JP4948323B2 - 高分子柔軟電極が付されたエレクトロデバイス - Google Patents

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本発明は、可撓性のエレクトロデバイスを作製するために用いられる高分子柔軟電極が付された高分子アクチュエータのようなエレクトロデバイスに関する。
従来、様々な分野において種々のエレクトロデバイスが用いられているが、昨今、特に可撓性のエレクトロデバイスに注目が集まっている。可撓性エレクトロデバイスとして、高分子アクチュエータや高分子センサー等の研究例が報告されている。
可撓性高分子センサーは、曲面への設置が可能であり、将来的には人工皮膚への応用も期待される。また、高分子アクチュエータは、電場駆動する高分子材料に電極を付したものであり、高分子の特性である柔軟性を生かして、従来のチタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のようなセラミック系アクチュエータでは達成できないような大きな変形、ストロークが可能である。さらに高分子アクチュエータは、軽量であること、構造が単純であるので小型化が比較的容易であること等の特性を有しているため、医療機器分野、マイクロマシン分野、産業用ロボット分野、パーソナルロボット分野等で需要が高まってきている。
このような高分子アクチュエータとして、例えば出力/質量比、及び出力/容積比が優れる高分子誘電体を用いたものが報告されている(例えば特許文献1〜3、及び非特許文献1)。これらの高分子アクチュエータは、数100〜1000V以上の電圧を印加するとその膜面方向に大きく拡張する。
高分子アクチュエータの動作は、諸説あるが、加えた電場によって生じる静電気力からのマクスウェル応力が主な駆動源となると考えられている。マクスウェル応力は帯電した電極間に生じる力であり、したがってこの力を利用するアクチュエータの構成は、誘電性のエラストマー膜の相対する面に少なくとも2つ以上の電極を互いに絶縁した状態で設ける必要がある。もっとも単純には、電極−誘電性エラストマー膜−電極からなる積層体は高分子アクチュエータとして機能する。かかるアクチュエータは本質的に圧電性を利用したものであり、例えば上記した膜に変形を加えた場合には電圧を発生するためセンサーとしても利用することができる。
高分子アクチュエータにおいて電極は重要な役割を果たす。電極としては、従来、金蒸着膜や金薄膜、アルミ箔等が用いられていた。しかしながら、金蒸着膜や金薄膜の電極は高分子材料の大きな変形に追随できず破断しやすいといった問題がある。さらに金製の膜の作製は煩雑な上、コストが高い。またアルミ箔の電極はその硬さに起因して高分子材料の柔軟性を損なわせたり、電場駆動する高分子アクチュエータの変形を抑制したりする結果、十分に可撓できないという問題がある。
これらの問題点に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、特願2006−043930号(未公開)を特許出願した。すなわち、熱可塑性エラストマーとカーボンナノファイバーからなる高分子柔軟電極、特にはポリスチレンとポリオレフィンとのブロック共重合体である熱可塑性エラストマーと、カーボンナノファイバーとからなる高分子柔軟電極を見出し、さらには当該高分子柔軟電極が高分子アクチュエータ用の電極として好適に利用できる。
特表2003−506858号公報 特表2003−526213号公報 特許2698716号公報 ソフトアクチュエータ開発の最前線、193頁、エヌティーエス、2004年
本発明者は、特願2006−043930号の出願後も鋭意検討を続けた結果、パラ−メチルスチレンの重合体ブロックと炭素数4〜8の共役アルカジエンの重合体とを含むブロック共重合体と、カーボンナノファイバーとを有し、なおかつそのブロック共重合体の少なくとも一部が架橋されている高分子柔軟電極が、導電性に優れ、より高い耐久性を有すること、またその高分子柔軟電極を採用した高分子アクチュエータは耐繰り返し変形性が向上することを見出し、本件発明をするに至った。
本発明は、可撓性のエレクトロデバイスを作製するために用いられるもので、導電特性及び耐久性に優れ、大きな変形に追随できる柔軟性を有し、簡便かつ安価で、生産効率が高い高分子柔軟電極、及びその高分子柔軟電極を採用した高分子アクチュエータのようなエレクトロデバイスを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたエレクトロデバイスは、パラ−メチルスチレンを含む少なくとも1つの重合体ブロック(A)と、置換基を有していてもよい炭素数4〜8の共役アルカジエン又はそれの炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役アルカジエンを含む少なくとも1つの重合体ブロック(B)とを有し、少なくとも一部が架橋されているブロック共重合体(X)、およびカーボンナノファイバー含む高分子柔軟電極が、誘電性柔軟基材の表面に付されていることを特徴とする。
請求項2に記載のエレクトロデバイスは、請求項1に記載されたエレクトロデバイスであって、該高分子柔軟電極に、前記ブロック共重合体(X)の100質量部と、前記カーボンナノファイバーの10〜200質量部とを含んでいることを特徴とする。
請求項3に記載のエレクトロデバイスは、請求項1〜2のいずれかに記載の高分子柔軟電極が、誘電性柔軟基材の表面の一部に付されていることを特徴とする。
