JP4950284B2 - 高圧放電ランプを停止する方法及び高圧放電ランプを駆動する駆動ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、高圧放電ランプ、具体的には水銀蒸気放電ランプを停止する方法に関する。更に、本発明は、高圧放電ランプを駆動する駆動ユニットに関する。更に、本発明は、高圧放電ランプ及びこのような駆動ユニットを有する画像レンダリングシステム、具体的にはプロジェクタシステムに関する。
高圧放電ランプ、例えば水銀蒸気放電ランプは、高温に耐えることができる材料、例えば石英ガラスから成るエンベロープを有する。タングステンから作られる電極は、このエンベロープの両端から突き出している。エンベロープ(以下、“アーク管”と呼ばれる。)は、1又はそれ以上の希ガス、水銀蒸気放電ランプの場合では主として水銀から成る充填材を含む。電極間に高点灯電圧を印加することによって、光アークが電極の先端の間で発生する。光アークが形成されると、それはより低い電圧で維持され得る。その光学特性のために、高圧放電ランプは、投影目的での使用のための好ましい選択である。このような用途のために、可能な限り点成形である光源が必要とされる。他の好ましい特性は、可能な限り高い光度及び可能な限り自然な光のスペクトル成分である。かかる特性は、いわゆる“高圧放電ランプ”、具体的には“HID(High Intensity Discharge)ランプ”及び“UHP(Ultra High Performance)ランプ”により最適に達成され得る。
このようなランプを点灯させるには多種多様な方法がある。従来の方法では、20kVよりも高い高電圧サージが電極間に印加される。幾つかのより新しい方法は、たった5kVの点灯電圧と、必要な電圧を小さくするよう作用する付加的な“アンテナ”とにより作動する。
これら全ての方法は、ユーザが、このようなランプを不注意に消灯した後、ランプが再びオンされ得る前に、数分が経つまでの間、静かに待たなければならないという問題を共有する。ランプをオフした直後にオンすることは、ランプが再びオンされる場合に依然として熱いために、“高温再起(hot re-strike)”と称される。ランプは極めて高温であるために、アーク管内の圧力も極めて高い。他方で、ランプの消灯後にアーク管内の圧力が高ければ高いほど、ランプを起動するのに必要とされる点灯電圧はますます大きい。従って、ランプは、ランプが通常の点灯電圧レベルで点灯され得る値まで圧力が下がるまで、消灯された後、冷却されなければならない。
高温再起の問題に対処しようとして、特開2004−319193号公報(特許文献1)は、ランプを備えたプロジェクタシステムであって、ユーザによってオフされる場合に、最初にランプをより低い電力レベルへ至らせ、次いで、ランプが、遷移相が経過した後にオフされた後に再点灯され得る点に冷却されるまで、ランプをより低い電力レベルで駆動するプロジェクタシステムについて記載する。ランプがより低い電力レベルで動作している遷移相の間、プロジェクタシステムは、スクリーンが非作動であること、すなわち、画像が投影されないことを確実にする。遷移相は、また、“キープアライブ(keep alive)”相としても知られている。このキープアライブ相で、ユーザが再びプロジェクタをオンする場合は、スクリーンは再作動し、ランプ電力は速やかに増大され得る。ユーザが、キープアライブ期間が経過した後にプロジェクタシステムをオンする場合には、(キープアライブ期間の間に冷却され且つ完全に停止されていた)ランプは再点灯することができる。いずれの場合にも、ユーザの視点から、それは、あたかもランプが事実上直ぐに再びオンされるかのようである。ランプが完全に消灯された後に再点灯され得る時間は、ランプがキープアライブ相で駆動されるところの電力に依存する。これは、ある電力で、ある温度平衡、ひいてはある圧力平衡がアーク管で起こることによる。従って、特許文献1は、動作電力がキープアライブ相で可能な限り低いレベルで維持されるアプローチを提案する。しかし、この方法により消灯されるランプは、依然として、必要とされる電力接続のために、消灯される前に低電力で比較的長い時間、すなわち、ランプが組み込まれているプロジェクタシステム又はビーマーが動かされ得ない時間の間、駆動されなければならない。更に、その場合に、装置は、依然として運転しており、低いレベルの雑音を発生させている。明らかに、遷移時間又はキープアライブ時間をより短くすることがより好ましい。元の装置製造者は、その目的が自身の装置の利用者を満足させることであるため、自身の製品で使用されるランプについて可能な限り短いキープアライブ時間を要求し続けている。
