JP2010133556A - ボールねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供する。また、冷却効果をできるだけ高くし、過度な加工効率の低下や圧力損失の増加を招くことのないボールねじ装置を提供する。
【解決手段】ねじ軸10と、複数の転動体30を介してねじ軸10に螺合するナット20と、ナット20を冷却する冷却手段40とを備えたボールねじ装置であり、ねじ軸10のねじ溝10aとナット20のねじ溝20aとの間には、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与された複数の転動体30が組み込まれている。又は、ナット20の軸方向に形成された貫通穴20bの軸方向の長さLと、ナット20の軸方向に設けた貫通穴20bの径Dとの比(L/D)を「10≦L/D≦60」とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボールねじ装置に関し、特に、ナットを冷却可能なボールねじ装置に関する。
従来より、ねじ軸と、該ねじ軸に螺合して相対的に回転可能とされた送りナットとを有するねじ装置では、回転時に点接触又は面接触が生じるため、熱源(例えば、前記送りナット)に冷却手段が設けられることがあった。
このようなねじ装置としては、前記冷却手段(熱交換器)として、冷媒が循環する冷却パイプを前記送りナット内に配設したねじ装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、前記送りナットを冷却する技術としては、特許文献2に示されているものがある。具体的には、送りナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通し、該送りナットを冷却する技術である。
特開昭52−63557号公報 特開2002−310258号公報
千輝淳二著、伝熱計算法、第2版、工学図書株式会社、1981年、p.18〜97
しかしながら、特許文献1に開示されたねじ装置では、熱交換器によって冷却された送りナットに熱収縮が生じ、結果として、トルクが上昇する問題があった。
具体的に、ねじ装置の温度上昇値θは、下記式(1)で表される。なお、下記式(1)において、tは経過時間、CMはねじ装置の熱容量、βはねじ装置からの単位時間、単位温度差あたりの放熱量、Qはナットから発生する単位時間当たりの熱量である。
Figure 2010133556
また、式(1)におけるQは、下記式(2)で表される。なお、下記式(2)において、Tは動摩擦トルク、nは軸回転数である。
Q=Tx60nx2π/1000=0.12πnT・・・・・・式(2)
特許文献1に示されているように、送りナットを単に冷却すると、式(1)のβが大きくなるが、上述のように同時にトルクが上昇してしまうと、式(2)よりQも大きくなってしまい、Q/βで得られる温度上昇値は大きくなる。従って、送りナットを単に冷却することにより、トータルとしての冷却効率は落ちてしまうという問題があった。
ここで、図7及び図8は予圧形式ごとの予圧方向とナットの熱収縮方向との関係を示した模式図である。図7は予圧方向を圧縮方向とした2点接触状態の予圧形式を示す図であり、図8はオーバーサイズボール予圧状態を示す図である。
図7及び図8に示すように、ボールねじ装置100は、ねじ軸110と、ねじ軸110に対し、複数の転動体130を介して螺合するナット120とを有する。転動体130は、ねじ軸110のねじ溝110aとナット120のねじ溝120aとの間で予圧されている。
ナット120が冷却されて中心方向へ向かう熱収縮fが起きた場合、図7及び図8に示す予圧状態では、予圧荷重Fa0を高くする方向にナット120が収縮してしまい、動摩擦トルクが上昇してしまう。
一方、発明者らは、ボールねじ装置のナットを冷却する場合、その冷却液を通す貫通穴の径によって冷却効果が大きく変化することを、非特許文献1に示されているNusseltの方法で推定し、実験によって上記冷却効果の変化について確認した。
この実験によって得られた結論は、冷却媒体の種類、流量が同一であれば、貫通穴の径を小さくすればするほど熱伝導率が上がり冷却効果が高くなることである。
しかし、高い冷却効果を得る目的で貫通穴の径を小さくすると、以下に示す2つの問題点が生じることがあった。
(1)貫通穴の加工が小径かつ長穴の加工となることから、加工効率が落ち、ボールねじ装置のコストアップに繋がる。
(2)冷却媒体を通すときの圧力損失が大きくなってしまう。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供することにある。