請求項4に記載のエレクトロデバイスは、請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロデバイスであって、前記誘電性柔軟基材が、(メタ)アクリレートを主成分とするブロック共重合体からなることを特徴とする。
請求項5に記載のエレクトロデバイスは、請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロデバイスであって、高分子アクチュエータ、コンデンサ、センサーであることを特徴とする。
本発明の高分子柔軟電極は、ブロック共重合体がバインダーとして機能し、カーボンナノファイバーが導電性を提示するので、優れた柔軟性、繰り返し変形に対する高い耐久性、及び良好な導電特性を有し、延伸しても優れた導電特性を維持できる。
また、この高分子柔軟電極は、誘電性柔軟基材膜との接着性に優れている。従って、この高分子柔軟電極が誘電性柔軟基材膜に付された高分子アクチュエータは、電極に電界を印加して電場駆動すると、電極がその大きな変形に追随して、破断することなく大きく延伸したり変形したりするという優れた可撓性を示す。さらに、高分子アクチュエータを繰り返し動作させても高分子柔軟電極と誘電性柔軟基材膜とが剥離することがなく、高い耐久性を有している。
発明を実施するための好ましい形態
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の高分子柔軟電極を構成するブロック共重合体(X)は、パラ−メチルスチレン(p−メチルスチレン)を含む重合体ブロック(A)と、置換基を有していてもよい炭素数4〜8の共役アルカジエン又はそれの炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役アルカジエンを含む重合体ブロック(B)とを、各々少なくとも1つずつ含んでおり、なおかつこのブロック共重合体(X)の少なくとも一部が架橋された構造である。
前記重合体ブロック(A)はp−メチルスチレンを10質量%以上含む重合体で構成されていることが好ましい。p−メチルスチレンの重合体は高い反応性を有するトリル基を含んでおり、特に過酸化物架橋を行う際に有効な架橋サイトとして作用する。
前記重合体ブロック(A)の数平均分子量については特に制限はないが、1000〜500000の範囲にあることが好ましく、3000〜300000の範囲にあるとより好ましい。
前記重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損なわない範囲において、p−メチルスチレンとそれ以外のモノマーとを重合したものであってもよい。p−メチルスチレン以外のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−ブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、インデン、4−エチルスチレン、3−エチルスチレン、2−エチルスチレン、4−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、2−プロピルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ブチルスチレン、2−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、2−メトキシスチレン、4−ブトキシスチレン、3−ブトキシスチレン、2−ブトキシスチレン、4,α−ジメチルスチレン等のスチレン誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の共役アルカジエン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アリルアルコール;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、イソブチレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの中でも、スチレン誘導体類、共役アルカジエン類であると、得られる高分子柔軟電極の性能を損なわないため好ましく、特にスチレン誘導体類は耐熱性に優れるためより好ましい。また、p−メチルスチレンと、前記したp−メチルスチレン以外のモノマーとで重合体ブロック(A)を構成する場合、重合体ブロック(A)におけるp−メチルスチレン以外のモノマーの含有量に特に制限はないが、ブロック共重合体(X)の架橋の容易性及び得られる高分子柔軟電極の耐久性を考慮すると、90質量%以下であることが好ましい。
前記重合体ブロック(B)は、置換基を有していてもよい炭素数4〜8の共役アルカジエンの重合体、及び/又はそれの炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役アルカジエンの重合体のみで構成されていることが好ましい。そのような重合体としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエン、ポリヘキサジエン、ポリヘプタジエン、ポリオクタジエン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、水添ポリペンタジエン、水添ポリヘキサジエン、水添ポリヘプタジエン、水添ポリオクタジエン等が挙げられる。
