JP4946841B2 - 装置の製造方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機層を含んで構成されるライン状の素子を備える装置およびこの装置の製造方法に関する。
ガラス基板等の基板の表面上に有機層を含んで構成されるライン状の有機EL(Electro Luminescence)素子を形成して装置を製造する方法として、前記基板に所定のパターン形状で正孔輸送材料や有機EL材料等を含む塗布液を塗布する方法が知られている。塗布液を塗布する方法としては、ノズルから塗布液を連続的に吐出させるノズル塗布装置を用いる方法がある。
ノズル塗布では、ポンプによって塗布液に所定の圧力を連続的に印加して、ノズルから塗布液を連続的に吐出させつつ、ノズルを基板上でスキャンすることによって、ノズルの移動に沿って基板に塗布液を連続的に塗布している。このようにノズル塗布では、塗布液をノズルから連続的に吐出させつつ塗布するので、塗布液を高速で塗布することができる。しかしながら、ノズル塗布のようにノズルから連続的に塗布液を吐出する場合、塗布液の吐出を開始(オン)したり、停止(オフ)したりするときの応答性が低く、塗布液の吐出のオン/オフを高精度に切り換えることが通常は難しい。したがって、基板上でノズルをスキャンさせている間に、所定の位置で吐出を開始したり、所定の位置で吐出を停止したりする制御が困難であり、意図する領域にのみ選択的に塗布液を塗布することが困難である。そこで、ノズル塗布では、塗布の不要な領域にまで塗布を行った後に、塗布の不要な領域にまで塗布された塗布液を除去して、意図する領域にのみ選択的に塗布液を塗布している。具体的には塗布の開始点に達する前に予め塗布を開始して、塗布液を連続的に塗布し、塗布の終了点を超えてから塗布の停止を行った後、不必要に塗布された塗布液を除去している。
不必要に塗布された塗布液を除去する方法としては、マスキングテープを利用する方法がある。具体的には塗布液を塗布する前に、基板上において塗布の必要のない領域に予めマスキングテープを貼っておき、塗布液を塗布した後にマスキングテープを剥がすことによって、不必要に塗布された塗布液を除去している(例えば特許文献1参照)。また、例えば綿棒等を用いて基板に塗布された塗布液を除去する方法がある。
特開2002−151254号公報
マスキングテープおよび綿棒等を用いて手作業で塗布液を除去する場合、塗布液を除去する工程に多くの時間を要し、量産に不適であるとともに、テープ貼付作業や拭取り作業の精度が製品の特性に影響するので、手作業の熟練が必要であり、さらに作業者の熟練度に応じて製品の特性にばらつきが生じて、製品毎の個体差が生じてしまう。
また手作業に頼らずにマスキングテープを貼る装置および剥がす装置を使用する場合には、これらの装置がさらに必要になるとともに、これらの装置を設置するためのスペースが必要となり、製造コストが増加するという問題がある。さらにマスキングテープを貼る工程、およびマスキングテープを剥がす工程が必要なので、工程数が多くなり、製造コストが増加するという問題がある。
したがって本発明の目的は、簡易な工程で製造することができる装置の製造方法および装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、不必要に塗布された塗布液を除去せずに形成された素子を封止板で封止したとしても、素子の劣化を抑制できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明は、基板と、この基板上に設けられ、有機層を含んで構成されるライン状の素子と、素子を挟んで基板に貼り合わされる封止板とを備える装置の製造方法であって、
封止板が貼り合わされて封止される基板上の封止領域の外に有機層の一部が延伸するように、有機層の材料を含む塗布液をライン状に塗布して、ライン状の有機層を形成する工程を含む素子形成工程と、
前記有機層の一部が封止領域の外へ延伸した状態で、素子を挟んで封止板を基板に貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする装置の製造方法である。
本発明によれば、ライン状の有機層は、封止板が貼り合わされて封止される封止領域の外に一部が延伸して形成される。このライン状の有機層は、一部が封止領域の外に延伸した状態で封止板によって貼り合わされる。従来の技術では、塗布した有機材料の一部を除去することによって、有機層を封止領域内に収まるように形成した後に封止板を貼り合せていたが、本発明では塗布した有機材料を除去する工程を省略して、有機層の一部が封止領域の外に延伸した状態で封止板を貼り合せる。これによって、例えば手作業で有機材料を除去することに起因して発生する素子毎の個体差を無くすことができるとともに、工程数を削減して低コストで素子を作成することができ、さらに有機材料を除去するための装置が不要となるので製造コストの上昇を抑制することができる。
図1は、本発明の実施の一形態の発光装置1を示す平面図である。図2は、図1の切断面線II−IIから見た発光装置1の断面図である。発光装置1は、基板2と、この基板2上に設けられる発光素子3と、この発光素子3を挟んで基板2に貼り合わされる封止板4とを含んで構成される。本実施の形態における発光素子3は、電圧を印加することによって発光する有機EL素子によって実現される。発光素子3からの光は、基板2側および封止板4側のうちの少なくともいずれか一方から取り出される。
本実施の形態における基板2は、長手板状に形成される。発光素子3からの光を基板2側から取り出すいわゆるボトムエミッション型の発光装置1では、基板2は、発生する光の波長に対して透光または半透光である。以下の説明において、基板2の長手方向を第1方向Xといい、基板2の短手方向を第2方向Yといい、基板2の厚み方向を第3方向Zという場合がある。
発光素子3は、基板2の第3方向Zの一表面上において、基板2の第2方向Yの中央部付近において第1方向Xに延伸してライン状に形成される。ライン状とは、有限の断面を有して所定の線に沿って延びる形状であって、直線状に限らずに、曲線状であってもよく、また折れ曲がる部位を有していてもよい。本実施の形態における発光素子3は、陽極(不図示)と、有機層5と、陰極6とを含んで構成され、陽極、有機層5および陰極6がそれぞれ第2方向Yの幅をほぼ同じにして第3方向Zにこの順に積層され、第1方向Xに延伸して直線状に形成される。本実施の形態における有機層5は、陽極に積層される正孔注入層8と、この正孔注入層8に積層される発光層9とによって構成される。
本実施の形態では、陽極、有機層5および陰極6がそれぞれ第1方向Xに延伸してライン状に形成され、少なくとも有機層5は、封止板4によって封止される封止領域11から一部が延伸して設けられる。具体的には、有機層5は、第1方向Xの両端部が封止領域11の外に延伸して設けられる。また有機層5は、ライン状に延びる方向(本実施の形態では第1方向X)および基板の厚み方向(本実施の形態では第3方向Z)にそれぞれ垂直な幅方向(本実施の形態では第2方向Y)の幅が、好ましくは1mm以下に設定される。また封止領域11において、有機層5の延びる向きに沿う有機層5長さ(本実施の形態では封止領域11の第1方向Xの長さに相当する)は、前記幅方向(本実施の形態では第2方向Y)の幅に対して、好ましくは100倍以上に選ばれ、さらに好ましくは、200倍以上に選ばれる。
