JP4953302B2 - 交流リアクトル - Google Patents
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Description
本発明の課題は、交流リアクトルのインピーダンスを調整可能にすることである。
また、前記制御手段は、負荷状態に応じて、前記第3のコイルの短絡を制御することを特徴とする。
また、各相の前記第1及び第2のコイルを、多芯線で構成することを特徴とする。
また、各相の前記第1及び第2のコイルを、多芯線で構成することにより、表皮効果や近接効果の影響を軽減することができる。特に、インバータで電動機を駆動する場合、キャリア周波数を10kHz前後で使用することになり、表皮効果や近接効果が顕著になるので、インバータ用の交流リアクトルとして有効である。
《構成》
図1に示すように、誘導電動機1を駆動するためのインバータ2を備え、その高調波成分が受電側に流出することを防止するために、インバータ2の上流側に交流リアクトル3が介挿されている。
図2に示すように、交流リアクトル3の鉄心は、並列に連結したU相、V相、W相の脚部3i(i=u、v、w)と、U相とV相の間、及びV相とW相の間で、脚部同士の中央を連結した梁部3j(j=uv、vw)とで構成され、略『田の字』型に形成されている。
第1のコイルC1i及び第2のコイルC2iは、電路に対する接続が制御され、第3のコイルC3jは、短絡が制御される。
1.基本接続リレー回路
これは、図3に示すように、電路に対して同相のコイルC1iとコイルC2iとの接続を個別に制御にする回路である。図3では、C1uとC2uに対する回路だけを記載しているが、C1vとC2v、及びC1wとC2wに対する回路も同様である。
ここでは、接点Cαを開くときに、コイルC1uが電路に接続され、接点Cαを閉じるときに、コイルC1uが短絡される。また、接点Cβを開くときに、コイルC2uが電路に接続され、接点Cβを閉じるときに、コイルC2uが短絡される。図4は、電路に対してコイルC1iとコイルC2iとを共に接続した状態である。
これは、図5(a)及び(b)に示すように、電路に対してコイルC1iの接続を制御し、さらにコイルC1iとは相順を順方向に切替えたコイルC2iの接続を制御する回路である。すなわち、U相のコイルC1uにはV相のコイルC2vを、V相のコイルC1vにはW相のコイルC2wを、W相のコイルC1wにはU相のコイルC2uを接続可能にする回路である。図5では、C1uとC2vに対する回路だけを記載しているが、C1vとC2w、及びC1wとC2uに対する回路も同様である。
これは、図7(a)及び(b)に示すように、電路に対してコイルC1iの接続を制御し、さらにコイルC1iとは相順を逆方向に切替えたコイルC2iの接続を制御する回路である。すなわち、U相のコイルC1uにはW相のコイルC2wを、V相のコイルC1vにはU相のコイルC2uを、W相のコイルC1wにはV相のコイルC2vを接続可能にする回路である。図7では、C1uとC2wに対する回路だけを記載しているが、C1vとC2u、及びC1wとC2vに対する回路も同様である。
上記のように、コイルC1i及びC2iの接続と、コイルC3jの短絡とを、誘導電動機1の負荷状態に応じて制御する。図9は、具体的な制御を示す一例である。
1.基本接続リレー回路
通常、インバータ2からの出力電圧は、供給電圧に対する変動に対して一定になるように働く。したがって、インバータ2に対する力率を改善するには、供給電圧を低く保つことが得策となるので、軽負荷時にはリアクタンスを大きくし、定格負荷時には、リアクタンスをゼロとすることにより最適な設定となる。
このように、負荷状態に応じて、各コイルの接続や短絡を制御することで、最適なリアクタンスを得ることができ、C1i及びC2iの巻数比を変化させれば、さらに細かい調整が可能となる。
図10に示すように、電流位相を進めても電流値の大きさの変化が現れてこないので、中負荷〜重負荷に適した接続となる。
インバータ駆動では、中負荷以上で電流位相が進んで、電流が商用電源駆動に比べて多くなる傾向があるので、図11に示すように、電流位相を遅らせ、負荷電流を減少させるベクトル合成電流とすることができる。電流比率が1:1のときに、合成電流が一番小さくなるが、どの程度の電流位相に設定し、どの程度の平均負荷状態を最適状態とするかを考慮して、電流比率を決定する。
