JP4954436B2 - 移動処理器を用いた中空糸膜の生産システム - Google Patents

移動処理器を用いた中空糸膜の生産システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理器内で化学処理などを施して長尺製品を生産するシステムに関し、特に管状の移動処理器を用いた生産システムに関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
長尺製品の生産においては、製品形状に合わせた処理器に被処理物を挿入した上で、配管を切り換え、薬液や乾燥風等を処理器内に流入させて処理するバッチ作業が行われている。このような方法は、1つの処理器で作業を行うため、多くの複雑な配管の敷設、配管の洗浄、コンタミネーションの排除といった問題点がある。
【0003】
このような要求に応えるため、一般の化学処理を対象として特許文献1に開示されるような「移動槽方式による多目的バッチ生産システム」、特許文献2に開示されるような「移動槽による多品種少量生産方式」が提供されている。
【特許文献1】
PCT出願JP91−531号
【特許文献2】
特許第3059576号
【0004】
各技術を簡単に説述すると、特許文献1では槽を載置した移動槽台車を自動搬送車に積載し、該自動搬送車は搬送路に沿って配設された多数のステーションのうち目的のステーションまで移動して移動槽台車を自動搬送車からステーション架台へ移載する。そして、各ステーションでは所定の作業が効率よく行われるように固定機器が集約して設置されているので、ステーション架台に移載された移動槽台車及び該移動槽台車に載置の移動槽は、前記した固定機器と自動接続装置で接続されて所定の作業を行い、作業が終了すると別のステーションへ移動して順次作業を継続していくものである。
【0005】
また、特許文献2においては、搬送路上において複数の原料を計量のうえ移動槽に受け入れることを可能とし、その移動槽を各ステーションへ移載あるいは復帰せしめるのにプッシュプル方式によって行うようにした移動槽による多品種少量生産方式が提案されている。
本技術は、移動槽を積載したロードセル台を載置したエアー浮上式台車を搬送路に沿って配設された各ステーションに案内移動する構成をとることで、小さな力で移動ができるなど、上記の問題点の解決を図ることに大きく寄与するものであった。
【0006】
このように移動槽を用いた生産方式は従来から開示されているが、これらは化合物の生成に用いることを主な対象としており、例えばモノフィラメント糸、編布、織布、不織布等の長尺の繊維状束、とりわけ中空糸膜などの長尺物に化学処理を施すための移動処理器を用いた生産システムというものはこれまで開発されていなかった。
以下、長尺の繊維状束の一例として中空糸膜の公知の製造方法を説示する。
【0007】
精密濾過膜、限外濾過膜等の多孔膜を用いた除菌や除濁粒子等の濾過操作は、自動車産業、半導体産業、医薬食品産業などの多方面にわたって実用化されており、特に近年では河川水等の除濁や、下水の除濁浄化を行う用途に用いられている。
膜の素材としては、セルロース系、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系の多種多様のものが用いられている。特にポリフッ化ビニリデンは高強度で耐熱性に優れ、骨格が疎水性のために耐水性が高く水系濾過膜の素材として適している。
【0008】
ポリフッ化ビニリデン膜の製造方法は、特許文献3において、ポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体を溶融混練してから冷却によりミクロ相分離させ、その後有機液状体と無機微粉体とを抽出する方法が開示されている。また、特許文献4においては、ポリフッ化ビニリデンと溶媒系からなる中空糸膜の製造方法が開示されている。
【特許文献3】
米国特許5022990号
【特許文献4】
WO91/172204
【0009】
中空糸膜で用いられる有機液状体は、沸点が150℃以上の液体であり、中空繊維から抽出されて中空糸膜を多孔性にする。なお、有機液状体は、低温(常温)ではポリフッ化ビニリデンと相溶しないが、溶融成形時(高温)ではポリフッ化ビニリデンと相溶していることが好ましい。