前記重合体ブロック(B)は、本発明の効果を損なわない範囲において、置換基を有していてもよい炭素数4〜8の共役アルカジエン及び/又はそれの炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役アルカジエンと、それ以外のモノマーとを重合したものであってもよい。そのようなモノマーの例は、前記重合体ブロック(A)に含まれていてもよいp−メチルスチレン以外のモノマーの例示に準ずる。その場合、重合体ブロック(B)における炭素数4〜8の共役アルカジエン及び/又はそれの炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役アルカジエン以外のモノマーの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であるとより好ましい。この範囲であると、得られる高分子柔軟電極の柔軟性を損ねることがない。
前記重合体ブロック(B)の数平均分子量については特に制限はないが、1000〜500000の範囲にあることが好ましく、3000〜300000の範囲にあるとより好ましい。
前記ブロック共重合体(X)を構成する重合体ブロック(A)(以下(A)と略す)と重合体ブロック(B)(以下(B)と略す)とのブロックシーケンスについては、特に制限は無いが、例えば(A)−(B)で表されるジブロック体、(A)−(B)−(A)又は(B)−(A)−(B)で表されるトリブロック体、(A)−(B)−(A)−(B)で表されるテトラブロック体、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)又は(B)−(A)−(B)−(A)−(B)で表されるペンタブロック体等が挙げられる。高分子柔軟電極とした際の弾性、さらにはその高分子柔軟電極を使用したエレクトロデバイスや高分子アクチュエータの性能を考慮すると、前記した中でも(A)―(B)−(A)で表されるトリブロック体、又は(A)−(B)−(A)−(B)−(A)で表されるペンタブロック体であることが好ましい。特に、(A)−(B)−(A)で表されるトリブロック体は製造が容易であるためより好ましい。
前記ブロック共重合体(X)は、重合体ブロック(A)部分のみで架橋されていてもよく、重合体ブロック(A)部分と重合体ブロック(B)部分との両方で架橋されていてもよい。重合体ブロック(A)中の架橋性基の少なくとも一部が架橋されていると、得られる高分子柔軟電極の耐久性がより優れるため、好ましい。前記ブロック共重合体(X)の架橋度は、一般的に高いことが好ましい。前記ブロック共重合体(X)をシクロヘキサン等の良溶媒でソックスレー抽出した後のゲル分率(ゲル分とは不溶分)の値で架橋度を示す場合、ゲル分率が0.7以上、より好ましくは0.8以上であると、高分子柔軟電極の耐久性が向上するため、好ましい。前記ブロック共重合体(X)の架橋性基を架橋する方法は特に制限がなく、例えば硫黄架橋、過酸化物架橋、樹脂架橋、アイオノマー架橋等を採用することができる。最も好ましい架橋方法は過酸化物架橋である。前記ブロック共重合体(X)は、一種の架橋方式を用いて架橋されていてもよく、複数の架橋方式を併用して架橋されていてもよい。架橋を行う際には、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤等を適宜使用してもよい。また、前記ブロック共重合体(X)の架橋はどの時期に施されてもよく、例えばブロック共重合体とカーボンナノファイバーとから高分子柔軟電極を成形した後に前記架橋がなされてもよいし、高分子柔軟電極の成形と同時に前記架橋がなされてもよい。前記ブロック共重合体(X)の架橋を施す時期とその架橋方法は、目的とする高分子柔軟電極やエレクトロデバイス、高分子アクチュエータ等の形状から適宜選択できる。
ブロック共重合体(X)の数平均分子量は2000〜2000000であることが好ましく、10000〜500000であるとより好ましい。ブロック共重合体(X)の数平均分子量がこの範囲内であると、ブロック共重合体(X)及びそれを用いた高分子柔軟電極の力学的強度が優れる上、成形が容易である。
前記ブロック共重合体(X)の製造方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等のリビング重合法;重合体ブロック(A)又は(B)を前駆体として合成した後、その末端から重合体ブロック(B)または(A)を重合する方法;互いに反応しうる官能基を末端に備えた重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とを反応させる方法が挙げられる。ブロック共重合体(X)の製造方法は、目的とするブロック共重合体(X)の構造に応じ適宜選択することができる。
前記ブロック共重合体(X)は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)とは別の重合体ブロック(C)を有していてもよい。本発明の効果を損なわない限りにおいては別の重合体ブロック(C)の数に制限はなく、例えば構成要素の異なる重合体ブロック(C1)、重合体ブロック(C2)、重合体ブロック(C3)と任意の数であってよい。重合体ブロック(C)の例としては、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)の前記共重合モノマーの例示に準じる。重合体ブロック(C)の数平均分子量については特に制限はないが、1000〜500000の範囲にあることが好ましく、3000〜300000の範囲にあるとより好ましい。
