JP4945440B2 - 5−フルオロウラシル耐性菌およびその作製方法 - Google Patents
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Description
00μg/mlの5−フルオロシトシンを添加した培地で継代・馴化培養することを特徴とする[1]又は[2]に記載の耐性菌の作製方法や、[4]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育できるシトシン・デアミナーゼ発現菌が、嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現するバクテリアであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の耐性菌の作製方法や、[5]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現するバクテリアが、シトシン・デアミナーゼを発現する腸内細菌であることを特徴とする[4]に記載の耐性菌の作製方法や、[6]シトシン・デアミナーゼを発現する腸内細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム属細菌であることを特徴とする、[5]に記載の耐性菌の作製方法や、[7]シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、又はビフィドバクテリウム・インファンティスであることを特徴とする[6]に記載の耐性菌の作製方法や、[8]シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム・ロンガムであることを特徴とする[7]に記載の耐性菌の作製方法や、[9]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも抗腫瘍活性有効濃度の5−フルオロウラシル耐性能を有することを特徴とするシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌の作製方法であって、(1)嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現しない菌を5−フルオロウラシルの存在下で継代・馴化培養して、5−フルオロウラシル耐性菌を作製する工程と、(2)該5−フルオロウラシル耐性菌に、シトシン・デアミナーゼ遺伝子を導入して形質転換する工程を有することを特徴とする耐性菌の作製方法や、[10]1〜100μg/mlの5−フルオロウラシルを添加した培地で継代・馴化培養することを特徴とする[9]に記載の耐性菌の作製方法や、[11]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現していない菌が、嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現していないバクテリアであることを特徴とする[9]又は[10]に記載の耐性菌の作製方法や、[12]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現していないバクテリアが、シトシン・デアミナーゼを発現していない腸内細菌であることを特徴とする[11]に記載の耐性菌の作製方法や、[13]シトシン・デアミナーゼを発現していない腸内細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム属細菌であることを特徴とする[12]に記載の耐性菌の作製方法や、[14]シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、又はビフィドバクテリウム・インファンティスであることを特徴とする[13]に記載の耐性菌の作製方法や、[15]シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム・ロンガムであることを特徴とする[14]に記載の耐性菌の作製方法や、[16]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも抗腫瘍活性有効濃度の5−フルオロウラシル耐性能を有するシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌であって、[1]〜[15]のいずれかに記載の作製方法で作製されることを特徴とするシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[17]嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも2μg/mlの5−フルオロシトシン又は1μg/mlの5−フルオロウラシルを添加した培地で生育できることを特徴とするシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[18]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性バクテリアであることを特徴とする[16]又は[17]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[19] シトシン・デアミナーゼ発現・
5−フルオロウラシル耐性バクテリアが、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウ
ラシル耐性腸内細菌であることを特徴とする[18]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[20]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性腸内細菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム属細菌であることを特徴とする[19]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[21]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、又はビフィドバクテリウム・インファンティスであることを特徴とする[20]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[22]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムである[20]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[23] シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・
ロンガムが、プラスミドpBLES100−S−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム105−A株であることを特徴とする[22]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[24]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム105−A株であることを特徴とする[22]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[25]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベ標準株であることを特徴とする[21]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[26]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベaS−1株であることを特徴とする[21]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[27]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベI−53−8W株であることを特徴とする[21]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[28]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティスが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティス標準株であることを特徴とする[21]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[29]シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティスが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティスI−10−5株であることを特徴とする[21]に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌や、[30][16]〜[29]のいずれかに記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌を含有することを特徴とする医薬組成物や、[31]5−フルオロシトシンと組み合わせてなることを特徴とする[30]に記載の医薬組成物や、[32]さらに、ラクツロースと組み合わせてなることを特徴とする[30]又は[31]に記載の医薬組成物や、[33]5−フルオロシトシンから有効治療量の5−フルオロウラシルに変換できる量のシトシン・デアミナーゼを発現するのに十分な量のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌と、有効治療量の5−フルオロウラシルに変換できる量の5−フルオロシトシンとを組み合わせてなる固形腫瘍治療剤であって、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌が[16
]〜[29]のいずれかに記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌であることを特徴とする固形腫瘍治療剤や、[34]さらに、ラクツロースを組み合わせてなることを特徴とする[33]に記載の固形腫瘍治療剤に関する。
特願2004−339677に記載されている方法により、CD発現ビフィドバクテリウム・ロンガムを作製した。
1.シャトルベクターpAV001の構築
(プラスミドの構築)
ビフィドバクテリウム・ロンガムと大腸菌のシャトルベクターpBLES100(特許文献2及び非特許文献23参照)よりエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)由来のスペクチノマイシンアデニルトランスフェラーゼ(AADカセット)を含む配列をPCRにより増幅し、pCR−BluntII−TOPOベクター(Invitrogen)にサブクローニングし、pCRTOPO−ScaI−AAD−Eam1105Iを作製した。なお、フォワードプライマーにScaI、リバースプライマーにEam1105I制限酵素サイトをそれぞれ付加した。
(発現ベクターの構築)
次に、pBLES100−S−eCDを制限酵素HindIIIとSpeIで切断し、HU遺伝子プロモーター、大腸菌由来のCD遺伝子とHU遺伝子ターミネーター含む約2900bpを抜き出した。同様にシャトルベクターpAV001をマルチクローニングサイト内にある制限酵素切断部位でHindIIIとSpeIで切断した長断片に、上記の約2900bp断片をT4DNAリガーゼを用いて結合したpAV001−HU−eCD(約7100bp)を作製した。
野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムをMRS培地37℃嫌気条件下で培養した培養液から遠心分離により菌体を分離し、適当な緩衝液に懸濁した菌懸濁液を調製した。次に、非特許文献23に記されているエレクトロポレーション法を用いて、シトシン・デアミナーゼ遺伝子発現ベクターpAV001−HU−eCDを上記の菌懸濁液に導入した。導入された組換えビフィドバクテリウム・ロンガム(ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCD)は抗生剤スペクチノマイシン含有寒天培地上でのコロニー形成を元に選別した。
ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDまたは野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムをそれぞれ抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地37℃嫌気条件下で2日以上継代培養した培養液から遠心分離により菌体(1×109CFU)を分離し、超音波破砕後、それぞれ菌体内タンパクを抽出した。上記抽出したタンパクをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、ウエスタン分析法にてシトシン・デアミナーゼタンパクの発現を確認した。なお、一次抗体としてウサギ抗シトシン・デアミナーゼモノクローナル抗体(Sawaday Technology)、二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼ−抗ウサギイムノグロブリンG複合体(Santa Cruz Biotechnology, Inc)をそれぞれ用いた。シグナルの感光法としてECL法により発光させたシグナルを、冷却CCDカメラFluo-S-MAX(BIO-RAD)を用いて検出した。その結果、野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムにおいてはシグナルが検出されずシトシン・デアミナーゼが発現していなかったが、ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDにおいてはシグナルが検出され、シトシン・デアミナーゼタンパクが発現していることを確認した(図2参照)。
ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDまたは野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムをそれぞれ抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地37℃嫌気条件下で2日以上継代培養した培養液から遠心分離により菌体(2×109CFU)を分離し、4.5mLのMRS培地に再度懸濁した。次に最終濃度2mg/mLとなるよう0.5mLの5−FC(20mg/mL)を添加し37℃嫌気条件下で培養した。0、4、8、18、24時間ごとの培養液から、遠心分離により菌体を取り除いた上清をそれぞれ回収し、ガスクロ分析(5−FU GC-MS methods, BML)により変換された5−FU濃度を測定した。経時菌数変化を図3に、5−FU濃度を図4にそれぞれ示す。分析の結果、野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムにおいては極少量の5−FUしか検出されなかったが、ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDにおいては4時間後において39.2 μg / mL、24時間後においては102.1 μg / mLの5−FUが検出された。
