JP4957393B2 - ボールねじ駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに平行(並列)に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備えるボールねじ駆動装置において、複数のボールねじ相互のリード誤差や予圧による送り精度の差を緩和してテーブルの位置決め精度を向上させる用途に好適なボールねじ駆動装置に係り、特に、例えば射出成形機のスクリューを高速駆動させる用途に好適に採用し得るボールねじ駆動装置に関する。
近年、射出成形機は、成形品の薄肉化や射出成形機の電動化等に伴って、射出速度(射出成形機のスクリューの駆動速度)が高速化している。これに伴い、電動モータの回転運動をスクリューの直線運動に変換するボールねじ駆動装置も、その高速化が要求されている。
このようなボールねじ駆動装置の高速化の要求に対し、例えばボールねじを複数軸用い、その複数軸を並行に設置して一のテーブルを駆動するボールねじ駆動装置を採用すれば、ボールねじの負荷容量を上げつつ、軸径を下げることによってイナーシャを低減させることができる。したがって、このような複軸のボールねじ駆動装置によれば、剛性を向上させるとともに、高速・高加減速化の要求に応えることが可能となる(例えば特許文献1参照)。
特開2000−141156号公報
ところで、上述のような複軸のボールねじ駆動装置では、複数のボールねじに相互差があれば、テーブルの運動の真直度に影響する。
つまり、図4に示すように、各ボールねじには、ねじ軸のボール溝の送り方向の出来映えによって、ねじ軸を回転させたときのナット移動量に誤差が生じる。そのため、例えば、複数のボールねじ相互のリード精度(移動量誤差)の相互差が大きければ、テーブルに傾きが生じ、その運動の真直度も悪化することになる。また、このような相互差の作用によって、ボールねじの内部発生力が増加し、ねじへの負担が増大する。したがって、上述のような複軸のボールねじ駆動装置では、複数のボールねじの相互差を、なんらかの方法で管理することが重要である。
なお、ボールねじの精度については、図5ないし図6に示すように、「基準移動量」とは、基準リード(公差のないリード)に従って任意の回転数で回転したときの軸方向の移動量であり、「実移動量」とは、実際の軸方向移動量の測定値である。また、「代表移動量」とは、実移動量の傾向を代表する直線であって、実移動量を示す曲線から最小二乗法によって求める。また、「代表移動量誤差」とは、代表移動量と基準移動量との差であり、「変動」は、代表移動量線に平行な二本の直線によって挟んだ実移動量曲線の最大幅である。
ここで、例えば上記特許文献1では、複数のボールねじの相互差を管理するために、2本のボールねじを互いに逆向きに配置して並列駆動することによって、ねじ軸のたわみによる位置決め誤差を平均化する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ねじ軸のたわみによる位置決め誤差を平均化するだけでは、複軸のボールねじ駆動装置に内在するたわみ以外の相互差の問題を解決することができない。そして、現実的には、複数のボールねじを互いに平行に配置して使用するボールねじ駆動装置では、加工上、複数のねじ軸相互のリード精度やリード誤差、あるいは、ナット相互の予圧量をまったく同じにすることは不可能であるため、複数のボールねじの相互差を管理する上で不十分である。
例えば二軸のボールねじ相互に累積リード誤差があった場合、予圧量を一定としたときでも、お互いのナットの移動量には誤差が生じ、テーブルに対しナット位置が変化して、位置決め精度の低下や、テーブルのこじりが発生してしまう。
また、ねじ軸においては、そのねじ溝の有効径管理も同様であり、二軸の有効径を完全に等しくすることは不可能であるため、使用頻度の高い部位での有効径差が存在したときは、累積リード誤差が同じでも、局部的な予圧変化によって、精度の低下やテーブルのこじり等の上記同様の問題が発生する。さらに、お互いのナットの予圧量に差があるときは、駆動時の発熱量が異なるため、ねじ軸相互の伸び量に差が生じる。そのため、やはりテーブルの位置決め精度の劣化やこじりの発生要因となる。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、複数のボールねじを並列に結合して駆動するボールねじ駆動装置において、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和し得るボールねじ駆動装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、各ボールねじのねじ軸またはナットには、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる発熱手段または冷却手段が装備されていることを特徴としている。
第一の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、各ボールねじのねじ軸またはナットには、複数のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させるための、発熱手段または冷却手段が装備されているので、ボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる管理を行うことができる。したがって、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。