こうした順相接続により、供給電圧を低くすることで、トルク分電流と励磁分電流の調整が可能となる。したがって、余分な無効電力の励磁エネルギーを低減し、力率改善と共に効率の改善を図ることができる。但し、各コイルの巻数を多くすると励磁損失が大きくなるので、減圧比率について細かい調整が必要である。
図13に示すように、電流位相を進めると電流値の大きさが減少するように働き、軽負荷〜中負荷に適した接続となる。
この場合も、電流比率が1:1のときに、合成電流が一番小さくなるが、どの程度の電流位相に設定し、どの程度の平均負荷状態を最適状態とするかを考慮して、電流比率を決定する。
インバータ駆動では、中負荷以上で端子間電圧に対して電流位相が進み過ぎることがあり、さらに電流が商用電源駆動に比べて表皮効果の影響により多く流れる傾向がある。図14に示すように、電流位相を遅らせたまま、負荷電流の大きさを維持させるように接続することも可能である。
こうした逆相接続により、電流位相調整角が大きくなるので、供給電圧の低い範囲でも良好な特性となり、C1iとC2iの巻数比を変化させることで運転特性の改善が可能となる。
また、負荷状態に応じて、C1i及びC2iの接続や、C3jの短絡を制御することにより、全負荷領域で最適なインピーダンスを得ることができる。
そこで、本実施形態では、交流リアクトル3に巻装される少なくともC1i及びC2iを多芯線(より線)で構成した。これにより、上記の表皮効果や近接効果の影響を軽減することができ、理想的な電流分布を得ることができる。
2 インバータ
3 鉄心
3i(3u、3v、3w) 脚部
3j(3uv、3vw) 梁部
C1i(C1u、C1v、C1w) 第1のコイル
C2i(C2u、C2v、C2w) 第2のコイル
C3j(C3uv、C3vw) 第3のコイル
Claims (4)
- 並列に連結した第1相、第2相、第3相の脚部と、第1相と第2相の間、及び第2相と第3相の間で、前記脚部同士の中央を連結した梁部と、で構成される鉄心と、
各相ごとに前記脚部における前記梁部との連結位置よりも一端側に巻装された第1のコイルと、各相ごとに前記脚部における前記梁部との連結位置よりも他端側に巻装された第2のコイルと、前記梁部に巻装された第3のコイルと、
電路に対する各相の前記第1及び第2のコイルの接続、並びに前記第3のコイルの短絡を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、負荷状態に応じて、前記第1及び第2のコイルによって、基本接続リレー回路、順相接続リレー回路、及び逆相接続リレー回路の夫々を選択して形成することが可能であり、
前記基本接続リレー回路は、
電路に対して同相の前記第1のコイルと前記第2のコイルの接続を個別に制御する回路であり、
前記順相接続リレー回路は、
第1相から第2相へ、第2相から第3相へ、第3相から第1相への相順を順方向とし、電路に対して前記第1のコイルの接続を制御し、この第1のコイルとは相順を順方向に切替えた前記第2のコイルの接続を制御し、この第2のコイルにおける前記鉄心に対する励磁方向を制御する回路であり、
前記逆相接続リレー回路は、
第1相から第3相へ、第2相から第1相へ、第3相から第2相への相順を逆方向とし、電路に対して前記第1のコイルの接続を制御し、この第1のコイルとは相順を逆方向に切替えた前記第2のコイルの接続を制御し、この第2のコイルにおける前記鉄心に対する励磁方向を制御する回路であることを特徴とする交流リアクトル。 - 前記制御手段は、
軽負荷時、又は定格負荷時には、前記基本接続リレー回路を選択し、
軽負荷から中負荷時には、前記逆相接続リレー回路を選択し、
中負荷から重負荷時には、前記順相接続リレー回路を選択することを特徴とする請求項1に記載の交流リアクトル。 - 前記制御手段は、負荷状態に応じて、前記第3のコイルの短絡を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の交流リアクトル。
- 各相の前記第1及び第2のコイルを、多芯線で構成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の交流リアクトル。
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