JP4953081B2 - 外部音知覚装置 - Google Patents

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Description

本発明は、音声や環境音などの外部音を超音波振動により知覚するための外部音知覚装置に関する。
外部音知覚装置の一例として、難聴者用の補聴器が知られている。補聴器には、音の振動が鼓膜を介して脳の聴覚器官に伝達される気導型の補聴器と、音の振動が鼓膜を介さずに頭蓋骨などから直接人体に伝わる骨導型の補聴器とがあり、最近では、振動子を介して超音波振動を脳の聴覚器官に伝達することにより、外部音を知覚可能にした骨導超音波型の補聴器が知られている。
このような骨導超音波型の補聴器に関連して、非特許文献1及び2には、振動子を両耳の乳様突起に装着して振幅変調された骨導超音波を呈示する場合に、振幅包絡の両耳間時間差や両耳間レベル差により、頭内の音像が変化することが開示されている。また、特許文献1には、2つの指向性マイクロフォンに入力された外部音で振幅変調されたそれぞれの骨導超音波を、両耳乳様突起に装着した2つの振動子で呈示する場合に、各指向性マイクロフォンから入力された外部音毎に固有の変調を行うことにより、音源の方向を認識できることが開示されている。
保手浜拓也, 中川誠司, "AM骨導超音波の頭内定位知覚 - 振幅包絡のITD弁別閾値," 聴覚研究会資料, 36, pp.627-632, 2006 保手浜拓也, 中川誠司, "AM骨導超音波の頭内定位知覚 - IID検出閾値," 日本音響学会2006年秋季研究発表会講演論文集, pp.351-352, 2006 特開2006−304020号公報
上記のように、骨導超音波の知覚特性に関する従来からの研究は、骨導超音波型の補聴器を両耳近傍に装用することで、方向感を獲得できる可能性を示唆するものである。ところが、本発明者らが特許文献1に開示された装置を用いて試験を行ったところ、その知覚特性は気導音のものとは異なっており、知覚される音像の位置と実際の音源位置との間に乖離が生じることが明らかになった。
すなわち、特許文献1に開示された外部音知覚装置により外部音の変調信号を呈示した場合、変調を行うことによって方向定位の手がかりの一つである両耳間レベル差が圧縮されて小さくなってしまうため、この装置により知覚される音像は、実際の音源方向より正中面側にシフトするおそれがあった。
また、ある外部音で振幅変調した骨導超音波の両耳間時間差の弁別閾値は、その外部音そのものの両耳間時間差の弁別閾値に比べてはるかに大きいため、これが原因となって、実際の音源方向より正中面側に音像が知覚されるおそれもあった。
そこで、本発明は、音源の方向を正確に知覚することができる外部音知覚装置の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、外部音が入力される複数の指向性マイクロフォンと、 前記各指向性マイクロフォンに入力された音信号に基づいて超音波のキャリア信号を変調すること
により、振動信号を個別に生成する振動信号生成手段と、 前記各振動信号に基づいて生体に超音波振動を伝達する複数の振動子とを備える外部音知覚装置であって、前記振動信号生成手段は、複数の前記指向性マイクロフォン間における前記音信号のレベル差及び/又は時間差を算出して空間特性パラメータを取得するパラメータ算出手段と、前記各振動信号の少なくともいずれかを前記空間特性パラメータに基づき補正する出力補正手段とを備える外部音知覚装置により達成される。
この外部音知覚装置において、前記出力補正手段は、複数の前記振動子間における前記振動信号のレベル差及び/又は時間差に相当する伝達特性パラメータが、前記空間特性パラメータに補正係数を乗じた値となるように、前記振動信号を補正することができる。
前記空間特性パラメータが、前記音信号のレベル差及び時間差の双方を含んでいる場合には、前記出力補正手段は、複数の前記振動子間における前記振動信号のレベル差に相当する伝達特性パラメータが、前記音信号のレベル差に補正係数を乗じた値に、前記音信号の時間差に所定の時間−強度交換比の逆数を乗じた値を加えて算出されるように、前記振動信号を補正することができる。