また、本発明のうち第二の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、各ボールねじのねじ軸またはナットには、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる熱交換手段が装備されており、前記熱交換手段は、各ボールねじのねじ軸またはナットに形成された冷却媒体用の流路と、該流路に冷却媒体を強制的に循環させるとともに、各々の冷却媒体の温度または流量を相対的に可変する冷却媒体循環制御部とを備え、前記冷却媒体循環制御部は、各々の冷却媒体の温度または流量を制御することによって、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させるようになっていることを特徴としている。
第二の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、熱交換手段は、各ボールねじのねじ軸またはナットに冷却媒体の流路を形成してなり、冷却媒体循環制御部は、冷却媒体を流路に強制的に循環させ、各々のボールねじへの冷却媒体の温度または流量を制御することにより、ボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させるように、各々の冷却媒体の温度または流量を相対的に可変する制御を行うので、各ボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる管理を行うことができる。したがって、上記第一の発明に係るボールねじ駆動装置同様に、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。そして、この第二の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、その熱交換手段は、冷却媒体の温度を通してねじ軸の温度を制御するので、上記発熱手段または冷却手段をボールねじ機構とは別個に設置することができる。したがって、上記第一の発明に係るボールねじ駆動装置に対し、レイアウトの自由度が大きい。
また、本発明のうち第三の発明は、第二の発明に係るボールねじ駆動装置において、前記冷却媒体循環制御部は、各々のボールねじでの冷却媒体の出入口温度を検出する出入口温度検出手段と、該出入口温度検出手段で検出された冷却媒体の出入口温度に基づいて、各ボールねじの発熱量を個別に測定し、その発熱量に応じて、各々のボールねじの発熱量の相互差を小さくするように、各々のボールねじに流入させる冷却媒体の温度または流量を制御する冷却媒体振り分け制御部とを有することを特徴としている。
第三の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、各々のねじ軸またはナットの冷却媒体の流路に冷却媒体を強制的に循環させ、各々の冷却媒体のボールねじ出入口温度を検出することにより、ボールねじの発熱量を個別に測定し、その発熱量に応じて、各々のボールねじに流入させる冷却媒体の温度または流量を制御することにより、個々のボールねじの発熱量の相互差を補正するので、各ボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる管理をより好適に行うことができる。
また、本発明のうち第四の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、各ボールねじのねじ軸またはナットには、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる熱交換手段が装備されており、前記熱交換手段は、各ボールねじのねじ軸またはナットに形成された冷却媒体用の流路と、該流路に冷却媒体を強制的に循環させて、各々の冷却媒体の温度または流量を相対的に可変する冷却媒体循環制御部とを備え、前記冷却媒体循環制御部は、冷却媒体を強制循環させる1台のポンプと、該ポンプに接続されて各々のボールねじの冷却媒体流路に連通する分岐した循環路とを有し、各々分岐した循環路は、相互の流路抵抗の誤差が20%以内になっていることを特徴としている。
第四の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、各々のねじ軸、またはナットに冷却媒体の流路を形成し、冷却媒体を強制循環させる1台のポンプから、各々のボールねじの冷却媒体流路までの循環路を形成し、各々のボールねじに分岐した流路の流路抵抗の誤差が20%以内になっているので、後述の実施形態の例で詳述するように、個々のボールねじ毎に、個別の冷媒の温度や流量の制御を行わなくても良い。したがって、構成を簡素にする上で好適である。
ここで、上述のような相互差対策として、例えば上記第二の発明に係るボールねじ駆動装置において、例えば複軸のボールねじを中空軸とし、各ねじ軸内に同じ温度の冷却媒体を流すことによって、各ねじ軸の伸び量を緩和させて、相互差を所望範囲内に管理する方策は有効な手段である。しかし、このように各ねじ軸に同じ温度の冷却媒体を流す方策では、各ねじ軸の伸び量は緩和されるものの、リード誤差の要因や発熱量の差は残るため、多少の位置決め精度の差は依然として残ることになる。