本発明の高分子柔軟電極に用いられるカーボンナノファイバーとしては、例えば気相成長法によって得られる炭素繊維等を好適に用いることができる。この気相成長法によるカーボンナノファイバーは、繊維径が1〜1000nm程度のナノオーダーであり、繊維長が最大30μm程度の極細の繊維状をなすものであり、また結晶性が高いという特徴がある。具体例としては気相法炭素繊維VGCF(昭和電工株式会社製;登録商標)を挙げることができる。
本発明の高分子柔軟電極を構成するブロック共重合体(X)とカーボンナノファイバーとの配合比については、高分子柔軟電極の柔軟性が損なわれない限り特に制限はないが、好ましくはブロック共重合体(X)の100質量部とカーボンナノファイバーの10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部である。カーボンナノファイバーが10質量部未満であると、高分子柔軟電極の導電性が劣るため好ましくなく、200質量部を超えると、高分子柔軟電極の柔軟性が低下するため好ましくない。
前記高分子柔軟電極は、上述したブロック共重合体(X)とカーボンナノファイバーとに加えて、ブロック共重合体(X)とは異なる高分子(Z)を含んでいてもよい。高分子(Z)の例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のポリオレフィン類;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のオレフィン−極性モノマー共重合体類;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、ポリノナメチレンテレフタルアミド、キシリレン基含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマー類;塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化オレフィン系樹脂;ポリスチレンと(水添)ポリ共役アルカジエンとのブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリメチルメタクリレートとポリn−ブチルアクリレートとのブロック共重合体等の(メタ)アクリル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらの高分子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記高分子柔軟電極は、本発明の効果を損なわない範囲において添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば可塑剤、無機充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、粘着剤、粘着付与剤、帯電防止剤が挙げられる。前記可塑剤は、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等の鉱物油;フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジノニル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジノニル等のエステル系可塑剤;アクリル酸誘導体オリゴマー;石油樹脂等のオリゴマー類で例示される。また、前記無機充填剤は誘電率や耐熱性、耐候性、力学強度を向上させるために添加するもので、例えば酸化チタン、シリカ、クレイ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、チタン酸ジルコン酸鉛等の無機物で例示される。これらの添加剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、添加剤の配合量は特に制限はないが、ブロック共重合体(X)100質量部に対して添加剤100質量部未満であると好ましく、ブロック共重合体(X)100質量部に対して添加剤70質量部未満であるとより好ましい。この範囲内であると、高分子柔軟電極、及びこれを採用したエレクトロデバイスや高分子アクチュエータの機能性、耐久性が向上する。
本発明の高分子柔軟電極は、その使用目的に応じて種々の形状に成形される。その形状は膜状であることが好ましいが、フィルム状、シート状、板状、繊維状、ロッド状、立方体状、直方体状、球状、ラグビーボール状であってもよく、さらに複雑な形状であってもよい。高分子柔軟電極の成形方法は、種々の成形方法から目的に応じて適宜選択できる。その成形方法としては例えば、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、回転成形法、圧縮成形法、射出成形法、ロール成形法、真空成形法等のように、ブロック共重合体(X)を溶融した状態で行う成形方法;スピンコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー印刷法等のような印刷・コーティング法が挙げられる。また本発明の高分子柔軟電極は、架橋前には熱可塑性を有するため、熱成形を行うこともできる。
前記高分子柔軟電極が膜状である場合、その膜厚は0.1μm〜1cm、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜500μmである。前記膜厚が0.1μm未満であると膜の力学的強度に劣るため好ましくなく、1cmを超えると結果的にエレクトロデバイスの電極間距離が大きくなり、従って電極間に働くマクスウェル応力が低下するので、エレクトロデバイスとしての性能が低下してしまい、好ましくない。
