JP4957289B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents

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Description

この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤楽器に関する。
従来、電子ピアノなどの鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、複数の鍵が配列された鍵盤部と、この鍵盤部の両側を支える一対の側板とを備え、鍵盤部の両側面に回転軸とガイド突起とをそれぞれ設け、一対の側板の互いに対向する各内面上部に鍵盤部の回転軸が回転自在に嵌合する軸受け穴と鍵盤部のガイド突起をガイドするガイド溝とをそれぞれ設け、回転軸を中心に鍵盤部を回転させると、鍵盤部のガイド突起が側板のガイド溝によってガイドされることにより、鍵盤部を使用可能な水平状態と使用しない垂直状態とになるように構成したものがある。
実開平04−124293号
すなわち、この種の鍵盤楽器は、使用するときに回転軸を中心に鍵盤部を回転させて、鍵盤部のガイド突起を側板のガイド溝に沿って斜め上側にガイドすることにより、鍵盤部を一対の側板間における上部に水平な状態で配置させ、使用しないときに回転軸を中心に鍵盤部を回転させて、鍵盤部のガイド突起を側板のガイド溝に沿って斜め下側にガイドすることにより、鍵盤部を一対の側板間における上部奥側に垂直な状態で配置させて、鍵盤部を収納するように構成されている。
しかしながら、このような従来の鍵盤楽器では、鍵盤部の水平な状態における奥行きの幅と側板の奥行きの幅とが同じ大きさであるから、鍵盤部を使用しないときに、鍵盤部を一対の側板間における上部奥側に垂直な状態で配置させて鍵盤部を収納すると、一対の側板が鍵盤部よりも突出した状態になる。このため、鍵盤部を収納しても、鍵盤部の両側を支える一対の側板が邪魔になるばかりか、楽器全体の奥行きが鍵盤部の奥行きよりも小さくならず、楽器全体のコンパクト化を図ることができないという問題がある。
この発明が解決しようとする課題は、使用時に鍵盤部を良好に操作でき、使用しないときに鍵盤部をコンパクトに収納できると共に、楽器全体の奥行きを鍵盤部の奥行きよりも小さくでき、これにより楽器全体のコンパクト化を図ることができる鍵盤楽器を提供することである。
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、奥行きの狭い縦長のほぼ箱形状に形成され、その前面に横長の鍵盤開口部が形成された楽器本体と、
複数の鍵が配列されて前記楽器本体内における前記鍵盤開口部に対応する箇所に配置される鍵盤部と、
この鍵盤部を前記楽器本体内に起立横倒可能に取り付けて、前記鍵盤部を前記楽器本体内に起立させて収納する第1の状態と、前記鍵盤部を横倒させて前記複数の鍵が前記楽器本体内から前記楽器本体の前記鍵盤開口部を通してほぼ水平な状態で前記楽器本体の前面側に突出する第2の状態とに、前記鍵盤部を回転させるための回転連結部と
を備え
前記楽器本体の前面における少なくとも前記鍵盤開口部の上部側は、その上部から前記鍵盤開口部に向けて緩やかに湾曲する凸曲面に形成されており、前記鍵盤部の前記底面は、前記楽器本体の前面における前記鍵盤開口部の上部側と同じ曲率の凸曲面に形成されていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項に記載の発明は、前記回転連結部を中心として前記鍵盤部が前記楽器本体に対し回転動作して起立横倒するときに、前記鍵盤部の回転動作を制動する制動部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器である。
請求項に記載の発明は、前記鍵盤部における前記鍵の後側に位置する上部に譜面立て支持軸によって起立横倒可能に設けられた譜面立て部材と、前記回転連結部を中心とする前記鍵盤部の回転動作に連動して前記譜面立て部材を前記鍵盤部に対し起立横倒させる譜面立て連動部材とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器である。
請求項に記載の発明は、前記譜面立て連動部材は、前記鍵盤部が前記楽器本体内に起立するときに、前記譜面立て部材を前記鍵盤部に重なるように横倒させ、前記鍵盤部が横倒して前記複数の鍵が前記楽器本体の前面側に突出するときに、前記譜面立て部材を前記鍵盤部に対し起立させ、この起立した前記譜面立て部材で前記楽器本体の前記鍵盤開口部を前記鍵盤部と共に塞ぐことを特徴とする請求項3に記載の鍵盤楽器である。
請求項に記載の発明は、前記譜面立て部材の前面が、前記楽器本体の前面における前記鍵盤開口部の上部側と同じ曲率の凸曲面に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の鍵盤楽器である。
請求項に記載の発明は、前記楽器本体の下部に設けられた操作ペダルと、この操作ペダルの踏み込み動作に連動して前記回転連結部を中心として前記鍵盤部を回転させることにより、前記鍵盤部の起立した上部を前記楽器本体の前面側に突出させるペダル連動部材とを備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の鍵盤楽器である。
この発明によれば、鍵盤部を使用するときに、回転連結部を中心として鍵盤部を横倒させて、複数の鍵を楽器本体内から楽器本体の鍵盤開口部を通してほぼ水平な状態で楽器本体の前面側に突出させることにより、鍵盤部の複数の鍵を押鍵操作して良好に演奏することができ、また鍵盤部を使用しないときに、回転連結部を中心として鍵盤部を楽器本体内に起立させることにより、鍵盤部を楽器本体内にコンパクトに収納することができる。このため、楽器全体の奥行きを鍵盤部の水平な状態における奥行きよりも小さくすることができ、これにより楽器全体のコンパクト化を図ることができる。
(実施形態1)
以下、図1〜図18を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1ついて説明する。
この鍵盤楽器は、図1〜図7に示すように、楽器本体1と鍵盤ユニット2とを備えている。楽器本体1は、図7に示すように、背面板3と、この背面板3の両側に設けられた一対の側板4と、この一対の側板4の下面に張り渡された底板5と、一対の側板4の上面に張り渡された天板6と、一対の側板4の前側上部に張り渡された上前板7と、一対の側板4の前側下部に張り渡された下前板8とを備え、上前板7と下前板8との間に横長の鍵盤開口部9(図1、図4、図12参照)が形成され、全体が奥行きの狭い縦長のほぼ箱形状に形成されている。
