JP4953658B2 - フタロシアニン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感型太陽電池に好適な光エネルギー変換用のフタロシアニン誘導体及びそのフタロシアニン誘導体を製造する方法に関する。
フタロシアニン類は、熱安定性及び化学的安定性が高くその応用範囲は非常に広い。それら応用範囲の1つとして色素増感型太陽電池への適用が検討されている。色素増感型太陽電池に応用する場合には光に対するエネルギー変換効率を向上することが求められている。
従来、検討が行われているフタロシアニン誘導体としては、ビス(3,4−ジカルボキシルピリジン)(1,4,8,11,15,18,22,25−オクタメチルフタロシアニン)ルテニウム(II)(非特許文献1、特許文献1)、チタン(IV)テトラ(t−ブチル)フタロシアニンでカルボキシカテコールが配位している化合物(非特許文献2)、そしてフタロシアニンの周辺部(ベンゼン環)に置換基を導入した化合物(4つのベンゼン環すべてにカルボキシ基を導入した化合物など:非特許文献3、4つのベンゼン環すべてにグリシン又はチロシンを導入した化合物:非特許文献4)などが挙げられる。
米国特許第5、556、849号公報 Nazeeruddin M.K, Humphyry-Baker R, Gratzel M, Murrer B.A, Chem. Commun., 1998, 719. Palomare E, Martines-Diaz M.V.M, Haque S.A, Torres T, Durrant J.R, Chem. Commun., 2004, 2112. Nazeeruddin M.K, Humphyry-Baker R, Gratzel M, Wohrle D, Schnurpfeil G, Schneider G, Hirth A, Trombach N, J. Porphyrins and Phthalocyanines, 1999, 3, 230. He J, Benko G, Korodi F, Polyvka T, Lomoth R, Akermar B, Sun L, Hagfeldt A, Sundstrom V, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 4922.
しかしながら、従来のフタロシアニン誘導体では変換効率ηを充分にすることができなかったり、構造が変化したりすることで、色素増感型太陽電池として充分な性能を発揮できなかった。
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、色素増感型太陽電池に適用した場合に変換効率が高い光エネルギー変換用のフタロシアニン誘導体を提供することを解決すべき課題とする。
課題を解決するための手段及び効果
(1)上記課題を解決する本発明のフタロシアニン誘導体は光エネルギー変換用であり、半導体材料と共に用いられる。そして、下記一般式(1)で示される非対称構造をもつ。
Figure 0004953658
(式(1)中、X1はR、OR及びNRR’からなる電子供与基及び水素である第1置換基群から選択される置換基である;X4 は−A−Ymからなる第2置換基群から選択される置換基である(YはCOOH、COOR、SO3H及びPO3Hからなる電子吸引基の群からそれぞれ選択される置換基;Aは2以上の炭素をもつ炭化水素基;mは以上の整数である;それぞれのYは、A中の異なる炭素原子に結合する);X2及びX3は前記第1置換基群及び前記第2置換基群から選択される置換基である;R及びR’は直鎖状又は分枝状のアルキル基、フェニル基又は1以上の水素がアルキル基で置換されたフェニル基である;nはX14のそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である;MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、Sn及びPからなる元素の群から選択される;Mの価数によってはピリジン又はピリジン誘導体がMに配位する)
特に、前記一般式(1)中、前記第1置換基群は水素、t−ブチル基、OCH3、OC25、OC37、OC511、OC613、OC715、OC817、OC919、OC1021、N(CH32、N(C652及びt−C49−ph−O−(phはフェニレン)であり、前記第2置換基群は−CH2Y、−CH(CH2Y)Y及び−CH(CH2Y)2であることが望ましい。
更に、前記X2及びX3は前記電子供与基から選択される置換基であることで、フタロシアニン誘導体がもつ4つのベンゼン環のうち、3つのベンゼン環に電子供与基が導入されることが望ましい。