陽極は、封止領域11から封止領域11外に延伸せずに、第1方向Xの両端がそれぞれ封止領域11外から封止領域11内にわずかに退避して形成される。すなわち陽極は、封止領域11内に収まるように形成され、封止板4によって完全に封止される。
陰極6は、陽極と同様に、封止領域11から封止領域11外に延伸せずに、第1方向Xの両端がそれぞれ封止領域11外から封止領域11内にわずかに退避して形成される。すなわち陽極は、封止領域11内に収まるように形成され、封止板4によって完全に封止される。
封止板4は、第1方向Xに延びる長手板状の略直方体形状であって、発光素子3を挟んで基板2に貼り合わされる。封止板4は、第1方向Xの幅が、発光素子3の第1方向Xの幅よりも短く、第2方向Yの幅が、発光素子3の第2方向Yの幅よりも長く設定される。封止板4は、第3方向Zの一方から見て、発光素子3のうちの第1方向Xの両端部を除く部分が重なるように貼り付けられ、好ましくは、第2方向Yの略中央に発光素子3が重なるように基板2に貼り付けられる。
封止板4は、例えば基板2と封止板4との間に設けられる封止材料12によって貼り付けられる。封止材料12は、例えば封止領域11の周縁部を周回して配置されてもよく、好ましくは、周縁部に加えて封止板4と素子5との間を満たすように、封止領域11内における素子5の全表面を覆って配置され、さらに好ましくは、封止板4と、基板2および素子5との間を充填するように、封止板4の基板2に対向する面の全面に配置される。封止領域11とは、基板2と封止板4とが貼り合わされて封止される領域であり、例えば封止板4の基板2に対向する面の全面に封止材料12が配置される場合には、第3方向Zの一方から見て基板2と封止板4との間で、封止板4に重なる領域が封止領域11に設定され、封止材料12が少なくとも周回するように配置される場合には、封止材料12と、封止板4と、基板2とが囲む領域に設定される。
封止板4は、第2方向Yの幅が幅広になるほど、封止領域11の第2方向Yの端から発光素子3までの距離が長くなり、外気と発光素子3との間に介在する封止材料12の間隔が長くなるので、発光素子3の封止性を増すことができる。したがって封止板4は、好ましくは基板2の垂線方向(第3方向Z)の投影図において、発光素子3に重なる領域の面積が、前記投影図における封止領域11の面積の10%以下になるように設定される。具体的には本実施の形態における封止板4の第2方向Yの幅は、発光素子3の第2方向Yの幅の10倍以上に設定される。また封止板4の第2方向Yの幅を過度に幅広に設定すると、発光装置1が大型化するので、封止板4の第2方向Yの幅の上限は、設計に応じて適宜設定される。本実施の形態では封止板4が長手板状に形成されるとしたけれども、例えば板状の円柱形状および多角柱形状などであってもよく、この場合であっても、第3方向Zの一方から見て発光素子3に重なる領域が、封止領域11の10%以下になるように設定されれば、効果的に発光素子3を封止することができる。
図3は、発光装置1の製造工程を模式的に示す断面図である。図3(1)に示すように、まず基板2を準備する。次に基板2の表面上にITO(インジウム・スズ・オキサイド)等の透明伝導膜をCVD、スパッタ法および真空蒸着法等を用いて堆積する。次に堆積した導電膜に対してフォトリソグラフィおよびエッチングを施してパターニングし、所定の形状の陽極を形成する。なお基板2には、陽極を形成するために例えばポリシリコンおよびアモルファスシリコン等をキャリア層とする薄膜トランジスタを予め形成しておいてもよい。
図3(2)に示すように、陽極を形成した後に、基板2上において陽極に重ねて有機層5を構成する正孔注入層8の材料を含む塗布液をライン状に塗付し、正孔注入層8を形成する。例えば塗布液の塗布は、ノズルコート法によって行われ、基板2の第3方向Zの一方に配置されるノズルから、ポンプによって正孔注入層8の材料を含む有機溶液を所定の圧力に増圧して、塗布液を連続的に吐出させつつ、ノズルを第1方向Xの一方から他方に移動させて、塗布液の吐出を停止させる。塗布液の吐出は、封止領域11外から開始して、封止領域11内に入り、封止領域11を通って再度封止領域11外まで達してから停止する。このように塗布液をライン状に塗付した後に、例えば窒素雰囲気において200℃で30分間焼成することによって、第1方向Xの両端部がそれぞれ封止領域11の外に延伸する正孔注入層8が形成される。
図3(3)に示すように、正孔注入層8を形成した後に、正孔注入層8の第3方向Zの一表面上に重ねて有機層5を構成する発光層9の材料を含む塗布液をライン状に塗布し、発光層9を形成する。例えば基板2の第3方向Zの一方に配置されるノズルから、発光層9の材料を含有する有機溶液を所定の圧力に増圧して、塗布液を連続的に吐出させつつ、ノズルを第1方向Xの一方から他方に移動させて、塗布液の吐出を停止させる。塗布液の吐出は、封止領域11外から開始して、封止領域11内に入り、封止領域11を通って再度封止領域11外まで達してから停止する。このように塗布液をライン状に塗付した後に、例えば減圧下において80℃で1時間乾燥することによって、第1方向Xの両端部がそれぞれ封止領域11の外に延伸する発光層9が形成される。正孔注入層8および発光層9などの有機層5の材料には、低分子系材料および高分子系材料の2つの材料があるが、いずれか一方に特に限定されるものではなく、塗布可能な材料の全てについて適用できる。
図3(4)に示すように、発光層9を形成した後に、発光層9の第3方向Zの一表面上に陰極6を形成する。陰極6の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、または金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。陰極6の形成は、まず例えばエポキシ樹脂をベースとするネガレジストを第3方向Zの一方から塗付し、プリベーク処理を行う。次に所定のパターニングが施されたフォトマスクを基板2の第3方向Zの一方に配置して、このフォトマスクを介して基板2の第3方向Zの一方側からネガレジストの所定の領域に光を照射する露光を行う。次にアルカリ現像液などによって現像し、発光層9の第3方向Zの一表面上に形成されたネガレジストを除去して、発光層9の第3方向Zの一表面を露出させる。次に例えば真空蒸着法を用いて発光層6上に金属膜を堆積させ、ネガレジスト、およびこのネガレジストの第3方向Zの一表面上に堆積した金属膜を除去し、陰極6を形成する。
図3(5)に示すように、陰極6を形成した後に、封止材料12を供給する。封止材料12は、封止板4を基板2に貼り合わせたときに、発光素子3と封止板4との間が封止材料12で満たされるように供給される。本実施の形態では、封止材料12を封止領域11内の全面に選択的に供給する。例えば封止板4の基板4に貼り合せる面の全面に封止材料12を塗布する。
図3(6)に示すように、封止材料12を供給した後に、封止板4を封止領域11に重なるように位置決めして載置し、封止板4を基板2に接着させる。
