以下、本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
図5において、1は掃除機本体であり、この掃除機本体1は、この掃除機本体1は被掃除面としての床面を走行可能な、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。
そして、この掃除機本体1は、上側が開放された下ケース2と、この下ケース2の後部上側を覆う上ケース3と、下ケース2の前部上側を開閉可能な蓋体4とを有する本体ケース5を有している。この本体ケース5には、下ケース2と上ケース3との間に送風室6が区画されているとともに、下ケース2と蓋体4との間に集塵室7が区画され、これら送風室6と集塵室7との間には、これらを区画する隔壁8が設けられている。
送風室6には、図1に示すように、下ケース2と上ケース3とがシールパッキン9を介して気密に接続されて隔壁8との間に区画された空間部であり、略円筒状の電動送風部11が、軸方向が前後方向に沿う状態となるように収容されている。また、この送風室6は、下ケース2の後部に穿設された排気孔12を介して本体ケース5の外部と連通している。さらに、この送風室6の側方には、電動送風部11へと外部からの電源を供給可能な図示しない電源コードを巻回した図示しないコードリールが収容されるコードリール室が区画されている。
一方、集塵室7には、集塵体としての集塵袋である図示しない紙パックが着脱可能である。また、この集塵室7の前部には、本体吸込口15が下ケース2に穿設されている。そして、この本体吸込口15には、ホース体16が着脱可能に設けられ、このホース体16の先端部に、手元操作部17が設けられている。また、この手元操作部17には、作業者が把持する把持部18が突設されているとともに、この把持部18に、作業者により電動送風部11の動作モードなどを設定する設定ボタン19が複数設けられている。さらに、手元操作部17の先端部には、延長管21と吸込口体としての床ブラシ22とが順次連通接続される。
隔壁8には、送風室6と集塵室7とを連通する丸孔状の大径の連通孔25が穿設されており、この連通孔25の後部には、電動送風部11が気密に接続されている。また、この連通孔25の前部である集塵室7側には、図示しないフィルタが配置されている。
そして、電動送風部11は、図1ないし図4に示すように、重量物であるファンモータすなわち電動送風機27と、この電動送風機27をカプセル状に覆って保持する比較的軽量の保持部材としての略円筒状のモータカバー28とを備え、付勢手段としての付勢手段29,30により下側から付勢され、弾性部材である支持弾性体31により上側から支持されている。
電動送風機27は、ケース体としての有底円筒状のモータフレーム32と、このモータフレーム32の開口側である前側に嵌着される略円筒状のファンカバー33とを有し、モータカバー28と軸方向を合わせてこのモータカバー28内に保持されている。そして、この電動送風機27の周囲には、付勢手段支持部材としてのばね受けリングである内周側ばね支持体34および外周側ばね支持体35が取り付けられ、これらばね支持体34,35間に、複数の送風部付勢手段としてのコイルばね36が保持されて、電動送風機27がモータカバー28側に対して弾性支持されている。
モータフレーム32の前端部には、径方向へとフランジ状に折り返して拡径され図示しないブリッジ部が径方向に沿って固定される折り返し部32aが形成されている。さらに、モータフレーム32の内部には、ブリッジ部との間に、電動機Mが収容されているとともに、ブリッジ部の前部に静翼としての整流体である図示しないディフューザが取り付けられている。また、ブリッジ部の中央部に挿通された電動機Mの回転軸Maの下端部には、ファンカバー33により覆われる動翼すなわちファンである遠心ファンFが接続されている。
また、モータフレーム32の後側寄りの周面には、複数の四角形状の排気口37が周方向に互いに略等間隔に離間されて穿設されているとともに、これら排気口37の間の位置に穿設された図示しない取付孔に、電動機Mの整流子に電気的に接続される図示しないブラシ機構部がそれぞれ取り付けられる。