本発明の高分子柔軟電極はエレクトロデバイス、特に高分子アクチュエータの電極として有効である。前記高分子柔軟電極と誘電性柔軟基材とを貼り合わせると、エレクトロデバイスが得られる。前記誘電性柔軟基材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のポリオレフィン類;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のオレフィン−極性モノマー共重合体類;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、ポリノナメチレンテレフタルアミド、キシリレン基含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマー類;塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化オレフィン系樹脂;ポリスチレンと(水添)ポリ共役アルカジエンとのブロック共重合体のようなスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリメチルメタクリレートとポリn−ブチルアクリレートとのブロック共重合体のような(メタ)アクリル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー類が挙げられる。また前記誘電性柔軟基材は、ブロック共重合体(X)あるいはこれと同等の要件を満たす高分子であってもよい。前記誘電性柔軟基材がエラストマー類、熱可塑性エラストマー類であると、得られるエレクトロデバイスの可撓性が優れるため好ましい。特に熱可塑性エラストマー類は成形体の形状自由度が高いためより好ましく、熱可塑性エラストマーの中でも高い誘電率を有する(メタ)アクリル系熱可塑性エラストマーであると一層好ましい。また、誘電性柔軟基材は、前記したような添加剤を含有していてもよい。
前記誘電性柔軟基材の形状には特に制限はなく、例えば膜状、フィルム状、シート状、板状、繊維状、ロッド状、立方体状、直方体状、球状、ラグビーボール状であってもよく、さらに複雑な形状であってもよい。誘電性柔軟基材の形状は、目的とするエレクトロデバイスに応じて適宜選択できる。また前記誘電性柔軟基材は、高分子アクチュエータのストローク量を改良するために初期歪が印加されていてもよい。前記誘電性柔軟基材が膜状である場合、その膜厚は0.1μm〜1cm、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜500μmである。前記膜厚がこの範囲内であると、電極間の短絡を避けることができ、なおかつ得られるエレクトロデバイスの性能を損なうことがない。
前記高分子柔軟電極と前記誘電性柔軟基材とを貼り合わせる方法としては制限はなく、例えば、膜状の誘電性柔軟基材の両面に、別途作製した高分子柔軟電極を貼り合わせて熱溶着する方法;誘電性柔軟基材の表面に、高分子柔軟電極の構成要素を溶質あるいは分散体として含んでいるインクを塗布する方法等がある。これらの貼り合わせ方法は、目的とするエレクトロデバイスの形状に応じて適宜選択できる。
本発明の高分子柔軟電極をエレクトロデバイスの電極として用いる場合、導電性をさらに高めるため、導電材を薄く細くパターニングした導電膜又は導電線が高分子柔軟電極上に設けられていてもよい。導電材としては例えば、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、導電カーボン等の炭素系材料;金をはじめとする金属類等が挙げられる。中でも抵抗を考慮すると金属類が好ましい。導電膜又は導電線は、例えば真空蒸着法やイオンスパッタリング法を用いて高分子柔軟電極上に形成される。
本発明の高分子柔軟電極を採用したエレクトロデバイスは、本質的には圧電素子である。前記高分子柔軟電極は、例えばアクチュエータ素子、圧力や力や変位を検知するセンサー素子、変位や力のような機械エネルギーを電気エネルギーに変換するジェネレーター等のエレクトロデバイスの電極として、好適に使用される。
本発明のエレクトロデバイスは、空気中、真空中等、種々の環境において動作可能である。またエレクトロデバイスは、目的に応じて絶縁性を有する樹脂等で封止されていてもよい。
本発明の高分子柔軟電極及び高分子アクチュエータを試作した例を実施例1〜6に、本発明を適用外の高分子柔軟電極及び高分子アクチュエータを試作した例を比較例1〜6に、それぞれ示す。なお、特に記載のない溶剤やモノマー等の薬剤については、必要に応じ定法に従い精製したものを使用した。
(合成例1) ポリp−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリp−メチルスチレンの製造
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン30kgと、p−メチルスチレン700gと、sec−ブチルリチウムの1.3mol/Lシクロヘキサン溶液の20mLとを加え、50℃で120分間重合した。そこへ、テトラヒドロフラン63gと、1,3−ブタジエン2.6kgとを加えて更に120分間重合した。そこへp−メチルスチレン700gを加えて更に120分間重合した後、少量のメタノールを添加して重合を停止させ、ポリp−メチルスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリp−メチルスチレンの重合溶液を得た。