参考例1で得られたビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDを、5−FCを50μg/mL含む5mLの抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地に植菌し、37℃嫌気培養で72時間培養した。次に、培養後の培地を1mL取り出し、同じく5−FCを50μg/mL含む9mLの抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地に植菌し、同様の培養条件で24時間培養した。この植菌作業を3回繰り返し行うことにより、5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDを作製した。次に、5−FUを20μg/mL含む抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地に植菌し、同様の培養条件で24時間培養し、作製した5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDの5−FU耐性生育を確認した。その後、菌はグリセロールと懸濁してグリセロールストックとして−80℃で保存した。この保存した菌体サンプルと野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムとを、5−FUを250μg/mL含む抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地に植菌し生育を比較したところ、野生型は生育しなかったが、保存したサンプルは翌日に菌が増殖し、5−FUに対する耐性を保持していた。培養後の菌液を平板測定法により生育菌数を測定したところ、野生型は検出限界以下(103CFU/mL以下)であったが、保存したサンプルの菌液は2〜3×109CFU/mL菌が生育していた。
実施例1で得られた5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDまたは野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムをそれぞれMRS培地37℃嫌気条件下で2日以上継代培養した。これらの培養液を嫌気性希釈液で希釈した後、それぞれ5−FUが0,25,50,100,250,500,1000,2000μg/mL含まれるBL寒天培地上に塗布し、37℃で2〜3日間嫌気培養した後の生育菌数を測定した。5−FUが含まれていないBL寒天培地を用いたものは5連で、それ以外の5−FU含有BL寒天培地を用いたものは3連で試験を行った。その結果を表1(5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCD)及び表2(野生型ビフィドバクテリウム・ロンガム)に示す。表1の結果から分かるように、5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDの5−FU耐性濃度は2000μg/mL以上であった。一方で野生型ビフィドバクテリウム・ロンガムは少なくとも5−FU含量25μg/mL以上では生育しなかった(表2)。
実施例1で得られた5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCDを、抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地を用いて37℃嫌気条件下で2日以上継代培養した。該培養液5μLを抗生剤スペクチノマイシン含まない5mLのMRS培地に植菌して37℃嫌気条件下で24時間培養を行い、培養後の菌液を同様にして継代培養し、連続的に30日間継代培養を行った。連続継代培養30日後の菌液を嫌気性希釈液で希釈した後、5−FUが250μg/mL含まれるBL寒天培地と5−FUを含まないBL寒天培地上にそれぞれ塗布し、37℃で2〜3嫌気日間培養後の生育菌数を測定した。実験は5連で行った。その結果を表3に示す。表3の結果から分かるように、5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムの5−FU耐性形質は、少なくとも連続継代培養30日間行った後も維持されていた。
参考例1のビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCD(5−FU非耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム)と実施例1で得られたビフィドバクテリウム・ロンガム/pAV001−HU−eCD(5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム)をそれぞれ抗生剤スペクチノマイシン含有MRS培地37℃嫌気条件下で2日以上継代培養した。その後、それぞれの培養液50μLを5,25,50,100,250,500μg/mLの5-FCを含むMRS培地に植菌し37℃嫌気条件下で24時間培養し、培養後の菌液の濁度(OD=600nm)を測定し、各菌の増殖の有無を調べた(表4)。5−FU非耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムは5−FC濃度50μg/mL以上の濃度の培地では著しく生育が阻害されたが、5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムは全ての濃度で生育した。
ビフィドバクテリウム・ロンガムを、5−FUを1,5,10,50,100,500μg/mL含む5mLのMRS培地に植菌し、37℃嫌気培養で1〜5日間培養し、それぞれの濁度(OD=600nm)を測定し、生育の有無を調べた(表5)。その結果、5−FUを500μg/mL含む培地では5日後も全く生育せず、耐性株が作製できなかった。次に、増殖が確認された培養後の培地を1mL取り出し、同じ濃度の5−FUを含む9mLのMRS培地にそれぞれ植菌し、同様の培養条件で24時間培養した。この植菌作業を3回繰り返し行うことにより、5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムをそれぞれの5−FU濃度で作製した。次に、MRS培地にそれぞれの5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムを植菌し、培養後の菌液をそれぞれ250μg/mLの5−FUを含むMRS培地に植菌し、24時間後の増殖の有無を濁度(OD=600nm)を用いて測定した(表6)。その結果、5−FUを1〜100μg/mL含む培地で作製した5−FU耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムは、実施例1で得られた5−FU耐性株と同様に5−FUに耐性であった。
Claims (34)
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも抗腫瘍活性有効濃度の5−フルオロウラシル耐性能を有するシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌の作製方法であって、嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育できるシトシン・デアミナーゼ発現菌を、5−フルオロシトシンの存在下で継代・馴化培養することを特徴とする耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育できるシトシン・デアミナーゼ発現菌が、嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現しない菌に、シトシン・デミナーゼ遺伝子を導入して形質転換したシトシン・デアミナーゼ発現菌であることを特徴とする請求項1に記載の耐性菌の作製方法。
- 2〜5000μg/mlの5−フルオロシトシンを添加した培地で継代・馴化培養することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育できるシトシン・デアミナーゼ発現菌が、嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現するバクテリアであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現するバクテリアが、シトシン・デアミナーゼを発現する腸内細菌であることを特徴とする請求項4に記載の耐性菌の作製方法。
- シトシン・デアミナーゼを発現する腸内細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム属細菌であることを特徴とする、請求項5に記載の耐性菌の作製方法。
- シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、又はビフィドバクテリウム・インファンティスであることを特徴とする請求項6に記載の耐性菌の作製方法。
- シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現するビフィドバクテリウム・ロンガムであることを特徴とする請求項7に記載の耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも抗腫瘍活性有効濃度の5−フルオロウラシル耐性能を有することを特徴とするシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌の作製方法であって、
(1)嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現しない菌を5−フルオロウラシルの存在下で継代・馴化培養して、5−フルオロウラシル耐性菌を作製する工程と、
(2)該5−フルオロウラシル耐性菌に、シトシン・デアミナーゼ遺伝子を導入して形質転換する工程を有することを特徴とする耐性菌の作製方法。 - 1〜100μg/mlの5−フルオロウラシルを添加した培地で継代・馴化培養することを特徴とする請求項9に記載の耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現していない菌が、嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現していないバクテリアであることを特徴とする請求項9又は10に記載の耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、かつ、シトシン・デアミナーゼを発現していないバクテリアが、シトシン・デアミナーゼを発現していない腸内細菌であることを特徴とする請求項11に記載の耐性菌の作製方法。
- シトシン・デアミナーゼを発現していない腸内細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム属細菌であることを特徴とする請求項12に記載の耐性菌の作製方法。
- シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、又はビフィドバクテリウム・インファンティスであることを特徴とする請求項13に記載の耐性菌の作製方法。
- シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼを発現していないビフィドバクテリウム・ロンガムであることを特徴とする請求項14に記載の耐性菌の作製方法。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも抗腫瘍活性有効濃度の5−フルオロウラシル耐性能を有するシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌であって、請求項1〜15のいずれかに記載の作製方法で作製されることを特徴とするシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- 嫌気的環境下にある腫瘍組織内で生育でき、シトシン・デアミナーゼを発現することができ、かつ、少なくとも2μg/mlの5−フルオロシトシン又は1μg/mlの5−フルオロウラシルを添加した培地で生育できることを特徴とするシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性バクテリアであることを特徴とする請求項16又は17に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性バクテリアが、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性腸内細菌であることを特徴とする請求項18に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性腸内細菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム属細菌であることを特徴とする請求項19に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、又はビフィドバクテリウム・インファンティスであることを特徴とする請求項20に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム属細菌が、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムである請求項20に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムが、プラスミドpBLES100−S−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム105−A株であることを特徴とする請求項22に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガムが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ロンガム105−A株であることを特徴とする請求項22に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベ標準株であることを特徴とする請求項21に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベaS−1株であることを特徴とする請求項21に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・ブレーベI−53−8W株であるこ
とを特徴とする請求項21に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。 - シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティスが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティス標準株であることを特徴とする請求項21に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティスが、プラスミドpAV001−HU−eCDを保持する、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性ビフィドバクテリウム・インファンティスI−10−5株であることを特徴とする請求項21に記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌。
- 請求項16〜29のいずれかに記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌を含有することを特徴とする医薬組成物。
- 5−フルオロシトシンと組み合わせてなることを特徴とする請求項30に記載の医薬組成物。
- さらに、ラクツロースと組み合わせてなることを特徴とする請求項30又は31に記載の医薬組成物。
- 5−フルオロシトシンから有効治療量の5−フルオロウラシルに変換できる量のシトシン・デアミナーゼを発現するのに十分な量のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌と、有効治療量の5−フルオロウラシルに変換できる量の5−フルオロシトシンとを組み合わせてなる固形腫瘍治療剤であって、シトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌が請求項16〜29のいずれかに記載のシトシン・デアミナーゼ発現・5−フルオロウラシル耐性菌であることを特徴とする固形腫瘍治療剤。
- さらに、ラクツロースを組み合わせてなることを特徴とする請求項33に記載の固形腫瘍治療剤。
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