JP4956170B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
この心臓MRIでは、心拍動の他に呼吸動による体動アーチファクトが問題で、特に高空間分解能を必要とする冠動脈撮影では、呼吸動の影響が顕著である。
この方法では、被検体の腹壁や胸壁に取り付けた呼吸センサーによって呼吸動をモニターし、特定の呼吸時相に撮影のトリガーをセットしてデータの収集を行う。これにより、呼吸動の変位の少ない時相にデータが収集され体動アーチファクトが低減される。
この場合、前記取得した呼吸動による変位が予め設定した狭いウインドウ幅内にある場合のMRI信号のみを取得し、該ウインドウ外のMRI信号は破棄する。このような本計測データの取得制御を繰り返し、画像再構成に必要なデータ取得が完了したら終了する。
これは、ベルトと呼ばれる腹帯を被検者の腹部や胸部に巻きつけて圧迫し、物理的に呼吸動を抑制する手法である。
Navigator Echoes in Cardiac Magnetic Resonance;David Firmin and Jenny Keegan, Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance, 3(3),183-193(2001) 4D Whole Heart Imagingの初期検討:大田吉則 他6名、日本放射線技術学会 第62回総会学術大会予稿集 375, p.188
また、人手でベルトを被検者に巻きつけるため、巻きつける強度によって呼吸動の範囲が異なり、画質にもばらつきが生じ、逆に、同じ強度で巻きつけても被検者によって呼吸動による変動を同じレベルで抑制できない。
仮に呼吸動が抑制できないことが判明し、抑制状態を調整するためには、撮影停止中に操作者がベルトを巻きなおす必要があり、検査効率が悪い。
(1)前記複数の呼吸動調整手段は、空気を出し入れする空気層を有し被検者の前記複数の撮影領域に密着して該撮影領域を圧迫する複数の圧迫手段と、これらの圧迫手段の空気層の空気圧を調整する空気圧調整手段とを備えた。
(7)前記複数の呼吸動調整手段は、呼吸動の調整が必要な撮影領域における撮影時のみ該撮影領域に対応する呼吸動調整手段を選択する呼吸動調整選択手段を備え、この選択手段で選択した呼吸動調整手段で被検者の呼吸動を調整する。
さらに、本発明は、ナビゲーターエコーによる呼吸ゲーティング撮影、広範囲の撮影領域を撮影するマルチステーション撮影およびムービング・ベッド撮影等にも適用することによって上記と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符合を付け、その繰り返しの説明は省略する。
このプロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、血管(血液、血流)などの機能を2次元もしくは3次元的に撮影する。
位相エンコードの数は通常1枚の画像あたり128、256、512等の値が選ばれる。各エコー信号は通常128、256、512、1024個のサンプリングデータからなる時系列信号として得られ、これらのデータを2次元フーリエ変換して1枚のMR画像が作成される。
このシーケンスによる撮影は、前記呼吸動調整装置115により被検者の呼吸動による撮影領域(着目部位)の変位量を調整しない場合、被検者の着目部位は呼吸動により202のように変位しており(呼吸動による着目部分の変位)、この呼吸動によるアーチファクトを低減するために、前記呼吸動信号202に所定の変位幅203を設定し、この変位幅内におけるNMR信号のみを取得して画像を再構成するものである。
同様に、次のナビゲータシーケンス210の場合の呼吸動による変位205も変位幅203から外れているので、これによる検出データ211も破棄する。
そして、次のナビゲータシーケンス212の場合の呼吸動による変位206は、変位幅203内にあるので、本計測シーケンス213によりデータ216は取得する。
このような本計測データの取得制御を繰り返し、画像再構成に必要なデータ取得が完了したら計測は終了する。
これは、前記取得した呼吸動による変位が予め設定した変位幅が狭いことによるもので、該変位幅を広くすれば破棄するデータが少なくなって撮影時間の短縮が可能となるが、このためには被検者の呼吸動による変位量を小さくする必要がある。
第1の実施形態は、前記呼吸動調整装置115によって被検者の呼吸動による撮影部分の変位を小さくした状態での自由呼吸下の撮影や、息止め撮影を行う例である。
このような構造のベルトの空気層401にポンプ115bから空気を送り込んで被検者の胸腹部を圧迫する。
なお、被検者が装着しやすいようにするために、空気層の一部を区切って前記スリット402を入れ、面ファスナ403などで前記スリット部402のみを固定することも可能である。
