以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置M1は、助手席用のものであり、図1,2に示すように、インストルメントパネル(以下、インパネとする)1に搭載されるものである。第1実施形態の場合、エアバッグ装置M1は、インパネ1の表面における上面1a側の内部に配置されるトップマウントタイプとしている。このエアバッグ装置M1は、折り畳まれたエアバッグ11と、エアバッグ11に膨張用ガスを供給するインフレーター17と、折り畳まれたエアバッグ11及びインフレーター17を収納保持するケース22と、エアバッグ11をケース22に取り付けるためのリテーナ40と、折り畳まれたエアバッグ11を覆うエアバッグカバー31と、を備えて構成されている。
エアバッグカバー31は、図1,2に示すように、実施形態の場合、インパネ1と一体的に形成されている。このインパネ1は、裏面側のポリプロピレン等の硬質合成樹脂からなるベース部2と、ベース部2の外表面側を覆う発泡ポリウレタン等の発泡層とスキン層とを有した被覆層3と、を備えて構成されている。そして、エアバッグカバー31の部位には、ベース部2の代わりに、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の軟質合成樹脂製の軟質部4が配設されている。このエアバッグカバー31は、周囲に薄肉の破断予定部34を配置させた前後二つの扉部32を配設させて、構成されている。破断予定部34は、インパネ1の上方から見てH字形状に配置されており、前後二つの扉部32,32が、それぞれ、前端側と後端側とをヒンジ部33として、前後両側に開くように、構成されている。
また、エアバッグカバー31の部位には、扉部32,32の配置位置を囲むように、裏面側から下方へ突出する略四角筒形状の連結壁部35が、配設されている。連結壁部35には、前後方向で対向する部位の所定位置に、複数の係止孔36が貫通されている。これらの係止孔36には、ケース22に形成された係止爪29が挿入され、連結壁部35が係止爪29に係止されている。
なお、軟質部4は、実施形態の場合、エアバッグカバー31の各扉部32の裏面側と、連結壁部35自体と、各扉部32のヒンジ部33付近のインパネ1の裏面側における連結壁部35を越えた前後部位と、に配置されている。
ケース22は、上端側に長方形状の開口22aを有した板金製の略直方体形状に形成され、長方形板状の底壁部23と、底壁部23の外周縁から略四角筒形状に、エアバッグカバー31側の上方へ延びる側壁部28と、を備えて構成されている。底壁部23は、左右方向に長く延びた長方形板状としており、中央に、インフレーター17の上部18a側を下方からエアバッグカバー31側の上方へ挿入可能な略円形に開口した挿入孔24を、備えている。
そして、底壁部23の上面側の挿入孔24の周縁は、リテーナ40の四本のボルト42を挿通可能な取付孔26が形成されて、エアバッグ11の取付座25としている。また、底壁部23には、ケース22を車両のボディ6側に連結させるブラケット27が、底壁部23の左右両側部位の下面側に、固定されている。各ブラケット27には、ボルト9を螺合させるためのナット27aが、固着されている。ボディ6側には、リインフォースメント7から延びるブラケット8が配設され、ボルト9は、ブラケット8の取付座8aを貫通して、ナット27aに螺合されることとなる。各ボルト9のナット27aへ締め付けにより、ケース22、すなわち、エアバッグ装置M1が、ボディ6側に取付固定されることとなる。
また、ケース22の側壁部28には、車両の前後の部位の上端に、ケース22の外方でかつ下方へ反転する複数の係止爪29が、形成されている。各係止爪29は、既述したように、エアバッグカバー31の連結壁部35の係止孔36に挿入されて、連結壁部35を係止している。
インフレーター17は、所定のガス発生剤の燃焼反応によって膨張用ガスを発生させるパイロタイプとして、内部に所定のガス発生剤を充填させた円柱状の本体部18と、インフレーター17をケース22に取り付けるためのフランジ部20と、を備えて構成されている(図15参照)。フランジ部20は、本体部18の外周面から突出する略四角環状(略正方形板状)として、その四隅に、それぞれ、貫通孔20aを備えて構成されている。各貫通孔20aには、リテーナ40の各ボルト42が、挿入されている。
本体部18は、底壁部23の挿入孔24の内径寸法より若干小さい外径寸法の円柱状として、フランジ部20の上方側の上部18aの外周面18bには、膨張用ガスGを吐出させる円形の開口とした複数のガス吐出口19が、外周面18bの周方向に沿って、配設されている(図4参照)。実施形態の場合には、本体部18の軸心Cを中心として、均等間隔の放射状に、12個のガス吐出口19が配設されている。そして、各ガス吐出口19から膨張用ガスGが吐出される際には、膨張用ガスGは、本体部18の軸直交方向CPに沿って、軸心Cを中心とした放射方向に、各ガス吐出口19から吐出されることとなる。この本体部18は、ガス吐出口19を配設させた上部18a側が、底壁部23の挿入孔24の下方からケース22内に挿入され、かつ、エアバッグ11内にも挿入されることとなる。
エアバッグ11は、ポリアミドやポリエステル等の可撓性を有した織布から形成され、展開膨張完了時の形状として、インパネ1から乗員側の後方側に向かって拡開する略四角錐台形状に膨張する形状としている。そして、エアバッグ11の膨張完了形状の前部側の下面側には、膨張用ガスGを流入させるための円形の流入用開口12が配設されている。流入用開口12の周縁13には、ケース22の挿入孔24の周縁の取付座25に取り付けられる取付部14が配設され、この円環状の取付部14の部位には、均等間隔の放射状の位置に、4個の取付孔15が貫通されている。流入用開口12には、インフレーター17の本体部18の上部18a側が挿入され、各取付孔15には、リテーナ40の各ボルト42が挿入されることとなる。
リテーナ40は、図1〜4に示すように、板金から形成されて、ケース22の挿入孔24と略同形に開口する挿入孔47を備えた円環状の押え部41と、押え部41の外周縁からエアバッグカバー31側の上方に延びる略四角筒形状の外側筒部59と、を備えて構成されている。
押え部41は、外周縁を略四角形状(略正方形状)に形成されて、その四隅に、下方に延びる固着手段としてのボルト42を固着させている。この押え部41は、エアバッグ11の内周面11a側から、エアバッグ11の流入用開口12の円環状の取付部14を、ケース22の底壁部23の上面側における挿入孔24の周縁の円環状の取付座25に、押えて、各ボルト42にナット43(図1参照)を締結させることにより、エアバッグ11の取付部14をケース22の取付座25に取り付けている。
なお、各ボルト42は、エアバッグ11の取付孔15、ケース22の底壁部23の取付孔26、及び、インフレーター17のフランジ部20の貫通孔20aに挿入されて、ナット43を締め付けられることにより、底壁部23の取付座25の上面側に対して、エアバッグ11を取り付けるとともに、底壁部23の取付座25の下面側に対して、インフレーター17を取り付けている。
さらに、第1実施形態の場合、リテーナ40は、カバー壁部49と、捕捉部57兼用の偏向部55と、規制壁部53と、を備えて構成されている。