有機液状体の例としては、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステルやリン酸エステル等が挙げられる。
【0010】
また、無機微粉体は、有機液状体を保持する担体としての機能を持ち、さらにミクロ相分離の核としての機能を持つ。すなわち、無機微粉体は、混合物の溶融混練及び成形時において有機液状体の遊離を防止し、成形を容易にするものであり、ミクロ相分離の核として有機液状体を高度にミクロ分散させ、有機液状体の凝集を防止する働きを有する。
無機微粉体としては、疎水性シリカを使用することが望ましい。疎水性シリカは凝集を起こしにくいため、溶融混練及び成形時において細かくミクロに分散し、結果として均質な3次元網目構造を与える。なお、疎水性シリカとは、シリカの表面のシラノール基をジメチルシランやジメチルジクロロシラン等の有機珪素系化合物と化学的に反応させ、シリカの表面をメチル基等で置換し疎水化させてシリカのことである。
【0011】
以上のポリフッ化ビニリデンと有機液状体、無機微粉体の混合物は、2軸押出機等の溶融混練押し出し装置により溶融混練され、中空糸状に押し出し成形され、冷却固化されて中空繊維となる。
この状態で、長尺状となった中空繊維に対して、溶剤として塩化メチレン等を加え、有機液状体の抽出、及び水酸化ナトリウム等を加えて無機微粉体の抽出等の処理を行い、乾燥処理を経て、中空糸膜製品が完成する。
【0012】
従来、このような長尺物、特に中空糸膜の製造においては、中空繊維を管状の槽内に並列配置した上で、管内に有機溶剤液、酸液、アルカリ液などの抽出処理液や、水などの洗浄液、乾燥風を順次送り込み、固定槽内で製造していた。しかし、配管を順次接続しなおしたり、切替弁を用いて順次送り込む為にコンタミネーションが発生しやすく、また、切替作業が煩雑であったり、切替動作させるための制御システムも複雑となる問題があった。
さらに、固定槽を用いていたため、自在に生産システムの変更が行えず、拡張又は縮小に多くの制約を伴っていた。
特に、前述した公知の移動槽では、このような長尺物の製造が可能な移動槽は提供されていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、長尺物の生産が可能な移動処理器を用いた生産システムを提供し、製品品質及び生産性の向上に寄与することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による中空糸膜の生産システムは次の特徴を備える。管状移動処理器を複数のステーションに移動して順次所定の処理を行う中空糸膜の生産システムであって、
管状移動処理器内に被処理物を挿入した状態で、一端部から処理に用いる処理流体を注入可能な注入配管口と、他端部から該処理流体を排出可能な排出配管口とを備えて内部に処理流体を流通させて所定の処理を行うものであって、該管状移動処理器の注入配管口側で低く、該管状移動処理器の排出配管口側を高くして傾斜して設けられた管状移動処理器と、該管状移動処理器をステーション間で搬送する搬送手段と、所定の処理流体を供給する注入口が該注入配管口と、処理後の処理流体を受け入れる排出口が該排出配管口と、それぞれ連結可能に配設された各ステーションとを備え、
前記各ステーションには、有機液状体抽出に用いる流体の循環を行うステーションと、無機微粉体抽出に用いる流体の循環を行うステーションと、乾燥風の循環を行うステーションとを有する中空糸膜の生産システムを提供する。
【0015】
請求項2に記載の発明によると、前記各ステーションは、有機液状体抽出に用いる流体の循環を行う第1ステーションと、無機微粉体抽出に用いる流体の循環を行う第2ステーションと、乾燥風の循環を行う第3ステーションからなる中空糸膜の生産システムを提供する
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。本発明の実施形態は下記に限定されるものではない。
図1は本発明にかかる長尺物の生産システムの平面図であり、特に中空繊維から中空糸膜を製造する工程で用いるシステムである。