図6の例では、前記局所励起領域が601に示す棒状領域に相当し、この棒状領域の長軸方向がエコー信号の読み出し方向(周波数エンコード方向)で、前記601の領域のみを励起することによってナビゲーターエコー信号を取得することができる。
したがって、ナビゲーターエコーで呼吸動変位を数十秒モニターすることで、図7の701に示すような呼吸動変位特性が得られる。
なお、呼吸動調整ベルトの内圧を減少させることは、空気給排用チューブに手動弁又は電磁弁を設けることで対応が可能である。
また、呼吸動による撮影領域の変位が小さく、安定して呼吸動を抑制することができるので、呼吸動による体動アーチファクトが低減して高画質のMRI画像を得ることができる。
第2の実施形態は、前記呼吸動調整装置115により呼吸動による変位を小さくして撮影する第1の実施形態にナビゲータエコーによる呼吸ゲーティング撮影法を適用したもので、図8に示すように、撮影を自動で開始するところまでは第1の実施形態と同じであるが、撮影開始後はナビゲーターエコーによる呼吸ゲーティングを行う撮影法(呼吸動変位によるデータのアクセプト/リジェクト判定を行ってゲーティングする撮影法)により撮影を行う。
そして、前記第1の実施形態と同様に、前記第1の呼吸動振幅比算出手段で算出した振幅比が前記設定した所定の振幅比になったことを検出して前記ナビゲータエコー信号に同期して呼吸ゲーティング撮影を行う(呼吸ゲーティング撮影手段)。
また、呼吸動による撮影領域の変位が小さく、安定して呼吸動を抑制することができるので、呼吸動による体動アーチファクトが低減して高画質のMRI画像を得ることができる。
さらに、撮影時に自動でゲートウインドウ幅を調整できるようにしたので、圧迫前後の呼吸動による変位の振幅の比が変化しても、これに容易に対応した呼吸ゲーティング撮影が可能となり、前記振幅比に余裕のある呼吸ゲーティング撮影を安定して行うことができる。
MRI装置で全身のような広範囲の撮影を行う手法として、被検者を載せたベッド(図1の112)を動かしながら撮影するマルチステーション撮影法とムービング・ベッド撮影法と呼ばれる手法が知られている。
この撮影およびベッド移動を順番に繰り返し、広範囲の撮影領域を撮影する手法である。また、ムービング・ベッド撮影法はベッド移動と撮影とを同時に行う撮影法である。
本発明は、前記呼吸動調整調整装置115に複数の撮影領域に対応する複数の呼吸動調整装置(複数の呼吸動調整手段)と、前記ベッドを空間的に異なる前記複数の撮影領域に移動させて撮影するマルチステーション撮影またはムービング・ベッド撮影を行う手段を備えてマルチステーション撮影またはムービング・ベッド撮影を行うものである。
すなわち、前記複数の呼吸動調整装置115は、空気を出し入れする空気層を有し被検者の前記複数の撮影領域に密着して該撮影領域を圧迫する複数の呼吸動調整用ベルト(複数の圧迫手段)と、これらのベルトの空気層の空気圧を調整するポンプ115b(空気圧調整手段)とを備えて構成される。
前記呼吸動による胸部の変位は、前記第1の実施形態、第2の実施形態と同様に、ナビゲーターエコーにて撮影スライス位置に近いナビゲータエコー取得領域1004でモニターする。この例におけるナビゲータエコーの取得位置1004は胸壁としているが、横隔膜でも勿論可能である。
このとき、胸部用ベルト1001からは空気を抜き、腹部用ベルト1002に空気を入れて腹部を圧迫し(呼吸動調整選択手段)、前記撮影位置の移動と共に、ナビゲーターエコー取得位置1006も腹壁に移動して、呼吸動による腹部の変位が設定した割合まで小さくなったら自動的に撮影を開始する。
図11は、呼吸動調整装置115により呼吸動による変位量を小さくして撮影する手法をムービング・ベッド撮影に適用して全身撮影を行う例である。
このムービング・ベッド撮影では、AX断面(AXIAL;被検者の体軸と垂直な断面)での撮影が主流であるので、図11に示す撮影スライス断面(1103、1105、1107)もAX断面の場合であって、呼吸動調整用ベルト115aは、胸部用ベルト1101と腹部用ベルト1102の2つのベルトを用い、これらのベルトを胸部の撮影領域1103と腹部の撮影領域1105に合わせてセットする(複数の呼吸動調整手段、複数の圧迫手段、空気圧調整手段)。
前記呼吸動による胸部の変位は、前記第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態と同様に、ナビゲーターエコーにて撮影スライス位置に近いナビゲータエコー取得領域1104でモニターする(複数ナビゲータエコー取得手段)。
このとき、胸部用ベルト1101からは空気を抜き、腹部用ベルト1102に空気を入れて腹部を圧迫し(呼吸動調整選択手段)、前記撮影位置の移動と共に、ナビゲーターエコー取得位置1106も腹壁に移動して、呼吸動による腹部の変位が設定した割合まで小さくなったならば自動的に撮影を開始する。
この脚側の撮影領域1107は、呼吸動の影響がない領域であるので、前記胸部用ベルト1101と腹部用ベルト1102の空気を抜いて被検者を圧迫から開放して撮影する(呼吸動調整選択手段)。
加えて、呼吸動の調整に必要な撮影領域の撮影時のみに呼吸動調整用ベルト115aで被検者の撮影領域を圧迫するようにしたので、被検者の圧迫による負担も必要最小限に止めることができる。
Claims (7)
- ほぼ均一な静磁場を発生する静磁場発生手段と、前記静磁場の領域内に傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と、被検者に核磁気共鳴を起させるための高周波磁場を発生する高周波磁場発生手段と、前記被検者からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記核磁気共鳴信号を処理して画像を生成する信号処理手段と、この信号処理手段により得られた画像を表示する表示手段と、前記被検者を載置するベッドと、このベッドを移動制御するベッド移動制御手段と、前記画像を撮像するための操作を行なう操作手段と、この操作手段の操作信号に対応して上記各手段を制御する制御手段と、前記被検者の呼吸動を抑制する呼吸動抑制手段とを備え、この呼吸動抑制手段で被検者の呼吸動を抑制して撮影する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記被検者の呼吸動情報を検出する呼吸動検出手段をさらに備え、
前記呼吸動抑制手段は、前記被検者の呼吸動による撮影領域の変位を所定の範囲に調整する呼吸動調整手段を備え、
前記呼吸動調整手段は、前記呼吸動の抑制の前後の前記呼吸動情報に基づいて、前記被検者の呼吸動による撮影領域の変位を所定の範囲に調整することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 前記呼吸動調整手段は、空気を出し入れする空気層を有し被検者の撮影領域に密着して該撮影領域を圧迫する圧迫手段と、この圧迫手段の空気層の空気圧を調整する空気圧調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記呼吸動調整手段で調整された前記被検者の撮影領域の変位が予め設定した変位になったことを判断する第1の変位判断手段と、この第1の変位判断手段により撮影を開始する第1の撮影開始手段とをさらに前記制御手段に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記呼吸動検出手段は、前記高周波磁場発生手段で撮影領域を局所的に励起してナビゲータエコーを取得するナビゲータエコー取得手段と、この取得したナビゲーターエコーを基にして前記撮影領域の変位を算出する変位算出手段とを備え、この変位算出手段で算出した変位を前記第1の変位判断手段に用いることを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記変位算出手段は、時間と呼吸動による撮影領域の変位との関係である呼吸動変位特性を算出する手段であって、前記第1の変位判断手段は、前記変位算出手段で算出した呼吸動変位特性を用いて前記空気層に空気を入れる前の呼吸動による変位の振幅と空気を入れた後の呼吸動による変位の振幅との比を算出する第1の呼吸動振幅比算出手段と、前記振幅の比の所定値を設定する第1の呼吸動振幅比設定手段と、前記呼吸動振幅比算出手段で算出した振幅比と前記呼吸動振幅比設定手段で設定した振幅比の所定値とを比較する第1の呼吸動振幅比比較手段と、この第1の呼吸動振幅比比較手段での比較結果により前記空気層への空気の注入の継続の可否を判断する第1の空気注入判断手段とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記受信手段による核磁気共鳴信号の取得範囲である前記呼吸動変位特性の変位がほぼ一定となるゲートウインドウ幅を設定する第1のゲートウィンドウ幅設定手段をさらに備え、前記第1の呼吸動振幅比算出手段で算出した振幅比が前記設定した所定の振幅比になったことを検出して前記ナビゲータエコー信号に同期して呼吸ゲーティング撮影を行う手段とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記ナビケータエコー信号に同期して前記呼吸動による変位が所定値に達したことを検出し、この検出信号により自動で前記第1のゲートウインドウ幅を調整する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
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