また、ファンカバー33の中心部には、連通孔25の下流側に連通する吸気口39が穿設されている。
そして、電動送風機27は、電動機Mにより回転された遠心ファンFにより、吸気口39から空気を吸い込み、この吸い込んだ空気をディフューザなどにより整流しつつモータフレーム32の内部から排気口37を介してモータフレーム32の外部へと排気することにより、ダクト26、集塵室7、ホース体16(図5)、延長管21(図5)および床ブラシ22(図5)などへと負圧を作用させるものである。
内周側ばね支持体34は、例えば合成樹脂、あるいは金属などにより円環状に形成され、モータフレーム32の周囲に密着して電動送風機27を保持している。また、この内周側ばね支持体34は、電動送風機27と軸方向を合わせてモータフレーム32に取り付けられ、前後方向(軸方向)の中心域が電動送風機27の側面視の重心(電動送風部11の重心)Gに対応する位置である、モータフレーム32の前端寄りでかつ折り返し部32aの後方に位置している。換言すれば、内周側ばね支持体34の中心軸は、重心Gを通っている。さらに、内周側ばね支持体34の外周側には、各コイルばね36の一端部を保持する弾性体保持部としてのばね保持部41が、複数、例えば3箇所に形成されている。
これらばね保持部41は、それぞれコイルばね36の一端を内周側に嵌着する円筒状の保持円筒部41aと、この保持円筒部41aの内部にて径方向に突出しコイルばね36に挿入されてこのコイルばね36を保持する突出保持部41bとを備え、内周側ばね支持体34の周方向に互いに略等角度、すなわち本実施の形態では互いに120°ずつに離間されている。
一方、外周側ばね支持体35は、例えば合成樹脂、あるいは金属などにより内周側ばね支持体34よりも径大の円環状に形成され、内周側ばね支持体34と同心状に配置されてモータカバー28側に位置している。したがって、この外周側ばね支持体35も、前後方向(軸方向)の中心域が重心Gに対応する位置であり、中心軸が重心Gを通っている。また、外周側ばね支持体35の内周側には、内周側ばね支持体34の各ばね保持部41に対応して、各コイルばね36の他端部を保持する弾性体保持部としてのばね保持部43がそれぞれ形成されている。
ばね保持部43は、それぞれコイルばね36の一端を内周側に嵌着する円筒状の保持円筒部43aと、この保持円筒部43aの内部にて径方向に突出しコイルばね36に挿入されてこのコイルばね36を保持する突出保持部43bとを備えている。
したがって、コイルばね36は、ばね支持体34,35間で電動送風機27に対して放射状に取り付けられ、互いに略等角度に離間されている。すなわち、各コイルばね36は、電動送風機27側である一端部が、この電動送風機27の重心Gの方向に向けて内周側ばね支持体34の各ばね保持部41に保持され、他端部が外周側ばね支持体35の各ばね保持部43に保持されている。そして、これらコイルばね36は、電動送風機27の回転振動を減衰するためのものである。
なお、電動送風機27の質量m1に対して、各コイルばね36のつりあいを考慮すると、上側のコイルばね36aの荷重をFa、下側両側のコイルばね36b,36bの荷重をFbとしたとき、Fa+m1=2・Fb・cos60°=Fbを満たす。このため、コイルばね36のばね定数k〔N/mm〕を考慮し、その荷重長を調整することにより、コイルばね36aとコイルばね36b,36bとで同じ種類のばねを使用することが好ましい。具体的に、k=5〔N/mm〕、Fa=m1=10〔N〕である場合、Fb=20〔N〕となり、コイルばね36bはコイルばね36aよりも2mm短く設定することで、同種類のばねを用いることが可能になる。
一方、モータカバー28は、略円筒状の第1モータカバーとしての前部モータカバー45と、この前部モータカバー45の後部に接続される略円筒状の第2モータカバーとしての後部モータカバー46とを有している。すなわち、モータカバー28は、電動送風部11の軸方向(スラスト方向)に組み立ておよび分解可能に形成されている。そして、モータカバー28は、内部に電動送風機27を同軸状に収容している。