カバー壁部49は、ケース22内に挿入されたインフレーター17の本体部18における外周面18bの周囲の近傍に配置されるように、押え部41の挿入孔47の内周縁付近から上方に延びるように形成され、かつ、実施形態の場合、インフレーター17の本体部18の外周面18bの周囲を、隙間H0を空けて覆う円筒形状としている(図1,2,4,5参照)。カバー壁部49は、本体部18のガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGを、本体部18の軸直交方向(本体部18の軸心Cに直交する方向)CPに略沿う方向でかつ本体部18を中心とした放射状に流出させる複数の流出口51を有して、押え部41から上方へ延びるように配設されている。第1実施形態の場合、各流出口51は、本体部18の周囲に沿って断続的に配設されて、長方形形状に開口し、そして、各ガス吐出口19に対応するように、12個設けられて、インフレーター17とリテーナ40とのケース22への取付状態において、ケース22の底壁部23からの高さ位置を一致させ、それぞれ、各ガス吐出口19における膨張用ガスGの吐出方向の延長線上の位置に、配置されている。そしてさらに、第1実施形態の場合、インフレーター17の本体部18が円柱状として、膨張用ガスGが各ガス吐出口19から本体部18の軸心Cを中心として放射状に吐出されているため、各流出口51は、各ガス吐出口19における各本体部18の軸心Cを中心とする半径方向の位置に、配置されている。また、実施形態の場合、各流出口51は、インフレーター17の本体部18とカバー壁部49との間の隙間H0の寸法に比例させつつ、それぞれ、円形に開口しているガス吐出口19より、開口面積を大きくし(隙間H0が小さければ、小さく、隙間H0が大きければ、大きくして)、膨張用ガスGが、噴射角度を持って円錐状にガス吐出口19から吐出されても、極力、流出口51の周縁に当たらず、流出口51を通過するように、構成されている。
そして、カバー壁部49の上縁の全周には、内周側に突出する円環状の庇部49aが配設されている。庇部49aは、インフレーター17とリテーナ40とのケース22への取付状態において、インフレーター17の本体部18の上端面18cより上方位置に配置されて、内周面49bが、本体部18の外周面18bの略上方より内側の位置に配置されている。
偏向部55は、各流出口51にそれぞれ対応して配設され、押え部41の上方側で、各流出口51の周囲におけるカバー壁部49の外周側にずれて配設されて、流出口51から流出する膨張用ガスGを、流出した流出口51自体から離れる方向で、かつ、インフレーター17の本体部18の軸直交方向CPに沿う方向(すなわち、押え部41や、エアバッグ11の流入用開口12の周縁13、あるいは、ケース22の取付座25に沿う方向であり、本体部18の軸心Cを中心とする半径方向や周方向を含む方向である)から押え部41に向かう下方向DDまでの角度θ(図6参照)の範囲内で、偏向させて、流れの向きを変えるように、配設されている。捕捉部57は、図5,6に示すように、押え部41の上方側で、各流出口51の周囲におけるカバー壁部49の外周側にずれて配設されて、偏向部55によって流れの向きを変えられた膨張用ガスGを当てる際に、膨張用ガスGに含まれていた残渣Sを付着させて捕捉するものである。
そして、第1実施形態の場合、偏向部55が、捕捉部57と兼用に構成されている。すなわち、偏向部55は、図4〜6に示すように、それぞれ、各流出口51における本体部18の軸心Cを中心とした半径方向の位置で、上下方向に沿うような板状に配設されている。また、各偏向部55は、本体部18の周方向に沿う方向の両縁55a,55aに、カバー壁部49との間に隙間H1(図5参照)を空けて、各偏向部55に当たった膨張用ガスGを本体部18の周方向に沿った方向の両側に排出可能な排出口56を設けて、配設されている。
そのため、捕捉部57が、それぞれ、各偏向部55自体から構成されて、各流出口51から流出する膨張用ガスGを偏向部55の両縁55a,55aの排出口56,56から排出させる際に、各流出口51と対向する対向面55bを残渣Sを付着させて捕捉する捕捉面58として、配設されている。すなわち、カバー壁部49の流出口51を通過した膨張用ガスGが、偏向部55に当たって、偏向部55の両縁55a側の排出口56,56から、相互の交差角度を略180度とするような相互に逆方向の両側に二又状に分岐する際、粘着性を有して膨張用ガスG自体より重量のある残渣Sが、偏向部55自体の対向面55bである捕捉面58に付着し、捕捉部57が、残渣Sを捕捉することとなる。
また、捕捉部57兼用の偏向部55は、流出口51から流出させた膨張用ガスGを、排出口56,56から本体部18の周方向に沿って流出させていることから、膨張用ガスGの排出方向を、流出した流出口51から離れる方向であって、本体部18の軸直交方向CPに沿う方向として、膨張用ガスGを排出口56から排出している。
規制壁部53は、カバー壁部49の各流出口51の周縁における上縁49c側と偏向部55の上端55c側とを相互に連結するように、配設されている(図6参照)。この規制壁部53は、各流出口51から流出する膨張用ガスGの上方への流出を規制することとなる。
さらに、第1実施形態のリテーナ40では、図3に示すように、板金からなる上側部材61と下側部材64との二部品から形成されている。上側部材61は、カバー壁部49と各偏向部55とを含めて、押え部41の上面側を構成している。下側部材64は、押え部41の下面側を構成している。
そして、上側部材61は、内周縁側に、カバー壁部49、各規制壁部53、及び、各偏向部55を配設させて、四角環状とした固着環部62を備えて構成されている。固着環部62には、四隅に、下方へ延びて、リテーナ40をケース22の挿入孔24の周縁に取付可能な固着手段としてのボルト42が配設されている。下側部材64は、内周側に、ケース22の挿入孔24と同じ内径寸法として、円形に開口させた挿入孔47を設けた四角環状の押え環部65を備えて構成されている。押え環部65は、上側部材61の各ボルト42を貫通させる貫通孔66を四隅に配設させている。
そして、下側部材64は、既述の外側筒部59が配設されている。この外側筒部59は、押え環部65の外周縁の全周に連なるように、上側部材61の固着環部62の外周側に位置し、かつ、カバー壁部49の上端より上方に延びるように配設されている。また、下側部材64の押え環部65は、挿入孔47の内周縁の全周を鍔部45として、ケース22の挿入孔24の内周縁まで延ばし、かつ、各流出口51の下方側に配置されて、流出口51の直下に配置されるエアバッグ11の流入用開口12の周縁13の一部13aを覆うように、構成されている(図6参照)。
なお、上側部材61の捕捉部57兼用の偏向部55は、カバー壁部49における排出口56,56の位置に、スリットを設けて、偏向部55の部位を押し出すように、プレス加工すれば、捕捉部57兼用の偏向部55を、規制壁部53と共に、形成することができる。
第1実施形態のエアバッグ装置M1の車両への搭載を説明すると、まず、各貫通孔66に対応するボルト42を貫通させて、下側部材64の押え環部65の上面側に上側部材61の固着環部62に重ねて、リテーナ40を組み付け、さらに、各取付孔15からボルト42を突出させるように、エアバッグ11の内部に、リテーナ40を配設させる。そして、エアバッグ11を折り畳み、さらに、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ11を破断可能なラッピングシート16(図1参照)でくるんでおく。