次いで、得られた重合溶液にNi/Al系のチーグラー系水素添加触媒を添加し、系内を水素雰囲気とした。80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリp−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリp−メチルスチレンを得た。得られたブロック共重合体(X1)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)とを測定したところ、Mn=260000、Mw/Mn=1.05、各重合体ブロックの割合はポリp−メチルスチレン/b−水添ポリブタジエン/b−ポリp−メチルスチレン=17.5/65/17.5(質量比)であった。また、得られたブロック共重合体の水添ポリブタジエンブロックの水素添加率は99.8モル%であった。なお、GPC測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフHLC−8020(東ソー社製)、カラムとしてTSKgelであるGMHXL、G4000HXL及びG5000HXL(いずれも東ソー社製)を直列に連結したものを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを流量1.0ml/分で流した。検出方法は示唆屈折率(RI)とし、標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(合成例2) ポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)−b−水添ポリイソプレン−b−ポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)の製造
合成例1において、p−メチルスチレン700gに代えてスチレン500gとp−メチルスチレン200gとの混合物を用いたことと、1,3−ブタジエンに代えてイソプレンを用いたことと、テトラヒドロフランを用いなかったこと以外は合成例1と同様にして、ポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)−b−水添ポリイソプレン−b−ポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)を合成した。得られたブロック共重合体(X2)について数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)とを測定したところ、Mn=285000、Mw/Mn=1.04、各重合体ブロックの割合はポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)/b−水添ポリイソプレン/b−ポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)=17.5/65/17.5(質量比)、ポリ(スチレン−r−p−メチルスチレン)ブロックの組成比=5/2(質量比)であった。また、得られた共重合体ブロックの水素添加イソプレンブロックの水素添加率は99.9モル%であった。
(合成例3) ポリ(メチルメタクリレート−b−ポリn−ブチルアクリレート−b−ポリメチルメタクリレート)の製造
撹拌装置付き耐圧容器中に、トルエン40kgと、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン94mLと、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノキシ)アルミニウム1.1molを含有するトルエン溶液1.8Lとを加え、さらにsec−ブチルリチウムの1.3mol/Lシクロヘキサン溶液を80mL加えた。ここにメチルメタクリレート737gを添加し、40℃で2時間重合した。ついでこの重合系を−30℃まで冷却し、そこにn−ブチルアクリレート4940gをゆっくりと滴下して重合を行った。その後、メチルメタクリレート50gを添加して40℃に昇温し、さらにメチルメタクリレート687gを添加して、40℃で2時間重合した。少量のメタノールを添加して重合を停止した。得られたポリ(メチルメタクリレート−b−ポリn−ブチルアクリレート−b−ポリメチルメタクリレート)を200℃でプレス成形し、膜厚60μmの誘電性柔軟基材膜を得た。
なお、得られたポリマーは、Mn=79200、Mw/Mn=1.06であり、各重合体ブロックの割合は、メチルメタクリレート/b−ポリn−ブチルアクリレート/b−ポリメチルメタクリレート=11.5/77/11.5であった。
(実施例1) 高分子柔軟電極の作製
合成例1で得られたブロック共重合体(X1)の100質量部と、架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンであるパーヘキサ25B−40(日本油脂社製の商品名)の2質量部と、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートであるTAIC M−60(日本化薬社製の商品名)の8質量部と、気相成長炭素繊維VGCF(昭和電工株式会社製;VGCFは登録商標)の30質量部とをシクロヘキサン2000質量部に溶解、分散させて、分散液を作製した。得られた分散液をテトラフルオロエチレン製シャーレ上にキャストして、高分子柔軟電極の前駆体を得た。次いでこの前駆体をポリイミドフィルムで挟み、小型プレス機を用いて200℃で10分間加熱して架橋し、膜厚45〜50μmの高分子柔軟電極を得た。
