JP4951645B2 - 積層樹脂シート及び包装用容器 - Google Patents

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Description

本発明は、リサイクル樹脂層に白色樹脂層が積層されてなる積層樹脂シート及び該積層樹脂シートから成形される包装用容器に関する。
従来、生鮮食品、惣菜、弁当等の食品や工業製品等を収容する包装用容器として、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが真空成形や圧空成形等によって熱成形されたものが広く用いられている。前記樹脂シートとしては、包装用容器が内容物と共に加熱されたり、内容物から染み出る油分と接触したりする用途に対して用いられる場合には、耐熱性、耐油性に優れた樹脂としてポリプロピレン系樹脂からなるものが用いられている。また、前記樹脂シートは、包装用容器に特定の物性や外観性状(例えば、ガスバリア性や耐油性或いは光沢性等)を付与する目的から、目的に合った複数の樹脂シートが選択されて積層された積層樹脂シートとして用いられる場合もある(特許文献1参照)。
さらに、前記積層樹脂シートには、絵柄や商品情報等が印刷された印刷付樹脂層が積層される場合がある。該印刷付樹脂層は、透明なフィルムの一方の面に絵柄等がグラビア印刷等されたものであり、印刷面が積層樹脂シート側となるようにして積層され、熱や接着剤によって積層樹脂シートとラミネートされるものである。そして、積層樹脂シートと共に加熱されて真空圧空成形等されることで、包装用容器の表面の意匠性を向上させたり、内容物の製品情報等を表示したりする機能を発揮する。
ところで、近年、限りある資源を有効活用する観点から、プラスチック製品のリサイクルが求められている。例えば、プラスチック製品を製造した際に工場内で発生したトリミングロス等を回収し、ペレット化し、該ペレットから形成されたリサイクル樹脂層を備える積層樹脂シートを用いて包装用容器が製造されている。ところが、得られるリサイクル樹脂層は、くすんだ色合いとなりやすい。
このため、リサイクル樹脂層上に前記印刷付樹脂層を積層する場合には、リサイクル樹脂層自体の色の影響によって絵柄等の色合いがくすんでしまう等しないようにするために種々の方法が採用されている。例えば、顔料(一般的には、カーボンブラック等の黒色顔料)を添加してリサイクル樹脂層の色を均一な色合い(一般的には、黒色)に調整し、その上に白色樹脂層(白色顔料として酸化チタンを含むもの)を積層することでリサイクル樹脂層の色を隠蔽した上で、印刷付樹脂層等を積層する方法が採用されている(特許文献2参照)。
具体的には、リサイクル樹脂層上に積層された際に、リサイクル樹脂層の色を確実に隠蔽すると共に、優れた明度と白色度とを示すべく、前記白色樹脂層は、酸化チタンを高濃度(一般的には、20wt%程度)で含有したものとなっており、これにより、印刷付樹脂層が積層された際に絵柄等を鮮明に表示させることが可能となっている。
特開2004−98301号公報 特許第2970292号公報
しかしながら、上記のように、酸化チタンの含有濃度が高濃度である場合、白色樹脂層中に酸化チタンを均一に分散させることは困難であり、分散不良に起因するブツ(酸化チタンの塊)の発生によって白色樹脂層の外観性状が損なわれるといった問題が生じていた。これに対し、酸化チタンの含有濃度を低濃度にすることで分散不良を改善することが可能であるが、明度及び白色度が低下し、印刷付樹脂層が積層された際の絵柄等の鮮やかさが損なわれてしまうといった問題があった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、前記白色樹脂層におけるブツの発生が抑制されて優れた外観性状を得ることができると共に、リサイクル樹脂層上に白色樹脂層が積層された状態において優れた明度と白色度とを示し、白色樹脂層上に印刷付樹脂層が積層された際に、絵柄等の印刷を鮮明に表示することができる熱成形用の積層樹脂シートを提供することを課題とする。