この場合、一対の側板4の下面には、図2および図5に示すように、支持足10が側板4の前方に延出された状態で取り付けられている。この支持足10は、奥行きの狭い縦長の楽器本体1を安定した状態で支えるためのものであり、細長い帯板状に形成されていることにより、側板4の前方に延出されても邪魔にならないように構成されている。また、一対の側板4は、図2、図5および図7に示すように、上下方向におけるほぼ中間部分の奥行きの幅が最も長く、その上下部の奥行きの幅が次第に短くなるように、側板4の前端面が緩やかに湾曲する凸曲面4aに形成されている。
これに伴って、上前板7は、図2、図5および図7に示すように、楽器本体1の上端部に位置する上部から楽器本体1の中間部分よりも上側に位置する下部に向けて側板4の凸曲面4aと同じ曲率で緩やかに湾曲する凸曲面に形成されている。また、下前板8は、図7に示すように、演奏者の邪魔にならないように、その前面が楽器本体1のほぼ中間部分に位置する上部から楽器本体1の下端部に位置する下部に向けて緩やかに湾曲する凹曲面に形成されている。
一方、鍵盤ユニット2は、図7および図8に示すように、楽器本体1内に設けられるユニットケース11と、複数の鍵13を有する鍵盤部12と、ユニットケース11内に鍵盤部12を起立横倒可能に取り付けるための回転連結部14とを備えている。この鍵盤ユニット2は、ユニットケース11内に鍵盤部12が回転連結部14によって起立横倒可能に取り付けられていることにより、鍵盤部12をユニットケース11内に起立させて収納する第1の状態と、鍵盤部12を横倒させて複数の鍵13をユニットケース11内から楽器本体1の鍵盤開口部9(図1、図4、図12参照)を通して水平な状態で楽器本体1の前面側(図2では左側)に突出させる第2の状態とに、鍵盤部12が回転するように構成されている。
この場合、ユニットケース11は、図8に示すように、背面板15と、この背面板15の両側に設けられた一対の補強板16と、この一対の補強板16の下面に張り渡された底板17と、一対の補強板16の上面に張り渡された上板18とを備え、前面側(図8では左面側)が開放された縦長のほぼ箱形状に形成され、図7および図10に示すように、楽器本体1内における上下方向のほぼ中間部分からその上側に位置し、且つ楽器本体1の鍵盤開口部9に対応して配置されている。
鍵盤部12は、図2、図3、図8〜図10に示すように、横方向に長いほぼ箱形状の鍵盤ケース20と、この鍵盤ケース20内に配列された複数の鍵13とを備え、図2に示すように、鍵盤ケース20がほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出して配置されたときに、複数の鍵13が水平に配列された状態で上方に露出し、図10に示すように、鍵盤ケース20が起立して楽器本体1内に収納された状態のときに、複数の鍵13が起立して楽器本体1の背面板3側に露出するように構成されている。
回転連結部14は、図8に示すように、ユニットケース11の一対の補強板16における下部側の前端部に設けられた軸取付孔21と、ほぼ水平な状態の鍵盤ケース20の後端下部(図9では右側下部)、言い換えれば起立した状態の鍵盤ケース20の前側下部(図8では左側下部)に設けられた軸受け部22と、補強板16の外側から軸取付孔21に挿入されて鍵盤ケース20の軸受け部22内に回転自在に挿入される支持軸23とからなり、図9〜図12に示すように、支持軸23を中心として鍵盤部12が上下方向に回転するように構成されている。
すなわち、鍵盤部12は、その軸受け部22が補強板16における下部側の前端部に位置する軸取付孔21に対応した状態で、回転連結部14の支持軸23によって回転可能に支持されていることにより、図9に示すように、回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤ケース20が反時計回りに回転すると、鍵盤ケース20が横倒して複数の鍵13がユニットケース11から楽器本体1の鍵盤開口部9を通してほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出するように構成されている。
また、この鍵盤部12は、図10に示すように、回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤ケース20が時計回りに回転すると、鍵盤ケース20がユニットケース11内に起立して収納されると共に、鍵盤部12の底面が楽器本体1の鍵盤開口部9を塞ぐように構成されている。この場合、鍵盤部12の底面つまり鍵盤ケース20の底面20aは、図10に示すように、楽器本体1の前面つまり楽器本体1の側板4における前端面の凸曲面4aおよび上前板7の前面と同じ曲率で緩やかに湾曲する凸曲面に形成されている。
また、鍵盤ユニット2は、図9〜図14に示すように、鍵盤部12の回転範囲を規制する回転規制部材24を備えている。この回転規制部材24は、図9に示すように、ほぼ水平な状態の鍵盤ケース20の後部(図9では右側部)から突出した取付突起部25の両側面(図9では紙面の表裏側の面)におけるほぼ中間部にそれぞれ設けられたストッパーピン26と、ユニットケース11の一対の補強板16における各内面にそれぞれ設けられてストッパーピン26が移動可能に挿入すると共に、そのストッパーピン26の移動範囲を規制する規制溝27とを備えている。
すなわち、規制溝27は、図13、図14および図15に示すように、回転連結部14の軸取付孔21を中心とする同心円上に形成され、鍵盤部12が反時計回りに回転し、図9に示すように、鍵13がほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側(図9では左側)に突出したときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が規制溝27内の上端部27aに当接して鍵盤部12の回転位置を規制し、また鍵盤部12が時計回りに回転して楽器本体1内に起立し、図10に示すように、鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞いだときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が規制溝27内の下端部27bに当接して鍵盤部12の回転位置を規制するように構成されている。
また、この鍵盤ユニット2は、図9〜図14に示すように、鍵盤部12の回転動作を制動する制動部材28を備えている。この制動部材28は、図9〜図15に示すように、鍵盤ケース20の取付突起部25の両側面におけるストッパーピン26の両側に位置して設けられた第1、第2ダンパ軸30、31と、この第1、第2ダンパ軸30、31に取り付けられた第1、第2ピニオンギア32、33と、ユニットケース11の一対の補強板16における各内面にそれぞれ設けられて第1、第2ピニオンギア32、33が噛み合って転動する第1、第2ラックギア溝34、35とを備えている。