特開2004−319193号公報
従って、本発明は、高圧放電ランプを停止する改善された方法と、従来技術によって可能にされる間隔よりも短い時間間隔の後にランプが完全に停止されることを可能にする適切な装置とを提供することを目的とする。
この目的のために、本発明は、電極の対がアーク管に配置される高圧放電ランプを停止させる方法であって、停止要求を受け取ると、ランプ電力を、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる低電力レベルへと下げるステップと、前記ランプ電力を完全に止める前に、低電力期間の間、前記ランプを前記低電力レベルへと駆動するステップとを有し、前記ランプを前記低電力レベルへと駆動する前に、前記ランプ電力は、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる前記低電力レベルよりも低いアンダーシュート電力レベルへと下げられ、前記ランプは、前記低電力レベルに近づくよう再び前記ランプ電力を上げる前に、アンダーシュート電力期間の間、前記アンダーシュート電力レベルで駆動される、方法を提供する。
上述されるように、アーク放電ランプを消灯させる当該技術の方法の幾つかは、ランプにおける光アークが永久に維持され得るレベルへランプ電力を下げる技術に基づく。このような低電力レベルでランプを駆動している間に、ランプの温度は下がり、圧力は然るべく低下する。従って、ある時間長さが経過した後、ランプは、ランプが通常の点灯電圧で再び安全に点灯され得るような状態となっている。このような従来技術は、ロバストである一方、比較的長い時間を要する。しかし、本発明に従う方法では、ランプ電力は、光アークが永久に維持され得るレベルを下回るアンダーシュート電力レベルへと突如として又は急に下げられる。このような低い電力レベルの光アークの持続は、ランプの通常動作の間に得られる電極の極めて高い温度による時間期間の間可能とされる。ランプは、ランプ電力を再び低電力レベルへ上げる前に、ある比較的短いアンダーシュート電力期間の間、このアンダーシュート電力レベルで駆動される。アンダーシュート電力期間の間、ランプの温度は急速に下がり、ランプ内の圧力のより一層早い低下を可能にする。従って、ランプが低電力レベルで駆動される必要がある時間長さは、有利に短縮され、従来技術の解決法によって提供されるものよりも短い時間の後の高温再起を可能にする。更に、温度の急低下及び付随する制御される圧力低下は、ランプが減光モードで駆動される場合に黒化(blackening)及び/又はプラズマエッチングが生じうるところの時間長さを減らす。
高圧放電ランプを駆動する適切な駆動ユニットは、停止要求を受け取る停止要求入力部と、ランプ電力制御ユニットとを有する。ランプ電力制御ユニットは、前記停止要求を受け取ると、ランプ電力が、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる低電力レベルへと下げられるように構成される。それによって、本発明に従って、ランプ電力制御ユニットは、前記ランプを前記低電力レベルへと駆動する前に、前記ランプ電力が、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる前記低電力レベルよりも低いアンダーシュート電力レベルへと下げられ、前記ランプが、前記低電力レベルに近づくよう再び前記ランプ電力を上げる前に、アンダーシュート電力期間の間、前記アンダーシュート電力レベルで駆動されるように構成され、前記ランプは、前記ランプ電力を完全に止める前に、低電力期間の間、前記低電力レベルへと駆動される。
従属請求項及び以下の記載は、本発明の特に有利な実施例及び特徴を開示する。
前記低電力レベル、前記アンダーシュート電力レベル、前記低電力期間又は前記アンダーシュート電力期間の値は、例えば、ランプ電圧、ランプ電流、ランプ内の圧力及び/又は温度等の1又はそれ以上の動作パラメータを観測することによって、ランプの動作中に決定され得る。測定される値は、例えば、安定規準を満足するようランプ電力をいつ下げるべきか又は上げるべきかを決定するために使用され得る。安定規準は、例えば、電極間の定常電圧、又は少なくとも、変動レベルの低い電圧の維持でありうる。