また、この外部音知覚装置は、複数の前記振動子から前記振動信号が出力された状態で、前記伝達特性パラメータを使用者が調整可能なパラメータ調整手段と、前記空間特性パラメータが既知である外部音の方向感に合致するように使用者が前記調整手段を操作して決定された前記伝達特性パラメータに基づき、前記補正係数を設定する補正係数設定手段とを更に備えることが好ましい。
本発明の外部音知覚装置によれば、音源の方向を正確に知覚することができる。
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る外部音知覚装置の概略構成図であり、図2は、そのブロック図である。図1及び図2に示すように、この外部音知覚装置は、外部音が入力される複数の指向性マイクロフォン10,10と、入力された音信号に基づいて振動信号を生成する振動信号生成部20と、前記振動信号に基づく機械的振動を伝達する複数の振動伝達部30,30とを備える。尚、図1においては、一方の指向性マイクロフォン10及び振動伝達部30のみが図示されている。
指向性マイクロフォン10,10は、弾性変形可能なヘアバンド型の取付部材2の両端にそれぞれ設けられており、図1に示すように取付部材2を使用者の頭部に装着した状態で、各耳の近傍において主軸が外側方を向くように配置される。また、振動伝達部30,30は、取付部材2の両端部からそれぞれ分岐する支持部4に支持され、左右の乳様突起の近傍に配置される。各指向性マイクロフォン10,10に入力された外部音は、増幅処理が行われた後、振動信号生成部20に入力される。
振動信号生成部20は、複数の指向性マイクロフォン10,10間における、入力された音信号の空間特性パラメータを取得するパラメータ算出部21と、キャリア信号を生成するキャリア信号発生部22,22と、各指向性マイクロフォン10,10から入力された音信号に基づいてキャリア信号を変調することにより振動信号を生成するキャリア信号変調部23,23と、キャリア信号変調部23,23で生成された振動信号を補正する出力補正部24とを備えており、各指向性マイクロフォン10,10の入力音毎に個別に振動信号を生成し、それぞれ振動伝達部30,30に出力する。キャリア信号の周波数は、高度の難聴者であっても良好な感音状態が得られるように、超音波領域である20〜10
0kHzであることが好ましく、20〜50kHzであることがより好ましい。また、変調方式は、本実施形態では振幅変調としているが、周波数変調や位相変調などとすることもできる。
パラメータ算出部21が取得する空間特性パラメータは、各指向性マイクロフォン10,10に入力された信号から得られる音源の空間情報に関するパラメータであり、本実施形態においては、各指向性マイクロフォン10,10間における音圧のレベル差及び時間差の双方を空間特性パラメータとしている。パラメータ算出部21は、各指向性マイクロフォン10,10間からの入力音を比較して、両耳間の音信号のレベル差及び時間差を算出する。例えば、2つの指向性マイクロフォン10,10に入力された音信号が、図4(a)に示すように「KEISATSU」という音声であった場合、パラメータ算出部21は、音信号のレベル差ILDを、例えば、チャネル間の音圧レベル差に基づき算出すると共に、音信号の時間差ITDを、例えば、チャネル間の相互相関関数の最大ピークの遅れ時間に基づき算出し、それぞれの値(例えば、10(dB),500(μs))を取得する。これらは、空間特性パラメータとして、出力補正部に入力される。相互相関関数は、入力信号を複数の周波数帯域に分割し、チャネル間で対応する帯域について算出するようにしてもよい。
出力補正部24は、キャリア信号変調部23,23で生成された振動信号を、空間特性パラメータに基づき補正する。各指向性マイクロフォン10,10に入力された音信号の音圧レベル差は、キャリア信号変調部23,23において振幅変調されることにより、図4(b)に示すように、レベル差が圧縮されて小さくなる。また、入力された音信号が振幅変調された後の振幅包絡線の両耳間時間差に対する弁別閾値は、もとの音信号の時間差に対する弁別閾値に比べて高くなるとともに、知覚される音源の方向も正中面側にシフトしてしまう。そこで、出力補正部24は、空間特性パラメータである音信号のレベル差ILD及び時間差ITDを用いて、伝達特性パラメータである振動信号のレベル差ILD及び時間差ITDを算出し、この伝達特性パラメータが各振動信号間に生じるように、振動信号を補正する。伝達特性パラメータは、音源の空間情報に対応する情報を振動伝達部30,30に伝達するためのパラメータであり、以下のように、空間特性パラメータに補正係数を乗じて算出される。