そして、各ボルト42を、上方から取付孔26に挿通させつつ、開口22aから、折り畳んだエアバッグ11を、ケース22の底壁部23上に載置させる。ついで、インフレーター17の本体部18の上部18aを、下方から、挿入孔24,47と流入用開口12とに挿入させるとともに、インフレーター17のフランジ部20の各貫通孔20aに、底壁部23から下方へ突出している各ボルト42に挿入させる。そして、各ボルト42にナット43を締結させれば、インフレーター17が、ケース22の底壁部23の取付座25に取り付けられ、また、リテーナ40の押え部41が、エアバッグ11の流入用開口12の周縁13を底壁部23側に押え、かつ、周縁13をケース22の底壁部23の取付座25に取り付けることとなる。
その後、車両に搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー31の連結壁部35内に、ケース22の側壁部28を挿入させて、ケース22の各係止爪29を連結壁部35の係止孔36に挿入させて、各係止爪29を連結壁部35に係止させ、さらに、各ブラケット27のナット27aに、取付座8aを経て、ボルト9を締結すれば、エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
エアバッグ装置M1の車両への搭載後、インフレーター17の各ガス吐出口19から膨張用ガスGが吐出されれば、膨張用ガスGは、本体部18の軸直交方向CPに沿って、吐出される(図5,6参照)。そして、膨張用ガスGは、本体部18の周囲におけるリテーナ40のカバー壁部49に到達し、さらに、各流出口51から、本体部18の軸直交方向CPに略沿い、かつ、本体部18を中心とした放射状に、流出する。この時、各流出口51から流出した膨張用ガスGは、偏向部55によって流れの向きを変えられるように偏向されるとともに、捕捉部57に当たる。そして、膨張用ガスGに含まれていた残渣Sは、粘着性を有して膨張用ガスG自体より重いことから、捕捉部57に当たって付着し、その捕捉部57に捕捉される。また、残渣Sを捕捉された状態の膨張用ガスGは、捕捉部57に当たって流れの向きを変えられた後、エアバッグ11側に流れて、エアバッグ11を膨張させることとなる。そして、エアバッグ11が、膨張して、ラッピングシート16を破断するとともに、エアバッグカバー31の破断予定部34を破断させて前後二つの扉部32,32を図1の二点鎖線に示すように開かせることにより、エアバッグ11は、エアバッグカバー31の扉部32,32の開いた開口から、大きく突出することとなる。
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、図5に示すように、各流出口51が、本体部18のガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGを、本体部18の軸直交方向CPに略沿う方向でかつ本体部18を中心とした放射状に流出させるように、本体部18の周囲に沿って断続的に配置され、かつ、各偏向部55が、各流出口51にそれぞれ対応して配設されているため、一つの流出口51(当該流出口51Xとする)から流出する膨張用ガスGは、その当該流出口51Xの周囲におけるカバー壁部49の外周側にずれて対応して配置されている偏向部55(対応偏向部55Xとする)と捕捉部57(対応捕捉部57Xとする)に対してだけに当たるように、流出される。そのため、当該流出口51Xから流出される膨張用ガスGが一定の経路で、その当該流出口51Xの外側に対応して位置する対応捕捉部57Xに当たる状態が、持続されることとなり、例えば、隣接する流出口51(隣接流出口51Y、51Zとする)からの膨張用ガスGが、既述の対応捕捉部57Xに向かうこととなっても、その膨張用ガスGは、隣接流出口51Y,51Z自体にそれぞれ対応する偏向部55(隣接偏向部55Y,55Z)や捕捉部57(隣接捕捉部57Y,57Z)に当たった後であって、流速が低下しており、対応捕捉部57Xからの膨張用ガスGを押し返して、対応捕捉部57Xに当たる事態は生じ難い。その結果、異なった方向からの膨張用ガスGの流れが抑制されて、捕捉部57に当たる膨張用ガスGの流れが、一つの流出口51からの流れだけとするように、安定することから、捕捉部57に捕捉された残渣Sの飛散が、抑制される。そして、捕捉部57での残渣Sの捕捉状態を安定させることができ、堆積させるように残渣Sを捕捉できて、捕捉部57で捕捉する残渣Sの量を、増やすことが可能となる。
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、各流出口51から流出される膨張用ガスGは、図6に示すように、偏向部55により、流出した流出口51から離れる方向で、かつ、本体部18の軸直交方向CPに沿う方向から押え部41に向かう下方向DDまでの角度θの範囲内(実施形態の本体部18の軸直交方向CPに沿う角度)に偏向されて、上方側に向かうことが抑制されている。そのため、インフレーター17からの残渣Sを含んだ膨張用ガスGが、カバー壁部49の上方側であるエアバッグ11側へ、直接、流れ難くなる。換言すれば、膨張用ガスGが捕捉部57の配置エリアを通過せずに、エアバッグ11側に流れることが、防止され、その結果、捕捉部57で残渣Sを捕捉させて、残渣Sを低減された膨張用ガスGを、安定して、エアバッグ11側に流すことができることとなる。
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ11をケース22に取り付けるリテーナ40に設けたカバー壁部49、偏向部55、及び、捕捉部57により、膨張用ガスGに含まれる残渣Sを的確に捕捉でき、かつ、捕捉した残渣Sを飛散させることなく、残渣Sを低減させた状態の膨張用ガスGを、エアバッグ11側に流すことができて、膨張用ガスGに含まれる残渣Sによるエアバッグ11のダメージを、低減することができる。
そして、第1実施形態では、各流出口51が、ガス吐出口19に対応させて、それぞれ、膨張用ガスGの吐出方向の延長線上の位置に一致して配置され、さらに、実施形態の場合には、各ガス吐出口19における本体部18の軸心Cを中心とする半径方向の位置に、配置されている(図5参照)。そのため、カバー壁部49が、インフレーター17の本体部18の周囲に隙間H0を空けて配設されていても、一つのガス吐出口19(当該ガス吐出口19X)から吐出された膨張用ガスGは、本体部18の軸心Cの半径方向に沿って流れて、直ちに、対応する一つの流出口51(当該流出口51X)を経てカバー壁部49を通過し、対応する偏向部55(対応偏向部55X)と捕捉部57(対応捕捉部57X)との配置エリアを通過することとなって、当該ガス吐出口19Xから吐出された膨張用ガスGが当該流出口51Xに隣接する隣接流出口51Y,51Zに向かうことが、的確に防止される。さらに付言すると、カバー壁部49が、インフレーター17の本体部18の周囲に隙間H0を空けて配設されていても、当該流出口51Xに対応して配設された対応捕捉部57Xが、その当該流出口51Xに最も接近している当該ガス吐出口19Xからの膨張用ガスGに含まれた残渣Sを捕捉している状態では、インフレーター17の本体部18における当該ガス吐出口19Xに隣接している隣接ガス吐出口19Y,19Zからの膨張用ガスGは、当該流出口51Xの周縁のカバー壁部49の部位49dに遮蔽されて、対応捕捉部57Xに捕捉されている残渣Sに対して、直接、当たり難い。すなわち、当該流出口51Xから流出される膨張用ガスGが一定の経路で対応捕捉部57Xに当たる状態が、持続されるだけで、異なった方向から膨張用ガスGが当たる事態、換言すれば、当該ガス吐出口19Xに隣接する隣接ガス吐出口19Y,19Zから吐出される膨張用ガスGが、直接、対応捕捉部57Xに捕捉された残渣Sに当たる事態、を防止できる。