(実施例2) 高分子柔軟電極の作製
実施例1において、VGCFを50質量部にしたこと以外は実施例1と同様にして、膜厚40〜50μmの高分子柔軟電極を得た。
(実施例3) 高分子柔軟電極の作製
実施例1において、合成例1で得られたブロック共重合体(X1)の100質量部に代えて合成例2で得られたブロック共重合体(X2)の100質量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚40〜50μmの高分子柔軟電極を得た。
(実施例4) 高分子柔軟電極の作製
実施例3において、VGCFを50質量部にしたこと以外は実施例3と同様にして、膜厚50〜55μmの高分子柔軟電極を得た。
(比較例1) 高分子柔軟電極の作製
ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレンであるセプトン2002(株式会社クラレ製の商品名、ポリスチレン含量30質量%)の100質量部と、VGCFの30質量部とをシクロヘキサン2000質量部に溶解、分散させて、分散液を作製した。得られた分散液をテトラフルオロエチレン製シャーレ上にキャストして、高分子柔軟電極の前駆体を得た。次いでこの前駆体をポリイミドフィルムで挟み、小型プレス機を用いて200℃で10分間加熱し、膜厚40〜45μmの高分子柔軟電極を得た。
(比較例2) 高分子柔軟電極の作製
ポリイソプレンであるLIR−30(株式会社クラレ製の商品名)の100質量部と、架橋剤としてパーヘキサ25B−40(日本油脂社製の商品名)の2質量部と、架橋助剤としてTAIC M−60(日本化薬社製の商品名)の8質量部と、VGCF30質量部とをトルエン2000質量部に溶解、分散させて、分散液を作製した。得られた分散液をテトラフルオロエチレン製シャーレにキャストして、高分子柔軟電極の前駆体を得た。得られた前駆体はペースト状であった。次いでこのペースト状前駆体をポリイミドフィルムで挟み、小型プレス機を用いて200℃で10分間加熱し、膜厚35〜50μmの高分子柔軟電極を得た。
(比較例3) 高分子柔軟電極の作製
実施例1において、VGCFに代えてカーボンブラックであるデンカブラック(電気化学社製の商品名)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、膜厚40〜50μmの高分子柔軟電極を得た。
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた高分子柔軟電極について、引張強度と表面抵抗値とを以下のようにして測定した。
(引張試験)
各電極の薄膜を、縦50mm×幅4mmに切り出した。これを引張試験機オートグラフAG−2000B(島津製作所社製)にセットして、引張強度と引張伸度とを求めた。
(表面抵抗値の測定)
各電極の薄膜を、縦30mm×横10mmに切り出した。その両端をそれぞれ、10mm離した延伸機の二つのクランプに固定した。室温、湿度55%の環境下で両クランプを引き離すことにより薄膜を徐々に延伸し、未延伸時、50%延伸時、100%延伸時における表面抵抗値を抵抗率計ロレスタEP(ダイアインスツルメンツ社製)により測定した。
各測定結果を表1にまとめて示す。
Figure 0004948323
表1から明らかなように、実施例の高分子柔軟電極は引張強度、引張伸度ともに優れており、可撓性エレクトロデバイスの電極として用いる際に有効であることが分かる。また平常時及び延伸時における抵抗も低く、電極として高い性能を示す。さらに、実施例1と実施例2、又は実施例3と実施例4との比較から、カーボンナノファイバーの含有量が増加すると電極の表面抵抗値が低下することが分かる。一方、本発明の要素を満たさないブロック共重合体を使用した比較例1及び比較例2の高分子柔軟電極は、引張強度、引張伸度ともに低く、可撓性エレクトロデバイスの高分子柔軟電極としては延伸性が不足している。また、カーボンナノファイバーに代えてカーボンブラックを使用した比較例3の高分子柔軟電極は、抵抗値が大きく、高分子柔軟電極としての性能が劣っている。
次に、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた高分子柔軟電極を用いて、高分子アクチュエータを作製した。
(実施例5) 高分子アクチュエータの作製
合成例3で得られた誘電性柔軟基材膜の中央に、実施例1で作製した分散液を縦0.5cm×横0.75cmの大きさに塗布し、乾燥して高分子柔軟電極の前駆体を形成した。高分子柔軟電極前駆体の膜厚が20μmに達するまで分散液の塗布、乾燥を繰り返し、高分子柔軟電極前駆体と誘電性柔軟基材膜との積層体を作製した。なお、同様の積層体を2枚作製した。
次いで得られた2枚の積層体を、誘電性柔軟基材膜面が互いに向かい合うように重ね合わせ、小型プレス機を用いて200℃で10分間加熱して、積層体同士を貼り合わせると同時に高分子柔軟電極前駆体を架橋し、両面に高分子柔軟電極を備えた高分子アクチュエータを得た。得られた高分子アクチュエータの厚みは90〜110μmであった。
(実施例6) 高分子アクチュエータの作製
実施例5において、実施例1で作製した分散液に代えて実施例3で作製した分散液を使用したこと以外は実施例5と同様にして、両面に高分子柔軟電極を備えた高分子アクチュエータを得た。得られた高分子アクチュエータの厚みは100〜115μmであった。
(比較例4〜6) 比較高分子アクチュエータの作製