つまり、(a)フタロシアニン骨格における4つのベンゼン環に対し、電子供与基と電子吸引基とを非対称に導入することで、電子供与基から電子吸引基への電子の流れを形成すること(プッシュ−プル機構)、(b)電子吸引基として、上述の置換基を採用することで、色素増感型太陽電池に汎用される酸化チタンなどの半導体に対し強固に結合させることを組み合わせている。
従って、(a)電子供与基から電子吸引基への電子の流れを形成すると共に、(b)電子吸引基により酸化チタンなどに結合させることで、フタロシアニン誘導体が吸収した光により発生するエネルギーを効果的に伝えることが可能になり、色素増感型太陽電池に適用した場合に高い電池性能を発揮できる。
ここで上述した「非対称構造」か否かを判断する基準としては、中央に位置するMを基準として点対称であるか否かにより判断している。より具体的には、「中央に位置するMを基準として点対称の位置にあるベンゼン環における置換基がすべて同じ種類(電子供与基又は電子吸引基)である場合(つまり、X1及びX4、並びに、X2及びX3が、双方とも同じ種類の置換基及び数である場合)」を「対称構造」とし、それ以外を「非対称構造」としている。なお、「中央に位置するMを基準として、対応する構成元素の1つでも異なれば非対称構造である」との意味ではない。
(2)上記課題を解決する本発明のフタロシアニン誘導体の製造方法は、上述の(1)に記載したフタロシアニン誘導体を製造する方法である。
そして、下記一般式(2)及び(3)に記載のフタロニトリル誘導体を反応させる工程を有することを特徴とする。両者の反応は加熱などの一般的な操作により効果的に進行させることができる。ここで、一般式(2)における置換基X5はフタロシアニン誘導体が有する置換基X1〜3における第1置換基群に対応する置換基である。そして、一般式(3)における置換基X6はフタロシアニン誘導体が有する置換基X2〜4における第2置換基群に対応する置換基である。
Figure 0004953658
(式(2)及び(3)中、X5はR、OR及びNRR’からなる電子供与基及び水素である第1置換基群から選択される置換基である;X6 は−A−Ymからなる第2置換基群から選択される置換基である(YはCOOH、COOR、SO3H及びPO3Hからなる電子吸引基の群からそれぞれ選択される置換基;Aは2以上の炭素をもつ炭化水素基;mは以上の整数である;それぞれのYは、Aにおいて異なる炭素原子に結合する);R及びR’は直鎖状又は分枝状のアルキル基、フェニル基又は1以上の水素がアルキル基で置換されたフェニル基である;nはX5及ヒ゛6のそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である)
以下、本発明のフタロシアニン誘導体及びその製造方法について、実施形態に基づき説明を行う。本発明のフタロシアニン誘導体は高い性能を持つ色素増感型太陽電池を実現できる。色素増感型太陽電池としては特に限定しないが、半導体微粒子からなる電極とその電極上に担持された色素と電解質と対極とを有するものが例示される。本発明のフタロシアニン誘導体は色素増感型太陽電池において色素として適用される。
(フタロシアニン誘導体)
本実施形態のフタロシアニン誘導体は、上述の一般式(1)に示す構造を有する化合物である。一般式(1)について好ましい構造を以下に説明する。
1はR、OR及びNRR’からなる電子供与基及び水素である第1置換基群から選択される置換基である。第1置換基群は特に電子供与基であることが望ましい。電子供与基にすることで、色素増感型太陽電池に適用した場合に半導体電極に向けて電子を押し出す効果が増強される。フタロシアニン骨格におけるベンゼン環の1つに対してX1は1つでも複数でも結合させることができる。また、第1置換基群としてはアルキル基(R)及びアルコキシ基(OR)であることが望ましい。アルキル基としては嵩高い置換基(例えば、t−ブチル基)が望ましい。
4 は−A−Ymからなる第2置換基群から選択される置換基である。YはCOOH、COOR、SO3H及びPO3Hからなる電子吸引基の群からそれぞれ選択される置換基であり、特にCOOHにすることが望ましい。X4もフタロシアニン骨格におけるベンゼン環の1つに対して1つでも複数でも結合させることができる。Aは2以上の炭素をもつ炭化水素基である。