以下、上記において説明した各部材をさらに詳しく説明する。基板2は、基板2側から光を取り出すいわゆるボトムエミッション型の発光装置1では、透明または半透明である。基板2としては、リジッド基板に限らずに、フレキシブル基板でもよく、電極を形成し、有機物の層を形成する工程において変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板、およびこれらを積層したものなどが用いられる。基板2としては、市販のものが入手可能であり、又は公知の方法により製造することができる。なお封止板4側から光を取り出すトップエミッション型の発光装置2では、基板2は不透光性のものでもよく、例えばステンレス基板または単結晶性半導体基板等を用いてもよい。
陽極としては、透明又は半透明の電極が好適に用いられる。このように透明又は半透明の電極で陽極を構成することによって、光を陽極側から取り出すいわゆるボトムエミッション型の発光装置1を実現することができる。透明または半透明の電極としては、光透過率の高いものが好適に用いられ、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、用いる有機層により適宜、選択して用いられる。具体的には、電極としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)、および金、白金、銀、銅等からなる薄膜が用いられ、ITO、IZO、酸化スズなどによって形成される膜が好適に用いられる。陽極は、例えば真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって形成される。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機物からなる透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、例えばトップエミッション型の場合に光を反射する材料を用いてもよい。該材料としては、仕事関数が3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好適に用いられる。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
正孔注入層8を形成する材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
正孔注入層8の形成方法としては、溶液からの成膜が例示される。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入層8を形成する材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、および酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
高分子バインダーとの混合溶液から正孔注入層8を成膜する場合には、混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。溶液をライン状に塗布する塗布法としては、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法が好適に用いられ、これらの中でも有機材料を高速で塗布することができるノズルコート法が好ましい。
正孔注入層8の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率とが適度な値となるように選択される。正孔注入層8の膜厚としては、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要である。しかしながら、正孔注入層8の膜厚が厚すぎると、発光素子3の駆動電圧が高くなり、また封止領域11の外に延伸する部位で外気が入り込み易くなるので好ましくない。従って、該正孔注入層8の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
発光層9は、有機発光層であることが好ましく、主として蛍光またはりん光を発光する有機物(低分子化合物および高分子化合物)を含んで形成される。発光層9は、電流を流すことで、または電圧を印加することによって発光することが可能な材料を含有する。発光層9は、材料に応じた波長の光を発光し、例えば赤色、青色、緑色、中間色または白色等の光を発光する。発光層9を形成する材料としては、例えば色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料などがある。
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
金属錯体系材料としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体など、中心金属に、Al、Zn、BeなどまたはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体などを挙げることができる。
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることが出来る。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
発光層9中に、発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的でドーパントを添加することができる。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。このような発光層9の層厚としては、通常約2nm〜200nmを例示することができる。
有機物を含む発光層9の成膜方法としては、発光材料を含む溶液からの成膜が例示される。溶液からの成膜に用いる溶媒は、発光層9を形成する材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えば正孔注入層8を形成する材料を溶解させる前述の溶媒と同様の溶媒が挙げられる。また溶液を塗布する方法としては、前述した正孔注入層8を成膜するときの塗布方法と同様の方法が挙げられ、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法が好適に用いられ、これらの中でも有機材料を高速で塗布することができるノズルコート法が好ましい。
溶液を塗布して薄膜を積層する場合には、塗布された溶液に接する層が、塗布された溶液に溶解しないことが好ましい。例えば溶液に接する層を溶かさない種類の溶媒を塗布液の溶媒として選択したり、光架橋または熱架橋によって溶液が接する層を予め不溶化した後に、溶液を塗布したりする方法が挙げられる。
