JPH06213612A - 歪抵抗材料とその製造方法および薄膜歪センサ - Google Patents

歪抵抗材料とその製造方法および薄膜歪センサ

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JPH06213612A
JPH06213612A JP2196493A JP2196493A JPH06213612A JP H06213612 A JPH06213612 A JP H06213612A JP 2196493 A JP2196493 A JP 2196493A JP 2196493 A JP2196493 A JP 2196493A JP H06213612 A JPH06213612 A JP H06213612A
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thin film
substrate
resistance material
temperature
chromium
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JP2196493A
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Shoji Nakagama
詳治 中釜
Soichiro Okubo
総一郎 大久保
Yoshiharu Uchiumi
慶春 内海
Akira Okamoto
曉 岡本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Cr系歪抵抗膜を用いて実際にブリッジ回路
を形成してみると、ブリッジを構成する各歪抵抗膜のT
CR及びTCSのバラツキが大きいために歪センサ−に
応用した場合の温度特性が悪くなるという問題がある事
が分かった。そこで、温度特性の良い(温度安定性の優
れた)歪センサ−を作製するためには、ゲ−ジ率、TC
R、TCSに加えてTCR及びTCSのブリッジ内バラ
ツキ(δTCR及びδTCS)が小さい薄膜歪抵抗材料
を提供することにある。 【構成】 本発明の歪抵抗材料は、クロムを主体とし、
2〜15原子%のIIa族元素からなり、基板の上に薄
膜として形成した事を特徴とし、ここでIIa 族元素と
いうのは、Mg、Ca、Ba、Beをさす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、圧力、力、歪み、加
速度、流量などを金属薄膜の歪みによる抵抗値の変化と
して測定するための、歪ゲ−ジ式の歪抵抗材料、その製
造方法、これを利用したセンサなどに関するものであ
る。歪抵抗材料というのは、歪むことによって抵抗値が
変化する材料の事をいう。ダイヤフラムに歪抵抗材料を
取り付けると、圧力によってダイヤフラムが変形するの
で歪抵抗材料の抵抗値が変化する。抵抗値の変化によっ
て圧力を測定できる。また金属の棒材に歪抵抗材料を貼
り付けておくと、棒に加えられた力に比例して棒が撓む
から、歪抵抗材料が伸び縮みする。これによって抵抗値
が変化するので、力の大きさを測定できる。
【0002】
【従来の技術】歪抵抗材料に要求される特性は、 歪みに対する抵抗値の変化が大きい。歪みεに対する
抵抗変化率∂R/Rの割合をゲ−ジ率∂R/εRとい
う。これは歪抵抗材料を用いてセンサを作った時の感度
を決めるものである。高感度のセンサを作るためにはゲ
−ジ率の高い歪抵抗材料が必要である。感度が高いとノ
イズに対する余裕が大きくなるし、後段の増幅器の負担
が軽減されるからである。 抵抗の温度係数が小さい。つまり温度によって抵抗値
が大きく変化しないということである。(∂R/R∂
T)が小さいというふうに表現できる。この値を抵抗温
度係数(TCR)という。これが大きいと、温度変化に
よる抵抗変化が、歪みによる抵抗変化よりも優越し、歪
みを正確に求めることができなくなるからである。 感度の温度による変化が少ないこと。これが大きいと
温度によって感度が異なるということになり望ましくな
い。感度の温度係数をTCSという。 経時変化が少ない。耐熱性がある。信頼性が高い。 等である。
【0003】歪ゲ−ジ式の歪抵抗材料には従来から次の