また、本発明は、ナット内の軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通すことで冷却を行なうボールねじ装置において、冷却効果をできるだけ高くし、過度な加工効率の低下や圧力損失の増加を招くことのないボールねじ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、トータルの予圧荷重がほとんど増加しない予圧形式を採用することにより、冷却によってナットが収縮したときにも動摩擦トルクが上昇しにくいことを知見した。
また、本発明者らは、ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通すことで冷却を行なうボールねじにおいて、貫通穴の軸方向の長さLと貫通穴の径Dとの比L/Dを規定することにより、冷却効果をできるだけ高くし、過度な加工効率の低下や圧力損失の増加を招くことのないことを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための本発明の請求項1に係るボールねじ装置は、ねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合するナットと、該ナットを冷却する冷却手段とを備えたボールねじ装置において、
前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝との間には、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与された前記複数の転動体が組み込まれていることを特徴としている。
また、上記課題を解決するための本発明の請求項2に係るボールねじ装置は、ねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合するナットと、該ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通して前記ナットに設けた軸方向への貫通穴に冷却媒体を通して前記ナットを冷却する冷却手段とを備えたボールねじ装置において、
前記貫通穴の軸方向の長さLと、前記貫通穴の径Dとの比(L/D)を下記式(A)としたことを特徴としている。
10≦L/D≦60・・・・・・・・・・・・・・・・・式(A)
本発明の請求項1に係るボールねじ装置によれば、冷却手段がナットに具備されると共に、前記ナットの予圧方式を引張り方向の2点接触予圧としたので、径方向への収縮は予圧荷重を高める方向に作用するが軸方向への収縮はこれを軽減するように作用するため、トータルの予圧荷重はほとんど増加しない。従って、冷却によってナットが収縮したときにも、動摩擦トルクが上昇しにくいボールねじ装置を提供することができる。
また、本発明の請求項2に係るボールねじ装置によれば、前記貫通穴の軸方向の長さLと、前記貫通穴の径Dとの比(L/D)を上記式(A)に規定することで、熱伝達率と、ねじ軸と冷却媒体との温度差と、ねじ軸内の冷却媒体と接する面の面積とを勘案して、冷却効果及びトータルコストを両立した理想的なボールねじ装置1を提供することができる。
本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。 本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態において引張方向を予圧方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。 本発明に係るボールねじ装置の第2の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。 実施例1のボールねじ装置を駆動し、ナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。 比較例1のボールねじ装置を駆動し、ナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。 比較例1のボールねじ装置の構成を示す軸方向に沿う断面図である。 予圧方向を圧縮方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。 オーバーサイズボール予圧状態と収縮との関係を示す図である。 本発明に係るボールねじ装置の第3の実施形態における構成を示す側面図である。 第3の実施形態において、貫通穴20bの軸方向の長さLを固定して、貫通穴20bの径Dのみを変化させたときの計算結果としてのL/Dと冷却効果との関係を示すグラフである。 第3の実施形態において、表4のTP2(L/D=30)での温度上昇値を基準とした場合のその他のTPの温度上昇値を計算結果と併せて示したL/Dと冷却効果との関係を示すグラフである。 第3の実施形態において、貫通穴20bの形状や面粗さを保ちながら加工できる最大の送り速度から加工効率を検証したときのL/Dと冷却効果及び加工効率との関係を示すグラフである。 第3の実施形態において、熱流Q’を一定とした場合のL/Dと冷却効果及び圧力損失との関係を示すグラフである。