陰極6の材料としては、仕事関数が小さく発光層9への電子注入が容易な材料かつ/もしくは電気伝導度が高い材料かつ/もしくは可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極6に用いられる金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびIII−B族金属を用いることができる。陰極6の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、又は上記金属のうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。また、陰極6として透明導電性電極を用いることができ、例えば、導電性金属酸化物や導電性有機物などを用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるITOおよびIZOなどが用いられ、導電性有機物としては、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機物からなる透明導電膜を用いられる。このような透明導電性電極を陰極6に用いることによって、トップエミッション型の発光装置を実現することができる。なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。また後述する電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極6の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができ、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
封止材料12としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂および接着剤などが挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合には、封止板4を基板2に貼り合わせた後に、所定の温度で加熱することによって、封止板4を基板2に接着させる。また光硬化性樹脂を用いる場合には、封止板4を基板2に貼り合わせた後に、封止板5側から例えば紫外線を照射することによって、封止板4を基板2に接着させる。
封止板4は、水蒸気および酸素等の外気を通しにくい材料によって形成され、リジッド基板に限らずに、フレキシブル基板でもよい。封止板4としては、例えばガラス板、プラスチック板、高分子フィルム、シリコン板、並びに金属フォイルおよびこれらを積層したものなどが用いられる。さらにバリア性を向上させるために、基板2に対向する接着面側に、無機薄膜、または無機薄膜と高分子膜とを積層させた膜が形成されたプラスチック基板または高分子フィルムを封止板4に用いてもよい。封止板4の厚さは、水蒸気および酸素等の外気に対するバリア性を考慮して適宜設定される。
以上説明した本実施の形態の発光装置1によれば、ライン状の有機層5は、封止板4が貼り合わされる封止領域11から一部が延伸して形成される。このライン状の有機層5は、一部が封止領域11の外に延伸した状態で封止板4によって貼り合わされて封止される。従来の技術では、塗布した有機材料の両端部を除去することによって、封止領域内に収まるように有機層を形成した状態で封止板を貼り合せていたが、本実施の形態では、有機層5の一部が封止領域11の外に延伸した状態で封止板4を貼り合せるので、塗布した有機材料を除去する工程を省略することができる。これによって、例えば手作業で有機材料を除去することに起因して発生する素子毎の個体差を無くすことができるとともに、工程数を削減して低コストで素子を作成することができ、さらに有機材料を除去するための装置が不要となるので製造コストの上昇を抑制することができる。
本実施の形態では、有機層5の一部が封止領域11の外に延伸した状態で封止板4を貼り合せるので、従来の技術のように封止領域11内に有機層5が収まる状態で封止板4を貼り合せる場合に比べると、接着性が低下するおそれがある。しかしながら本実施の形態では有機層5を1本しか設けないので、従来の技術のように多数の有機EL素子を配置する場合に比べて、封止板4と有機層5との重なる領域が小さくなるので、接着性の低下を抑制することができ、接着性の低下によって封止性が低下することを抑制することができる。また有機層5は、一端部と他端部との2つの部位が外気に触れるので、有機層5が封止板4で完全に覆われる場合と比べると、外気に触れる部位から発光素子3が劣化するおそれがある。しかしながら従来の技術では多数の有機EL素子を配置するので、有機層5が封止領域11の外に延伸していれば、外気に触れる部位が増大して、有機EL素子の劣化が激しくなるが、本実施の形態では有機層5を1本しか設けないので、外気に触れる部位が少なく、封止板4で有機層5を完全に覆わなくとも、外気が入り込むことに起因する発光素子3の劣化を抑制することができる。また本実施の形態の有機層5は、封止領域11において、有機層5の延びる向きに沿う向きの有機層5長さ(本実施の形態では封止領域11の第1方向Xの長さに相当する)は、有機層5の幅方向の幅に対して、好ましくは100倍以上に選ばれ、さらに好ましくは、200倍以上に選ばれる。このように封止領域11において、有機層5の延びる方向の長さが幅に対して長いので、外気に触れる領域を封止領域内の有機層5に対して相対的に小さく抑えることができ、外気の影響を小さくすることができる。このように本実施の形態では塗布した有機材料を除去する工程を省略するにも拘わらず、接着性の低下を抑えるとともに、発光素子3の劣化を抑制することができる。
また本実施の形態の発光装置1によれば、発光素子3と封止板4との間が封止材料12で充填されて封止板4が貼り合わされるので、発光素子3と封止板4との間に隙間が生じない。例えば封止領域11の周縁部のみに封止材料12を供給して封止板4を貼り合せた場合には、封止材料12の厚みによって、封止板4と発光素子3との間に隙間が生じ、この隙間に外気が入って発光素子3が劣化するおそれがあるが、本実施形態では発光素子3と封止板4との間が封止材料12で充填されるので、外気によって発光素子3が劣化することを抑制できる。
また本実施の形態の発光装置1によれば、有機層5の第2方向Yの幅が1mm以下に設定される。有機層5は、封止領域11の外に一部が延伸した状態で封止されるので、有機層5の延伸した部分に外気の接する領域が存在し、この外気と接する部分から外気が入り込み易くなるが、有機層5の幅方向の幅を1mm以下にして外気に接する領域を小さく設定することによって、封止領域11内に外気が入り込むことを抑制し、外気によって発光素子3が劣化することを抑制できる。
また本実施の形態の発光装置1によれば、封止領域11のうちの有機層5に封止板4が重なる領域を除く領域が、90%以上に設定される。仮に有機層5に封止板が重なる領域が封止領域11の10%を越えて設定される場合には、封止領域11のうちで有機層5を囲む領域が狭くなり、有機層5と外気と間に介在する封止材料12の間隔が小さくなるので、外気が封止材料12を通って発光素子3にまで達して発光素子3が劣化するおそれがあるが、本実施の形態では有機層5と外気と間に介在する封止材料12の間隔を広く設定することで、有機層5を外気から隔離し、発光素子3に外気が達することを抑制して、発光素子3の劣化を抑制している。
また本実施の形態の発光装置1によれば、有機層5を封止領域11の外に延伸して形成すればいいので、有機材料の吐出の開始位置と、停止位置とを高精度に合わせる必要がなく、例えばノズルコート法に用いられるような吐出の開始と停止との切り替えの応答性の悪い装置を用いたとしても、本実施の形態の発光装置1を容易に製造することができる。