そのため、一層、各流出口51から流出した膨張用ガスGが対応する捕捉部57に当たる流れを安定させることができ、捕捉部57での残渣Sの捕捉状態を安定させることができて、捕捉部57で捕捉する残渣Sの量を、容易に、増やすことが可能となり、残渣Sをさらに低減させた膨張用ガスGを、エアバッグ11側に供給することができる。
なお、捕捉部57に当たる膨張用ガスGの流れを、一つの流出口51からの流れだけとするように、安定させる作用は、既述したように、インフレーター17の本体部18とカバー壁部49との間の隙間H0の寸法に比例させつつ、対応する流出口51の開口面積よりガス吐出口19の開口面積を小さくし、そして、ガス吐出口19からの膨張用ガスGの円錐状に吐出される噴射角度を、小さくすれば、一層、向上させることができる。
また、第1実施形態では、カバー壁部49の各流出口51の周縁における上縁49c側と偏向部55の上端55c側とを相互に連結させて、各流出口51から流出する膨張用ガスGの上方への流出を規制する規制壁部53が、配設されている(図5参照)。そのため、インフレーター17の本体部18のガス吐出口19から吐出された膨張用ガスGが、カバー壁部49の流出口51を通過する際、規制壁部53により、カバー壁部49の上方側であるエアバッグ11側へ流れることを規制できて、的確に、流出口51を通過した膨張用ガスGを偏向部55に案内することができる。そのため、インフレーター17からの残渣Sを含んだ膨張用ガスGがカバー壁部49の上方側であるエアバッグ11側へ直接的に流れることが、一層、防止されて、残渣Sによるエアバッグ11のダメージを低減できる。
そして、第1実施形態では、偏向部55と捕捉部57とが兼用されている。すなわち、偏向部55が、それぞれ、各流出口51における本体部18の軸心Cを中心とした半径方向の位置で、上下方向に沿うように配設されるとともに、本体部18の周方向に沿う方向の両縁55aに、カバー壁部49との間に隙間H1を空けて、各偏向部55に当たった膨張用ガスGを本体部18の周方向に沿った方向の両側に排出可能な排出口56,56を設けて、配設されている。また、捕捉部57が、偏向部55自体から構成されて、各流出口51から流出する膨張用ガスGを偏向部55の両縁の排出口56,56から排出させる際に、各流出口51と対向する対向面55bを残渣Sを捕捉する捕捉面58として、配設されている。
このようなリテーナ40の構成では、カバー壁部49の流出口51を通過した膨張用ガスGが、偏向部55に当たって、インフレーター17の本体部18の周方向に沿う偏向部55の両縁側の排出口56,56から、二又状に分岐する。そして、膨張用ガスGが、相互の交差角度を略180度とするような相互に逆方向の両側に分岐し、粘着性を有して膨張用ガスG自体より重量のある残渣Sが、偏向部55自体の対向面55bに付着し、さらに、付着した残渣Sに新たな残渣Sが付着して、順次、堆積していくこととなり、残渣Sを低減させた膨張用ガスGをエアバッグ11側に供給することができる。そして、このようなリテーナ40の構成では、偏向部55自体が、各流出口51の対向面55bを、残渣Sを捕捉する捕捉面58として作用させて、捕捉部57としての役目を果たすこととなる。
そして、上記のリテーナ40を使用する第1実施形態のエアバッグ装置M1では、捕捉部57の捕捉面58(偏向部55の対向面55b)に当たった膨張用ガスGが、直交するように、本体部18の周方向に沿って二分されることから、エアバッグ11側の上方側へ向かう膨張用ガスGの勢いを弱めることができ、膨張時のエアバッグ11が、エアバッグ11によって保護する人(第1実施形態では助手席に着座した乗員)に対して、必要以上に勢いよく直線的に突出する状態を、抑制でき、極力、ソフトに乗員側に突出することができる。
さらに、第1実施形態のリテーナ40では、四角筒形状の外側筒部59が、押え部41の外周縁側の全周に連なって、カバー壁部49の上端(庇部49a)より上方に延びるように配設されている。そのため、膨張用ガスGが、偏向部55や捕捉部57を経て、インフレーター17の本体部18の周方向に沿うように流れてきたり、あるいは、押え部41の上面側に沿うように、インフレーター17の本体部18の軸心Cを中心とする放射方向に流れてきても、外側筒部59が、膨張用ガスGを、エアバッグ11側の上方側に案内することができて、リテーナ40の押え部41から離れたリテーナ40の周囲におけるエアバッグ11の部位11b(図2,6参照)に、残渣Sを捕捉した直後の膨張用ガスGを当てることを防止でき、そのエアバッグ11の部位11bの保護を図ることができる。また、外側筒部59まで流れてきた膨張用ガスGに、捕捉部57で捕捉しきれなかった残渣Sが含まれていたとしても、外側筒部59の内周面が、上方側へ向かうように膨張用ガスGを案内して曲げる際、残渣を捕捉する捕捉面59aとすることができて、一層、残渣Sを含まない膨張用ガスGを、エアバッグ11側に流すことができる。
さらに、第1実施形態のリテーナ40では、各流出口51の下方側に、ケース22の挿入孔24の内周縁付近まで延びる鍔部45が配設されている(図6参照)。そのため、エアバッグ11の流入用開口12の周縁13が、リテーナ40のカバー壁部49の内周側に延びて、各流出口51の下縁51a付近に配置されることとなっても、リテーナ40の鍔部45によって覆われて、インフレーター17の本体部18のガス吐出口19から吐出される高温の膨張用ガスG自体から、そのエアバッグ11の流入用開口12の周縁13を保護することができる。
そして、第1実施形態の場合、リテーナ40が、上側部材61と下側部材64との二部品から構成されている(図1,3参照)。上側部材61は、カバー壁部49と各偏向部55とを含めて、押え部41の上面側を構成するとともに、外周縁に、ケース22の取付座25に取付可能なボルト42を配設させた環状の固着環部62、を備えて構成されている。下側部材64は、鍔部45を有して押え部41の下面側を構成するとともに、ボルト42を貫通させる貫通孔66を配設させた環状の押え環部65、を備えて構成されている。さらに、下側部材64には、外周縁側の全周に、上側部材61の固着環部62の外周側に位置して、カバー壁部49の上端より上方に延びる外側筒部59が、配設されている。
そのため、下側部材64は、押え部41の内周縁側の鍔部45から、押え部41の外周縁側の外側筒部59の部位までのリテーナ40の下面側を、平板状の押え環部65によって構成でき、押え部41の上方側に配置される流出口51を備えたカバー壁部49や偏向部55を備え無くともよいことから、押え環部65と外側筒部59とを備えた断面U字形状として、一枚の板金を使用するプレス加工により、容易に、形成できる。一方、上側部材61は、ボルト42を配設させて、流出口51を備えたカバー壁部49や偏向部55を設けた固着環部62を形成することとなるが、流出口51をプレス加工で設ける場合、外周縁側まで延びてボルト42を配設させる固着環部62には、筒状のカバー壁部49の内周側において、流出口51の下縁51aを越えて、押え部41の内周側に延びる鍔部45は、加工し難い。しかし、実施形態の場合、その鍔部45は、上側部材61でなく、下側部材64に形成できることから、上側部材61も容易に形成し易い。