すなわち、第1、第2ダンパ軸30、31は、ダンパ機能部を有する軸であり、第1、第2ピニオンギア32、33に負荷を与えてその回転を制動するように構成されている。また、第1、第2ラックギア溝34、35は、図13、図14および図15に示すように、回転規制部材24の規制溝27と同様、回転連結部14の軸取付孔21を中心とする同心円上に形成されている。この場合、第1ラックギア溝34は、その半径が回転規制部材24の規制溝27よりも短く形成され、回転連結部14の支持軸23側に位置する内面にラック歯が設けられている。また、第2ラックギア溝35は、その半径が回転規制部材24の規制溝27よりも長く形成され、回転連結部14の支持軸23と反対側に位置する内面にラック歯が設けられている。
これにより、制動部材28は、図13〜図15に示すように、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23に上下方向に回転するときに、第1、第2ピニオンギア32、33が第1、第2ラックギア溝34、35に噛み合って転動すると共に、第1、第2ダンパ軸30、31によって第1、第2ピニオンギア32、33に負荷が加えられていることにより、鍵盤部12がその自重によって勝手に回転せず、鍵盤部12が任意の回転位置に停止するように、鍵盤部12の回転動作を制動する構成になっている。
この場合、第1、第2ラックギア溝34、35は、回転規制部材24の規制溝27の深さよりも少し浅く形成されている。これにより、規制溝27と第2ラックギア溝35とは、その一部が相互に重なり合っても、ストッパーピン26と第2ピニオンギア33とが互いに干渉せずにガイドするように構成されている。また、この制動部材28は、第1ラックギア溝34が支持軸23側に位置する内面にラック歯が設けられ、第2ラックギア溝35が支持軸23と反対側に位置する内面にラック歯が設けられていることにより、鍵盤部12が回転動作するときに、鍵盤部12の前後方向のガタツキを防ぐように構成されている。
ところで、鍵盤部12における鍵13の後側に位置する上部、つまりほぼ水平な状態の鍵盤ケース20における後側の上面には、図8〜図12に示すように、譜面立て部材36が譜面立て支持軸37によって起立横倒可能に取り付けられている。この譜面立て部材36は、図8に示すように、横長のほぼ平板状に形成され、図9および図10に示すように、譜面立て支持軸37によって鍵盤部12の後部上面に回転可能な状態で取り付けられ、譜面立て連動部材38によって鍵盤部12の回転連結部14を中心とする鍵盤部12の回転動作に連動して起立横倒するように構成されている。
すなわち、譜面立て連動部材38は、図8〜図13、図16に示すように、譜面立て支持軸37と反対側に位置する譜面立て部材36の先端部における両側に設けられたガイドピン39と、ユニットケース11の一対の補強板16に設けられてガイドピン39をガイドする譜面立てガイド溝40とを備えている。この場合、譜面立てガイド溝40は、図13に示すように、補強板16の前側上部(図13では左側上部)から補強板16の前端面に沿って降下する立上り溝部40aと、この立上り溝部40aの下端部から補強板16の奥側(図13では右側)に向けて緩やかに傾斜する傾斜溝部40bとからなり、これらが連続してガイドピン39をガイドするように構成されている。
これにより、譜面立て連動部材38は、図9および図10に示すように、楽器本体1の前面側に突出した状態の鍵盤部12が楽器本体1内に起立して収納されるときに、楽器本体1の鍵盤開口部9を塞いでいる譜面立て部材36のガイドピン39を譜面立てガイド溝40における立上り溝部40a内の上部から下部にガイドした後、譜面立てガイド溝40における傾斜溝部40b内の前側上部(図10では左側上部)から奥側下部(図10では右側下部)にガイドすることにより、譜面立て部材36を鍵盤部12に向けて横倒させて鍵盤部12に重ねるように構成されている。
また、この譜面立て連動部材38は、図9および図10に示すように、楽器本体1内に起立して収納された状態の鍵盤部12が横倒して鍵盤部12の上部が楽器本体1の前面側に突出するときに、鍵盤部12に重なっている状態の譜面立て部材36のガイドピン39を譜面立てガイド溝40における傾斜溝部40bの奥側下部(図10では右側下部)から前側上部(図10では左側上部)にガイドした後、譜面立てガイド溝40における立上り溝部40aの下部から上部にガイドすることにより、譜面立て部材36を鍵盤部12に対し起立させ、この起立した譜面立て部材36で楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12と共に塞ぐように構成されている。
この場合、譜面立て部材36は、図8および図9に示すように、その前面36aが楽器本体1の前面、つまり楽器本体1の側板4における前端面の凸曲面4aおよび上前板7の前面と同じ曲率で緩やかに湾曲する凸曲面に形成されている。また、この譜面立て部材36の前面36aには、図8および図9に示すように、譜面台41が折り畳み可能に取り付けられている。すなわち、この譜面台41は、図8および図9に示すように、使用しないときに、譜面立て部材36の前面36aに折り畳まれて密接し、使用するときに、図9に2点鎖線で示すように、起立した譜面立て部材36の前面36aにほぼ直角に起立してほぼ水平な状態で配置されるように構成されている。
また、この譜面立て部材36の先端部における中間部分には、図8に示すように、2つの補助ガイドローラ42が設けられている。この補助ガイドローラ42は、図8および図17に示すように、譜面立て部材36の先端部に設けられた一対のローラ支持部42aに1本のローラ軸42bを取り付け、一対のローラ支持部42a間に位置するローラ軸42bに回転自在に取り付けられている。これにより、補助ガイドローラ42は、鍵盤部12の回転動作に伴って譜面立て部材36が起立横倒するときに、ユニットケース11の背面板15に設けられたガイドカム43に沿ってガイドされることにより、譜面立て部材36が横長に形成されていても、譜面立て部材36の中間部分の撓みを防ぐように構成されている。
一方、楽器本体1の下部には、図1および図4に示すように、複数のフットペダル44と、1つの操作ペダル45とが設けられている。複数のフットペダル44は、鍵盤部12の鍵盤操作時における楽音の音量、ビブラートなどの楽音効果を付加するためのものである。操作ペダル45は、図9〜図12に示すように、その踏み込み動作に応じて回転連結部14を中心に鍵盤部12を回転させることにより、起立した状態の鍵盤部12の上部を楽器本体1の前面側に突出させるペダル連動部材46とを備えている。