図4は、本発明の他の実施の形態の発光装置21を示す平面図であり、図5は、図4の切断面線V−Vから見た発光装置21の断面図である。本実施の形態の発光装置21は、前述の実施の形態の発光装置1に、絶縁層22をさらに加えた構成を有する。本実施の形態の発光装置21は、前述の実施の形態の発光装置1とほぼ同様の構成であり、対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
絶縁層22は、電気絶縁性を有し、陽極と有機層5との間に設けられる。絶縁層22は、有機層5よりも第1方向Xおよび第2方向Yの幅が幅広に形成され、第3方向Zの一方から見て、第1方向Xおよび第2方向Yの中央部に有機層5が積層されて配置される。また絶縁層22には、第3方向Zに貫通する複数の貫通孔23が形成される。この貫通孔23は、有機層5が積層される領域において、第1方向Xに所定の間隔をあけて配置される。有機層5は、塗布法によって形成されるので、貫通孔23には、有機層5の一部が充填され、貫通孔23が形成される部位では、有機層4と陽極とが接続される。したがって、この貫通孔23が形成される領域においてのみ、陽極と陰極6との間が導通し、電流を流したときに発光層9に発光が生じる。
絶縁層22は、例えばSiO2、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等を例えばCVD法およびスパッタ法等によって堆積させて形成することができる。
本実施の形態の発光装置21によれば、有機層5と陽極との間に絶縁層22を設けるので、絶縁層22に貫通孔23が形成されていない部位では、発光素子3に電圧を印加したとしても電流が流れないので、発光しない。このように貫通孔23が形成される絶縁層23を設けることによって、貫通孔23の形成された部位を選択的に発光させることができる。
また第1方向Xの両端部に配置される貫通孔23は、封止領域11と封止領域11外との境界から、封止領域11内に所定の間隔を開けて退避して配置される。すなわち封止領域11の第1方向Xの両端部付近には絶縁層22が形成されるので、封止領域11と封止領域11外との境界付近では、発光素子3は発光しない。封止領域11と封止領域11外との境界付近は、外気によって発光素子3が劣化するおそれがあるが、この境界付近を予め発光しないように設定することによって、仮に発光素子3の境界付近が劣化したとしても、発光装置21からの光の強度分布を初期の状態に維持することができ、発光装置21としての性能の劣化を抑制することができる。
図6は、本実施の形態のさらに他の実施の形態の発光装置31を示す断面図である。本実施の形態の発光装置31の平面図は、図4に示す発光装置21と同じであり、図6は、図4において切断面線V−Vから見た発光装置31の断面図である。本実施の形態の発光装置31は、図4に示す前述の実施の形態の発光装置21とは、絶縁層32の設けられる位置が異なる。本実施の形態の発光装置31は、前述の各実施の形態の発光装置1,21とほぼ同じ構成なので、対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
絶縁層32は、有機層5と陰極6との間に設けられる。絶縁層32は、有機層5よりも第1方向Xおよび第2方向Yの幅が幅広に形成され、有機層5の第3方向Zの一方側から有機層5の全体を覆って積層される。また絶縁層32には、第3方向Zに貫通する複数の貫通孔33が形成される。この貫通孔33は、有機層5に積層される領域において、第1方向Xに所定の間隔をあけて配置される。この貫通孔33には、陰極6の一部が充填されるので、貫通孔33が形成される部位では、有機層4と陰極6とが接続される。したがって、この貫通孔23が形成される領域においてのみ、陽極と陰極6との間が導通し、電流を流したときに発光層9に発光が生じる。
絶縁層32は、例えばSiO2等を、例えばCVD法およびスパッタ法等によって堆積させて形成することができる。
本実施の形態の発光装置31によれば、有機層5と陰極6との間に絶縁層32を設けるので、絶縁層32に貫通孔33が形成されていない部位では、発光素子3に電圧を印加したとしても電流が流れないので、発光しない。このように貫通孔33が形成される絶縁層32を設けることによって、貫通孔33の形成された部位を選択的に発光することができる。
また第1方向Xの両端部に配置される貫通孔33は、封止領域11と封止領域11外との境界から、封止領域11内に所定の間隔を開けて退避して配置される。したがって前述の実施の形態の発光装置21と同様に、発光装置21からの発光の光強度の分布を初期の状態に維持することができ、発光装置31としての性能の劣化を抑制することができる。
前述の各実施の形態の発光装置1,21,31では、一本の発光素子3が形成されるとしたけれども、複数本の発光素子3が形成されてもよい。例えば、第2方向Yに予め定める間隔を開けて発光素子3を複数本配列してもよい。従来の技術のように多数の発光素子3を配置すると、前述した封止性の低下および接着性の低下の問題が生じやすくなるが、配置する発光素子3の本数が少なければ塗布した有機材料を除去する工程を省略したとしても、封止性の低下および接着性の低下を抑制することができる。配置する発光素子3の本数は、好ましくは10本以下に設定され、さらに好ましくは5本以下に設定され、最も好ましくは1本に設定される。また特に各有機層5の第2方向Yの幅が1mm以下であり、また第3方向Zの一方から見て各発光素子3に重なる領域の合計が、封止領域11の10%以下になるように設定される発光装置であれば、複数の発光素子3を配置したとしても、塗布した有機材料を除去する工程を省略しても封止性の低下および接着性の低下を抑制することができ、低コストで発光装置を製造することができる。
このように複数の発光素子3を設けることによって、例えば1または複数の発光素子3を予備の発光素子3として利用することができる。例えば、使用している発光素子3が劣化して輝度が低くなったとしても、予備の発光素子3を代わりに利用することができ、発光装置全体としての長寿命化を図ることができる。
また前述の各実施の形態の発光装置1,21,31では、有機層5の第1方向Xの両端部が封止領域11の外に延伸するとしたけれども、前記両端部のうちのいずれか一方が封止領域11の外に延伸するようにしてもよい。この場合、有機層5を形成するための有機材料の塗布を、封止領域11外から開始して、封止領域11内において停止するか、または封止領域11内から塗布を開始して、封止領域11外で停止すればよく、有機材料を除去する工程を新たに追加する必要はない。