高圧ランプの状態は常に安定しているわけではなく、圧力の好ましからざる又は予期しない低下により、アーク放電の早すぎる終了がもたらされ得る。従って、ランプは極めて早く、すなわち、ランプの温度及び/又は圧力が、ランプが再び点灯され得るレベル、若しくは充填ガス内の水銀がアーク管の壁に沈着しないレベルに達する前に、消灯され得る。従って、本発明に従う好ましい実施例では、放電アークのこのような不意の終了が回避されることを確実にするよう、ランプの少なくとも1つの動作パラメータは、前記アンダーシュート電力レベルでの前記ランプの駆動中に安定規準の達成に関して観測され、前記ランプ電力は、前記安定規準が満たされない場合に、前記アンダーシュート電力期間を中断するよう、前記低電力レベルを上回って増大する。ランプ電力を再びアンダーシュート電力レベルへ下げる前に一時的にとにかくランプ電力を上げれば十分である。あるいは、残りの停止プロシージャの間は低電力レベルを上回ってランプ電力を維持することが必要でありうる。
適切な安定規準を決定又は定義することができる多数の方法が存在する。1つの例では、ランプ電圧平均値は、ある時間窓にわたって連続して測定され得、あるいは、ランプ電圧の多数の連続的な測定(サンプル)が決定され、その平均値を用いて、個々の電圧測定が平均値から大きく変動又は逸脱しているかどうかが判断され得る。このような場合に、補正は、例えば、ランプ電力、ひいては温度及びランプ圧力を上げるべくランプ電流を増大させることによって行われ得る。通常、瞬時の電力調整は、ランプドライバで、電流を調整することによって行われる。すなわち、瞬時電力の低減及び増加は、電流の低減又は増加によって得られる。
必要な測定を得るよう、望ましくは、本発明の駆動ユニットは、例えばランプ電圧の特定の挙動のような安定規準の達成に関して、停止処理の間、すなわち、停止要求の受信後、例えばランプ電圧のような1又はそれ以上の動作パラメータを観測する監視配置を有する。
明らかに、安定規準のモニタリングは、アンダーシュート相に限定されず、ランプが低電力相で又は低電力相へと駆動されている場合にも実行され得る。低電力相では、光アークは最も低い電力レベルで維持される。このようなキープアライブ相において、光アークが維持されることは重大である。従って、例えば電圧及び電流のようなランプパラメータは、安定規準に関して連続して観測され得、必要とされる時間長さの間ランプを低電力レベルで駆動することができるよう然るべく調整される。
しかし、このような測定を実行する手段を有するようランプ駆動ユニットを備えることは、費用がかかる。代替的に、原則的に全て同じ製造元のランプは同じ動作状態下で原則的に同じ挙動を示しうるという事実が利用されても良い。従って、本発明の特に好ましい実施例で、前記値は、例えば較正プロシージャにおいて、特定のランプ種類について予め決められる。その場合に、それは、ランプ電力が、適切な時点で、必要に応じて、上げ下げされるよう、ランプドライバを然るべく設定するのに十分である。
例えば、具体的に、120Wの定格又は公称電力を有するランプに関して、望ましくは、前記アンダーシュート電力レベルは、定格電力の3%から20%の間にありうる。本発明の好ましい実施例では、前記アンダーシュート電力レベルは、定格電力の5%から15%の間にあり、本発明の特に好ましい実施例では、前記アンダーシュート電力レベルは、定格電力の7.5%から12.5%の間にある。
ランプが前記アンダーシュート電力レベルで駆動される時間長さは、また、特定のランプ種類について決定され得る。例えば、120Wのランプに関して、前記アンダーシュート電力期間は、5秒から45秒の間、望ましくは10秒から30秒の間でありうる。
当然、両方のアプローチを組み合わせ、所定の存続期間の間所定のレベルでランプを駆動するとともに、ランプの早すぎる消灯を回避するために所定のレベル又は所定の存続期間へと調整が実際に行われる必要がある場合に1又はそれ以上の動作パラメータを観測することが可能な本発明に従うランプドライバを有することが可能である。
停止要求が受け取られる場合に、ランプ電力は、アンダーシュート電力レベルへと、急降下で、極めて急に下げられ得る。従って、この電力レベルは、極めて短時間で達成される。代替的に、電力は、例えば、電力を一連の比較的大きな段階でアンダーシュート電力レベルへと下げることによって、それほど急ではないが、それでも速やかに下げられ得る。しかし、温度の急低下が望まれるので、ランプ電力は、望ましくは、可能な限り速やかにアンダーシュート電力レベルまで下げられる。アンダーシュート期間が経過すると、ランプ電力は低電力レベルへ高められ、ランプは、残りのキープアライブ期間の間はこの低電力レベルで駆動され得る。代替的に、ランプ電力は、最初に、低電力レベルよりも著しく高いレベルへ高められ、次いで、低電力レベルに近づくよう下げられても良い。ランプ電力を低電力レベルへ下げることは、多数の方法で行われ得る。例えば、電力は、アーク放電の安定性が保たれるところの低電力レベルが達成されるまで、比較的ゆっくりと、連続して又は段階的に下げられ得る。ランプ電力の調整の変化の速度は、瞬時ランプ電力に従って選択され得る。言い換えると、比較的低い瞬時電力の場合には、電力は、更に、ゆっくりとした速度でしか下げられず、一方、より高い瞬時電力に関しては、変化はより早く起こる。このようにして、システムは、ランプの不意の早すぎる消灯を回避するように、慎重に低電力レベルへと向かう。