そこで、本発明のうち第五の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、前記複数のボールねじは、全てのボールねじが定圧予圧方式であることを特徴としている。
第五の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、予圧付与方法として、例えばばねを使用した定圧予圧であれば、ねじ軸の有効径のバラツキによる予圧量の変動を無視できるので、予圧の誤差によるねじ軸の温度のバラツキ、それによる代表移動量の相互差の増大を防止または抑制できる。これにより、特別な機構を付加せずとも、予圧のバラツキに伴う代表移動量の相互差の増大を防止または抑制できる。したがって、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。勿論、この第五の発明に係るボールねじ駆動装置を、上記いずれかの発明に係るボールねじ駆動装置と組み合わせれば、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和する上でより好適である。
また、本発明のうち第六の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、前記複数のボールねじは、定常稼動状態でのボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させるようにそれぞれの予圧量が設定されていることを特徴としている。
第六の発明に係るボールねじ駆動装置では、ボールねじの予圧が、介装されるボールとねじ溝との間の作動すべりを生じ、これが摩擦熱に変換されることを利用する。つまり、発熱量は動作パターンに依存するので、この第六の発明は、動作パターンが略決まっているボールねじ駆動装置に適用する上で好適である。
また、予圧付与方法としては、オーバーサイズボール予圧、オフセット予圧、定圧予圧があるが、例えば、ばねを使用した定圧予圧であれば、ねじ軸の有効径のバラツキによる予圧量の変動を無視できる他、ボールの磨耗による予圧減少も軽減できるため、本用途には好適である。但し、予圧量の大幅な調整は、ボールねじの寿命、剛性等の点で好ましくなく、代表移動量の相互差の微調整を行う目的での予圧量を変化させる範囲は、絶対値(複数本の最大値)の30%以内とすることが望ましい。勿論、この第六の発明に係るボールねじ駆動装置を、上記いずれかの発明に係るボールねじ駆動装置と組み合わせれば、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和する上でより好適である。
また、本発明のうち第七の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、前記複数のボールねじは、その軸方向剛性の相互差が5%以内に設定されていることを特徴としている。
第七の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、複数のボールねじの軸方向剛性の相互差が5%以内に管理されているので、剛性値によって予圧量を管理することで、間接的に発熱量を管理することができる。したがって、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。勿論、この第七の発明に係るボールねじ駆動装置を、上記いずれかの発明に係るボールねじ駆動装置と組み合わせれば、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和する上でより好適である。
また、本発明のうち第八の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、前記複数のボールねじは、その予圧トルク値の相互差が、その絶対値の30%以内に設定されていることを特徴としている。
第八の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、ボールねじの予圧トルク値の相互差をその絶対値(複数本の最大値)の30%以内としたので、以下の実施形態の例で詳述するように、動作時の発熱量の変化を抑えることができる。したがって、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。
また、本発明のうち第九の発明は、互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、前記複数のボールねじは、少なくとも1本のねじ軸の両側軸端に、当該少なくとも1本のねじ軸をその軸方向に拘束して張力を付与できる支持構造を備え、その付与される張力を調整することによって代表移動量の相互差を減少させることを特徴としている。第九の発明に係るボールねじ駆動装置によれば、その支持構造で付与される張力を調整することによって代表移動量の相互差を減少させることができる。
ここで、第九の発明に係るボールねじ駆動装置において、前記複数のボールねじは、前記代表移動量をlmとしてその相互差をΔlm[μm]とし、ねじ部有効長さをluとするときに、Δlm≦60×lu[m]であることは好ましい。