前部モータカバー45は、例えば合成樹脂などにより形成され、前側の蓋部となる略円板状の前板51と、この前板51の外周縁部から後方へと延出する前部周壁52とを備え、前板51の略中央部に、本体ケース5の連通孔25と電動送風機27の吸気口39とを連通する連通開口である丸孔状の前部連通開口53が開口形成されている。したがって、前部モータカバー45は後端が開口されている。
前部周壁52の下部には、付勢手段29によって支持される例えば一対の被支持部55(一方のみ図示)が形成されている。この被支持部55は、付勢手段29が下方から嵌合する部分であり、電動送風部11の軸方向に沿う略垂直な平面による断面視で円弧状、本実施の形態では球面凹状に形成され、下方に開口しているとともに、前板51へと水平状に前方に連続する前部連続部56により前方にも開口している。
前部連通開口53には、本体ケース5の集塵室7に連通する連通孔25と電動送風部11の負圧側である電動送風機27の吸気口39とを気密に接続するシール部材としてのパッキンである略円筒状のシールリング61が取り付けられている。このシールリング61は、例えばゴムあるいはエラストマなどの弾性を有する部材により形成され、軸方向を前後に沿って有する略円筒状のシール部材本体であるシールリング本体63と、このシールリング本体63の軸方向の前端部から前方へと拡径状に形成された略円筒状の接触部であるリップ部64とを有している。
シールリング本体63は、前部連通開口53の内周縁部と嵌合する溝部63aが外周側に形成され、前部モータカバー45が周方向に摺動自在となっている。すなわち、シールリング本体63は、溝部63aに前部連通開口53の内周縁部が嵌合することで前部モータカバー45に取り付けられており、この前部モータカバー45に対して周方向には固定されていない。
また、リップ部64は、シールリング本体63よりも薄肉状に形成され、隔壁8の送風室6側である後面と接触する外周縁部が、平坦な接触面64aとなっているとともに、この接触面64aに連続し前側(上流側)から後側(下流側)へと縮径されるように傾斜した整流面64bが形成されている。そして、このリップ部64は、電動送風部11の軸方向への振動により軸方向に弾性変形することで、この振動を、隔壁8を介して本体ケース5へと伝達しないように減衰させる振動減衰部である。
なお、シールリング61は、電動送風部11を停止させた状態で、若干前方に付勢されるように、すなわちリップ部64が隔壁8の後面に若干圧接されるように取り付けられている。
一方、後部モータカバー46は、例えば合成樹脂などにより形成され、後側の蓋部となる略円板状の後板66と、この後板66の外周縁部から前方へと延出する後部周壁67と、この後部周壁67の外周縁部から径方向へと延出するフランジ部68とを備え、このフランジ部68が前部モータカバー45の前部周壁52の後端に、例えば螺子止めなどにより接続されている。また、この後部モータカバー46には、電動送風機27の排気口37と本体ケース5の排気孔12とを連通する図示しない連通開口である後部連通開口が開口形成されている。
後部周壁67の下部には、付勢手段30によって支持される例えば一対の被支持部71(一方のみ図示)が形成されている。この被支持部71は、付勢手段30が下方から嵌合する部分であり、電動送風部11の軸方向に沿う略垂直な平面による断面視で円弧状、本実施の形態では球面凹状に形成され、下方に開口しているとともに、後板66へと水平状に前方に連続する後部連続部72により後方にも開口している。
フランジ部68には、図示しないが、複数箇所に螺子止め用の螺子穴が設けられ、これら螺子穴に図示しない螺子を螺子止めすることにより、前部モータカバー45と後部モータカバー46とが互いに固定されるように構成されている。
付勢手段29は、電動送風部11を、側面視で重心Gに対して吸込側である軸方向の前側すなわち遠心ファンF側から重心Gに向けて付勢するもので、図3に示すように、付勢部である対をなすダンパ部75,76が、幅方向に長手状の取付板部77上にそれぞれ互いに離間されて突出し、この取付板部77のダンパ部75,76の略中間の位置に、付勢手段29を下ケース2に取り付けるためのボス78が突出し、かつ、このボス78とダンパ部75,76との間に、補強用のリブ79,80が形成されている。