ようなものが知られている。 (1)NiCrやCuNiのような金属系の歪抵抗材
料。 (2)Siなどの半導体。 NiCr(ニクロム)、CuNi(アドバンス)のよう
に金属の歪抵抗材料は抵抗温度係数が小さいから特性が
安定しており、広く利用されている。金属材料は良導体
で、もともと抵抗が低く温度による変化も少ないからで
ある。またCr、Niなどは耐熱性の優れた金属であ
る。しかし歪みに対する抵抗変化即ち感度が低い。ゲ−
ジ率は2〜3であって低感度である。感度が低いから後
段に高い増幅率の増幅器を必要とする。当然ノイズに対
して余裕が少ない。Siなどの半導体の歪抵抗材料はゲ
−ジ率が10〜100と高い。感度が良い。しかも基板
がSiであるから増幅器と一体化できるという長所があ
る。ために既に広く利用されている。しかし半導体であ
るから、温度による抵抗変化が極めて大きい。つまり抵
抗温度係数TCRが大きくそのままでは使えない。温度
補償回路を必要とする。また半導体であるので熱に弱
い。
【0004】近年、金属系の歪抵抗材料として、Crを
主体とする薄膜歪抵抗材料が開発されている。Crは抵
抗率、ゲ−ジ率が高く、しかも歪みに対する抵抗変化率
が小さいからである。一般にCrの合金も同様に抵抗
率、ゲ−ジ率が高い。特開昭61−256233号は、
ダイヤフラムまたは絶縁膜の上に、CrまたはCr合金
をスパッタリングによって形成したセンサを提案してい
る。Crを用いたものについて、 ゲ−ジ率=16〜17 TCR=−500〜600ppm/℃ TCS=−500〜−600ppm/℃ という性能を得たとある。またCrとMoの合金をスパ
ッタで薄膜として、 ゲ−ジ率=13〜15 TCR=−200〜0ppm/℃ TCS=−4000〜−3000ppm/℃ というような性能を得たと書いてある。
【0005】特開平2−76201号は、60〜98原
子%のCr、2〜30原子%の酸素、0〜10原子%の
Si、Ge、Bを含む薄膜歪抵抗材料を提案している。
これは、 ゲ−ジ率=5〜10 TCR=−73〜+75ppm/℃ の性能を持つと述べている。特開平2−152201号
は、60〜98原子%のCr、2〜30原子%の酸素、
0〜10原子%のAl、Ti,Taを含む薄膜歪抵抗材
料を提案している。これも、 ゲ−ジ率=5〜10 TCR=−83〜+75ppm/℃ の特性を発揮したとある。
【0006】しかし、本発明者らが詳細に検討した結果
これらCr系歪抵抗膜を用いて実際にブリッジ回路を形
成してみると、ブリッジを構成する各歪抵抗膜のTCR
及びTCSのバラツキが大きいために歪センサ−に応用
した場合の温度特性が悪くなるという問題がある事が分
かった。すなわち温度特性の良い(温度安定性の優れ
た)歪センサ−を作製するためには、上記のゲ−ジ率、
TCR、TCSに加えてTCR及びTCSのブリッジ内
バラツキ(δTCR及びδTCS)の特性を改善する必
要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ゲ−ジ率が大きく、TCRが小さく、且つTCSが
小さいのみならず歪センサ−に応用した場合の良好な温
度特性を得るためにδTCR及びδTCSが小さい薄膜
歪抵抗材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の歪抵抗材料は、
クロムを主体とし、2〜15原子%のIIa 族元素から
なり、基板の上に薄膜として形成した事を特徴とする。
ここでIIa 族元素というのは、Mg、Ca、Ba、B
eをさす。本発明の歪抵抗材料の製造方法は、クロムと
IIa 族元素を原料とし、必要に応じて酸素を含む雰囲
気とし、基板の温度を200℃以上に保ち、真空蒸着、
スパッタリングまたはイオンプレ−テイング法で、基板
の上に、Crを主体とし、2〜15原子%のIIa 族元
素から薄膜を形成し、その後、300℃以上の温度で熱
処理をする事を特徴とする。
【0009】この熱処理は大気中で行うこともできる。
しかし実質的に非酸化雰囲気で行うとさらに良い。たと
えば、窒素、稀ガス、水素などの雰囲気である。微量の
酸素、水蒸気が混入していても良い。このように本発明
は、基板温度を200℃以上として蒸着またはスパッタ