まず、出力補正部24は、各振動伝達部30,30に出力される振動信号のレベル差ILDが、予め設定された補正係数aを、音信号のレベル差ILDに乗じた値となるように、一方の振動信号の音圧レベルを補正する。すなわち、出力補正部24で補正された後の振動信号のレベル差ILDは、図4(c)に示すように音信号のレベル差ILDに比例したものとなり、下記の数式1が成り立つ。
[数1]
ILD= a × ILD

また、出力補正部24は、各振動伝達部30,30に出力される振動信号の時間差ITDが、予め設定された補正係数bを、外部音の時間差ITDに乗じた値となるように、遅延回路により一方の振動信号の出力タイミングを補正する。すなわち、出力補正部24で補正された後の振動信号の時間差ITDは、図4(c)に示すように外部音の時間差ITDに比例したものとなり、下記の数式2が成り立つ。
[数2]
ITD= b × ITD

振動信号の時間差ITDを生じさせるための遅延回路は、本実施形態のように、キャリア信号変調部23で振幅変調された後の振動信号が通過するように設ける代わりに、キャリア信号変調部23に入力される前の音信号が通過するように設けてもよい。また、振
動信号の補正は、本実施形態のように一方の振動伝達部30の振動信号のみを対象とするだけでなく、各振動伝達部30,30から出力される振動信号の双方を対象とすることも可能である。
補正係数a,bは、予め標準値を設定してメモリ部(図示せず)に格納しておくことが好ましい。レベル差に対応する補正係数aは、0.5〜10の範囲で設定することが好ましく、時間差に対応する補正係数bは、10〜100の範囲で設定することが好ましい。補正係数bに関しては、算出される振動信号の時間差ITDが、0〜10msの範囲となるように設定することが好ましい。
また、振動信号生成部20は、振動信号が出力された状態で伝達特性パラメータを使用者が調整可能なパラメータ調整部25と、伝達特性パラメータの調整結果に基づき補正係数a,bを設定する補正係数設定部26とを備えており、予め設定されている補正係数a,bを、使用者に応じて最適化することができる。図1に示すように、パラメータ調整部25は、レベル差検査ボタン25aと、時間差検査ボタン25bと、伝達特性パラメータを調整するボリュームスイッチ25cと、伝達特性パラメータを決定する決定ボタン25dとを備えており、これらは振動信号生成部20を収容するケーシングに設けられている。補正係数a,bの具体的な設定方法については、後述する。
振動伝達部30,30は、振動信号を機械的な振動として外部に伝達する振動子をそれぞれ備え、各振動子が複数の指向性マイクロフォン10,10にそれぞれ対応付けられており、いずれかの指向性マイクロフォン10に入力された外部音は、対応する振動子から伝達される。
図3に示すように、各振動伝達部30は、振動子31が収容された円筒状のケース32を備えており、ケース32の開口縁に吸盤34を取り付けて構成されている。
振動子31は、ジンバル機構により、互いに直交する2軸の回りに揺動可能に支持されている。即ち、振動子31は、振動面を露出させるように第1の枠体40に固定されており、第1の枠体40は、第1の支持軸42を介して第2の枠体44に揺動自在に支持されている。そして、第2の枠体44は、第1の支持軸42と直交する第2の支持軸46を介してケース32の内部に揺動自在に支持されている。振動子31の振動面は、ケース32の開口からわずかに突出しており、吸盤34を所定の取付部位に吸着させると、振動子31の振動面が被吸着面に接触して押圧するように構成されている。各ケース32の底部(図の上部)中央には連通孔32aが形成されており、この連通孔32aに球状の袋状体48が結合されている。袋状体48はゴム材などの弾性材からなり、押圧により弾性変形可能に構成されている。袋状体48の内部空間は、連通孔32aを介してケース32の内部と連通している。