すなわち、このペダル連動部材46は、図9〜図12および図18に示すように、操作ペダル45の奥端部(図9では右端部)に取り付けられて上下方向に移動する連結棒47と、この連結棒47に取り付けられて鍵盤部12の鍵盤ケース20を回転させる回転アーム部48とを備えている。この場合、連結棒47は、その下端部が操作ペダル45の奥端部(図10では右端部)に第1連結ピン49によって回転可能に取り付けられ、上端部が回転アーム部48の第1アーム48aに第2連結ピン50によって回転自在に取り付けられ、操作ペダル45が踏み込まれたときに、上方に移動するように構成されている。
回転アーム部48は、図18に示すように、前側下方(同図では左下側)に向けて斜めに延びる第1アーム48aと、前側上方(同図では左上側)に向けて斜めに延びる第2アーム48bとからなり、その中間部分がアーム支持軸51によってユニットケース11の底板17に上下方向に回転自在に取り付けられ、この状態で楽器本体1内に起立した鍵盤部12の鍵盤ケース20における取付突起部25の前側下部(図10では左側下部)に第2アーム48bの上部側が対応するように構成されている。この場合、回転アーム部48は、ユニットケース11の底板17に設けられた切欠部内にその上下に位置した状態で配置され、この状態で底板17に取り付けられている。
これにより、回転アーム部48は、図11に示すように、操作ペダル45が踏み込まれて連結棒47が上方に移動すると、第1アーム48aが押し上げられるので、アーム支持軸51を中心に時計回りに回転し、これに伴って第2アーム48bが鍵盤ケース20の取付突起部25を楽器本体1内の奥側(図10では右側)に向けて押すことにより、回転連結部14を中心として鍵盤部12を起立した状態から少し前側に傾いた状態に横倒させるように構成されている。
次に、このような鍵盤楽器の作用について説明する。
この鍵盤楽器を使用する場合には、まず、図11に示すように、操作ペダル45を踏み込む。すると、操作ペダル45の奥端部が連結棒47を上方に押し上げるので、回転アーム部48の第1アーム48aが押し上げられる。これにより、回転アーム部48が図18に2点鎖線で示すようにアーム支持軸51を中心に時計回りに回転し、これに伴って回転アーム部48の第2アーム48bが鍵盤ケース20の取付突起部25を楽器本体1内の奥側に向けて押すので、図11に示すように、回転連結部14を中心として鍵盤部12が起立状態から少し前側に傾いた状態に横倒し、起立した状態の鍵盤部12の上部が楽器本体1の前側に少し突出する。
この状態で、楽器本体1の前面側に少し突出した鍵盤部12の上部を手で手前側に押し下げると、図12に示すように、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23を中心として反時計回りに回転し、図9に示すように、鍵盤部12が横倒して複数の鍵13が楽器本体1内から楽器本体1の鍵盤開口部9を通して楽器本体1の前面側に突出する。このときには、制動部材28によって鍵盤部12の回転動作が制動されると共に、鍵盤部12が回転規制部材24によって回転範囲が規制されるほか、譜面立て部材36が鍵盤部12に対し起立する。
すなわち、制動部材28は、鍵盤部12が横倒するときに、図14に示すように、第1、第2ピニオンギア32、33が第1、第2ラックギア溝34、35に噛み合って転動すると共に、第1、第2ダンパ軸30、31によって第1、第2ピニオンギア32、33に負荷が加えられることにより、鍵盤部12がその自重によって勝手に回転することがなく、鍵盤部12を任意の回転位置に停止させるように、鍵盤部12の回転動作を制動するので、軽い力でゆっくり鍵盤部12を下方に向けて回転させることができる。
また、回転規制部材24は、鍵盤部12が楽器本体1の前面側に突出して横倒するときに、鍵盤ケース20の一対の取付突起部25に設けられたストッパーピン26が、ユニットケース11の一対の補強板16に設けられた規制溝27内に沿って上側に移動し、鍵盤部12の複数の鍵13が楽器本体1の鍵盤開口部9を通してほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出したときに、図9に示すように、鍵盤ケース20のストッパーピン26が補強板16の規制溝27内の上端部27aに当接し、これにより鍵盤部12の回転位置を規制する。
また、このときには、譜面立て部材36が譜面立て連動部材38によって起立する。すなわち、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23を中心として反対時計回りに回転すると、図11および図12に示すように、譜面立て部材36の先端部に設けられたガイドピン39がユニットケース11の補強板16に設けられた譜面立てガイド溝40の傾斜溝部40b内に沿って前側上部に向けて移動した後、譜面立てガイド溝40の立上り溝部40a内に沿って上方に移動する。これに伴って、譜面立て部材36が譜面立て支持軸37を中心に回転して鍵盤部12に対し起立し、鍵盤部12の鍵13がほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出したときに、図9に示すように、譜面立て部材36が鍵盤部12と共に楽器本体1の鍵盤開口部9を塞ぐ。
このように、鍵盤部12が横倒すると、複数の鍵13が楽器本体1内から楽器本体1の鍵盤開口部9を通してほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出するので、鍵盤12を良好に押鍵して演奏することができる。このときには、譜面立て部材36が鍵盤部12に対し起立して楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12と共に塞いでいるので、鍵盤開口部9から楽器本体1内に塵埃などの異物が侵入するのを防ぐことができる共に、楽器本体1の全体が外観的に好ましいものになるほか、この状態で譜面立て部材36の前面36aに設けられた譜面台41を起こして譜面を立て掛けることにより、譜面を見ながら良好に演奏することができる。
一方、鍵盤部12を収納するときには、楽器本体1の前面側に突出した鍵盤部12の手前側を押し上げる。すると、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23を中心として上記とは逆の時計回りに回転し、図10に示すように、鍵盤部12が楽器本体1内に起立する。このときにも、制動部材28によって鍵盤部12の回転が制動されると共に、回転規制部材24によって鍵盤部12の回転位置が規制されるほか、譜面立て部材36が鍵盤部12に重なるように折り畳まれる。
すなわち、制動部材28は、鍵盤部12が起立するときにも、図14に示すように、第1、第2ピニオンギア32、33が第1、第2ラックギア溝34、35に噛み合って転動すると共に、第1、第2ダンパ軸30、31によって第1、第2ピニオンギア32、33に負荷が加えられることにより、鍵盤部12がその自重によって勝手に回転することがなく、鍵盤部12を任意の回転位置に停止させるように、鍵盤部12の回転動作を制動するので、鍵盤部12を押し上げるときにも、軽い力でゆっくり鍵盤部12を上方に回転させることができる。