また前述の各実施の形態の発光装置1,21,31では、1つの基板2に対して1つの発光装置1,21,31を製造する方法について説明したが、1つの基板に複数の発光装置を設けて、基板を分割することによって複数の発光装置を製造するようにしてもよい。この場合、例えば基板を格子状に仮想的に区分けして、各発光装置をそれぞれ形成する形成領域を設定し、各形成領域毎にそれぞれ陽極を形成する。次に有機材料を第1方向Xに延びる直線状に塗布して有機層を形成する。有機材料の塗布は、各形成領域毎に個別に行わなくてもよく、例えば一筆書きで有機材料を塗布して、全ての形成領域を横断または縦断するように有機材料をライン状に塗布してもよい。例えば、(1)基板の第1方向Xの一端部から他端部まで有機材料を塗布する工程、(2)第2方向Yの一方に隣接する行まで有機材料を塗布する工程、(3)第1方向Xの他端部から一端部まで有機材料を塗布する工程、(4)第2方向Yの一方に隣接する行まで有機材料を塗布する工程、の(1)〜(4)の一連の工程を繰り返すことによって、各形成領域の第2方向Yの中央部を、第1方向Xの一端から他端にわたって直線状に延びる有機層がそれぞれ形成される。このように有機材料をひとつらなりに塗布するので、有機材料の吐出と、吐出の停止との制御を逐次行う必要がなくなり、有機材料の塗布を短時間で行うことができる。有機層を形成すると、各形成領域にそれぞれ封止板を貼り付け、基板を各形成領域毎にそれぞれ分割することによって、複数の発光装置を製造することができる。
前述の各実施の形態の発光装置1,21,31における有機層5は、正孔注入層8と発光層9との2層によって構成されるとしたけれども、有機層5は、発光層9だけの1層によって構成されてもよい。また有機層5は、少なくとも発光層9を備えていればよく、正孔注入層8とは異なる1または複数の層を有していてもよく、また正孔注入層8に加えて1または複数の層を有していてもよい。以下に、有機層5に適用することができる層構成の一例を示す。また陽極と発光層9との間、及び/又は発光層9と陰極6との間、並びに有機層5に無機材料からなる無機層が挿入されてもよい。
陰極と発光層との間に設けうる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。電子注入層及び電子輸送層の両方が設けられる場合、陰極に近い層が電子注入層となり、発光層に近い層が電子輸送層となる。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層であり、電子輸送層は、陰極、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。また、電子注入層、若しくは電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。電子注入層、若しくは電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、ホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
陽極と発光層との間に設けるものとしては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等があげられる。正孔注入層及び正孔輸送層の両方が設けられる場合、陽極に近い層が正孔注入層となり、発光層に近い層が正孔輸送層となる。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、陽極、正孔注入層又は陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。また、正孔注入層、又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。正孔注入層、又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
本実施の形態の発光素子では、1層の発光層が設けられるとしたが、発光層の層数は1層に限らずに、2層以上であってもよい。
なお、電子注入層及び正孔注入層を総称して電荷注入層と呼ぶことがあり、電子輸送層及び正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶことがある。
さらに具体的には、本発明の発光素子は、下記の層構成のいずれかを有することができる:
a)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
b)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
c)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
e)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
f)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
i)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
k)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
l)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
n)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
o)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
さらに、本発明の発光素子は、2層以上の発光層を有していてもよい。2層の発光層を有する有機EL素子としては、具体的には、
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/電極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
の層構成を有するものが挙げられる。
また、3層以上の発光層を有する発光素子としては、具体的には、電極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層を一つの繰り返し単位として、
q)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/該繰り返し単位/該繰り返し単位・・・/陰極
と、2層以上の該繰り返し単位を含む層構成を有するものが挙げられる。
上記層構成pおよびqにおいて、陽極、電極、陰極、発光層以外の各層は必要に応じて削除することができる。また電極とは電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。例えば、酸化バナジウム、ITO、および酸化モリブデンなどが挙げられる。
発光素子は、発光層からの光を放出するために、通常、発光層に対して陽極側および陰極側のいずれか一方側の層を全て透明なものとする。具体的には例えば、基板/陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極/封止板という構成を有する発光装置の場合、基板、陽極、電荷注入層及び正孔輸送層の全てを透明なものとし、いわゆるボトムエミッション型の発光装置とするか、又は電子輸送層、電荷注入層、陰極及び封止板の全てを透明なものとし、いわゆるトップエミッション型の発光装置とすることができる。また、基板/陰極/電荷注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/電荷注入層/陽極/封止板という構成を有する発光素子の場合、基板、陰極、電荷注入層および電子輸送層の全てを透明なものとし、いわゆるボトムエミッション型の素子とするか、又は正孔輸送層、電荷注入層、陰極および封止板の全てを透明なものとし、いわゆるトップエミッション型の素子とすることができる。ここで透明とは、発光層から光を放出する層までの可視光透過率が40%以上のものが好ましい。紫外領域又は赤外領域の発光が求められる素子の場合は、当該領域において40%以上の透過率を有するものが好ましい。