該システムは搬送路(1)と、該搬送路(1)の片側に並列したステーション(10)〜(14)及び、予備用のステーション(15)(15)と、移動処理器を載置して該搬送路(1)上を図中の矢印方向に移動する搬送架台(20)とを備えている。
また、各ステーションが並列する両側にはそれぞれターンテーブル(30)(30)が設置されており、例えば図中矢印Aの向きから移動処理器に中空繊維を挿入し、ターンテーブル(30)で回転し、図中矢印Bの向きで搬送架台(20)に移動させる。
【0017】
搬送架台(20)は、搬送路(1)上に敷設されたレール(2)(2)上を走行して各ステーション位置やターンテーブル位置にて停止する。また、搬送架台(20)上には該レール(2)(2)とは直交する向きに移動処理器レール(3)(3)が敷設されており、次に示す移動処理器台車を該レール(3)(3)上に載置する。
【0018】
本発明に係る移動処理器の正面図を図2に、同右側面図を図3に、同、斜視図を図4にそれぞれ示す。図に明らかなように、移動処理器(40)はレール上を転動可能な車輪を備えた移動処理器台車(41)とその上に搭載された管状移動処理器(42)とから成り、管状移動処理器(42)は複数の管体の集合で構成され、その各管体端部には開閉可能な密閉室(43)(44)が連通可能に固定されている。
【0019】
移動処理器台車(41)下部には、車輪(45)・・が回転自在に付設され、ステーション(10)〜(14)に敷設されたレール(4)(4)及び、前記搬送架台(20)上のレール(3)(3)の上を転動して移動処理器(40)が移動するようになっている。
移動処理器台車(41)は前後に横架した左右一対のフレーム(47)(47)と、その前端及び後端に跨設した門型フレーム(48)(48)とからなり、該門型フレーム(48)(48)にそれぞれ管状移動処理器(42)の前側と後側を搭載している。
【0020】
また、移動処理器台車上(41)の管状移動処理器(42)は門型フレーム(48)(48)の高さを変えて、前低後高に傾斜しており、前側の密閉室(43)が本発明における処理に用いる流体の注入側、後側の密閉室(44)が同流体の排出側である。
ここで、管状移動処理器(42)が入側で低く、出側で高く設けられているのは、流体を注入した時に、管内の特に空気などの気体を効率よく排出可能にすることと、洗浄後などに内部の液体を排出するときの液切れを良くすることを目的としている。このように移動処理器台車(41)上に搭載することで、最適な傾斜を設けることができる。該傾斜角は台車上に可変装置を設けて可変可能にし、流体の性質に応じて適宜設定してもよい。
【0021】
注入側密閉室(43)は円盤状の開閉蓋(46)が蝶番で開閉可能になっており、開閉蓋(46)の開成時には図5に示すように管状移動処理器(42)の管体端部(50)(50)・・が複数開口した密閉室が開放される。
管体(50)の直径は125mmであり、本実施例ではそれを10本並列している。作業開始時、開閉蓋(46)を開成し、各管体(50)内に直径100mmの中空繊維束(1000本/束)をそれぞれ挿入し、開閉蓋(46)を閉成する。開閉蓋(46)と密閉室(43)境界は開閉蓋(46)に付設したシール材により完全に密閉される。
【0022】
次に、本発明の特徴の1つとして、管状移動処理器(42)内での処理に用いる流体、例えば塩化メチレンや水酸化ナトリウムなどの液体や、乾燥に用いる熱風などを、該管状移動処理器(42)内に供給・排出させる機構を説述する。
図示のように、本移動処理器(40)には注入側配管(51)と排出側配管(52)が設けられ、注入側配管(51)は注入側密閉室(43)の下部に接続される一方、排出側配管(52)は排出側密閉室(44)の上部に接続されている。そしてその各端部は、移動処理器台車(41)の後端部に注入配管口(53)と排出配管口(54)に接続されている。各接続部は完全にシールされている。
【0023】
一方、各ステーション(10)〜(14)には注入配管口(53)と排出配管口(54)とそれぞれ対応する注入口(16)・・及び排出口(17)・・が設けられている。このような配管の接続装置は公知であり、例えば特許文献5や特許文献6などに開示される技術を適宜用いることができる。