明らかに、ランプの外部からの冷却が、また、短いキープアライブ時間を確実にするために行われても良い。ランプの強制冷却は、停止処理の1又はそれ以上の段階の間に開始又は増大され得る。例えば、冷却手段、例えば、ベンチレータ又はベンチレータアレイは、ランプに対してある方法で配置され得る。停止要求がランプドライバへ送信されると直ぐに、この冷却手段は作動することができ、又は冷却のレベルが強められ得る。
ランプが安全に消灯され得る状態まで十分に冷却されている場合を判断する様々な方法が存在する。例えば、ランプは、低消灯温度に達した後にオフされ得る。かかる低消灯温度は、電極間の電圧に著しく有意な変化がない場合に到達されると考えることができる。他の特に簡単なアプローチでは、ランプは、ある所定時間の間低い電力レベル、すなわち、アンダーシュート電力レベル及び低電力レベルで駆動された直後に停止される。かかる時間期間は、例えば、事前の較正ステップで、特定のランプ種類について決定され得る。他のアプローチでは、ランプの圧力及び/又は電圧及び/又は電流は、低電力レベルでのランプの駆動の間に観測され、ランプは、観測される圧力に従って停止される。
本発明に従う画像レンダリングシステム、具体的には投影システムは、本発明に従って、高圧放電ランプに加えて、ランプ用の本発明に従う駆動ユニットを有するべきである。このような画像レンダリングシステムは、また、駆動ユニットへ停止要求を送る中央制御ユニットを有することができる。
このような上位の制御ユニットの使用は、標準的なランプドライバが、例えば、電力を制御するランプドライバのプログラム可能な制御チップにおける対応するソフトウェアの更新によって、わずかにしか変更される必要がないという利点を有する。ランプドライバに対する複雑なハードウェア変更は不要である。
ほとんどの画像レンダリング又はプロジェクタシステムは、どんな場合でも、例えばカラーホイール又はディスプレイのような、プロジェクタシステムの更なる構成要素を制御し同期させる中央制御ユニットを有する。好ましい実施例で、画像レンダリングシステムは、また、画像終了ユニットを有する。中央制御は、ランプドライバに対する停止要求と同時に、画像レンダリングプロシージャを終了させて表示を暗くするべく画像終了ユニットへ適切なコマンドを発するために使用される。すなわち、更なる画像レンダリングは、ランプが、停止要求を受信してから完全に消灯されるまでの間の遷移相にある限り、一時停止される。
表示を暗くすることに加えて、実際のランプ停止処理は、事実上ユーザに気付かれずに終了する。ユーザは、プロジェクタが不注意にオフした直後に再びオンされ得るという事実にしか気付かない。これは、ランプがキープアライブ又は遷移状態のいずれかのままであって、通常の動作電力レベルへ戻され得るためである。あるいは、ランプが実際に完全に消灯された場合には、ランプは本発明に従う方法により十分に冷却されており、従って、ランプは即座に再点灯され得るためである。
概して、本発明は、全ての種類の高圧放電ランプに使用され得る。望ましくは、本発明は、HIDランプ及び特にUHPランプに使用される。本発明は、また、投影システムでの使用を目的としない他のランプ、例えば、自動車の照明システム用のランプにも適用され得る。
本発明の上記以外の他の目的及び特徴は、添付の図面に関連して検討される以下の詳細な記載から明らかとなるであろう。しかし、当然、図面は、単に本発明の実施形態を説明することを目的としており、本発明を限定するためのものではない。図面中、同じ参照符号は、全体を通して同じ要素を表す。
図中の対象の寸法は、明りょうさのために選択されており、必ずしも実際の相対的な寸法を反映しているわけではない。
図1及び2には、水銀蒸気放電ランプをオフする動作の可能なシーケンスが記載されている。言うまでもなく、これらの限定的な動作経過に関連して記載される値は、単なる例示であって、本発明の一般的な考え方を限定することなく、ランプの通常動作で120ワット公称電力を有する水銀蒸気放電ランプに関連する。明らかに、これらの値は、実際に使用される如何なるランプ又はドライバ構成にも適するよう調整されるべきである。