つまり、プリテンション量は、これを余り大きくすると、張力を与える軸受の負荷が増大することや、軸受を支える工作機械等のフレームが変形することによる制約がある。そこで、この第九の発明に係るボールねじ駆動装置は、最大プリテンション量を、ねじ軸平均の温度上昇量を5℃とした場合のねじ軸全長の伸び量に設定したときに、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]をこの範囲内に抑えるものである。なお、上記数字の根拠は、全長1mの場合に、12μmxlmx5℃=60μmであることをその根拠としている。
上述のように、本発明によれば、複数のボールねじを並列に結合して駆動するボールねじ駆動装置において、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和し得るボールねじ駆動装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本発明のボールねじ駆動装置を装備した機械の一実施形態に係る電動式射出成形機を示す図である。
同図に示すように、この電動式射出成形機40は、電動モータ22の回転運動を直線運動に変換してスクリュー24を駆動する機構部に、ボールねじ駆動装置20が装備されている。ここで、電動式射出成形機40に使用されるボールねじ駆動装置20は、射出時にスクリュー24を金型30の方向へ移動させる際に高加速が必要とされる。
そこで、このボールねじ駆動装置20は、ボールねじ1を複数軸(この例では、二軸)用いてなる本発明のボールねじ駆動装置に係るボールねじ駆動装置を採用しており、その複数軸のボールねじ1を並行に設置して一のテーブル5を駆動する構成になっている。
つまり、これら複数のボールねじ1は、互いに平行に、図1に示すブラケット26に配置されており、各々のボールねじ1は、そのねじ軸2の軸端が軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットが一のテーブル5に対して固定されている。そして、電動モータ22の回転運動が、不図示の動力伝達機構を介してボールねじ駆動装置20の各ボールねじ1のねじ軸2に入力されると、ストロークの一端に位置していたテーブル5内の各ナット3がストロークの他端まで同図左方向にテーブル5と一体に移動し、これにより、テーブル5を駆動し、このテーブル5の所望の軸方向変位を得るように構成されている。
ここで、このボールねじ駆動装置20の全てのボールねじ1は、定圧予圧方式であり、その予圧付与方法としては、ばねを使用した定圧予圧を採用している。また、その予圧量としては、定常稼動状態での複数のボールねじ1相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させるように、その予圧量を管理している。
但し、予圧量の大幅な調整は、ボールねじ1の寿命、剛性等の点で好ましくない。そのため、このボールねじ駆動装置20では、代表移動量(lm)の相互差Δlmの微調整を行う目的で予圧量を変化させる範囲は、絶対値(複数本の最大値)の30%以内として管理している。さらに、このボールねじ駆動装置20の複数のボールねじ1は、全てのボールねじ1の軸方向剛性の相互差が5%以内に管理されている。
次に、上記ボールねじ駆動装置20の各ボールねじ1について、図2および図3を適宜参照しつつより詳しく説明する。ここで、本実施形態での各ボールねじ1は、その予圧、剛性以外の仕様(径、リード、ねじ有効長、乗数、巻数等)については、いずれも同様の構成を有するので、以下の図2では、図1での下側の一方(同図での符号Aに示す側)のボールねじ1についてのみ図示するとともに、他方のボールねじ1については、その図示および説明を適宜省略する。なお、図2は、図1での本発明のボールねじ駆動装置の一方のボールねじ(A部)を拡大して示す図であり、また、図3は、図2のボールねじのB−B断面図である。
図2に示すように、このボールねじ1は、ねじ軸2の両軸端が軸受16を介してブラケット26に回転自在に支持されるとともに、ナット3が上記テーブル5に対して固定されている。そして、同図右側の軸端には、駆動プーリ17が装着され、上記電動モータ22の回転運動が動力伝達機構を介してこの駆動プーリ17に伝達されて、ボールねじ1が駆動されるようになっている。
詳しくは、図3に示すように、このボールねじ1は、螺旋状のねじ溝2aを外周面に有するねじ軸2と、そのねじ軸2のねじ溝2aに対向する螺旋状のねじ溝3aを内周面に有するナット3と、両ねじ溝2a,3aによって形成される螺旋状のボール転動路6に転動自在に装填された複数のボール4と、を備えている。そして、ボール4を介してねじ軸2に螺合されているナット3とねじ軸2とを相対回転運動させると、ボール4の転動を介してねじ軸2とナット3とが軸方向に相対移動するようになっている。
このナット3は、その外周面の一部が平坦に削られており、この軸方向に平行な平面部上に、略コ字状に屈曲したリターンチューブ7がチューブ押さえ8によって固定されている。そして、ナット3には、前記平面部に開口しナット3のねじ溝3aと連通する一対の貫通孔9,9が設けられていて、リターンチューブ7の両端部がこの両貫通孔9,9に前記平面部側から挿入されている。貫通孔9,9の外に位置するリターンチューブ7の中央部分が、前記平面部上に配されている。