したがって、このようなリテーナ40では、カバー壁部49の内周側や押え部41の外周側に位置したエアバッグ11の部位(周縁13の一部13aや部位11b)を保護可能な鍔部45と外側筒部59とを備えていても、容易にリテーナ40を製造できることとなる。なお、上側部材61の固着手段としてのボルト42を下側部材64の貫通孔66を経て、ケース22の取付座25に固定すれば、上側部材61が、挟持するように、下側部材64をケース22の取付座25に押えて取り付けることととなって、別途、組付手段を利用しなくとも、上側部材61と下側部材64とを相互に組み付けることができる。
なお、第1実施形態では、リテーナ40に設けた偏向部55自体を捕捉部57とした場合を示したが、図7〜11に示す第2実施形態のエアバッグ装置M2のように、偏向部75と捕捉部77とを別々に配設させてもよい。
このリテーナ40Aは、図7,8に示すように、固着手段としてのボルト42を除いた上側部材61Aの固着環部62Aの構成が、第1実施形態の上側部材61の構成と異なっているだけである。他の下側部材64等の構成は、第1実施形態と同様であり、同様の部位・部材には、同じ符号を付けて説明を省略する。
また、第2実施形態のリテーナ40A以外のエアバッグ11、インフレーター17、ケース22、エアバッグカバー31も、第1実施形態と同様であり、同様の部位・部材には、同じ符号を付けて説明を省略する。
この第2実施形態でも、リテーナ40Aに形成したカバー壁部69は、ケース22内に挿入されたインフレーター17の本体部18における外周面18bの周囲の近傍に配置されて、インフレーター17の本体部18の外周面18bを、隙間H0を空けて覆う円筒形状としている(図9参照)。そして、カバー壁部69は、図9〜11に示すように、本体部18のガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGを、本体部18の軸直交方向CPに略沿う方向でかつ本体部18を中心とした放射状に流出させる複数の流出口71を有して、押え部41から上方へ延びるように配設されている。
第2実施形態の場合、各ガス吐出口19に対応するように、各流出口71は、本体部18の周囲に沿ってカバー壁部69に断続的に配置される12個とし、インフレーター17とリテーナ40Aとのケース22への取付状態において、ケース22の底壁部23からの高さ位置を一致させ、それぞれ、各ガス吐出口19における本体部18の軸心Cを中心とする半径方向の位置に、配置されているものの、第1実施形態と相違して、各流出口71は、下向きに拡開させたような二等辺三角形状に開口させている。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、カバー壁部69の上縁の全周には、内周側に突出する円環状の庇部69aが配設されている。この庇部69aも、インフレーター17とリテーナ40Aとのケース22への取付状態において、インフレーター17の本体部18の上端面18cより上方位置に配置されて、内周面69bが、本体部18の外周面18bの略上方より内側の位置に配置されている(図7,11参照)。
そして、各偏向部75は、それぞれ、各流出口71に対応して、各流出口71からの膨張用ガスGを押え部41側の下向きに流すように、カバー壁部69の外周側にずれて配設されるとともに(図11参照)、下縁75a側を押え部41から隙間H2を設けるように上方に離して、各偏向部75に当たった膨張用ガスGを、押え部41に沿い、かつ、本体部18の軸心C側から放射状の外側に排出可能な排出口76を設けて、配設されている。そして、捕捉部77は、対応する各流出口71の近傍における押え部41の上面62a側に配設させて、排出口76に対向するカバー壁部69近傍の上面62a側を、残渣Sを捕捉する捕捉面78として、配設されている。
第2実施形態の場合には、円筒状に形成されたカバー壁部69の各流出口71の部位を、流出口71の下縁71aにスリットを入れて、外側に押し出すようにプレス加工して、各偏向部75を形成している。そのため、各偏向部75は、流出口71側の対向面75bが、本体部18の周方向に沿う断面で、本体部18の軸心Cから円弧状に膨らむように形成されつつ、下方に向かうにしたがって、本体部18から離れるような半円錐状のテーパ管状とした曲がり板状としている(図10参照)。そのため、偏向部75の上端75c自体が、エアバッグ11側の上方への膨張用ガスGの流れを規制するように、カバー壁部69に連なる規制壁部73を構成している(図11参照)。
また、各排出口76は、下向きに開口する略三日月形として(図10参照)、固着環部62Aの上面62aから離れて、カバー壁部69の外周面69eにおける流出口71の周縁の下縁69cの外周側に、ずれて開口されている(図11参)。
そして、第2実施形態の捕捉部77は、図10,11に示すように、各排出口76の下方で対向する固着環部62の上面62aで、かつ、カバー壁部69の外周側にずれたエリアにより構成されている。
このようなリテーナ40Aの構成では、エアバッグ装置M2の作動時、インフレーター17のガス吐出口19から膨張用ガスGが吐出されれば、図10,11に示すように、カバー壁部69の各流出口71に到達し、各流出口71を通過する。そして、カバー壁部69の流出口71を通過する膨張用ガスGは、各流出口71に対応して配設された偏向部75に当たって、押え部41側の下向きに流れ、押え部41の上面62a側に配設された捕捉部77の捕捉面78に当たり、偏向部75の下縁75a付近と押え部41(捕捉部77)との間の排出口76を経て、インフレーター17の本体部18の軸心C側から放射状の外側に向かって流れる。そして、膨張用ガスGが、偏向部75で下向きの下方向DDに流れて捕捉部77の捕捉面78に当たって、インフレーター17の本体部18の軸心C側から放射状の外側に向かって流れるように曲がる際、粘着性を有して膨張用ガスG自体より重量のある残渣Sが、捕捉部77の捕捉面78に付着し、さらに、付着した残渣Sに新たな残渣Sが付着して、順次、堆積していくこととなり、残渣Sを低減させた膨張用ガスGをエアバッグ11側に供給することができる。
すなわち、第2実施形態でも、各流出口71が、本体部18のガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGを、本体部18の軸直交方向に略沿う方向でかつ本体部18を中心とした放射状に流出させるように、本体部18の周囲に沿って断続的に配置され、かつ、各偏向部75が、各流出口71にそれぞれ対応して配設されているため、一つの流出口71から流出する膨張用ガスGは、その流出口71の周囲におけるカバー壁部69の外周側にずれて対応して配置されている偏向部75と捕捉部77とに対してだけに当たるように、流出される。そのため、一つの流出口71(当該流出口71X)から流出される膨張用ガスGが一定の経路で、当該流出口71Xの外側に対応して位置する対応捕捉部77Xに当たる状態が、持続されることとなり、例えば、隣接する流出口(隣接流出口71Y,71Z)からの膨張用ガスGが、既述の対応捕捉部77Xに向かうこととなっても、その膨張用ガスGは、隣接流出口71Y,71Z自体に対応する隣接偏向部75Y,75Zや隣接捕捉部77Y,77Zに当たった後であって、流速が低下しており、対応捕捉部77Xからの膨張用ガスGを押し返して対応捕捉部77Xに当たる事態は生じ難い。