【特許文献5】
特許第3210525号
【特許文献6】
特開平2−26637号公報
【0024】
このうち、特許文献5に示される技術を用いた注入口(16)及び排出口(17)の斜視図を図6に、注入配管口(53)及び排出配管口(54)の斜視図を図7にそれぞれ示す。
注入口(16)は注入配管口(53)の外径と略同一な内径を有し、移動処理器台車(41)がステーション(10)・・内に移動すると、注入配管口(53)がメス側、注入口(16)がオス側として嵌入し、流体の供給が可能になる。このとき、流体には揮発性の高いものも用いられるため、高度なシール性が要求されるが、本構成は自動的に、完全かつ安全な接続が可能である。
【0025】
すなわち、該開示にも示されるように本接続装置は次のように作用する。まずアクチュエータの作動により支持板(150)は配管接続方向へ移動し、ステーション側配管接続具(151)も支持板(150)と同調して前進する。可撓性管(152)とステーション側配管接続具(151)とはフランジを介して連結しており、可撓性管(152)は支持板(150)の開孔に摺動自在に貫通しているのでステーション側配管接続具(151)の全方位方向の位置偏位及び傾斜は補正され、多少の芯ずれがあってもステーション側配管接続具(151)と移動処理器側配管接続具(160)とはスムーズに接続されるものである。
【0026】
ステーション側配管接続具(151)が前進して移動槽側配管接続具(160)に嵌合すると、注入口(16)の先端が注入配管口(53)内の図示しないストッパーを押圧し、また注入口(16)の外壁の凸部は注入配管口(53)内の内周壁に付設したOリングを固く押接し、ステーション側配管接続具(151)と移動処理器側配管接続具(160)とはシール状態に保持されて緊密に固く接続される。
ステーション側配管接続具(151)と移動処理器側配管接続具(160)とが接続されると、アクチュエータ(161)が作動して円柱状ピン(162)が降下し、該ピン(162)は移動処理器側のU型ブロックの開孔(163)とステーション側のブロック(153)の挿入孔(154)に挿入され、ステーション側配管接続具(151)と移動処理器側配管接続具(160)とは機械的に、また物理的に完全にロック状態となる。
【0027】
以上、詳細に説示した本発明の管状移動処理器の生産システムを用いて、中空糸膜の製造を行う工程を次に説述する。
ターンテーブル(30)上に移動処理器(40)を配置し、図1中の矢印A方向から中空繊維を挿入した後、ターンテーブル(30)を回転させ、搬送架台(20)上に移動し、搬送架台(20)はステーション1(10)まで搬送する。
ステーション(1)のレール(4)(4)と搬送架台上のレール(3)(3)が連続した時点で移動処理器(40)を走行させ、上記注入口(16)と注入配管口(53)、排出口(17)と排出配管口(54)を接続する。
【0028】
そして、図8に示すような系を用い、ステーション1では、前記有機液状体抽出の作業を行う。すなわち、まず塩化メチレンタンク(60)から塩化メチレン循環ポンプ(61)により、配管(62)、切替弁(64)を経て移動槽(40)に塩化メチレンを供給する。配管(62)は直径80mmであり、リデューサ(63)により注入口(16)直前で直径150mmに変換される。
移動槽(40)内で処理を行った塩化メチレンは排出口(17)から切替弁(65)を経てリデューサ(66)により直径を再び80mmに戻した後、フィルタ(図示せず)、配管(68)を経て、再び塩化メチレンタンク(60)に還流する。
【0029】
塩化メチレンによる処理の終了後、熱風乾燥を行う。このために、空気を循環ブロワ(70)で送風し、熱交換器(71)で温度を上昇させて配管(72)を通す。このときの配管径は直径250mmであり、注入口(16)直前で直径150mmにリデューサ(73)により変換して切替弁(64)に接続される。
そして、移動処理器(40)内で乾燥処理を行った後、排出口(17)・切替弁(65)を経てリデューサ(74)で再び直径を250mmに変換し、配管(75)により循環ブロワ(70)に循環される。なお、空気の入れ換えのために外気取込量調整弁(76)と、排気量調整弁(77)を設けている。