ダンパ部75,76は、図2(a)および図3に示すように、付勢収容部としての筒状の円筒部83を有し、この円筒部83の内部に、付勢手段本体としてのばね84が収容され、かつ、このばね84の先端である上端に、被支持部55に嵌合する支持体であるピストン85が取り付けられている。また、これらダンパ部75,76間の中心位置は、電動送風部11の重心Gを通る略垂直な平面上に位置している。換言すれば、ダンパ部75,76は、電動送風部11の重心Gに対して、略均等に両側方向に離間されている。
円筒部83は、側面視で電動送風部11の重心Gの方向に軸心を向けて、取付板部77に対して傾斜状に突出している。すなわち、各円筒部83は、先端側が後方上側に向けて傾斜しており、先端にピストン85の先端側が露出する開口83aが開口形成されている。また、円筒部83の下端部には、下ケース2の上面から突出した取付板部77の位置決め用(位置ずれ防止用)の取付部87が嵌合している。この取付部87は、上端側が円筒部83の中心軸に対して略直交する方向に沿う平面状の傾斜支持面87aとなっている。すなわち、傾斜支持面87aは、下ケース2に対して傾斜状に形成されている。
ばね84は、付勢方向に指向性を有するダンパ部材であり、その付勢方向は、円筒部83の軸方向に沿って、すなわち電動送風部11の重心Gに向けて側面視で傾斜している。また、ばね84は、下端側が傾斜支持面87aに支持され、上端側にピストン85の基端側が連結されている。さらに、このばね84は、円筒部83により伸縮方向がガイドされている。換言すれば、円筒部83は、ばね84の伸縮のガイド部となっている。そして、このばね84は、円筒部83内において、ピストン85を先端方向へと付勢可能な長さで、かつ、最大に縮んだ状態ではピストン85全体が円筒部83の内部に入り込まない長さに設定されている。
ピストン85は、先端に支持面85aが形成されたピストン本体85bと、このピストン本体85bから径方向に突出した抜止め部85cとを備えている。また、このピストン85は、円筒部83の軸方向に沿って摺動可能となっている。
支持面85aは、被支持部55に接触する部分であり、電動送風部11の軸方向に沿う略垂直な平面による断面視で円弧状、本実施の形態では球面状に形成されている。したがって、ピストン85は、電動送風部11を球面支持している。
ピストン本体85bは、円筒部83の開口83aから先端側が露出し、基端側が円筒部83の内部に位置している。
抜止め部85cは、ばね84の付勢によりピストン85全体が円筒部83から外方へと飛び出さないように抜け止めするためのストッパ部であり、円筒部83の開口83aの内径よりも径方向に突出するように形成されている。
ボス78には、図示しない螺子などが挿入されて下ケース2側に螺子止めされている。
付勢手段30は、電動送風部11を、側面視で重心Gに対して付勢手段29と反対側である軸方向の後側すなわち電動機M側から重心Gに向けて付勢して電動送風部11の軸方向の振動を吸収するもので、付勢手段29と同様の構成を有している。すなわち、付勢手段30は、付勢部である対をなすダンパ部91,92が、幅方向に長手状の取付板部93上にそれぞれ互いに離間されて突出し、この取付板部93のダンパ部91,92の略中間の位置に、付勢手段30を下ケース2に取り付けるためのボス94が突出し、かつ、このボス94とダンパ部91,92との間に、補強用のリブ95,96が形成されている。
ダンパ部91,92は、付勢収容部としての筒状の円筒部98を有し、この円筒部98の内部に、付勢手段本体としてのばね99が収容され、かつ、このばね99の先端である上端に、被支持部71に嵌合する支持体であるピストン100が取り付けられている。また、これらダンパ部91,92間の中心位置は、電動送風部11の重心Gを通る略垂直な平面上に位置している。換言すれば、ダンパ部91,92は、電動送風部11の重心Gに対して、略均等に両側方向に離間されている。さらに、これらダンパ部91,92間の距離は、例えば付勢手段29のダンパ部75,76間の距離よりも大きい。