また、回転規制部材24は、鍵盤部12が起立するときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が、ユニットケース11の補強板16の規制溝27内に沿って下側に移動し、図10に示すように、鍵盤部12が楽器本体1内に起立して収納されるときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が補強板16の規制溝27内の下端部27bに当接し、これにより鍵盤部12の回転位置を規制する。この状態では、鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞ぎ、鍵盤開口部9から楽器本体1内に塵埃などの異物が侵入するのを防ぐことができる。
また、このときには、譜面立て部材36が譜面立て連動部材38によって折り畳まれる。すなわち、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23を中心として時計回りに回転すると、譜面立て部材のガイドピン39がユニットケース11の補強板16に設けられた譜面立てガイド溝40の立上り溝部40a内に沿って下方に向けて移動した後、譜面立てガイド溝40の傾斜溝部40b内に沿って奥側に向けて移動する。これに伴って、譜面立て部材36が譜面立て支持軸37を中心に回転して横倒し、鍵盤部12が楽器本体1内に起立して収納されると、譜面立て部材36が鍵盤部12に重なる。
また、譜面立て部材36が鍵盤部12に重なって鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞ぐときには、鍵盤ケース20の取付突起部25がペダル連動部材46における回転アーム部48の第2アーム48bを楽器本体1の前側に向けて押すので、回転アーム部48がアーム支持軸51を中心として回転し、これに伴って回転アーム部48の第1アーム48aが図9に示すように連結棒47を押し下げ、操作ペダル45をほぼ水平な初期位置に戻す。
このように、この鍵盤楽器によれば、奥行きの狭い縦長のほぼ箱形状に形成され、その前面におけるほぼ中間部の上側に横長の鍵盤開口部9が形成された楽器本体1と、複数の鍵13が配列されて楽器本体1内における鍵盤開口部9に対応する箇所に配置される鍵盤部12と、この鍵盤部12を楽器本体1内に起立横倒可能に取り付けて、鍵盤部12を楽器本体1内に起立させて収納する第1の状態、および鍵盤部12を横倒させて複数の鍵13が楽器本体1内から鍵盤開口部9を通してほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出する第2の状態に、鍵盤部12を回転させるための回転連結部14とを備えていることにより、楽器全体のコンパクト化を図ることができる。
すなわち、鍵盤部12を使用するときには、回転連結部14を中心として鍵盤部12を横倒させて複数の鍵13を楽器本体1内から鍵盤開口部9を通してほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出させることにより、鍵盤部12の複数の鍵13を押鍵操作して良好に演奏することができる。また、鍵盤部12を使用しないときには、回転連結部14を中心として鍵盤部12を楽器本体1内に起立させることにより、鍵盤部12を楽器本体1内にコンパクトに収納することができる。このため、楽器本体1の奥行きを鍵盤部12の水平な状態における奥行きよりも小さくすることができ、これにより楽器全体のコンパクト化を図ることができる。
この場合、楽器本体1内には、その鍵盤開口部9側が開放されたユニットケース11が設けられ、このユニットケース11内に、鍵盤部12が回転連結部14によって起立横倒可能に取り付けられ、これにより鍵盤ユニット2を構成しているので、鍵盤部12および回転連結部14のユニット化を図ることができる。このため、ユニットケース11内に鍵盤部12を回転連結部14によって起立横倒可能に取り付け、この状態でユニットケース11を楽器本体1内に組み込むことができるので、組立て作業性が良く、生産性の高いものを得ることができる。
また、この鍵盤楽器によれば、回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤部12が楽器本体1内に起立して収納されたときに、鍵盤部12の底部である鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞ぐ第1の位置と、回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤部12が横倒して複数の鍵13がほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出する第2の位置とに、鍵盤部12の回転範囲を規制する回転規制部材24を備えているので、鍵盤部12を第1、第2の所定位置に確実に且つ良好に位置規制することができる。
すなわち、この回転規制部材24は、鍵盤ケース20の取付突起部25に設けられたストッパーピン26と、ユニットケース11の一対の補強板16に設けられてストッパーピン26の移動範囲を規制する規制溝27とを備え、この規制溝27が回転連結部14の支持軸23を中心とする同心円上に形成された構成であるから、鍵盤部12が反時計回りに回転して鍵13がほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出したときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が規制溝27内の上端部27aに当接することにより、鍵盤部12の回転位置を正確に且つ確実に規制することができる。
また、鍵盤部12が時計回りに回転して楽器本体1内に起立し、鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞いだときには、鍵盤ケース20のストッパーピン26が規制溝27内の下端部27bに当接することにより、鍵盤部12の回転位置を正確に且つ確実に規制することができる。これにより、鍵盤部12を使用しないときには、楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12の底部である鍵盤ケース20の底面20aで確実に塞ぐことができるので、塵埃などの異物が鍵盤開口部9から楽器本体1内に侵入するのを防ぐことができる。