【0030】
以上のように配管径を流体に応じて変え、公知のリデューサを用いて注入・排出の直前直後に移動処理器と接続可能な径に変換することで、それぞれに最適な流速を得ることができる。
すなわち、処理時の流速として、液体の場合は0.5〜3.5m/秒、とりわけ2〜3m/秒が処理に最適であり、一方気体の場合には10〜30m/秒、とりわけ15m/秒が処理に最適なことが分かっている。
ところが、固定処理器で複数の処理を行うような方法で、配管を共通化して同一の配管径で供給するようにした場合、それぞれに適した流速が得られず、好適な処理が行えない恐れがある。例えば、液体を基準に配管径を設計した場合、気体の風速が50m/秒程度に高まってしまい、乾燥処理の際の騒音の増大、必要なモータ出力の上昇による設備の大型化、高コスト化などの問題が生じる可能性が高い。
【0031】
配管の建設コスト等を抑制するために、管内流速を大きくとり管径を小さくすることが望ましい。また、プラント全体で使用する液の必要量は、処理器容積と配管容積の総和で決定されるので、有機溶剤液などのように高価な処理液を使用する場合には、液の使用量を少なくするために管径をできるだけ小さくすることが望ましい。
しかしながら、管径を小さくすると配管内の圧力損失が大きくなり、設計圧力が上昇してポンプや送風機の運転コストの増加を招いてしまう。従ってプラントの建設コストや、運転コストのバランスを考慮した流速の設定が必要である。
【0032】
そこで、本実施例で示したように、それぞれの直径を気体の配管(72)においては250mm、液体の配管(62)においては80mmとし、注入口(16)及び排出口(17)の径をその略中間値の150mmとすることにより、移動処理器(40)内で最適な流速を得ることができる。
なお、リデューサによる径の変換の影響を最小限に抑制するため、リデューサと切替弁の距離を極力小さく設計することが望ましい。
【0033】
なお、上記の設計において、移動処理器(40)内での液体の流量は有機溶剤液で750リットル/分、アルカリ液及び水で1180リットル/分が、また、気体の流量は44立方メートル/分(0℃、1気圧換算)が、実験からそれぞれ好適であることが分かっており、上記配管径はこの結果に基づいて設定されたものである。
【0034】
以上のステーション1(10)における処理は、投入から取り出しまで約10時間で完了する。完了後、移動処理器(40)は再び搬送台車(20)によって次のステーション2(11)(12)に移動する。なお、次のステーション2(11)(12)及び、その次のステーション3(13)(14)がそれぞれ2基ずつ設けられているのは、これらにおける処理時間が各20時間であり、ステーション1での処理時間10時間との調整を図るものである。
このように、処理時間とステーションの数を比例させて配設することにより、各ステーションにおける待機時間を少なくし、連続的に工程を組むことができるため、本発明の実施において特に好適である。
【0035】
ステーション2(11)においては、図9に示す系を用いて、まず水酸化ナトリウムタンク(80)から循環ポンプ(81)により、配管(82)、リデューサ(83)を経て、ステーション2(11)の移動処理器(40)に注入口(16)から水酸化ナトリウムが注入され、無機微粉体が抽出処理される。
排出口(17)から排出された処理後の水酸化ナトリウムは、リデューサ(84)から配管(85)、バルブ(86)を経て、水酸化ナトリウムタンク(80)に還流する。
【0036】
次いで、水タンク(87)から循環ポンプ(81)により、配管(82)、リデューサ(83)を経て、ステーション2(11)の移動処理器(40)に注入口(16)から水が注入される。該水により水酸化ナトリウム洗浄処理が行われる。処理は数回繰り返され、処理後の液は、廃液用の配管及びポンプ(図示しない)により都度系外に排出される。
水タンク(87)への還流路は、上記アルカリ液の場合と同様である。
ステーション2においてもリデューサ(83)(84)を用い、配管(82)(85)の直径100mmと注入口(16)の直径150mmの間で変換される。