次に、上記外部音知覚装置の作動について説明する。まず、使用者が取付部材2を頭部に装着して、複数の振動伝達部30,30を、人体の所定部位(例えば、左右の乳様突起の近傍)にそれぞれ取り付ける。各振動子31は、袋状体48を手で摘んだ状態で所定部位に吸盤34を押し付けることにより、ジンバル機構によって人体に確実に接触させることができる。この後、摘んでいた手を離すと、袋状体48の形状復元力によりケース32の内部が負圧になって吸着力が得られるので、振動子31の取り付けを確実にすることができる。
この後、外部音知覚装置のスイッチをONにして、指向性マイクロフォン10,10に外部音が入力されると、各指向性マイクロフォン10,10から振動信号生成部20に音信号が入力される。各指向性マイクロフォン10,10は、指向性の主軸方向が互いに異
なるため、同一の音源に対する入力感度が相違する。
振動信号生成部20は、キャリア信号発生部22,22が、所定の振幅及び周波数を有するキャリア信号を生成し、キャリア信号変調部23,23が、このキャリア信号を音信号に基づいて変調することにより、各指向性マイクロフォン10,10への入力音に対応した振動信号を生成する。各指向性マイクロフォン10,10からキャリア信号変調部23,23に入力される音信号は、パラメータ算出部21を通過する際に、音信号のレベル差ILD及び時間差ITDが空間特性パラメータとして取得される。この空間特性パラメータは、後述する出力補正部24に入力される。
キャリア信号変調部23,23で生成された振動信号は、出力補正部24において、上記のように空間特性パラメータ及び補正係数a,bに基づき算出された伝達特性パラメータによって補正され、各振動伝達部30,30からそれぞれ出力される。
振動伝達部30,30は、入力された振動信号に基づいて振動子31,31を振動させる。この結果、各指向性マイクロフォン10,10に入力された外部音に基づいて、対応する各振動伝達部30,30からそれぞれ超音波振動が人体に伝達される。なお、キャリア信号変調部23,23は、音信号が入力されない期間は、振動信号を出力しないように制御する。
本実施形態の外部音知覚装置によれば、各指向性マイクロフォン10,10に入力された外部音から、パラメータ算出部21が音源の空間情報を有する空間特性パラメータを取得し、出力補正部24が変調後の振動信号を空間特性パラメータに基づき補正するように構成しているので、変調により音源の空間情報が失われるおそれがなく、各振動伝達部30,30を介して音の方向感を確実に伝達することができる。更に、このような効果に付随して、語音明瞭性・語音弁別力の改善、音質の改善、遅発性聴覚剥奪(非装用耳の語音弁別力の低下)の防止、耳鳴りの改善などの効果も期待できる。
また、補正係数a,bを予め適正な値に設定しておくことにより、外部音の方向感と同様の方向感を骨導音により得ることができ、音源の方向をより正確に知覚することが可能である。この補正係数a,bは、使用者によって適正値にばらつきがあると考えられることから、本実施形態においては、使用者の知覚特性に応じて、以下に示すように設定可能に構成されている。
まず、使用者に対して所定の可聴帯域音(音声、帯域ノイズなど)を所定の音圧レベル差(例えば、±5,±10,±15dBなど)で呈示するとともに、この可聴帯域音を同じ音圧レベル差で各指向性マイクロフォン10,10間に入力する。ついで、使用者がレベル差検査ボタン25aを押すことにより、この可聴帯域音で変調された振動信号が、各振動伝達部30,30から伝達される。この振動信号は、可聴帯域音と同時に呈示されてもよく、或いは可聴帯域音と交互に呈示されてもよい。そして、使用者がボリュームスイッチ25cを操作して振動信号における音圧レベル差を調整し、使用者が可聴帯域音のレベル差と同等と感じられる時点で決定ボタン25dを押すと、このときの振動信号のレベル差が補正係数設定部26に入力される。入力音のレベル差は既知であるため、補正係数設定部26は、上記数式1に基づき補正係数aを設定し、これを出力補正部24のメモリ(図示せず)に格納する。