この場合、楽器本体1の前面における鍵盤開口部9の上部側、つまり楽器本体1の側板4における前端面の凸曲面4aおよび上前板7の前面が、その上部から鍵盤開口部9に向けて緩やかに湾曲する凸曲面に形成されており、鍵盤部12の底部である鍵盤ケース20の底面20aが、楽器本体1の前面における鍵盤開口部9の上部側と同じ曲率の凸曲面に形成されていることにより、鍵盤部12が回転して楽器本体1内に起立し、鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞いだときに、鍵盤ケース20の底面20aの凸曲面が楽器本体1の前面の凸曲面と同じ曲面で連続するので、鍵盤ケース20の底面20aと楽器本体1の前面とが一体的な凸曲面になり、これにより外観的にもデザイン的にも好ましいものを得ることができる。
また、この鍵盤楽器によれば、回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤部12が楽器本体1に対し回転動作して起立横倒するときに、鍵盤部12の回転動作を制動する制動部材28を備えていることにより、回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤部12が回転するときに、鍵盤部12がその自重によって勝手に回転することがなく、鍵盤部12の回転動作を制動することができるので、軽い力でゆっくり鍵盤部12を上下方向に回転させることができ、これにより鍵盤部12を安全に起立横倒させることができる。
すなわち、この制動部材28は、鍵盤ケース20の取付突起部25に設けられた第1、第2ダンパ軸30、31と、この第1、第2ダンパ軸30、31に取り付けられた第1、第2ピニオンギア32、33と、ユニットケース11の一対の補強板16における各内面にそれぞれ設けられて第1、第2ピニオンギア32、33が噛み合って転動する第1、第2ラックギア溝34、35とを備えているので、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23を中心に回転するときに、第1、第2ピニオンギア32、33が第1、第2ラックギア溝34、35に噛み合って転動すると共に、第1、第2ダンパ軸30、31によって第1、第2ピニオンギア32、33に負荷を加えることができる。
これにより、制動部材28は、第1、第2ピニオンギア32、33が第1、第2ラックギア溝34、35に噛み合って転動するときに、第1、第2ダンパ軸30、31によって第1、第2ピニオンギア32、33に負荷が加えられるので、鍵盤部12が横倒するときにも、鍵盤部12が起立するときにも、鍵盤部12がその自重によって勝手に回転することがなく、鍵盤部12を任意の回転位置に停止させるように、鍵盤部12の回転動作を制動することができ、これにより軽い力でゆっくり鍵盤部12を回転させることができるので、鍵盤部12をより安全に起立横倒させることができる。
また、この鍵盤楽器によれば、鍵盤部12における鍵13の後側に位置する上部に譜面立て支持軸37によって起立横倒可能に設けられた譜面立て部材36と、回転連結部14の支持軸23を中心とする鍵盤部12の回転動作に連動して譜面立て部材36を鍵盤部12に対し起立横倒させる譜面立て連動部材38とを備えていることにより、鍵盤部12の回転動作に連動して譜面立て連動部材38が譜面立て部材36を自動的に鍵盤部12に対し起立横倒させることができる。
すなわち、譜面立て連動部材38は、鍵盤部12が楽器本体1内に起立するときに、譜面立て部材36を鍵盤部12に重なるように横倒させ、鍵盤部12が横倒して複数の鍵13が楽器本体1の前面側に突出するときに、譜面立て部材36を鍵盤部12に対し起立させ、この起立した譜面立て部材36で楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12と共に塞ぐので、使い勝手が良いばかりか、鍵盤部12を使用するときに、塵埃などの異物が鍵盤開口部9から楽器本体1内に侵入するのを防ぐことができる。
この場合、譜面立て連動部材38は、譜面立て支持軸37と反対側に位置する譜面立て部材36の先端部に設けられたガイドピン39と、ユニットケース11の補強板16に設けられてガイドピン39をガイドする譜面立てガイド溝40とを備え、譜面立てガイド溝40が、補強板16の上部から補強板16の前端面に沿って降下する立上り溝部40aと、この立上り溝部40aの下端部から補強板16の奥側に向けて緩やかに傾斜する傾斜溝部40bとからなり、これらが連続してガイドピン39をガイドするように構成されているので、譜面立て部材36を鍵盤部12の回転動作に連動して円滑に且つ確実に起立横倒させることができる。
すなわち、譜面立て連動部材38は、鍵盤部12が楽器本体1内に起立して収納されるときに、譜面立て部材36のガイドピン39を譜面立てガイド溝40における立上り溝部40a内の上部から下部にガイドした後、譜面立てガイド溝40における傾斜溝部40b内の前側上部から奥側下部にガイドすることにより、譜面立て部材36を鍵盤部12に対して確実に且つ円滑に横倒させて、譜面立て部材36を鍵盤部12に重ねることができる。
また、鍵盤部12の鍵13が楽器本体1の前面側に突出するときには、譜面立て部材36のガイドピン39を譜面立てガイド溝40における傾斜溝部40b内の奥側下部から前側上部にガイドした後、譜面立てガイド溝40における立上り溝部40a内の下部から上部にガイドすることにより、譜面立て部材36を鍵盤部12に対し確実に且つ円滑に起立させることができると共に、この起立した譜面立て部材36によって楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12と共に正確に且つ確実に塞ぐことができる。
この場合、譜面立て部材36の前面36aが、楽器本体1の前面つまり楽器本体1の側板4における前端面の凸曲面4aおよび上前板7の前面と同じ曲率の凸曲面に形成されていることにより、譜面立て部材36が起立して楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12と共に塞いだときに、譜面立て部材36の前面の凸曲面が楽器本体1の前面の凸曲面と同じ曲面で連続するので、譜面立て部材36の前面36aと楽器本体1の前面とが一体的な凸曲面になり、これによっても外観的にもデザイン的にも好ましいものを得ることができる。
さらに、この鍵盤楽器によれば、楽器本体1の下部に設けられた操作ペダル45と、この操作ペダル45の踏み込み動作に連動して回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤部12を回転させることにより、起立した状態の鍵盤部12の上部を楽器本体1の前面側に突出させるペダル連動部材46とを備えていることにより、操作ペダル45を踏み込むだけで、楽器本体1内に起立して収納された鍵盤部12の上部を楽器本体1の手前側に突出させることができ、これにより鍵盤部12が鍵盤開口部9を塞いでいても、容易に且つ良好に鍵盤部12を横倒させて楽器本体1の前面側に突出させることができる。