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るボールねじ装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態のボールねじ装置1は、ねじ軸10と、ナット20とを有する。ねじ軸10及びナット20は、複数の転動体30を介して螺合している。ナット20は、ねじ軸10の外径より大きい内径で筒状に形成されている。ナット20の内周面には、ねじ軸10の外周面に螺旋状に形成されたねじ溝10aに対向するようにねじ溝20aが形成されている。ねじ溝10aとねじ溝20aとによって形成された転動路において転動体30は転動可能とされている。
また、ナット20には、軸方向に貫通する貫通穴20bが形成されている。この貫通穴20bは、冷却媒体の通路として用いられ、貫通穴20b内で冷却媒体を循環させるための循環装置(図示せず)が接続されている。この循環装置及び貫通穴20bが冷却手段40を構成する。このように、図示しない循環装置によって貫通穴20b内を冷却媒体が循環することによって、ナット20が冷却される。
ねじ軸10のねじ溝10aと、ナット20のねじ溝20aとの間には、予圧方向を引張り方向として、予圧荷重Fa0でオフセットリード予圧(2点接触予圧)された複数の転動体30が組み込まれている。
図2は、引張方向を予圧方向とした2点接触状態の予圧状態と収縮との関係を示す図である。
図2に示すように、引張方向の2点接触予圧をナット20に与えた場合は、径方向への熱収縮fは予圧荷重Fa0を高める方向に作用するが、軸方向への熱収縮fはこれを軽減するように作用するため、トータルの予圧荷重はほとんど増加しない。
このため、本発明に係るボールねじ装置1では、引張方向の2点接触予圧をナット20に与えることにより、ナット20を冷却しても予圧トルクが増大することなく効率的にボールねじ装置1全体を冷却することができる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明に係るボールねじ装置の第2の実施形態を示す図である。図3に示すように、本実施形態は、第1の実施形態が予圧方式として、オフセットリード予圧を採用したのに対し、ダブルナット予圧方式を採用している。
具体的には、図3に示すように、本実施形態のボールねじ装置1は、共通のねじ軸10に、複数の転動体30を介して螺合する第1のナット21及び第2のナット22と、間座50とを有する。間座50は、第1のナット21及び第2のナット22の内径とほぼ同じ内径を有する円環状をなし、第1のナット21と第2のナット22との相対回転を阻止する。また、間座50が設けられることによって、第1のナット21及び第2のナット22のそれぞれのねじ溝21a,22aと、ボールねじ10のねじ溝10aとの間に組み込まれる複数の転動体30に予圧荷重Fa0で2点接触状態の予圧が与えられている。なお、予圧方向は第1の実施形態と同様に引張方向である。
以下、本発明に係るボールねじ装置の実施例について説明する。
図4は、前述の第1の実施形態のボールねじ装置(図1参照)を実施例1のボールねじ装置として駆動し、駆動の途中でナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
また、図5は、比較例1のボールねじ装置を駆動し、駆動の途中でナットを冷却したときのナットの温度上昇値とトルクを同時に測定した結果を示すグラフである。
実施例1及び比較例1のボールねじ装置の構成を表1に示し、実施例1及び比較例1の駆動条件を表2に示し、実施例1及び比較例1の冷却条件を表3に示す。
ここで、比較例1のボールねじ装置の構成は、図6に示すように、ねじ溝10aとねじ溝20aとの間において、予圧荷重Fa0でオーバーサイズボール予圧(4点接触予圧)された複数の転動体30が組み込まれている点が実施例1と異なる。
なお、図4及び図5において、ナットの温度が急激に低下したときが、冷却開始時である。
Figure 2010133556
Figure 2010133556
Figure 2010133556
図4及び図5に示すように、実施例1及び比較例1ともに、冷却を開始すればナットの温度が低下することが分かるが、実施例1のボールねじ装置の方が、軸の温度低下が大きいことが分かる。ボールねじ装置駆動の送り系ではテーブル精度に直接的に影響する軸の温度変化が重要になる。
また、トルクの変化に着目すると、比較例1では、冷却前の約2倍までトルクが上昇している。これは、冷却によってナットが熱収縮をおこし、その熱収縮の方向が予圧方向と一致し、予圧荷重が高くなっているためである。この発熱が、冷却による放熱効果を薄め、結果的にトータルとしての冷却効果が小さくなっている。また、過大予圧を招き、結果としてボールねじ装置の寿命を低下させてしまう。
