に真空蒸着法により、順
次Ti/Ni/Auの多層電極を形成した。これはオ−
ミック接続電極である。この素子の構造を図1に示す。
ステンレス鋼のダイヤフラム1の上に絶縁膜(SiO
2 )2が形成され、さらにその上に歪抵抗膜3がある。
多層電極4は歪抵抗膜3の端部に形成され、電流を流す
ことができるようになっている。これらの試料1〜23
についてゲ−ジ率、抵抗温度係数TCR、感度温度係数
TCS、耐熱性(、、)、歪耐久後抵抗変化を測
定した。耐熱性は次の3つの測定をしている。これを表
3に示した。
【0038】
【表3】
【0039】 耐熱性試験 +300℃×1000時間の高温放置 耐熱性試験 気相中で−40℃〜+150℃×10
00サイクルのヒ−トサイクル 耐熱性試験 液相中で−50℃〜+120℃×10
00サイクルのサ−マルショック それぞれの方法で加熱した後での抵抗変化を測定してい
る。抵抗変化が少ない方が良いのはもちろんである。抵
抗変化が少ないということが耐熱性が高いということで
ある。
【0040】歪耐久後抵抗変化というのは±2000μ
ストレインの歪みを107 回掛けた歪耐久テスト後の抵
抗値の変化率のことである。これも小さいほうが良い。
重要な係数であるゲ−ジ率は本発明の実施例ではいずれ
も20以上になっている。これは特筆すべきことであ
る。金属の薄膜歪抵抗材料でこのような高いゲ−ジ率を
得る事は難しい。
【0041】また抵抗温度係数TCRも絶対値で50p
pm/℃以下であり、温度変化による抵抗の変化が小さ
いということが分かる。感度温度係数TCSも絶対値で
500ppm/℃以下である。このように本発明は高い
ゲ−ジ率、低いTCR、TCSを有する歪抵抗材料を提
供することができる。特に非酸化雰囲気で450℃以上
の温度でアニ−ルした場合は、実施例3、4に見るよう
に、ゲ−ジ率は23以上のものが得られる。TCR、T
CSも小さく優れた歪抵抗材料である。
【0042】本発明の材料は高温放置後の抵抗変化も少
ない。絶対値で0.7%以下である。ヒ−トサイクル抵
抗変化も少なくて絶対値で0.7%以下である。サ−マ
ルショック後の抵抗変化も小さい.これは0.8%以下
である。これらから本発明の歪抵抗材料は耐熱性に優れ
ているということが分かる。また歪み耐久後の抵抗変化
も極めて小さい。これも0.7%以下である。歪みゲ−
ジであるから繰り返し歪むのであるが、本発明は歪みに
よって抵抗が殆ど変化しない信頼性の高い素子を提供す
ることができる。
【0043】薄膜形成時の基板加熱温度は150℃以上
である。薄膜形成後のアニ−ルの温度は400℃以上で
ある。これらは加熱の下限を与える。加熱の上限は基板
の性質による。基板を劣化させない程度の温度で熱処理
しなければならない。例えばSUS631の上にSiO
2 の絶縁膜を形成した基板であれば、薄膜形成時の加熱
温度、アニ−ル時の加熱温度は600℃以下であること
が望ましい。本発明に於いて少量の金属を添加すること
もできる。実施例5〜10はMo、Si、Alなどを添
加したものであるが、これらも20以上のゲ−ジ率を持
つ。しかし金属の比率が5%を越えるとゲ−ジ率が低下
するので望ましくない。これは比較例の12〜14と、
比較例20〜23等を比較することによって明らかにな
る。
【0044】これらに対して比較例として挙げたもの
は、ゲ−ジ率が15以下である。比較例15、12、1
3、14等が比較的大きいゲ−ジ率を有する。しかしこ
れらは耐熱性に劣り、TCR、TCSが大きい。これら
の比較例のTCRは絶対値で250〜730ppm/℃
であり、本発明の50ppm/℃以下というのに比べて
著しく劣る。またTCSもこれら比較例12〜15では
絶対値で520〜3200ppm/℃であり、本発明の
500ppm/℃未満という値にくらべて劣る。比較例
11、17〜19、22、23はTCR、TCSがやや
小さいが、ゲ−ジ率が低いので感度が悪くやはり本発明
のものに及ばない。
【0045】つまり比較例ではTCRを100ppm/
℃以下に抑えようとすれば、ゲ−ジ率が10未満になっ
てしまう。ゲ−ジ率を10以上にしようとすれば、TC
Rは250ppm/℃を越える。また比較例ではTCS
を500ppm/℃以下にすることが困難である。この
ように比較例は、ゲ−ジ率、TCR、TCSの全てにつ
いて歪抵抗材料に課される要求を満足することができな
い。
【0046】
【発明の効果】本発明は、CrとOを主体とする薄膜歪
抵抗素子をスパッタリングまたは蒸着で製作するが、基
板の温度を150℃以上にし、薄膜形成後に400℃以
上でアニ−ルすることにより、20以上のゲ−ジ率、5
0ppm/℃以下のTCR、500ppm/℃以下のT
CSを持つ歪抵抗素子を製作できる。従来の薄膜歪抵抗
材料よりもゲ−ジ率が高い。半導体の歪抵抗材料よりも
遥かに温度に対する安定性が優れている。耐熱性にも優
れ、信頼性の高い歪抵抗素子を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜歪抵抗材料を用いた歪みセンサの断面図。
【符号の説明】
1 ステンレス鋼ダイヤフラム 2 絶縁膜 3 歪抵抗膜 4 多層電極 5 Ti 6 Ni 7 Au
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 曉 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友電 気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムと酸素を主体とした薄膜歪抵抗材
    料であって、bccクロムと三方晶Cr23 の結晶構
    造を有することを特徴とする歪抵抗材料。
  2. 【請求項2】 クロムと酸素を主体とした薄膜歪抵抗材
    料であって、5原子%以下の金属を含み、bccクロム
    と三方晶Cr23 の結晶構造を有す事を特徴とする歪
    抵抗材料。
  3. 【請求項3】 真空蒸着装置またはスパッタリング装置
    を用い、クロム材料を加熱蒸発またはクロムをタ−ゲッ
    トとしてスパッタリングし、150℃以上に加熱された
    基板にクロムと酸素を主体とした薄膜を形成し、その後
    400℃以上の温度でアニ−ルすることを特徴とする歪
    抵抗材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 真空蒸着装置またはスパッタリング装置
    を用い、クロム材料を加熱蒸発またはクロムをタ−ゲッ
    トとしてスパッタリングし、150℃以上に加熱された
    基板にクロムと酸素を主体とした薄膜を形成し、その後
    400℃以上の温度で非酸化雰囲気においてアニ−ルす
    ることを特徴とする歪抵抗材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 絶縁体基板または絶縁体を有する金属基
    板の上に、クロムと酸素を主体としbccクロムと三方
    晶Cr23 の結晶構造を有する薄膜歪抵抗材料を設
    け、さらにその上にTi/Ni/Auの多層電極を設け
    たことを特徴とする薄膜歪センサ。
  6. 【請求項6】 ステンレス鋼ダイヤフラム基板の上に、
    SiO2 絶縁膜を形成し、さらにその上にクロムと酸素
    を主体としbccクロムと三方晶Cr23の結晶構造
    を有する薄膜歪抵抗材料を設けたことを特徴とする薄膜
    歪センサ。
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