更に該積層樹脂シートから形成された包装用容器を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、リサイクル樹脂層に積層される白色樹脂層を2層構成とし、各層に従来よりも低濃度の酸化チタンを含有させることにより、白色樹脂層にブツが発生するのを抑制しうると共に、優れた明度及び白色度を有する熱成形用の積層樹脂シートとなることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明にかかる熱成形用の積層樹脂シートは、リサイクルされたポリプロピレン系樹脂を含む樹脂材料を用いて形成されたリサイクル樹脂層の少なくとも一方の面に、酸化チタンを含有するポリプロピレン系樹脂からなる白色樹脂層が積層されてなる積層樹脂シートであって、前記白色樹脂層は、酸化チタンを1〜15wt%含有する第1白色樹脂層と、酸化チタンを5〜15wt%含有する第2白色樹脂層とを備え、第1白色樹脂層及び第2白色樹脂層によって、リサイクル樹脂層の色彩を隠蔽するように構成されていることを特徴とする。
かかる構成の積層樹脂シートによれば、リサイクル樹脂層の少なくとも一方の面に積層された白色樹脂層が上記濃度の酸化チタンを含有する第1及び第2白色樹脂層を備えることで、白色樹脂層に前記ブツが発生するのを抑制することができると共に、優れた明度と白色度とを示すものとなる。
具体的には、積層樹脂シートが優れた明度及び白色度を示すためには、白色樹脂層中の酸化チタンの含有濃度を高濃度(一般的には、20wt%程度)にする必要であるが、酸化チタンを白色樹脂層中に高濃度で均一に分散させることが困難であるため、ブツ(酸化チタンの塊)が発生して積層樹脂シートの外観性状を損なわせる場合がある。しかしながら、第1及び第2白色樹脂層の酸化チタンの含有濃度が上記の濃度であることで、各白色樹脂シート中に酸化チタンが均一に分散され、ブツが発生するのを抑制することができ、積層樹脂シートの外観性状を良好なものにすることができる。更に、白色樹脂層が前記第1及び第2白色樹脂層を備えることで、ブツが発生しない程度の低濃度の酸化チタン含有量であっても、優れた明度と白色度とを示すものとなり、印刷付樹脂層を積層した際の絵柄等を鮮明に表示させることができる。
また、本発明にかかる積層樹脂シートは、前記白色樹脂層が積層された面において、JIS Z 8729に準拠して測定された明度が90以上であり、且つ、JIS Z 8715に準拠して測定された白色度が85%以上であることが好ましい。
かかる構成の積層樹脂シートによれば、明度が90以上であり、且つ、白色度が85%以上であることで、リサイクル樹脂層の色を白色樹脂層(即ち、第1及び第2白色樹脂層)によって確実に隠蔽することができると共に、積層樹脂シート上に印刷付樹脂層が積層された場合の色柄等を鮮明に表示させることができる。
また、本発明にかかる積層樹脂シートは、絵柄や文字などが印刷されたポリプロピレン系樹脂からなる印刷付樹脂層が前記白色樹脂層上に積層されることが好ましい。
本発明にかかる包装用容器は、上記積層樹脂シートが熱成形されてなることを特徴とする。
以上のように、本発明にかかる積層樹脂シート及び包装用容器によれば、前記白色樹脂層におけるブツの発生が抑制されて優れた外観性状を得ることができると共に、リサイクル樹脂層上に白色樹脂層が積層された状態において優れた明度と白色度とを示し、白色樹脂層上に印刷付樹脂層等が積層された際に、絵柄等の印刷を鮮明に表示することができる。
本実施形態にかかる積層樹脂シートの断面図。
以下、本発明にかかる実施形態について図1を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる熱成形用の積層樹脂シート1は、真空圧空成形等によって熱成形されることにより、物品を収容可能に構成された包装用容器を形成するものである。また、前記積層樹脂シート1は、図1に示すように、市場や生産工程等から回収された樹脂製品や樹脂材料等(以下、回収樹脂材料と記す)を含む樹脂材料を用いて形成されたリサイクル樹脂層2(主層)と、該リサイクル樹脂層2の少なくとも一方の面に積層された白色樹脂層3とを備えるものである。