時間差に関する補正係数bの設定についても同様に行うことができ、使用者に対して所定の可聴帯域音を所定の時間差(例えば、±100,±200,±300μsなど)で呈示するとともに、この可聴帯域音を同じ時間差で各指向性マイクロフォン10,10間に入力する。ついで、使用者が時間差検査ボタン25bを押すことにより、この可聴帯域音
で変調された振動信号が、各振動伝達部30,30から伝達される。そして、使用者がボリュームスイッチ25cを操作して振動信号における時間差を調整し、使用者が可聴帯域音の時間差と同等と感じられる時点で決定ボタン25dを押すと、このときの振動信号の時間差が補正係数設定部26に入力される。入力音の時間差は既知であるため、補正係数設定部26は、上記数式2に基づき補正係数bを設定し、これを出力補正部24のメモリ(図示せず)に格納する。
このように、空間特性パラメータが既知である外部音の方向感に合致するように、使用者がパラメータ調整部25を操作して決定された伝達特性パラメータに基づき、補正係数設定部26が補正係数a,bを設定するように構成することで、使用者毎の知覚特性の相違や、振動伝達部30,30の取り付け位置のばらつきに伴う音像方向感の精度低下を防止することができる。
補正係数a,bの決定方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、音の到来方向がある角度(例えば正面を0°として、左右30°、60°、90°など)であると一般的に感じるような空間特性パラメータを予め測定してメモリに格納しておき、使用者が、これと同じ角度の方向感を感じるようにパラメータ調整部25を操作して、伝達特性パラメータを決定するようにしてもよい。この場合も、決定された伝達特性パラメータに対応する空間特性パラメータが既知であるため、補正係数a,bを求めることができ、特に可聴帯域音を聞くことが困難な使用者にとって好適である。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、空間特性パラメータとして音信号のレベル差及び時間差の双方を算出し、それぞれに補正係数を乗じて得られる振動信号のレベル差及び時間差を伝達特性パラメータとしているが、発明者らの研究によれば、振幅変調された信号について、両耳間時間差による頭内音像の変位を、両耳間レベル差で補償可能であることが明らかになった。したがって、このような時間―強度交換作用を利用することにより、音信号のレベル差及び時間差からなる空間特性パラメータから、振動信号のレベル差のみの伝達特性パラメータを取得して、振動信号を補正することも可能である。
すなわち、図5(a)に示すような各指向性マイクロフォン10,10の音信号からレベル差ILD及び時間差ITDの双方を算出し、図5(b)に示す振幅変調後の振動信号を補正するために、下記の数式3から伝達特性パラメータとなる振動信号のレベル差ILDを算出する。
[数3]
ILD= a × ILD + (1/c) × ITD

ここで、cは時間―強度交換比(μs/dB)であり、予め設定された値である。この結果、補正後の振動信号は、図5(c)に示すように、レベル差ILDのみが調整されたものとなる。
このように、時間−強度交換作用を利用することで、音信号のレベル差及び時間差の双方からなる空間特性パラメータが有する音源の空間情報を、振動信号のレベル差のみの伝達特性パラメータにより再現することができるので、振動信号の時間差が過大になることで生じるおそれのある知覚の不自然さを回避できると共に、振動信号の時間差を生じさせるための遅延回路を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
時間―強度交換比cは、補正係数a,bと同様に、パラメータ調整部25の操作により使用者が最適な値を決定できるように構成することも可能である。例えば、所定の時間差
を有する振動信号を呈示した状態で、使用者がパラメータ調整部25を操作して振動信号のレベル差を調整し、音の到来方向が正面に感じるようなレベル差を決定する。或いは、所定のレベル差を有する振動信号を呈示した状態で、使用者がパラメータ調整部25を操作して振動信号の時間差を調整し、決定するようにしてもよい。いずれの場合も、時間―強度交換比cを算出することができる。