そして、上記ボール転動路6内を転動するボール4は、このリターンチューブ7を通って循環されるようになっている。すなわち、装填された複数のボール4は、ボール転動路6内を移動しねじ軸2の回りを複数回回ってから、ボール転動路6の終点(リターンチューブ7とボール転動路6との交点)において、リターンチューブ7の一方の端部(開口部)からリターンチューブ7内にすくい上げられる。すくい上げられたボール4は、リターンチューブ7の中を通って、リターンチューブ7の他方の端部(開口部)からボール転動路6の始点に戻される。このように、ボール転動路6内を転動するボール4が、ボール転動路6の始点と終点とを連通させるリターンチューブ7により無限に循環されるようになっているので、ねじ軸2とナット3とは継続的に相対移動することができる。
ここで、このボールねじ1のねじ軸2には、互いに並列して設けられるボールねじ1相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させるための熱交換手段が装備されている。
詳しくは、図2に示すように、このボールねじ1には、そのねじ軸2に、軸方向に貫通形成された冷却媒体用の流路12が設けられている。そして、そのねじ軸2の両軸端には、同図左側の軸受16のテーブル5とは反対側に、流入側シーリング18が装着され、同図右側の軸受16のテーブル5側に、流出側シーリング19が装着されている。これら流入側シーリング18および流出側シーリング19は、前記流路12に内部で連通しており、それぞれのプラグ18aおよびプラグ19aが配管を介して冷却装置14に接続されている。なお、この冷却装置14が、上記冷却媒体循環制御部に対応している。
そして、流入側シーリング18および流出側シーリング19それぞれには、各々のボールねじ1に対し、各ボールねじ1での冷却媒体の出入口温度を検出する出入口温度検出手段として、熱電対式の温度計18b、19bが付設されており、各温度計18b、19bによって検出された温度の測定値が、上記冷却装置14に随時入力されるようになっている。
そして、この冷却装置14は、内部に冷却媒体振り分け制御部14aを有して構成されており、この冷却媒体振り分け制御部14aは、各温度計18b、19bで検出された冷却媒体の出入口温度に基づいて、各ボールねじ1の発熱量を個別に測定(演算)し、その発熱量に応じて、各々のボールねじ1の発熱量の相互差を小さくするように、各々のボールねじ1に流入させる冷却剤の温度および流量を制御するようになっている。
さらに、この冷却装置14は、冷却媒体循環制御部14bを備えている。この冷却媒体循環制御部14bは、冷却媒体である冷却剤を強制循環させる1台のポンプ14pと、そのポンプ14pに接続されて各々のボールねじ1の冷却剤の流路12に連通する分岐した循環路14cとを有している。なお、各々分岐した循環路14cは、相互の流路抵抗の誤差が20%以内になっている。
上記構成を有するこの冷却装置14は、ポンプ14pが駆動されると、その吐出力によって、流入側シーリング18のプラグ18aから、ねじ軸2の流路12に冷却剤(冷却媒体)を送り出し、ねじ軸2の流路12を介して流出側シーリング19のプラグ19aから冷却剤を回収することで強制的に冷却剤を循環させるようになっている。
さらに、この冷却装置14は、冷却媒体振り分け制御部14aが、各々のボールねじ1の冷却剤の温度および/または流量を相対的に可変する制御を実行することで、循環させる冷却剤を温度管理している。つまり、各々のボールねじ1に流す冷却媒体の温度または流量を適宜制御することによって、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる管理を行うようになっている。
次に、この電動式射出成形機40およびボールねじ駆動装置20の作用・効果について説明する。
この電動式射出成形機40は、図1に示すように、電動モータ22の回転運動が、不図示の動力伝達機構を介してボールねじ駆動装置20の各ボールねじ1のねじ軸2に入力されると、ストロークの一端に位置していたテーブル5内の各ナット3がストロークの他端まで同図左方向にテーブル5と一体に移動し、これにより、スクリュー24が左方向(金型30の方向)に駆動される。そして、樹脂が金型30内に充填されて射出成形品が得られる。次いで、樹脂の充填が終了したら電動モータ22を逆回転させて、各ナット3をテーブル5とともにストロークの一端まで右方向に移動させ、スクリュー24を元の位置に戻す。このような操作を繰り返すことにより、所望の射出成形を行うことができる。
ここで、この電動式射出成形機40のボールねじ駆動装置20には、射出時にスクリュー24を金型30の方向へ移動させる際に高加速が要求されるが、上述したように、このボールねじ駆動装置20は、ボールねじ1を複数軸(この例では、二軸)用いており、その複数軸を並行に設置して一のテーブル5を駆動する構成になっている。これにより、このボールねじ駆動装置20によれば、ボールねじ1の負荷容量を上げつつ、その軸径を下げることによってイナーシャを低減させることができる。したがって、この複軸のボールねじ駆動装置20によれば、剛性を向上させるとともに、高速・高加減速化の要求に応えることが可能である。