【0037】
最後に、ステーション3(13)(14)においては図10に示す系を用いて乾燥処理を行う。
すなわち、循環ブロワ(100)で送風し、熱交換器(101)で温度を上昇させて配管(102)を通す。このときの配管径は直径250mmであり、注入口(16)直前で直径150mmにリデューサ(103)により変換される。
そして、移動処理器(40)内で乾燥処理を行った後、排出口(17)からリデューサ(104)で再び直径を250mmに変換し、配管(105)により循環ブロワ(100)に循環される。
なお、空気の入れ換えのために外気取込量調整弁(106)と、排気量調整弁(107)を設けている。
【0038】
本実施例は以上の構成を備えるが、ステーション1(10)における塩化メチレンの供給及び乾燥の各工程、ステーション2(11)(12)における水酸化ナトリウム及び水の供給の各工程は、いずれも分離してそれぞれ2つのステーションで構成することもできる。すなわち、本発明は流体の種類に応じて最適な管径を用いることができる点に特徴を有しており、各ステーションにおいて供給する流体の種類は限定するものではない。
また、上記で示したように、ステーション1(10)では液体の配管に80mm、ステーション2(11)(12)では100mmを用いている。このように、液体においてもその種類(好適な処理速度、粘性などの特性)に応じて最適な管径を用いることができる点も本発明の有する特徴である。
【0039】
上記実施例ではターンテーブル(30)を被処理物の投入ターンテーブルと取出ターンテーブルの2基をステーションの両側に備えている。これにより、投入ターンテーブルで被処理物を投入し、各ステーションでの処理の後に、取出ターンテーブルで取り出し作業を行うことができる。従って、処理前・処理後の被処理物を混同することなく、スムーズな生産を行える。
ただし、生産システムのスペースや、被処理物によって、投入・取出を行うターンテーブルは1基でもよい。また、これらの作業に時間がかかる場合にはより多くのターンテーブルを設けてもよい。
【0040】
本発明は、従来の固定槽を用いた生産システムでシステムの変更が行えず、拡張又は縮小に多くの制約を伴っていた点を改善することに寄与するものであり、ステーションを増減することで、生産量や生産物の変更が簡便に行える。
本実施例でも、図1において予備ステーション(15)(15)を有しており、例えば2工程を追加して実施することも極めて容易である。さらに、搬送路(1)の両側に、既存の各ステーションに対向させて新たなステーションを配設することにより、ステーションを倍増させることもできる。このように搬送路(1)の両側にステーションを設ける構成は、搬送路(1)及び搬送架台(20)を別途配設する必要がないため、システム変更の際に好適である。
【0041】
以上、長尺製品として代表的に中空糸膜について説明してきたが、他の長尺の繊維状製品としてのモノフィラメント糸、編布、織布、不織布等への適用について説明する。
一般に、繊維素材にいろいろな機能(例えば、保温性、吸湿性、吸水性、透湿性、防水性、制電性、防皺性、及び抗菌性等)を付与するために繊維表面を処理したり、繊維表面に処理剤を吸着させたり、また繊維素材中に処理剤を含浸させたりすることがよく行われており、その機能を長期間保持させるために、さらに各種処理剤の吸着処理、含浸処理、抽出処理等、更には、その後処理としてのスチ−ム処理、乾燥処理、熱処理等が行なわれている。
更には、前記の各種繊維素材に、(例えば、水、有機溶剤等に溶解または分散させた)染料、顔料を含浸させて様々な色彩を有する長尺製品を作製することも行われている。
【0042】
本発明の生産システムによれば、このような長尺製品(モノフィラメント糸、編布、織布、不織布等)における吸着処理、含浸処理、抽出処理、スチ−ム処理、乾燥処理、熱処理、その他諸々の加工処理にも適用しうるものである。
また、上記中空糸膜のステーション1〜3に換えて、これら長尺の繊維状製品の処理には、少なくとも有機液状体抽出に用いる流体の循環を行う有機液状体抽出ステーションや、乾燥風の循環を行う乾燥ステーションとを設けて本発明の生産システムを形成することが望ましい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、次の効果を奏する。