前記リサイクル樹脂層2は、リサイクルされたポリプロピレン系樹脂(以下、リサイクルPPと記す)を含む樹脂材料(以下、リサイクルPP材料と記す)を用いて形成されたものである。例えば、リサイクル樹脂層2は、リサイクルPPのみからなるリサイクルPP材料を用いて形成されたものであってもよく、または、リサイクルPPと他の樹脂(例えば、新しい原料から製造されたポリプロピレン系樹脂や他の種類の樹脂等)とが混合されてなるリサイクルPP材料を用いて形成されたものであってもよい。また、リサイクル樹脂層2は、前記リサイクルPP材料を押出機等によってシート状に成形したものである。
前記リサイクル樹脂層2を構成するポリプロピレン系樹脂(具体的には、リサイクルPP及び新しい原料から製造されたポリプロピレン系樹脂)の組成としては、特に限定されるものではないが、プロピレンモノマーが単独重合することで得られる単独重合体や、プロピレンモノマーと他のモノマー(例えば、20wt%以下のコモノマー、アクリル酸エステルやマレイン酸等の不飽和有機酸及びその無水物、炭素数が4〜12のα−オレフィン)とが共重合することで得られる共重合体等を用いることができる。
また、前記リサイクル樹脂層2中には、リサイクルPP以外にポリエチレン系樹脂が50wt%未満含有されてもよい。ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラジカル重合法又はイオン重合法によって製造されたものであってもよい。具体的には、ポリエチレン系樹脂としては、ラジカル重合法で製造された低密度ポリエチレンや、イオン重合法で製造された高密度ポリエチレン、エチレンとα―オレフィンとが共重合してなるエチレン−α―オレフィン共重合体等であってもよい。
前記α―オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1等の炭素数が3〜18のものが挙げられ、このうち、1種又は2種以上の物質から構成されるものであってもよい。
また、前記リサイクル樹脂層2は、任意の色に着色されて用いられることが好ましい。具体的には、リサイクル樹脂層2は、その製造工程において顔料が添加され、均一に着色されて用いられることが好ましい。前記顔料としては特に限定されるものではなく、例えば、黒色、茶色、紺色、灰色等の顔料を用いることでき、一般的には、カーボンブラック、酸化鉄黒、ベンガラ等の黒色顔料を用いることが好ましい。前記黒色顔料の添加量としては、特に限定されるものではないが、リサイクル樹脂層2を十分に着色することができ、さらにその強度を維持することができる量であればよく、例えば、リサイクル樹脂層2全体に対して、0.1〜10wt%であることが好ましく、0.1〜5wt%であることがより好ましい。
また、リサイクル樹脂層2は、任意の添加剤が添加されて形成されてもよい。添加剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、酸化防止剤、結晶核剤、熱安定剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、耐電防止剤、防曇剤等を用いることができる。なお、前記ブロッキング防止剤としては、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、カオリン、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、溶融シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂等の微粒子(好ましくは、球状の微粒子)を用いることができ、特に、ポリオレフィン系共重合体より柔らかいゴム系のものを用いることが好ましい。また、スリップ剤としては、高級脂肪酸アミド系のもの等を用いることができる。