そして、このボールねじ駆動装置20によれば、上述したように、熱交換手段を装備しており、この熱交換手段は、各ボールねじ1のねじ軸2に冷却媒体用の流路12を形成してなり、さらに、冷却媒体循環制御部である冷却装置14は、冷却媒体である冷却剤を流路12に強制的に循環させ、各々のボールねじ1への冷却剤の温度、および/または流量を制御することにより、ボールねじ1相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させるように、各々の冷却剤の温度または流量を相対的に可変する制御を行うので、各ボールねじ1相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させる管理を行うことができる。したがって、複数のボールねじ1相互の送り精度の相互差を緩和することができる。
そして、このボールねじ駆動装置20によれば、その冷却装置14は、各々のボールねじ1での冷却剤の出入口温度を検出する温度計18b、19bと、その温度計18b、19bで検出された冷却剤の出入口温度に基づいて、各ボールねじ1の発熱量を個別に測定(演算)し、その発熱量に応じて、各々のボールねじの発熱量の相互差を小さくするように、各々のボールねじ1に流入させる冷却剤の温度および/または流量を制御する冷却媒体循環制御部14aとを有するので、各ボールねじ1相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させる管理を一層好適に行うことができる。
さらに、このボールねじ駆動装置20によれば、冷却剤を強制循環させる1台のポンプ14pから、各々のボールねじ1の流路12まで連通する循環路14cを形成し、各々のボールねじ1に分岐した流路12の流路抵抗の誤差が20%以内になっているので、個々のボールねじ1毎に、個別の冷媒の温度や流量の制御を行わなくても良い。したがって、ボールねじ駆動装置20の構成を簡素にする上で好適である。
すなわち、一般的に、ボールねじの発熱は、ボールとねじ溝との間に生じる差動滑りによる摩擦熱であり、その熱量は、それを駆動するモータの発熱量に比べ小さいが、ねじ軸はその構造上、両端部を除き断熱性の良い空気中に浮いていることにより、熱が蓄積、昇温し、ねじ軸が延びる。一方、一般的なボールねじのナットおよびねじ軸の材質は、熱伝導率の高い金属であり、これに冷却剤の流路を形成することにより、上記熱量の大半を冷却剤に移動させることができる。これより、個々のボールねじについて、均一な温度、流量の冷却剤を単一のポンプから分岐、合流させて循環させることにより、特定のボールねじの温度上昇が大きい場合であっても、その熱量の大半はボールねじの出口での冷媒の熱量に転換され、合流、ポンプによる攪拌作用によって平均化することができるからである。
さらに、このボールねじ駆動装置20によれば、全てのボールねじ1が定圧予圧方式であり、その予圧付与方法として、ばねを使用した定圧予圧を採用しているので、ねじ軸の有効径のバラツキによる予圧量の変動を無視できる。そのため、予圧の誤差によるねじ軸の温度のバラツキ、それによる代表移動量(lm)の相互差Δlmの増大を防止または抑制できる。これにより、予圧のバラツキに伴う代表移動量(lm)の相互差Δlmの増大をより好適に防止できる。したがって、複数のボールねじ1相互の送り精度の相互差をより好適に緩和することができる。
また、このボールねじ駆動装置20によれば、上記付与する予圧の管理は、定常稼動状態でのボールねじ1相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させるように、予圧量を管理しているので、複数のボールねじ1相互の送り精度の相互差をより好適に緩和することができる。
すなわち、ボールねじ1の予圧は、ボール4と両ねじ溝2a,3aとの間の作動すべりを生じ、これが摩擦熱に変換されることを利用するものである。つまり、発熱量はボールねじ駆動装置20の動作パターンに依存するので、本実施形態の例での電動式射出成形機のように、動作パターンが略決まっている装置に好適に適用できる。なお、予圧付与方法としては、オーバーサイズボール予圧、オフセット予圧、定圧予圧等があるが、本実施形態の例である、ばねを使用した定圧予圧であれば、ねじ軸の有効径のバラツキによる予圧量の変動を無視できる他、ボール磨耗による予圧減少も軽減でき、本用途には好適である。
また、このボールねじ駆動装置20によれば、複数のボールねじ1の予圧トルク値の相互差をその絶対値(複数本の最大値)の30%以内としたので、動作時の発熱量の変化を抑えることができる。したがって、複数のボールねじ1相互の送り精度の相互差を緩和することができる。つまり、上述したような複軸のボールねじ駆動装置では、ボールねじの代表移動量(lm)の相互差を抑えても、各ボールねじに与える予圧量に相違がある場合、動作時の発熱量が変化し、その結果、稼動状態での代表移動量(lm)が影響を受ける。例えば、ストロークを1m、2本のボールねじのスパンを500mmで考えた場合に、テーブルの熱変位量の上限値を0.1mmとしたとき、相互差30%は30μmの誤差となる。そのため、これ以内に抑えられればテーブルの進直度は20“以内となり精度上の問題は少ない。
また、このボールねじ駆動装置20によれば、複数のボールねじ1の軸方向剛性の相互差が5%以内に管理されているので、剛性値により予圧量を管理して、間接的に発熱量を管理することができる。したがって、複数のボールねじ1相互の送り精度の相互差をより好適に緩和することができる。