また、本実施形態においては、空間特性パラメータとして、音信号のレベル差及び時間差の双方を取得しているが、いずれか一方のみであってもよい。この場合も、本実施形態と同様に伝達特性パラメータを取得して振動信号を補正することができ、音源の方向を正確に知覚することが可能である。空間特性パラメータが音信号のレベル差である場合、及び、外部音の時間差である場合のそれぞれにおいて、(a)入力信号、(b)補正前の振動信号、及び(c)補正後の振動信号の時間波形の一例を、図6及び図7に示す。
本発明の外部音知覚装置は、音声や環境音などの外部音がどの方向から聞こえたかを知る上で極めて有用であり、日常生活、災害現場、工事現場、自動車運転時など様々な場面で使用することができる。
各指向性マイクロフォン10,10の配置は、本実施形態のように両耳の近傍とすることが好ましいが、指向性の主軸方向が相違するように配置可能であれば、必ずしも本実施形態のものに限定されない。例えば、自動車の外部における前後左右にそれぞれ配置して、外部音を区別して検出できるように各指向性マイクロフォンを配置してもよい。これによって、緊急車両のサイレンなど運転中に認識する必要がある音源の方向を確実に把握することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る外部音知覚装置の概略構成図である。 前記外部音知覚装置のブロック図である。 前記外部音知覚装置における振動伝達部の断面図である。 前記外部音知覚装置における、(a)入力信号、(b)補正前の振動信号、及び、(c)補正後の振動信号について、時間波形の一例を示す図である。 図4に示す時間波形の他の例を示す図である。 図4に示す時間波形の更に他の例を示す図である。 図4に示す時間波形の更に他の例を示す図である。
符号の説明
10 指向性マイクロフォン
20 振動信号生成部
21 パラメータ算出部
22 キャリア信号発生部
23 キャリア信号変調部
24 出力補正部
25 パラメータ調整部
26 補正係数設定部
30 振動伝達部
31 振動子

Claims (3)

  1. 外部音が入力される複数の指向性マイクロフォンと、
    前記各指向性マイクロフォンに入力された音信号に基づいて超音波のキャリア信号を変調することにより、振動信号を個別に生成する振動信号生成手段と、
    前記各振動信号に基づいて生体に超音波振動を伝達する複数の振動子とを備える外部音知覚装置であって、
    前記振動信号生成手段は、
    複数の前記指向性マイクロフォン間における前記音信号のレベル差及び/又は時間差を算出して空間特性パラメータを取得するパラメータ算出手段と、
    前記各振動信号の少なくともいずれかを、複数の前記振動子間における前記振動信号のレベル差及び/又は時間差に相当する伝達特性パラメータが、前記空間特性パラメータに補正係数を乗じた値となるように補正する出力補正手段とを備える外部音知覚装置。
  2. 外部音が入力される複数の指向性マイクロフォンと、
    前記各指向性マイクロフォンに入力された音信号に基づいて超音波のキャリア信号を変調することにより、振動信号を個別に生成する振動信号生成手段と、
    前記各振動信号に基づいて生体に超音波振動を伝達する複数の振動子とを備える外部音知覚装置であって、
    前記振動信号生成手段は、
    複数の前記指向性マイクロフォン間における前記音信号のレベル差及び時間差を算出して空間特性パラメータを取得するパラメータ算出手段と、
    前記各振動信号の少なくともいずれかを、複数の前記振動子間における前記振動信号のレベル差に相当する伝達特性パラメータが、前記音信号のレベル差に補正係数を乗じた値に、前記音信号の時間差に所定の時間−強度交換比の逆数を乗じた値を加えて算出された値となるように補正する出力補正手段とを備える外部音知覚装置。
  3. 複数の前記振動子から前記振動信号が出力された状態で、前記伝達特性パラメータを使用者が調整可能なパラメータ調整手段と、
    前記空間特性パラメータが既知である外部音の方向感に合致するように使用者が前記調整手段を操作して決定された前記伝達特性パラメータに基づき、前記補正係数を設定する補正係数設定手段とを更に備える請求項1又は2に記載の外部音知覚装置。
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