図1は、簡単な停止シーケンスにおけるステップを示す。ステップ100で、停止要求が受信される。この停止要求の受信により、ステップ101で、ランプ電力は、公称電力の10%のアンダーシュート電力レベルへ、この場合には12Wのレベルへ急降下する。ステップ102で、ランプは、25秒のアンダーシュート電力期間の間、このアンダーシュート電力レベルで駆動される。このアンダーシュート電力期間が経過すると、ステップ103で、ランプ電力は、低電力レベル、この場合には25Wよりも幾らか大きいか又は等しい値へと再び高まる。ステップ104で、ランプは、所定のキープアライブ(keep alive)時間、例えば30秒の間、低ランプ電力レベルへと、又はそのレベルで駆動される。キープアライブ期間が経過すると、ステップ105で、ランプは最終的に消灯する。
ランプの状態はしばしば外部の影響によって影響されるので、特に、先に詳細に記載されたように、ランプの状態の変動がアーク放電の好ましくない早すぎる消灯を生じさせうるところの停止処理において、かかる状態を観測して、然るべくランプを駆動することが有益でありうる。図2で、停止処理は、ランプの消灯を制御すべく観測される。先と同じく、ステップ100′で、停止要求が受信され、ステップ101′で、ランプ電力は、公称電力の10%のアンダーシュート電力値へ、この場合には12Wのレベルへ急降下する。続いて、適切なパラメータが観測され、ステップ110で、アンダーシュート安定規準が満足されるかどうかを判定すべく確認される。安定規準が満足される場合は、ランプはこのアンダーシュート電力レベルで駆動され、経過時間がステップ111で観測される。所定のアンダーシュート電力期間、この場合には25秒が経過すると、ステップ103′で、ランプ電力は低電力レベルを上回って高められる。これは、また、ステップ110でアンダーシュート安定規準が満足されない場合にも起こる。この場合にも、ランプ電力は、ランプ圧力の過剰な降下によるランプの早すぎる消灯を回避するように高められる。
ステップ103′でランプ電力が高められるレベルは、25Wの低電力レベルよりも大きいか又は等しい。この低電力レベルは、光アークが永久に維持されるところの当該ランプのレベルに相当する。この場合に、ランプ電力は、25Wの目標の低電力レベルへとレギュレーションループで徐々に下げられる。ステップ112で、安定規準がモニタされる。ランプの状態が安定規準を満足する程十分に安定していない場合は、ステップ114で、ランプ電力はわずかに高められ、処理制御はステップ112へ戻る。ランプの状態が安定している場合は、ステップ113で経過時間の確認が行われる。所定のキープアライブ時間、例えば40秒が依然として経過していない場合は、ステップ115で、ランプ電力は下げられ、処理制御はステップ112へ戻る。キープアライブ時間が経過した場合は、ステップ105で、ランプは最終的に停止される。必然的に、ランプは、また、観測されるランプの状態が、停止が安全である平衡段階にランプが達したことを示す場合は、たとえ所定のキープアライブ時間が依然として経過していないとしても、ステップ105で停止される。
図3a乃至3cのグラフは、ランプが停止されている最中のランプ電力及びランプ温度の変化を示す。図3aは、従来技術による方法を用いてランプが停止される場合のランプ電力を示す。ここで、停止要求は時間tSRで受信され、その後、ランプ電力Pは、平衡状態が低ランプ電力レベルにあるランプにおいて達成されるまで、徐々にその低ランプ電力レベルPR1へと下げられる。このレベルにおいて、時間tSD1で、ランプは完全に消灯され得る。最初にランプ電力を下げたときから平衡状態の達成までの間に経過した時間は、遷移時間又はキープアライブ期間tkeep_alive_1である。
本発明に従う方法を用いてランプが停止される場合のランプ電力の挙動は図3bに示される。先と同じく、停止要求が時間tSRで受信される。次いで、ランプ電力は、アンダーシュート電力レベルPへ急に下げられる。グラフから明らかなように、ランプ電力の傾斜は、極めて急であり且つ負であり、ランプ電力の急降下を示している。ランプは、アンダーシュート電力期間tの間、極めて低いアンダーシュート電力Pで駆動される。次いで、ランプ電力は再び高められ、低電力レベルPに近付くよう調整される。ランプはアンダーシュート相の間に急速に冷やされるので、低電力レベルPでの消灯の状態は、より速やかに達成される。従って、ランプは最終的に時間tSDで消灯され得る。明らかに、遷移又はキープアライブ期間tkeep_aliveは、本発明に従う方法の方が短い。