この場合、ペダル連動部材46は、操作ペダル45の奥端部に取り付けられて上下方向に移動する連結棒47と、この連結棒47に取り付けられて鍵盤部12の鍵盤ケース20を回転させる回転アーム部48とを備え、回転アーム部48が、前側下方に向けて斜めに延びる第1アーム48aと、前側上方に向けて斜めに延びる第2アーム48bとからなり、その中間部分がアーム支持軸51によってユニットケース11の底部17に回転自在に取り付けられているので、操作ペダル45を踏み込むと、連結棒47が上方に移動して第1アーム48aを押し上げ、これに伴ってアーム支持軸51を中心に回転アーム部48が回転して第2アーム48bが鍵盤ケース20の取付突起部25を押すことにより、確実に且つ容易に回転連結部14の支持軸23を中心として鍵盤部12を起立状態から少し前側に傾けることができる。
(実施形態2)
次に、図19〜図23を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2について説明する。なお、図1〜図18に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、楽器本体1内に直接、鍵盤部12を回転連結部14により起立横倒可能に取り付けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、楽器本体1の両側に位置する一対の側板4の内面には、図19、図20および図22に示すように、それぞれ鍵盤取付部材60と譜面立て取付部材61とがそれぞれ埋め込まれている。鍵盤取付部材60は、アルミダイカストなどの金属からなり、ビス62によって楽器本体1の側板4内に埋め込まれた状態で取り付けられている。この鍵盤取付部材60の所定箇所には、図20および図21に示すように、回転連結部14の支持軸23を回転自在に支持する軸取付穴63が設けられており、この軸取付穴63を中心とする同心円上には、図20〜図22に示すように、回転規制部材24の規制溝64が設けられていると共に、制動部材28の第1、第2ラックギア65、66が設けられている。
この場合、回転規制部材24の規制溝64は、実施形態1と同様、鍵盤部12が反時計回りに回転して鍵13がほぼ水平な状態で楽器本体1の前面側に突出したときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が規制溝64内の上端部64aに当接して鍵盤部12の回転位置を規制し、また鍵盤部12が時計回りに回転して楽器本体1内に起立し、鍵盤ケース20の底面20aが楽器本体1の鍵盤開口部9を塞いだときに、鍵盤ケース20のストッパーピン26が規制溝64内の下端部64bに当接して鍵盤部12の回転位置を規制するように構成されている。
また、制動部材28の第1、第2ラックギア65、66は、回転規制部材24の規制溝27と同様、回転連結部14の軸取付穴63を中心とする同心円上に形成されている。この場合にも、第1ラックギア溝65は、その半径が回転規制部材24の規制溝64よりも短く形成され、回転連結部14の軸取付穴63側に位置する内面にラック歯が設けられている。また、第2ラックギア溝66は、その半径が回転規制部材24の規制溝64よりも長く形成され、回転連結部14の軸取付孔63と反対側に位置する内面にラック歯が設けられている。
これにより、制動部材28は、実施形態1と同様、鍵盤部12が回転連結部14の支持軸23に上下方向に回転するときに、第1、第2ピニオンギア32、33が第1、第2ラックギア溝65、66に噛み合って転動すると共に、第1、第2ダンパ軸30、31によって第1、第2ピニオンギア32、33に負荷が加えられていることにより、鍵盤部12がその自重によって勝手に回転することがなく、鍵盤部12を任意の回転位置に停止させるように、鍵盤部12の回転動作を制動する構成になっている。
一方、譜面立て取付部材61も、アルミダイカストなどの金属からなり、全体が「く」の字形状に形成され、ビス62によって楽器本体1の側板4内に埋め込まれた状態で取り付けられている。この譜面立て取付部材61には、譜面立て連動部材38の譜面立てガイド溝67が設けられている。この譜面立てガイド溝67は、図20および図23に示すように、譜面立て取付部材61の前側上部(図20では左側上部)から譜面立て取付部材61の前端面に沿って降下する立上り溝部67aと、この立上り溝部67aの下端部から譜面立て取付部材61の奥側(図20では右側)に向けて緩やかに傾斜する傾斜溝部67bとからなり、これらが連続して譜面立て部材36の先端部に設けられたガイドピン39をガイドするように構成されている。
これにより、譜面立て連動部材38は、実施形態1と同様、楽器本体1の前面側に突出した状態の鍵盤部12が楽器本体1内に起立して収納されるときに、譜面立て部材36のガイドピン39を譜面立てガイド溝67における立上り溝部67a内の上部から下部にガイドした後、譜面立てガイド溝67における傾斜溝部67b内の前側上部(図20では左側上部)から奥側下部(図20では右側下部)にガイドすることにより、譜面立て部材36を鍵盤部12に対し横倒させて鍵盤部12に重ね合わせるように構成されている。
また、この譜面立て連動部材38は、起立した状態の鍵盤部12が横倒して複数の鍵13が楽器本体1の前面側に突出するときに、譜面立て部材36のガイドピン39を譜面立てガイド溝67における傾斜溝部67b内の奥側下部(図20では右側下部)から前側上部(図20では左側上部)にガイドした後、譜面立てガイド溝67における立上り溝部67a内の下部から上部にガイドすることにより、譜面立て部材36を鍵盤部12に対し起立させ、この起立した譜面立て部材36で楽器本体1の鍵盤開口部9を鍵盤部12と共に塞ぐように構成されている。
この場合にも、譜面立て部材36は、実施形態1と同様、その前面36aが楽器本体1の前面、つまり楽器本体1の側板4の前端面4aおよび上前板7の前面と同じ曲率で形成されて緩やかに湾曲する凸曲面に形成されている。また、この譜面立て部材36の前面36aにも、実施形態1と同様、譜面台41が折り畳み可能に取り付けられている。さらに、この譜面立て部材36の先端部における中間部分にも、実施形態1と同様、2つの補助ガイドローラ42が設けられている。
このような鍵盤楽器においても、実施形態1と同様の作用効果があるほか、特に楽器本体1内に直接、鍵盤部12を回転連結部14により起立横倒可能に取り付けると共に、鍵盤部12の回転動作に連動して譜面立て部材36を鍵盤部12に対し起立横倒させる譜面立て連動部材38も、楽器本体1内に直接設けているので、実施形態1のようなユニットケース11が不要となり、部品点数の削減を図ることができると共に、低コスト化をも図ることができる。