これに対して、実施例1のボールねじ装置のトルクは、冷却前後でほとんど変化していない。これは冷却によるナットの熱収縮の方向の中で径方向は予圧荷重を高めるが軸方向は予圧荷重を低くする方向に作用し、これらが相互に作用しているためである。この結果、実施例1のボールねじ装置では、ナットの熟収縮の影響を受けず、高い冷却効果が得られる。
(第3の実施形態)
図9は、本発明に係るボールねじ装置の第3の実施形態における構成を示す側面図である。図9に示すように、本実施形態のボールねじ装置は、本実施形態のボールねじ装置1は、ねじ軸10と、ナット20とを有する。ねじ軸10及びナット20は、複数の転動体30を介して螺合している。ナット20は、ねじ軸10の外径より大きい内径で筒状に形成されている。ナット20の内周面には、ねじ軸10の外周面に螺旋状に形成されたねじ溝10aに対向するようにねじ溝20aが形成されている。ねじ溝10aとねじ溝20aとによって形成された転動路において転動体30は転動可能とされている。
また、ナット20には、軸方向に貫通する貫通穴20bが形成されている(図9ではナット20の軸方向に3つの貫通穴20bが形成されている。)。この貫通穴20bは、冷却媒体の通路として用いられ、貫通穴20b内で冷却媒体を循環させるための循環装置(図示せず)がボールねじ装置1に接続されている。この循環装置及び貫通穴20bが冷却手段40を構成する。冷却手段40は、前記循環装置と貫通穴20bとを連結して冷却媒体を貫通穴20bに流入される管41及び貫通穴20bから冷却媒体を流出させる管41を含む。このように、図示しない循環装置によって貫通穴20b内を冷却媒体が循環することによって、ナット20が冷却される。
ここで、非特許文献1によると、貫通穴20b内を乱流状態で冷媒が流れる場合の熱流Q’は、
α:熱伝達率
△θ:ねじ軸10と冷却媒体との温度差
F:ねじ軸10内の冷却媒体と接する面の面積
としたとき、下記式(3)で表される。
Figure 2010133556
また、熱伝達率α、及び、ねじ軸10内の冷却媒体と接する面の面積Fは、
π:流体の熱伝導率
D:貫通穴20bの径
Nu:ヌセルト数
L:貫通穴20bの軸方向の長さ
としたとき、下記式(4)及び式(5)で表される。
Figure 2010133556
ここで、上記ヌセルト数Nuは、
Re:レイノルズ数
Pr:プラントル数
としたとき、下記式(6)で表される。
Figure 2010133556
なお、レイノルズ数Re、及びプラントル数Prは、
:冷却媒体の流速
v:冷却媒体の動粘度
a:冷却媒体の温度伝導率
としたとき、それぞれ下記式(7)及び式(8)で表される。
Figure 2010133556
ここで、冷却媒体の流速uは、
w:冷却媒体の流量
A:貫通穴20bの断面積
としたとき、下記式(9)で表される。
Figure 2010133556
なお、貫通穴20bの断面積Aは下記式(10)で表される。
Figure 2010133556
以上の式(4)〜(10)を、式(3)に代入して整理すると、熱流Q’は下記式(11)で表される。
Figure 2010133556
式(11)は、冷却媒体の種類、流量が変わらなければ冷却液が通る貫通穴20の長さと貫通穴20の径との関数となり、貫通穴20の長さが長いほうが熱交換は多く行なわれ、貫通穴20の径が小さいほうが熱交換は多く行なわれることを示している。すなわち、冷却効果が高いということである。これをナット20の設計に置き換えてみると貫通穴20の軸方向の長さLと、貫通穴20bの径Dとの比率であるL/Dが大きいほうが、冷却効果が高いといえる。実際のナット20の設計において、上記のうち貫通穴20の軸方向の長さLは荷重条件や要求寿命、要求精度などで決まることが多く、冷却手段を有するナット20を設計する際に重要なパラメータとしては貫通穴20bの径Dということになる。
そこで、ナット10を1本の貫通穴20bに冷却媒体を通すことで冷却した場合、貫通穴20bの軸方向の長さLを固定して、貫通穴20bの径Dのみを変化させたときのL/Dと、冷却効果との関係を図10に示す。図10中、冷却効果(縦軸)の数値は、ボールねじの単純往復時の飽和温度上昇値を測定し、L/D=30の値を基準(=1)とする比で表した。図10に示すように、L/Dが10を下回ると冷却効果が大きく低下し、L/Dが10以上ではほぼ線形的に冷却効果が高くなることがわかる。これにより、L/Dは、下記式(12)とし、なるべく大きくすることが望ましいことがわかる。
Figure 2010133556
ここで、式(12)に示す関係と、下記表4に示す試験条件で実験したボールねじ装置1とを比較評価した。
図11は、本実施形態において、表4のTP2(L/D=30)での温度上昇値を基準とした場合のその他のTPの温度上昇値を、図10の計算結果と併せて示したL/Dと冷却効果との関係を示すグラフである。図11に示すように、実験結果と計算結果は概ね良好な一致が認められ、上述の計算方法が実験的に確認できた。
Figure 2010133556