すなわち、請求項1ないし2に記載の長尺製品の生産システムは、管状移動処理器を複数のステーションに移動して順次所定の処理を行う際に、移動処理器の一端部から処理に用いる処理流体を注入可能な注入配管口と、他端部から該処理流体を排出可能な排出配管口とを備えて内部に処理流体を流通させて所定の処理を行うことができ、搬送手段が各ステーションを移動するように構成するので、コンタミネーションを防止し、ステーション毎に各処理時間、処理内容に応じた最適な設計が行える。
固定処理器の場合に比して、ステーションの増減を行うことは容易であり、生産システムの変更が自在に行えるため、生産量の変化や生産物の変更に柔軟に対応できる生産システムを提供することができる。
特に、管状移動処理器の注入配管口側で低く、該管状移動処理器の排出配管口側を高くして傾斜して設けられており、該管状移動処理器内に被処理物を挿入した状態で、一端部から処理に用いる処理流体を注入可能な注入配管口と、他端部から該処理流体を排出可能な排出配管口とを備えて内部に処理流体を流通させて所定の処理を行うので、流体を注入した時に、管内の特に空気などの気体を効率よく排出可能にすることと、洗浄後などに内部の液体を排出するときの液切れを良くすることが出来る。
又、前記各ステーションには、有機液状体抽出に用いる流体の循環を行うステーションと、無機微粉体抽出に用いる流体の循環を行うステーションと、乾燥風の循環を行うステーションとを有するので、コンタミネーションを防止し、ステーション毎に各処理時間、処理内容に応じた最適な設計が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る長尺製品の生産システムの平面配置図である。
【図2】 本発明に係る管状移動処理器の正面図である。
【図3】 同、右側面図である。
【図4】 同、斜視図である。
【図5】 本発明に係る管状移動処理器における密閉室内の斜視図である。
【図6】 本発明に係る注入口、排出口の斜視図である。
【図7】 本発明に係る注入配管口、排出配管口の斜視図である。
【図8】 本発明の実施形態におけるステーション1への循環系の説明図である。
【図9】 本発明の実施形態におけるステーション2への循環系の説明図である。
【図10】 本発明の実施形態におけるステーション3への循環系の説明図である。
【符号の説明】
4 レール
10 ステーション1
40 移動処理器
41 移動処理器台車
42 管状移動処理器
43 注入側密閉室
44 排出側密閉室
45 車輪
46 開閉蓋
47〜48 フレーム
51 注入側配管
52 排出側配管

Claims (2)

  1. 管状移動処理器を複数のステーションに移動して順次所定の処理を行う中空糸膜の生産システムであって、
    管状移動処理器内に被処理物を挿入した状態で、一端部から処理に用いる処理流体を注入可能な注入配管口と、他端部から該処理流体を排出可能な排出配管口とを備えて内部に処理流体を流通させて所定の処理を行うものであって、該管状移動処理器の注入配管口側で低く、該管状移動処理器の排出配管口側を高くして傾斜して設けられた管状移動処理器と、該管状移動処理器をステーション間で搬送する搬送手段と、所定の処理流体を供給する注入口が該注入配管口と、処理後の処理流体を受け入れる排出口が該排出配管口と、それぞれ連結可能に配設された各ステーションとを備え、
    前記各ステーションには、有機液状体抽出に用いる流体の循環を行うステーションと、無機微粉体抽出に用いる流体の循環を行うステーションと、乾燥風の循環を行うステーションとを有する中空糸膜の生産システム。
  2. 前記各ステーションは、有機液状体抽出に用いる流体の循環を行う第1ステーションと、無機微粉体抽出に用いる流体の循環を行う第2ステーションと、乾燥風の循環を行う第3ステーションからなる請求項1に記載の中空糸膜の生産システム。
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