円筒部98は、側面視で電動送風部11の重心Gの方向に軸心を向けて、取付板部93に対して傾斜状に突出している。すなわち、各円筒部98は、先端側が前方上側に向けて傾斜しており、先端にピストン100の先端側が露出する開口98aが開口形成されている。また、円筒部98の下端部には、下ケース2の上面から突出した取付板部93の位置決め用(位置ずれ防止用)の取付部103が嵌合している。この取付部103は、上端側が円筒部98の中心軸に対して略直交する方向に沿う平面状の傾斜支持面103aとなっている。すなわち、傾斜支持面103aは、下ケース2に対して傾斜状に形成されている。
ばね99は、付勢方向に指向性を有するダンパ部材であり、その付勢方向は、円筒部98の軸方向に沿って、すなわち電動送風部11の重心Gに向けて側面視で傾斜している。また、ばね99は、下端側が傾斜支持面103aに支持され、上端側にピストン100の基端側が連結されている。さらに、このばね99は、円筒部98により伸縮方向がガイドされている。換言すれば、円筒部98は、ばね99の伸縮のガイド部となっている。そして、このばね99は、円筒部98内において、ピストン100を先端方向へと付勢可能な長さで、かつ、最大に縮んだ状態ではピストン100全体が円筒部98の内部に入り込まない長さに設定されている。
ピストン100は、先端に支持面100aが形成されたピストン本体100bと、このピストン本体100bから径方向に突出した抜止め部100cとを備えている。また、このピストン100は、円筒部98の軸方向に沿って摺動可能となっている。
支持面100aは、被支持部71に接触する部分であり、電動送風部11の軸方向に沿う略垂直な平面による断面視で円弧状、本実施の形態では球面状に形成されている。したがって、ピストン100は、電動送風部11を球面支持している。
ピストン本体100bは、円筒部98の開口98aから先端側が露出し、基端側が円筒部98の内部に位置している。
抜止め部100cは、ばね99の付勢によりピストン100全体が円筒部98から外方へと飛び出さないように抜け止めするためのストッパ部であり、円筒部98の開口98aの内径よりも径方向に突出するように形成されている。
ボス94には、図示しない螺子などが挿入されて下ケース2側に螺子止めされている。
したがって、付勢手段29,30は、それらのばね84,99の付勢方向を面方向とする各平面と、ダンパ部75,76(ダンパ部91,92)の中間位置を通る垂直な平面との交差位置が電動送風部11の重心Gとなるように構成され、電動送風部11を付勢力がつりあう中心位置へと保持する、換言すれば、電動送風部11の軸方向(前後方向)に対して調芯作用を有している。
ここで、各ばね84,99のつりあいを考慮すると、各ばね84,99の荷重をそれぞれFc,Fdとし、各ばね84,99の垂直方向に対する傾斜角をθ1,θ2、電動送風部11の質量をm2(>m1)としたとき、m2=2・(Fc・cosθ1+Fd・cosθ2)を満たすので、この式により、ばね84,99の荷重や傾斜角を設定する。
また、支持弾性体31は、電動送風部11の上下方向の振動を減衰するもので、例えばゴムあるいはエラストマなどの弾性を有する部材により形成され、モータカバー28の前部モータカバー45の前部周壁52の外周面と上ケース3との間に位置している。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
掃除の際には、まず、本体吸込口15にホース体16、延長管21および床ブラシ22を順次連通接続するとともに、本体ケース5の蓋体4を開けて紙パックを集塵室7に装着し、蓋体4を閉じる。
この掃除を開始する前の状態では、電動送風部11は、付勢手段29,30の付勢力のつりあいにより、軸方向(前後方向)に所定のスタート位置となっている。
そして、本体ケース5から電源コードを引き出して壁面などのコンセントに接続し、作業者が把持部18を把持して所定の設定ボタン19を操作すると、電動送風部11の電動送風機27が駆動する。
この電動送風機27の駆動やこの駆動によって発生した負圧などにより、電動送風部11は、軸方向の前後方向に振動しようとする。