図11から、ナット20に冷却手段を設ける場合、貫通穴20bの軸方向の長さLに対する貫通穴の径の比率L/Dはできるだけ大きいほうがよいことになるが、あまりにもこの値が大きい場合には、以下の2点の問題が生じる。
(1)貫通穴20bの加工が小径の長穴加工となることから加工効率が落ち、ボールねじ装置のコストアップに繋がる。
(2)冷却媒体を通すときの圧力損失が大きくなってしまう。
ここで、上記(1)の問題点に関して上述のナット20を加工する際の、貫通穴20bの軸方向の長さLに対する貫通穴の径の比率L/Dと加工効率との関係を検証したので、この結果を図11に重ね合わせたものを図12に示す。図12中、縦軸の加工効率の数値は、貫通穴20bの形状や面粗さを保ちながら加工できる最大の送り速度による貫通穴20bの加工時間を、L/D=30の値を基準(=1)とする比で表した。
図12から、L/Dが60を超えたあたりから急激に加工効率が落ちていることがわかる。これは、工具が小径になることによって工具剛性が低くなることから、工具破損を防止するために加工速度を落とさなければならないことや、長大加工となることから切屑排出のための抜き動作(非加工時間)が増えるためである。したがって、L/Dの範囲としては下記式(13)とすることが望ましいことがわかる。
Figure 2010133556
また、貫通穴20b内を乱流状態で流れる流体の出入口での圧力損失hは、
ζ:貫通穴20b内の摩擦損失係数
ρ:流体の密度
:流速
としたとき、下記式(14)で表される。
Figure 2010133556
ここで、流量が一定であれば、式(9),(10)より圧力損失と流量w,貫通穴20bの径Dの関係は以下となる。
Figure 2010133556
ここで、流量Q’を一定とした場合のL/Dと冷却効果及び圧力損失との関係を図13に示す。図13は、図11に流量Q’を一定とした場合のL/Dと圧力損失との関係を重ねたものである。ここで圧力損失は右側の軸に従う。これよりL/Dが40を超えたあたりから急激に圧力損失が上がっていることがわかる。
ボールねじ装置1を冷却する際には、ポンプや冷却機を有した冷却手段によって冷却した冷却媒体をボールねじ装置に供給する必要があり、この冷却手段をよりコンパクトにしたり、冷却手段自身の発熱を抑えるためには、ボールねじ装置1内での圧力損失はできるだけ小さくする必要がある。
すなわち、L/Dの範囲としては、下記式(16)とすることが望ましいことがわかる。
Figure 2010133556
以上の結果より、ナット20を冷却する構造を有したボールねじ装置1において冷却効果とナット20の加工効率を両立するためには、式(12),(13)より貫通穴20の軸方向の長さLと、貫通穴20bの径Dとの比を、下記式(A)の範囲とすることが好ましい。
Figure 2010133556
さらに、冷却手段の負荷低減を図るためには、式(12),(15)より、下記式(17)に表すようにすると、冷却効果とトータルコストを両立した理想的なボールねじ装置1を提供できる。
Figure 2010133556
上記説明では、ナット内に1本の貫通穴が形成されたボールねじ装置について計算したが、図9に示すように、ナット内に、その軸方向に複数の貫通穴が並設され、それら複数の貫通穴を連結させた形態としたボールねじ装置においては、上記計算式のLを4L(例えばナット内に4本の貫通穴が並設された場合)などとして計算すればよい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
1 ボールねじ装置
10 ねじ軸
20 ナット
30 転動体
40 冷却装置
41 管

Claims (2)

  1. ねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合するナットと、該ナットを冷却する冷却手段とを備えたボールねじ装置において、
    前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝との間には、予圧方向を引張り方向として2点接触状態で予圧を付与された前記複数の転動体が組み込まれていることを特徴とするボールねじ装置。
  2. ねじ軸と、複数の転動体を介して前記ねじ軸に螺合するナットと、該ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通して前記ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通して前記ナットを冷却する冷却手段とを備えたボールねじ装置において、
    前記貫通穴の軸方向の長さLと、前記貫通穴の径Dとの比(L/D)を下記式(A)としたことを特徴とするボールねじ装置。
    10≦L/D≦60・・・・・・・・・・・・・・・・・式(A)
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