実施例5において、実施例1で作製した分散液に代えて比較例1、比較例2及び比較例3で作製した分散液をそれぞれ使用したこと以外は実施例5と同様にして、比較高分子アクチュエータを得た。得られた各比較高分子アクチュエータの厚みは、いずれも85〜120μmであった。
実施例5〜6及び比較例4〜6で得られた各高分子アクチュエータについて、以下のようにして動作試験を行った。
(高分子アクチュエータの動作試験)
図1に示した評価セルを用いて試験を行った。誘電性柔軟基材膜3の両面に夫々高分子柔軟電極2・2を備えた高分子アクチュエータ1を、その高分子柔軟電極2の横の長さが2倍となるよう延伸した。中央に穴が開いた穴開きプラスチック板4に延伸した高分子アクチュエータ1をセットし、テフロン(登録商標)のシール6でその両端を固定した。高分子アクチュエータ両面の高分子柔軟電極2・2の夫々にアルミ箔5・5を接触させ、電源回路を内蔵する絶縁抵抗計7(ムサシインテック社製DI−10)に接続した。絶縁抵抗計7の電源回路から1500Vの直流電圧を印加して、高分子アクチュエータ1の動作の様子を目視で観察した。動作が明らかに確認できた場合は○、動作が確認できなかった場合は×とした。
また、10Hzで100000回の繰り返し動作を行った後の高分子アクチュエータの様子、特に誘電性柔軟基材膜と高分子柔軟電極との接合状態、及び高分子柔軟電極表面の状態を目視で確認し、高分子アクチュエータの耐繰り返し変形性について評価した。試験前後に差がない場合は○、高分子柔軟電極に微小なクラックがある、及び/又は高分子柔軟電極と誘電性柔軟基材膜との間に小さな剥離部が観察される場合は△、高分子柔軟電極にクラックがある、及び/又は高分子柔軟電極と誘電性柔軟基材膜との間に剥離が観察される場合は×とした。
さらに、高分子アクチュエータの電極表面の抵抗を抵抗計にて測定し、高分子アクチュエータの導電性保持率を算出した。導電性保持率は、試験前の抵抗をRb、試験後の抵抗をRaとして下記式のように定義した。
導電性保持率(%)=100×(1/Ra)/(1/Rb)
各測定結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004948323
表2から明らかなように、実施例5及び実施例6の高分子アクチュエータは初期の動作、繰り返し動作後の外観ともに良好であり、優れた耐久性を有していた。また、高分子柔軟電極の導電性保持率にも優れていた。このことから、本発明の高分子柔軟電極は、高分子アクチュエータのようなエレクトロデバイスの電極として適していることが確認できた。
これに対して、本発明の要件を満たさないブロック共重合体を用いた高分子柔軟電極を採用した比較例4及び比較例5の高分子アクチュエータは、導電性保持率が劣っており、繰り返し動作後に高分子柔軟電極と誘電性柔軟基材膜とが剥離してしまい、電極表面にはクラックが多数観察された。また、カーボンナノファイバーを含有していない高分子柔軟電極を採用した比較例6の高分子アクチュエータは、初期動作が確認できず、高分子アクチュエータとしての機能を果たしていなかった。以上のことから、本発明の要件を満たさない高分子柔軟電極は、高分子アクチュエータのようなエレクトロデバイスの電極として適さないことがわかった。
本発明の高分子柔軟電極は、柔軟性、耐久性、導電性、延伸時の導電性に優れているため、エレクトロデバイス、特に高分子アクチュエータのような可撓性エレクトロデバイスの電極として有効に利用することができる。本発明の高分子柔軟電極を採用した高分子アクチュエータは、動作性、耐久性、繰り返し使用時の性能保持性に優れており、例えば人工筋肉として有用である。
高分子アクチュエータの動作確認を行う装置の斜視図である。
1は高分子アクチュエータ、2は高分子柔軟電極、3は誘電性柔軟基材膜、4は穴あきプラスチック板、5はアルミ箔、6はシール、7は電源である。

Claims (5)

  1. ラ−メチルスチレンを含む少なくとも1つの重合体ブロック(A)と、置換基を有していてもよい炭素数4〜8の共役アルカジエン又はそれの炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役アルカジエンを含む少なくとも1つの重合体ブロック(B)とを有し、少なくとも一部が架橋されているブロック共重合体(X)、およびカーボンナノファイバー含む高分子柔軟電極が、誘電性柔軟基材の表面に付されていることを特徴とするエレクトロデバイス
  2. 該高分子柔軟電極に、前記ブロック共重合体(X)の100質量部と、前記カーボンナノファイバーの10〜200質量部とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロデバイス
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の高分子柔軟電極が、誘電性柔軟基材の表面の一部に付されていることを特徴とするエレクトロデバイス。
  4. 前記誘電性柔軟基材が、(メタ)アクリレートを主成分とするブロック共重合体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロデバイス。
  5. 前記エレクトロデバイスが、高分子アクチュエータ、コンデンサ、センサーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロデバイス。
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