前記リサイクル樹脂層2に積層される白色樹脂層3は、酸化チタンを含有するポリプロピレン系樹脂からなるものである。具体的には、白色樹脂層3は、酸化チタンを含有するポリプロピレン系樹脂が押出機等によってシート状に成形された第1白色樹脂層31及び第2白色樹脂層32を備えている。第1及び第2白色樹脂層31,32には、酸化チタンが均一に分散された状態で含有されており、その含有濃度は、第1白色樹脂層31中に1〜15wt%であり、第2白色樹脂層32中に5〜15wt%である。
白色樹脂層3中に含有される酸化チタンの粒子種としては、特に限定されるものではなく、アナターゼ型、ルチル型、ブルカライト型等を用いることができる。また、前記酸化チタン粒子は、例えば、硫酸法、塩酸法によって製造されるものであり、これらの方法において、105℃で適当時間乾燥した際の残存重量が99%以上となるものを用いることが好ましい。また、白色樹脂層3には、さらに、炭酸カルシウム、塩基性炭酸、タルク、マイカ、珪灰石、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を添加してもよい。なお、酸化チタン粒子は、表面処理されたものであってもよく、無処理のものであってもよい。
第1及び第2白色樹脂層31,32をリサイクル樹脂層2上に積層する際の順序としては、特に限定されるものではなく、リサイクル樹脂層2(主層)の上に第1白色樹脂層31(中間層)が積層され、該第1白色樹脂層31(中間層)の上に第2白色樹脂層32(表層)が積層されるようにしてもよい。または、第2白色樹脂層32を中間層とし、第2白色樹脂層32上に第1白色樹脂層31を積層して表層としてもよい。
なお、白色樹脂層3、即ち、第1及び第2白色樹脂層31,32は、リサイクル樹脂層2の少なくとも一方の面に積層されればよいが、積層樹脂シート1のソリを防止する観点から、リサイクル樹脂層2の両面に積層されることが好ましい。即ち、積層樹脂シート1は、3種のシートが5層に積層されたもの(3種5層の積層樹脂シート1)であることが好ましい。
積層樹脂シート1全体の厚みとしては、包装用容器として成形する際の加工性を良好なものとするために、0.2〜0.8mmであることが好ましい。また、リサイクル樹脂層2の厚みとしては、0.05〜0.6mmであることが好ましい。また、第1白色樹脂層31の厚みとしては、0.08〜0.45mmであることが好ましく、0.1〜0.4mmであることがより好ましい。また、第2白色樹脂層32の厚みとしては、0.05〜0.2mmであることが好ましく、0.1〜0.2mmであることがより好ましい。なお、リサイクル樹脂層2は、積層樹脂シート1全体の重量に対して少なくとも30〜70wt%となることが好ましい。
上記リサイクル樹脂層2及び第1及び第2白色樹脂層31,32の積層方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、それぞれを構成する樹脂材料を共押出しする方法によってそれぞれをシート状に成形しつつ熱ラミネートして積層する方法を採用することができる。又は、あらかじめシート状に成形したリサイクル樹脂層2及び第1及び第2白色樹脂層31,32をそれぞれ重ね合わせ、熱ラミネートや接着剤等を用いて積層する方法を採用することもできる。または、あらかじめシート状に成形したリサイクル樹脂層2上に、第1及び第2白色樹脂層31,32を押出し成形しつつラミネートすることで積層する方法であってもよい。
上記のように構成された積層樹脂シート1は、第1及び第2白色樹脂層31,32が積層された面において、優れた明度と白色度とを示すものとなる。具体的には、JIS Z
8729に準拠して測定された明度が90以上であり、且つ、JIS Z 8715に準拠して測定された白色度が85%以上となるものである。
なお、前記積層樹脂シート1の白色樹脂層3上には、絵柄や文字などが印刷されたポリプロピレン系樹脂からなる印刷付樹脂層が更に積層されてもよい。該印刷付樹脂層は、一方の面に絵柄等がグラビア印刷等されたもの(バックプリントされたもの等)であり、印刷面が積層樹脂シート1側となるように積層樹脂シート1に重ねられてラミネートされ、積層樹脂シート1と共に成形されて、包装用容器の表面に絵柄等を表示するものである。