両方法のランプ温度の挙動の比較は図3cに示される。ランプの温度Tは、停止要求が受信される場合に、ランプの電力が時間tSRで下がった後に下がり始める。本発明に従う方法により、ランプの温度の急低下は、実線で表される曲線Tlampによって示されるように、アンダーシュート電力期間の間に起こり得る。従来技術による方法によっては、ランプ温度は、点線TSOAによって示されるように、よりずっとゆっくりと下がる。本発明に従う方法によるランプの温度の急低下は、より短い時間長さで低電力レベルにおいて平衡状態に達することを可能にする。従って、ランプは、より早く消灯され得る。
図4は、ガス放電ランプを駆動するための本発明に従う駆動ユニット4の可能な実施を示す。
駆動ユニット4は、コネクタ9を介してガス放電ランプ1の放電チェンバ3内の電力2と接続されている。更に、駆動ユニット4は電源8へ接続されており、停止要求SR又は他の制御信号を受信する入力部18と、更に、例えばランプステータスLSを上位の制御ユニットへ報告するための出力部19とを備える。駆動ユニット4は、直流変換器24と、整流段25と、点灯配置32と、ランプ電力制御ユニット10と、電圧測定ユニット14と、電流測定ユニット12とを有する。
ランプ電力制御ユニット10は、変換器24、整流段25及び点灯配置32を制御し、ガス放電ランプ1におけるランプドライバ4の電圧挙動を観測する。
整流段25は、4つのスイッチ27、28、29、30を制御するドライバ26を有する。点灯配置32は、(例えば、コンデンサ、抵抗及びスパークギャップを有する)点灯制御器31と、2つのチョーク33、34を用いて、ランプ1が点灯可能であるよう対称的な高電圧を生成する点灯変圧器とを有する。
変換器24は、例えば380Vの外部直流電源8によって給電される。直流変換器24は、スイッチ20と、ダイオード21と、インダクタンス22と、コンデンサ23とを有する。ランプ電力制御ユニット10は、レベル変換器35を介してスイッチ20を、ひいてはランプ1を流れる電流を制御する。このようにして、実際のランプ電力は、ランプ電力制御ユニット10によって調整される。
電圧測定ユニット14は、コンデンサ23に並列に接続されており、2つの抵抗16、17による分圧器の形で実現される。コンデンサ15は抵抗17に並列に接続されている。
電圧測定のために、低電圧は、コンデンサ23で分圧器16、17を介して取り込まれ、ランプ電力制御ユニット10でアナログ/デジタル変換器13を用いて測定される。コンデンサ15は、測定信号に含まれる高周波歪みを小さくする働きをする。
ランプ1の電流は、電流測定ユニット12を用いてランプ電力制御ユニット10で観測される。電流測定ユニット12は誘導の原理で動作する。ランプ電力制御ユニット10はレベル変換器35及びスイッチ20を用いてランプ1の電流を制御するので、瞬時電流レベルもランプ電力制御ユニット10で制御され得る。この場合に、本発明に従って必要とされる電流測定ユニットは直接に制御回路に組み込まれ、図4に示される外部電流測定ユニット12は、例えば、観測目的で使用され得る。あるいは、それは、幾つかの種類のランプについては、完全に省略され得る。
ランプ電力制御ユニット10は、プログラム可能なマイクロプロセッサを有する。解析ユニット11は、ここでは、制御回路のマイクロプロセッサで実行するソフトウェアの形で実施される。解析ユニット11は、電圧測定ユニット14及び電流測定ユニット12によって報告される測定値を記録して解析する。
電圧測定ユニット14及びアナログ/デジタル変換器13とともに、解析ユニット11は、ランプ電力低減処理の間、及び低動作レベルでのランプの駆動の間にランプ電圧を観測するモニタリング配置を提供する。解析ユニット11内の解析及び評価は、ランプ電力制御ユニット10が図1及び2によって記載される処理を管理することができるように、本発明に従う定義された放電処理安定規準に関して行われる。
この場合に電圧が観測され、電流も電流測定ユニット12を用いて観測され得るので、ランプ圧力も解析ユニット11で観測され得る。従って、解析ユニット11により、冷却規準も評価され得、停止処理は、最終的にランプ1をオフすることによって終了され得る。
ランプの停止処理を開始するコマンドは、停止要求SRの形で入力部18を介して直接にランプ制御ユニット10へ転送される。ランプ1の瞬時ランプステータスLSは、出力部19を介してランプ電力制御ユニット10によって知らされ得る。