リングでCrを主体とし、IIa 族元素Mg、Ca、B
a、Beを少量添加した歪抵抗材料膜を形成し、300
℃以上の温度で熱処理する。基板温度を200℃以上と
し、後に300℃以上の温度で熱処理することで、アモ
ルファスの酸化クロムの生成を防ぐものである。そして
大部分のクロムを立方晶のbccCrとする。原料にI
Ia 族元素Mg、Ca、Ba、Beを添加するのは、電
子の平均自由行程を短くして、抵抗温度係数TCR、感
度温度係数TCSを小さくするためである。
【0010】
【作用】先ず薄膜Crを作る際どうして酸素との化合物
になるのかということを説明する。通常、Crの薄膜形
成には真空蒸着、スパッタリングが用いられる。これら
の薄膜形成装置では真空排気装置や、配管、チャンバ−
などの構造から、到達真空度には上限がある。大体10
-7〜10-5Torrが最高である。これ以上の真空度に
引くことができない。残存ガスには酸素、水蒸気等が多
く含まれる。真空蒸着でもスパッタリングでも、Crを
加熱して蒸発させ、あるいは小さい分子塊として飛ばす
のであるから、酸素がこの中に大量に取り込まれてしま
う。酸素は特に活性の強い元素であるから上記の程度の
真空度では酸素の混入を防ぐことができない。薄膜Cr
を蒸着、スパッタで作る場合、膜中には必ず残存酸素が
混入するのである。
【0011】Cr中の酸素の量は、到達真空度、膜形成
時の圧力、膜堆積速度、蒸発源から基板までの距離等に
よって異なるが、通常5原子%〜20原子%である。こ
れはやむなく含まれるのである。酸素を含まない薄膜C
rを作るのが難しい。勿論超高真空装置を用いれば10
-10 Torrに引くことができ、酸素の混入を抑えるこ
とができる。しかしそうすると歪抵抗材料の製造コスト
が極めて高くなり実用的でない。
【0012】本発明者らが詳細に検討した結果、従来の
Crを主体とし、酸素を含有する膜では、ゲ−ジ率は1
0程度をキ−プしつつTCRも200ppm/℃以下と
小さくはできるが、安定な歪抵抗膜を再現性良く得る事
は困難である事がわかった。
【0013】すなわちこの膜中に取り込まれる酸素はC
rと化学結合しており、通常の状態では、CrOX のア
モルファス状態である。このアモルファス状態のCrO
X はCr膜中の電子の散乱中心となり、電子の平均自由
行程を小さくし、TCR及びTCSを小さくするために
は役立つが、構造的に不安定であるため特性的にも不安
定であると思われる。そこでその後の熱処理によりアモ
ルファス状態のCrOX の多くを安定なCr酸化物と金
属Crに変化させる検討を行ったがCrは多くの酸化物
状態(例えばCrO、CrO2 、CrO3 、Cr2
3 、Cr25 等)をとり、且つ熱的状態変化を制御で
きないために、CrOX 膜でブリッジを形成した場合、
結果的にはブリッジ内の歪抵抗膜のTCR、TCSが大
きくばらつく事になるものとの考えに至った。
【0014】そこで本発明では、IIa 族元素Mg、C
a、Ba、Beを添加する。これはクロムよりも還元性
が高いアルカリ土類金属である。したがって薄膜の中で
は、クロムを還元し、強固な酸化物MgO、CaO、B
aO、BeOを作る。この酸化物は小さな多結晶になっ
て薄膜の内部に均一に分布する。微小粒であるが絶縁物
で電子の散乱中心となり、電子の平均自由行程を短くで
きる。これによって、歪抵抗材料のTCS、TCRを低
くできる。従来例として説明したものもCrとOの他に
金属を含有させるものがある。Mo、Al、Ti、Ta
などである。これらは耐熱金属で,耐熱性を高揚すると
いう観点から添加されるようである。本発明はそうでな
く特に陽イオンになり易く、酸化物を形成し易いアルカ
リ土類金属を添加している。これはCrの酸化を防ぐこ
とに効果がある。
【0015】つまり、IIa 族元素の添加は2つの効果
があり、ひとつは、クロムを還元し電気伝導、ゲ−ジ率
に寄与する金属クロムを増加させることである。もうひ
とつは微細な酸化物として薄膜中に存在し、電子の平均
自由行程を短縮することである。添加するIIa 族元素
の量は、2原子%未満の場合上記の効果がない。反対に
15原子%を越えると、ゲ−ジ率が低下する。それで、
IIa 族元素は2原子%〜15原子%とするのである。