また、積層樹脂シート1を用いて包装用容器を成形する方法としては、特に限定されるものではなく、真空成形、圧空成形、プラグアシスト真空成形、マッチモールド成形等の方法、又はこれらを組み合わせた方法を用いることができる。
なお、本実施形態に係る積層樹脂シート1及び包装用容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、リサイクル樹脂層2上に白色樹脂層3(第1及び第2白色樹脂層31,32)が積層されて積層樹脂シート1が形成されているが、これに限定されるものではなく、白色樹脂層3上に更に他の樹脂シートが積層されて積層樹脂シート1を形成してもよい。例えば、耐候性や光沢性に優れた樹脂シート等を積層して積層樹脂シートを構成してもよい。
また、上記実施形態では、第1白色樹脂層31と第2白色樹脂層32とが積層されて白色樹脂層3を形成しているが、優れた明度及び白色度を得ることができるのであれば、第1白色樹脂層31と第2白色樹脂層32との間に他の樹脂シートが積層されてもよい。例えば、無色透明な樹脂シート等を第1及び第2白色樹脂層の間に積層してもよい。
以上のように、本発明にかかる積層樹脂シート1によれば、白色樹脂層3におけるブツの発生が抑制されて優れた外観性状を得ることができると共に、リサイクル樹脂層2上に白色樹脂層3が積層された状態において優れた明度と白色度とを示し、白色樹脂層3上に印刷付樹脂層等が積層された際に、絵柄等の印刷を鮮明に表示することができる。
即ち、前記積層樹脂シート1は、リサイクル樹脂層2の少なくとも一方の面に積層された白色樹脂層3が上記濃度の酸化チタンを含有する第1及び第2白色樹脂層31,32を備えていることで、第1及び第2白色樹脂層31,32中に酸化チタンが均一に分散されてブツが発生するのを抑制することができると共に、ブツが発生しない程度の酸化チタンの含有濃度であっても、優れた明度と白色度とを示すため、印刷付樹脂層を積層した際の絵柄等を鮮明に表示することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
1.使用材料
(1)リサイクル樹脂層用材料(主層用)
ポリプロピレン系樹脂からなる包装用容器を製造した際に発生したトリミングロスを回収し、リサイクルしたポリプロピレン系樹脂の100重量部に対して、黒色顔料(カーボンブラック)を0.4重量部添加したもの。
(2)白色樹脂層用材料(表層用)
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製ホモポリマー)と、酸化チタン(白色顔料)を60wt%含有したマスターバッチ原料(DIC社製 PEONY F10360A)とを混合し、表層中の酸化チタンの含有濃度が下記表1〜3に記載の含有濃度となるように調製したもの。
(3)白色樹脂層用材料(中間層用)
ポリプロピレン系樹脂(サンアロマー社製ホモポリマー)と、高密度ポリエチレン(旭化成社製)と、酸化チタン(白色顔料)を60wt%含有したマスターバッチ原料(DIC社製 PEONY F10360A)とを混合し、中間層中の酸化チタンの含有濃度が下記表1〜3に記載の含有濃度となるように調製したもの。なお、高密度ポリエチレンは、白色樹脂層用材料中に20重量部含まれるように調整した。
2.実施例及び比較例
<実施例1>
・積層樹脂シートの作製:
主層を作製する第1押出機にリサイクル樹脂層用材料を供給した。また、中間層を作製する第2押出機に白色樹脂層用材料(中間層中の酸化チタンの含有濃度が下記表1に記載の含有濃度となるよう調製したもの)を供給した。また、表層を作製する第3押出機に白色樹脂層用材料(表層中の酸化チタンの含有濃度が下記表1に記載の含有濃度となるように調製したもの)を供給した。
そして、フィードブロックを用いた共押出法によって主層(リサイクル樹脂層)の両面に中間層(第1又は第2白色樹脂層)を積層すると共に、該中間層上に表層(第2又は第1白色樹脂層)を積層し、3種5層の積層樹脂シート1を作製した。各層の厚みは、主層が0.14mm、中間層がそれぞれ0.07mm、表層がそれぞれ0.035mmであり、積層樹脂シート全体の厚みは、0.35mmである。また、各層の重量割合(主層と、該主層の一方の面に積層された中間層と表層との重量割合)は、下記表1に記載の通りとなっている。