そのため、この第2実施形態でも、異なった方向からの膨張用ガスGの流れが一層抑制されて、捕捉部77に当たる膨張用ガスGの流れが、一つの流出口71からの流れだけとするように、安定することから、捕捉部77に捕捉された残渣Sの飛散が、抑制される。そして、捕捉部77での残渣Sの捕捉状態を安定させることができ、堆積させるように残渣Sを捕捉できて、捕捉部77で捕捉する残渣Sの量を、増やすことが可能となる。
さらに、この第2実施形態でも、各流出口71が、ガス吐出口19に対応させて、それぞれ、各ガス吐出口19における本体部18の軸心Cを中心とする半径方向の位置に一致するように、配置されている。そのため、カバー壁部69自体が、インフレーター17の本体部18との間に、隙間H0を空けて配設されていても、一つのガス吐出口19(当該ガス吐出口19X)から吐出された膨張用ガスGは、本体部18の軸心Cの半径方向に沿って流れて、直ちに、対応する一つの流出口71(当該流出口71X)を経てカバー壁部69を通過し、対応する偏向部75(対応偏向部75X)と捕捉部77(対応捕捉部77X)との配置エリアを通過することとなって、当該ガス吐出口19Xから吐出された膨張用ガスGが当該流出口71Xに隣接する隣接流出口71Y,71Zに向かうことが、的確に防止される。さらに付言すれば、当該流出口71Xに対応して配設された対応捕捉部77Xが、その当該流出口71Xに最も接近している当該ガス吐出口19Xからの膨張用ガスGに含まれた残渣Sを捕捉している状態では、インフレーター17の本体部18における当該ガス吐出口19Xに隣接している隣接ガス吐出口19Y,19Zからの膨張用ガスGは、当該流出口71Xの周縁のカバー壁部69の部位69dや下縁69cに遮蔽されて、対応捕捉部77Xに捕捉されている残渣Sに対して、直接、当たり難い。すなわち、当該流出口71Xから流出される膨張用ガスGが一定の経路で対応捕捉部77Xに当たる状態が、持続されるだけで、異なった方向から膨張用ガスGが当たる事態、換言すれば、当該ガス吐出口19Xに隣接する隣接ガス吐出口19Y,19Zから吐出される膨張用ガスGが、直接、対応捕捉部77Xに捕捉された残渣Sに当たる事態、を防止できる。
したがって、第2実施形態でも、各流出口71から流出した膨張用ガスGが対応する捕捉部57に当たる流れを安定させることができ、捕捉部77での残渣Sの捕捉状態を安定させることができて、捕捉部77で捕捉する残渣Sの量を、容易に、増やすことが可能となり、残渣Sをさらに低減させた膨張用ガスGを、エアバッグ11側に供給することができる。そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2でも、第1実施形態のエアバッグ装置M1と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態では、ガス吐出口19から吐出した膨張用ガスGが、流出口71を経て、偏向部75により、一旦、エアバッグ11側となる上方側への流れと逆方向の下向きDDに流れ、ついで、捕捉部77の捕捉面78に当たって、インフレーター17の本体部18の軸心Cを中心とする放射方向に流れることから、一層、エアバッグ11側の上方側へ向かう膨張用ガスGの勢いを弱めることができて、膨張時のエアバッグ11が、助手席の乗員に対し、必要以上の勢いで直線的に突出する状態を、抑制できて、極力、ソフトに乗員側に突出することができる。
さらに、第1,2実施形態では、リテーナ40,40Aを、上側部材61,61Aと下側部材64との二部品から形成したが、図12に示すリテーナ40Bのように、上側部材61Aの外周縁に外側筒部59を設けるように、一枚の板金を多段のプレス加工により形成した一部品から、構成してもよい。
なお、第1,2実施形態では、流出口51,71を有したカバー壁部49,69を、リテーナ40,40Aの挿入孔47内周縁から上方に延びるように形成して、リテーナ40,40Aに設けた場合を示したが、図13〜20に示す第3実施形態のエアバッグ装置M3のように、カバー壁部89を、リテーナ80の押え部81の内周縁付近から上方に延びるように、ケース22Cの挿入孔24の周縁から上方に延びるように、形成してもよい。
この第3実施形態のエアバッグ装置M3では、リテーナ80の構成と、ケース22Cの挿入孔24の内周縁にカバー壁部89を設けた構成とが、第1,2実施形態のエアバッグ装置M1,M2と相違しているだけであり、エアバッグ11、インフレーター17、及び、エアバッグカバー31の構成と、ケース22Cにおける挿入孔24の内周縁のカバー壁部89以外の部位の構成とは、第1,2実施形態と同様であり、第1,2実施形態と同一の部位、部材には、同じ符号を付して、説明を省略する。
リテーナ80は、図13〜15に示すように、板金から形成されて、エアバッグ11の流入用開口12と略同寸とした内径寸法の円形に開口する挿入孔83を備えた略円環状とし、エアバッグ11の内周面11a側から取付部14を押える押え部81と、押え部81の外周縁から上方に延びる略四角筒形状の外側筒部86と、を備えて構成されている。押え部81は、外周縁を略四角形状(略正方形状)に形成されて、その四隅に、エアバッグ11やインフレーター17をケース22Cに取り付けるための下方に延びるボルト82を固着させている。このボルト82は、第1,2実施形態のリテーナ40,40Aのボルト42と同様に、エアバッグ11の取付孔15、ケース22Cの底壁部23の取付孔26、及び、インフレーター17のフランジ部20の貫通孔20a、に挿入されて、ナット43を締め付けられることにより、底壁部23の取付座25に対して、エアバッグ11を取り付けるとともに、取付座25の下面側に対して、インフレーター17を取り付けることとなる。なお、外側筒部86には、四隅に、上端側を切り離すように、スリット86aが形成されている。
また、リテーナ80には、押え部81における挿入孔83の内周縁から上方に延びる略円筒状の支持環部84が、配設されている。支持環部84には、後述するカバー壁部89を構成する各舌片90の偏向部95を、それぞれ、内周側から外周側に挿通させる挿通孔84aが形成されている。各挿通孔84aは、長方形状に開口されている。支持環部84の上端側には、各舌片90のインフレーター17の本体部18から離れる側への変形を防止可能に、各舌片90の上端90aの外側面(外周面)90bを支持する円筒形の支持壁部84bが、配設され、支持壁部84bの上端には、インフレーター17の本体部18側に延びる庇部84cが配設されている。この庇部84cも、インフレーター17とリテーナ80とのケース22Cへの取付状態において、インフレーター17の本体部18の上端面18cより上方位置に配置されて、内周面84dが、本体部18の外周面18bの略上方より内側の位置に配置されている。
ケース22Cは、第1,2実施形態のケース22と同様に、図13〜17に示すように、上端側に長方形状の開口22aを有した板金製の略直方体形状に形成され、インフレーター17の本体部18を下方から挿入させる挿入孔24を有した長方形板状の底壁部23と、底壁部23の外周縁から略四角筒形状にエアバッグカバー31側の上方へ延びるように形成されて、係止爪29を有した側壁部28と、を備えて構成されている。挿入孔24は、インフレーター17の本体部18の上部18a側を挿通可能で、かつ、エアバッグ11の流入用開口12やリテーナ80の挿入孔83の内径寸法より小径として、開口されている。底壁部23の上面側の挿入孔24の周縁は、リテーナ80の四本のボルト82を挿通可能な取付孔26が形成されて、取付座25を構成している。