ここで、Yで表される電子吸引基は、フタロシアニン骨格がもつベンゼン環に直接結合されているよりも、Aを介して結合している方が望ましい。Aで表される炭化水素基としては飽和の炭化水素基(アルキレン基)が例示できる。電子吸引作用と半導体微粒子に対する結合力とを向上するためにはYを2以上結合させる(すなわち、mを2以上にする)。それぞれのYは、Aの炭化水素基における異なった炭素原子に結合させる。同じ炭素原子に結合させると、結合した置換基Yの安定性が低下するからである。
2及びX3はX1と同様の第1置換基群及びX4と同様の第2置換基群から選択される置換基である。いずれも第1置換基群から選択することが望ましい。特に、双方ともに第1置換基群(更には電子供与基)から選択することが望ましい。電子供与基を増やすことで、半導体微粒子からなる電極に向けて電子を押し出す作用が増強される。
以上、非対称構造をもつフタロシアニン誘導体である本実施形態のフタロシアニン誘導体について説明を行ったが、X1及びX4が第1置換基群(又は第2置換基群)から選択され、X2及びX3が第2置換基群(又は第1置換基群)から選択されている本発明の範囲から形式的に外れている化合物であっても、電子供与基(又は電子吸引基)の電子を供与する(吸引する)力が異なる置換基を選択することで、電子の流れとしては非対称構造になれば、高い性能を発揮する可能性はある。
MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、Sn及びPからなる元素の群から選択される。これらの元素がMとして導入される場合の酸化数としては、Cu(II)、Zn(II)、Ni(II)、Co(II)、Ru(II)、Al(III)、Rh(III)、Os(II)、Pb(IV)、Sn(IV)及びP(V)が例示できる。これら元素のうち、MとしてはZnが望ましい。Mの価数が4を超える場合にはピリジンやその誘導体が配位した構造を採用できる。
(フタロシアニン誘導体の製造方法)
本実施形態のフタロシアニン誘導体の製造方法は本実施形態のフタロシアニン誘導体を製造する方法である。そして、前記一般式(2)及び(3)に記載のフタロニトリル誘導体を反応させる方法である。一般式(2)及び(3)におけるX5及びX6は製造するフタロシアニン誘導体がもつX1〜4に対応する。すなわち、フタロニトリル誘導体が有する置換基X5及びX6がそのままフタロシアニン誘導体の置換基X1〜4に導入される。なお、原理的には、置換基X5及びX6がフタロシアニン誘導体のX1〜4として導入される場所は制御できず、確率により決定される場合が多い。
本発明のフタロシアニン誘導体について実施例に基づき、以下説明する。
(合成)
1〜3がt−ブチル基、X4がCH(COOH)CH2COOHである一般式(1)に記載のフタロシアニン誘導体(PCH001)の合成を行った。合成は下記反応式1に従い行った。
Figure 0004953658
化合物1の合成(反応式2):ニトロフタロニトリル(500mg、2.89mmol)、マロン酸ジエチル(462mg、2.89mmol)、そしてK2CO3(1.18g、8.67mmol)を15mLのDMSOに溶解した。その溶液を窒素雰囲気下。80℃で4時間加熱した。その後、溶媒であるDMSOを減圧除去した。
得られた固形物から目的物である化合物aを酢酸エチル/ヘキサン(10/90)混合溶媒を用い、シリカゲルカラムにて分離した。その後、エタノール中でKOHと室温下で3時間反応させた後、エタノールを留去し、化合物bを得た。化合物b(800mg、2.48mmol)及びブロモ酢酸エチル(480mg、2.88mol)をアセトン/アセトニトリル(2/1)中に溶解させた。その後、窒素雰囲気下で20時間、加熱還流し反応を遂行した。溶媒を留去して油状の反応生成物を得た。この反応生成物をクロロホルム/メタノール溶媒を用いて再結晶を行い化合物1を得た。
Figure 0004953658
化合物3の合成:化合物1(1.000g、2.69mmol)、化合物2(市販品、1.484g、8.07mmol)及びジアザビシクロウンデセン(DBU)(100mg)をペンタノール中に溶解させた。その後、20時間、加熱還流し反応を遂行した後、溶媒を留去した。化合物1と化合物2とをモル比で1:3になるように混合したことで、それぞれが有する置換基を1:3で含む化合物3を主に得ることができた。得られた混合物をシリカゲルカラムにて分離して化合物3を得た(分離溶媒はクロロホルム)。
更に、クロロホルム/ヘキサンを用いて再結晶を2回繰り返して精製を行った。収率は10%であった。
化合物4の合成:化合物3(100mg、0.1mmol)及びZn(OAc)2・2H2O(110mg、0.5mmol)をDMF20mL中に溶解させた。この溶液をフタロシアニンのQバンドが変化するまで還流を行った後、溶媒を減圧留去した。得られた固形物をシリカゲルカラムにて分離精製した(溶媒:クロロホルム)。1H−NMRスペクトルを図1のb)の下欄に示す。