・試験内容
白色樹脂層が積層された面における明度と白色度とを測定した。
(明度の測定)
JIS Z 8729−2004「色の表示方法−L*a*b表色及びL*u*b表色系 正反射徐行方式SCE/光源D65/視野10°」に準拠して、色差計(品名:SPECTRO PHOTOMETER CM−3600d 製造:MINOLTA社製)を用いて明度(L値)を測定した。なお、L値とは、隠蔽性を示す指標であり、90以上であれば下層の色を確実に隠蔽することができる。
(白色度の測定)
JIS Z 8715−1999「色の表示方法−白色度 正反射徐行方式SCE/光源D65/視野10°」に準拠して、色差計(品名:SPECTRO PHOTOMETER CM−3600d 製造:MINOLTA社製)を用いて白色度指数を測定した。
<実施例2〜5>
中間層及び表層中の酸化チタンの含有濃度が下記表1に記載の含有濃度となるように調製した白色樹脂層用材料を用いたこと以外は、実施例1と同一の条件で積層樹脂シートを作製し、実施例1と同一の条件で明度及び白色度を測定した。なお、実施例2及び4においては、中間層が第1白色樹脂層であり、表層が第2白色樹脂層となっている。また、実施例3及び5においては、中間層が第2白色樹脂層であり、表層が第1白色樹脂層となっている。
Figure 0004951645
<比較例1>
・積層樹脂シートの作製:
主層を作製する第1押出機にリサイクル樹脂層用材料を供給した。また、第2押出機に白色樹脂層中の酸化チタンの含有濃度が下記表2に記載の含有濃度となるように調製した白色樹脂層用材料を供給した。
そして、フィードブロックを用いた共押出法によって主層(リサイクル樹脂層)の両面に単一の白色樹脂層を積層し、2種3層の積層樹脂シートを作製し、実施例1と同一の条件で明度及び白色度を測定した。各層の厚みは、主層が0.14mm、白色樹脂層3がそれぞれ0.105mmであり、積層樹脂シート全体の厚みは、0.35mmである。また、各層の重量割合(主層と、該主層の一方の面に積層された白色樹脂層との重量割合)は、下記表2に記載の通りとなっている。
<比較例2>
白色樹脂層中の酸化チタンの含有濃度が下記表2に記載の含有濃度となるように調製した白色樹脂層用材料を用いたこと以外は、比較例1と同一の条件で積層樹脂シートを作製し、実施例1と同一の条件で明度及び白色度を測定した。
<比較例3〜5>
中間層及び表層中の酸化チタンの含有濃度が下記表2に記載の含有濃度となるように調製した白色樹脂層用材料を用いたこと以外は、実施例1と同一の条件で積層樹脂シートを作製し、実施例1と同一の条件で明度及び白色度を測定した。
Figure 0004951645
<実施例6〜8、比較例6及び7>
中間層及び表層中の酸化チタンの含有濃度が下記表3に記載の含有濃度となるように調製した白色樹脂層用材料を用いたこと、各層の重量割合を下記表3に記載の重量割合としたこと、各層の厚みを主層が0.21mm、中間層がそれぞれ0.035mm、表層がそれぞれ0.035mmとしたこと以外は、実施例1と同一の条件で積層樹脂シートを作製し、実施例1と同一の条件で明度及び白色度を測定した。なお、実施例6の中間層は、第1及び第2白色樹脂層のどちらか一方であり、表層は、第1及び第2白色樹脂層のどちらか他方である。また、実施例7の中間層は、第1白色樹脂層であり、表層は、第2白色樹脂層である。また、実施例8中間層は、第2白色樹脂層であり、表層は、第1白色樹脂層である。
Figure 0004951645
<実施例9>
・包装用容器(パスタ容器)の作製:
色柄が印刷されたポリプロピレン系樹脂フィルム(以下、印刷付樹脂層と記す)を実施例1の積層樹脂シートに積層し、印刷付樹脂層が包装用容器の外面となるように、真空成形によって熱成形を行い、包装用容器(外径:20cm、高さ:3.5cm、開口周縁部の幅:1.2cm)を作製した。
・試験内容