このとき、電動送風部11の各被支持部55,71にピストン85,100が嵌合していることで、付勢手段29,30のばね84,99の付勢に抗してピストン85,100が円筒部83,98の内部へと押し込まれる方向に力が加わるものの、ばね84,99の付勢によって電動送風部11が、付勢手段29,30によりつりあいが取れるように前方向、あるいは後方向に付勢され、すなわち電動送風部11が付勢手段29,30によって調芯され、電動送風部11の駆動に伴う軸方向の振動が吸収される。
同時に、シールリング61では、リップ部64の接触面64aが隔壁8の送風室6側に圧接されて連通孔25と電動送風機27の吸気口39とが気密に接続される。このとき、電動送風部11の起動時の振動などは、リップ部64の弾性により吸収され、隔壁8へと殆ど伝わることがない。
また、電動送風機27の駆動により、電動送風部11の内部では、電動送風機27の回転方向に交差する径方向(中心軸方向)に振動が発生しようとする。
このとき、電動送風機27の重心Gの方向に付勢されている各コイルばね36が互いに適宜伸縮して電動送風機27を調芯することにより、電動送風機27の駆動に伴う径方向(中心軸方向)の振動も吸収される。
そして、電動送風機27の駆動による負圧により、床ブラシ22、延長管21、ホース体16、本体吸込口15、紙パックと作用する風路が形成され、空気とともに塵埃が吸い込まれる。
吸い込まれた空気は吸気風となり、この吸気風に含まれる塵埃は、紙パックを空気が通過する際に紙パックに捕集される。なお、紙パック内に収容された塵埃は、通過する吸気風により圧縮される。
さらに、紙パックを通過した吸気風は、フィルタおよび連通孔25を通過し、シールリング61の整流面64bにより整流されつつ電動送風機27の吸気口39を介して電動送風機11のファンカバー33内へと流入し、遠心ファンFの中心部から吸い込まれて周方向に排気され、ディフューザにより所定の方向へと風向を揃えられるように整流されつつモータフレーム32内を通過し、各排気口37から排気風として電動送風機27の外部へと排気される。
これら排気風は、モータカバー28の後部連通開口を介して本体ケース5の排気孔12から本体ケース5の外部へと排気される。
掃除が終了すると、作業者は設定ボタン19を操作して電動送風機11を停止させ、電気掃除機の運転を停止する。
このとき、電動送風部11は、各付勢手段29,30のばね84,99の調芯作用によって所定のスタート位置に復帰する。
紙パックに所定量以上の塵埃が溜まった場合には、蓋体4を開けて紙パックを集塵室7から取り外して塵埃とともに廃棄し、新たな紙パックを集塵室7に装着する。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、電動送風部11を側面視でこの電動送風部11の重心Gに対して互いに反対側からそれぞれ重心Gに向けて付勢手段29,30により付勢することで、電動送風部11の駆動に伴う振動、特に電動送風機27の起動時の軸方向の振動や電動送風部11の駆動より生じる負圧による吸込方向への振動などを付勢手段29,30の付勢により確実に吸収でき、本体ケース5への振動絶縁を図ることができる。
また、付勢手段29,30は、それぞれダンパ部75,76およびダンパ部91,92を幅方向に有することで、電動送風部11の駆動に伴う幅方向の振動をも付勢手段29,30によって吸収できる。
さらに、電動送風部11のモータカバー28に断面円弧状の被支持部55,71を形成し、これら被支持部55,71に対して、付勢手段29,30のピストン85,100の先端側を断面円弧状として嵌合させることで、電動送風部11の軸方向に沿う振動だけでなく、この電動送風部11の軸方向の成分を含む振動であれば、例えば電動送風部11の斜め下方向などの振動でも付勢手段29,30により確実に受けることができ、軸方向への振動を確実に吸収できる。
また、付勢手段29,30は、ばね84,99の先端にピストン85,100を取り付けて円筒部83,98内に収容するだけで容易に実現できる。
しかも、電動送風部11を本体ケース5の送風室6に組み込む際には、付勢手段29,30のピストン85,100が被支持部55,71に嵌合するように電動送風部11を付勢手段29,30の上方から載置するだけでよいため、組立性も良好である。