【0016】成膜方法としてはまず、蒸着、スパッタに
於いて基板の温度を200℃以上に保持することであ
る。そして薄膜ができたあと、300℃以上の温度で熱
処理する。このようにすると、膜の結晶性が向上される
ため、電気特性の安定化が計られる。基板の温度が低い
と、Crの蒸気が基板で急冷されるのでアモルファスに
なる。基板を高温に保てば基板においてCrが徐冷され
るので結晶化する。たとえアモルファス成分が一部に残
留していても、作製後に熱処理をすることにより、多結
晶に変化してゆく。熱処理によりエネルギ−が与えられ
るので、構造変化が起こり、より自由エネルギ−の低い
多結晶状態への部分的な相転移が起こりうるのである。
このような薄膜形成時の加熱、生成後の加熱によって、
本発明のCr系歪抵抗材料は、bccCr+IIa 族酸
化物の多結晶複合体となる。
【0017】本発明の歪抵抗材料はこのような製法で作
られ、bccCrとIIa 族酸化物の多結晶複合体であ
ることから、次のような優れた性質をもっている。
【0018】[本発明歪抵抗材料の特性] ゲ−ジ率:10程度 TCR:絶対値で140ppm/℃以下 TCS:絶対値で850ppm/℃以下 ブリッジ内バラツキ δR: 1.9%以下 δK: 8.8%以下 δTCR:15ppm以下 δTCS:60ppm以下
【0019】さらに300℃以上で熱処理するときに、
非酸化雰囲気で行うと、膜中に取り込まれる酸素量が極
端に増加する事を避ける事ができ、更にバラツキも改善
される。
【0020】
【実施例】厚み0.2mm、直径30mmのSUS63
1ダイヤフラム基板上にプラズマCVD法により厚さ3
μmのSiO2 絶縁膜を形成した。次に絶縁膜上に真空
蒸着法及びスパッタリング法でCrと酸素及び1種類以
上のIIa 族元素からなる0.2μmの歪抵抗膜を絶縁
膜全面に形成した。組成及び結晶構造分析用のSiウエ
ハにも同時に歪抵抗膜を成膜した。真空蒸着法及びスパ
ッタリング法での膜形成条件は表1のようにした。
【0021】
【表1】
【0022】真空蒸着の場合は、クロムとIIa 族元素
の蒸発源を二つ別々に設ける(2元蒸発源)か、または
IIa 族元素を含むクロム合金を蒸発源とする。初めチ
ャンバを10-5〜10-7Torrに引いておき、基板を
200℃に加熱してから蒸着を開始する。膜形成速度が
5Å/sec である。膜形成時の圧力は10-5〜10-6
orrであった。
【0023】スパッタリングの場合は、クロムとIIa
族元素のタ−ゲットを別々に設ける(2元タ−ゲット)
か、IIa 族元素を含むクロム合金をタ−ゲットとす
る。初め10-6〜10-7Torrに引き、アルゴンガス
でCr、IIa 族元素のタ−ゲットをたたきこれをスパ
ッタリングする。膜形成時の圧力は10-2〜10-3To
rrであった。基板温度が200℃である。基板温度は
重要である。本発明の方法では基板温度は200℃以上
でなければならない。もっと高温でも良いのはもちろん
である。
【0024】これら歪抵抗膜を表2に示すように、大気
中或いは窒素雰囲気でアニ−ルした後フォトリソとCr
エッチングによりブリッジパタ−ンを形成した。ブリッ
ジを構成する各歪抵抗膜の線幅は30μmとした。基板
と同時に入れたSiウエハ上の歪抵抗膜については薄膜
X線回折及びESCAによる組成分析を行った。
【0025】
【表2】
【0026】本発明の効果を確かめるために、実施例の
他に形成、熱処理条件の異なる比較例も製作し検討して
いる。1〜6が本発明の実施例である。7〜11が比較
例である。その内、7及び8については前期の特開昭6
1−256233、特開平2−76201、特開平2−
152201に開示された方法で歪抵抗膜を形成したも
のである。これらの歪抵抗膜を表2に示すように、大気
中または窒素雰囲気でアニ−ルした。実施例については
全て300℃以上の温度でアニ−ルしている。比較例に
ついてはその他に、IIa 族を15at%を越えて含有
させた場合も示した。
【0027】この後、薄膜X線回折法によって結晶構造
を解析し、さらにESCAによって膜中のIIa 族含有
量を分析した。実施例にかかる歪抵抗膜は、bccCr
とIIa 族酸化物多結晶体の混合物であった。比較例
は、7ではCrとOよりなる完全なアモルファスになっ