具体的に、ランプステータスは、ランプ1が依然としてアンダーシュート電力レベルで、又は遷移期間において低電力レベルへと駆動されているかどうか、あるいは、停止処理が完了したかどうかを報告することができる。必要ならば、より正確な情報、例えば、解析ユニット11によって決定される瞬時圧力に関連するデータが、この出力部19を介して知らされ得る。
図5は、本発明に従うプロジェクタシステム40を示す。ここで、プロジェクタシステム40は、異なる色、すなわち赤、緑及び青が順次にレンダリングされるシーケンシャルシステムであって、これにより、相異なる色が、目の反応時間によりユーザによって認識される。
それによって、ランプ1の光は、反射器41内で、3つの色領域、すなわち赤r、緑g及び青bを有してカラーホイール42上に焦点を合わせられる。このカラーホイール42は、赤色画像、緑色画像又は青色画像のいずれか1つが生成されるように、一定の速度で駆動される。次いで、カラーホイール42の位置に従って生成される赤、緑又は青の光は、表示ユニット44が一様に照射されるように、コリメータレンズ43によって焦点を合わせられる。ここで、表示ユニット44はチップであり、その上には、個々の表示素子として、多数の可動式ミラーが配置されている。各表示素子は画像画素に付随する。ミラーは、光によって照射される。各ミラーは、光がプロジェクタレンズ45により投影領域へ反射されるように(図示せず。)、又はプロジェクタレンズ45から離れて、吸収材に反射されるように、投影領域上の画像画素、すなわち、結果として得られる画像が明るいか又は暗いかに従って傾けられる。ミラー配置の個々のミラーは格子(グリッド)を形成する。この格子により、如何なる画像も生成され得、また、例えば、ビデオ画像がレンダリングされ得る。画像における異なる輝度レベルのレンダリングは、パルス幅変調を用いて達成される。この方法では、表示装置の各表示素子は、光が、画像持続期間のある部分の間は投影領域の対応する画素領域に作用し、残りの時間の間は投影領域に作用しないように制御される。このようなプロジェクタシステムの例には、テキサス・インスツルメンツ(登録商標)のDLP(Digital Light Processing)システムがある。必然的に、本発明は、そのようなプロジェクタシステムに限定されず、その他種類のプロジェクタシステムとともに使用され得る。
図5は、また、ランプ1がランプ駆動ユニット4によって制御されることを示す。駆動ユニット4は中央制御ユニット5によって制御される。ここで、中央制御ユニット5は、また、カラーホイール42及び表示装置44の同期も管理する。例えばビデオ信号Vのような信号は、この図に示されるように、中央制御ユニット5へ入力され得る。このようなビデオ信号は、例えば衛星受信器、ビデオカセットレコーダ(VCR)、デジタルビデオディスク(DVD)、パーソナルコンピュータ(PC)等のような、如何なる適切な発信源(図示せず。)からも発生することができる。
中央制御ユニット5は、また、電源(図示せず。)にも接続され、例えば、オン/オフスイッチ又はリモートコントロール入力等のユーザインターフェース6を設けられている。このユーザインターフェース6により、ユーザは、プロジェクタシステム40をオフすることができる。その後、制御ユニットは、ランプドライバ4の入力部へ停止要求SRを送る。従って、これにより、上述したような方法でランプ電力は下げられ、次いで、ランプ1は十分に冷却された後にオフされる。更に、中央制御ユニット5は、画像がもはやレンダリングされないように、同じく停止要求SRを受け取る画像終了ユニット46を介して、表示ユニット44を制御することができる。ユーザの視点から、装置はオフされる全ての目的及び意図を得、光はもはや投影領域に投影されない。
ランプ駆動ユニット4が完全にランプ1をオフすると直ぐに、ランプ駆動ユニット4は、対応するランプステータス信号LSを出力部19を介して中央制御ユニット5へ伝える。次いで、中央制御ユニット5は、ランプ駆動ユニット4をオフし、例えば、装置全体をスタンバイ状態に置き、あるいは、完全に停止する。
本発明は、好ましい実施形態及びそれらの変形例の形で開示されてきたが、多数の付加的な改良及び変更が、本発明の適用範囲を逸脱することなく、それらの実施形態及び変形例に対して行われ得ることは明らかである。明りょうさのために、当然、本願全体を通しての“1つの(a、an)”の使用は複数個を除かず、“有する(comprising)”は他のステップ又は要素を除かない。また、“ユニット(unit)”は、単一の存在物として明示されない限りは、多数のブロック又は装置を有しうる。