以上説明したように、このボールねじ駆動装置20によれば、複数のボールねじ1を並列に結合して駆動しても、複数のボールねじ1相互の送り精度の相互差を緩和することができる。
なお、本発明に係るボールねじ駆動装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、熱交換手段として、冷却媒体を強制的に循環させる流路を、ねじ軸に設けた例で説明したが、これに限定されず、冷却媒体を強制的に循環させる流路を、ナットに設けてもよい。なお、ねじ軸の温度補正が目的であるので、ねじ軸に冷却媒体を強制的に循環させることは好ましい。
また、例えば上記実施形態では、本発明に係るボールねじ駆動装置を、電動式射出成形機に適用した例で説明したが、これに限定されず、本発明に係るボールねじ駆動装置は、種々の機械や装置に組み込んで用いることができる。また、例えば上記実施形態では、電動式射出成形機に適用する場合に、本発明に係るボールねじ駆動装置を、電動モータの回転運動をスクリューの直線運動に変換する機構部に採用した例で説明したが、これに限定されず、例えば、図1での符号1Bに示すように、金型の型締め機構部についても、本発明に係るボールねじ駆動装置を採用することができる。
さらに、例えば、上記実施形態では、複数のボールねじを並列に結合して軸方向変位を得るボールねじ駆動装置において、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和するために、各ボールねじのねじ軸に、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる熱交換手段を装備した例で説明したが、これに限定されず、本発明に係るボールねじ駆動装置は、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和するものであれば、種々の構成が採用可能である。
例えば、第一の変形例として、各ボールねじのねじ軸またはナットに、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させる発熱手段または冷却手段を装備することによって、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。
ここで、この発熱手段または冷却手段の例として、発熱手段の熱源としてはニクロム線への通電、また、冷却手段の冷却体としてはペルチェ素子等が好適に使用できる。また、ねじ軸およびナットヘの温度伝達方法としては、熱源を直接貼付けたり、空気吹付けや液体の伝熱を利用したりすることができる。なおまた、ねじ軸の温度補正が目的であるので、ねじ軸への加熱、冷却が好ましいが、ねじ軸回転で使用する場合はナットヘの加熱、冷却の方が簡易である。
このような構成であっても、各ボールねじのねじ軸またはナットには、前記複数のボールねじ相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させるための、発熱手段または冷却手段が装備されるので、ボールねじ相互の温度差を、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]に相当する熱膨張量に近似させる管理を行うことができる。したがって、複数のボールねじ相互の送り精度の相互差を緩和することができる。
なお、このような発熱手段または冷却手段を装備するボールねじ駆動装置では、その発熱手段または冷却手段によって、各ボールねじを支持するフレーム(上記の例ではブラケットないしテーブル)に局部的な変形が生じるが、一般に、ねじ軸の周囲は、ボールねじの構成上、断熱性および流動性のある空気であり、各ボールねじのねじ軸が平行に配置されていることから、ねじ軸周辺のフレームに対しては、複数の温度の異なるねじ軸の熱が略平均化されて伝達されるため、フレームの局部的な変形は微小である。
さらにまた、例えば第二の変形例として、上記ボールねじ駆動装置20に対し、少なくとも1本のねじ軸2の両側軸端に、このねじ軸2をその軸方向に拘束して張力を付与できる支持構造を備え、その支持構造で付与される張力を調整することによって代表移動量の相互差を減少させるように構成することができる。
このような構成とすれば、代表移動量(lm)の相互差分の張力付与は、例えば、ねじ軸端の変位を直接測定する、またはねじ軸のばね定数から補正すべき張力を算出して付与する方法で好適に行うことができる。また、例えば使用するボールねじ全てに張力付与機構を持たせ、個々の張力を相互差の分だけ変えることによっても良い。また、ねじ軸回転の場合は、ねじ軸両端に、例えばアンギュラベアリングを配し、これの外輪に張力を与えて固定し、ナット回転の場合は、ベアリングを介さずに直接張力を与えることによって固定できる。この支持構造を備える変形例によれば、調整作業によるので、理論的には代表移動量(lm)の相互差をゼロとすることができる。
さらに、この変形例の場合において、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]を、60×lu[m]以内とすることは好ましい。但し、luは、ねじ部有効長さである。