ている。アニ−ルをしている比較例8〜11は、bcc
CrとIIa 族酸化物多結晶体であった。
【0028】本発明の場合はIIa 族元素Mg、Ca、
Ba、Beを2重量%〜15重量%含有し、歪抵抗膜の
形成時に基板温度を200℃以上にし、形成後300℃
以上でアニ−ルするということが条件となる。
【0029】実施例1は主体であるCrの他に、2.0
%のMgを含む。これは基板温度250℃で真空蒸着で
形成されたものである。大気中で300℃でアニ−ルし
ている。これはbccCrと多結晶MgO(NaCl
型)の混合物であった。以下主体となるCrは省いて説
明する。
【0030】実施例2は、4.5%のMgを含む。これ
は基板温度が250℃でスパッタリングによって形成さ
れたものである。その後大気中で300℃でアニ−ルし
ている。これもbccCrと多結晶MgO(NaCl
型)の混合物である。
【0031】実施例3は、3.2%のCaを含む。基板
温度200℃でスパッタリングしたものである。その後
300℃の大気中でアニ−ルしている。bccCrと多
結晶CaO(NaCl型)よりなる。
【0032】実施例4は、5.6%のBaを含む。基板
温度200℃でスパッタリングしている。300℃で窒
素雰囲気中でアニ−ルした。これもbccCrと多結晶
BaO(NaCl型)よりなるものである。
【0033】実施例5は、8.2%のBeを含む。基板
温度250℃でスパッタリングされたものである。窒素
雰囲気中300℃でアニ−ルした。これもbccCrと
多結晶BeO(ウルツ鉱型)よりなる。
【0034】実施例6は5%のMgと、4%のBaを含
む。基板温度250℃で真空蒸着されたものである。そ
の後大気中350℃でアニ−ルした。これもbccCr
と多結晶MgO+BaO(いずれもNaCl型)よりな
る。
【0035】比較例7は、基板を室温に保ち真空蒸着し
ている。アニ−ルをしていない。このためbccCrが
生成されず構造の定まらないアモルファスCrOx のみ
となっている。
【0036】比較例8は、基板室温でスパッタリングし
ている。形成後大気中300℃でアニ−ルしている。b
ccCrは形成されるが、残りはアモルファスCrOx
になっている。
【0037】比較例9は、16%のMgを含む。これも
基板室温でスパッタリングしている。その後大気中30
0℃でアニ−ルしており、bccCrとアモルファス成
分が残ったものとなっている。
【0038】比較例10は、20%のMgを含む。基板
温度を200℃にしてスパッタリングしている。その後
300℃で窒素雰囲気中アニ−ルしている。構造的には
bccCrとMgO(NaCl型)になっている。
【0039】比較例11は、16%のBaを含む。基板
温度200℃でスパッタリングしている。大気中300
℃でアニ−ルしている。これも構造的にはbccCrと
BaO(NaCl型)になっている。
【0040】これらの比較例から基板を加熱しないでC
r、IIa 族元素を真空蒸着あるいはスパッタリングす
ると、基板上にはアモルファスCrOx が形成され、後
にアニ−ルをすると、bccCrがアモルファスCrO
x の中に形成され成長して行くということが分かる。し
かし形成後にアニ−ルをしてもアモルファスCrOx
残ることが分かる。
【0041】これらの歪抵抗膜に真空蒸着法により、順
次Ti/Ni/Auの多層電極を形成した。これはオ−
ミック接続電極である。この素子の構造を図1に示す。
ステンレス鋼のダイヤフラム1の上に絶縁膜(SiO
2 )2が形成され、さらにその上に歪抵抗膜3がある。
多層電極4は歪抵抗膜3の端部に形成され、電流を流す
ことができるようになっている。これらの試料1〜11
について抵抗値R、ゲ−ジ率、抵抗温度係数TCR、感
度温度係数TCS、ブリッジ内でのこれらのバラツキを
測定した。これを表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】表3に示すように、基板温度200℃以上
でアニ−ル温度300℃以上で熱処理することによりT
CR、TCSの絶対値が小さくなるのみならずブリッジ
内のバラツキが向上している事がわかる。また表3中、
特に窒素雰囲気でアニ−ルした場合には、膜中酸素量が