得られた包装用容器の印刷付樹脂層が積層された面を目視にて確認し、印刷付樹脂層の色柄の状態を評価した。
<比較例8>
実施例9の印刷付樹脂層を比較例2の積層樹脂シートに積層したこと以外は、実施例9と同一の条件で包装用容器を作製し、実施例9と同一の条件で印刷付樹脂層の色柄の状態を評価した。
<まとめ>
実施例1〜5と比較例1とを比較すると、実施例1〜5では、ブツ(酸化チタンの分散不良に起因する塊)の発生が確認されなかったのに対し、白色樹脂層中の酸化チタンの含有濃度が本願発明の濃度範囲よりも高濃度である比較例1の積層樹脂シートでは、表面(即ち、白色樹脂シート)にブツの発生が確認された。つまり、酸化チタンの含有濃度を本願発明の範囲内にすることで、白色樹脂層にブツが発生してしまうのを抑制することができると認められる。
また、実施例1と比較例2とを比較すると、酸化チタンの含有濃度が同一であるにも関わらず、実施例1の方が明度及び白色度が高い値を示している。つまり、主層(リサイクル樹脂層)上に中間層及び表層(第1及び第2白色樹脂層)を積層させることで、単一の白色樹脂シートからなる白色樹脂層を積層した場合よりも優れた明度及び白色度を得ることができると認められる。
また、実施例1〜5と比較例3〜5、実施例6〜8と比較例6及び7とを比較すると、中間層及び表層(第1及び第2白色樹脂層)が積層されている点では共通するものの、実施例1〜8は、酸化チタンの含有濃度が少なくても優れた明度及び白色度を得ることができ、第1及び第2白色樹脂層(中間層及び表層)中の酸化チタンの含有濃度を本願発明の範囲内にすることで、優れた明度及び白色度を得ることができると認められる。
また、実施例9と比較例8とを比較すると、実施例9は、積層樹脂シートと共に成形された印刷付樹脂層の色柄が鮮明に表示され、良好な外観を得ることができたのに対し、比較例8は、印刷付樹脂層の色柄がくすんだ色合いとなり、良好な外観を得ることができなかった。つまり、酸化チタンの含有濃度が本願発明の範囲内である第1及び第2白色樹脂層(中間層及び表層)上に印刷付樹脂層を積層することで包装用容器に成形した際の印刷付樹脂層の色柄を鮮明に表示することができると認められる。
以上のことから、酸化チタンの含有濃度が本願発明の範囲内である第1及び第2白色樹脂層を用いることで、第1及び第2白色樹脂層にブツが発生するのを抑制することができると共に、第1及び第2白色樹脂層(中間層及び表層)をリサイクル樹脂層上に積層した状態で優れた明度及び白色度を得ることができる。このため、積層樹脂シート上に印刷付樹脂層を積層し、包装用容器に成形した際の印刷付樹脂層の色柄を鮮明に表示することが可能となる。
1…積層樹脂シート、2…リサイクル樹脂層、3…白色樹脂層、31…第1白色樹脂層、32…第2白色樹脂層

Claims (4)

  1. リサイクルされたポリプロピレン系樹脂を含む樹脂材料を用いて形成されたリサイクル樹脂層の少なくとも一方の面に、酸化チタンを含有するポリプロピレン系樹脂からなる白色樹脂層が積層されてなる積層樹脂シートであって、前記白色樹脂層は、酸化チタンを1〜15wt%含有する第1白色樹脂層と、酸化チタンを5〜15wt%含有する第2白色樹脂層とを備え、第1白色樹脂層及び第2白色樹脂層によって、リサイクル樹脂層の色彩を隠蔽するように構成されていることを特徴とする熱成形用の積層樹脂シート。
  2. 前記白色樹脂層が積層された面において、JIS Z 8729に準拠して測定された明度が90以上であり、且つ、JIS Z 8715に準拠して測定された白色度が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱成形用の積層樹脂シート。
  3. ポリプロピレン系樹脂から構成されたシートに絵柄や文字などが印刷された印刷付樹脂層が前記白色樹脂層上に積層されることを特徴とする請求項1及び2に記載の熱成形用の積層樹脂シート。
  4. 請求項1乃至3に記載の熱成形用の積層樹脂シートが熱成形されてなることを特徴とする包装用容器。
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