そして、ケース22Cの底壁部23には、インフレーター17の本体部18の外周面18bの周囲の近傍に配置されるように、挿入孔24の内周縁から上方に延びた略円筒状のカバー壁部89が形成されている。このカバー壁部89は、複数の舌片90から構成されている。各舌片90は、インフレーター17の本体部18の周囲を囲い、かつ、インフレーター17の各ガス吐出口19に対向するように、12個配設されている。これらの各舌片90は、それぞれ、各ガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGをカバー壁部89の外周側に流出させる流出口91を備えて、ケース22Cの底壁部23における挿入孔24の形成部位を、切り起こして形成されるとともに、各流出口91の周縁の部位毎に、挿入孔24の周囲で断続的に切り起して形成されている。
各流出口91は、第2実施形態に近似して、インフレーター17とリテーナ80とのケース22Cへの取付状態において、それぞれ、各ガス吐出口19における本体部18の軸心Cを中心とする半径方向の位置に、配置されて、下向きに拡開させたような二等辺三角形状に開口されている。
そして、各偏向部95は、それぞれ、各流出口91からの膨張用ガスGをリテーナ80の押え部81側の下向きに流すように、カバー壁部89の外周側にずれて配設されるとともに(図19,20参照)、下縁95a側を押え部81から隙間H3を設けるように上方に離して、各偏向部95に当たった膨張用ガスGを、押え部81に沿い、かつ、本体部18の軸心C側から放射状の外側に排出可能な排出口96を設けて、配設されている。そして、捕捉部97は、押え部81の上面81a側に配設させて、排出口96に対向するカバー壁部89近傍の上面81a側を、残渣Sを捕捉する捕捉面98として、配設されている。
第3実施形態の場合、図16,17に示すように、ケース22Cの底壁部23を板金素材から形成する際、挿入孔24の打ち抜き部位に、各舌片90を形成する舌片用部位100を形成するとともに、各流出口91の下縁90f側にスリットを入れて、上側に押し出すようにプレス加工し、さらに、各舌片用部位100を起き上がらせて、各偏向部95を形成している。この偏向部95も、それぞれ、流出口91側の対向面95bが、本体部18の周方向に沿う断面で、本体部18の軸心Cから円弧状に膨らむように形成されつつ、下方に向かうにしたがって、本体部18から離れるような半円錐状のテーパ管状とした曲がり板状としている(図19参照)。そのため、偏向部95の上端95c自体が、エアバッグ11側の上方への膨張用ガスGの流れを規制するように、カバー壁部89に連なる規制壁部93を構成している(図20参照)。
そして、各排出口96は、第2実施形態と同様に、下向きに開口する略三日月形として(図19参照)、押え部81の上面81aから離れて、舌片90の下端90dの外周面90eにおける流出口91の周縁の下縁90fの外周側に、ずれて開口されている(図20参照)。また、各捕捉部97も、第2実施形態と同様に、各排出口96の下方で対向する押え部81の上面81a側で、かつ、カバー壁部89の外周側にずれたエリアにより構成されている。
そして、これらの各舌片90は、ケース22Cの形成時における舌片用部位100を形成して曲げ加工した状態(切り起こし完了時)では、図17の括弧書き内や図18のAに示すように、リテーナ80の押え部41やエアバッグ11の流入用開口12を、ケース22Cの取付座25上に配置させる際に、偏向部95が引っ掛かって邪魔とならないように、上下方向に沿う程までには屈曲されてはいない。そして、各舌片90が、上下方向に沿うように配置される状態は、エアバッグ装置M3の組み立て時(インフレーター17の組付完了時)において、インフレーター17の本体部18によって、所定の配置位置まで、曲げ変形されて、配置されるように構成されている。
すなわち、リテーナ80を収納した状態で折り畳んだエアバッグ11を、リテーナ80の各ボルト82を取付孔26に貫通させつつ、ケース22Cの底壁部23上に配置させ、ついで、フランジ部20の貫通孔20aにボルト82を貫通させつつ、図18のA,Bに示すように、ケース22Cの挿入孔24の下方からインフレーター17の本体部18を上方に挿入させる際、各舌片90は、本体部18の外周面18bの上端面18c付近に押されて、上端90a側を挿入孔24から離すように折曲されつつ、偏向部95をリテーナ80の挿通孔84aに挿通させて、所定の配置位置まで、屈曲されている。
なお、第3実施形態では、各舌片90は、インフレーター17における本体部18の外周面18bの上端面18c付近により、上端90aの内周面90cだけでなく、下端90dの内周面90gも押圧されて、曲げ変形されている。そして、各舌片90が、上下方向に沿うように、所定位置に配置された際には、上端90aが、外周面90bを、リテーナ80の支持環部84の上端における支持壁部84bに当接され、内周面90cを、本体部18の上端面18c付近の外周面18bに当接させて、リテーナ80の支持壁部84bとインフレーター17の本体部18とで挟持される状態となる。また、下端90dでも、内周面90gにインフレーター17の本体部18の外周面18bが当接される状態となる。すなわち、各舌片90の流出口91の周縁における上端90aと下端90dとの内周面90c,90gにおける上下方向の部位が、インフレーター17の本体部18における各ガス吐出口19の周縁の外周面18bに当接される状態となり、各流出口91が各ガス吐出口19と連通するように配置されることとなる。
そして、フランジ部20の貫通孔20aから突出している各ボルト42にナット43を締結させて、ケース22Cにエアバッグ11とインフレーター17とを組み付けた後には、第1,2実施形態と同様に、車両に搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー31の連結壁部35内に、ケース22Cの側壁部28を挿入させて、ケース22Cの各係止爪29を連結壁部35の係止孔36に挿入させ、各係止爪29を連結壁部35に係止させて、さらに、各ブラケット27のナット27aに、取付座8aを経て、ボルト9を締結すれば、エアバッグ装置M3を車両に搭載することができる。
そして、この第3実施形態のエアバッグ装置M3でも、作動時、インフレーター17のガス吐出口19から膨張用ガスGが吐出されれば、図19,20に示すように、カバー壁部89を構成する各舌片90の各ガス吐出口19と連通するように配置された流出口91を経て、直ちに、膨張用ガスGが、偏向部95に当たって、押え部81側の下向きに流れ、押え部81の上面81a側における捕捉部97の捕捉面98に当たり、偏向部95の下縁95a付近と押え部81(捕捉部97)との間の排出口96を経て、インフレーター17の本体部18の軸心C側から放射状の外側に向かって流れる。そして、膨張用ガスGが、偏向部95で下向きの下方向DDに流れて捕捉部97の捕捉面98に当たって、インフレーター17の本体部18の軸心C側から放射状の外側に向かって流れるように曲がる際、粘着性を有して膨張用ガスG自体より重量のある残渣Sが、捕捉部97の捕捉面98に付着し、さらに、付着した残渣Sに新たな残渣Sが付着して、順次、堆積していくこととなり、残渣Sを低減させた膨張用ガスGをエアバッグ11側に供給することができ、第2実施形態と同様な作用、効果を得ることができる。