少なくできるため更なるバラツキ向上が可能となった。
これに対し比較例ではIIa 族を含有させない場合には
TCR、TCSの絶対値が大きいのみならずブリッジ内
のバラツキも大きい。またIIa 族の含有量が15at
%を越える場合も材料特性が低下するため好ましくない
事が明らかである。
【0044】薄膜形成時の基板加熱温度は200℃以上
である。薄膜形成後のアニ−ルの温度は300℃以上で
ある。これらは加熱の下限を与える。加熱の上限は基板
の性質による。基板を劣化させない程度の温度で熱処理
しなければならない。例えばSUS631の上にSiO
2 の絶縁膜を形成した基板であれば、薄膜形成時の加熱
温度、アニ−ル時の加熱温度は600℃以下であること
が望ましい。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、10程度の高いゲ−ジ率と、150ppm/℃
以下のTCRと、70ppm/℃以下1000ppm/
℃以下のTCSを同時に有するだけでなくブリッジ内バ
ラツキの小さい歪抵抗膜を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜歪抵抗材料を用いた歪みセンサの断面図。
【符号の説明】
1 ステンレス鋼ダイヤフラム 2 絶縁膜 3 歪抵抗膜 4 多層電極 5 Ti 6 Ni 7 Au
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 曉 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友電 気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを主体とし、2〜15原子%のI
    Ia 族元素からなり、基板の上に薄膜として形成された
    事を特徴とする歪抵抗材料。
  2. 【請求項2】 クロムとIIa 族元素を原料とし、基板
    の温度を200℃以上に保ち、真空蒸着、スパッタリン
    グまたはイオンプレ−テイング法で、基板の上にクロム
    を主体とし、2〜15原子%のIIa 族元素からなる薄
    膜を形成し、その後、300℃以上の温度で熱処理をす
    る事を特徴とする歪抵抗材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 クロムとIIa 族元素を原料とし、基板
    の温度を200℃以上に保ち、真空蒸着、スパッタリン
    グまたはイオンプレ−テイング法で、基板の上に、クロ
    ムを主体とし、2〜15原子%のIIa 族元素からなる
    薄膜を形成し、その後、実質的に非酸化雰囲気において
    300℃以上の温度で熱処理をする事を特徴とする歪抵
    抗材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 絶縁体基板または絶縁体を有する金属基
    板の上に、クロムを主体とし、2〜15原子%のIIa
    族元素からなる薄膜歪抵抗材料を設け、さらに薄膜歪抵
    抗材料の上にTi/Ni/Auの多層電極を設けたこと
    を特徴とする薄膜歪センサ。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼ダイヤフラム基板の上に、
    SiO2 絶縁膜を形成し、さらにその上にクロムを主体
    とし、2〜15原子%のIIa 族元素からなる薄膜歪抵
    抗材料を設けたことを特徴とする薄膜歪センサ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10270201A (ja) * 1997-03-21 1998-10-09 Res Inst Electric Magnetic Alloys Cr−N基歪抵抗膜およびその製造法ならびに歪センサ
JP2006038540A (ja) * 2004-07-23 2006-02-09 Nagano Keiki Co Ltd 歪検出器およびその製造方法

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