代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]を、60×lu[m]以内とする理由は、プリテンション量を余り大きくすると、張力を与える軸受の負荷が増大すること、軸受を支える工作機械等の機械や装置のフレームが変形することにより制約がある。そこで、最大プリテンション量を、ねじ軸平均の温度上昇量を5℃とした場合のねじ軸全長の伸び量に設定し、代表移動量(lm)の相互差Δlm[μm]をこの範囲内に抑えることが望ましい。なお、数字の根拠は、全長1mの場合に、12μmxlmx5℃=60μm、をその根拠としている。
本発明のボールねじ駆動装置の一実施形態に係る電動式射出成形機を示す図である。 図1での本発明のボールねじ駆動装置の一方のボールねじ(A部)を拡大して示す図である。 図2に示すボールねじでのB−B断面図である。 ボールねじのナット移動量とその誤差を説明する図である。 ボールねじの精度についての説明図である。 複数のボールねじ相互の精度についての説明図である。
符号の説明
1 ボールねじ
2 ねじ軸
2a ねじ溝
3 ナット
3a ねじ溝
4 ボール
5 テーブル
6 ボール転動路
7 リターンチューブ
8 チューブ押さえ
9 貫通孔
10 冷却媒体循環制御部
12 (冷却媒体用の)流路
14 冷却装置(冷却媒体循環制御部)
16 軸受
17 駆動プーリ
18 流入側シーリング
19 流出側シーリング
20 ボールねじ駆動装置
22 電動モータ
24 スクリュー
26 ブラケット
30 金型
40 電動式射出成形機

Claims (7)

  1. 互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、
    各ボールねじのねじ軸またはナットには、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる発熱手段または冷却手段が装備されていることを特徴とするボールねじ駆動装置。
  2. 互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、
    各ボールねじのねじ軸またはナットには、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる熱交換手段が装備されており、
    前記熱交換手段は、各ボールねじのねじ軸またはナットに形成された冷却媒体用の流路と、該流路に冷却媒体を強制的に循環させるとともに、各々の冷却媒体の温度または流量を相対的に可変する冷却媒体循環制御部とを備え、前記冷却媒体循環制御部は、各々の冷却媒体の温度または流量を制御することによって、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させるようになっていることを特徴とするボールねじ駆動装置。
  3. 前記冷却媒体循環制御部は、各々のボールねじでの冷却媒体の出入口温度を検出する出入口温度検出手段と、該出入口温度検出手段で検出された冷却媒体の出入口温度に基づいて、各ボールねじの発熱量を個別に測定し、その発熱量に応じて、各々のボールねじの発熱量の相互差を小さくするように、各々のボールねじに流入させる冷却媒体の温度または流量を制御する冷却媒体振り分け制御部とを有することを特徴とする請求項2に記載のボールねじ駆動装置。
  4. 互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、
    各ボールねじのねじ軸またはナットには、各々のボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させる熱交換手段が装備されており、
    前記熱交換手段は、各ボールねじのねじ軸またはナットに形成された冷却媒体用の流路と、該流路に冷却媒体を強制的に循環させて、各々の冷却媒体の温度または流量を相対的に可変する冷却媒体循環制御部とを備え、
    前記冷却媒体循環制御部は、冷却媒体を強制循環させる1台のポンプと、該ポンプに接続されて各々のボールねじの冷却媒体の流路に連通する分岐した循環路とを有し、各々分岐した循環路は、相互の流路抵抗の誤差が20%以内になっていることを特徴とするボールねじ駆動装置。
  5. 互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、
    前記複数のボールねじは、定常稼動状態でのボールねじ相互の温度差を、代表移動量の相互差に相当する熱膨張量に近似させるようにそれぞれの予圧量が設定されていることを特徴とするボールねじ駆動装置。
  6. 互いに平行に配置された複数のねじ軸と、それら複数のねじ軸それぞれに相対移動可能に外嵌する複数のナットとを有する複数のボールねじを備え、前記複数のねじ軸の各々の軸端または各々のナットが軸受を介して回転自在に支持されるとともに、各々のナットまたは各々のねじ軸の軸端が固定されてなるボールねじ駆動装置であって、
    前記複数のボールねじは、少なくとも1本のねじ軸の両側軸端に、当該少なくとも1本のねじ軸をその軸方向に拘束して張力を付与できる支持構造を備え、その付与される張力を調整することによって代表移動量の相互差を減少させることを特徴とするボールねじ駆動装置。
  7. 前記複数のボールねじは、前記代表移動量をlmとしてその相互差をΔlm[μm]とし、ねじ部有効長さをluとするときに、Δlm≦60×lu[m]であることを特徴とする請求項6に記載のボールねじ駆動装置。
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