本実施の形態の発光素子3は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
正孔輸送層を構成する材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体がさらに好ましい。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
溶液からの成膜方法としては、前述した発光層9の成膜方法と同様の塗布法を用いることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要である。しかしながら、膜厚が厚すぎると、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
電子輸送層としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。これらのうち、電子輸送層としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、溶液からの成膜が挙げられ、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法が挙げられる。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要である。しかしながら膜厚が厚すぎると、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
電子注入層は、電子輸送層と陰極との間、または発光層と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光層の種類に応じて、アルカリ金属やアルカリ土類金属、あるいは前記金属を1種類以上含む合金、あるいは前記金属の酸化物、ハロゲン化物および炭酸化物、あるいは前記物質の混合物などが挙げられる。アルカリ金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。電子注入層は、2層以上を積層したものであってもよい。具体的には、LiFからなる層とCaからなる層とを積層した層構成が挙げられる。電子注入層は、蒸着法、スパッタ法、印刷法等により形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
前述の各実施の形態の発光装置1,21,31では、有機層5に発光層9を設けることによって発光素子5を構成しているが、有機層5の層構成を変えることによって、発光素子3に変えて光電変換素子を構成し、光電変換装置を実現してもよい。この光電変換装置は、例えば太陽電池および光検出センサ等に用いられる。本実施の形態の光電変換装置は、前述の光電変換素子の構成が異なるのみなので、光電変換素子についてのみ説明し、重複する説明を省略する。
本実施の形態の光電変換素子は、ショットキー型、pn接合型またはpin型などの光電変換素子によって実現される。ショットキー型の光電変換素子では、有機層5が例えばp型半導体層によって構成される。pn接合型の光電変換素子では、有機層5がp型半導体層とn型半導体層とが積層されることによって構成される。またpin型の光電変換素子では、有機層5が、n型半導体とp型半導体とを混合した混合層を、n型半導体層とp型半導体層とで挟んで構成される。p型半導体層の材料としては、例えばポリシランおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアセチレンなどが挙げられ、n型半導体層の材料としては、例えばポリフルオレンおよびその誘導体、フラーレン誘導体などが挙げられる。n型半導体層およびp型半導体層は、それぞれ前述した有機層5を形成する方法と同様にして形成することができる。
実施例として、発光素子の両端部が封止領域から延伸して設けられる発光装置を作製した。
200mm×200mmのガラス基板にスパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、フォトレジスト(東京応化製OFPR13)を回転数1000rpmでスピンコートした。その後、所望のパターンが形成されているフォトマスクを介してフォトレジストに露光光を照射し(大日本スクリーン製 露光機MA−1200)、現像することで、所望のパターンのレジストを得た。得られたレジストパターンを介してITO用のエッチング液(佐々木化学薬品製 IS−3)を用いてITOをエッチングすることで、所望の形状にパターニングされたITOから成る陽極を形成した。
前記陽極が形成されたガラス基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer社製、BaytronP AI4083)の懸濁液を0.2μm径のメンブランフィルターで濾過して得られた溶液を、ノズルプリンター(大日本スクリーン社製 NP-300G)を用いてライン状に塗布し、厚みが約60nmの300μm×200mmの膜を得た。得られた膜をホットプレート上で200℃、10分間乾燥し、正孔注入層を形成した。
次に、高分子発光材料(サメイション製RP158)のキシレン溶液(1重量%)を、ノズルプリンター(大日本スクリーン社製 NP-300G)を用いて正孔注入層上にライン状に塗布し、厚さが約80nmの300μm×200mmの膜を得た。得られた膜を減圧下80℃で1時間乾燥し、発光層を形成した。
次に、バリウムを発光層上にマスク蒸着して、厚さが約5nmで100μm×200mmのライン状の薄膜を形成し、次いでアルミニウムをバリウムの薄膜上にマスク蒸着して、厚さが約100nmで100μm×160mmのライン状の薄膜を形成して、陰極を形成した。
陰極成膜後、あらかじめUVオゾン洗浄を10分行った封止用ガラス基板上に封止材(ナガセケムテックッス社製 XNR5516Z)を、ストライプ状ディスペンサーを用いて3mm×180mmのライン状に塗布した。次に封止用ガラス基板が陰極と重なるように位置を合わせて、発光素子の両端部が延伸するように減圧下(−25KPa)において封止板を張り合わせた。その後、大気圧に戻し、UV光を照射して封止材を硬化し、発光装置を得た。
比較例として、発光素子が封止領域から延伸せずに、封止領域内に収まる構成の発光装置を作成した。