第1の実施例に従う本発明の方法の動作シーケンスのフローチャートを示す。 第2の実施例に従う本発明の方法の動作シーケンスのフローチャートを示す。 従来技術に従う方法を用いる停止処理におけるランプ電力のグラフを示す。 本発明に従う方法を用いる停止処理におけるランプ電力のグラフを示す。 従来技術に従う停止処理及び本発明に従う方法におけるランプ温度のグラフを示す。 本発明に従うランプ駆動ユニットのブロック図を示す。 本発明に従うプロジェクタシステムの実施例の配置図を示す。

Claims (10)

  1. 電極の対がアーク管に配置される高圧放電ランプを停止させる方法であって、
    停止要求を受け取ると、ランプ電力を、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる低電力レベルへと下げるステップを有し、これによって、前記ランプは、前記ランプ電力を完全に止める前に、低電力期間の間、前記低電力レベルへと駆動され
    前記ランプを前記低電力レベルへと駆動する前に、前記ランプ電力は、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる前記低電力レベルよりも低いアンダーシュート電力レベルへと下げられ、
    前記ランプは、前記低電力レベルに近づくよう再び前記ランプ電力を上げる前に、アンダーシュート電力期間の間、前記アンダーシュート電力レベルで駆動される、方法。
  2. 前記低電力レベル及び/又は前記アンダーシュート電力レベル及び/又は前記低電力期間及び/又は前記アンダーシュート電力期間の値は、特定のランプ種類について予め決められる、請求項1記載の方法。
  3. 前記ランプの少なくとも1つの動作パラメータは、前記アンダーシュート電力レベルでの前記ランプの駆動中に安定規準の達成に関して観測され、
    前記ランプ電力は、前記安定規準が満たされない場合に、前記アンダーシュート電力期間を中断するよう、前記低電力レベルを上回って増大する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記ランプの少なくとも1つの動作パラメータは、前記低電力レベルでの前記ランプの駆動中に観測され、
    前記ランプは、前記観測された動作パラメータに従って停止される、請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の方法。
  5. 前記アンダーシュート電力レベルは、特定のランプ種類について定格電力の3%から20%の間、望ましくは5%から10%の間、更に望ましくは7.5%から12.5%の間にある、請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の方法。
  6. 前記ランプは、5秒から45秒の間、望ましくは10秒から30秒の間の時間期間に前記アンダーシュート電力レベルで駆動される、請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の方法。
  7. 電極の対がアーク管に配置される高圧放電ランプを駆動する駆動ユニットであって、
    停止要求を受け取る停止要求入力部と、
    前記停止要求を受け取ると、ランプ電力が、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる低電力レベルへと下げられ、これによって、前記ランプが、前記ランプ電力を完全に止める前に、低電力期間の間、前記低電力レベルへと駆動され、これによって、前記ランプを前記低電力レベルへと駆動する前に、前記ランプ電力が、前記電極間で長期のアーク放電を維持するために必要とされる前記低電力レベルよりも低いアンダーシュート電力レベルへと下げられ、前記ランプが、前記低電力レベルに近づくよう再び前記ランプ電力を上げる前に、アンダーシュート電力期間の間、前記アンダーシュート電力レベルで駆動されるように構成されるランプ電力制御ユニットと
    を有する駆動ユニット。
  8. 安定規準の達成に関して停止処理の間少なくとも1つの動作パラメータを観測する監視配置を更に有する、請求項7記載の駆動ユニット。
  9. 電極の対がアーク管に配置される高圧ガス放電ランプと、
    請求項7又は8記載の駆動ユニットと
    を有する、プロジェクタシステムを含む画像レンダリングシステム。
  10. 停止要求を受け取ると画像レンダリングプロシージャを終了する画像終了ユニットを有する、請求項9記載の画像レンダリングシステム。
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