さらに、この第3実施形態では、カバー壁部89の内周面側の各流出口91の周縁を、インフレーター17の本体部18の外周面18bに当接させるように、配設させて、各流出口91が、各ガス吐出口19と連通するように配置されており、各ガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGが、噴射角度を持って円錐状に広がって吐出されても、隣の流出口91(隣接流出口91Y,91Z)に向かうことなく、連通するように配設される流出口91(当該流出口91X)から、支障なく、偏向部95(対応偏向部95X)や捕捉部97(対応捕捉部97X)側へ流出させることができる。
また、第3実施形態のケース22Cの構成では、従来、プレス加工で打ち抜いて残材として廃棄していたケース22Cの挿入孔24の部位における板金素材部位を、各舌片90に転用できる。すなわち、このケース22Cでは、挿入孔24やその周囲の取付座25を形成する底壁部23の部位の板金素材を有効利用することができる。また、このように切り起して形成された舌片90では、インフレーター17の本体部18の周囲で、挿入孔24の周縁から片持ち梁状に形成されて断続的に配設されて、曲がり易く形成されている。しかし、各舌片90に対して、インフレーター17の本体部18から流出する膨張用ガスGが当って、インフレーター17の本体部18から離れる側へ変形しようとしても、リテーナ80の押え部81から延設された支持環部84の支持壁部84bが、その変形を規制するように舌片90を支持する。そのため、各舌片90は、それぞれ、流出口91やその周縁の部位を位置ずれさせず、安定して、流出口91から膨張用ガスGを対応する偏向部95や捕捉部97に流出させることができる。
さらに、第3実施形態では、各舌片90が、それぞれ、流出口91の周縁における上縁側と偏向部95の上端95c側とを相互に連結して、流出口91から流出する膨張用ガスG上方への流出を規制する規制壁部93を、配設させている。また、リテーナ80の支持環部84が、上端に、各舌片90を支持する円筒状の支持壁部84bを備えるとともに、支持壁部84bの下方に、支持環部84の内周側から外周側に各偏向部95を挿通させる挿通孔84aを配設させて構成されている。そして、各舌片90は、ケース22Cの挿入孔24の下方から挿入されるインフレーター17の本体部18により、上端90a側を挿入孔24から離すように折曲させつつ、偏向部95を挿通孔84aに挿通させて、配設されている。
このような構成では、各舌片90における流出口91の周縁から張り出すように大きく偏向部95を形成しても、インフレーター17のケース22Cへの組付時に、円滑に、支持環部84の挿通孔84aから突出させて配設させることができる。そして、流出口91の周縁から偏向部95を大きく張り出して形成できるため、流出口91を大きく開口させることができ、ガス吐出口19からの膨張用ガスGを、流出口91から円滑に偏向部95に流出させることができる。勿論、各ガス吐出口19から吐出される膨張用ガスGが、噴射角度を持って円錐状に広がって吐出されても、流出口91の周縁が、インフレーター17の本体部18に当接しており、連通するように配設される流出口91を経て、直ちに、偏向部95側へ流出させることができる。また、インフレーター17の本体部18のガス吐出口19から吐出された膨張用ガスGが、カバー壁部89の流出口91を通過する際、規制壁部93により、カバー壁部89の上方側であるエアバッグ11側へ流れることを規制できるため、インフレーター17からの残渣Sを含んだ膨張用ガスGがエアバッグ11側へ直接的に流れることが、一層、防止されて、残渣Sによるエアバッグ11のダメージを低減できる。
なお、第3実施形態では、流出口91の周縁に設ける偏向部95を、第2実施形態と同様に、本体部18から離れるような半円錐状のテーパ管状とした曲がり板状に形成した場合を示したが、図21〜23に示す偏向部105のように、上端105c側を、膨張用ガスGの上方への流れを規制する規制壁部103として、流出口101の周縁101aの上縁側に接続させて、下縁105a側を流出口101の周縁101aから離すように、カバー壁部89Aから切り起して、各舌片90Aを形成してもよい。これらの偏向部105は、略長方形板状として、それぞれ、流出口101からの膨張用ガスGを押え部81側の斜め下向き(下方向DDから約45°程度の角度θ)に流すように配設されるとともに、下縁105a側をリテーナ80の押え部81から上方に離して、各偏向部105の対向面105bに当たった膨張用ガスGを、押え部81に沿い、かつ、本体部18の軸心C側から放射状の外側に排出可能な排出口106を設けて、配設されて、そして、捕捉部97は、第2実施形態と同様に、押え部81の上面81a側に配設されて、排出口106に対向する上面81a側を、残渣を捕捉する捕捉面98として、配設されることとなり、第3実施形態と略同様な作用,効果を得ることができる。なお、これらの各舌片90Aも、第3実施形態と同様に、ケース22Cの挿入孔24やその周囲の取付座25を形成する底壁部23の部位を切り起して形成され、また、インフレーター17の本体部18の挿入孔24への下方からの挿入時、各偏向部105が挿通孔84aに挿入されつつ上下方向に沿うように曲げられて配置され、そして、上端90aが支持環部84の支持壁部84bに支持されている。
なお、第1,2実施形態のリテーナ40,40Aに設けるカバー壁部49,69の構成としては、流出口51,71の周縁をインフレーター17の本体部18の外周面18bに当接させて、各ガス吐出口19をそれぞれ流出口51,71と連通させる構成としてもよい。
逆に、第3実施形態のケース22Cに設けるカバー壁部89の構成としては、流出口91の周縁をインフレーター17の本体部18の外周面18bに当接させることなく、外周面18bと隙間H0を設けて、配設させてもよい。
また、リテーナやケース等に設ける偏向部によって膨張用ガスの流れの向きを変える場合、エアバッグ側となる上方側に流れなければ、偏向部により偏向された膨張用ガスは、流出した流出口から離れる方向であって、かつ、インフレーター17の本体部18の軸直交方向CPに沿う方向(押え部41,81や流入用開口12の周縁、あるいは、ケース22,22Cの取付座25に沿う方向)から押え部41,81に向かう下方向DDまでの角度θの範囲内であればよい。そのため、例えば、第2実施形態の偏向部75の上端75cから排出口76に向かう方向を、下向きDDでなく、第3実施形態の変形例の偏向部105のように、斜め下方向に向く45°の角度θの他、本体部18の軸心Cの周方向に沿ってずれる角度を組み合わせて、偏向部から向きを変えられて捕捉部に流れる膨張用ガスの方向を設定してもよい。
さらに、第1〜3実施形態のように、カバー壁部49,69,89を、挿入孔24の内周縁から上方に延びるようにケース22Cに形成したり、あるいは、押え部41,81の内周縁から上方に延びるように、リテーナ40,81に形成すれば、カバー壁部をケースやリテーナと別体で構成する場合に比べて、部品点数や組付工数の増加を抑えることができるが、この点を考慮しなけば、カバー壁部をケースやリテーナと別体で構成してもよい。
さらにまた、第1〜3実施形態では、助手席用のエアバッグ装置M1,M2,M3に付いて説明したが、パイロタイプのインフレーターがケースに取り付けられて使用され、また、そのケースに対して、エアバッグの流入用開口の周縁を、リテーナを使用して、取り付けるエアバッグ装置であれば、助手席用に限らず、運転席用、膝保護用、歩行者保護用等などの種々のエアバッグ装置に、本発明を適用することができる。