実施例と同様にして、200mm×200mmのガラス基板にスパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、フォトレジスト(東京応化製OFPR13)を回転数1000rpmでスピンコートした。その後、所望のパターンが形成されているフォトマスクを介してフォトレジストに露光光を照射し(大日本スクリーン製 露光機MA−1200)、現像することで、所望のパターンのレジストを得た。得られたレジストパターンを介してITO用のエッチング液(佐々木化学薬品製 IS−3)を用いてITOをエッチングすることで、所望の形状にパターニングされたITOから成る陽極を形成した。
前記陽極が形成されたガラス基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer社製、BaytronP AI4083)の懸濁液を0.2μm径のメンブランフィルターで濾過して得られた溶液を、ノズルプリンター(大日本スクリーン社製 NP-300G)を用いてライン状に塗布し、厚みが約60nmの300μm×200mmの膜を得た。次に、水に浸した布を用いて、塗布した膜の両端部をそれぞれ20mmずつ拭き取り、厚みが約60nmの300μm×160mmの膜を得た。得られた膜をホットプレート上で200℃、10分間乾燥し、正孔注入層を形成した。
次に、高分子発光材料(サメイション製RP158)のキシレン溶液(1重量%)を、ノズルプリンター(大日本スクリーン社製 NP-300G)を用いて正孔注入層上にライン状に塗布し、厚さが約80nmの300μm×200mmの膜を得た。次に、キシレンを浸した布を用いて、塗布した膜の両端部をそれぞれ20mmずつ拭き取り、厚みが約60nmの300μm×160mmの膜を得た。得られた膜を減圧下80℃で1時間乾燥し、発光層を形成した。
次に、バリウムを発光層上にマスク蒸着して、厚さが約5nmで100μm×160mmのライン状の薄膜を形成し、次いでアルミニウムをバリウムの薄膜上にマスク蒸着して、厚さが約100nmで100μm×160mmのライン状の薄膜を形成して、陰極を形成した。
陰極成膜後、あらかじめUVオゾン洗浄を10分行った封止用ガラス基板上に封止材(ナガセケムテックッス社製 XNR5516Z)を、ストライプ状ディスペンサーを用いて3mm×180mmのライン状に塗布した。次に封止用ガラス基板が陰極と重なるように位置を合わせて、発光素子の全体を覆うように、すなわち封止用ガラス基板から発光素子の両端部がはみ出さないように減圧下(−25KPa)において封止板を張り合わせた。その後、大気圧に戻し、UV光を照射して封止材を硬化し、比較例の発光装置を得た。
このようにして得られた実施例の発光装置と、比較例の発光装置とにそれぞれ7Vの電圧を印加して1日間連続発光させたときの各発光装置の光強度を目視で観測した。電圧の印加を開始した時点での実施例の発光装置と、比較例の発光装置との光強度は、目視の範囲で差異がなかった。また1日間電圧を印加し続けた後の実施例の発光装置と、比較例の発光装置との光強度は、目視の範囲で差異がなく、また光強度の低下もなかった。このように拭き取り工程を省略したことによって、発光素子の両端部が封止板から延伸する本実施例の発光装置であっても、拭き取り工程を行って発光素子全体が封止板で覆われる比較例の発光装置と同じ程度に発光素子の劣化を抑制できることを確認した。
本発明の実施の一形態の発光装置1を示す平面図である。 図1の切断面線II−IIから見た発光装置1の断面図である。 発光装置1の製造工程を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施の形態の発光装置21を示す平面図である。 図4の切断面線V−Vから見た発光装置21の断面図である。 本実施の形態のさらに他の実施の形態の発光装置31を示す断面図である。
符号の説明
1,21,31 発光装置
2 基板
3 発光素子
4 封止板
5 有機層
6 陰極
8 正孔注入層
9 発光層
11 封止領域
12 封止材料
22,32 絶縁層
23,33 貫通孔

Claims (11)

  1. 基板と、この基板上に設けられるライン状の素子と、前記素子を挟んで基板に貼り合わされる封止板とを備える装置の製造方法であって、
    前記素子は、陽極と、陰極と、前記陽極および陰極間に設けられる有機層とを含んで構成される、発光素子または光電変換素子であり、
    封止板が貼り合わされて封止される基板上の封止領域の外に前記有機層の一部が延伸するように、有機層の材料を含む塗布液をライン状に塗布して、ライン状の有機層を形成する工程を含む素子形成工程と、
    前記有機層の一部が封止領域の外へ延伸した状態で、素子を挟んで封止板を基板に貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする装置の製造方法。
  2. 前記封止板は、封止材料を介して基板に貼り合わされ、
    前記封止板を基板に貼り合わせる工程では、封止板を貼り合わせたときに、素子と封止板との間が封止材料で満たされるように、封止材料を供給して、封止板を貼り合わせることを特徴とする請求項1記載の装置の製造方法。
  3. 基板の垂線方向の投影図において、前記有機層に封止板が重なる領域の面積が、前記投影図における封止領域の面積の10%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の装置の製造方法。
  4. 前記有機層は、ライン状に延伸する方向および基板の厚み方向にそれぞれ垂直な幅方向の幅が、1mm以下に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置の製造方法。
  5. 前記素子は、発光素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の装置の製造方法。
  6. 前記素子は、光電変換素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の装置の製造方法。
  7. 基板と、
    前記基板上に設けられるライン状の素子と、
    素子を挟んで基板に貼り合わされ、前記素子を封止する封止板とを含み、
    前記素子は、陽極と、陰極と、前記陽極および陰極間に設けられる有機層とを含んで構成される、発光素子または光電変換素子であり、
    前記有機層は、ライン状に形成され、封止板によって封止される封止領域の外に一部が延伸して設けられることを特徴とする装置。
  8. 前記封止板は、封止材料を介して基板に貼り合わされ、
    前記封止材料は、素子と、封止板との間の全領域に充填されることを特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 基板の垂線方向の投影図において、前記有機層に封止板が重なる領域の面積が、前記投影図における封止領域の面積の10%以下であることを特徴とする請求項8記載の装置。
  10. 前記素子は、発光素子であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の装置。
  11. 前記素子は、光電変換素子であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の装置。
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