なお、上記実施形態2では、楽器本体1における側板4の内面に鍵盤取付部材60と譜面立て取付部材61とを取り付け、この鍵盤取付部材60に、回転連結部14の軸取付穴63、回転規制部材24の規制溝64、および制動部材28の第1、第2ラックギア65、66を設け、譜面立て取付部材61に譜面立て連動部材38の譜面立てガイド溝67を設けた場合について述べたが、これに限らず、楽器本体1における側板4の内面に、直接、回転連結部14の軸取付穴63、回転規制部材24の規制溝64、制動部材28の第1、第2ラックギア65、66、および譜面立て連動部材38の譜面立てガイド溝67を設けた構成でも良い。
また、上記実施形態1、2では、鍵盤ケース20の底面20aと譜面立て部材36の前面36aとが、楽器本体1の前面つまり楽器本体1の側板4における前端面の凸曲面4aおよび上前板7の前面と同じ曲率で緩やかに湾曲する凸曲面に形成されている場合について述べたが、これに限らず、鍵盤ケース20の底面20aと譜面立て部材36の前面36aとを、楽器本体1の側板4における前端面の凸曲面4aおよび上前板7の前面と異なる曲率の凸曲面に形成しても良い。また、これに限らず、鍵盤ケース20の底面20aと譜面立て部材36の前面36aとを平坦面に形成しても良く、さらに凹曲面に形成しても良い。
なおまた、上記実施形態1、2では、楽器本体1の下前板8が楽器本体1のほぼ中間部分に位置する上部から楽器本体1の下端部に位置する下部に向けて緩やかに湾曲する凹曲面に形成されている場合について述べたが、これに限らず、楽器本体1の下前板8を、楽器本体1の前面、つまり楽器本体1の側板4の前端面4aおよび上前板7の前面と同じ曲率で形成されて緩やかに湾曲する凸曲面に形成しても良い。
この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1を示した正面図である。 図1の鍵盤楽器の側面図である。 図1の鍵盤楽器の平面図である。 図1の鍵盤楽器において鍵盤部を楽器本体内に収納した状態を示した正面図である。 図4の鍵盤楽器の側面図である。 図4の鍵盤楽器の平面図である。 図5の状態における鍵盤楽器の分解斜視図である。 図7の鍵盤ユニットの分解斜視図である。 図1のA−A矢視における鍵盤楽器の断面図である。 図4のB−B矢視における鍵盤楽器の断面図である。 図10の状態で操作ペダルを踏み込んで鍵盤部を少し前側に傾けた状態を示した鍵盤楽器の断面図である。 図11の状態で鍵盤部を更に前側に傾けた状態を示した鍵盤楽器の断面図である。 図8のユニットケースにおける補強板の内面を示した図である。 図13の回転連結部の軸取付孔、回転規制部材の規制溝、および制御部材の第1、第2ラックギア溝を示した要部の拡大図である。 図13のC−C矢視における要部の拡大断面図である。 図13のD−D矢視における要部の拡大断面図である。 図8における譜面立て部材の補助ガイドローラを示した要部の拡大斜視図である。 図9のペダル連動部材の要部を示した拡大図である。 この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2を示した分解斜視図である。 図19の楽器本体における側板の内面を示した図である。 図20の鍵盤取付部材を示した要部の拡大正面図である。 図20のE−E矢視における要部の拡大断面図である。 図20のF−F矢視における要部の拡大断面図である。
符号の説明
1 楽器本体
2 鍵盤ユニット
4 側板
4a 凸曲面
7 上前板
9 鍵盤開口部
11 ユニットケース
12 鍵盤部
13 鍵
14 回転連結部
20 鍵盤ケース
20a 底面
23 支持軸
24 回転規制部材
26 ストッパーピン
27、64 規制溝
28 制動部材
30、31 第1、第2ダンパ軸
32、33 第1、第2ピニオンギア
34、35、65、66 第1、第2ラックギア
36 譜面立て部材
36a 譜面立て部材の前面
37 譜面立て支持軸
38 譜面立て連動部材
39 ガイドピン
40、67 譜面立てガイド溝
42 補助ガイドローラ
45 操作ペダル
46 ペダル連動部材
60 鍵盤取付部材
61 譜面立て取付部材

Claims (6)

  1. 奥行きの狭い縦長のほぼ箱形状に形成され、その前面に横長の鍵盤開口部が形成された楽器本体と、
    複数の鍵が配列されて前記楽器本体内における前記鍵盤開口部に対応する箇所に配置される鍵盤部と、
    この鍵盤部を前記楽器本体内に起立横倒可能に取り付けて、前記鍵盤部を前記楽器本体内に起立させて収納する第1の状態と、前記鍵盤部を横倒させて前記複数の鍵が前記楽器本体内から前記楽器本体の前記鍵盤開口部を通してほぼ水平な状態で前記楽器本体の前面側に突出する第2の状態とに、前記鍵盤部を回転させるための回転連結部と
    を備え
    前記楽器本体の前面における少なくとも前記鍵盤開口部の上部側は、その上部から前記鍵盤開口部に向けて緩やかに湾曲する凸曲面に形成されており、前記鍵盤部の前記底面は、前記楽器本体の前面における前記鍵盤開口部の上部側と同じ曲率の凸曲面に形成されていることを特徴とする鍵盤楽器。
  2. 前記回転連結部を中心として前記鍵盤部が前記楽器本体に対し回転動作して起立横倒するときに、前記鍵盤部の回転動作を制動する制動部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器。
  3. 前記鍵盤部における前記鍵の後側に位置する上部に譜面立て支持軸によって起立横倒可能に設けられた譜面立て部材と、
    前記回転連結部を中心とする前記鍵盤部の回転動作に連動して前記譜面立て部材を前記鍵盤部に対し起立横倒させる譜面立て連動部材と
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器。
  4. 前記譜面立て連動部材は、前記鍵盤部が前記楽器本体内に起立するときに、前記譜面立て部材を前記鍵盤部に重なるように横倒させ、前記鍵盤部が横倒して前記複数の鍵が前記楽器本体の前面側に突出するときに、前記譜面立て部材を前記鍵盤部に対し起立させ、この起立した前記譜面立て部材で前記楽器本体の前記鍵盤開口部を前記鍵盤部と共に塞ぐことを特徴とする請求項3に記載の鍵盤楽器。
  5. 前記譜面立て部材の前面は、前記楽器本体の前面における前記鍵盤開口部の上部側と同じ曲率の凸曲面に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の鍵盤楽器。
  6. 前記楽器本体の下部に設けられた操作ペダルと、
    この操作ペダルの踏み込み動作に連動して前記回転連結部を中心として前記鍵盤部を回転させることにより、前記鍵盤部の起立した上部を前記楽器本体の前面側に突出させるペダル連動部材と
    を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鍵盤楽器。
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