目的化合物(PCH001)の合成:Na/エタノールを用いて化合物4を加水分解することでPCH001を得た。具体的には化合物4(100mg)をエタノール25mL中に溶解させた後に1gのナトリウムを溶解させた。この反応は室温下、7日間撹拌しながら行った。その後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物をエタノールに溶解させ、濃塩酸にてpH3に調整して再度、沈殿させた。得られた沈殿をろ別し、減圧乾燥を行った。
得られた目的化合物(PCH001)について分析を行った。結果を図1に示す。図1のa)にはMALDI-TOF MSスペクトルを示し、b)の上欄には1H−NMRスペクトルを示し、c)には元素分析の結果を示した。
IR(KBr):ν=3423、2957、2923、2857、1713、1612、1396、920、525cm-1。MALDI-TOF:(C484684Zn)+=863(5%)、689(30%)。
(合成)
1〜4がすべて−COOHであるフタロシアニン誘導体(PCH002:非特許文献3に記載の化合物)を上述したPCH001と同様の方法にて合成した。上述の方法とは化合物1及び化合物2に代えて、フタロニトリルカルボン酸エチルエステルを用い、且つ、反応ii)を行わなかった以外は同様の方法である。
(評価:光電極の製造)
酸化チタン電極(約0.5cm×0.9cm)をスクリーン印刷により製造した。具体的には、酸化チタンのナノ粒子を有機物にてペースト化してスクリーン印刷する方法は”Gratzel”らの方法に準拠して行った。酸化チタンペーストを印刷するガラス基板には透明な酸化物膜(フッ素をドープした酸化スズ)がコートされているものを用いた。
酸化チタンペーストを印刷した後、大気中、450℃、1時間の条件にて焼結を行うことで、酸化チタン電極を得た。形成された酸化チタン被膜の厚みは約6μmであった。0.01mMの濃度でそれぞれの試験色素をエタノール中に溶解した後、その溶液中に酸化チタン電極を浸漬し、酸化チタン上に試験色素を吸着させて光増感電極を形成した。浸漬は25℃、13時間行った。
得られた光増感電極と対極とを用いて光電セルを形成した。光電セルは二電極タイプを採用した。具体的には、厚み100μmのポリエチレン製セパレータと、有機電解質(AH1、AH2又はAH3)、透明酸化物膜をスピンコートしたガラス上にPtをスパッタリングして被膜を形成した対極とを組み合わせることでセルを形成した。形成された隙間に有機電解質を導入した。ここで、AH1は0.1MのI2、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオダイド(DMPImI)、そして0.5Mの−メトキシベンズイミダゾール(NMBI)を、γ−ブチロラクトンに溶解した電解質である。AH2は、0.1MのI2、0.9MのDMPImI、0.5MのNMBI、そして0.1Mのリチウムサッカレート(SacLi)をメトキシプロピオニトリルに溶解したものである。AH3は0.6MのN−メチル−N−ブチル−イミダゾリウムイオダイド、0.05MのI2、0.05MのLi、そして0.5Mのt−ブチルピリジンをバレロニトリル/アセトニトリル(50/50、v/v)の混合溶媒に溶解させたものである。
まず、PCH001についての評価を行った。0.01mmolエタノール溶液のUV-VIS吸収スペクトルを図2(a)に、酸化チタン表面に吸着した状態での吸収スペクトルを図2(b)に示す。図2(a)より明らかなように、680nmに吸収極大(ε=191000dm3mol-1cm-1)を示した。また、図2(b)より明らかなように、酸化チタン表面に吸着された状態では吸収極大が長波長側に11nmシフトした。
ついで、AH1〜3電解質を用いて計測した光電セルの光電変換効率(IPCE)を図3に示す。図3(a)にAH1(…)及びAH2(−)でのIPCEを示し、図3(b)にAH3でのIPCEを示す。AH1〜3のIPCEの最大値はそれぞれ22%、23%そして75%であった。
色素としてPCH001及びPCH002を用いたセルについて、光電流−電圧特性を評価した。評価は疑似太陽光(AM1.5:100mW/cm2)を照射して行った。結果を表1に示す。ここで、JSCは短絡電流、Vocは開放電圧、FFはFill Factor、I0は光子量である。効率、ηは{JSC(mAcm-2)×Voc(V)×FF}÷I0(Wm-2)×100(%)にて求めた。ここで、PCH002にて電解質として採用したAH4は0.5MのLiI及び0.05MのLiI3をプロピレンカーボネートに溶解したものである。PCH002におけるIPCEの最大値は43%であった。