そして、電動送風部11では、モータカバー28の内部にて、電動送風機27を重心Gの方向に向けて複数のコイルばね36によって放射状に保持するので、電動送風機27の駆動時の回転振動を、各コイルばね36の伸縮によって吸収しモータカバー28に伝えにくくできる。
しかも、これらコイルばね36は、側面視で電動送風機27の重心Gに対応する位置であるため、例えば電動送風機27の前端寄りの位置や後端寄りの位置を支持する場合と比較して、電動送風機27の駆動時などに重心Gよりも前側あるいは後側で上下方向に発生する振動幅S(図1)を最小限とすることができ、振動を本体ケース5に、より伝えにくくできる。
また、シールリング61を、モータカバー28の前部モータカバー45に対して周方向に摺動自在に接続して集塵室7と電動送風機27の吸気口39とを気密に接続することで、電動送風部11が振動した状態でも連通孔25と電動送風機27の吸気口39との気密性を確保しつつ、隔壁8を介して本体ケース5に振動が伝わることを防止できる。
そして、上記のように各振動を本体ケース5に伝えないように構成することで、電気掃除機の運転時の電動送風部11の振動に起因する音の発生を防止でき、特に振動が反響しやすい木床などでの掃除の際でも、動作音が静かになる。
また、比較的振動が大きい電動送風機27でも採用することが可能となり、品質が安定する。
次に、第2の実施の形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の支持弾性体31に代えて、回転体としての弾性車輪105,105が取り付けられているものである。
各弾性車輪105は、電動送風部11の軸方向の振動を吸収するためのもので、例えばゴム、あるいはエラストマなどの弾性部材により形成され、軸方向が本体ケース5の幅方向に沿い、前後方向に回転自在に軸支されている。また、各弾性車輪105は、電動送風部11の重心Gの側面視の上方で、かつ、前部モータカバー45の上側の外周面の頂部よりも側方の位置にそれぞれ配置されている。このため、各弾性車輪105は、モータカバー28に対して放射状に取り付けられ、軸方向が前部モータカバー45の外周面の略接線方向に沿っている。すなわち、各弾性車輪105は、電動送風部11の重心Gに向けて傾斜状に配置されている。
また、各弾性車輪105は、本体ケース5の上ケース3に形成された走行面107に接触している。これら走行面107は、各弾性車輪105が略垂直に接触するように、それぞれ側方へと下側に傾斜して形成されている。
そして、電動送風部11の電動送風機27の駆動およびこの駆動により発生する負圧などにより、電動送風部11が軸方向に荷重を受けた場合には、各付勢手段29,30による調芯作用によって、電動送風部11の軸方向の振動が吸収され、これら振動が本体ケース5に殆ど伝わることがないなど、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、電動送風部11の下部を付勢手段29,30によって弾性支持し、電動送風部11の上部を、弾性部材により形成し電動送風部11の軸方向である前後方向に回転自在の回転体である各弾性車輪105によって支持することで、各弾性車輪105の弾性によって電動送風部11の径方向の振動を吸収し、かつ、各弾性車輪105の回転によって軸方向の振動を、より確実に吸収でき、電気掃除機をより静音化できる。
なお、上記各実施の形態において、電動送風部11は、電動送風機27とモータカバー28とにより構成されるものだけでなく、例えば電動送風機27自体としてもよい。すなわち、電動送風機27自体を付勢手段29,30によって弾性支持するように構成するものなども、実施の形態に含むものとする。
また、保持部材としては、モータカバーだけでなく、例えば円筒状の保持部材などでもよい。
そして、シールリング61は、例えばモータカバー28側に取り付けずに、隔壁8側に取り付けてもよい。すなわち、溝部63aに連通孔25の内周縁部を嵌合させ、リップ部64を前部モータカバー45の前板51の前部連通開口53の周縁部に接触させるようにしても、同様の作用効果を奏することができる。
また、電気掃除機の細部は、上記構成に限定されるものではない。