Figure 0004953658
表1より明らかなように、対照構造をもつPCH002は非対称構造をもつPCH001に比べて充分な効率が得られなかった。これは、PCH001を採用したセルでは、電子吸引基と電子供与基とをフタロシアニン骨格中に非対称に配置したことで、電子移動を促進する効果を発揮したためと考えられる。なお、PCH001は150℃以上の雰囲気下においても高い熱安定性を示した。
(参考:合成方法)
1〜3がt−ブチル基、X4がカルボキシ基でX4におけるnが2であるフタロシアニン誘導体(化合物9)を下記反応式2に従い合成した。化合物6(t−ブチルイソインドリン:603mg、3mmol)と化合物7(ジシアノイソインドリン:195mg、1mmol)とをジメチルアミノエタノール20mL中に溶解した後、4時間還流した。溶媒を減圧留去し、得られた固形物を溶媒としてクロロホルム/メタノール(90/10)を用いたシリカゲルカラムにて精製した。
得られた化合物8をZn(OAc)2と共にDMFに溶解させて2時間還流した後、溶媒を減圧留去し、メタノール/ヘキサン混合溶媒を用いて再結晶を行い、化合物9を得た。
Figure 0004953658
本実施例のフタロシアニン誘導体の分析データである。 本実施例のフタロシアニン誘導体の吸光度を示すスペクトルである。 本実施例のフタロシアニン誘導体における種々の電解質を用いたIPCEを示すグラフである。

Claims (4)

  1. 半導体材料と共に用いられ、
    下記一般式(1)で示される非対称構造をもつ光エネルギー変換用のフタロシアニン誘導体。
    Figure 0004953658
    (式(1)中、X1はR、OR及びNRR’からなる電子供与基及び水素である第1置換基群から選択される置換基である;X4 は−A−Ymからなる第2置換基群から選択される置換基である(YはCOOH、COOR、SO3H及びPO3Hからなる電子吸引基の群からそれぞれ選択される置換基;Aは2以上の炭素をもつ炭化水素基;mは以上の整数である;それぞれのYは、A中の異なる炭素原子に結合する);X2及びX3は前記第1置換基群及び前記第2置換基群から選択される置換基である;R及びR’は直鎖状又は分枝状のアルキル基、フェニル基又は1以上の水素がアルキル基で置換されたフェニル基である;nはX14のそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である;MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、Sn及びPからなる元素の群から選択される;Mの価数によってはピリジン又はピリジン誘導体がMに配位する)
  2. 前記一般式(1)中、前記第1置換基群は水素、t−ブチル基、OCH3、OC25、OC37、OC511、OC613、OC715、OC817、OC919、OC1021、N(CH32、N(C652及びt−C49−ph−O−(phはフェニレン)であり、
    前記第2置換基群は−CH(CH2Y)Y及び−CH(CH2Y)2である請求項1に記載のフタロシアニン誘導体。
  3. 前記X2及びX3は前記電子供与基から選択される置換基である請求項1又は2に記載のフタロシアニン誘導体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフタロシアニン誘導体を製造する方法であって、
    下記一般式(2)及び(3)に記載のフタロニトリル誘導体を反応させる工程を有することを特徴とするフタロシアニン誘導体の製造方法。
    Figure 0004953658
    (式(2)及び(3)中、X5はR、OR及びNRR’からなる電子供与基及び水素である第1置換基群から選択される置換基である;X6 は−A−Ymからなる第2置換基群から選択される置換基である(YはCOOH、COOR、SO3H及びPO3Hからなる電子吸引基の群からそれぞれ選択される置換基;Aは2以上の炭素をもつ炭化水素基;mは以上の整数である;それぞれのYは、Aにおいて異なる炭素原子に結合する);R及びR’は直鎖状又は分枝状のアルキル基、フェニル基又は1以上の水素がアルキル基で置換されたフェニル基である;nはX5及び6のそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である)
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